特許第6240722号(P6240722)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6240722良好なドライバビリティ性能を有する含酸素ブタノールガソリン組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6240722
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】良好なドライバビリティ性能を有する含酸素ブタノールガソリン組成物
(51)【国際特許分類】
   C10L 1/06 20060101AFI20171120BHJP
   C10L 1/02 20060101ALI20171120BHJP
   C10L 1/182 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   C10L1/06
   C10L1/02
   C10L1/182
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-144037(P2016-144037)
(22)【出願日】2016年7月22日
(62)【分割の表示】特願2013-515516(P2013-515516)の分割
【原出願日】2011年6月16日
(65)【公開番号】特開2016-222929(P2016-222929A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2016年7月22日
(31)【優先権主張番号】61/355,224
(32)【優先日】2010年6月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】310011310
【氏名又は名称】ビュータマックス・アドバンスド・バイオフューエルズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ・ジェイ・バスチャン
(72)【発明者】
【氏名】レスリー・アール・ウルフ
【審査官】 森 健一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/102608(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/100848(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/137356(WO,A1)
【文献】 特表2008−528758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10L 1/00− 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
良好な低温始動および暖機(CS&W)ドライバビリティ性能を有するブタノールガソリンブレンドであって:
量の少なくとも1つの生物源ブタノール異性体、
任意選択的にエタノール、
ガソリン、および
n−ヘキサン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、n−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、メチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン、トルエン、シス−1,3−ジメチルシクロヘキサン、p−キシレンまたはそれらの混合物である、ブタノールと共沸混合物を形成する量の少なくとも1つの炭化水素、
を含み、
ここで、ブタノールガソリンブレンドが特定のASTM D4814表1蒸気圧/蒸留クラスのガソリンに相当する蒸気圧を有し;ブタノールガソリンブレンドが、特定クラスのガソリンに関するドライバビリティ指数(DI)についての規定の最大限度よりも下の線形結合a110+a250+a390+a4EtOH+BuOH(a5−a6E200)に等しい低ブタノールドライバビリティ指数(LBDI)の値を有し、ここで、
10は、10体積パーセントのブタノールガソリンブレンドの蒸留のための温度であり;
50は、50体積パーセントのブタノールガソリンブレンドの蒸留のための温度であり;
90は、90体積パーセントのブタノールガソリンブレンドの蒸留のための温度であり;
EtOHは、ブタノールガソリンブレンド中のエタノールの体積パーセント単位の濃度であり;
BuOHは、ブタノールガソリンブレンド中の少なくとも1つの生物源ブタノール異性体の体積パーセント単位の濃度であり;
E200は、最大で200°Fまでの温度で蒸留するブタノールガソリンブレンドの体積パーセントであり;
特定クラスのガソリンに関するドライバビリティ指数(DI)についての最大限度は
、ASTM D4814の表1に規定されており;
1、a2、a3、a4、a5およびa6は、20体積パーセント未満のエタノールの濃度で、30体積パーセント未満の少なくとも1つの生物源ブタノール異性体の濃度で、そして35体積パーセント未満のエタノールおよび少なくとも1つの生物源ブタノール異性体の総濃度で、少なくとも1つのブタノール異性体および任意選択的にエタノール、を含有するブタノールガソリンブレンドについての線形結合の値と、そのようなブレンドについてのCS&Wドライバビリティ性能の試験測定からの平均補正測定全加重デメリットの対数との間に実質的に直線の関係を与えるように選択される係数であり;そして
ここで、ブタノールガソリンブレンドの全加重デメリットが40未満である;
上記ブレンド。
【請求項2】
最大で27体積パーセントまでの少なくとも1つの生物源ブタノール異性体を含む、請求項1に記載のブタノールガソリンブレンド。
【請求項3】
最大で15体積パーセントまでのエタノールを含む請求項1に記載のブタノールガソリンブレンド。
【請求項4】
エタノールおよび少なくとも1つの生物源ブタノール異性体の総濃度が30体積パーセント未満である、請求項1に記載のブタノールガソリンブレンド。
【請求項5】
少なくとも1つの生物源ブタノール異性体がイソブタノールである、請求項1に記載のブタノールガソリンブレンド。
【請求項6】
LBDIの値をDIについての前記最大限度よりも下に調整するのに十分な体積の軽質炭化水素をさらに含む、請求項1に記載のブタノールガソリンブレンド。
【請求項7】
良好な低温始動および暖機(CS&W)ドライバビリティ性能を有するブタノールガソリンブレンドであって:
特定のEN228揮発度クラスのガソリン、
少なくとも1つの生物源ブタノール異性体、
意選択的にエタノール、および
n−ヘキサン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、n−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、メチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン、トルエン、シス−1,3−ジメチルシクロヘキサン、p−キシレンまたはそれらの混合物である、ブタノールと共沸混合物を形成する量の少なくとも1つの炭化水素、のブレンドを含み、ブタノールガソリンブレンドが特定のEN228表2揮発度クラスのガソリンに相当する蒸気圧を有し;
ここで、ブタノールガソリンブレンドが、線形結合E100−BuOH(b1−b2E100)に等しいEff100値を有し、そしてEN228の表2に規定されるE100につ
いての最小限度よりも上であり、ここで、BuOHは、ブタノールガソリンブレンド中の体積パーセント単位の少なくとも1つの生物源ブタノール異性体濃度であり;E100は、最大で100℃までの温度で蒸留するブタノールガソリンブレンドの体積パーセントであり;b1およびb2は、20体積パーセント未満のエタノールの濃度で、30体積パーセント未満の少なくとも1つの生物源ブタノール異性体の濃度で、そして35体積パーセント未満のエタノールおよび少なくとも1つの生物源ブタノール異性体の総濃度で、少なくとも1つのブタノール異性体および任意選択的にエタノールを含有するブタノールガソリンブレンドについての線形結合の値と、そのようなブレンドについての平均補正測定全加重デメリットの対数との間に実質的に直線の関係を与えるように選択される係数であり;そして
ここで、ブタノールガソリンブレンドの全加重デメリットが40未満である;
上記ブレンド。
【請求項8】
1が2.3であり;b2が0.034であり、ここで少なくとも1つの生物源ブタノール異性体濃度が20体積パーセント未満である、請求項7に記載のブタノールガソリンブレンド。
