特許第6240746号(P6240746)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6240746S1P受容体調節剤投与に対する患者の応答の同定
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6240746
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】S1P受容体調節剤投与に対する患者の応答の同定
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/397 20060101AFI20171120BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20171120BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20171120BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20171120BHJP
   C12Q 1/68 20060101ALN20171120BHJP
【FI】
   A61K31/397ZMD
   A61P25/00
   A61P37/06
   G01N33/50 P
   !C12Q1/68 A
【請求項の数】16
【全頁数】49
(21)【出願番号】特願2016-505716(P2016-505716)
(86)(22)【出願日】2013年4月19日
(65)【公表番号】特表2016-518350(P2016-518350A)
(43)【公表日】2016年6月23日
(86)【国際出願番号】EP2013058226
(87)【国際公開番号】WO2014161606
(87)【国際公開日】20141009
【審査請求日】2016年4月18日
(31)【優先権主張番号】61/808,406
(32)【優先日】2013年4月4日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/811,321
(32)【優先日】2013年4月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/813,380
(32)【優先日】2013年4月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【弁理士】
【氏名又は名称】星川 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ボレル,ヒューバート
(72)【発明者】
【氏名】ガーディン,アン
(72)【発明者】
【氏名】ジン,イー
(72)【発明者】
【氏名】リーガンニュクス,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ウーファー,マイク
【審査官】 伊藤 清子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−513378(JP,A)
【文献】 TRENDS in Pharmacological Sciences, 2005, vol.26, No.4, p.196-201
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/397
A61P 25/00
A61P 37/06
G01N 33/50
C12Q 1/68
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を含む、自己免疫疾患の処置での使用のための医薬組成物であって、
処置すべき患者がCYP2C93及び/又はCYP2C93ジェノタイプである代謝不全者ジェノタイプを有しており
−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩が、標準的な治療量未満の治療量で前記患者に投与される
うに用いられる、医薬組成物。
【請求項2】
1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を含む、自己免疫疾患の処置での使用のための医薬組成物であって、
処置すべき患者がCYP2C93及び/又はCYP2C93ジェノタイプである代謝不全者ジェノタイプを有しており、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩が、標準的な治療量で、CYP2C9代謝活性促進剤と組み合わせて前記患者に投与されるうに用いられる、医薬組成物。
【請求項3】
1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を含む、自己免疫疾患の処置での使用のための医薬組成物であって、
置すべき患者がCYP2C93及び/又はCYP2C93ジェノタイプである代謝不全者ジェノタイプを有しており、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩とともに使用しないことが推奨される薬物が、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩の最終用量が前記患者に投与された後、3〜14日の範囲内にある期間よりも長い期間内に投与されるうに用いられ
、医薬組成物。
【請求項4】
前記代謝不全者ジェノタイプが、CYP2C93及びCYP2C93ジェノタイプである、請求項1〜のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記代謝不全者ジェノタイプが、CYP2C93ジェノタイプである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
1日あたりの標準的な治療量が、1.5から2.5mgまでの範囲内にある、請求項1、2、4又は5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記1日あたりの標準的な治療量が、2mgである、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記自己免疫疾患が、多発性硬化症である、請求項1〜のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記多発性硬化症が、再発を伴う二次性進行型多発性硬化症(rSPMS)又は再発を伴わない二次性進行型多発性硬化症(SPMS)である、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を含む医薬組成物であって、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩の0.25〜0.75mgの範囲内の1日あたりの量での、CYP2C93及び/又はCYP2C93ジェノタイプである代謝不全者ジェノタイプを有する患者における自己免疫疾患の処置での使用のための、医薬組成物。
【請求項11】
前記代謝不全者ジェノタイプが、CYP2C93ジェノタイプである、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記1日あたりの量が、0.5mgの治療投与量である、請求項10又は11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記自己免疫性状態が、多発性硬化症である、請求項10〜12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記多発性硬化症が、再発を伴う多発性硬化症(rSPMS)又は再発を伴わない二次性進行型多発性硬化症(SPMS)である、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
(a)1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩、及び(b)CYP2C9代謝活性促進剤を含む、同時、別個又は連続的使用のための医薬組合せ。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれか1項による医薬組成物、又は請求項15による医薬組合せの製造における、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、S1P調節剤BAF312(1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸)の投与に対する患者の予想される応答を決定する方法に関する。より具体的には、本発明は、他の患者のBAF312の投与レジメンに変更を加えたいずれかの投与レジメンから利益を受け得る患者を同定し選択すること、又はBAF312による処置に対する適合性がより低い可能性のある患者を同定することに関する。さらに、本発明は、BAF312と併用禁忌であると考えられる薬物の投与が、BAF312による処置期間の終了に続いて、いつ開始し得るかを決定する方法に関する。
【0002】
背景
BAF312は、S1P受容体調節剤のクラスに属する。これらは、S1P1〜S1P8などの1つ又は複数のスフィンゴシン一リン酸受容体におけるアゴニストとしてシグナル伝達を行う化合物である。S1P受容体へのアゴニストの結合は、例えば、細胞内ヘテロ三量体Gタンパク質のGα−GTP及びGβγ−GTPへの解離、並びに/又はアゴニストにより占有された受容体のリン酸化の増大、及び/又は下流のシグナル伝達経路/キナーゼの活性化をもたらし得る。
【0003】
S1P受容体の調節剤又はアゴニストは、哺乳動物、とりわけヒトにおける多様な状態の処置のための有用な治療用化合物である。例えば、移植拒絶の予防におけるS1P受容体の調節剤又はアゴニストの有効性は、ラット(皮膚、心臓、肝臓、小腸)、イヌ(腎臓)及びサル(腎臓)モデルにおいて実証されている。さらに、それらの免疫調節能力により、S1P受容体の調節剤又はアゴニストは、炎症性及び自己免疫性疾患の処置のためにも有用である。
【0004】
BAF312は、一般に、ヒト患者において十分な耐容性を示すが、他のいくつかのS1P受容体調節剤のように初回投与時に陰性変時作用を生じ、その程度は用量増加とともに増大する。BAF312の場合、陰性変時作用は、WO2010/072703に記載の用量漸増レジメンの使用によって緩和されることができる。
【0005】
しかしながら、(陰性変時作用などの副作用又は休薬期間の持続時間を含む)所与の用量のBAF312の効果は、例えば、患者がBAF312をどの程度代謝するかに依存して、一部の患者において他の患者とは異なる可能性がある。したがって、これらの患者に関するリスク・ベネフィット比を改善するためには、これらの効果が顕著に異なるであろう患者を同定し、それに応じて処置レジメンを調整できることが望ましい。
【0006】
発明の簡潔な開示
本発明の第1の態様において、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸の適切な治療量を評価して、それを必要とする患者に投与する方法であって、
(i)該患者が代謝不全者ジェノタイプを有するか否かを試験するステップ;及び
(ii)該患者が代謝不全者ジェノタイプを有さない場合、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、標準的な治療量で該患者に投与するステップ;又は
(iii)該患者が代謝不全者ジェノタイプを有する場合、
(a)1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、標準的な治療量未満の治療量で該患者に投与するステップ;若しくは
(b)1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸を該患者に投与しないステップ
を含む、方法が提供される。
【0007】
本発明の第2の態様において、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩とともに使用しないことが推奨される薬物の使用を開始する方法であって、
(i)患者が代謝不全者ジェノタイプを有するか否かを試験するステップ;及び
(ii)該患者が代謝不全者ジェノタイプを有さない場合、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸の最終用量が該患者に投与された後、設定期間内に薬物の使用を開始するステップ;又は
(iii)該患者が代謝不全者ジェノタイプを有する場合、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸の最終用量が該患者に投与された後、上記のステップ(ii)の設定期間よりも長い期間内に薬物の使用を開始するステップ
を含む、方法が提供される。
【0008】
