特許第6240764号(P6240764)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー.の特許一覧 ▶ ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシーの特許一覧

特許6240764レベラーとしてベンズイミダゾール部分を含有するポリマー
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6240764
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】レベラーとしてベンズイミダゾール部分を含有するポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08G 73/02 20060101AFI20171120BHJP
   C25D 3/38 20060101ALI20171120BHJP
   C25D 3/32 20060101ALI20171120BHJP
   H05K 3/42 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   C08G73/02
   C25D3/38 101
   C25D3/32
   H05K3/42 610B
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-526838(P2016-526838)
(86)(22)【出願日】2013年11月20日
(65)【公表番号】特表2016-538374(P2016-538374A)
(43)【公表日】2016年12月8日
(86)【国際出願番号】CN2013087477
(87)【国際公開番号】WO2015074190
(87)【国際公開日】20150528
【審査請求日】2016年4月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リンリ・デュアン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・リー
(72)【発明者】
【氏名】トン・サン
(72)【発明者】
【氏名】シャオガン・フェン
(72)【発明者】
【氏名】チェン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】ヅーラ・アイ・ナジムベドーヴァ
(72)【発明者】
【氏名】マリア・アンナ・ルゼズニク
【審査官】 横山 法緒
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−501011(JP,A)
【文献】 特開平05−165258(JP,A)
【文献】 特開平03−015079(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0093975(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第102522204(CN,A)
【文献】 特開平05−165259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 73/00−73/26
C25D 3/32
C25D 3/38
H05K 3/42
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の金属イオン源と、電解質と、1つ以上のポリマーと、を含む金属電気めっき組成物であって、前記ポリマーが、1つ以上のジハロゲンと、以下の式を有する1つ以上の化合物との反応生成物を含み、
【化1】
式中、環A及びBのR、R、及びRが、同一または異なってもよく、かつ水素、チオール、直鎖もしくは分岐鎖チオ(C〜C12)アルキル、ヒドロキシル、直鎖もしくは分岐鎖ヒドロキシ(C〜C12)アルキル、アミン、直鎖もしくは分岐鎖アルキル(C〜C12)アミン、直鎖もしくは分岐鎖(C〜C12)アルキル、アルコキシ、直鎖もしくは分岐鎖アルコキシ(C〜C12)アルキル、または置換もしくは非置換アリールであるが、但し、前記1つ以上のジハロゲンと反応して前記反応生成物を形成する式(I)の前記化合物のうちの少なくとも1つ、環AまたはBのR及びRが、それらの炭素原子と一緒になって、縮合された置換もしくは非置換の6員芳香族環を形成することを条件とし、Rが、(C〜C12)アルキル、エーテル部分、ポリエーテル部分、カルボニル、>C=S、>C=NH、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換シクロアルキルである、前記金属電気めっき組成物。
【請求項2】
前記1つ以上のポリマーが、0.01ppm〜5,000ppmの量で前記組成物中に含まれる、請求項に記載の前記金属電気めっき組成物。
【請求項3】
前記1つ以上の金属イオン源が、銅塩及びスズ塩から選択される、請求項に記載の前記金属電気めっき組成物。
【請求項4】
1つ以上の促進剤及び抑制剤を更に含む、請求項に記載の前記金属電気めっき組成物
【請求項5】
a)めっきされる基板を、1つ以上の金属イオン源と、電解質と、1つ以上のポリマーと、を含む金属電気めっき組成物と接触させることであって、前記1つ以上のポリマーが、1つ以上のジハロゲンと、以下の式を有する1つ以上の化合物との反応生成物を含み、
【化2】
