(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6240690
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】密封容器
(51)【国際特許分類】
B65D 77/20 20060101AFI20171120BHJP
B65D 43/06 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
B65D77/20 B
B65D43/06 200
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-19377(P2016-19377)
(22)【出願日】2016年2月4日
(65)【公開番号】特開2017-137091(P2017-137091A)
(43)【公開日】2017年8月10日
【審査請求日】2016年4月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】390003148
【氏名又は名称】エフピコチュ−パ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】和田 修
【審査官】
矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−203608(JP,A)
【文献】
実開平04−021453(JP,U)
【文献】
実開昭54−104337(JP,U)
【文献】
実開昭49−050301(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44−35/54
B65D 39/00−55/16
B65D 67/00−79/02
B65D 81/18−81/30
B65D 81/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の周縁に上方に膨出させて形成した嵌合凸部と、容器本体の開口部を閉塞する蓋体の周縁に上方に膨出させて形成した嵌合凹部との嵌合によって容器本体を蓋体によって施蓋して成る密封容器において、嵌合凸部の内周壁に容器本体の内方側に傾斜形成した本体テーパー部に容器本体の外方側に窪んでいる本体嵌合溝部が形成されており、嵌合凹部の内周壁に本体テーパー部の傾斜角度に比し稍大きくして蓋体の内方側に傾斜形成した蓋テーパー部に、蓋体の外方側に窪み、前記本体嵌合溝部内に嵌まり込む蓋嵌合溝部が形成されており、嵌合凸部の外周壁には嵌合凹部の蓋外周壁の内側面に突き当たり、嵌合凸部を容器本体の内方側に、また嵌合凹部を蓋体の外方側に撓ませ、本体嵌合溝部を蓋嵌合溝部に嵌め合わせるようにした突出当片を設け、この突出当片は、本体嵌合溝部と容器本体の内外方向でほぼ同一高さ位置に設けられていることを特徴とする密封容器。
【請求項2】
前記本体テーパー部は、容器本体の深さ方向に対して0°〜10°で傾斜されている請求項1に記載の密封容器。
【請求項3】
前記蓋テーパー部は、蓋体の深さ方向に対して10°〜20°で傾斜されている請求項1または2に記載の密封容器。
【請求項4】
前記本体テーパー部は容器本体1の深さ方向に対して約5°で傾斜され、前記蓋テーパー部は蓋体の深さ方向に対して約15°で傾斜されている請求項1に記載の密封容器。
【請求項5】
