特許第6240712号(P6240712)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6240712半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6240712
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20171120BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20171120BHJP
   C23C 16/50 20060101ALI20171120BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20171120BHJP
   H01L 21/324 20060101ALI20171120BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   H01L21/31 C
   C23C16/455
   C23C16/50
   H05H1/46 A
   H01L21/324 P
   H01L21/318 B
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-108774(P2016-108774)
(22)【出願日】2016年5月31日
【審査請求日】2017年3月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(72)【発明者】
【氏名】竹田 剛
【審査官】 内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−125761(JP,A)
【文献】 特開2010−034532(JP,A)
【文献】 特開2001−155997(JP,A)
【文献】 特開平05−063604(JP,A)
【文献】 特開平09−134800(JP,A)
【文献】 特開2005−072347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
C23C 16/455
C23C 16/50
H01L 21/318
H01L 21/324
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する処理室と、
前記基板を支持する基板支持部と、
前記基板にバッファ室を介してガスを供給するガス供給部と、
前記バッファ室の下流に設けられ、前記バッファ室と連通し前記処理室に前記ガスを供給するガス流路が形成された突起部を有する電極と、
前記電極の下流に設けられ、前記ガス流路と隣接し前記突起部が挿入される第1孔を有する絶縁部と、
前記絶縁部の下流に設けられ、前記第1孔と隣接すると共に前記ガス流路と連通し、プラズマ生成領域を有する第2孔を複数有する分散部と、
前記電極に接続される電力供給部と、
前記プラズマ生成領域に電力を供給し、当該プラズマ生成領域に前記ガスのプラズマを生成する様に前記ガス供給部と前記電力供給部とを制御する制御部と、
を有する基板処理装置。
【請求項2】
前記分散部はアース電位に接続され、前記プラズマ生成領域は、前記第2孔の前記絶縁部側に形成される請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第1孔の径は、前記第2孔の径よりも小さくなるよう構成される請求項1又は2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記突起部下端は、前記第1孔を介して前記第2孔に挿入されるよう構成される請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記突起部の先端から前記第2孔の下端までの長さは、前記第2孔の孔径よりも長く構成される請求項1乃至4のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記突起部の側面に、前記第2孔の側壁と対向し前記ガス流路と連通する複数の孔が設けられる請求項1乃至5のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記電極と前記電力供給部との間にインピーダンスまたは電流を計測するよう構成されるセンサを有する請求項1乃至のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
基板を処理室に収容する工程と、
前記処理室内で前記基板を基板支持部で支持する工程と、
バッファ室と、当該バッファ室の下流に設けられ当該バッファ室と連通し前記処理室にガスを供給するガス流路が形成された突起部を有する電極と、前記電極の下流に設けられ前記ガス流路と隣接し前記突起部が挿入される第1孔を複数有する絶縁部と、前記絶縁部の下流に設けられ、前記ガス流路と連通し、プラズマ生成領域を有する第2孔を複数有する分散部と、を介して前記基板にガスを供給する工程と、
前記プラズマ生成領域内に電力を供給して前記ガスのプラズマを生成する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記分散部は、アース電位に接続され、
前記プラズマを生成する工程では、前記プラズマが前記第2孔の前記絶縁部側に形成されるように前記電極と前記分散部とに前記電力が供給される
請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1の孔の径は、前記第2孔の径よりも小さくなるように構成され、
前記基板にガスを供給する工程では、前記第2孔の径よりも小さい径で構成された前記第1孔にガスを供給する
請求項8または9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
基板を処理室に収容させる手順と、
前記処理室内で前記基板を基板支持部で支持させる手順と、
バッファ室と、当該バッファ室の下流に設けられ当該バッファ室と連通し前記処理室にガスを供給するガス流路が形成された突起部を有する電極と、前記電極の下流に設けられ前記ガス流路と隣接し前記突起部が挿入される第1孔を複数有する絶縁部と、前記絶縁部の下流に設けられ、前記ガス流路と連通し、プラズマ生成領域を有する第2孔を複数有する分散部と、を介して前記基板にガスを供給させる手順と、