本発明の第3の態様において、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩によって、必要とする患者を処置する方法であって、
(i)該患者が代謝不全者ジェノタイプを有するか否かを試験するステップ;及び
(ii)該患者が代謝不全者ジェノタイプを有さない場合、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、標準的な治療量で該患者に投与するステップ;又は
(iii)該患者が代謝不全者ジェノタイプを有する場合、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、標準的な治療量で、CYP2C9代謝活性促進剤と組み合わせて該患者に投与するステップ
を含む、方法が提供される。
【0009】
本発明の第4の態様において、それを必要とする患者における自己免疫性状態の処置方法であって、前記患者が代謝不全者ジェノタイプを有し、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、0.25〜0.75mgの範囲内の1日あたりの量で該患者に投与するステップを含む、方法が提供される。
【0010】
本発明の第5の態様において、自己免疫性状態に罹っている患者を処置する方法における使用のための1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩であって、前記患者が代謝不全者ジェノタイプを有し、前記方法が、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、0.25〜0.75mgの範囲内の1日あたりの量で該患者に投与するステップを含む、前記カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩が提供される。
【0011】
本発明の第6の態様において、自己免疫性状態に罹っている患者を処置する方法における使用のための1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩であって、前記方法が、
(i)該患者が代謝不全者ジェノタイプを有するか否かを試験するステップ;及び
(ii)該患者が代謝不全者ジェノタイプを有さない場合、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、標準的な治療量で該患者に投与するステップ;又は
(iii)該患者が代謝不全者ジェノタイプを有する場合、
(a)1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、標準的な治療量未満の治療量で該患者に投与するステップ;若しくは
(b)1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸を該患者に投与しないステップ
を含む、前記カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩が提供される。
【0012】
本発明の第7の態様において、必要とする患者を処置する方法における使用のための1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩であって、前記方法が、
(i)該患者が代謝不全者ジェノタイプを有するか否かを試験するステップ;及び
(ii)該患者が代謝不全者ジェノタイプを有さない場合、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、標準的な治療量で該患者に投与するステップ;又は
(iii)該患者が代謝不全者ジェノタイプを有する場合、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、標準的な治療量で、CYP2C9代謝活性促進剤と組み合わせて該患者に投与するステップ
を含む、前記カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩が提供される。
【0013】
本発明の第8の態様において、(a)1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩、及び(b)CYP2C9代謝活性促進剤を含む、同時、別個又は連続的使用のための組合せ医薬が提供される。
【0014】
本発明の第9の態様において、必要とする患者への1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩の1日投与量を最適化する方法であって、
(i)1日あたりの治療投与量での1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩の投与後に、該患者の血液リンパ球レベルを測定するステップ;及び
(ii)治療投与量での1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩の毎日の投与後に、血液リンパ球レベルが臨床的に最適であると考えられるレベル未満に低下する場合、1日投与量を低減投与量に減らすステップ
を含む、方法が提供される。
【0015】
本発明の第10の態様において、必要とする患者を処置する方法における使用のための1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩であって、前記方法が、
(i)1日あたりの治療投与量での1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩の投与後に、該患者の血液リンパ球レベルを測定するステップ;及び
(ii)血液リンパ球レベルが、治療投与量での1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩の毎日の投与後に、臨床的に最適であると考えられるレベル未満である場合、1日投与量を低減投与量に減らすステップ
を含む、前記カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩が提供される。
【0016】
本発明の第11の態様において、必要とする患者を、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩によって処置する方法であって、
(i)該患者が代謝不全者ジェノタイプを有するか否かを試験するステップ;及び
(ii)該患者が代謝不全者ジェノタイプを有さない場合、医師による一定レベルの患者モニタリングとともに、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、標準的な治療量で該患者に投与するステップ;又は
(iii)該患者が代謝不全者ジェノタイプを有する場合、医師による増大したレベルの患者モニタリングとともに、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、標準的な治療量で該患者に投与するステップ
を含む、方法が提供される。
【0017】
本発明の第12の態様において、自己免疫性状態を処置する方法における使用のための1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩であって、前記方法が、
(i)患者が代謝不全者ジェノタイプを有するか否かを試験するステップ;及び
(ii)該患者が代謝不全者ジェノタイプを有さない場合、医師による患者モニタリングを伴わずに又は医師による低レベルの患者モニタリングとともに、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、標準的な治療量で該患者に投与するステップ;又は
(iii)該患者が代謝不全者ジェノタイプを有する場合、医師による増大したレベルの患者モニタリングとともに、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、標準的な治療量で該患者に投与するステップ
を含む、前記カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩が提供される。
【0018】
本発明の第13の態様において、第1から第12までの態様のいずれかに記載の方法による自己免疫疾患の処置のための医薬品の製造における、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩が提供される。
【0019】
さらなる態様及び実施態様は、本発明の詳細な開示において提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1-1】[14C]BAF312の時間依存性の生体内変化を示す。1及び10μMの[14C]BAF312の生体内変化の反応速度論が、ヒト肝臓ミクロソーム(0.3mgタンパク質/mL)を用いて調査された。[14C]BAF312の消失が、放射能検出と組み合わせたHPLC分析によって決定された。
図1-2】[14C]BAF312のタンパク質依存性の生体内変化を示す。10μMの[14C]BAF312代謝のタンパク質依存性が、ヒト肝臓ミクロソームを用いて調査された(60分のインキュベーション)。[14C]BAF312の消失が、放射能検出と組み合わせたHPLC分析によって決定された。
図1-3】ヒト肝臓ミクロソームにおける[14C]BAF312の生体内変化の酵素反応速度論を示す。90分間のインキュベーション後のプールされたヒト肝臓ミクロソーム(0.1mg/mL)における[14C]BAF312生体内変化の濃度依存性の反応速度論が、基質阻害モデルに適合させたミカエリス・メンテンプロット(上部)として及びイーディー・ホフステープロット(下部)としてプロットされた。
【表1】
図1-4】組換えヒトCYP P450による[14C]BAF312の生体内変化を示す。単一のヒトシトクロームP450イソ酵素を発現する昆虫細胞膜中での組換え酵素(30pmol/mL)による及びHLM(108pmolのCYP/mL)による、[14C]BAF312の生体内変化が、10及び40μMにおいて30分のインキュベーション後に調査された。代謝物の生成は、放射能検出と組み合わせたHPLC分析により決定された。
図1-5】rhCYP2C9による[14C]BAF312代謝の酵素反応速度論を示す。rhCYP2C9(50pmol/mL)中での[14C]BAF312の生体内変化(総代謝物)の濃度依存性の反応速度論が、60分のインキュベーション後に、基質濃度5〜300μMを用いて、基質阻害モデルに適合させたミカエリス・メンテンプロット(上部)として及びイーディー・ホフステープロット(V対V/S、下部)としてプロットされた。
【表2】
図1-6】rhCYP3A4による[14C]BAF312代謝の酵素反応速度論を示す。rhCYP3A4(50pmol/mL)中での[14C]BAF312の生体内変化(総代謝物)の濃度依存性の反応速度論が、30分のインキュベーション後に、基質濃度5〜250μMを用いて、ミカエリス・メンテンプロット(上部)として及びイーディー・ホフステープロット(V対V/S、下部)としてプロットされた。
【表3】
図1-7】化学阻害剤による、HLMにおけるBAF312代謝の阻害を示す。ヒト肝臓ミクロソーム(0.1mg/mL)による[14C]BAF312(5μmol/L)の生体内変化が、異なる阻害剤の存在下及び非存在下で調査された。90分後のインキュベーションの上清が、放射能検出とともにHPLCによって分析された。
図1-8】3つの異なるCYP2C9ジェノタイプを有する個々のドナー由来のHLMにおける[14C]BAF312代謝速度の比較を示す。
【0021】
発明の詳細な開示
誤解を避けるために、本明細書中で、「背景技術」の見出しのもとに先に開示された情報は、本発明に関連し、本発明の開示の一部として読み取られなければならないことをここに述べる。
【0022】
本明細書の説明及び請求項の全体を通して、用語「含む」及び「含有する」並びにそれらの変形は、「を含むが、限定されない」ことを意味し、それらは、他の部分、付加物、構成要素、整数又はステップを除外することを意図しない(及び除外しない)。
【0023】
本明細書の説明及び請求項の全体を通して、文脈上他に要求されない限り、単数の語は複数の語を包含する。特に、不定冠詞が使用される場合、文脈上他に要求されない限り、(説明及び請求項の両方を包含する用語である)明細書は、複数並びに単数を考慮すると理解されるべきである。
【0024】
本発明の特別な態様、実施態様又は例との関連で記載される特徴、整数、特性、化合物、化学的部分又は基は、それらと矛盾しない限り、本明細書に記載される任意の他の態様、実施態様又は例に当てはまると理解されなければならない。本明細書中に開示される(任意の付随する請求項、要約及び図面を含む)特徴のすべては及び/又は同様に開示される任意の方法又はプロセスのステップのすべては、そのような特徴及び/又はステップの少なくともいくつかが相互に排他的である組合せを除き、任意の組合せで組み合せられ得る。本発明は、いかなる上述の実施態様の詳細にも限定されない。本発明は、(任意の付随する請求項、要約及び図面を含む)本明細書に開示された特徴の任意の新規な一つ若しくは任意の新規組合せ、又はそのように開示された任意の方法若しくはプロセスのステップの任意の新規な1つ若しくは任意の新規組合せに及ぶ。