前記嵌合凸部の上側壁と前記嵌合凹部の蓋上側壁とは、嵌合凹部の嵌合凸部への嵌合時に当接するようにしてある請求項1乃至4のいずれかに記載の密封容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体に蓋体を施蓋したときには容器内外を遮断密封し、例えば収容した食品から生じる液状物を外部に漏出させず、また外部からの汚染物質の侵入を防止し、収容した食品等を衛生的に維持できるようにした密封容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば液状物が含まれている各種の食品等を密封収納する食品容器として、容器本体の開口部に蓋体を施蓋するようにして成る合成樹脂シートの成形による各種の密封性ある容器が提供されている。このような容器では、容器本体に食品等を収納した後に蓋体を被せ、所定方法によって包装することで陳列販売されるのであり、陳列販売に際しての輸送、保管その他で食品等に含まれる液状物が漏出したり、外部から汚染物質等が侵入したりすることがないようにしている。
【0003】
そのため、例えば特許文献1にあるような内外嵌合型の包装用容器、特許文献2にあるような密封蓋付容器、特許文献3にあるような密封容器等が提案されている。特許文献1の容器は、容器本体の上部に周設した嵌合突条に、蓋体の下部に周設した嵌合凹条を嵌合することで一体化するとする。特許文献2の容器は、容器の鉤状断面形状の環状屈曲部と、蓋の鉤状断面形状の環状折り曲げ部とを上下に圧して嵌着させ、当接する環状屈曲部の側面内径を環状折り曲げ部の側面外径より僅かに大きくすることで圧接させて、環状の線状接触で密接した密閉性が得られるようにするとする。特許文献3の容器は、容器本体に周設した嵌合凸条と、蓋に周設した嵌合凹条とを内外嵌合させ、嵌合凸条の外面に設けた線状溝に嵌合凹条に設けた内向きの線状突起が陥入するようにして成るとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−176507号公報
【特許文献2】特開平7−206020号公報
【特許文献3】特開2009−62073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが特許文献1の包装用容器では、嵌合突条と嵌合凹条とを内外で嵌合させるにすぎないから、容器本体中の液状物がこの嵌合部分に至ると嵌合部分で生じる毛細管現象とも相俟ち外部に漏出することがある。特許文献2の蓋付容器では、容器本体の環状屈曲部に蓋体の環状折り曲げ部が嵌合されるとき、容器本体と蓋体との間で取り込まれる空気の圧力が上がり、蓋体が反発するようになって容器本体への嵌合操作が困難となることがある。特許文献3の密封容器では、嵌合凸条、嵌合凹条相互による内外嵌合、線状溝・線状突起による陥入構成で容器内圧力が上がっても嵌合状態が維持できるとするが、逆に容器本体に蓋を被せるときには被せ難くなるのである。
【0006】
そこで本発明は上述したような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、容器本体を蓋体によって施蓋するとき、内部に閉じ込められる空気の排出を容易にして施蓋作業を円滑に行うことができ、また施蓋後では容器の内外を密封させ、例えば収容した食品類から生じ得る液状物を外部に漏出させず、外部からの塵埃、異物等の容器内への侵入を阻止し、例えば食品類である収容物を衛生的に維持保存できるようにした密封容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明にあっては、後述する発明を実施するための形態における使用符号を付記して説明すると、容器本体1の周縁に上方に膨出させて形成した嵌合凸部3と、容器本体1の開口部を閉塞する蓋体20の周縁に上方に膨出させて形成した嵌合凹部22との嵌合によって容器本体1を蓋体20によって施蓋して成る密封容器において、嵌合凸部3の内周壁4に容器本体1の内方側に傾斜形成した本体テーパー部7に容器本体1の外方側に窪んでいる本体嵌合溝部8が形成されており、嵌合凹部22の蓋内周壁23に本体テーパー部7の傾斜角度に比し稍大きくして蓋体20の内方側に傾斜形成した蓋テーパー部26に、蓋体20の外方側に窪み、前記本体嵌合溝部8内に嵌まり込む蓋嵌合溝部27が形成されており、嵌合凸部3の外周壁12には嵌合凹部22の蓋外周壁31の内側面に突き当たり、嵌合凸部3を容器本体1の内方側に、また嵌合凹部22を蓋体20の外方側に撓ませ、本体嵌合溝部8を蓋嵌合溝部27に嵌め合わせるようにした突出当片13を設けたことを特徴とする。