前記プラズマ生成領域内に電力を供給して前記ガスのプラズマを生成させる手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項12】
前記分散部は、アース電位に接続され、
前記プラズマを生成する工程では、前記プラズマが前記第2孔の前記絶縁部側に形成されるように前記電極と前記分散部とに前記電力を供給させる
請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
基板を処理室に収容させる手順と、
前記処理室内で前記基板を基板支持部で支持させる手順と、
バッファ室と、当該バッファ室の下流に設けられ当該バッファ室と連通し前記処理室にガスを供給するガス流路が形成された突起部を有する電極と、前記電極の下流に設けられ前記ガス流路と隣接し前記突起部が挿入される第1孔を複数有する絶縁部と、前記絶縁部の下流に設けられ、前記ガス流路と連通し、プラズマ生成領域を有する第2孔を複数有する分散部と、を介して前記基板にガスを供給させる手順と、
前記プラズマ生成領域内に電力を供給して前記ガスのプラズマを生成させる手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラムが記録された記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
大規模集積回路(Large Scale Integrated Circuit:以下LSI)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、Flash Memoryなどに代表される半導体装置の高集積化に伴って、回路パターンや製造過程で形成される構造物の微細化が進められている。半導体装置の製造工程では、微細化を実現する処理として、プラズマを用いた処理が行われている。例えば、特許文献1に記載の技術が有る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−092533
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プラズマ処理では、プラズマ中に存在するイオンが、基板に形成される膜や、構造物に影響を与えることが有る。
【0005】
そこで本開示では、プラズマが与える影響を抑制可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様によれば、
基板を処理する処理室と、基板を支持する基板支持部と、基板にバッファ室を介してガスを供給するガス供給部と、バッファ室の下流に設けられ、バッファ室と連通するガス流路を形成する電極と、電極の下流に設けられ、ガス流路と隣接する第1の孔を有する絶縁部と、絶縁部の下流に設けられ、第1の孔と隣接すると共にガス流路と連通し、プラズマ生成領域を有する第2の孔を複数有する分散部と、電極に接続される電力供給部と、絶縁部の下流側であって、プラズマ生成領域に電力を供給し、プラズマ生成領域にガスのプラズマを生成する様にガス供給部と電力供給部とを制御する制御部と、を有する技術が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る技術によれば、プラズマが与える影響を抑制可能とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態に係る基板処理装置の概略構成図である。
図2】本開示の一実施形態に係る電極部材の概略構成図である。
図3】本開示の一実施形態に係る電極部材の概略構成図である。
図4】本開示の他の実施形態に係る基板処理装置の概略構成図である。
図5】本開示の一実施形態に係るガス供給系の概略構成図である。
図6】本開示の一実施形態に係る基板処理装置のコントローラの概略構成図である。
図7】本開示の一実施形態に係る基板処理工程を示すフロー図である。
図8】本開示の一実施形態に係る基板処理工程のシーケンス例である。
図9】本開示の一実施形態に係るプラズマ生成量のフィードバック制御のブロック線図である。
図10】本開示の他の実施形態に係る電極部材の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本開示の実施の形態について説明する。
【0010】
<一実施形態>
以下、本開示の一実施形態を図面に即して説明する。
【0011】
(1)基板処理装置の構成
まず、本開示の一実施形態に係る基板処理装置について説明する。
【0012】
本実施形態に係る処理装置100について説明する。基板処理装置100は、例えば、絶縁膜形成ユニットであり、図1に示されているように、枚葉式基板処理装置として構成されている。
【0013】
図1に示すとおり、基板処理装置100は処理容器202を備えている。処理容器202は、例えば水平断面が円形であり扁平な密閉容器として構成されている。また、処理容器202は、例えばアルミニウム(Al)やステンレス(SUS)などの金属材料または、石英により構成されている。処理容器202内には、基板としてのシリコンウエハ等のウエハ200を処理する処理空間(処理室)201、移載空間(移載室)203が形成されている。処理容器202は、上部容器202aと下部容器202bで構成される。上部容器202aと下部容器202bの間には仕切り板204が設けられる。上部処理容器202aに囲まれた空間であって、仕切り板204よりも上方の空間を処理室201と呼び、下部容器202bに囲まれた空間であって、仕切り板よりも下方の空間を移載室203と呼ぶ。
【0014】
下部容器202bの側面には、ゲートバルブ1490に隣接した基板搬入出口1480が設けられており、ウエハ200は基板搬入出口1480を介して図示しない搬送室との間を移動する。下部容器202bの底部には、リフトピン207が複数設けられている。更に、下部容器202bは接地されている。
【0015】