【0025】
図1−4は、組換えヒトCYP P450による[14C]BAF312の生体内変化を示す。
【0026】
図1−5は、rhCYP2C9による[14C]BAF312代謝の酵素反応速度論を示す。
【0027】
図1−6は、rhCYP3A4による[14C]BAF312代謝の酵素反応速度論を示す。
【0028】
図1−7は、化学阻害剤による、HLMにおけるBAF312代謝の阻害を示す。
【0029】
図1−8は、3つの異なるCYP2C9ジェノタイプを有する個々のドナー由来のHLMにおける[14C]BAF312代謝速度の比較を示す。
【0030】
発明の詳細な開示
誤解を避けるために、本明細書中で、「背景技術」の見出しのもとに先に開示された情報は、本発明に関連し、本発明の開示の一部として読み取られなければならないことをここに述べる。
【0031】
本明細書の説明及び請求項の全体を通して、用語「含む」及び「含有する」並びにそれらの変形は、「を含むが、限定されない」ことを意味し、それらは、他の部分、付加物、構成要素、整数又はステップを除外することを意図しない(及び除外しない)。
【0032】
本明細書の説明及び請求項の全体を通して、文脈上他に要求されない限り、単数の語は複数の語を包含する。特に、不定冠詞が使用される場合、文脈上他に要求されない限り、(説明及び請求項の両方を包含する用語である)明細書は、複数並びに単数を考慮すると理解されるべきである。
【0033】
本発明の特別な態様、実施態様又は例との関連で記載される特徴、整数、特性、化合物、化学的部分又は基は、それらと矛盾しない限り、本明細書に記載される任意の他の態様、実施態様又は例に当てはまると理解されなければならない。本明細書中に開示される(任意の付随する請求項、要約及び図面を含む)特徴のすべては及び/又は同様に開示される任意の方法又はプロセスのステップのすべては、そのような特徴及び/又はステップの少なくともいくつかが相互に排他的である組合せを除き、任意の組合せで組み合せられ得る。本発明は、いかなる上述の実施態様の詳細にも限定されない。本発明は、(任意の付随する請求項、要約及び図面を含む)本明細書に開示された特徴の任意の新規な一つ若しくは任意の新規組合せ、又はそのように開示された任意の方法若しくはプロセスのステップの任意の新規な1つ若しくは任意の新規組合せに及ぶ。
【0034】
用語「処置」は:(1)病態、障害又は状態に苦しめられるか又は罹患し得るが、未だに該病態、障害又は状態の臨床的又は準臨床的症状を経験又は提示しない動物、特に哺乳動物、とりわけヒトにおいて発症する、該病態、障害又は状態の臨床的症状の出現を予防又は遅延させること;(2)病態、障害又は状態を抑制すること(例えば、疾患の発症又は維持療法の場合にはその再発、少なくとも1つのその臨床的又は準臨床的症状の発症を、阻止し、低減し又は遅延させることなどの);及び/又は(3)状態を軽減すること(すなわち、該病態、障害若しくは状態又は少なくとも1つのその臨床的若しくは準臨床的症状の退行をもたらすこと)を含む。処置される患者への利益は、統計学的に有意であるか又は少なくとも患者若しくは医師に知覚できる。しかしながら、疾患を処置するために患者に医薬品が投与される場合、アウトカムは常に有効な処置ではない可能性がある。
【0035】
一般に、用語「プロドラッグ」は、後に好ましくはヒト体内で活性な薬剤に変換される、不活性又は完全未満の活性を有する化学的誘導体として投与される化合物を指す。プロドラッグは、その可逆的誘導体に変形された官能基を有する薬物を含む。典型的に、そのようなプロドラッグは、加水分解によって活性薬物に変形される。例えば、カルボン酸の可逆的誘導体は、アルキル及びアシルオキシアルキルエステルなどを含むエステル又はアミドであることができる。アミンの可逆的誘導体は、アミド、カルバメート、イミン又はエナミンであることができる。いくつかの場合において、プロドラッグは、塩形態であることもできる。プロドラッグは、酸化又は還元反応によって活性薬物に変換可能な化合物も含む。例は、N−及びO−脱アルキル化、酸化的脱アミノ化、N−酸化、エポキシ化、アゾ還元、スルホキシド還元、ジスルフィド還元、生体内還元性アルキル化及びニトロ還元を含む。
【0036】
本明細書中で使用される「BAF312」は、式(I)の化合物並びに医薬として許容可能なその塩、溶媒和物、水和物及び/又はプロドラッグを含むと理解される。
【0037】
用語「治療投与量」は、処置又は予防されるべき疾患の処置又は予防のために患者に投与される薬物の1日の維持量を意味する。この投与量は、有効性対安全性の最適バランスを与えるために選択され得る。
【0038】
治療投与量は、処置期間の開始時又は投与量が治療投与量未満のレベルから治療投与量まで増大される漸増レジメンの後に投与され得る。
【0039】
用語「代謝不全者ジェノタイプ」は、BAF312の2mg1日1回などの所与の薬物用量において、BAF312投与後に、正常患者よりも顕著に高い曝露を経験する患者を含む。代謝不全者ジェノタイプは、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸の代謝不全に関連するCYP2C9ジェノタイプのサブタイプ(複数可)を含み得る。代謝不全者ジェノタイプは、CYP2C93及びCYP2C93ジェノタイプ、例えば、CYP2C93ジェノタイプを含む。
【0040】
好ましい実施態様において、代謝不全者ジェノタイプは、CYP2C93ジェノタイプである。
【0041】
用語「標準的な治療投与量」は、代謝不全者ジェノタイプを有さない患者のための1日あたりの治療投与量を意味する。標準的な治療量は、0.2mg以上、例えば、0.4mg以上、1.0mg以上又は1.5mg以上であることができる。標準的な治療量は、0.8mg以下、例えば、5mg以下、4mg以下又は2.5mg以下であることができる。
【0042】
好ましい実施態様において、標準的な治療量は、1.5から2.5mgまでの範囲内、例えば、1日あたり約2mgである。
【0043】
代謝不全者ジェノタイプを有する患者の場合、1日あたりの治療投与量は、標準的な治療投与量よりも低い可能性がある。例えば、このクラスの患者のための治療投与量は、0.25mg以上又は0.4mg以上などの、0.1mg以上であることができる。治療投与量は、0.9mg以下又は0.75mg以下などの、1mg以下であることができる。
【0044】
好ましい実施態様において、代謝不全者ジェノタイプを有する患者の場合、1日あたりの治療投与量は、0.25〜0.75mgの範囲内、例えば、0.25mg、0.5mg又は0.75mg、好ましくは、0.5mgであることができる。
【0045】
本明細書中で使用されるとおり、ミリグラムで測定されるBAF312の「量」、「用量」又は「投与量」は、製剤の形態にかかわらず、製剤中に存在するBAF312(遊離型)のミリグラムを指す。「2mgの用量のBAF312」は、製剤の形態にかかわらず、製剤中のBAF312(遊離型)の量が2mgであることを意味する。したがってBAF312ヘミフマル酸塩などの塩の形態にある場合、2mgの用量のBAF312を提供するために必要な塩形態の重量は、追加のヘミフマル酸イオンの存在によって、2mg超となる。
【0046】
BAF312による処置を必要とする患者は、自己免疫疾患、例えば、多発性硬化症、多発性筋炎、皮膚筋炎、ループス腎炎、リューマチ関節炎、炎症性腸疾患又は乾癬などの慢性の長期疾患に罹っている患者を含む。本発明のある実施態様において、処置を必要とする患者は、多発性硬化症、例えば、再発多発性硬化症(RMS)、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)、一次性進行型多発性硬化症(PPMS)、再発を伴う二次性進行型多発性硬化症(rSPMS)、再発を伴わない二次性進行型多発性硬化症(SPMS)に罹っている患者、例えば、rSPMS又はSPMSに罹っている患者である。
【0047】
好ましい実施態様において、患者は、多発性硬化症、多発性筋炎又は皮膚筋炎に罹っている。
【0048】
好ましい実施態様において、患者は、多発性硬化症、例えば、再発を伴う二次性進行型多発性硬化症(rSPMS)又は再発を伴わない二次性進行型多発性硬化症(SPMS)に罹っている。
【0049】
患者が代謝不全者タイプであると同定される態様において、該患者がハイリスクカテゴリーに属すると考えられる場合、該患者は、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸を投与されてはならない。例えば、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸は、心臓の副作用のリスクがある代謝不全患者、例えば、心不全、不整脈のリスクがある患者、高度の房室ブロック若しくは洞結節不全症候群を有する患者、失神症状歴を有する患者、又はβブロッカーを必要とするか若しくは使用中の患者、又はクラスIa(キニジン、プロカインアミドなど)若しくはクラスIII(アミオダロン、ソタロールなど)抗不整脈薬による処置を受けている患者などの、抗不整脈処置を必要とするか又は受けている患者に投与されてはならない。
【0050】
本発明の第2の態様において、代謝不全者でない患者が併用禁忌薬物の使用をその中で開始し得るステップ(ii)の設定期間は、BAF312と該薬物の併用禁忌の程度に依存する。ステップ(ii)の期間は、BAF312の最終用量の投与後の3又は4日以上、例えば、5日以上、例えば、6日又は7日以上であることができる。ステップ(ii)の設定期間は、10日超、例えば、12日超又は14日超であることもできる。
【0051】
ステップ(ii)の設定期間は、21日未満、例えば、14日未満、又は10、8若しくは7日未満であることもできる。
【0052】
ある態様において、ステップ(ii)の設定期間は、3〜14日の範囲内、例えば、4〜12日又は5〜10日、例えば、6、7若しくは8日であることができる。
【0053】
第2の態様においてあげたとおり、ステップ(iii)において、代謝不全者である患者は、代謝不全者でない患者よりも長い期間内に、併用禁忌薬物の使用を開始することができる。例えば、ステップ(iii)の期間は、BAF312の最終用量の投与後、14日以上、例えば、21日以上、例えば、28日、35日又は42日以上であることができる。
【0054】
ステップ(iii)の設定期間は、56日未満、例えば、49日又は42日未満であることもできる。
【0055】
ある態様において、ステップ(iii)の設定期間は、14〜63日、例えば、14〜56日又は21〜49日又は28〜42日の範囲内であることができる。
【0056】
第2の態様又は任意の関連する態様において、併用禁忌薬物は、BAF312と一緒の投与に推奨されないと分類され得る任意の薬物、例えば、BAF312とともに投与された場合に、患者における有害作用のリスクを増大させるか又はBAF312若しくは該併用禁忌薬物の有効性を低減させる可能性のある薬物であることができる。
【0057】
例えば、併用禁忌薬物は、時には、QT間隔を延長させると記載される薬物、例えば、カルバマゼピンであることができる。或いは、併用禁忌薬物は、アンフェタミン、フェンテルミン、メタプロテレノール、クロミプラミン、ドラセトロン、クロロキン、モキシフロキサシン、ジフェンヒドラミン、ソタロール、クラリスロマイシン、テルブタリン、エフェドリン、エピネフリン、バンデタニブ、ニカルジピン、キニジン、シタロプラム、ホスフェニトイン、エスシタロプラム、シプロフロキサシン、クロザピン、コカイン、メチルフェニデート、アミオダロン、イブチリド、ペルフルトレン脂質ミクロスフィア、トラゾドン、トルテロジン、アンフェタミン、フルコナゾール又はドブタミン、メタドン、イスラジピン、エリスロマイシン、ベンラファキシン、アミトリプチリン、エリスロマイシン、リチウム、アルテニモール+ピペラキン、ゲミフロキサシン、イロペリドン、フェンテルミン、フェルバメート、オフロキサシン、デクスメチルフェニデート、ホスカルネット、ジプラシドン、エリブリン、ハロペリドール、ハロファントリン、アステミゾール、ドロペリドール、ドパミン、パリペリドン、イソプロテレノール、テリスロマイシン、グラニセトロン、レボフロキサシン、バルデナフィル、ノルエピネフリン、プロブコール、インダパミド、イソプロテレノール、チオリダジン、シブトラミン、メタプロテレノール、メタドン、ドンペリドン、ドロネダロン、ペンタミジン、フェニレフリン、ケトコナゾール、抱水クロラール、タモキシフェン、イミプラミン、ジソピラミド、リトナビル、ジフェンヒドラミン、ピモジド、レボメタジル、ノルトリプチリン、パロキセチン、シュードエフェドリン、ペンタミジン、ファモチジン、デシプラミン、オキシトシン、フェンフルラミン、エピネフリン、ミドドリン、プロカインアミド、タクロリムス、プロカインアミド、シサプリド、アルブテロール、フルオキセチン、硫酸キニーネ、キニジン、ラノラジン、ミルタザピン、ガランタミン、ラノラジン、ミルタザピン、ガランタミン、アタザナビル、リスペリドン、メチルフェニデート、ロキシスロマイシン、エフェドリン、オクトレオチド、フルオキセチン、テルフェナジン、トリメトプリム−サルファ、セルチンドール、メソリダジン、サルメテロール、セルチンドール、ドキセピン、ベダキリン、セボフルラン、アミスルプリド、イトラコナゾール、アトモキセチン、トリミプラミン、スニチニブ、アマンタジン、フレカイニド、ニロチニブ、ガチフロキサシン、クロルプロマジン、ドフェチリド、三酸化ヒ素、ラパチニブ、セボフルラン、モエキシプリル/HCTZ、アルフゾシン、ベプリジル、ソリフェナシン、ボリコナゾール、プロトリプチリン、リスデキサンフェタミン、レバルブテロール、リトドリン、スパルフロキサシン、チザニジン、アジスロマイシン、オンダンセトロン、セルトラリン又はオランザピンの1つ又は複数であることができる。