本体テーパー部7は、容器本体1の深さ方向に対して0°〜10°で傾斜されているとして構成することができる。
蓋テーパー部26は、蓋体20の深さ方向に対して10°〜20°で傾斜されているとして構成することができる。
本体テーパー部7は容器本体1の深さ方向に対して約5°で傾斜され、蓋テーパー部26は蓋体20の深さ方向に対して約15°で傾斜されているとして構成することができる。
突出当片13は、本体嵌合溝部8と容器本体1の内外方向でほぼ同一高さ位置に設けられて構成することができる。
嵌合凸部3の上側壁11と嵌合凹部22の蓋上側壁29とは、嵌合凹部22の嵌合凸部3への嵌合時に当接するようにして構成することができる。
【0008】
以上のように構成された本発明に係る密封容器にあって、所定の例えば食品類Fが収容された容器本体1に蓋体20が、それぞれの周縁に設けた嵌合凸部3と嵌合凹部22とが嵌合されることで施蓋されると、容器本体1の内外を遮断して密封し、例えば食品類Fから生じる液状物の外部への漏出、外部からの塵埃、異物等の侵入を阻止させる。
容器本体1の嵌合凸部3に対する蓋体20の嵌合凹部22の嵌合時において、嵌合凸部3における内周壁4の本体テーパー部7に嵌合凸部3における蓋内周壁23の蓋テーパー部26が当接するとき、蓋テーパー部26は本体テーパー部7に比し傾斜角度が稍大きいことで、容器本体1内部に取り込まれるようになる空気を排出させ、施蓋時の嵌合操作に際する内圧を低減させて容器本体1に対する蓋体20を容易に施蓋させる。
嵌合凸部3における外周壁12に設けた突出当片13は、嵌合凹部22が嵌合凸部3に嵌合されたときには嵌合凹部22の蓋外周壁31の内側面に突き当てられ、嵌合凸部3の上部を容器本体1の内方側に撓ませて、ほぼ同一高さ位置にある本体嵌合溝部8を蓋嵌合溝部27に嵌め合わせ密着させ、容器内外を一層遮断し、密封性を向上させる。
嵌合凸部3に対する嵌合凹部22の嵌合時では、上側壁11に蓋上側壁29が当接し、蓋外周壁31に突き当てられる突出当片13による嵌合凸部3における上部自体を容器本体1の内方側に確実に撓ませると共に、嵌合凹部22の蓋内周壁23を蓋体20の外方側に引き寄せるものとさせ、本体嵌合溝部8と蓋嵌合溝部27との嵌め合わせ密着を強固にもさせる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は以上説明したように構成されているため、容器本体1を蓋体20によって施蓋するとき、施蓋作業時に内部に閉じ込められる空気の排出を容易にして施蓋作業を円滑に行うことができ、また施蓋後では容器の内外を遮断密封させ、例えば収容した食品類Fから生じ得る液状物を外部に漏出させず、外部からの塵埃、異物等の容器内への侵入をも阻止し、例えば食品類Fである収容物を衛生的に維持保存できる。
【0010】
すなわちこれは、本発明において、容器本体1の周縁に形成した嵌合凸部3と、蓋体20の周縁に形成した嵌合凹部22との嵌合による密封容器において、嵌合凸部3の内周壁4に容器本体1の内方側に傾斜形成した本体テーパー部7に容器本体1の外方側に窪んでいる本体嵌合溝部8が形成されており、嵌合凹部22の蓋内周壁23に本体テーパー部7の傾斜角度に比し稍大きくして蓋体20の内方側に傾斜形成した蓋テーパー部26に、蓋体20の外方側に窪み、前記本体嵌合溝部8内に嵌まり込む蓋嵌合溝部27が形成されており、嵌合凸部3の外周壁12には嵌合凹部22の蓋外周壁31の内側面に突き当たり、嵌合凸部3を容器本体1の内方側に撓ませ、本体嵌合溝部8を蓋嵌合溝部27に嵌め合わせるようにした突出当片13を設けたからである。これによって、嵌合施蓋時の容器内に生じる内圧の低減による施蓋作業の容易性、本体嵌合溝部8・蓋嵌合溝部27相互の嵌め合いによる密封性等を図ることができる。