【請求項9】
少なくとも1つの生物源ブタノール異性体がイソブタノールである、請求項7に記載のブタノールガソリンブレンド。
【請求項10】
硫黄の重量で百万部あたり150部未満の硫黄分を有する、請求項1または7に記載のブタノールガソリンブレンド。
【請求項11】
存在する全芳香族化学種全体で35容積パーセント未満の芳香族含量を有する、請求項1または7に記載のブタノールガソリンブレンド。
【請求項12】
ベンゼンの容積で百万部あたり8000部未満のベンゼンを有する、請求項1または7に記載のブタノールガソリンブレンド。
【請求項13】
1つまたはそれ以上の洗浄剤、酸化防止剤、安定性エンハンサー、乳化破壊剤、腐食防止剤および金属不活性化剤を含む、請求項1または7に記載のブタノールガソリンブレンド。
【請求項14】
鉱油、芳香族ナフサおよび合成油から選択される1つまたはそれ以上の溶剤を含む、請求項13に記載のブタノールガソリンブレンド。
【請求項15】
ガソリンが、従来型ガソリン、含酸素ガソリン、改質ガソリン、バイオガソリン、フィッシャー−トロプシュガソリン、またはそれらの混合物である、請求項1または7に記載のブタノールガソリンブレンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その内容が参照により本明細書に完全に援用される、2010年6月16日出願の、米国仮特許出願第61/355,224号明細書の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、燃料に、より具体的にはブタノールおよび任意選択的にエタノールを含有するガソリンなどの含酸素ガソリンに関する。本発明は、良好な低温始動および暖機ドライバビリティ性能を有する含酸素ブタノールガソリンを提供する。
【背景技術】
【0003】
ガソリンは、火花点火エンジンでの使用に好適であり、そして異なる沸点を有し、大気圧下に約79°F〜約437°Fの範囲の温度で典型的には沸騰する多数の炭化水素の混合物を主成分として一般に含有する燃料である。この範囲はおおよそであり、存在する炭化水素分子の実際の混合物、(もしあれば)存在する添加剤またはその他の成分、および環境条件に依存して変わり得る。典型的には、ガソリンの炭化水素成分は、C4〜C10炭化水素を含有する。
【0004】
ガソリンは、一定の物理的基準および性能基準を満たすことが典型的には要求される。幾つかの特性は、エンジンまたはその他の燃料燃焼装置の適切な運転のために満たすことができる。しかし、多くの物理的特性および性能特性が、環境管理などのその他の理由のために国家規制または地域規制によって定められている。物理的特性の例としては、リード蒸気圧(Reid Vapor Pressure)、硫黄分、酸素含量、芳香族炭化水素含量、ベンゼン含量、オレフィン含量、燃料の90パーセントが蒸留される温度(T90)、燃料の50パーセントが蒸留される温度(T50)およびその他を挙げることができる。性能特性としては、オクタン価、燃焼特性、および排出成分を挙げることができる。
【0005】
たとえば、米国内の大部分で販売するためのガソリンの基準は、参照により本明細書に援用されるASTM Standard Specification Number(標準規格番号)D 4814(「ASTM D 4814」)に概して示されている。追加の連邦および州規制が、このASTM標準を補うことができる。欧州内の大部分で販売するためのガソリンの基準は、参照により本明細書にまた援用される、European
Standard(欧州標準)EN228:2008に概して示されている。
【0006】
ASTM D 4814に示されているガソリン規格は、気候、季節、地理的位置および高度などの揮発度および燃焼に影響を及ぼす多数のパラメータに基づいて変わる。そのため、ASTM D 4814に準拠して製造されたガソリンは、各カテゴリーがそれぞれのクラスの要件を満たすガソリンを記載する規格のセットを有する、蒸気圧/蒸留AA、A、B、C、DおよびEならびにベーパーロック防止クラス1、2、3、4、5、および6に分けられる。これらの規格はまた、その規格におけるパラメータを測定するための試験方法を示している。
【0007】
たとえば、比較的暖かい気候において夏季運転シーズン中に使用するためにブレンドされるクラスAA−2ガソリンは、7.8psiの最大蒸気圧、158°Fのその成分の容積の10パーセントの蒸留のための最高温度(「T10」)、170°F〜250°Fのその成分の容積の50パーセントの蒸留のための温度範囲(「T50」)、374°Fの
その成分の容積の90パーセントの蒸留のための最高温度(「T90」)、437°Fの蒸留終点、2容積パーセントの蒸留残渣最大、および1250の、以下に説明されるような、最大「ドライバビリティ指数(Driveability Index)」または「DI」を持たなければならない。
【0008】
低温始動および暖機(CS&W)性能は、ガソリンモーター燃料についての重要な品質指標であり;適切に調合されたガソリン燃料は、コールドエンジン(すなわち、以前の走行からの残留熱なしのその環境と本質的に同じ温度であるエンジン)がすべての気候条件下に迅速に始動し、円滑なドライブアウェイ性能を提供することを可能にする。始動およびドライブアウェイ性能は、長いクランキング時間、エンスト、および加速の失敗またはためらいなどの障害がないものであるべきである。
【0009】
ガソリンのCS&W性能は、蒸気圧およびとりわけ蒸留特性(すなわち、燃料の沸点範囲にわたっての成分沸点の分布)を伝統的に含む燃料の揮発度特性によってコントロールされる。米国(ASTM)、欧州(EN)、およびその他の地域における製品規格は、これらの個々の特性への限度、ならびに圧倒的多数の車両と燃料が用いられる条件とにわたっての観察CS&Wドライバビリティ性能に対して指数化されている特性組み合わせ(たとえば、3つの蒸留温度の線形結合から元々なるASTMドライバビリティ指数)への限度を用いている。
【0010】
ガソリン・ブレンディングプールへのバイオ成分(中でも注目すべきは米国では10容積%でのエタノール)の導入は、許容できるCS&Wドライバビリティを確保するためにガソリン揮発度規格の改訂を早めた。具体的には米国において用いられているASTMドライバビリティ指数は、
ASTMドライバビリティ指数(DI)=1.5T10+3T50+T90+2.4EtOH (式1)
(ここで、T10、T50、およびT90は、標準ASTM D86蒸留試験において燃料の10、50および90容積パーセントの蒸留のための°F単位の観察温度であり、EtOHは、容積パーセント単位の燃料のエタノール濃度である)のようにエタノール含量についての項を含めるように修正された。エタノール項の包含は、管理されたCS&Wドライバビリティ試験における車両の観察性能について改善された指数を生み出すことが分かった。これらの規格は、各蒸気圧/蒸留クラスについてのDIの最大値をD4814の表1におよび、それ故に、各季節の揮発度クラスについてのDIの最大値をD4814表4に定めており;規格最大値よりも上のDIの燃料は、悪化したCS&W性能を有すると予期される。
【0011】
欧州の用途では、EN228ガソリン規格は、標準蒸留試験において100℃までに蒸留されなければならない燃料の最小容積パーセントE100を規定することにより良好なCS&Wドライバビリティのための中程度の揮発度を規制している。
【0012】