【0058】
ある実施態様において、併用禁忌薬物は、時には陰性変時作用を誘導すると記載される薬物であることができる。この実施態様において、併用禁忌薬物は、メトプロロール、アセチルコリン、ジゴキシンなどのβブロッカー又はジルチアゼム及びベラパミルなどのカルシウムチャンネルブロッカーから選択されることができる。
【0059】
ある実施態様において、併用禁忌薬物は、CYP2C9活性の強力な又は中程度の阻害剤である薬物であることができる。この実施態様において、併用禁忌薬物は、アミオダロン、フルコナゾール、ミコナゾール又はオキサンドロロンから選択されることができる。
【0060】
ある実施態様、例えば、代謝不全患者である患者の場合において、併用禁忌薬物は、強力な又は中程度のCYP3A4阻害剤であることができる。この実施態様において、併用禁忌薬物は、ボセプレビル、クラリスロマイシン、コニバプタン、グレープフルーツ果汁、インジナビル、イトラコノゾール(itraconozole)、ケトコナゾール、ロピナビル、ミベフラジル、ネファゾドン、ネルフィナビル、ポサコナゾール、リトナビル、スキナビル、テラプレビル、テリスロマイコン(telithromycon)又はボリコナゾールから選択されることができる。
【0061】
ある実施態様、例えば、代謝不全者でない患者である患者の場合において、併用禁忌薬物は、強力な又は中程度のCYP2C9誘導物質であることができる。この実施態様において、併用禁忌薬物は、カルバマゼピン又はリファンピンから選ばれることができる。
【0062】
特定のCYPに対する強力な阻害剤は、該CYPのための基質の血漿AUCを5倍以上増大させるか又はクリアランスを80%超減少させる阻害剤として定義される。
【0063】
特定のCYPに対する中程度の阻害剤は、該CYPのための基質の血漿AUCを5倍未満であるが2倍以上増大させるか又はクリアランスを50〜80%減少させる阻害剤として定義される。
【0064】
CYP2C9代謝活性促進剤
第3の及び関連する任意の他の(第7及び第8の態様などの)態様において、CYP2C9促進剤は、代謝不全患者におけるCYP2C9の活性レベルを、好ましくは、該患者がBAF312を非代謝不全患者に匹敵するレベル、例えば、平均的な非代謝不全者のレベルの30%、20%又は10%以内で代謝するレベルまで増大させる任意の薬物であることができる。CYP2C9促進剤は、代謝不全患者におけるCYP2C9の活性レベルを、BAF312の同じ治療投与量及び/又は投与レジメン(漸増スキームなど)が代謝不全患者及び非代謝不全患者の両方にとって医学的に適切であると考えられるレベルまで増大させる任意の薬物であることもできる。
【0065】
CYP2C9促進剤の例は、リファンピン又はカルバメジピン(carbamezipine)であり、これは、患者のCYP2C9活性が非代謝不全者のそれに匹敵するレベル、例えば、平均的な非代謝不全者のレベルの30%、20%又は10%以内、に調整されるような投与量で代謝不全患者に投与されることができる。ある実施態様において、リファンピン又はカルバメジピンは、BAF312の同じ治療投与量及び/又は投与レジメン(漸増スキームなど)が代謝不全患者及び非代謝不全患者の両方にとって医学的に適切であると考えられる投与量で、代謝不全患者に投与されることができる。
【0066】
BAF312がCYP2C9代謝活性促進剤と組み合わせて投与される態様において、該投与は、別個、連続的又は同時であることができる。
【0067】
同時投与は、固定用量配合物として又は2つの個別調合物としての、BAF312及びCYP2C9代謝活性促進剤(リファンピン又はカルバメジピンなど)の投与を含む。したがって、本発明は、BAF312及びCYP2C9代謝活性促進剤(リファンピン又はカルバメジピンなど)の固定用量配合物を含む。
【0068】
BAF312は、標準的な治療量で投与されることが好ましい。CYP2C9代謝活性促進剤は、低減投与量のBAF312が臨床的に必要であると考えられないレベルまで、CYP2C9を上方制御するのに好適な投与量で投与されることが好ましい。
【0069】
1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸形態
BAF312(国際一般名称Siponimod)は、化学名1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸を有し、以下の式(I)の構造を有する:
【0070】
【化1】
【0071】
1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸は、遊離塩基として、(該塩の多形を含む)医薬として許容可能な塩として又はプロドラッグとして投与されることができる。
【0072】
医薬として許容可能な塩形態は、塩酸塩、リンゴ酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩及びヘミフマル酸塩を含む。
【0073】
好ましい態様において、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸は、ヘミフマル酸塩として投与される。1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸のプロドラッグ形態は、その可逆的誘導体に変換された官能基を有する形態を含む。典型的に、そのようなプロドラッグは、加水分解によって活性薬物に変換される。例として、カルボン酸基のエステルがあげられることができる。
【0074】
漸増レジメン
先に述べたとおり、S1P受容体調節剤又はアゴニスト療法に関連する可能性のある陰性変時作用及び/又は心臓への影響を最小化するために、治療投与量は、処置期間の開始時又は投与量が治療量未満のレベルから治療量まで増大される漸増レジメンの後に投与されることができる。
【0075】
心臓への影響は房室ブロックを含み、これは、1度房室ブロック(0.2秒超のPR間隔など)及び1度房室ブロックなどの2度房室ブロックを含む。心臓への影響は、2秒超の心停止などの心停止を含む。
【0076】
漸増レジメンの間、投与量は、治療投与量よりも低く、任意選択で段階的に、治療投与量に達するまで増大される。その後、処置が治療投与量により継続されることが好ましい。
【0077】
漸増レジメンの持続期間は、薬物が最初に投与される日に始まり、薬物が治療量で投与される第1日を含む、その日までの期間である。
【0078】
好ましくは、漸増レジメンの間、日ごとの心拍数の低下(平均又は最小の日ごとの心拍数など)が許容可能であるか若しくは臨床的に重要でないか又は患者の洞律動が正常であるように、薬物が投与レジメンにおいて投与される。例えば、日ごとの心拍数の低下(平均又は最小の日ごとの心拍数など)は、約3bpm未満又は約2bpm未満などの約4bpm未満である。
【0079】
用語「正常な洞律動」は、処置を受けていない時の患者の洞律動を指す。正常な洞律動の査定は、医師の能力の範囲内にある。正常な洞律動は、一般に60〜100bpmの範囲内で心拍数を上昇させる。
【0080】
好ましくは、薬物の投与量は、漸増期間の間に規定の増加率で治療投与量まで段階的に増大される。
【0081】
ある実施態様において、漸増期間中の1日投与量はフィボナッチ数列により管理される、すなわち、特定の日に与えられる投与量は、先の2日間の投与量の合計である。この実施態様の態様において、このスキームにおけるいくらかの変形が許容される。例えば、所与の日における投与量は、先の2日間の投与量の合計±40%、例えば、±30%、例えば、±20%又は±10%であることができる。
【0082】
正確な漸増レジメンは、達するべき治療投与量が標準的な治療投与量であるか又は代謝不全患者に投与されるべきより低い治療投与量であるかに依存する。
【0083】
例えば、治療投与量がより低い代謝不全患者の場合、漸増レジメンは、例えば、5日以下、4又は3日以下、例えば、2日以下などであることができる。一般に、代謝不全患者のための漸増段階は、少なくとも1日持続し、2日間又は3日間持続することができる。好ましい態様において、代謝不全患者のための漸増段階は、3又は4日間、例えば、3日間持続する。
【0084】
患者が代謝不全患者であり、治療投与量が0.5mgである態様において、漸増レジメンは、1日目−0.25mg;2日目−0.25mg;3日目−0.5mg(治療量)であることができる。
【0085】
患者が代謝不全患者であり、治療投与量が0.75mgである態様において、漸増レジメンは、1日目−0.25mg;2日目−0.25mg;3日目−0.5mg;4日目−0.75mg(治療量)であることができる。
【0086】
代謝不全者でない患者の場合、漸増段階は、4日間、5日間、6日間又は7日間であることができる。好ましい態様において、代謝不全者でない患者のための漸増段階は、5〜7日間、例えば、6日間である。
【0087】
患者が代謝不全患者でなく、治療投与量が2.0mgである態様において、漸増レジメンは、1日目−0.25mg;2日目−0.25mg;3日目−0.5mg;4日目−0.75mg;5日目−1.25mg;6日目−2mg(治療量)であることができる。
【0088】
ある態様において、本発明の漸増レジメンは、心臓の副作用のリスクのある患者、例えば、心不全、不整脈のリスクのある患者、高度の房室ブロック又は洞結節不全症候群を有する患者、失神症状歴を有する患者又はβブロッカーを必要とするか若しくは使用中の患者又はクラスIa(キニジン、プロカインアミドなど)若しくはクラスIII(アミオダロン、ソタロールなど)抗不整脈薬による処置を受けている患者などの、抗不整脈処置を必要とするが若しくは受けている患者の処置を開始するために使用されることができる。
【0089】
上記の漸増レジメンは、投与量維持レジメンにおける中断又は治療休止日、例えば、3日間又は4日間超、6、8、10、12又は14日間超の休止日を経験した患者(代謝不全患者又は非代謝不全患者)に対する処置を再開するためにも使用されることができる。
【0090】
個別化した投薬
ある実施態様において、漸増レジメンの後又は漸増レジメンが使用されない場合において、患者のリンパ球カウントに対するBAF312の効果が、治療投与量のBAF312の投与後に評価されることができる。治療投与量のBAF312の投与後に、リンパ球レベルが臨床的に最適であると考えられるレベル未満に(例えば、臨床的利益を増大させずに、日和見感染のリスクの増大をもたらすレベルまで)減少する場合、1日投与量は、低減投与量に減らされることができる。
【0091】
この態様及び関連する態様(例えば、本発明の第9及び第10の態様)において、1日投与量の低減が、1段階で又は1つ超の段階、例えば、2段階又は3段階で行われる。好ましくは、投与量低減は、1段階で行われる。
【0092】
ある態様において、投与量は、1.5〜2.5mg、例えば、2mgの1日あたりの治療投与量から低減される。
【0093】
ある態様において、1日投与量は、0.5〜1.5mgの範囲内、例えば、1.0mgの投与量まで低減される。
【0094】
好ましい態様において、1日投与量は、それ以降の日々にわたり1段階で2mgから1mgまで低減される。
【0095】
投与量低減の後、低減投与量は、続いて増大又は維持されることができる。好ましい態様において、低減投与量は維持される。
【0096】
臨床的に最適なレベル未満と考えられる血液リンパ球レベルは、医師によって評価されることができる。例えば、このリンパ球レベルは、さらなる低減が、臨床的利益を増大させずに、日和見感染のリスクの増大をもたらすと判断されるレベルであることができる。例えば、該リンパ球レベルは、0.8.0×10e9/L以下、0.6×10e9/L以下、0.4×10e9/L以下又は0.2×10e9/L以下などの、1.0×10e9/L以下であることができる。