【0011】
また、嵌合凸部3の内周壁4における本体テーパー部7は容器本体1の深さ方向に対して0°〜10°、好ましくは約5°で傾斜され、嵌合凹部22の蓋内周壁23における蓋テーパー部26は蓋体20の深さ方向に対して10°〜20°、好ましくは約15°で傾斜されていることで、嵌合凸部3に嵌合凹部22が嵌合されるときには、相互に向き合い状になる本体テーパー部7と蓋テーパー部26との間に空隙が形成され、容器本体1と蓋体20との間に閉じ込められるような空気を排出する案内路となり、容器本体1の内部圧力を低減させ、施蓋作業を円滑に遂行できる。
【0012】
容器本体1がわの嵌合凸部3の上側壁11と、蓋体20がわの嵌合凹部22の蓋上側壁29とは、嵌合凹部22が嵌合凸部3に嵌合したときには当接するようにしてあるから、嵌合凸部3の外周壁12に設けた突出当片13が嵌合凹部22の外周壁12の内側面に突き当てられたときに嵌合凸部3の上部を容器本体1の内方側に撓ませ、また嵌合凹部22を蓋体20の外方側に引き寄せるようになり、突出当片13が本体嵌合溝部8と同一高さ位置にあることと相俟ち、本体嵌合溝部8を蓋嵌合溝部27に密着状に嵌め合わせ、容器の内外を遮断して密封性を維持できる。そのため、例えば収容した食品類Fから生じ得る液状物を外部に漏出させず、また外部からの塵埃、その他の異物を侵入させることもなく、収容した食品類Fを衛生的に維持することができる。
【0013】
尚、上記の課題を解決するための手段、発明の効果の項それぞれにおいて付記した符号は、図面中に記載した構成各部を示す部分との参照を容易にするために付した。本発明は、これらの記載、図面中の符号等によって示された構造・形状等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明を実施するための一形態を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明を実施するための一形態を説明すると、図において示される符号1は適宜肉厚の例えば透明な合成樹脂シートによって成形された容器本体であり、この容器本体1上部における開口部の周縁に、上方に向けて膨出された嵌合凸部3が形成されている。この容器本体1の開口部は蓋体10によっていわゆる外嵌合式にして閉塞されるもので、蓋体20には、蓋体20下部における開口部の周縁に、上方に向けて膨出されていて、容器本体1の嵌合凸部3に上方から強制的に嵌め合わせる嵌合凹部22が形成されている。
【0016】
容器本体1、蓋体20は共に平面で円形状を呈するも、これに限定されず、また容器本体1は必要とする容積・容量を備えるよう全体径、深さ等が設定されるよう適宜肉厚の合成樹脂シートを成形加工等することによって形成されている。図例にあっては蓋体20が容器本体1に被せられたとき、容器本体1の内周縁に形成した段部2上に蓋体20における平坦状の蓋板21の周縁の内側部分が当接載置され、嵌合凸部3に対する嵌合凹部22の嵌め合わせによって容器本体1は蓋体20によって施蓋される。
【0017】
嵌合凸部3は、容器本体1の内方側で段部2から立脚されている内周壁4、この内周壁4に連続している上側壁11、上側壁11に連続して容器本体1の外方側で垂下されている外周壁12から成る。
【0018】
内周壁4は、前記段部2の外周縁部から立ち上がる立脚部5に容器本体1の外方側に傾斜した傾斜部6が形成され、この傾斜部6に容器本体1の内方側に傾斜した本体テーパー部7が連続されていて、この本体テーパー部7には容器本体1の外方側に円弧状で窪んでいる本体嵌合溝部8が形成されていると共に、本体テーパー部7の上縁からの傾斜部9を介し上側壁11に連続している。
【0019】
この嵌合凸部3における本体テーパー部7は、容器本体1に対して、すなわち容器本体1の深さ方向に対して0°〜10°、好ましくは5°程度で容器本体1の内方に向かって傾斜している。この本体テーパー部7に形成された本体嵌合溝部8は、図例にあってはほぼ1/3円形状を呈しており、後述する蓋体20における蓋嵌合溝部27が嵌まり込むようになっている。