しかしながら、対照実験は、CS&Wドライバビリティ性能が高濃度のブタノール異性体を含有するガソリンブレンドについては問題含みであり得ることを示唆した。前記のドライバビリティ指数(式1)などの、燃料揮発度パラメータからCS&Wドライバビリティ性能を予測するための既存方法は高ブタノールブレンドについては無効であることがまた分かった。2009年4月28日出願の、Baustianの米国特許出願第12/431,217号明細書は、約200°F以下の温度で蒸留するブレンドの容積分率を少なくとも35容積パーセントに維持する工程を含む、高濃度の少なくとも1つのブタノール異性体を有するガソリンブレンドの製造方法を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ブタノール異性体はガソリンの中点近くで沸騰するので、ブタノールが燃料の蒸発特性を著しく変えることなくガソリンと比較的低い濃度でブレンドできるであろうことは一般に理解される。しかし、再生可能な燃料成分ブレンディングを最大にしながら、低温始動および暖機(CS&W)ドライバビリティを向上させる方法で様々な条件下にイソブタノールをブレンドすることは理解されない。それ故、ブタノールガソリンブレンドのCS&Wドライバビリティおよび再生可能な成分の両方を最大にするために、修正されたドライバビリティ指数と、より低いレベルの少なくとも1つの生物源ブタノール異性体、具体的には、イソブタノールをまた含有することができるガソリンブレンドの製造をもたらす方法とを開発することが非常に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一態様においては、本発明は、(a)少なくとも1つのブタノール異性体および任意選択的にエタノールをガソリンとブレンドして特定のASTM D4814蒸気圧/蒸留クラスのガソリンに相当する蒸気圧を有するブタノールガソリンブレンドを形成する工程を含む、良好な低温始動および暖機(CS&W)ドライバビリティ性能を有するブタノールガソリンブレンドの製造方法であって;ブタノールガソリンブレンドが、特定クラスのガソリンに関するドライバビリティ指数(DI)についての最大限度よりも下の線形結合a10+a50+a90+aEtOH+BuOH(a−aE200)に等しい低ブタノールドライバビリティ指数(LBDI)の値を有し(ここで:T10は、ブタノールガソリンブレンドの10容積パーセントの蒸留のための温度であり;T50は、ブタノールガソリンブレンドの50容積パーセントの蒸留のための温度であり;T90は、ブタノールガソリンブレンドの90容積パーセントの蒸留のための温度であり;EtOHは、ブタノールガソリンブレンド中のエタノールの容積パーセント単位の濃度であり;BuOHは、ブタノールガソリンブレンド中の少なくとも1つの生物源ブタノール異性体の容積パーセント単位の濃度であり;E200は、約200°F以下の温度で蒸留するブタノールガソリンブレンドの容積パーセントであり;特定クラスのガソリンに関するドライバビリティ指数(DI)についての最大限度は、ASTM D 4814−08aの表1に規定されており;a、a、a、a、aおよびaは、約20容積パーセント未満のエタノールの濃度で、約30容積パーセント未満の少なくとも1つの生物源ブタノール異性体の濃度で、ならびに約35容積パーセント未満のエタノールおよび少なくとも1つの生物源ブタノール異性体の合計濃度で、少なくとも1つのブタノール異性体および任意選択的にエタノールを含有するブタノールガソリンブレンドについての線形結合の値と、そのようなブレンドについてのCS&Wドライバビリティ性能の試験測定からの平均補正全加重デメリット(total weighted demerit)の対数との間に実質的に直線の関係を与えるように選択される係数である);そしてブタノールガソリンブレンドの全加重デメリットが約40未満である方法である。
【0015】
別の態様においては、本発明は、特定のASTM D4814蒸気圧/蒸留クラスのガソリン;少なくとも1つの生物源ブタノール異性体および任意選択的にエタノールを含み;特定のASTM D4814表1蒸気圧/蒸留クラスのガソリンに相当する蒸気圧を有する良好な低温始動および暖機(CS&W)ドライバビリティ性能を有するブタノールガソリンブレンドであって、ブタノールガソリンブレンドが、特定クラスのガソリンに関するドライバビリティ指数(DI)についての規定の最大限度よりも下の線形結合a10+a50+a90+aEtOH+BuOH(a−aE200)に等しい低ブタノールドライバビリティ指数(LBDI)の値を有し(ここで:T10は、ブタノールガソリンブレンドの10容積パーセントの蒸留のための温度であり;T50は、ブタノールガソリンブレンドの50容積パーセントの蒸留のための温度であり;T90は、ブタノールガソリンブレンドの90容積パーセントの蒸留のための温度であり;EtOHは、ブタノールガソリンブレンド中のエタノールの容積パーセント単位の濃度であり;Bu
OHは、ブタノールガソリンブレンド中の少なくとも1つの生物源ブタノール異性体の容積パーセント単位の濃度であり;E200は、約200°F以下の温度で蒸留するブタノールガソリンブレンドの容積パーセントであり;特定クラスのガソリンに関するドライバビリティ指数(DI)についての最大限度は、ASTM D 4814の表1に規定されており;a、a、a、a、aおよびaは、約20容積パーセント未満のエタノールの濃度で、約30容積パーセント未満の少なくとも1つの生物源ブタノール異性体の濃度で、ならびに約35容積パーセント未満のエタノールおよび少なくとも1つの生物源ブタノール異性体の合計濃度で、少なくとも1つのブタノール異性体および任意選択的にエタノールを含有するブタノールガソリンブレンドについての線形結合の値と、そのようなブレンドについてのCS&Wドライバビリティ性能の試験測定からの平均補正測定全加重デメリットの対数との間に実質的に直線の関係を与えるように選択される係数である);そしてブタノールガソリンブレンドの全加重デメリットが約40未満であるブレンドである。
【0016】
別の態様においては、本発明は、(a)少なくとも1つの生物源ブタノール異性体および任意選択的にエタノールをガソリンとブレンドして特定のEN228揮発度クラスのガソリンに相当する蒸気圧を有する、ブタノールガソリンブレンドを形成する工程を含む、良好な低温始動および暖機(CS&W)ドライバビリティ性能を有するブタノールガソリンブレンドの製造方法であって;ブタノールガソリンブレンドが、EN228の表2に規定されるような当該クラスのガソリンに関するE100についての最小限度よりも上の線形結合E100−BuOH(b−bE100)に等しいEff100値を有し(ここで、BuOHは、ブタノールガソリンブレンド中の少なくとも1つの生物源ブタノール異性体の容積パーセント単位の濃度であり;E100は、約100℃以下の温度で蒸留するブタノールガソリンブレンドの容積パーセントであり;bおよびbは、約20容積パーセント未満のエタノールの濃度で、約30容積パーセント未満の少なくとも1つの生物源ブタノール異性体の濃度で、ならびに約35容積パーセント未満のエタノールおよび少なくとも1つの生物源ブタノール異性体の合計濃度で、少なくとも1つのブタノール異性体および任意選択的にエタノールを含有するブタノールガソリンブレンドについての線形結合の値と、そのようなブレンドについての平均補正測定全加重デメリットの対数との間に実質的に直線の関係を与えるように選択される係数である);そしてブタノールガソリンブレンドの全加重デメリットが約40未満である方法である。
【0017】
別の態様においては、本発明は、特定のEN228揮発度クラスのガソリン、少なくとも1つの生物源ブタノール異性体、および任意選択的にエタノールのブレンドを含み、特定のEN22表2揮発度クラスのガソリンに相当する蒸気圧を有する、良好な低温始動および暖機(CS&W)ドライバビリティ性能を有するブタノールガソリンブレンドであって、ブタノールガソリンブレンドが、線形結合E100−BuOH(b−bE100)に等しいEff100値を有し、そしてEN228の表2に規定されるようなE100についての最小限度よりも上であり(ここで、BuOHは、ブタノールガソリンブレンド中の容積パーセント単位の少なくとも1つの生物源ブタノール異性体濃度であり;E100は、約100℃以下の温度で蒸留するブタノールガソリンブレンドの容積パーセントであり;bおよびbは、約20容積パーセント未満のエタノールの濃度で、約30容積パーセント未満の少なくとも1つの生物源ブタノール異性体の濃度で、ならびに約35容積パーセント未満のエタノールおよび少なくとも1つの生物源ブタノール異性体の合計濃度で、少なくとも1つのブタノール異性体および任意選択的にエタノールを含有するブタノールガソリンブレンドについての線形結合の値と、そのようなブレンドについての平均補正測定全加重デメリットの対数との間に実質的に直線の関係を与えるように選択される係数である);そしてブタノールガソリンブレンドの全加重デメリットが約40未満である
ブレンドである。
【0018】