式中、環A及びBのR、R、及びRが、同一または異なってもよく、かつ水素、チオール、直鎖もしくは分岐鎖チオ(C〜C12)アルキル、ヒドロキシル、直鎖もしくは分岐鎖ヒドロキシ(C〜C12)アルキル、アミン、直鎖もしくは分岐鎖アルキル(C〜C12)アミン、直鎖もしくは分岐鎖(C〜C12)アルキル、アルコキシ、直鎖もしくは分岐鎖アルコキシ(C〜C12)アルキル、または置換もしくは非置換アリールであるが、但し、前記1つ以上のジハロゲンと反応して前記反応生成物を形成する式(I)の前記化合物のうちの少なくとも1つ、環AまたはBのR及びRが、それらの炭素原子と一緒になって、縮合された置換もしくは非置換の6員芳香族環を形成することを条件とし、Rが、(C〜C12)アルキル、エーテル部分、ポリエーテル部分、カルボニル、>C=S、>C=NH、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換シクロアルキルである、接触させることと、
b)電流を印加することと、
c)前記基板上に金属を析出させることと、を含む、方法。
【請求項6】
前記1つ以上金属イオンが、銅塩及びスズ塩から選択される、請求項に記載の前記方法。
【請求項7】
前記基板が、プリント回路板である、請求項に記載の前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気めっき組成物用のレベラーとしてベンズイミダゾール部分を含有するポリマーを対象とする。より具体的には、本発明は、熱信頼性及び付き回り性の電気めっき組成物用のレベラーとしてベンズイミダゾール部分を含有するポリマーを対象とする。
【背景技術】
【0002】
金属コーティングで物品を電気めっきするための方法は、一般的に、電極のうちの1つがめっきされる物品であるめっき溶液中の2つの電極間に電流を通すことを含む。典型的な酸性銅めっき溶液は、溶解銅、通常、硫酸銅と、浴に導電性を与えるのに十分な量の硫酸などの酸性電解質と、めっきの均一性及び金属析出物の質を改善するための特許添加剤とを含む。かかる添加剤としては、とりわけ、促進剤、レベラー、及び抑制剤が挙げられる。
【0003】
電解銅めっき溶液は、装飾及び防食コーティングなどの様々な産業用途、ならびに電子工学産業において、特にプリント回路板及び半導体の製作のために使用される。回路板製作の場合、銅は、プリント回路板の表面の選択された部分にわたって、ブラインドビア中及び回路板基材の表面間を通る貫通穴の壁上に電気めっきされる。貫通穴の壁は、銅が貫通穴の壁に電気めっきされる前に、まず無電解金属析出などによって導電性にされる。めっきされた貫通穴は、一方の板表面から他方の板表面への導電性経路を提供する。半導体製作の場合、銅は、ビア、溝、またはこれらの組み合わせなどの様々な形体を含むウェハの表面にわたって電気めっきされる。ビア及び溝は金属化されて、半導体デバイスの様々な層間に導電性を提供する。
【0004】
プリント回路板(「PCB」)の電気めっきなどのめっきのある特定の分野において、電気めっき浴中での促進剤及びレベラーの使用が、基板表面上の均一な金属析出物を達成するのに極めて重要であり得ることが周知である。不規則なトポグラフィを有する基板のめっきは、特定の困難をもたらし得る。電気めっき中、電圧降下変動が典型的に不規則な表面に沿って存在し、これは不均等な金属析出物をもたらし得る。めっきの不規則性は、電圧降下変動が比較的極端である場合、すなわち、表面の不規則性が相当である場合に、悪化する。結果として、かかる表面の不規則性には、過剰めっきと呼ばれるより厚い金属析出物が観察される。したがって、実質的に均一な厚さの金属層は、電子デバイスの製造においてしばしば困難なステップである。電子デバイスにおいて実質的に均一または水平な銅層を提供するために、レベリング剤が銅めっき浴中で使用される場合が多い。
【0005】
携帯性の傾向は、電子デバイスの機能性の増強と相まって、PCBの小型化を推進している。貫通穴相互接続ビアを有する従来の多層PCBは、必ずしも実用的な溶液ではない。ブラインドビアを利用する逐次蓄積技術などの高密度相互接続のための代替的なアプローチが開発されている。ブラインドビアを使用するプロセスにおける目的のうちの1つは、基板表面にわたって銅析出物の厚さ変動を最小化しながら、ビア充填を最大化することである。これは、PCBが貫通穴及びブラインドビアの両方を含む場合に特に困難である。
【0006】
一般的に、銅めっき浴中で使用されるレベリング剤は、基板表面にわたって析出物のより良好なレベリングを提供するが、電気めっき浴の付き回り性を損なう傾向がある。付き回り性は、孔中央の銅析出物の厚さ対表面でのその厚さの比率として定義される。貫通穴及びブラインドビアの両方を含むより新しいPCBが製造されている。現在の浴添加剤、特に現在のレベリング剤は、基板表面上に水平な銅析出物を提供せず、効率的に貫通穴及びブラインドビアを充填しない。したがって、水平な銅析出物を提供しながら、浴の付き回り性に著しく影響を与えない、PCBの製造において使用される銅電気めっき浴中での使用のためのレベリング剤が、当該技術分野において依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
ポリマーは、以下の式を有する1つ以上の化合物を有する1つ以上のジハロゲンの反応生成物を含み、
【0008】
【化1】
【0009】
式中、環A及びBのR、R、及びRは、同一または異なってもよく、かつ水素、チオール、直鎖もしくは分岐鎖チオ(C−C12)アルキル、ヒドロキシル、直鎖もしくは分岐鎖ヒドロキシ(C−C12)アルキル、アミン、直鎖もしくは分岐鎖アルキル(C−C12)アミン、直鎖もしくは分岐鎖(C−C12)アルキル、アルコキシ、直鎖もしくは分岐鎖アルコキシ(C−C12)アルキル、または置換もしくは非置換アリールであるが、但し、1つ以上のジハロゲンと反応して反応生成物を形成する式(I)の化合物のうちの少なくとも1つ、環AまたはBのR及びRが、それらの炭素原子と一緒になって、縮合された置換もしくは非置換の6員芳香族環を形成することを条件とし、Rは、(C−C12)アルキル、エーテル部分、ポリエーテル部分、カルボニル、>C=S、>C=NH、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換シクロアルキルである。
