特許第6240765号(P6240765)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6240765
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】アンテナ放射素子及び多重帯域アンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 9/28 20060101AFI20171120BHJP
   H01Q 19/10 20060101ALI20171120BHJP
   H01Q 21/24 20060101ALI20171120BHJP
   H01Q 5/48 20150101ALI20171120BHJP
   H01Q 21/08 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   H01Q9/28
   H01Q19/10
   H01Q21/24
   H01Q5/48
   H01Q21/08
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-527436(P2016-527436)
(86)(22)【出願日】2014年10月20日
(65)【公表番号】特表2016-535512(P2016-535512A)
(43)【公表日】2016年11月10日
(86)【国際出願番号】KR2014009827
(87)【国際公開番号】WO2015068961
(87)【国際公開日】20150514
【審査請求日】2016年4月28日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0133571
(32)【優先日】2013年11月5日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】508112782
【氏名又は名称】ケーエムダブリュ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スチュワート・ウィルソン・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】スン−ウク・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジェ−ファン・リム
(72)【発明者】
【氏名】ソン−ハ・イ
(72)【発明者】
【氏名】スン−フワ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジェ−ホ・ハン
【審査官】 橘 均憲
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−503550(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0114168(US,A1)
【文献】 特表2005−516513(JP,A)
【文献】 特表2012−529827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 9/28
H01Q 5/48
H01Q 19/10
H01Q 21/08
H01Q 21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナに設置される、相互直交する二重偏波のうちの少なくとも一つの偏波を発生する放射モジュールであって、
全体として平面上で相互対称形に組み合わされて構成される少なくとも2個の放射素子を含んで構成され、
前記少なくとも2個の放射素子のそれぞれは、カップ形態の放射アームと、
前記放射アームを前記アンテナの反射板上に固定されるように支持する支持台と、を含み、
前記少なくとも2個の放射素子の放射アームは、相互に組み合わされて前記放射モジュールの前記二重偏波のうちの少なくとも一つの偏波を発生し、
前記少なくとも2個の放射素子のそれぞれの放射アームのカップ形態は、下面及び前記下面を隙間なく囲む形態の側面を含むことを特徴とする放射モジュール。
【請求項2】
前記少なくとも2個の放射素子のそれぞれの放射アームのカップ形態は、
上部が広くかつ下部が狭くなるように段差を有するカップ形態であり、
全体として四角形のカップ形態であることを特徴とする請求項1に記載の放射モジュール。
【請求項3】
前記放射モジュールは、
全体として平面上で四方対称的に組み合わされて構成される第1、第2、第3、及び第4の放射素子を含んで構成され、
前記第1及び第3の放射素子の放射アームは、相互に組み合わされて前記放射モジュールの前記二重偏波のうちの一つの偏波を発生し、前記第2及び第4の放射モジュールの放射アームは、相互に組み合わされて前記放射モジュールの前記二重偏波のうちの他の一つの偏波を発生することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の放射モジュール。
【請求項4】
多重帯域アンテナであって、
接地面を提供する反射板と、
前記反射板上に設置される第1の周波数帯域用の相互直交する二重偏波を発生する第1の放射モジュールと、
前記第1の放射モジュール上に積層されるように設置される第2の周波数帯域用の相互直交する二重偏波を発生する複数個の第2の放射モジュールと、を含み、
前記第1の放射モジュールは、全体として平面上で四方対称的に組み合わされて構成される第1、第2、第3、及び第4の放射素子を含んで構成され、
前記第1、第2、第3、及び第4の放射素子は、各々カップ形態の放射アームと、前記放射アームを前記反射板に固定されるように支持する支持台を含んで構成され、
前記複数個の第2の放射モジュールは、前記第1、第2、第3、及び第4の放射素子の各放射アームにそれぞれ一つずつ設置され、
前記第1、第2、第3、及び第4の放射素子の前記各放射アームのカップ形態の下面は、上側にそれぞれ設置される前記第2の放射モジュールに接地面を提供するための予め設定された面積を有するように設計され、
前記第1及び第3の放射素子の放射アームは、相互に組み合わされて前記第1の放射モジュールの前記二重偏波のうちの一つの偏波を発生し、前記第2及び第4の放射モジュールの放射アームは、相互に組み合わされて前記第1の放射モジュールの前記二重偏波のうちの他の一つの偏波を発生し、