処理室201内には、ウエハ200を支持する基板支持部210が設けられている。基板支持部210は、ウエハ200を載置する載置面211と、載置面211を表面に持つ載置台212、加熱部としてのヒータ213を主に有する。基板載置台212には、リフトピン207が貫通する貫通孔214が、リフトピン207と対応する位置にそれぞれ設けられている。また、基板載置台212には、ウエハ200や処理室201にバイアスを印加するバイアス電極256が設けられていても良い。バイアス電極256は、バイアス調整部257に接続され、バイアス調整部257によって、バイアスが調整可能に構成される。
【0016】
基板載置台212はシャフト217によって支持される。シャフト217は、処理容器202の底部を貫通しており、更には処理容器202の外部で昇降機構218に接続されている。昇降機構218を作動させてシャフト217及び支持台212を昇降させることにより、基板載置面211上に載置されるウエハ200を昇降させることが可能となっている。なお、シャフト217下端部の周囲はベローズ219により覆われており、処理室201内は気密に保持されている。
【0017】
基板載置台212は、ウエハ200の搬送時には、図1の破線で示すウエハ移載位置まで下降し、ウエハ200の処理時には図1の示した処理位置(ウエハ処理位置)まで上昇する。
【0018】
具体的には、基板載置台212をウエハ移載位置まで下降させた時には、リフトピン207の上端部が基板載置面211の上面から突出して、リフトピン207がウエハ200を下方から支持するようになっている。また、基板載置台212をウエハ処理位置まで上昇させたときには、リフトピン207は基板載置面211の上面から埋没して、基板載置面211がウエハ200を下方から支持するようになっている。なお、リフトピン207は、ウエハ200と直接触れるため、例えば、石英やアルミナなどの材質で形成することが望ましい。
【0019】
(排気系)
処理室201(上部容器202a)の内壁側面には、処理室201の雰囲気を排気する第1排気部としての排気口221が設けられている。排気口221には排気管224が接続されており、排気管224には、処理室201内を所定の圧力に制御するAPC(Auto Pressure Controller)等の圧力調整器227と真空ポンプ223が順に直列に接続されている。主に、排気口221、排気管224、圧力調整器227により第一の排気系(排気ライン)が構成される。なお、真空ポンプ223も第一の排気系の構成としても良い。また、移載室203の内壁側面には、移載室203の雰囲気を排気する排気管1481が設けられている。排気管1481には、圧力調整器228が設けられ、移載室203内の圧力を所定の圧力に排気可能に構成されている。また、移載室203を介して処理室201内の雰囲気を排気することもできる。
【0020】
(ガス導入口)
処理室201の上部に設けられるシャワーヘッド234の上面(天井壁)には、処理室201内に各種ガスを供給するためのガス導入口241が設けられている。ガス供給部であるガス導入口241に接続される各ガス供給ユニットの構成については後述する。
【0021】
(ガス分散ユニット)
ガス分散ユニットとしてのシャワーヘッド234は、バッファ室232、第2孔234aが複数設けられた分散部としての分散板234dを有する。シャワーヘッド234は、ガス導入口241と処理室201との間に設けられている。ガス導入口241から導入される第1ガスは、シャワーヘッド234のバッファ室232(第1分散部)に供給され、第2孔234aを介して処理室201に供給される。
【0022】
なお、シャワーヘッド234のバッファ室232に設けられる電極部243は、導電性の金属で構成され、ガスを励起するための活性化部(励起部)の一部として構成される。なお、蓋231を導電性部材で構成する際には、蓋231と電極部243との間に絶縁ブロック233が設けられ、蓋231と電極部243の間を絶縁する構成となる。また、第2孔234aが形成された分散板234dは、アースに接続されている。なお、分散板234dとアースとの間には、バイアス制御部258が設けられていても良い。また、分散板234dと電極部243との間には、絶縁部244が設けられており、電極部243と分散板234dとの間を絶縁する構成となっている。励起部は、主に電極部243、絶縁部244、第2孔234aで構成される。
【0023】
励起部としての電極部243には、整合器251と高周波電源252が接続され、電磁波(高周波電力やマイクロ波)が供給可能に構成されている。これにより、第2孔234a内に供給されたガスを活性化させることができる。ここでは、電磁波が供給される様に構成したが、電極部243と分散板234dとの間に直流電力を供給してプラズマを生成する様に構成しても良い。
【0024】
図2に示す様に、電極部243、絶縁部244、第2孔234aの位置関係の態様は、例えば、(a)(b)(c)(d)が有る。図2のそれぞれは、図1に示す複数の第2孔234aの一つを拡大した図である。
【0025】
(a)は、分散板234d上に、第2孔234aの孔径D1よりも小さい孔径D2で形成されたガス流路243aが設けられた電極部243と、孔径D2で形成された第1孔244aが設けられた絶縁部244とを有する。ガス流路243aと第1孔244aとで、バッファ室232から第2孔234aにガスを供給するガス流路構造としてのガス流路247aが形成される。この様に励起部を構成することによって、第2孔234a内に、第2孔234aの内壁234eと電極部243とが対向し、ガスのプラズマが生成される、プラズマ生成領域280を構成することができる。この様に、第2孔234a一つ一つにプラズマ生成領域280が形成されるため、ウエハ200の面内全体に活性種を供給することができ、ウエハ200面内の処理均一性を向上させることができる。また、第2孔234aの内壁234eは、アース電位となっているため、第2孔234a内で生成されたイオン成分を第2孔234aの内壁234eでトラップすることができ、ウエハ200へのイオン成分の到達を抑制させることができる。また、第2孔234aの下端(ウエハ対向面)234fもアース電位となっているので、イオン成分が、第2孔234aを飛び出したとしても、ウエハ対向面234fにイオン成分を引き寄せられる。したがって、ウエハ200に到達するイオン成分の量を低減させることができる。ウエハ200に到達するイオン成分の量を低減することにより、ウエハ200への処理のステップカバレッジを向上させたり、イオンダメージを低減させたりすることができる。