【0010】
金属電気めっき組成物は、1つ以上の金属イオン源、電解質、及び1つ以上のポリマーを含む、この1つ以上のポリマーは、1つ以上のジハロゲンと、以下の式を有する1つ以上の化合物との反応生成物を含み、
【0011】
【化2】
【0012】
式中、環A及びBのR、R、及びRは、同一または異なってもよく、かつ水素、チオール、直鎖もしくは分岐鎖チオ(C−C12)アルキル、ヒドロキシル、直鎖もしくは分岐鎖ヒドロキシ(C−C12)アルキル、アミン、直鎖もしくは分岐鎖アルキル(C−C12)アミン、直鎖もしくは分岐鎖(C−C12)アルキル、アルコキシ、直鎖もしくは分岐鎖アルコキシ(C−C12)アルキル、または置換もしくは非置換アリールであるが、但し、1つ以上のジハロゲンと反応して反応生成物を形成する式(I)の化合物のうちの少なくとも1つ、環AまたはBのR及びRが、それらの炭素原子と一緒になって、縮合された置換もしくは非置換の6員芳香族環を形成することを条件とし、Rは、(C−C12)アルキル、エーテル部分、ポリエーテル部分、カルボニル、>C=S、>C=NH、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換シクロアルキルである。
【0013】
方法は、金属めっきされる基板を、金属イオン源、電解質、及び1つ以上のポリマーを含む金属電気めっき組成物と接触させることであって、1つ以上のポリマーが、1つ以上のジハロゲンと、以下の式を有する1つ以上の化合物との反応生成物を含み、
【0014】
【化3】
【0015】
式中、環A及びBのR、R、及びRが、同一または異なってもよく、かつ水素、チオール、直鎖もしくは分岐鎖チオ(C−C12)アルキル、ヒドロキシル、直鎖もしくは分岐鎖ヒドロキシ(C−C12)アルキル、アミン、直鎖もしくは分岐鎖アルキル(C−C12)アミン、直鎖もしくは分岐鎖(C−C12)アルキル、アルコキシ、直鎖もしくは分岐鎖アルコキシ(C−C12)アルキル、または置換もしくは非置換アリールであるが、但し、1つ以上のジハロゲンと反応して反応生成物を形成する式(I)の化合物のうちの少なくとも1つ、環AまたはBのR及びRが、それらの炭素原子と一緒になって、縮合された置換もしくは非置換の6員芳香族環を形成することを条件とし、Rが、(C−C12)アルキル、エーテル部分、ポリエーテル部分、カルボニル、>C=S、>C=NH、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換シクロアルキルである、接触させることと、基板上に金属をめっきすることと、を含む。
【0016】
これらのポリマーは、小さな形体を有する基板及び様々な形体サイズを有する基板上であっても、基板にわたって実質的に水平な表面を有する金属層を提供する。本方法に従って析出される金属層は、従来のレベリング剤を使用する電気めっき浴からの金属析出物と比較して、改善された熱安定性を有する。更に、本方法は、金属めっき組成物が良好な付き回り性を有するように、貫通穴及びブラインドビア孔中に金属を効率的に析出する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書全体を通して使用される場合、文脈が別段明らかに示さない限り、以下の略称は、以下の意味を有する。A=アンペア、A/dm=1平方デシメートル当たりアンペア=ASD、℃=摂氏度、g=グラム、mg=ミリグラム、ppm=百万分率、mmol=ミリモル、L=リットル、L/m=1分当たりリットル、μm=ミクロン=マイクロメートル、mm=ミリメートル、cm=センチメートル、DI=脱イオン化、mL=ミリリットル、M=重量平均分子量、及びM=数平均分子量、及びv/v=体積対体積。別段述べられない限り、すべての量は重量パーセントである。すべての数値範囲は、かかる数値範囲が合計100%になるように制限されることが明らかである場合を除いて、包括的であり、任意の順序で組み合わせ可能である。
【0018】
本明細書全体を通して使用される場合、「形体」は、基板上の形状を指す。「開口」は、貫通穴及びブラインドビアを含む陥凹した形体を指す。本明細書全体を通して使用される場合、「めっき」という用語は、金属電気めっきを指す。「部分」という用語は、官能基全体または下部構造としての官能基の部分のいずれかを含み得る分子またはポリマーの一部を意味する。「析出」及び「めっき」は、本明細書全体を通して互換的に使用される。「ハロゲン化物」は、「フッ化物」、「塩化物」、「臭化物」、及び「ヨウ化物」を指す。「促進剤」は、電気めっき浴のめっき速度を増加させる有機添加剤を指す。「抑制剤」は、電気めっきを行う間の金属のめっき速度を抑制する有機添加剤を指す。「レベラー」は、実質的に水平または平面な金属層を提供することができる有機化合物を指す。「レベラー」及び「レベリング剤」という用語は、本明細書全体を通して互換的に使用される。「プリント回路板」及び「プリント配線板」という用語は、本明細書全体を通して互換的に使用される。冠詞「a(1つの)」及び「an(1つの)」は、単数及び複数を指す。
【0019】
ポリマーは、1つ以上のジハロゲンと、以下の式を有する1つ以上の化合物との反応生成物であり、
【0020】
【化4】
【0021】
式中、環A及びBのR、R、及びRは、同一または異なってもよく、かつ水素、チオール、直鎖もしくは分岐鎖チオ(C−C12)アルキル、ヒドロキシル、直鎖もしくは分岐鎖ヒドロキシ(C−C12)アルキル、一級、二級、もしくは三級アミンなどのアミン、直鎖もしくは分岐鎖アルキル(C−C12)アミン、直鎖もしくは分岐鎖(C−C12)アルキル、アルコキシ、直鎖もしくは分岐鎖アルコキシ(C−C12)アルキル、または置換もしくは非置換アリールであってもよいが、但し、1つ以上のジハロゲンと反応して反応生成物を形成する式(I)の化合物のうちの少なくとも1つ、環AまたはBのR及びRが、それらの炭素原子と一緒になって、縮合された置換もしくは非置換の6員芳香族環を形成することを条件とし、好ましくは、環AのR及びR、ならびに環BのR及びRは、縮合された置換もしくは非置換の6員環であり、Rは、以下の式を有する部分であり、