【0097】
ある態様において、臨床的に最適なレベル未満と考えられる血液リンパ球レベルは、0.2×10e9/L以下の血液リンパ球レベルである。
【0098】
血液リンパ球レベルは、フローサイトメトリ−などの任意の標準的な技術を用いて測定されることができる。
【0099】
本発明の好ましい態様において、必要とする患者への1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩の1日投与量を最適化する方法であって、
(i)約2mgの1日あたりの治療投与量での1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩の投与後に、該患者の血液リンパ球レベルを測定するステップ;及び
(ii)治療投与量での1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩の毎日の投与後に、血液リンパ球レベルが臨床的に最適であると考えられるレベル未満に低下する場合、1日投与量を約1mgまで低減するステップ
を含む、方法が提供される。
【0100】
この態様において、臨床的に最適なレベル未満であると考えられるリンパ球レベルは、0.8.0×10e9/L以下、0.6×10e9/L以下、0.4×10e9/L以下又は0.2×10e9/L以下などの、1.0×10e9/L以下であることができる。
【0101】
この態様の好ましい実施態様において、臨床的に最適なレベル未満であると考えられるリンパ球レベルは、0.2×10e9/L以下であることができる。
【0102】
患者ジェノタイプ試験
インビトロにおいて、CYP2C9は、肝臓ミクロソーム中の主要代謝酵素として同定された。この酵素は遺伝的に多型であるため、酸化的代謝に対する遺伝的多型性の影響が予想された。この影響をインビトロで取り扱うために、伝統的な酵素表現型法に加えて、ジェノタイプを同定されたドナー由来の個々のミクロソームを用いるアプローチが設計された。その後のCYP2C9ジェノタイプ感度分析は、特別なCYP2C92及びCYP2C93ジェノタイプを有する個々のドナーの肝臓ミクロソーム中における、野生型ドナーに比べて実質的に低下した代謝活性を実証した。
【0103】
当業者により理解されるとおり、患者のジェノタイプは、観察された表現型、すなわち、BAF312を代謝するためのCYP2C9酵素の観察された能力の決定において重要な役割を演じる。CYP2C9酵素の場合、測定されたCYP2C9ジェノタイプと観察された代謝不全者表現型の間には密接な相関がある。したがって、ジェノタイプの試験は、観察された表現型の優れた予測因子である。
【0104】
誤解を避けるために、本発明のある態様において、(患者が代謝不全者ジェノタイプを有するか否かを含む)患者ジェノタイプは、観察された表現型と相関させることによって試験されることができる。
【0105】
CYP2C9表現型は、CYP2C9のプローブ基質を投与すること及びいわゆる代謝率(=代謝物の血漿濃度/親化合物)の計算によって試験されることができる。
【0106】
代謝不全者サブクラスに属する患者に関して患者ジェノタイプを試験することは、任意の標準的な試験方法、例えば、PCRスクリーニングなどの標準的なジェノタイプ決定法によって実施されることができる。患者ジェノタイプは、インビトロの試験方法、例えば、ジェノタイプ決定法によって決定されることができる。例えば、インビトロの試験は、体液(例えば、血液などの、血液若しくは唾液)又は患者由来の組織サンプルを採取すること、及び任意の標準的な試験方法(例えば、PCRスクリーニング)によって該サンプルを分析して患者ジェノタイプを決定することによって、実施されることができる。ある実施態様において、患者ジェノタイプは、患者から採取された血液、唾液又は組織サンプルの分析によって決定される。好ましい実施態様において、患者ジェノタイプは、患者から採取された血液サンプルの分析によって決定される。
【0107】
患者ジェノタイプは、投与後のBAF312への患者の曝露を測定すること、及び観察された代謝挙動と特定のジェノタイプの間に良い相関がある場合、観察された表現型の挙動に基づいて、患者ジェノタイプを割り当てることによって、インビボで試験されることができる。
【0108】
患者モニタリング
BAF312の投与後の医師による患者モニタリングのレベルが患者のジェノタイプに依存する本発明の態様、例えば、第11及び他の関連する態様において、代謝不全者ジェノタイプを有さない患者に関する患者モニタリングのレベルは、モニタリングを行わないか又はあるモニタリング期間の間の低レベルのモニタリング、例えば、医療機関にかかっている患者を含まない遠隔モニタリング、例えば、患者の状況及び有害事象が発生した場合のシグナリングを測定可能な心臓モニターを使用する遠隔モニタリングのいずれかであることができる。
【0109】
実質的な患者モニタリングは、病院又は他の処置センターのような医療機関などにおける、医師又は他の熟練した医師による有害事象に関する患者の連続的又は断続的なモニタリングを含む。
【0110】
モニタリング期間は、3時間以上、例えば、6時間以上又は12時間以上又は1日以上であることができる。モニタリング期間は、1週間未満、例えば、4日未満又は2日未満であることができる。ある実施態様において、モニタリング期間は少なくとも6時間である。
【0111】
有害事象は、40bpm未満などの、45bpm未満への心拍数減少;新たに発生した2度房室ブロック(AVブロック)又は回復まで医師の注意を必要すると考えられる他の事象を含む。
【0112】
特定の実施態様
本発明は、本発明の態様の以下の特定の実施態様を提供する:
【0113】
1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸の適切な治療量を評価して、それを必要とする患者に投与する方法であって、
(i)該患者がCYP2C93ジェノタイプを有するか否かを試験するステップ;及び
(ii)該患者がCYP2C93ジェノタイプを有さない場合、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、1日あたり約2mgの用量で該患者に投与するステップ;又は
(iii)該患者が代謝不全者ジェノタイプを有する場合、
(a)1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、1日あたり約0.25〜0.75mg、例えば、1日あたり0.5mgの用量で該患者に投与するステップ;若しくは
(b)1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸を該患者に投与しないステップ
を含む、方法。
【0114】
1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸とともに使用しないことが推奨される薬物の使用を開始する方法であって、
(i)該患者がCYP2C93ジェノタイプを有するか否かを試験するステップ;及び
(ii)該患者がCYP2C93ジェノタイプを有さない場合、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸の最終用量が該患者に投与された後、3〜14日以内に薬物の使用を開始するステップ;又は
(iii)該患者が代謝不全者ジェノタイプを有する場合、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸の最終用量が該患者に投与された後、21〜49日以内に薬物の使用を開始するステップ
を含む、方法。
【0115】
1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩によって、必要とする患者を処置する方法であって、
(i)該患者がCYP2C93ジェノタイプを有するか否かを試験するステップ;及び
(ii)該患者がCYP2C93ジェノタイプを有さない場合、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、1日あたり約2mgの用量で該患者に投与するステップ;又は
(iii)該患者がCYP2C93ジェノタイプを有する場合、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、1日あたり約2mgの用量で、CYP2C9代謝活性促進剤と組み合わせて該患者に投与するステップ
を含む、方法。
【0116】
それを必要とする患者における自己免疫性状態の処置方法であって、該患者がCYP2C93ジェノタイプを有し、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、約0.5mgの1日あたりの量などの、0.25〜0.75mgの範囲内の1日あたりの量で該患者に投与するステップを含む、方法。
【0117】
自己免疫性状態に罹っている患者を処置する方法における使用のための1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩であって、前記患者がCYP2C93ジェノタイプを有し、前記方法が、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、約0.5mgの1日あたりの量などの、0.25〜0.75mgの範囲内の1日あたりの量で該患者に投与するステップを含む、前記カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩。
【0118】
自己免疫性状態に罹っている患者を処置する方法における使用のための1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩であって、前記方法が、
(i)該患者がCYP2C93ジェノタイプを有するか否かを試験するステップ;及び
(ii)該患者がCYP2C93ジェノタイプを有さない場合、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、1日あたり約2mgの用量で該患者に投与するステップ;又は
(iii)該患者がCYP2C93ジェノタイプを有する場合、
(a)1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、約0.5mgの1日あたりの量などの、0.25〜0.75mgの範囲内の1日あたりの量で該患者に投与するステップ;若しくは
(b)1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸を該患者に投与しないステップ
を含む、前記カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩。
【0119】
必要とする患者を処置する方法における使用のための1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩であって、前記方法が、
(i)該患者がCYP2C93ジェノタイプを有するか否かを試験するステップ;及び
(ii)該患者がCYP2C93ジェノタイプを有さない場合、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、1日あたり約2mgの用量で該患者に投与するステップ;又は
(iii)該患者がCYP2C93ジェノタイプを有する場合、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、1日あたり約2mgの用量で、CYP2C9代謝活性促進剤と組み合わせて該患者に投与するステップ
を含む、前記カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩。
【0120】
必要とする患者への1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩の1日投与量を最適化する方法であって、
(i)1日あたり約2mgの用量での1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩の投与後に、該患者の血液リンパ球レベルを測定するステップ;及び
(ii)治療投与量での1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩の毎日の投与後に、血液リンパ球レベルが0.2×10e9/Lのレベル未満に低下する場合、1日投与量を1日あたり約1mgに低減するステップ
を含む、方法。
【0121】
必要とする患者を処置する方法における使用のための1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩であって、前記方法が、
(i)1日あたり約2mgの用量での1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩の投与後に、該患者の血液リンパ球レベルを測定するステップ;及び
(ii)血液リンパ球レベルが、治療投与量での1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩の毎日の投与後に、0.2×10e9/L未満である場合、1日投与量を1日あたり約1mgに低減するステップ
を含む、前記カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩。
【0122】
必要とする患者を、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩によって処置する方法であって、
(i)該患者がCYP2C93ジェノタイプを有するか否かを試験するステップ;及び
(ii)該患者がCYP2C93ジェノタイプを有さない場合、医師による患者モニタリングを伴わずに又は医師による低レベルの患者モニタリングとともに、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、1日あたり約2mgの用量で該患者に投与するステップ;又は
(iii)該患者がCYP2C93ジェノタイプを有する場合、医師による増大したレベルの患者モニタリングとともに、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、1日あたり約2mgの用量で該患者に投与するステップ
を含む、方法。
【0123】
MSを処置する方法における使用のための1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩であって、前記方法が、
(i)該患者がCYP2C93ジェノタイプを有するか否かを試験するステップ;及び
(ii)該患者がCYP2C93ジェノタイプを有さない場合、医師による患者モニタリングを伴わずに又は医師による低レベルの患者モニタリングとともに、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、1日あたり約2mgの用量で該患者に投与するステップ;又は
(iii)該患者がCYP2C93ジェノタイプを有する場合、医師による増大したレベルの患者モニタリングとともに、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、1日あたり約2mgの用量で該患者に投与するステップ
を含む、前記カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩。
【0124】
自己免疫疾患の処置のための医薬品の製造における、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩であって、前記処置が、上記の好ましい実施態様のいずれかに記載の方法による、前記カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩。
【0125】
上記の特定の実施態様に関する好ましい態様において、患者はSPMS又はrSPMSなどのMSに罹っている患者である。
【0126】
本発明は、以下の非限定的な例によってさらに例証される。
【実施例1】
【0127】
1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸のための主要代謝酵素としてのCYP2C9の同定
略語のリスト
【0128】
【表4】
【0129】
1.材料及び方法
1.1試験物質
【0130】
【表5】
【0131】
5mM[14C]BAF312の原液を、(溶解度を増大させるための)0.25%CHAPSを含有する100mMリン酸バッファーpH7.4中で調製し、100mMリン酸バッファーpH7.4中でのインキュベーションのために、適宜希釈した。
【0132】
1.2 化学薬品
フラフィリン、ケルセチン、キニジン、スルファフェナゾール、ケトコナゾール、CHAPS、TAO及びトラニルシプロミンは、Sigma Chemicals(St.Louis、MO、USA)から購入した。DETCは、Fluka AG(Buchs、Switzerland)から、トリエチレンチオホスホラミドは、Acros Organics(Geel、Belgium)から購入した。
【0133】
リン酸バッファーpH7.4(100mM)は、60mLの100mM KH2PO4(Fluka AG、Buchs、Switzerland)溶液及び470mLの100mM Na2HPO4・2H2O溶液(Merck、Darmstadt、Germany)を混合することによって調製した。pHは、100mM KH2PO4溶液によって正確に7.4に調整した。蒸留水(HPLCグレード)は、Fluka AG(Buchs、Switzerland)から入手した。β−NADPHは、Sigma(St. Louis、MO、USA)から入手した。トリスバッファーpH7.4(1M)は、Applichem(Darmstadt、Germany)から購入し、さらに水(Fluka)で0.1Mに希釈した。
【0134】
Irga Safe Plusを、液体シンチレーション計数カクテル(ref. 6013249、Packard Bioscience、Meriden、CT、USA)として使用した。HPLC分析におけるオンライン放射能検出のために、液体シンチレーターRialuma(登録商標)(Lumac−LSC、Groningen、The Netherlands)を使用した。以下の化学薬品は、HPLC溶媒を調製するために使用した:トリフルオロ酢酸(分析グレード、ref 97100、Fluka)、ギ酸(分析グレード、ref 00264、Merck)、アセトニトリル(グラジエントグレード、ref 0030、Merck)及び水(クロマトグラフィーグレード、ref. 94486、Fluka)。他の試薬、化学薬品及び緩衝塩は、Merck(Darmstadt、Germany)又はFluka AG(Buchs、Switzerland)から入手し、分析グレードの品質であった。
【0135】
1.3 ヒト肝臓ミクロソーム
47人の個々のドナーから調製した肝臓ミクロソームのプールを、BD Biosciences(Woburn、MA、USA、カタログ番号452161、ロット26)から入手した。プール中の肝臓のそれぞれの病原性試験を、PCRプロトコールを用いて実施した。各肝臓は、HIV1及び2、HTLV1及び2並びに肝炎B及びCに関して陰性であることがわかった。P450総含有量は、360pmol/mgタンパク質であった。酵素の触媒活性は、製造者により提供された(pmolで表した活性/(mgタンパク質・分)):フェナセチンO−デエチラーゼ(CYP1A2、460)、クマリン7−ヒドロキシラーゼ(CYP2A6、1300)、(S)−メフェニトインN−デメチラーゼ(CYP2B6、55)、パクリタキセル6α−ヒドロキシラーゼ(CYP2C8、190)、ジクロフェナック4’−ヒドロキシラーゼ(CYP2C9、2900)、(S)−メフェニトイン4’−ヒドロキシラーゼ(CYP2C19、56)、ブフラロール1’−ヒドロキシラーゼ(CYP2D6、94)、クロロゾキサゾン6−ヒドロキシラーゼ(CYP2E1、2000)、テストステロン6β−ヒドロキシラーゼ(CYP3A4、4300)、ラウリン酸12−ヒドロキシラーゼ(CYP4A11、1400)、メチルp−トリルスルフィドオキシダーゼ(FMO、2100)、エストラジオール3−グルクロニデーション(UGT1A1、1200)、トリフルオペラジングルクロニデーション(UGT1A4、490)、プロポフォールグルクロニデーション(UGT1A9、4900)及びシトクロームcレダクターゼ(410)。
【0136】
1.4 組換えヒトP450酵素
以下のヒトP450酵素を発現する、バキュロウイルスに感染した昆虫細胞(BTI−TN−5B1−4)からミクロソームを調製し、昆虫細胞膜調製物(陰性対照)は、BD Biosciences(Woburn、MA、USA)から入手した。
【0137】
【表6】
【0138】
1.5 [14C]BAF312とヒト肝臓ミクロソーム及び組換えヒトCYPとのインキュベーション
インキュベーションを、0.1M リン酸バッファー、pH7.4中で実施した。総体積200(又は400)μLの典型的なインキュベーションは、以下のように調製した:10μLの100mM MgCl2(5mM)、CHAPSの原液、基質及びミクロソーム又は組換えヒトシトクロームP450イソ酵素を、適切な体積のバッファーに添加した。試験物質の溶解度を増大させるために、洗剤CHAPSを最大0.025%(w/v)の最終濃度ですべてのインキュベーションに添加した。20μLの新鮮な10mM NADPH(1mM)を添加することによって反応を開始した。最終濃度はかっこ内に示す。有機溶媒の最終濃度は、最大で0.5%(v/v)であった。いくつかの実験のためには、すべての溶液の量を比例的に維持することによって、より大きなインキュベーション体積を調製した。サンプルを、500rpmで撹拌しながら、サーモミキサー(Eppendorf 5355)中、37℃でインキュベートした。
【0139】
インキュベーション反応を停止させ、同じ体積の氷冷アセトニトリル中、0.5%ギ酸を添加することによってタンパク質を沈殿させた。−80℃において30分(又は−20℃で一夜)後、サンプルを30,000×gで15分間、遠心分離した。上清を回収した。アリコートをLSCによって分析し(20μL)、上清を適宜、水で希釈して、30%未満のアセトニトリルを含有する最終溶液を得た。基質中でより低濃度のサンプルのためには、SpeedVac(登録商標)濃縮器(モデルAES2010、Savant Inc.、Holbrook、NY、USA)により、40℃で減圧下、初期体積の約半分まで上清を蒸発させ、次いで、アセトニトリル中、0.5%のギ酸と混合して、30%未満のアセトニトリルを含有する最終溶液を得た。放射能検出と組み合わせたHPLCによってサンプル溶液を分析した(HPLC法については、1.6項を参照のこと)。
【0140】
残りのペレットを水/アセトニトリル(1:1、v/v)中、0.25%ギ酸の混合物0.5mLで2回すすぎ、(20℃で約1時間振とうして)50%(v/v)Soluene−350(トルエン中0.5M)及び50%イソプロパノール(v/v)を含有する混合物0.5mLに溶解した。上清のアリコート及び溶解したペレットの総量の放射測定を、10mLの液体シンチレーション計数カクテルと混合後、液体シンチレーションカウンター(Tri−Carb 2500 TR、Packard Canberra Instr. Co. Meriden、CT、USA)において実施した。
【0141】
1.5.1 ヒト肝臓ミクロソーム
時間依存性
【0142】
【表7】
【0143】
タンパク質濃度依存性
【0144】
【表8】
【0145】
HLMにおける酵素反応速度論
【0146】
【表9】
【0147】
特異的阻害剤による阻害
【0148】
【表10】
【0149】
異なるCYP2C9ジェノタイプを有する単一ドナー由来のHLM
【0150】
【表11】
【0151】
1.5.2 組換えCYP
酵素マッピング
【0152】
【表12】
【0153】
酵素反応速度論 CYP3A4
【0154】
【表13】
【0155】
酵素反応速度論 CYP2C9
【0156】
【表14】
【0157】
1.6 HPLC計測及び条件
【0158】
【表15】
【0159】
HPLC勾配:
【0160】
【表16】
【0161】
1.7 酵素反応速度論の分析
HLM及び主要代謝酵素による生体内変化の酵素反応速度パラメータVmax及びKmを、SigmaPlot Version 8.0(S1)、Enzyme Kinetics module Version 1.1ソフトウエア(SPSS Science Inc.、Chicago、IL、USA)を用いることによって計算した。固有クリアランスを、式:CLint=Vmax/Kmによって計算した。
【0162】
ヒト肝臓ミクロソーム中の特異的CYP酵素濃度の平均を、文献値から得た(Rowland Yeo K, Rostami-Hodjegan A and Trucker GT(2004)] Abundance of cytochromes P450 in human liver: a meta-analysis. Br. J. Clinical Pharmacology; 57:687-688)。いくつかの組換えヒトCYPに関しては、酵素反応速度パラメータを、使用した2つの濃度についてミカエリス−メンテン型挙動を推する計算によって推定し、2つの変数を含む2つの一次方程式のための一次方程式系を解いた。
【0163】
【数1】
【0164】
2. 結果
2.1 インキュベーション条件の査定