【0026】
なお、ガス流路243aの孔径D2を第2孔234aの孔径D1よりも小さくすることで、ガス流路243aに供給されるガスの流速を第2孔234aまで維持することができ、第2孔234a内や処理室201内でのガスの流速を維持することができる。更に好ましくは、ガス流路243aの孔径D2は、プラズマが生成しない径で構成し、第2孔234aの孔径は、プラズマが生成される径で構成されることが好ましい。孔径は、パッシェンの法則で求められる。更に好ましくは、第2孔234aの長さは、第2孔234aの下端でプラズマが生成されない長さとする。
【0027】
(b)の構造について具体的内容を説明する。電極部243は、孔244aの孔径と同じ径で形成された突起部246を有するよう構成される。突起部246にはガスが通過するガス流路247bの一部が設けられており、(a)に比べ、ガス流路247bの表面積を増やすよう構成されている。このようにするとガスが通過する時間を増加させることができるので、活性種の生成量を増やすことができる。
【0028】
(c)は、(b)と比べて、突起部の下端が孔234aの内側に配される構造である点で異なる。以下に具体的内容を説明する。電極部243は、ガス流路247bを有し第3孔244aの孔径と同じ径で形成された突起部246aを有する構成である。図2に示すように、突起部246aの下端は、下端234fより長さH分高く位置される。長さHは、第2孔234aの孔径の長さD1よりも長くなるよう構成される。この様な構造とすることで、よりガス流路247bの表面積が大きくなるので、第2孔234a内で生成される活性種の量を増やすことができる。また、第2孔234a内で生成されたイオン成分が、孔234から飛び出す量よりもアースに接続された孔234の内壁234eでトラップされる量の方が多くなるようにすることができ、ウエハ200へのイオン成分の供給量を抑制させることができる。
【0029】
ここで、図2(b)、(c)の突起部について、図3を用いて説明する。突起部246aは、図3に示すように円柱形状で形成される。ここで、突起部246,246aの直径は、絶縁板244に形成された第2孔244aの孔径と同等に形成される。突起部246,246aをこの様に形成することで、突起部246aと孔234aの中心位置とがズレてしまうことを抑制させることができる。これにより、所定の位置にプラズマを形成することができ、ウエハ200の面内の処理均一性を向上させることができる。
【0030】
また、突起部246aの下端は、半球形状や、球形状に構成しても良い。例えば、半球形状に構成すると、角を有する形状と異なり、電界が集中することがないので、孔234a内での異常放電の発生を抑制させることができる。
【0031】
(d)は、(c)の構成に加えて、ガス流路247bから、第2孔234aの内壁234eにガスを供給する第2ガス流路248を有する構成である。この様な構成にすることによって、第2孔234aの絶縁板244側で生成される活性種が、第2孔234aの絶縁板244側で滞留する事無く、処理室201側に輸送することができ、ウエハ200の処理効率を向上させることができる。
【0032】
なお、電極部243と内壁234e、ウエハ対向面234f等、ガスと接触が供給する面には、各部を構成する材料が飛散しない様にコーティングされていても良い。コーティングは、例えば、絶縁物(酸化物)であって、具体的には、各部をアルミニウムで構成した場合は、酸化アルミニウムで構成される。
【0033】
なお、バッファ室232に、ガスガイド235が設けられていても良い。ガスガイド235は、ガス導入孔241を中心としてウエハ200の径方向に向かうにつれ径が広がる円錐形状である。ガスガイド235の下端の水平方向の径は第2孔234aが設けられる領域の端部よりも更に外周にまで延びて形成される。ガスガイド235が設けられていることによって、複数の第2孔234aそれぞれに均一にガスを供給することができ、ウエハ200の面内に供給される活性種の量を均一化させることができる。
【0034】
バッファ室232の外周側の上面には、バッファ室232の雰囲気を排気する第2排気部としてのシャワーヘッド排気口240が設けられていても良い。シャワーヘッド排気口240に第2排気管236を接続し、第2排気管236に、バルブ237が設けられる。更に、第2排気管236は、圧力調整器238、真空ポンプ239が順に直列に接続される。主に、シャワーヘッド排気口240、バルブ237、第2排気管236により、第2の排気部(排気ライン)が構成される。なお、真空ポンプ239を設けずに、排気管236を排気管224の後段に接続される様に構成しても良い。この様な第2排気部を設けてバッファ室232内を排気することで、バッファ室232内のパージ時間を短縮することができる。
【0035】
上述では、ウエハ200に供給するガスを、シャワーヘッド234を介して供給する例を示したが、これに限らず、図4に示すように、ウエハ200の側方から供給する様に構成しても良い。具体的には、処理室201の側壁にガス導入孔241を設け、ガス導入孔241にガス供給管150が接続される。この様に構成しても、第2孔234a内にプラズマを生成し、ウエハ200に活性種を供給することができる。
【0036】
(ガス供給系)
ガス導入孔241には、ガス供給管150が接続されている。ガス供給管150からは、後述の第1ガス、第2ガス、パージガスが供給される。
【0037】
図5に、第ガス供給部、第2ガス供給部、パージガス供給部の概略構成図を示す。
【0038】
図5に示す様に、ガス供給管150には、ガス供給管集合部140が接続されている。ガス供給管集合部140には、第1ガス(処理ガス)供給管113a、パージガス供給管133a、第2ガス(処理ガス)供給管123aが接続される。
【0039】
(第1ガス供給部)
第1ガス供給部には、第1ガス供給管113a、マスフロ―コントローラ(MFC)115、バルブ116が設けられている。なお、第1ガス供給管113aに接続される第1ガス供給源113を第1ガス供給部に含めて構成しても良い。また、処理ガスの原料が液体や固体の場合には、気化器180が設けられていても良い。