【0022】
【数1】
【0023】
式中、rは、1〜10の整数、エーテル部分、ポリエーテル部分、カルボニル、>C=S、>C=NH、置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換シクロアルキルである。好ましくは、R、R、及びRは、同一であるかまたは異なり、かつ水素、ヒドロキシル、直鎖もしくは分岐鎖ヒドロキシ(C−C)アルキル、一級アミン、直鎖もしくは分岐鎖(C−C)アルキル、またはアルコキシであり、より好ましくは、R、R、及びRは、同一であるかまたは異なり、かつ水素、ヒドロキシル、ヒドロキシ(C−C)アルキル、または(C−C)アルキルであり、最も好ましくは、R、R、及びRは、同一であるかまたは異なり、かつ水素、ヒドロキシル、または(C−C)アルキルである。好ましくは、Rは、部分
【0024】
【数2】
【0025】
エーテル部分またはポリエーテル部分であり、より好ましくは、Rは、式(II)の部分及びポリエーテル部分であり、最も好ましくは、Rは、式(II)の部分であり、rは、好ましくは1〜6の整数であり、より好ましくは、rは、1〜4の整数である。
【0026】
エーテル部分は、
【0027】
【数3】
【0028】
を含むが、これに限定されず、
ポリエーテル部分は、
【数4】
【0029】
を含むが、これらに限定されず、
式中、n及びmは、同一または異なってもよく、かつ1〜12の整数であり、pは、2〜12の整数であり、qは、1〜12の整数である。好ましくは、n及びmは、同一であるかまたは異なり、かつ1〜10であり、より好ましくは1〜5である。好ましくは、pは、2〜10の整数、より好ましくは、2〜4の整数であり、qは、好ましくは、1〜10の整数、より好ましくは1〜4の整数である。
【0030】
アリール部分は、
【0031】
【化5】
【0032】
を含むが、これに限定されず、
式中、R、R、R、R、R、及びRは、異なるの同一であり、これらは、水素、直鎖もしくは分岐鎖(C−C12)アルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、チオ、アルコキシ、一級、二級、もしくは三級アミン、アルデヒド、ケトン、または部分
【0033】
【数5】
【0034】
を含み得るが、これらに限定されず、
式中、rは、上に定義したとおりであるが、但し、R、R、R、R、R、及びRのうちの2つが、アリール部分(VI)を上の式(I)の環A及びBの窒素に共有結合によって連結させるように同時に部分(II)であり、2つの部分が、互いにパラまたはメタであることを条件とする。好ましくは、R、R、R、R、R、及びRは、同一であるかまたは異なり、かつ水素、直鎖もしくは分岐鎖(C−C)アルキル、ヒドロキシル、一級アミン、または式(II)の部分であり、式中、rは上に定義されるが、但し、R、R、R、R、R、及びRのうちの2つが、同時に部分(II)であり、これら2つの部分が、互いにパラまたはメタであることを条件とし、より好ましくは、R、R、R、R、R、及びRが、同一であるかまたは異なり、かつ水素、ヒドロキシル、または式(II)の部分であり、式中、rは、上に定義されるが、但し、R、R、R、R、R、及びRのうちの2つが、同時に部分(II)であり、これら2つの部分が、互いにパラまたはメタであることを条件とし、好ましくは、rは、1〜6の整数であり、より好ましくは、それは1〜4の整数である。
【0035】
シクロアルキル部分は、
【0036】
【化6】
【0037】
を含むが、これらに限定されず、
式中、R10、R10’、R11、R11’、R12、R12’、R13、R13’、R14、R14’、R15、及びR15’は、同一または異なってもよく、水素、直鎖もしくは分岐鎖(C−C12)アルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、チオ、アルコキシ、一級、二級、もしくは三級アミン、アルデヒド、ケトン、または部分
【0038】
【数6】
【0039】
を含み得るが、これらに限定されず、
式中、rは、上に定義したとおりであるが、但し、R10、R10’、R11、R11’、R12、R12’、R13、R13’、R14、R14’、R15、及びR15’のうちの2つが、アリール部分(VI)を上の式(I)の環A及びBの窒素に共有結合によって連結させるように同時に部分(II)であり、これら2つの部分が、異なる炭素上にあり、かつ互いにパラまたはメタであることを条件とする。好ましくは、R10、R10’、R11、R11’、R12、R12’、R13、R13’、R14、R14’、R15、及びR15’は、同一であるかまたは異なり、かつ水素、直鎖もしくは分岐鎖(C−C)アルキル、ヒドロキシル、一級アミン、または式(II)の部分であるが、但し、R10、R10’、R11、R11’、R12、R12’、R13、R13’、R14、R14’、R15、及びR15’のうちの2つが、同時に部分(II)であり、これら2つの部分が、異なる炭素上にあり、かつ互いにパラまたはメタであることを条件とし、より好ましくは、R10、R10’、R11、R11’、R12、R12’、R13、R13’、R14、R14’、R15、及びR15’は、同一であるかまたは異なり、かつ水素、直鎖もしくは分岐鎖(C−C)アルキル、ヒドロキシル、または式(II)の部分であるが、但し、R10、R10’、R11、R11’、R12、R12’、R13、R13’、R14、R14’、R15、及びR15’のうちの2つが、同時に部分(II)であり、これら2つの部分が、異なる炭素上にあり、かつ互いにパラまたはメタであることを条件として、好ましくは、rは、1〜6、より好ましくは1〜4の整数である。