別の態様においては、本発明は、(a)ガソリンをブタノール、および任意選択的に、エタノールとブレンドする工程と;(b)燃料変数E200、T10、T50、およびT90を測定する工程と;(c)燃料変数を式a10+a50+a90+aEtOH+BuOH(a−aE200)に代入してブタノールガソリンブレンドのLBDIを計算する工程と;(d)LBDIを特定クラスのガソリンに関するドライバビリティ指数(DI)についての最大限度と比較する工程とを含む良好な低温始動および暖機(CS&W)ドライバビリティ性能を有するブタノールガソリンブレンドの識別方法であって;LBDIがASTM D 4814の表1に規定されるクラスのガソリンに関するドライバビリティ指数(DI)についての最大限度よりも下である場合にブタノールガソリンブレンドが良好な低温始動および暖機(CS&W)ドライバビリティ性能を有し;ここで:T10は、ブタノールガソリンブレンドの10容積パーセントの蒸留のための温度であり;T50は、ブタノールガソリンブレンドの50容積パーセントの蒸留のための温度であり;T90は、ブタノールガソリンブレンドの90容積パーセントの蒸留のための温度であり;EtOHは、ブタノールガソリンブレンド中のエタノールの容積パーセント単位の濃度であり;BuOHは、ブタノールガソリンブレンド中の少なくとも1つの生物源ブタノール異性体の容積パーセント単位の濃度であり;E200は、約200°F以下の温度で蒸留するブタノールガソリンブレンドの容積パーセントであり;a、a、a、a、aおよびaは、約20容積パーセント未満のエタノールの濃度で、約30容積パーセント未満の少なくとも1つの生物源ブタノール異性体の濃度で、ならびに約35容積パーセント未満のエタノールおよび少なくとも1つの生物源ブタノール異性体の合計濃度で、少なくとも1つのブタノール異性体および任意選択的にエタノールを含有するブタノールガソリンブレンドについての線形結合の値と、そのようなブレンドについての平均補正測定全加重デメリットの対数との間に実質的に直線の関係を与えるように選択される係数である方法である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】低ブタノールガソリンドライバビリティの全加重デメリットの平均補正自然対数対ASTM DIのプロットである。
図2】低ブタノールガソリンドライバビリティの全加重デメリットの平均補正自然対数対LBDIのプロットである。
図3】低ブタノールガソリンドライバビリティの全加重デメリットの平均補正自然対数対Eff100のプロットである。
図4】それらのlog変形よりはむしろ平均補正全加重デメリットがy軸上にプロットされていることを除いて、図2にプロットされたデータの再プロットである。
図5】それらのlog変形よりはむしろ平均補正全加重デメリットがy軸上にプロットされていることを除いて、図3にプロットされたデータの再プロットである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
特に定義しない限り、本明細書で用いられるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾が生じた場合には、定義を含めて、本出願が優先される。また、文脈によって特に要求されない限り、単数用語は複数形を包含するものとし、複数用語は単数形を包含するものとする。本明細書で言及されるすべての刊行物、特許およびその他の参考文献は、あらゆる目的のためにそれらの全体を参照により援用される。
【0021】
本発明をさらに明確にするために、以下の用語および定義が本明細書で提供される。
【0022】
本明細書で用いるところでは、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「包含する(includes)」、「包含する(includi
ng)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含有する(contains)」、もしくは「含有する(containing)」、またはそれらのあらゆるその他の変形は、述べられる整数もしくは整数の群の包含を意味するが、あらゆるその他の整数もしくは整数の群の排除を意味しないと理解されるであろう。例えば、要素のリストを含む組成物、混合物、プロセス、方法、物品、もしくは装置は、それらの要素のみに必ずしも限定されず、明確にリストされないかまたはそのような組成物、混合物、プロセス、方法、物品、もしくは装置に固有であるその他の要素を包含してもよい。さらに、それとは反対を明らかに記述されない限り、「または」は、包含的な「または」を意味し、そして排他的な「または」を意味しない。例えば、条件AまたはBは、次のいずれか1つで満たされる:Aは真であり(または存在し)かつBは偽である(または存在しない)、Aは偽であり(または存在せず)かつBは真である(または存在する)、およびAおよびBの両方とも真である(または存在する)。
【0023】
本明細書で用いるところでは、用語「からなる(consists of)、または「からなる(consist of」もしくは「からなる(consisting of)」などの変形は、本明細書および特許請求の範囲の全体にわたって用いられるように、あらゆる列挙される整数もしくは整数の群の包含を示すが、追加の整数もしくは整数の群が明記される方法、構造、または組成物にまったく追加できないことを示す。
【0024】
本明細書で用いるところでは、用語「から本質的になる(consists essentially of)」、または「から本質的になる(consist essentially of)」もしくは「から本質的になる(consisting essentially of)」などの変形は、本明細書および特許請求の範囲の全体にわたって用いられるように、あらゆる列挙される整数もしくは整数の群の包含、および明記される方法、構造または組成物の基本的なまたは新規な特性を実質的に変えないあるゆる列挙される整数もしくは整数の群の任意選択の包含を示す。
【0025】
また、本発明の要素または成分に先行する不定冠詞「a」および「an」は、事例、すなわち、要素または成分の発生の数に関して非限定的であることを意図される。それ故「a」または「an」は、1つまたは少なくとも1つを包含すると読まれるべきであり、要素または成分の単数形単語形態はまた、その数が単数形であることを明らかに意味しない限り複数形をまた包含する。
【0026】
本明細書で用いるところでは用語「発明(invention)」または「本発明(present invention)」は、非限定的な用語であり、特定の発明のあらゆる単一実施形態を意味することを意図されず、本出願に記載されるようなすべての可能な実施形態を包含する。
【0027】
本明細書で用いるところでは、用いられる本発明の原料または反応剤の量を修飾する用語「約」は、例えば、現実の世界でコンセントレートまたは溶液を製造するために用いられる典型的な計測手順および液体取り扱い手順によって;これらの手順における故意ではない誤差によって;組成物を製造するためにまたは方法を実施するために用いられる原料の製造、製造業者、または純度における差などによって起こり得る数量のばらつきを意味する。用語「約」はまた、特定の初期混合物から生じる組成物についての異なる平衡状態のために異なる量を包含する。用語「約」によって修飾されようとされまいと、特許請求の範囲は、それらの量の等価物を包含する。一実施形態においては、用語「約」は、報告される数値の10%内を意味し;別の実施形態においては、報告される数値の5%内を意味する。
【0028】
本明細書で用いるところでは用語「実質的な」および「実質的に」は、10%以下、好
ましくは5%以下の偏りが許されることを意味する。
【0029】
本明細書で用いるところでは用語「アルコール」は、一連のヒドロキシル化合物のいずれかを意味し、その最も簡単なものは、飽和炭化水素から誘導され、一般式C2n+1OHを有する。アルコールの例としては、エタノールおよびブタノールが挙げられる。
【0030】
本明細書で用いるところでは用語「ブタノール」は、個々にまたはそれらのあらゆる混合物で、n−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、第三ブチルアルコールを意味する。ブタノールは、たとえば、生物源(すなわち、バイオブタノール)であってもよい。生物源は発酵生産を意味する。たとえば、その全体を参照により本明細書に援用される、米国特許第7,851,188号明細書を参照されたい。
【0031】
本明細書で用いるところでは用語「再生可能な成分」は、石油または石油製品から誘導されていない成分を意味する。
【0032】
本明細書で用いるところでは用語「燃料」は、管理された方法で機械的作用を生み出すためのエネルギーを発生させるために使用することができるあらゆる材料を意味する。燃料の例としては、バイオ燃料(すなわち、バイオマスから何らかの方法で誘導される燃料)、ガソリン、ガソリンサブブレード、ディーゼルおよびジェット燃料が挙げられるが、それらに限定されない。好適な燃料の具体的な成分および許容量は季節ガイドラインおよび地域ガイドラインに基づいて変わり得ることが理解される。
【0033】