【0040】
(第2ガス供給部)
第2ガス供給部には、第2ガス供給管123a、MFC125、バルブ126が設けられている。なお、第2ガス供給管123aに接続される第2ガス供給源123を第2ガス供給部に含めて構成しても良い。
なお、リモートプラズマユニット(RPU)124を設けて、第2ガスを活性化させるように構成しても良い。
【0041】
(パージガス供給部)
パージガス供給部には、パージガス供給管133a、MFC135、バルブ136が設けられている。なお、パージガス供給管133aに接続されるパージガス供給源133をパージガス供給部に含めて構成しても良い。
【0042】
(制御部)
図1に示すように基板処理装置100は、基板処理装置100の各部の動作を制御するコントローラ260を有している。
【0043】
コントローラ260の概略を図6に示す。制御部(制御手段)であるコントローラ260は、CPU(Central Processing Unit)260a、RAM(Random Access Memory)260b、記憶装置260c、I/Oポート260dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM260b、記憶装置260c、I/Oポート260dは、内部バス260eを介して、CPU260aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ260には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置261や、外部記憶装置262、受信部285などが接続可能に構成されている。
【0044】
記憶装置260cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置260c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件などが記載されたプロセスレシピ、ウエハ200への処理に用いるプロセスレシピを設定するまでの過程で生じる演算データや処理データ等が読み出し可能に格納されている。なお、プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ260に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプログラムレシピや制御プログラム等を総称して、単にプログラムともいう。なお、本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プログラムレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。また、RAM260bは、CPU260aによって読み出されたプログラム、演算データ、処理データ等のデータが一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0045】
I/Oポート260dは、ゲートバルブ1490、昇降機構218、ヒータ213、圧力調整器227(238)、真空ポンプ223(239)、整合器251、高周波電源252、MFC115,125,135、バルブ116,126,136,237,228、(RPU124,気化器180、)バイアス制御部257(258)、等に接続されている。また、電流計253、インピーダンス計254等にも接続されていても良い。
【0046】
演算部としてのCPU260aは、記憶装置260cからの制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置260からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置260cからプロセスレシピを読み出すように構成されている。また、受信部285から入力された設定値と、記憶装置260cに記憶されたプロセスレシピや制御データとを比較・演算して、演算データを算出可能に構成されている。また、演算データから対応する処理データ(プロセスレシピ)の決定処理等を実行可能に構成されている。そして、CPU260aは、読み出されたプロセスレシピの内容に沿うように、ゲートバルブ1490の開閉動作、昇降機構218の昇降動作、ヒータ213への電力供給動作、圧力調整器227(238)の圧力調整動作、真空ポンプ223(239)のオンオフ制御、MFC115,125,135でのガス流量制御動作、RPU124のガスの活性化動作、バルブ116,126,136,237,228でのガスのオンオフ制御、整合器251の電力の整合動作、高周波電源252の電力制御、バイアス制御部257,258の制御動作、等を制御するように構成されている。インピーダンス計254と電流計253のいずれか又は両方からの情報に基づく、整合器251と高周波電源252の動作等を制御する様に構成されていても良い。各構成の制御を行う際は、CPU260a内の送受信部が、プロセスレシピの内容に沿った制御情報を送信/受信することで制御する。
【0047】
なお、コントローラ260は、専用のコンピュータとして構成されている場合に限らず、汎用のコンピュータとして構成されていても良い。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MOなどの光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)262を用意し、係る外部記憶装置262を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本実施形態に係るコントローラ260を構成することができる。なお、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置262を介して供給する場合に限らない。例えば、受信部285やネットワーク263(インターネットや専用回線)等の通信手段を用い、外部記憶装置262を介さずにプログラムを供給するようにしても良い。なお、記憶装置260cや外部記憶装置262は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において、記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置260c単体のみを含む場合、外部記憶装置262単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合が有る。