実験の最初の組において、インキュベーション時間に関してBAF312のインビトロ生体内変化の直線範囲を評価した。1及び10μMの[14C]BAF312の、タンパク質濃度0.3mg/mLのヒト肝臓ミクロソームとのインキュベーションを、0から180分まで実施し、放射能検出を伴うHPLCによって上清中の親化合物の消失を決定した。図1−1に示すとおり、ヒト肝臓ミクロソームにおけるBAF312の総代謝は、90分(10μM基質)のインキュベーション時間及び180分(1μM基質)のインキュベーション時間まで直線的に増加した。10μM[14C]BAF312及び異なるミクロソームタンパク質濃度(0〜1.3mg/mL)を用いる、固定インキュベーション時間(60分)での第2の組のインキュベーションは、約0.1mg/mlまでの酵素濃度依存性の生体内変化の直線的な増加をもたらした(図1−2)。結論として、時間(90分)及びタンパク質含有量(0.1mg/ml)に関する線形条件下で実施したインキュベーションにおいて、[14C]BAF312の生体内変化を調査した。
【0165】
2.2 ヒト肝臓ミクロソームにおける[14C]BAF312の濃度依存性の生体内変化
線形反応条件を確立後、プールしたヒト肝臓ミクロソーム(0.1mg/mL)を1から300μMにわたる15の基質濃度とともに90分間インキュベートすることによって、酵素反応速度パラメータKm及びVmaxを決定した(表1−1)。実験データ(総代謝物生成の速度)を、Enzyme Kinetics module、SigmaPlot(S1)により提供された異なる反応速度モデル(ミカエリス−メンテン、ヒル、イソ酵素、ランダム基質活性化(random substrate activation)、基質阻害)を考慮した非線形回帰分析によって分析した。実験データを、ミカエリス−メンテン及びイーディー・ホフステープロット(V対V/S)としてプロットし(図1−3を参照のこと)、反応速度データを基質阻害(非競合)反応速度モデルに適合させた。このモデルの式から、総代謝のみかけの反応速度定数、50.3±9.7μMのKm及び191±25pmol/分/mgのVmaxを計算した。導かれたBAF312の肝臓代謝の固有クリアランス(Vmax/Km)は、3.8μL/mg/分であった。
【0166】
2.3 [14C]BAF312の組換えヒトCYPイソ酵素による生体内変化
単一のヒトシトクロームP450イソ酵素を発現する、バキュロウイルスに感染した昆虫細胞(BTI−TN−5B1−4)から調製したミクロソームを、[14C]BAF312の生体内変化における特異的酵素の関与を評価するために使用した。21種の組換えヒトCYP(CYP1A1、1A2、1B1、2A6、2B6、2C8、2C91、2C18、2C19、2D61、2E1、2J2、3A4、3A5、3A7、4A11、4F2、4F3A、4F3B、4F12及びCYP19)のパネルを用いるインキュベーション実験を、10及び40μMのBAF312及び30pmol CYP/mLの30分間のインキュベーションにより、各イソ酵素について同様の条件下で実施した。両方の濃度において(表1−2、図1−4)、CYP2C91は、使用した実験条件下で顕著なターンオーバーを示した。また、CYP3A4とのインキュベーションにおいて、低い代謝活性を観察したが、他のCYPイソ酵素(2B6、2C8、2C19、2J2、3A5、1A1)では、いくらかのわずかな代謝を検出した。
【0167】
CYP2C9が、BAF312代謝のための最も効率的なP450イソ酵素であるとわかった。
【0168】
CYP2C9は、異なる民族間で大きく変動する顕著な遺伝的多型(CYP2C91、CYP2C92、CYP2C93)のもとにある。スルファフェナゾールは、インビトロ及びインビボの両方において、CYP2C9の強力な阻害剤である。
【0169】
組換えCYP3A4及びCYP3A5は、低い活性でBAF312を代謝することができた。
【0170】
BAF312代謝に関するイソ酵素CYP2C9及びCYP3A4の酵素反応速度パラメータを、イソ酵素を異なる濃度の[14C]BAF312とともにインキュベートすることによって決定した。CYP2C9及び3A4による反応速度プロフィールを図1−5及び図1−6に示す。CYP3A4(Km:85.1±8.6μM;Vmax:706±31pmol/分/nmol)及びCYP2C9(Km:34.5±5μM;Vmax:2596±233pmol/分/nmol)の両方についての反応速度定数を決定した。導かれたBAF312の総代謝物生成の固有クリアランス(Vmax/Km)は、CYP3A4及び2C9についてそれぞれ、8.3μL/nmol/分及び75.2μL/nmol/分であった。
【0171】
他のBAF312代謝性CYPに関して、反応速度定数Km及びVmaxを、2つの変数を含む2つの一次式を解くことによって(1.7項)推定し、これは、様々な酵素に関して酵素効率又は「固有クリアランス」CLintを推定することを可能とした。
【0172】
BAF312の肝臓代謝クリアランスにおけるそれらの重要性に関して、ヒト肝臓ミクロソーム中のそれらの存在比に比例した固有クリアランスCLint(Rowland Yeo, et al 2004)を計算した(表1−3)。CYP2C9は、ヒト肝臓ミクロソームにおける総固有クリアランスに対して主に寄与する(79.2%)。(3A4及び3A5を含む)CYP3Aは、18.5%寄与する。他の既知の薬物代謝酵素(CYP2B6、2C8、2C19)の寄与は低かった。
【0173】
2.4 化学阻害剤による[14C]BAF312の生体内変化の阻害
ヒト肝臓ミクロソーム中の特異的CYP酵素によるBAF312のミクロソーム代謝を減弱する選択的化学阻害剤を用いるインビトロの実験(Newton, et al., 1995; Tucker, et al 2001)を実施した(表1−4)。BAF312の生体内変化を、8種の個々の化学阻害剤の存在下で5μMの基質濃度において試験した。1μMのケトコナゾールにより、BAF312の代謝速度は、25%阻害された。2μM及び10μMのスルファフェナゾールによる非常に強力な阻害を観察し(65〜77%)、これは、CYP2C9の特異的阻害剤である。ケルセチンは、わずかな阻害(11〜31%)を示した。トラニルシプロミンも、わずかな阻害(11〜29%)を示した。試験した他の化学阻害剤は、BAF312代謝を実質的に阻害しなかった(表1−4)。
【0174】
2.5 異なるCYP2C9ジェノタイプのインビトロの感度分析
CYP2C9は、異なる対象において可変の代謝能を有する多型性イソ酵素である。BAF312のその水酸化代謝物への生体内変化が主にこのイソ酵素によって触媒されるため、このイソ酵素の遺伝的多型性の代謝に対する顕著な効果が予想可能である。この問題をさらに調査するために、感度分析をインビトロで実施した。この酵素に関する特定のジェノタイプ(表1−5)を有する個々のドナー由来の肝臓ミクロソームにおいて、[14C]BAF312の代謝を研究した。図1−8は、CYP2C91/1、2C92/2及び2C93/3ドナー由来の生体内変化速度の比較を示す。CYP2C91/1(野生型)に比べて、CYP2C92/2及び2C93/3ドナー由来のHLMにおけるBAF312の代謝速度は実質的に低い。ヒト肝臓ミクロソームにおいて、CYP2C91/1サンプルに比べて、水酸化代謝物生成の速度における顕著な10倍の減少が、CYP2C93/3サンプルにおいて明らかであった。CYP2C92/2のジェノタイプを同定された肝臓サンプルにおいても、水酸化代謝物生成の(65%以下の)著しい減少があった。これらの結果は、この化合物の酸化的代謝における遺伝的多型性の可能性を裏付ける。
【0175】
CYP酵素の表現型検査は、伝統的に、科学的文献中で立証され、FDAにより承認された3つの基本的アプローチ(特異的化学阻害剤又は阻害抗体、組換えシトクロームP450及び相関分析)により実施される(Bjornsson et al., 2003; Ogilvie et al., 2008)。これらのアプローチはそれぞれ、その利点を有するが、欠点も有し、したがって、アプローチの組合せが非常に推奨される(両方法の結果が類似するという条件で、少なくとも2つが使用されるべきである)。BAF312に関して、特別なCYP2C9ジェノタイプを有する個々のドナー由来の肝臓ミクロソームにおけるインビトロの生体内変化を調査した。CYP2C9の遺伝的多型性の顕著な効果が実証された。この追加の方法の結果は、記載した2つのアプローチ(化学的阻害及び組換え酵素反応速度論)からのデータと一致し、したがって、BAF312酵素表現型検査の結論に対してさらなる裏付けと信頼性を与えた。ジェノタイプを同定されたドナー由来の個々のミクロソームを用いるジェノタイプの感度分析の適用は、生体異物の反応表現型検査のための代替法としてのさらなるアプローチを、特に、それらの代謝が遺伝的多型性を有する酵素により主に触媒される場合に提供する。
【0176】
まとめると、3つの独立した表現型検査アプローチから得られるすべてのインビトロのデータは、CYP3Aの部分的寄与とともに、CYP2C9が、[14C]BAF312のヒト肝臓ミクロソームにおける生体内変化に主に寄与すると結論付ける。他のCYP酵素も、わずかに寄与する。
【0177】
既刊文献への参照
Bjornsson TD, Callaghan JT, Einolf HJ, Fischer V, Gan L, Grimm S, Kao J, King SP, Miwa G, Ni L, Kumar G, McLeod J, Obach RS, Roberts S, Roe A, Shah A, Snikeris F, Sullivan JT, Tweedie D, Vega JM, Walsh J, and Wrighton SA (2003) The conduct of in vitro and in vivo drug-drug interaction studies: A Pharmaceutical Research and Manufacturers of America (PhRMA) perspective. Drug Metab Dispos 31:815-832.
[Guengerich FP (1996)] In vitro techniques for studying drug metabolism. Journal of Pharmacokinetics & Biopharmaceutics, 24:521-533.
[Newton DJ, Wang R W, Lu AYH (1995)] Cytochrome P450 inhibitors: Evaluation of specificities in the in vitro metabolism of therapeutic agents by human liver microsomes. Drug Metabolism and disposition; 25:154-158.
Ogilvie BW, Usuki E, Yerino P, and Parkinson A (2008) In vitro approaches for studying the inhibition of drug-metabolizing enzymes and identifying the drug-metabolizing enzymes responsible for the metabolism of drugs (Reaction phenotyping) with emphasis on cytochrome P450, in: Drug-drug Interactions (Rodrigues AD ed), pp 231-358, Informa Healthcare, New York.
[Rettie AE and Jones JP GT (2005)] Clinical and toxicological relevance of CYP2C9: drug-drug interactions and pharmacogenetics. Annu. Rev. Pharmacol; 45:477-494.
[Rowland Yeo K, Rostami-Hodjegan A and Trucker GT (2004)] Abundance of cytochromes P450 in human liver: a meta-analysis. Br. J. Clinical Pharmacology; 57:687-688.
[Shimada T, Yamazaki H, Mimura M, et al (1994)] Interindividual variations in human liver cytochrome P-450 enzymes involved in the oxidation of drugs, carcinogens and toxic chemicals: studies with liver microsomes of 30 Japanese and 30 Caucasians. JPET; 270: 414-423.