【0040】
式(I)の化合物を調製する方法は限定されないが、これらは、典型的には、6員環に縮合された複素環を含有する5員窒素を含む置換または非置換ベンズイミダゾールをジハロゲン化合物と反応させることによって調製される。かかるベンズイミダゾールは、
【0041】
【化7】
【0042】
を含むが、これに限定されず、
式中、Rは上に定義され、R’は水素であり、R16、R17、R18、及びR19は、水素、ヒドロキシル、アミノ、アミド、直鎖もしくは分岐鎖ヒドロキシ(C−C10)アルキル、直鎖もしくは分岐鎖(C−C10)アルコキシ、ハロゲン化物、直鎖もしくは分岐鎖ハロ(C−C10)アルキル、−NH、一級、二級、もしくは三級直鎖もしくは分岐鎖(C−C12)アルキルアミン、アルデヒド、ケトン、カルボキシル、直鎖もしくは分岐鎖カルボキシ(C−C10)アルキル、直鎖もしくは分岐鎖(C−C20)アルキル、または置換もしくは非置換アリールを含むが、これらに限定されない。好ましくは、R16、R17、R18、及びR19は、水素、ヒドロキシル、−NH、一級もしくは二級直鎖もしくは分岐鎖(C−C)アルキルアミン、カルボキシル、直鎖もしくは分岐鎖カルボキシ(C−C)アルキル、または直鎖もしくは分岐鎖(C−C)アルキルであり、より好ましくは、R16、R17、R18、及びR19は、水素、ヒドロキシル、−NH、カルボキシル、または(C−C)アルキルである。最も好ましくは、R16、R17、R18、及びR19は、水素またはヒドロキシルである。ジハロゲンは、以下の式を有する化合物を含むが、これに限定されず、
【0043】
【数7】
【0044】
式中、Rは、上に定義され、Xは、塩素、臭素、フッ素、及びヨウ素から選択されるハロゲンである。好ましくは、ハロゲンは、塩素、臭素、及びフッ素であり、より好ましくは、ハロゲンは、塩素及び臭素であり、最も好ましくは、ハロゲンは、臭素である。
【0045】
式(IX)のベンズイミダゾールと式(X)のジハロゲンとの反応生成物は、以下のジベンズイミダゾールの一般式を有し、
【0046】
【化8】
【0047】
式中、R、R、R16、R17、R18、及びR19は、上に定義したとおりである。
【0048】
イミダゾールは、以下の式を有するものを含むが、これに限定されず、
【0049】
【化9】
【0050】
式中、R、R’、R、及びRは、上に定義したとおりである。イミダゾール化合物は、その後、上の式(X)のジハロゲンと反応して、以下の式を有するジミダゾールを形成し、
【0051】
【化10】
【0052】
式中、R、R、R、及びRは、上に定義したとおりである。
【0053】
あるいは、式(IX)のベンズイミダゾール及び式(XII)のイミダゾールは、共に式(X)のジハロゲンと反応して、以下の式のベンズイミダゾール部分及びイミダゾール部分を有する化合物を形成してもよく、
【0054】
【化11】
【0055】
式中、R、R、R、R、R16、R17、R18、及びR19は、上に定義したとおりである。
【0056】
上記の化合物を形成するための反応条件及びパラメータは、所望される化合物の量に応じて異なり得る。使用される試薬の量は、小規模な実験によって、また化学文献に開示されている合成方法を使用して、当業者によって容易に決定され得る。典型的には、ベンズイミダゾールまたはイミダゾール:ジハロゲンのモル比は、1:1〜2:1の範囲である。一般的に、ベンズイミドゾール、イミダゾール、またはこれらの組み合わせは、塩類似水素化物などの強塩基、典型的には水素化ナトリウムと混合される。混合物は、極性エーテルなどの有機溶媒、典型的にはテトラヒドロフラン、またはジメチルホルムアミドなどの他の従来の有機溶媒中に溶解される。混合は、水素ガスの生成が終わるまで、冷却しながら十分な時間行われる。1つ以上のジハロゲンは、その後、混合物に添加され、反応物の混合は、生成物の沈殿が形成されるまで室温にて行われる。典型的には、混合は、10時間〜15時間行われる。溶媒は、蒸発によって沈殿物から除去され得る。
【0057】
式(I)、(XI)、(XIII)、及び(XIV)において上に記載されるベンズイミダゾール部分及びイミダゾール部分を含有する化合物は、その後、以下の一般式を有する1つ以上のジハロゲンと反応して、ポリマーを形成する。
【0058】
【数8】
【0059】
式中、Xは、上に定義したとおりであり、R’は、上に定義したRと同じ部分を含み、以下の部分を更に含むが、これらに限定されず、
【0060】
【数9】
式中、tは、1〜10、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3の整数であり、
【0061】
【数10】
【0062】
式中、R”及びR”は、同一であるかまたは異なり、かつ水素、直鎖もしくは分岐鎖(C−C)アルキル、またはヒドロキシル、好ましくは水素または(C−C)アルキル、より好ましくは水素またはメチルを含むが、これらに限定されず、u及びvは、同一であるまたは異なり、1〜10、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3の整数であり、R”は、シクロアルキル、好ましくはシクロへキシルアルキル、またはアリール、好ましくはフェニルである。
【0063】
ポリマーを含有するベンズイミダゾール部分を形成するための反応条件及びパラメータは、所望されるポリマーの量に応じて異なり得る。使用される試薬の量は、小規模な実験によって、また化学文献に開示されている合成方法を使用して、当業者によって容易に決定され得る。典型的には、ジベンズイミダゾールまたはジイミダゾール:ジハロゲンのモル比は、1:0.1〜1:5、好ましくは1:0.1〜1:3、より好ましくは1:0.1〜1:2の範囲である。一般的に、ジベンズイミドゾール、ジイミダゾール、またはこれらの組み合わせと、1つ以上のジハロゲンとは、極性エーテルなどの有機溶媒、典型的にはテトラヒドロフラン、またはジメチルホルムアミドなどの他の従来の有機溶媒中に溶解される。混合は、12時間〜30時間、70℃〜120℃、好ましくは90℃〜110℃の温度で行われる。ポリマー生成物は、その後、有機溶媒で洗浄される。