【0048】
(2)基板処理工程
次に、上述の基板処理装置の処理炉を用いて半導体装置(半導体デバイス)の製造工程の一工程として、基板上に絶縁膜であって、例えば窒化膜としてのシリコン窒化(SiN)膜を成膜するフローとシーケンス例について図7図8を参照して説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ260により制御される。
【0049】
なお、本明細書において、「ウエハ」という言葉を用いた場合には、「ウエハそのもの」を意味する場合や、「ウエハとその表面に形成された所定の層や膜等とその積層体(集合体)」を意味する場合(すなわち、表面に形成された所定の層や膜等を含めてウエハと称する場合)がある。また、本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)」を意味する場合や、「ウエハに形成された所定の層や膜等の表面、すなわち、積層体としてのウエハの最表面」を意味する場合がある。
【0050】
従って、本明細書において「ウエハに対して所定のガスを供給する」と記載した場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)に対して所定のガスを直接供給する」ことを意味する場合や、「ウエハに形成されている層や膜等に対して、すなわち、積層体としてのウエハの最表面に対して所定のガスを供給する」ことを意味する場合が有る。また、本明細書において「ウエハ上に所定の層(又は膜)を形成する」と記載した場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)上に所定の層(又は膜)を直接形成する」ことを意味する場合や、「ウエハに形成されている層や膜等の上、すなわち、積層体としてのウエハ最表面の上に所定の層(又は膜)を形成する」ことを意味する場合が有る。
【0051】
なお、本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も「ウエハ」という言葉を用いた場合と同様であり、その場合、上記説明において、「ウエハ」を「基板」に置き換えて考えればよい。
【0052】
以下に、基板処理工程について説明する。
【0053】
(基板搬入工程S201)
成膜処理に際しては、先ず、ウエハ200を処理室201に搬入させる。具体的には、基板支持部210を昇降機構218によって下降させ、リフトピン207が貫通孔214から基板支持部210の上面側に突出させた状態にする。また、処理室201内や移載室203を所定の圧力に調圧した後、ゲートバルブ1490を開放し、ゲートバルブ1490からリフトピン207上にウエハ200を載置させる。ウエハ200をリフトピン207上に載置させた後、ゲートバルブ1490を閉じ、昇降機構218によって基板支持部210を所定の位置まで上昇させることによって、ウエハ200が、リフトピン207から基板支持部210へ載置されるようになる。
【0054】
(減圧・昇温工程S202)
続いて、処理室201内が所定の圧力(真空度)となるように、排気管224を介して処理室201内を排気する。この際、圧力センサ(不図示)が計測した圧力値に基づき、圧力調整器227としてのAPCバルブの弁の開度をフィードバック制御する。また、温度センサ(不図示)が検出した温度値に基づき、処理室201内が所定の温度となるようにヒータ213への通電量をフィードバック制御する。具体的には、基板支持部210をヒータ213により予め加熱しておき、ウエハ200又は基板支持部210の温度変化が無くなってから一定時間置く。この間、処理室201内に残留している水分あるいは部材からの脱ガス等が有る場合は、真空排気やNガスの供給によるパージによって除去しても良い。これで成膜プロセス前の準備が完了することになる。なお、処理室201内を所定の圧力に排気する際に、一度、到達可能な真空度まで真空排気しても良い。
【0055】
このときのヒータ213の温度は、100〜600℃、好ましくは100〜500℃、より好ましくは250〜450℃の範囲内の一定の温度となるように設定する。
【0056】
また、ウエハ200の電位が所定の電位となるように、バイアス調整部257とバイアス電極256によって、調整されても良い。
【0057】
(成膜工程S301)
続いて、ウエハ200にSiN膜を成膜する例について説明する。成膜工程S301の詳細について、図7図8を用いて説明する。
【0058】
ウエハ200が基板支持部210に載置され、処理室201内の雰囲気が安定した後、S203〜S207のステップが行われる。
【0059】
(第1ガス供給工程S203)
第1ガス供給工程S203では、第1ガス供給系から処理室201内に第1ガス(処理ガス)としてのジクロロシラン(SiHCl,dichlorosilane:DCS)ガスを供給する。具体的には、第1ガス供給源113から供給されたDCSガスをMFC115で流量調整した後、基板処理装置100に供給する。流量調整されたDCSガスは、バッファ室232を通り、シャワーヘッド234のガス供給孔234aから、減圧状態の処理室201内に供給される。また、排気系による処理室201内の排気を継続し処理室201内の圧力を所定の圧力範囲(第1圧力)となるように制御する。このとき、ウエハ200に対してDCSガスが供給されることとなるDCSガスは、所定の圧力(第1圧力:例えば10Pa以上1000Pa以下)で処理室201内に供給する。このようにして、ウエハ200にDCSガスを供給する。DCSガスが供給されることにより、ウエハ200上に、シリコン含有層が形成される。ここで、シリコン含有層とは、シリコン(Si)または、シリコンと塩素(Cl)を含む層である。
【0060】
(第1パージ工程S204)
ウエハ200上にシリコン含有層が形成された後、ガス供給管150のガスバルブ116を閉じ、DCSガスの供給を停止する。第1ガスを停止することで、処理室201中に存在する第1ガスや、バッファ室232の中に存在する処理ガスを第1の排気部から排気されることにより第1パージ工程S204が行われる。