本明細書で用いるところでは用語「燃料ブレンド」または「混合燃料」は、少なくとも燃料および1つ以上のアルコールを含有する混合物を意味する。
【0034】
本明細書で用いるところでは用語「ガソリン」は、少量の添加剤を任意選択的に含有することができる液体炭化水素の揮発性混合物を一般に意味する。この用語には、従来型ガソリン、含酸素ガソリン、改質ガソリン、バイオガソリン(すなわち、バイオマスから何らかの方法で誘導されるガソリン)、フィッシャー−トロプシュ(Fischer−Tropsch)ガソリン、ならびにそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。さらに、用語「ガソリン」には、ガソリンブレンド、ガソリンブレンド類、混合ガソリン、ガソリンブレンドストック、ガソリンブレンドストック類、およびそれらの混合物が含まれる。好適なガソリンの具体的な成分および許容量は季節ガイドラインおよび地域ガイドラインに基づいて変わり得ることが理解される。
【0035】
本明細書で用いるところでは用語「ガソリンブレンド」および「混合ガソリン」は、ガソリンおよび/またはガソリンサブグレードと1つ以上のアルコールとを少なくとも含有する混合物を意味する。ガソリンブレンドとしては、自動車エンジンにおける燃焼に好適な無鉛ガソリンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0036】
本明細書で用いるところでは用語「American Society for Testing and Materials(米国材料試験協会)」および「ASTM」は、燃料を含む、広範囲の材料、製品、システム、およびサービスについての自発的合意技術標準を策定し、公表する国際標準機構を意味する。
【0037】
本明細書で用いるところでは用語「オクタン価」は、火花点火内燃エンジンにおける自動点火に対する燃料の抵抗の測定結果をまたは管理された方法で燃焼する燃料の傾向の尺度を意味する。オクタン価は、リサーチオクタン価(RON)またはモーターオクタン価(MON)であってもよい。RONは、管理条件下に可変圧縮比の試験エンジンにおいて燃料の試験を行い、そしてそれらの結果をイソ−オクタンとn−ヘプタンとの混合物につ
いての結果と比較することによって決定される測定結果を意味する。MONは、RON試験において用いられる試験と類似の試験を用いて、しかし予熱された燃料混合物、より高いエンジン速度、および圧縮比に応じて調整される点火のタイミングを使って測定される測定結果を意味する。RONおよびMONは、それぞれ、ASTM D2699およびASTM D2700に記載されている標準試験手順によって測定される。
【0038】
本明細書で記載される燃料クラスは、ASTM D 4814およびEN228に記述されるガソリンについての規格によって定義され、気候、季節、地理的位置および高度などの揮発度および燃焼に影響を及ぼす多数のパラメータに基づいて変わる。ASTM D
4814に準拠して製造されたガソリンは、各クラスがそれぞれのクラスの要件を満たすガソリンを記載する規格のセットを有する、蒸気圧/蒸留クラスAA、A、B、C、DおよびE、ならびにベーパーロック防止クラス1、2、3、4、5、および6に分けられる。EN228に準拠して製造されたガソリンは、各クラスがそれぞれのクラスの要件を満たすガソリンを記載する規格のセットを有する、揮発度クラスA、B、C/C1、D/D1、E/E1、およびF/F1に分けられる。
【0039】
ガソリンブレンドの全加重デメリットは、Coordinating Research Council(研究調整評議会)(CRC)Cold−Start and Warm−up Driveability Procedure(低温始動および暖機ドライバビリティ手順)CRC Designation(呼称)E−28−94に従った低温始動および暖機ドライバビリティ性能の測定結果である。この手順においては、車両は、操作中に観察されるあらゆるドライバビリティ機能障害(エンスト、アイドルラフネス、逆火、ためらい、つまずき、波打ち)に重症度格付け(微量の、中くらい、重い、極端な)を与える訓練を受けた評価者による加速/減速操作のセットによって低温始動から駆動させられる。この重症度格付けは、試験条件での車両についての全加重デメリット(TWD)を計算するために用いられる。TWD値が高ければ高いほど、ガソリンブレンドのCS&Wドライバビリティ性能は不十分である。
【0040】
ガソリンは、当該技術分野において周知であり、大気圧下に約79°F〜約437°Fの範囲の温度で典型的には沸騰する、異なる沸点を有する炭化水素の混合物を主要成分として一般に含有する。この範囲はおおよそであり、存在する炭化水素分子の実際の混合物、(もしあれば)存在する添加剤またはその他の化合物、および環境条件に依存して変わることができる。含酸素ガソリンは、1つ以上のガソリンブレンドストックと1つ以上の含酸素化合物とのブレンドである。含酸素化合物は、その約99重量パーセントを占め、酸素が少なくともその約5重量パーセントを占める状態で、炭素、水素および酸素からなる化合物または化合物の混合物である。典型的な含酸素化合物は、アルコール、エーテルおよびそれらの混合物である。
【0041】
ガソリンブレンドストックは、製油所アルキル化装置からの生成物またはその他の製油所ストリームなどの、単一成分から製造することができる。しかし、ガソリンブレンドストックは、2つ以上の成分を使用してより一般的にはブレンドされる。ガソリンブレンドストックは、所望の物理的特性および性能特性を満たし、かつ、規制要件を満たすガソリンを製造するために組み合わせられ、いくつかのブレンディング成分を含んでいてもよい。たとえば、ガソリンブレンディングストックは、2〜4つのブレンディング成分を有してもよいか、または4つ超の成分などの、多数のブレンディング成分を有してもよい。
【0042】
ガソリンおよびガソリンブレンドストックは任意選択的に、その他の化学薬品または添加剤を含んでもよい。たとえば、添加剤またはその他の化学薬品は、規制要件を満たすようにガソリンの特性を調整する、望ましい特性を追加するもしくは高める、望ましくない有害影響を減らす、性能特性を調整する、またはさもなければガソリンの特性を修正する
ために添加することができる。そのような化学薬品または添加剤の例としては、洗浄剤、酸化防止剤、安定性エンハンサー、乳化破壊剤、腐食防止剤、金属不活性化剤などが挙げられる。2つ以上の添加剤または化学薬品を使用することができる。
【0043】
本明細書で用いるところでは用語「調整すること」には、沸騰特性/揮発度を修正するために成分の濃度を変えること、成分を排除すること、成分を添加すること、またはそれらのあらゆる組み合わせが含まれる。
【0044】
有用な添加剤および化学薬品は、参照により本明細書に援用される、Colucciらの米国特許第5,782,937号明細書に記載されている。そのような添加剤および化学薬品はまた、それらの両方とも本明細書に参照により援用される、Wolfの米国特許第6,083,228号明細書、およびIshidaらの米国特許第5,755,833号明細書に記載されている。ガソリンおよびガソリンブレンドストックはまた、添加剤を燃料中へ届けるために多くの場合使用される溶剤またはキャリア溶液を含有してもよい。そのような溶剤またはキャリア溶液の例としては、鉱油、アルコール、芳香族ナフサ、合成油、および当該技術分野において公知である多数のその他のものが挙げられるが、それらに限定されない。
【0045】
本発明の方法での使用に好適なガソリンブレンドストックは典型的には、火花点火エンジンでのまたはガソリンを燃焼させるその他のエンジンでの消費のためのガソリンを製造するために有用なブレンドストックである。好適なガソリンブレンドストックとしてはまた、地域要件を満たすために望ましいかもしれない低い硫黄分を有する、たとえば、約150未満、約140未満、約130未満、約120未満、約110未満、約100未満、約90未満、約80未満、約70未満、約60未満、約50未満、約40未満、または約30未満の重量で百万部当たりの部の硫黄を有するブレンドストックが挙げられる。そのような好適なガソリンブレンドストックとしてはまた、規制要件を満たすために望ましいかもしれない低い芳香族化合物含量を有する、たとえば、約8000未満、約7750未満、約7500未満、約7250未満、もしくは約7000未満の容積で百万部当たりの部のベンゼンを有する、または、たとえば、計約35未満、約34未満、約33未満、約32未満、約31未満、約30未満、約29未満、約28未満、約27未満、約26未満、もしくは約25未満の容積パーセントの存在する全芳香族化学種を有するブレンドストックが挙げられる。