【0020】
上側壁11は、平坦状に形成されていて、嵌合凸部3における頂部を形成している。
【0021】
この上側壁11から連続している外周壁12は、前記内周壁4とは半ば対峙状に配置されており、容器本体1の外方側に向けて下るように傾斜していて、その下端は前記本体嵌合溝部8とほぼ同一の高さ位置としてある。また、この外周壁12の下端には、容器本体1の外方に向かっている突出当片13が折曲形成されていて、この突出当片13の先端は、後述する嵌合凹部22の蓋外周壁31の内側面に突き当てられるものとしてあって、本体嵌合溝部8と容器本体1の内外方向でほぼ同一高さ位置に設けられている。突き当てられるとき、突出当片13自体は容器本体1の内方側に後退することで外周壁12、上側壁11を共に容器本体1の内方側に撓ませることになり、そのため内周壁4、特に本体嵌合溝部8を容器本体1の内方側に押圧傾斜させるようになっている。
【0022】
また、容器本体1における外周壁部分の上部には、この外周壁の一部分を内方側に窪むようにして形成したスタック部14が、周方向に沿って適宜間隔で例えば計4個にして設けられており、容器本体1それぞれにおいて異なる位置に設けられることで、容器本体1が重ね合わせられた保管後で、使用されるときの相互を簡単容易に離反できるようにしている。
【0023】
蓋体20に形成された嵌合凹部22は、蓋体20の内方側で前記蓋板21から立脚されている蓋内周壁23、この蓋内周壁23に連続している蓋上側壁29、蓋上側壁29に連続して蓋体20の外方側で垂下されている蓋外周壁31から成る。
【0024】
蓋内周壁23は、前記蓋板21の外周縁部から立ち上がる蓋立脚部24に蓋体20の外方側に傾斜した蓋傾斜部25が形成され、この蓋傾斜部25に蓋体20の内方側に傾斜した蓋テーパー部26が連続されていて、この蓋テーパー部26には蓋体20の外方側に円弧状で窪んでいる蓋嵌合溝部27が形成されていると共に、蓋テーパー部26の上縁からの蓋傾斜部28を介し蓋上側壁29に連続している。
【0025】
また、嵌合凹部22が嵌合凸部3に嵌合されたときに、蓋立脚部24は嵌合凸部3における前記立脚部5の外側面に、蓋傾斜部25は同じく前記傾斜部6の外側面にそれぞれ当接するように形成されている。
【0026】
蓋テーパー部26は、蓋体20に対して、すなわち蓋体20の深さ方向に対して10°〜20°、好ましくは15°程度で蓋体20の内方に向かって傾斜しており、本体テーパー部7との角度差はほぼ10°程度となるようにしている。そして、嵌合凹部22が嵌合凸部3に嵌合されたときに、この蓋テーパー部26の内側面は嵌合凸部3における前記本体テーパー部7の外側面に、蓋嵌合溝部27の内側面は前記本体嵌合溝部8の外側面にそれぞれ対峙するように形成されている。また蓋嵌合溝部27は本体嵌合溝部8とほぼ相似形にして円弧状に窪ませて形成されていて、蓋嵌合溝部27の両基部は本体嵌合溝部8の両基部に当接するように設けられている。
【0027】
なお、この蓋テーパー部26において、下部位の蓋傾斜部25と上部位の蓋傾斜部28との間の全域の傾斜が10°〜20°となっている場合に限らず、蓋嵌合部27の上端から上部位の蓋傾斜部28の下端に至るまでの上部分が、前記本体テーパー部7とほぼ同一の傾斜角度として形成される場合もある。こうすることで、嵌合凸部3に嵌合凹部22が嵌合されたときの本体テーパー部7と蓋テーパー部26との密着性を良好にし、容器内外での密封性を一層向上させることができる。
【0028】
この蓋テーパー部26の上縁に連続形成した蓋傾斜部28を介して平坦状の蓋上側壁29が形成されており、この蓋上側壁29は、嵌合凸部3に嵌合凹部22が嵌合されたとき、前記上側壁11の上面に当接するようになっている。
【0029】