【0061】
また、パージ工程では、単にガスを排気(真空引き)してガスを排出すること以外に、不活性ガスを供給して、残留ガスを押し出すことによる排出処理を行うように構成しても良い。また、真空引きと不活性ガスの供給を組み合わせて行っても良い。また、真空引きと不活性ガスの供給を交互に行うように構成しても良い。
【0062】
なお、このとき、排気管236の、バルブ237を開き、排気管236を介して、バッファ室232内に存在するガスを排気ポンプ239から排気しても良い。
【0063】
所定の時間経過後、バルブ136を閉じて、不活性ガスの供給を停止すると共に、バルブ237を閉じてバッファ室232と真空ポンプ239の間を遮断する。なお、バルブ136を開けたまま不活性ガスの供給を継続しても良い。バッファ室232への不活性ガスの供給を継続することによって、他の工程で、他の工程のガスがバッファ室232に入り込むことを抑制せることができる。
【0064】
このときのヒータ213の温度は、ウエハ200への第1ガス供給時と同様の温度となるように設定する。各不活性ガス供給系から供給するパージガスとしてのNガスの供給流量は、それぞれ例えば100〜20000sccmの範囲内の流量とする。パージガスとしては、Nガスの他、Ar,He,Ne,Xe等の希ガスを用いても良い。
【0065】
(第2ガス供給工程S205)
パージ工程の後、バルブ126を開け、ガス導入孔241、バッファ室232、複数の孔234aを介して、処理室201内に第2ガス(処理ガス)としての、アンモニアガス(NH)を供給する。なお、第2ガスは、ウエハ200を処理する処理ガスや、第1ガス,シリコン含有層,ウエハ200と反応する反応ガスとも呼ばれる。
【0066】
このとき、NHガスの流量が所定の流量となるようにMFC125を調整する。なお、NHガスの供給流量は、例えば、100sccm以上10000sccm以下である。
【0067】
ここで、高周波電源252から、整合器251を介して電極部243に高周波電力を供給する。電極部243に高周波電力が供給されることによって、孔234a内に第2ガスのプラズマ(第2ガスの活性種)が生成される。活性化されたNHが、ウエハ200上に形成されているシリコン含有層に供給されると、シリコン含有層が改質され、シリコン元素を含有する改質層が形成される。
【0068】
なお、図8では、第2ガスの供給と同時に高周波電力の供給を開始しているが、第2ガスの供給開始前から高周波電力を供給されるように構成しても良い。また、第1ガスの供給工程S203から判定工程S207が終了するまで高周波電力の供給を継続して、第2ガスの供給の有無によってプラズマを形成する様に制御しても良い。
【0069】
なお、基板載置台212内に設けられたバイアス電極256の電位をバイアス調整部257によって調整させることによって、ウエハ200への荷電粒子の供給量を調整させることもできる。
【0070】
改質層は、例えば、処理室201内の圧力、NHガスの流量、ウエハ200の温度、高周波電源252の電力等に応じて、所定の厚さ、所定の分布、シリコン含有層に対する所定の窒素成分等の侵入深さで形成される。
【0071】
所定の時間経過後、バルブ126を閉じ、NHガスの供給を停止する。
【0072】
このときのヒータ213の温度は、ウエハ200への第1ガス供給時と同様の温度となるように設定される。
【0073】
なお、第2の処理ガスを供給する際に、RPU124を用いて、活性化したNHガスをバッファ室232に供給することによって、処理均一性を向上させても良い。
【0074】
(第2パージ工程S206)
第1パージ工程S204と同様の動作によって、第2パージ工程S206が行われる。例えば、処理室201中に存在するNHガスや、バッファ室232の中に存在するNHガスは、NHガスの供給を停止することで、第1の排気部から排気されることにより第2パージ工程S206が行われる。また、バッファ室232と処理室201にパージガスを供給することによって、パージが行われる。
【0075】
(判定工程S207)
第2パージ工程S206の終了後、コントローラ260は、上記の成膜工程S301(S203〜S206)が所定のサイクル数nが実行されたか否かを判定する。即ち、ウエハ200上に所望の厚さの膜が形成されたか否かを判定する。上述したステップS203〜S206を1サイクルとして、このサイクルを少なくとも1回以上行う(ステップS207)ことにより、ウエハ200上に所定膜厚のSiN膜を成膜することができる。なお、上述のサイクルは、複数回繰返すことが好ましい。これにより、ウエハ200上に所定膜厚のSiN膜が形成される。
【0076】
判定工程S207で、成膜工程S301が所定回数実施されていないとき(No判定のとき)は、成膜工程S301のサイクルを繰り返し、所定回数実施されたとき(Yes判定のとき)は、成膜工程S301を終了し、基板搬出工程S208を実行させる。この様にして、基板処理工程が行われる。
【0077】
ここで、発明者等は、鋭意研究を行った結果、以下の課題が生じることを見出した。
【0078】
S203〜S206の工程を複数回、繰り返した場合に、孔234aと処理室201のいずれか又は両方で生成されるプラズマが変化し、ウエハ200へ処理均一性が低下する課題を見出した。この処理均一性は、例えば、ウエハ200上の膜厚方向での均一性や、1バッチ内におけるウエハ200毎の処理均一性である。
【0079】
この課題について、鋭意研究を行った結果、以下を見出した。図1に示す、インピーダンス計254と電流計253のいずれか又は両方を用いて、プラズマ状態を監視することで、プラズマ状態によって変化するインピーダンス値のデータや電流値のデータを得ることができる。このインピーダンス値のデータや電流値のデータに基づいて、電極部243に供給される高周波の電力と周波数や、分散板234dに接続されるバイアス制御部258のバイアスを制御することによって、処理均一性が低下することを抑制できる。
【0080】