【0046】
エタノールなどの含酸素化合物はまた、ガソリンブレンディングストックとブレンドすることができる。その場合には、生じたガソリンブレンドは、1つ以上のガソリンブレンディングストックと1つ以上のその他の好適な含酸素化合物とのブレンドを含む。別の実施形態においては、1つ以上のブタノール異性体を、1つ以上のガソリンブレンディングストックとおよび、任意選択的に、エタノールなどの、1つ以上の好適な含酸素化合物とブレンドすることができる。そのような実施形態においては、1つ以上のガソリンブレンドストック、1つ以上のブタノール異性体および任意選択的に1つ以上のその他の好適な含酸素化合物を、任意の順番にブレンドすることができる。さらなる例として、イソブタノール、n−ブタノール、または第三ブタノールなどの、ブタノールを、その他の好適な含酸素化合物と一緒に加えることができ、その他の好適な含酸素化合物の前に加えるまたはガソリンブレンドストックに加えられる前にその他の好適な含酸素化合物とブレンドすることができる。別の例として、1つ以上のその他の好適な含酸素化合物およびブタノールを、幾つかの異なる場所にまたは多段階で加えることができる。さらなる例として、イソブタノールなどの、ブタノールを、その他の好適な含酸素化合物と一緒に加えることができ、その他の好適な含酸素化合物の前に加えるまたはガソリンブレンドストックに加えられる前にその他の好適な含酸素化合物とブレンドすることができる。一実施形態においては、イソブタノールなどの、ブタノールは、含酸素化合物ガソリンに加えられる。別の
実施形態においては、1つ以上のその他の好適な含酸素化合物およびブタノールを同時に、ガソリンブレンドストックへブレンドすることができる。
【0047】
あらゆるそのような実施形態において、1つ以上のブタノール異性体および任意選択的に1つ以上のその他の好適な含酸素化合物は、流通網内のあるゆる地点で加えることができる。たとえば、ガソリンブレンドストックをターミナルに輸送することができ、そのときブタノールおよび任意選択的に1つ以上のその他の好適な含酸素化合物を、ターミナルで、個々にかまたは組み合わせて、ガソリンブレンドストックとブレンドすることができる。さらなる例として、1つ以上のガソリンブレンディングストック、1つ以上のブタノール異性体および任意選択的に1つ以上のその他の好適な含酸素化合物は、製油所で組み合わせることができる。その他の成分または添加剤はまた、流通網のあらゆる地点で加えることができる。さらに、本発明の方法は、製油所、ターミナル、小売店サイト、または流通網のあらゆるその他の好適な地点で実施することができる。
【0048】
本発明のある実施形態においては、ガソリンブレンドの全加重デメリットは、約40よりも下、約35よりも下、約30よりも下、約25よりも下、約20よりも下、約15よりも下、または約10よりも下である。
【0049】
さもなければ現行のASTMおよびEU揮発度規格限度を満たすように思われる多くの見込みのあるガソリン/ブタノールブレンド中へブタノールが含められるとき、低温始動および暖機(CS&W)ドライバビリティ性能は著しく悪化し得る。しかし、ブタノールがガソリン/ブタノールブレンド中に含まれるとき、CS&Wドライバビリティ性能に関連した負の悪化が本明細書に記載される方法によって回避されることが意外にもおよび予想外にも見いだされた。
【実施例】
【0050】
具体的には、ゼロ〜24容積パーセントの範囲のイソブタノール濃度の15のASTM
Aクラス燃料を、業界標準方法(たとえば、ASTM標準蒸留および蒸気圧燃料検査試験、CRC E28標準低温始動および暖機ドライバビリティ試験)を用いて揮発度特性およびCS&W性能について試験した。全15の燃料を、40°Fでの12の軽量車両のそれぞれにおいてCS&W性能について試験し、試験の1/3は、統計的検出力を得るために繰り返した。計240のCS&W評価(各車両で20)を行った。これらの試験の結果を下の表1および表2に示す。
【0051】
これらの試験は、Coordinating Research Councilによって行われる類似のプログラム(CRC Report No.638として文書化された、CRC Program CM−138−02)の後にパターン化され;このCRC
Programの目的は、揮発度/CS&Wドライバビリティへの低エタノール(10容積パーセント未満)ガソリンの組成影響を明らかにすることであった。主題CRC Programは、エタノール「オフセット」項がASTMドライバビリティ指数、DIの先行定義に追加された、上の式1がそのような低濃度のエタノールを含有するガソリンブレンドのCS&Wドライバビリティ性能を説明することを明らかにした。図1は、ガソリン中の低濃度のイソブタノールの多数のブレンドについての全加重デメリットの平均補正自然対数対それらのブレンドについてのASTM DIのプロットである。図1は、試験され、そして式1を用いて指数化された低ブタノール燃料についてのドライバビリティ結果を示す。グラフでおよび計算された適合度統計値(fit statistic)、Rからの両方で、明らかであるように、式1は、低ブタノール燃料のCS&Wドライバビリティ性能を説明できない。
【0052】
図の全加重デメリット(TWD)の平均補正自然対数は、CS&W試験のすべてについ
てのフリートデータから計算する。それらは、用いられる12の車両フリートにおける燃料の不偏平均性能を示す。すべての15の燃料および12の車両の組み合わせから、行われた試験は合計180になる。しかし、180の試験の幾つかの繰り返しであった60の追加の試験もまた行った。こうして、計240の試験を行った。この補正平均は、あたかも同じ数の試験が各燃料−車両組み合わせに関して行われたかのようにバランスしている各燃料の最小二乗平均である。これは、12の車両にわたって平均された各燃料についての不偏TWDを与える。
【0053】
以下の拡張/修正を、式1として示される慣習的ドライバビリティ指数DIを行った。下の式2aおよび2bは、低ブタノールドライバビリティ指数またはLBDIを示し、それは、ASTM DIの修正であり、温度、アルコール濃度およびE200の線形結合である。
LBDI=a10+a50+a90+aEtOH+BuOH(a−aE200) (式2a)
ここで、LBDIは修正ドライバビリティ指数であり;T10、T50、およびT90は、ブレンドの、それぞれ、10、50および90容積パーセントの蒸留のための温度であり;EtOHおよびBuOHは、ブレンド中の、それぞれ、エタノールおよびブタノールの容積パーセントであり;E200は、200°F以下の温度で蒸留するブレンドの容積パーセントであり、a、a、a、a、aおよびaは、20容積パーセント未満、19容積パーセント未満、18容積パーセント未満、17容積パーセント未満、16容積パーセント未満、15容積パーセント未満、14容積パーセント未満、13容積パーセント未満、12容積パーセント未満、11容積パーセント未満、10容積パーセント未満、9容積パーセント未満、8容積パーセント未満、7容積パーセント未満、6容積パーセント未満、または5容積パーセント未満のエタノールの濃度で、30容積パーセント未満、29容積パーセント未満、28容積パーセント未満、27容積パーセント未満、26容積パーセント未満、25容積パーセント未満、24容積パーセント未満、23容積パーセント未満、22容積パーセント未満、21容積パーセント未満、20容積パーセント未満、19容積パーセント未満、18容積パーセント未満、17容積パーセント未満、16容積パーセント未満、15容積パーセント未満、14容積パーセント未満、13容積パーセント未満、12容積パーセント未満、11容積パーセント未満、10容積パーセント未満、9容積パーセント未満、8容積パーセント未満、7容積パーセント未満、6容積パーセント未満、または5容積パーセント未満のブタノールの濃度で、ならびに35容積パーセント未満、30容積パーセント未満、25容積パーセント未満、20容積パーセント未満、15容積パーセント未満、10容積パーセント未満のエタノールおよびブタノールの合計濃度で、ブタノールおよび任意選択的にエタノールを含有するガソリンブレンドについての前記の線形結合の値と、そのようなブレンドについての平均測定全加重デメリットの対数との間に実質的に直線の関係を与えるように選択される係数である。一実施形態においては、このブレンドはエタノールを含まない。
【0054】