[Tucker GT, Houston JB, Huang SM (2001)] Optimizing drug development: strategies to assess drug metabolism/transporter interaction potential-towards a consensus. Br J Clin Pharmacol; 52:107-17.
【0178】
コンピュータソフトウエアへの参照
S1 Enzyme kinetics Module Version 1.1 for SigmaPlot 2002, Version 8.0, SPSS Science Inc., Chicago, IL, USA
S2 Simcyp Version 4.10.02, Simcyp Ltd., Sheffield, UK.
【0179】
【0180】
【表17】
【0181】
【表18】
【0182】
【表19】
【0183】
【表20】
【0184】
【表21】
【実施例2】
【0185】
1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸の代謝に対するCYP2C93ジェノタイプのインビボでの効果
より大きな試験の一部として、2人のCYP2C93ジェノタイプを同定された患者(代謝不全者)に、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸を投与し、結果として得られた患者血漿サンプル中の薬物レベルを測定し、CYP2C91(代謝正常者)患者のそれと比較した。
【0186】
2人のCYP2C93患者が、CYP2C91患者のそれよりも約4倍高い薬物曝露を経験することがわかった。このインビボでの予備データは、先のSimcypシミュレーションを裏付け、これは、実施例1(2.5項)に記載したインビトロの結果に基づく45人の仮想のSimcyp集団の群における4.1倍の平均AUC比を予測した。
【0187】
例えば、以下の研究計画に記載したような、さらなる調査が実施され得る。
【0188】
研究計画
異なるCYP2C9ジェノタイプを有する健康なボランティアにおけるマルチセンターの非盲検試験を、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸の代謝に対するCYP2C9サブタイプの効果を査定するために使用することができる。
【0189】
研究は、2つの部分:パート1及びパート2に分割することができる。
【0190】
すべての対象がパート1を完了し、CYP2C91/1ジェノタイプを担持する対象(EM)のための研究来院終了前に6週間(42日)の休薬期間を経るが、2/3及び3/3ジェノタイプを有する対象(PM)は、パート2において継続すると予定される。パート2のための交代対象は、研究に入る前にパート1を受ける必要はない。
【0191】
パート1の間、全部で36人以下の対象が研究薬物を受ける:
・6〜18人のCYP2C91/1対象、
・6〜9人のCYP2C92/3対象、
・6〜9人のCYP2C93/3対象。
【0192】
CYP2C91/1対象は、CYP2C92/3対象及びCYP2C93/3対象に対して、体重(±10%)でマッチさせた。パート2の間、CYP2C9 PM表現型を有する全部で18人以下の対象が研究薬物を受ける:
・6〜9人のCYP2C92/3対象、
・6〜9人のCYP2C93/3対象。
【0193】
研究計画
【0194】
【化2】
【0195】
パート1:
この研究のパート1は、41日以下のスクリーニング期間、ベースライン日(−1日目)、処置日(1日目)、続く6週間の休薬、(CYP2C93キャリアーにおいて予測される170時間のT1/2の約6倍にあたる)42日目までのPK評価から成る。PK評価は、評価スケジュールに示す時点において実施する。
【0196】
スクリーニングにおいて適格性基準に合致する対象は、ベースライン査定に加入させる。すべてのベースライン安全性査定の結果は、投薬前に利用可能でなければならない。対象は、投薬前の日(−1日目)の朝、ベースライン査定のために研究施設に入院する。投薬の第1日は、単一用量の0.25mgのシポニモドが投与される1日目に発生する。
【0197】
パート1のための完了査定は、完全な休薬期間後に行われる(すなわち、投薬から6週間)。
【0198】
安全性評価は、身体検査、バイタルサイン、標準的な臨床検査室査定(リンパ球カウントを含む血液学、血液化学及び尿検査)、12誘導心電図、オンライン心臓モニタリング、ホルター心電図記録、有害事象及び重篤な有害事象モニタリングを含む。
【0199】
−1日目の朝から薬物投与の48時間後まで、対象を研究施設に拘束し、3日目の朝に施設から退院させる。すべての他の研究来院は、外来である。
【0200】
パート2:
パート2は、41日以下のスクリーニング期間、ベースライン来院(−1日目)、3日間の処置期間、続くフォローアップ期間(21日間)及び研究完了来院から成る。
【0201】
パート1及びパート2の両方を受ける対象は、ベースライン来院を含むパート2へ継続する前の6週間の休薬期間を経なければならない(すなわち、パート1における薬物投与とパート2における最初の薬物投与の間が最短6週間)。
【0202】
適格性は、交代対象を含む任意の研究対象に関して、スクリーニング及び最初のベースライン来院において評価する。
【0203】
すべてのベースライン安全性査定の結果は、投薬前に利用可能でなければならない。
【0204】
対象は、投薬前の日(−1日目)の朝に、ベースライン査定のために研究施設に入院する。投薬の第1日は、1日目に発生し、0.25mgのシポニモドが投与される。0.25mgの同じ用量が2日目に、続いて3日目に0.5mgが投与される。3日目の最終投薬に続いて、投薬後24時間までに薬物動態評価を行う。安全性評価は、投薬後48時間までに行う。
【0205】
−1日目の朝から最終薬物投与の48時間後まで、対象を研究施設に拘束し、5日目の朝に施設から退院させる。
【0206】
対象は、25日目から始まる研究終了の来院を、31日目まで行う(来院許容期間:+6日間まで)。
【0207】
安全性評価は、身体検査、バイタルサイン、標準的な臨床検査室査定(リンパ球を含む血液学、血液化学及び尿検査)、12誘導心電図、オンライン心臓モニタリング、ホルター心電図記録、有害事象及び重篤な有害事象モニタリングを含む。

本発明は以下の態様を包含し得る。
[1] 1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸の適切な治療量を評価して、それを必要とする患者に投与する方法であって、
(i)前記患者が代謝不全者ジェノタイプを有するか否かを試験するステップ;及び
(ii)前記患者が代謝不全者ジェノタイプを有さない場合、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、標準的な治療量で前記患者に投与するステップ;又は
(iii)前記患者が代謝不全者ジェノタイプを有する場合、
(a)1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、標準的な治療量未満の治療量で前記患者に投与するステップ;若しくは
(b)1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、前記患者に投与しないステップ
を含む、方法。
[2] 1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸によって、必要とする患者を処置する方法であって、
(i)前記患者が代謝不全者ジェノタイプを有するか否かを試験するステップ;及び
(ii)前記患者が代謝不全者ジェノタイプを有さない場合、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、標準的な治療量で前記患者に投与するステップ;又は
(iii)前記患者が代謝不全者ジェノタイプを有する場合、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、標準的な治療量で、CYP2C9代謝活性促進剤と組み合わせて前記患者に投与するステップ
を含む、方法。
[3] 1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩によって、必要とする患者を処置する方法であって、
(i)前記患者が代謝不全者ジェノタイプを有するか否かを試験するステップ;及び
(ii)前記患者が代謝不全者ジェノタイプを有さない場合、医師による一定レベルの患者モニタリングとともに、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、標準的な治療量で前記患者に投与するステップ;又は
(iii)前記患者が代謝不全者ジェノタイプを有する場合、医師による増大したレベルの患者モニタリングとともに、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、標準的な治療量で前記患者に投与するステップ
を含む、方法。
[4] 1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩とともに使用しないことが推奨される薬物の使用を開始する方法であって、
(i)前記患者が代謝不全者ジェノタイプを有するか否かを試験するステップ;及び
(ii)前記患者が代謝不全者ジェノタイプを有さない場合、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩の最終用量が前記患者に投与された後、設定期間内に前記薬物の使用を開始するステップ;又は
(iii)前記患者が代謝不全者ジェノタイプを有する場合、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩の最終用量が前記患者に投与された後、前記ステップ(ii)の前記設定期間よりも長い期間内に前記薬物の使用を開始するステップ
を含む、方法。
[5] 前記代謝不全者ジェノタイプが、CYP2C93及びCYP2C93ジェノタイプである、上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の方法。
[6] 前記代謝不全者ジェノタイプが、CYP2C93ジェノタイプである、上記[5]に記載の方法。
[7] 1日あたりの標準的な治療量が、1.5から2.5mgまでの範囲内にある、上記[1]〜[3]又は[5]〜[6]のいずれか1項に記載の方法。
[8] 前記1日あたりの標準的な治療量が、2mgである、上記[7]に記載の方法。
[9] 前記患者が、多発性硬化症に罹っている、上記[1]〜[8]のいずれか1項に記載の方法。
[10] 前記多発性硬化症が、再発を伴う二次性進行型多発性硬化症(rSPMS)又は再発を伴わない二次性進行型多発性硬化症(SPMS)である、上記[9]に記載の方法。
[11] ステップ(ii)の前記設定期間が、3〜14日の範囲内にある、上記[4]に記載の方法。
[12] それを必要とする患者における自己免疫性状態の処置方法であって、前記患者が代謝不全者ジェノタイプを有し、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩を、0.25〜0.75mgの範囲内の1日あたりの量で前記患者に投与するステップを含む、方法。
[13] 前記代謝不全者ジェノタイプが、CYP2C93ジェノタイプである、上記[12]に記載の方法。
[14] 前記1日あたりの量が、0.5mgの治療投与量である、上記[12]又は[13]に記載の方法。
[15] 前記自己免疫性状態が、多発性硬化症である、上記[12]〜[14]のいずれか1項に記載の方法。
[16] 前記多発性硬化症が、再発を伴う多発性硬化症(rSPMS)又は再発を伴わない二次性進行型多発性硬化症(SPMS)である、上記[15]に記載の方法。
[17] (a)1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩、及び(b)CYP2C9代謝活性促進剤を含む、同時、別個又は連続的使用のための医薬組合せ。
[18] 必要とする患者への1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩の1日投与量を最適化する方法であって、
(i)1日あたり約2mgの用量での1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩の投与後に、前記患者の血液リンパ球レベルを測定するステップ;及び
(ii)治療投与量での1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩の毎日の投与後に、前記血液リンパ球レベルが0.2×10e9/Lのレベル未満に低下する場合、前記1日投与量を1日あたり約1mgに低減するステップ
を含む、方法。
[19] 上記[1]〜[18]のいずれか1項による自己免疫疾患を処置する方法における使用のための1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩。
[20] 上記[1]〜[18]のいずれか1項による自己免疫疾患の処置のための医薬品の製造における、1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸又は医薬として許容可能なその塩。
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図1-4】
図1-5】
図1-6】
図1-7】
図1-8】