ここで、この様なフィードバック制御例の具体的内容について、図9を用いて説明する。図9は、プラズマ生成量の制御系の構成を示すブロック線図の概略である。図9の構成要素である、設定データ801、CPU260aの演算部、コントローラ260、高周波電源252、電極部243、プラズマ生成量802、インピーダンス計254(電流計253)は、制御ループを構成している。設定データ801は、記録媒体に記録され、第2ガス供給工程S205を開始するまでに読み出される。コントローラ260は、読み出された設定データ801に基づいて、高周波電源252の電力値を設定する。第2ガス供給工程S205では、プラズマの生成中にインピーダンス計254と電流計253のいずれか又は両方で、プラズマの生成量が測定される。プラズマの生成量によって、インピーダンスと電流のいずれか又は両方が変化するため、インピーダンスデータと電流データのいずれか又は両方によってプラズマ状態を計測することができる。この様なデータに基づいて、演算部260aで設定データ801との比較が行われ、所定のプラズマ生成量となる様に、コントローラ260が高周波電源252とバイアス制御部258のいずれか又は両方を制御する。この様にして、プラズマ生成量802を制御することで、処理均一性を向上させることができる。
【0081】
以上、本発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。以下に、本開示の他の形態について、図10を用いて説明する。図10は、電極部243の他の形態(e)(f)(g)を示す図である。
【0082】
(e)は、分散板234d上に、第2孔234aの孔径と連通する孔244bが設けられた絶縁部244と、絶縁部244の上に、ガスが供給されるガス流路245を形成するように電極部243が設けられた構成となる。このガス流路245から孔244bを介して、孔234aに処理ガスを供給することによって、ガス供給系から処理室201までのコンダクタンスを向上させることができ、ウエハ200へ流量を多くすることができる。また、上述の(a)のように、ガス流路243aと第3孔244aの位置を合せる必要無くなるため、シャワーヘッド243の製造容易性を向上させることができ、基板処理装置毎の処理均一性を向上させることができる。また、メンテナンスも容易となる。
【0083】
(f)は、(e)の構成と類似の構成であって、電極部243に突起部246bが設けられた点で相違する。この様な突起部246bを設けることによって、電極部243の表面積が増え、第2孔234a内で生成される活性種の量を増大させることができる。突起部246bは、例えば、円柱形状、球形状、半球形状等に形成しても良い。
【0084】
(g)は、(f)の突起部246cが、第2孔234a内に挿入された構成である。この様な突起を設けることによって、電極部243の表面積を更に増やすことができ、第2孔234a内に生成される活性種の量を増大させることができる。また、図10に示す様に、突起部246cの下端は、下端234fより長さH分高く位置される。長さHは、孔234aの孔径の長さD1よりも長くなるよう構成される。この様な構造に構成することで、第2孔234a内で生成される活性種の量を増やしつつ、第2孔234a内で生成されたイオン成分が、第2孔234aから飛び出す量よりもアースに接続された第2孔234aの内壁234eでトラップされる量の方が多くなるようにすることができ、ウエハ200へのイオン成分の供給量を抑制させることができる。
【0085】
また、上述では、第1ガスと第2ガスを交互に供給して成膜する方法について記したが、他の方法にも適用可能である。例えば、第1ガスと第2ガスの供給タイミングが重なる様な方法である。
【0086】
また、上述では、2種類のガスを供給して処理する方法について記したが、1種類のガスを用いた処理であっても良い。
【0087】
また、上述では、成膜処理について記したが、他の処理にも適用可能である。例えば、プラズマを用いた拡散処理、酸化処理、窒化処理、酸窒化処理、還元処理、酸化還元処理、エッチング処理、加熱処理などが有る。例えば、反応ガスのみを用いて、基板表面や基板に形成された膜をプラズマ酸化処理や、プラズマ窒化処理する際にも本発明を適用することができる。また、反応ガスのみを用いたプラズマアニール処理にも適用することができる。
【0088】
また、上述では、半導体装置の製造工程について記したが、実施形態に係る発明は、半導体装置の製造工程以外にも適用可能である。例えば、液晶デバイスの製造工程、太陽電池の製造工程、発光デバイスの製造工程、ガラス基板の処理工程、セラミック基板の処理工程、導電性基板の処理工程、などの基板処理が有る。
【0089】
また、上述では、原料ガスとしてシリコン含有ガス、反応ガスとして窒素含有ガスを用いて、シリコン窒化膜を形成する例を示したが、他のガスを用いた成膜にも適用可能である。例えば、酸素含有膜、窒素含有膜、炭素含有膜、ホウ素含有膜、金属含有膜とこれらの元素が複数含有した膜等が有る。なお、これらの膜としては、例えば、AlO膜、ZrO膜、HfO膜、HfAlO膜、ZrAlO膜、SiC膜、SiCN膜、SiBN膜、TiN膜、TiC膜、TiAlC膜などが有る。
【0090】
また、上述では、一つの処理室で一枚の基板を処理する装置構成を示したが、これに限らず、複数枚の基板を水平方向又は垂直方向に並べた装置であっても良い。
【符号の説明】
【0091】
200 ウエハ(基板)
201 処理室
202 処理容器
212 基板載置台
213 ヒータ
221 排気口(第1排気部)
234 シャワーヘッド
243 電極部材
253 電流計
254 インピーダンス計
258 バイアス制御部
【要約】
【課題】プラズマが与える影響を抑制可能とする
【解決手段】
基板を処理する処理室と、基板を支持する基板支持部と、基板にバッファ室を介してガスを供給するガス供給部と、バッファ室の下流に設けられ、バッファ室と連通するガス流路を形成する電極と、電極の下流に設けられ、ガス流路と隣接する第1の孔を有する絶縁部と、絶縁部の下流に設けられ、第1の孔と隣接すると共にガス流路と連通し、プラズマ生成領域を有する第2の孔を複数有する分散部と、電極に接続される電力供給部と、絶縁部の下流側であって、プラズマ生成領域に電力を供給し、プラズマ生成領域にガスのプラズマを生成する様にガス供給部と電力供給部とを制御する制御部と、を有する。

【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10