【0064】
例示的なポリマーは、以下の一般式を有し、
【0065】
【化12】
【0066】
式中、R、R’、R、R、R、R16、R17、R18、R19、及びXは、上に定義したとおりであり、zは、2以上、好ましくは5〜20、より好ましくは5〜10の整数である。
【0067】
本めっき組成物及び方法は、プリント回路板などの基板上に、実質的に水平なめっきされた金属層を提供するのに有用である。また、本めっき組成物及び方法は、基板内の開口を金属で充填するのに有用である。本金属析出物は、実質的に亀裂がなく、良好な付き回り性を有する。
【0068】
上記の反応生成物を含有する金属めっき浴を用いて電気めっきされ得る基板としては、プリント配線板、集積回路、半導体パッケージ、リードフレーム、及び相互接続が挙げられるが、これらに限定されない。集積回路基板は、二重ダマシン製造プロセスにおいて使用されるウェハであり得る。かかる基板は、典型的には、ある数の形体、特に様々なサイズを有する開口を含む。PCB内の貫通穴は、直径50μm〜350μmなどの様々な直径を有し得る。かかる貫通穴の深さは、35μm〜100μmなど異なり得る。PCBは、最大200μm以上などの多様なサイズを有するブラインドビアを含み得る。
【0069】
従来の金属めっき組成物が使用され得る。本金属めっき組成物は、金属イオン源、電解質、及びレベリング剤を含有し、レベリング剤は、式(I)の1つ以上の化合物と、1つ以上のジハロゲンとの反応生成物である。本金属めっき組成物は、ハロゲン化イオン源、促進剤、及び抑制剤を含有し得る。組成物から電気めっきされ得る金属としては、銅、スズ、及びスズ/銅合金が挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
好適な銅イオン源は、銅塩であり、硫酸銅、塩化銅などのハロゲン化銅、酢酸銅、硝酸銅、ホウフッ化銅、アルキルスルホン酸銅、アリールスルホン酸銅、スルファミン酸銅、及びグルコン酸銅を含むが、これらに限定されない。例示的なアルキルスルホン酸銅としては、アルキルスルホン酸銅(C−C)、より好ましくはアルキルスルホン酸銅(C−C)が挙げられる。好ましいアルキルスルホン酸銅は、メタンスルホン酸銅、エタンスルホン酸銅、及びプロパンスルホン酸銅である。例示的なアリールスルホン酸銅としては、フェニルスルホン酸銅、フェノールスルホン酸銅、及びp−トルエンスルホン酸銅が挙げられるが、これらに限定されない。銅イオン源の混合物が使用され得る。当業者であれば、銅イオン以外の金属イオンの1つ以上の塩が、有利に本電気めっき浴に添加されてもよいことを理解し得る。典型的には、銅塩は、めっき溶液の10〜180g/Lの銅金属の量を提供するのに十分な量で存在する。
【0071】
好適なスズ化合物には、ハロゲン化スズなどの塩、硫酸スズ、メタンスルホン酸スズなどのアルカンスルホン酸スズ、フェニルスルホン酸スズなどのアリールスルホン酸スズ、フェノールスルホン酸スズ、トルエンスルホン酸スズ、及びアルカノールスルホン酸スズが挙げられるが、これらに限定されない。これらの電解質組成物中のスズ化合物の量は、典型的には、5〜150g/Lの範囲内のスズ含有量を提供する量である。スズ化合物の混合物が使用され得る。
【0072】
本発明に有用な電解質は、アルカリ性または酸性であり得る。典型的には、電解質は酸性である。好適な酸性電解質としては、硫酸、酢酸、ホウフッ化水素酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、及びトリフルオロメタンスルホン酸などのアルカンスルホン酸、フェニルスルホン酸、フェノールスルホン酸、及びトルエンスルホン酸などのアリールスルホン酸、スルファミン酸、塩酸、ならびにリン酸が挙げられるが、これらに限定されない。酸の混合物が本金属めっき浴中で使用され得る。好ましい酸としては、硫酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、及びこれらの混合物が挙げられる。酸は、1〜300g/Lの範囲内の量で存在し得る。電解質は、一般的に様々な供給源から市販されており、更なる精製なしで使用され得る。
【0073】
かかる電解質は、任意選択でハロゲン化イオン源を含有してもよい。典型的には、塩化イオンが使用される。例示的な塩化イオン源としては、塩化銅、塩化スズ、及び塩酸が挙げられる。本発明において、多様なハロゲン化イオン濃度が使用され得る。典型的には、ハロゲン化イオン濃度は、めっき浴を基準として0〜100ppmの範囲内である。かかるハロゲン化イオン源は、一般的に市販されており、更なる精製なしで使用され得る。
【0074】
本めっき組成物は、促進剤を含有することが好ましい。任意の促進剤(増白剤ともまた称される)が、本発明における使用に好適である。かかる促進剤は、当業者にとって既知である。促進剤としては、N,N−ジメチル−ジチオカルバミン酸−(3−スルホプロピル)エステル、3−メルカプト−プロピルスルホン酸−(3−スルホプロピル)エステル、3−メルカプト−プロピルスルホン酸ナトリウム塩、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸カリウム塩との炭酸−ジチオ−o−エチルエステル−s−エステル、ビス−スルホプロピルジスルフィド、3−(ベンゾチアゾリル−s−チオ)プロピルスルホン酸ナトリウム塩、ピリジニウムプロピルスルホベタイン、1−ナトリウム−3−メルカプトプロパン−1−スルホン酸塩、N,N−ジメチル−ジチオカルバミン酸−(3−スルホエチル)エステル、3−メルカプト−エチルプロピルスルホン酸−(3−スルホエチル)エステル、3−メルカプト−エチルスルホン酸ナトリウム塩、3−メルカプト−1−エタンスルホン酸カリウム塩との炭酸−ジチオ−o−エチルエステル−s−エステル、ビス−スルホエチルジスルフィド、3−(ベンゾチアゾリル−s−チオ)エチルスルホン酸ナトリウム塩、ピリジニウムエチルスルホベタイン、及び1−ナトリウム−3−メルカプトエタン−1−スルホン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。促進剤は、様々な量で使用され得る。一般的に、促進剤は、0.1ppm〜1000ppmの量で使用される。