一実施形態においては、低ブタノールドライバビリティ指数(LBDI)は、ガソリン、少なくとも1つの生物源ブタノール異性体、および任意選択的にエタノールをブレンドしてブタノールガソリンブレンドを形成する前に測定することができる。別の実施形態においては、低ブタノールドライバビリティ指数(LBDI)は、ガソリン、少なくとも1つの生物源ブタノール異性体、および任意選択的にエタノールをブレンドしてブタノールガソリンブレンドを形成した後に測定することができる。LBDIが後で測定される場合には、ガソリン量、少なくとも1つの生物源ブタノール異性体量、エタノール、またはそれらのあらゆる組み合わせは、LBDIが、特定クラスのガソリンに関するドライバビリティ指数(DI)についての最大限度よりも下の線形結合a10+a50+a90+aEtOH+BuOH(a−aE200)に等しい値を有するように任意選択的に調整することができる。さらに別の実施形態においては、低ブタノールドライバ
ビリティ指数(LBDI)は、ブタノールガソリンブレンドを形成するためにガソリン、少なくとも1つの生物源ブタノール異性体、および任意選択的にエタノールをブレンドする間に測定することができる。LBDIがブレンドする間に測定される場合には、ガソリン量、少なくとも1つの生物源ブタノール異性体量、エタノール、またはそれらのあらゆる組み合わせは、LBDIが、特定クラスのガソリンに関するドライバビリティ指数(DI)についての最大限度よりも下の線形結合a10+a50+a90+aEtOH+BuOH(a−aE200)に等しい値を有するように任意選択的に調整することができる。もちろん、低ブタノールドライバビリティ指数(LBDI)は、1回または2回以上測定することができ、ブタノールガソリンブレンドが生成する前、生成する間、および生成した後を含むが、それらに限定されない、ブタノールガソリンブレンドをブレンドする様々な段階で測定することができる。
【0055】
エタノールの濃度が10容積パーセント未満であるとき、a、a、a、およびaは、それぞれ、1.5、3、1、および2.4に等しく、式2aは:
LBDI=1.5T10+3T50+T90+2.4EtOH+BuOH(a−aE200) (式2b)
になる。
【0056】
さらに、エタノールの濃度が10容積パーセント未満であり、そしてブタノールの濃度が20容積パーセント未満であるとき、a、a、a、a、aおよびaは、それぞれ、おおよそ1.5、3、1、2.4、16および0.3に等しく、式2aおよび2bは:
LBDI=1.5T10+3T50+T90+2.4EtOH+BuOH(16−0.3E200) (式2c)
または言い換えれば:
LBDI=DI+BuOH(16−0.3E200) (式2d)
になり、
ここで、DIは、前記のASTM DIである。式の形から分かるように、LBDIは、ブタノールが不在であるとき慣習的ASTM DIと化し、それ故にDIについて定められた同じ規格限度がLBDIに適用できる。
【0057】
欧州の用途では、EN228ガソリン規格は、標準蒸留試験において100℃までに蒸留される燃料留分である、E100について最小値を規定することによって良好なCS&Wドライバビリティのための中程度の揮発度を規制している。試験はまた、本規格および制限値E100が低ブタノールガソリンに適用できないことを示している。その結果として、本発明は、「有効なE100」を線形結合:
Eff100=E100−BuOH(b−bE100) (式3a)
と定義する。
【0058】
Eff100が、「有効なE100」と称される新規修正ドライバビリティ指数である場合;E100は、標準蒸留試験において観察されるような100℃で蒸留される燃料容積パーセントであり、BuOHは再び、容積パーセント単位の燃料ブタノール含量であり;全3つの量は容積パーセントの単位にあり;bおよびbは、20容積パーセント未満、19容積パーセント未満、18容積パーセント未満、17容積パーセント未満、16容積パーセント未満、15容積パーセント未満、14容積パーセント未満、13容積パーセント未満、12容積パーセント未満、11容積パーセント未満、10容積パーセント未満、9容積パーセント未満、8容積パーセント未満、7容積パーセント未満、6容積パーセント未満、または5容積パーセント未満のエタノールの濃度で、30容積パーセント未満、29容積パーセント未満、28容積パーセント未満、27容積パーセント未満、26容積パーセント未満、25容積パーセント未満、24容積パーセント未満、23容積パー
セント未満、22容積パーセント未満、21容積パーセント未満、20容積パーセント未満、19容積パーセント未満、18容積パーセント未満、17容積パーセント未満、16容積パーセント未満、15容積パーセント未満、14容積パーセント未満、13容積パーセント未満、12容積パーセント未満、11容積パーセント未満、10容積パーセント未満、9容積パーセント未満、8容積パーセント未満、7容積パーセント未満、6容積パーセント未満、または5容積パーセント未満のブタノールの濃度で、ならびに35容積パーセント未満、30容積パーセント未満、25容積パーセント未満、20容積パーセント未満、15容積パーセント未満、10容積パーセント未満のエタノールおよびブタノールの合計濃度で、ブタノールおよび任意選択的にエタノールを含有するガソリンブレンドについての前記線形結合の値と、そのようなブレンドについての平均測定全加重デメリットの自然対数との間に実質的に直線の関係を与えるように選択される係数である。一実施形態においては、このブレンドはエタノールを含まない。
【0059】
エタノールの濃度が5容積パーセント未満であり、そしてブタノールの濃度が20容積パーセント未満であるとき、bおよびbは、それぞれ、おおよそ2.3および0.034に等しく、式3aは:
Eff100=E100−BuOH(2.3−0.034E100) (式3b)
になる。
【0060】
再度、新規指数Eff100は、ブタノールが不在のとき慣習的形態に戻り、それ故にE100について定められた既存の制限値がEff100に適用できる。
【0061】
各場合に、この指数は、主題燃料についての蒸留試験データをこの式に代入し、そして新規指数の値を計算することで用いられる。LBDIについて、式2a〜2cから計算される、生じた値を次に、ASTM D 4814−08aの表1に規定されるような当該クラスの燃料に与えられたDIについての規格最大限度と比較する。計算されたLBDIが適切な揮発度クラスについての規定されたDI最大値よりも下である場合には、この燃料は許容できるCS&W性能を有するであろう。同様にEff100について、式3a〜3bで試験データから計算された値を、EN 228における表2に規定されたような当該クラスの燃料についての最小E100値と比較する。Eff100の計算値が適切な揮発度クラスに関するE100についての規定された最小値よりも上である場合には、この燃料は許容できるCS&W性能を有するであろう。
【0062】
式2a〜2dおよび3a〜3bは、図2および3に示されるような低ブタノール燃料についてのCS&Wドライバビリティ結果の相互関係を比較するのに式1よりも著しく有効である。図2および3は、揮発度および組成特性から低ブタノールガソリンのCS&Wドライバビリティ性能を説明することにおける、それぞれ、式2a〜2dおよび3a〜3bの有効性を明らかにする。ASTM D 4814およびEN 228からの現行規格限度が新規指数に適切であることを実証するために、図2および3のデータを、それぞれ、図4および5ではlog変形なしに再プロットする。これらのプロットはまた、試験される燃料のブタノール濃度を示すために具体的な記号が割り当てられているという点においても異なる。
【0063】
図4のデータは、24容積パーセントまでのイソ−ブタノール濃度に及び、対照ポイントとしての0容積パーセントのi−BuOH従来型燃料を含み、そしてまた許容できるから許容できないまでのドライバビリティ性能の範囲に及ぶ。1250のDI限度よりも下および上の両方の従来型燃料が含まれている。可変範囲は非常に完璧であるので、A−クラス燃料についての1250最大DIの現限度もまた、LBDIが指数として用いられるとき24容積パーセント以下のイソブタノールを含有する燃料に適切である。24容積パーセント以下のイソブタノールを含有する燃料が限度として1250LBDIを用いて調
合することができ、そして1250DIに指数化される従来型のブタノールを含まない燃料と同じ低いデメリットレベルを達成できることは容易に明らかである。同様に、1250超のLBDIのブタノール燃料は、1250超のDIの従来型のブタノールを含まない燃料とまったく同じように、より高い、許容できないレベルのデメリットを有する。
【0064】