この蓋上側壁29における蓋体20の外方側に傾斜部分を介して前記蓋外周壁31が垂下状に連続形成されており、この蓋外周壁31の下端は蓋体20の外方側に下り傾斜している傾斜部分を介して、前記蓋板21に比しやや下方位置で蓋体20の外方に向かっている開放操作片32が折曲形成されている。
【0030】
なお、嵌合凹部22における蓋内周壁23、すなわち蓋嵌合溝部27の内側面と蓋外周壁31との内法幅員は、嵌合凸部3における内周壁4、すなわち本体嵌合溝部8の外側面と突出当片13の先端との外法幅員に比しやや小さくしており、嵌合凸部3に嵌合凹部22が嵌合されたとき、突出当片13が蓋外周壁31の内側面に突き当てられることで蓋嵌合溝部27を蓋体20の外方側に押圧するようにしている。また、この突出当片13の蓋外周壁31の内側面に対する突き当ては、内周壁4を容器本体1の内方側に押圧するようにもしている
【0031】
また、嵌合凹部22における蓋外周壁31には、この嵌合凹部22の内方側に窪むようにして形成したスタック部33が、周方向に沿って適宜間隔で例えば計4個にして設けられており、蓋体20それぞれにおいて異なる位置に設けられることで、蓋体20が重ね合わせられた保管後で、使用されるときの相互を簡単容易に離反できるようにしている。
【0032】
次にこれの使用の一例を説明すると、所定の各種の食品類Fを収容した容器本体1に蓋体20を施蓋し密封するのであり、容器本体1の周縁に設けてある嵌合凸部3に、蓋体20の周縁に設けてある嵌合凹部22を嵌合すれば良く、例えば一部分を相互に嵌合させた状態で蓋体20における蓋板21部分を上方から押し下げるようにして内包される空気を排出しながら嵌合凸部3に嵌合凹部22を嵌合することで施蓋する。
【0033】
嵌合凸部3に対する嵌合凹部22の被せ、嵌合に際し、嵌合凸部3の内周壁4の外面を嵌合凹部22の蓋内周壁23の基部部分が順次に滑るようにして当接するのであり(
図3参照)、蓋体20の外方側に傾斜している蓋テーパー部26の下端が、同じく容器本体1の外方側に傾斜している本体テーパー部7の外側面上を滑るようにして、また本体テーパー部7を容器本体1の外方側に強制的にでも撓ませながら段部2側に移動する。このとき、本体テーパー部7に比し傾斜角度が大きい蓋テーパー部26との間で、蓋体20が容器本体1の内部に閉じ込める空気を排出させもし、蓋体20の施蓋時における容器本体1内に生じる内圧を減少させ、施蓋作業を円滑に行わせる。
【0034】
また、嵌合凹部22が嵌合凸部3に嵌合されると、上側壁11に蓋上側壁29が密着状に当接する一方、嵌合凹部22における蓋外周壁31の内面に、嵌合凸部3における外周壁12に設けられている突出当片13が突き当たり、嵌合凸部3の上部分自体を容器本体1・蓋体20の内方側に撓ませると共に、嵌合凹部22の上部分自体を蓋体20の外方側に引き寄せるようになる。そのため、嵌合凸部3における本体テーパー部7が嵌合凹部22における蓋テーパー部26に密着状に当接し、蓋嵌合溝部27の内部に本体嵌合溝部8が嵌まり込むよう、本体嵌合溝部8が蓋嵌合溝部27に嵌め合わせられるものとしてある。こうすることで、本体嵌合溝部8の基部の外側面が蓋嵌合溝部27の基部の内側面に密着することで内外を一層遮断・封止して密封する。
【0035】
この密封状態は、例えば容器本体1内に収容した食品類Fを外部と遮断し、特に食品類Fから生じる汁、滲出物等の液状物を外部にも漏出させず、また外部からの塵埃、異物その他をも侵入させないようになる。
【符号の説明】
【0036】
F…食品類
1…容器本体 2…段部
3…嵌合凸部 4…内周壁
5…立脚部 6…傾斜部
7…本体テーパー部 8…本体嵌合溝部
9…傾斜部 11…上側壁
12…外周壁 13…突出当片
14…スタック部
20…蓋体 21…蓋板
22…嵌合凹部 23…蓋内周壁
24…蓋立脚部 25…蓋傾斜部
26…蓋テーパー部 27…蓋嵌合溝部
28…蓋傾斜部 29…蓋上側壁
31…蓋外周壁 32…開放操作片
33…スタック部