【0075】
金属めっき速度を抑制することができる任意の化合物が、電気めっき組成物中で抑制剤として使用され得る。好適な抑制剤としては、エチレンオキシド−プロピレンオキシド(「EO/PO」)コポリマー及びブチルアルコール−エチレンオキシド−プロピレンオキシドコポリマーを含む、ポリプロピレングリコールコポリマー及びポリエチレングリコールコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。好適なブチルアルコール−エチレンオキシド−プロピレンオキシドコポリマーは、100〜100,000、好ましくは500〜10,000の重量平均分子量を有するものである。かかる抑制剤が使用される場合、それらは、典型的には、組成物の重量を基準として1〜10,000ppm、より典型的には、5〜10,000ppmの範囲内の量で存在する。
【0076】
他のM値を有する反応生成物が使用され得るが、一般的に、式(I)の化合物と1つ以上のジハロゲンとの反応生成物は、500〜50,000、典型的には1000〜20,000、好ましくは2000〜10,000の数平均分子量(M)を有する。かかる反応生成物は、他のM値が使用され得るが、1000〜50,000、好ましくは5000〜30,000の範囲内の重量平均分子量(M)値を有し得る。
【0077】
金属電気めっき組成物中で使用される反応生成物(レベリング剤)の量は、選択される特定のレベリング剤、電気めっき組成物中の金属イオンの濃度、使用される特定の電解質、電解質の濃度、及び印加される電流密度に依存する。一般的に、電気めっき組成物中のレベリング剤の総量は、めっき組成物の総重量を基準として0.01ppm〜5,000ppmであるが、それより多いか、または少ない量が使用されてもよい。好ましくは、レベリング剤の総量は、0.1〜1000ppm、より好ましくは0.1〜500ppmである。
【0078】
電気めっき組成物は、構成成分を任意の順序で組み合わせることによって調製され得る。金属イオン源、水、電解質、及び任意選択でハロゲン化イオン源などの無機構成成分が、まず浴容器に添加され、その後、レベリング剤、促進剤、抑制剤、及び任意の他の有機構成成分などの有機構成成分が添加されることが好ましい。
【0079】
電気めっき組成物は、任意選択で第2のレベリング剤を含有してもよい。かかる第2のレベリング剤は、従来のレベリング剤であってもよい。本レベリング剤との組み合わせで使用され得る好適な従来のレベリング剤としては、Stepらの米国特許第6,610,192号、Wangらの同第7,128,822号、Hayashiらの同第7,374,652号、及びHagiwaraらの同第6,800,188号に開示されるものが挙げられるが、これらに限定されない。かかるレベリング剤の組み合わせは、レベリング能力及び付き回り性を含むめっき浴の特性を目的に合わせるために使用され得る。
【0080】
典型的には、めっき組成物は、10℃〜65℃以上の温度で使用され得る。好ましくは、めっき組成物の温度は、10℃〜35℃、より好ましくは15℃〜30℃である。
【0081】
一般的に、金属電気めっき組成物は使用中に撹拌される。任意の好適な撹拌方法が使用され得、かかる方法は当該技術分野において既知である。好適な撹拌方法としては、エアスパージング、ワークピース撹拌、及びインピンジメントが挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
典型的には、基板は、基板をめっき組成物と接触させることによって電気めっきされる。基板は、典型的には、陰極として機能する。めっき組成物は、可溶性または不溶性であり得る陽極を含む。電位は、典型的には、陰極に印加される。十分な電流密度が印加され、基板、充填ブラインドビア、及び/または貫通穴上に所望される厚さを有する金属層を析出するのに十分な時間、めっきが実行される。電流密度としては、0.05A/dm〜10A/dmの範囲が挙げられるが、これに限定されず、これより高い、及び低い電流密度が使用されてもよい。特定の電流密度は、一部にはめっきされる基板及び選択されるレベリング剤に依存する。かかる電流密度選択は、当業者の能力の範囲内である。
【0083】
本発明の利点は、PCB上に実質的に水平な金属析出物が得られることである。「実質的に水平な」金属層とは、ステップ高、すなわち非常に小さい密な開口の領域と、開口を有さないまたは実質的に有さない領域との間の差が、5μm未満、好ましくは1μm未満であることを意味する。PCB内の貫通穴及び/またはブラインドビアは、実質的に充填される。本発明の更なる利点は、多様な開口及び開口サイズが充填され得ることである。
【0084】
付き回り性は、PCB試料の表面にめっきされる金属の平均厚さと比較した、貫通穴の中央においてめっきされる金属の平均厚さの比率として定義され、パーセンテージとして報告される。付き回り性が高ければ高いほど、めっき組成物はより良好に貫通穴を充填することができる。本発明の金属めっき組成物は、≦65%、好ましくは≦70%の付き回り性を有する。本発明の金属めっき組成物はまた、多くの従来の金属めっき組成物と比較して、金属めっきされた基板の改善された熱安定性を示す。
【0085】