図5から欧州型の規格および指数について同様な結論に達することができる。ブタノールを含有するおよびブタノールを含まない燃料の完璧な範囲についてのデータは再び、許容できる(46容積パーセントよりも上のE100の従来型燃料)から許容できない(46容積パーセントよりも下のE100の従来型燃料)までのドライバビリティ性能の範囲に及ぶ。図5は、イソ−ブタノール燃料が46容積パーセント以上のEff100にブレンドされるときに、ドライバビリティデメリットが46容積パーセント以上の定められた限度のE100にブレンドされた従来型のブタノールを含まない燃料とまさに同じ程度に低いことを示す。40容積パーセントまたはその程度に低いEff100の従来型燃料およびブタノール含有燃料が両方ともまた非常に低いドライバビリティデメリットを示すことが明らかであるので、これらのデータはまた、最小46容積パーセントの定められた限度が過度に限定的である可能性があることを示唆する。
【0065】
本発明によれば、図2および3はまた、ブタノール、および任意選択的にエタノールを含む新規ガソリンブレンドのTWDを計算するために用いることができる。本方法は、ガソリンをブタノールおよび任意選択的に、エタノールとブレンドする工程と;このガソリンブレンドのE200、T10、T50、およびT90値を測定する工程と;E200、T10、T50、およびT90値を式a10+a50+a90+aEtOH+BuOH(a−aE200)に代入して上の適切な式2a〜dを用いて燃料ブレンドのLBDIを計算する工程と;ガソリンブレンドについてのTWDを計算するために図2を用いて燃料ブレンドのLBDI値の相互関係を比較する工程とを含むであろう。ガソリンブレンドの計算されたTWDは、燃料の低温始動および暖機ドライバビリティ性能を予測するために用いることができる。
【0066】
図2および3にプロットしたデータを、それぞれ、表1および表2に示す。そのTWDが約20以下である燃料は許容できるドライバビリティ特性を与えると考えられる。表1のデータは、燃料3、4、6、7、9、13および18のDIが許容できるドライバビリティ特性を与えるであろうことを不正確に示唆するが、それらのLBDIはそれとは反対に、それらのドライバビリティ特性が許容できないかまたは、1つの場合に、境界線上にあるにすぎないことを示す。表2のデータは、燃料3、4、6、7、および18のE100が許容できるドライバビリティ特性を与えるであろうことを不正確に示唆するが、Eff100はそれとは反対に、それらが許容できないかまたは、1つの場合に、境界線上にあるにすぎないことを示す。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
20容積パーセント以下のエタノール濃度および34容積パーセント以下のブタノール濃度の全域についての係数a1〜a6を決定するための一般的な方法は、本明細書で上記のCRCプログラム(CRC Program CM−138−02,CRC Report No.638)によってエタノール・オフセットを決定するために用いられた方法に似ている。この方法は、CRC E28標準CS&W試験によって測定されたTWDの自然対数を相当する燃料変数に関連付ける回帰式を開発する工程を含む。標準DI式へのこの式のコラプスを達成するために、係数a1〜a4を、ASTM D 4814 DI式において使用されるものと同じものであるように選択した。追加の燃料変数E200お
よびiBuOHを、試験方法のばらつき内のデータにぴったり合う相関関係を与えるために加え、それらの値を、一般線形統計モデルを用いて最小二乗法によって計算した。具体的には、iBuOH含量は線形項として加え、E200は相互作用項(すなわちiBuOHE200)として加えた。図2は、この片対数関係についての良好な相関関係を示す。その他のブタノール異性体についての係数は、様々な濃度で対象の異性体を含有する燃料を使用してCS&W試験を行い、そして要因:DI、ブタノール異性体濃度およびE200ブタノール異性体濃度込みの一般線形統計モデルを用いて結果(すなわちTWDの自然対数)を統計的に解析することによって誘導することができる。
【0070】
同様に、式の欧州版についての係数、b、およびbは、一般線形モデルを用いてE100、ブタノール異性体濃度、およびE100ブタノール異性体濃度の関数として自然対数TWDを統計的に解析することによって推定される。図3は、この片対数相関の結果を示す。
【0071】
当業者は、ガソリンブレンドの、T20、T30、E158またはE70などの、揮発度または沸点プロフィールのその他の尺度がT10、T50、T90、E200またはE100の代わりに用いられる場合に、これは、式2(a)〜2(d)および3(a)〜3(b)の比較的小さい変形をもたらすが、本発明の特許請求される方法およびガソリンブレンドはそのような変形を包含することを容易に理解するであろう。
【0072】
表3および表4は、表1および表2の当該データについて用いられたものに類似のドライバビリティ試験からのデータを含有する。用いられた燃料は、揮発度クラスAAおよびEのものであり、ガソリンのみかガソリンとエタノール単独、イソブタノール単独またはエタノールおよびイソブタノールの両方とのブレンドかのどちらかであった。表3において、ガソリン単独またはガソリンとエタノールのみとのブレンドである燃料については、DIおよびLBDIは等しかった。ガソリンとブタノール単独かブタノールおよびエタノールの両方かのどちらかとのブレンドである燃料については、LBDIはDIよりも大きく、一般に、LBDIがD 4814DIについての規定の最大値に近づけば近づくほど、デメリットの数は大きくなる。表4において、E100およびEff100は、ガソリン単独かガソリンとエタノール単独とのブレンドである燃料については等しかった。Eff100は一般に、ガソリンとブタノール単独かブタノールおよびエタノールの両方かのどちらかとのブレンドである燃料についてはE100よりも小さかった。E100についての規定の最小値よりも下またはそれにより近いEff100は一般に、より大きい数のデメリットを有した。
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
生物源ブタノール異性体および任意選択的にエタノールとのガソリンブレンドのLBDIは、十分な容積の軽質炭化水素をブレンドに加えることによって当該クラスのガソリンについての規定の最大値よりも下に維持できる、または最大値よりも下のレベルに低下させ得ることがまた意外にもおよび予想外にも見いだされた。そのような軽質炭化水素は、コールドエンジンにおける燃料の蒸発/燃焼性を向上させるようにブレンドの沸点分布を修正するのに役立つ。そのような軽質炭化水素として用いることができる幾つかの製油所ストリームを表5にリストする。この使用の例は、ガソリンブレンド中の含酸素化合物、すなわち、ブタノール異性体およびエタノールと共沸混合物を形成するように使用される
炭化水素である。そのような共沸混合物は、ブレンドに加えられる、そして共沸混合物の成分である特定の炭化水素よりもさらに低い温度で沸騰する。こうして、共沸混合物を形成する、加えられた軽質炭化水素は、加えられた炭化水素それ自体の沸点から予期されるであろうよりも大きい、ブレンドの沸点を低下させる効果を有する。好適なそのような炭化水素ならびにエタノールおよび各ブタノール異性体とのそれらの共沸混合物の沸点を表6に示す。表6の単語「ゼオトロ−プ」は、共沸混合物がまったく形成されなかったことを示す。表6において、重量%は、共沸混合物中の炭化水素の重量パーセントである。一実施形態においては、軽質炭化水素は、5〜9個の炭素原子を含むことができ、260°F未満のT90を有する少なくとも1つの製油所ストリームか、パラフィン、シクロパラフィン、オレフィンもしくは芳香族化合物またはそれらの混合物を含む製油所ストリームかのどちらかを含むことができるか、または軽質炭化水素は、216°Fでまたはそれよりも下で沸騰する、ブタノールもしくは、エタノールが存在する場合には、エタノールと共沸混合物を形成する少なくとも1つの炭化水素化を含むことができるか、または軽質炭化水素は、それらの混合物および組み合わせを含むことができる。
【0076】
【表5】
【0077】
【表6】
【0078】
本発明は具体的な手段、材料および実施例を参照することによって本明細書に記載されてきたが、本発明の範囲はそれらに限定されず、本発明の実施に好適なすべてのその他の手段および材料にまで及ぶことは当業者によって理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5