本発明の方法がプリント回路板製造を参照しながら一般的に記載されている一方で、本発明は、本質的に水平または平面な金属析出物、及び充填された開口が所望されるあらゆる電解プロセスに有用であり得ることが認識される。かかるプロセスとしては、半導体パッケージ化及び相互接続製造が挙げられる。
【0086】
以下の実施例は本発明を更に例示するように意図されているが、その範囲を限定するようには意図されていない。
【0087】
実施例1(比較)
イミダゾール(6.8g、100mmol)及び水素化ナトリウム(2.64g、11mmol)を、50mLの無水テトラヒドロフラン中に溶解した。混合物を撹拌し、水素ガスの形成が終わるまで氷浴中で2時間冷却した。1,4−ジブロモブタン(10.8g、50mmol)を添加し、混合物を室温で12時間撹拌した。沈殿物を除去した後、溶媒を除去して、1,4−ビス(N−イミダゾリル)ブタンを得た。1H NMR(Bruker、400MHz、HO−d2)による1,4−ビス(N−イミダゾリル)ブタンの分析は、以下のピークを示し、構造を確認した。δppm:8.81(s、2H、Haram)、7.51(m、4H、Haram.)、4.21(m、4H、2×CH−N)、4.257(m、4H、2×CH−NH)、及び1.87−1.90(m、4H、2×CH−CH−NH)。
【0088】
1,4−ビス(N−イミダゾリル)ブタン(2.18g、10mmol)及び1,4−ジブロモブタン(2.16g、10mmol)を、ジメチルホルムアミド中に溶解し、混合物を100℃で24時間加熱した。結果として生じた沈殿物(生成物A)を濾過によって収集し、酢酸エチルによって洗浄した。Mが4,224であると決定し、Mが7,606であると決定した。
【0089】
実施例2
ベンズイミダゾール(11.8g、100mmol)及び水素化ナトリウム(2.64g、11mmol)を、50mLの無水テトラヒドロフラン中に溶解した。混合物を撹拌し、水素ガスの形成が終わるまで氷浴中で2時間冷却した。1,4−ジブロモブタン(10.8g、50mmol)を添加し、混合物を室温で12時間撹拌した。沈殿物を除去した後、溶媒を蒸発によって除去して、1,4−ビス(N−ベンズイミダゾリル)ブタンを得た。1H NMR(Bruker、400MHz、HO−d2)による1,4−ビス(N−イミダゾリル)ブタンの分析は、以下のピークを示し、構造を確認した。δppm:8.07(s、2H、Haram)、7.625(m、2H、Harom.)、7.447(m、2H、Harom)、7.238(m、4H、Harom)、4.89(m、4H、2×CH−N)、4.25(m、4H、2×CH−NH)、及び1.87(m、4H、2×CH−CH−NH)。
【0090】
1,4−ビス(N−ベンズイミダゾリル)ブタン(1.16g、4mmol)、1,4−ビス(N−イミダゾリル)ブタン(1.14g、6mmol)、及び1,4−ジブロモブタンを、ジメチルホルムアミド中に溶解し、混合物を100℃で24時間加熱した。結果として生じた沈殿物(生成物1)を濾過によって収集し、酢酸エチルによって洗浄した。ベンズイミダゾリウム:イムダゾリウムのモル比は、NMR結果によると、生成物1中で0.82であった。Mが3,348であると決定し、Mが18,602であると決定した。
【0091】
実施例3:
ベンズイミダゾール(4.72g、4mmol)、イミダゾール(4.08g、6mmol)、及び水素化ナトリウム(2.64g、11mmol)を、50mLの無水テトラヒドロフラン中に溶解した。混合物を撹拌し、水素ガスの形成が終わるまで氷浴中で2時間冷却した。1,4−ジブロモブタン(10.8g、50mmol)を添加し、混合物を室温で12時間撹拌した。沈殿物を濾過によって除去した後、50mlのジメチルホルムアミド及び10.8gの1,4−ジブロモブタン(50mmol)を添加した。混合物を100℃で24時間加熱した。結果として生じた沈殿物(生成物2)を濾過によって収集し、酢酸エチルによって洗浄した。ベンズイミダゾリウム:イムダゾリウムのモル比は、NMR結果によると、この生成物中では1.27であった。Mが3,407であると決定し、Mが12,581であると決定した。
【0092】
実施例4
表1の式を有する銅電気めっき浴を6つ調製した。
【0093】
【表1】
【0094】
銅電気めっき浴をハーリングセル内に配置し、以下の表2に開示される順序に従って、300μmの平均径を有する複数の貫通穴を有する厚さ3.2mmの銅被覆FR4/ガラスエポキシパネルを各ハーリングセル内に配置した。
【0095】
【表2】
【0096】
貫通穴を有する各パネルの領域を切断し、取り付け、断面分割した。光学顕微鏡を使用して、各パネルの表面上で銅析出物の厚さ、及び貫通穴における平均厚さを測定した。断面分割後、貫通穴位置直径のために測定された厚さを調節した。パネルの表面にめっきされた金属の平均厚さと比較した、貫通穴の中央においてめっきされた金属の平均厚さの比率を決定することによって、付き回り性を計算した。パネルの平均付き回り性(TP)を表3に記録する。
【0097】
IPC(Northbrook,Illinois,U.S.A.)によって発行された、産業標準手順IPC−TM−650−2.68 Thermal Stress,Plated−through HolesのMay 2004,revision Eに従って、亀裂パーセントを決定した。
【0098】
【表3】
【0099】
イミダゾール部分のみを含有するレベラーを含んだ銅電気めっき浴でめっきしたパネルは亀裂を示さなかったが、ベンズイミダゾール部分を有するレベラーを含んだ銅電気めっき浴はより高い付き回り性を有した。実施例1のレベラーは、58.9%及び61.9%のみのTP%値を有した。対照的に、実施例2及び3のレベラーは、67.7%、71.1%、75.9%、及び88%のTP%値を有した。したがって、ベンズイミダゾール部分を有するレベラーは、改善された付き回り性を有した。