前記第1、第2、第3、及び第4の放射素子のそれぞれの放射アームのカップ形態は、下面及び前記下面を隙間なく囲む形態の側面を含むことを特徴とする多重帯域アンテナ。
【請求項5】
前記第1、第2、第3、及び第4の放射素子のそれぞれの放射アームのカップ形態は、
上部が広くかつ下部が狭くなるように段差を有するカップ形態であり、
全体として四角形のカップ形態であることを特徴とする請求項4に記載の多重帯域アンテナ。
【請求項6】
前記複数個の第2の放射モジュールが積層される前記第1の放射モジュールは、前記反射板上に垂直配列で複数個配置されることを特徴とする請求項4又は5に記載の多重帯域アンテナ。
【請求項7】
前記複数個配置される第1の放射モジュールの間に、前記第2の周波数帯域用の放射モジュールが前記反射板上に追加的にさらに設置されることを特徴とする請求項6に記載の多重帯域アンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信(PCS、Cellular、IMT-2000)基地局や中継器に使用されるのに適しているアンテナに関し、特に、二重偏波アンテナを実現するのに適しているアンテナ放射素子及びそれを用いる多重帯域アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、移動通信の普遍化及び無線広域データ通信の活性化によって、不足した周波数帯域を十分に確保するために、多様な周波数帯域を使用可能なものとしている。主に使用される周波数帯域は、低周波帯域(698〜960MHz)と高周波帯域(1.71〜2.17GHzまたは2.3〜2.7GHz)である。また、多重アンテナ基盤のMIMO(Multiple Input Multiple Output)技術は、データ伝送速度を上げるための必須技術として、LTE(Long Term Evolution)、Mobile WiMAXなどの最近の移動通信ネットワークシステムに適用されている。
【0003】
しかし、多様な周波数帯域でMIMOをサポートするために複数のアンテナを設置するためには設置費用の増加はもちろん、実際外部環境ではアンテナを設置するタワー空間に対する制約が発生する。したがって、二重帯域アンテナまたは三重帯域のアンテナのような多重帯域アンテナが必須のものとして要求されている。多重帯域アンテナは、素子間の干渉影響を最大限減らしつつ、低周波帯域のアンテナ設置空間と同一の空間に高周波帯域のアンテナを挿入する構造を有するため、アンテナ面積、特に、アンテナの幅が最大限効率的に設計されるようにする。このような多重帯域アンテナの例としては、韓国公開特許公報10−2010−0033888号(以下、「特許文献1」と称する)に開示のものが挙げられる。
【0004】
上記特許文献1に開示されるような多重帯域アンテナは、通常、低周波数帯域の第1の放射モジュールと、高周波数帯域の第2の放射モジュール及び/または第3の放射モジュールが、長さ方向に直立する少なくとも一つの反射板上に適切に配置される構造を有する。例えば、第1の放射モジュールが垂直に一列配列され、第2の放射モジュール及び/または第3の放射モジュールが第1の放射素子の左右側に各々垂直に一列配列される構造で配置されることができる。この時、第1の放射モジュール及び第2の放射モジュール及び第3の放射モジュールの各々は、通常、4個の放射素子の4方向で組み合わされ、全体的に垂直(または、水平)に対して+45度と−45度で整列される、相互直交する2個の線形偏波(すなわち、X偏波)を発生する構造を有する。
【0005】
一方、最近は、広域特性を有する放射素子及び放射モジュールが要求されるにつれ、比帯域幅(fractional band width)が約45%ほどの帯域を包括する放射素子が提供されている。このような放射素子は、例えば、1710〜2690MHz帯域の動作特性を有することができる。このような、広域放射素子を利用して多重帯域アンテナを実現する場合には、各帯域の素子間の干渉問題がより深刻に台頭し、これは多重帯域アンテナの効率的な設計の際に、非常に克服し難しい部分として作用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許公報10−2010−0033888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、より最適化された構造を有し、アンテナサイズの最適化を可能にしてアンテナ設計の容易性を提供し、より安定した特性を有するようにするためのアンテナ放射素子及び多重帯域アンテナを提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、放射素子間の干渉を減らし、アンテナの幅をより狭くするか、又は限定された幅内で多重帯域アンテナを容易に実現するためのアンテナ放射素子及び多重帯域アンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するために本発明の一観点によれば、多重帯域アンテナであって、接地面を提供する反射板と、上記反射板上に設置される第1の周波数帯域用の第1の放射モジュールと、上記第1の放射モジュール上に積層されるように設置される第2の周波数帯域用の第2の放射モジュールと、を含み、上記第1の放射モジュールは、全体として平面上四方対称的に組み合わされて構成される第1〜第4の放射素子で構成され、上記第1〜第4の放射素子は、各々カップ形態の放射アーム(arm)と、上記放射アームを上記反射板に固定されるように支持する支持台と、を含んで構成され、上記第2の放射モジュールは、上記第1〜第4の放射素子の各放射アームに設置され、上記第1〜第4の放射素子の上記各放射アームのカップ形態の下面は、上側に設置される上記第2の放射モジュールに接地面を提供するための予め設定された面積を有するように設計されることを特徴とする。
【0010】
本発明の他の観点によれば、アンテナ放射素子であって、カップ形態の放射アームと、上記放射アームを上記アンテナの反射板上に固定されるように支持する支持台と、を含むことを特徴とする。
【0011】
上記で、放射素子のそれぞれの放射アームのカップ形態は、上部が広くかつ下部が狭くなるように段差を有するカップ形態であり、全体的に四角形のカップ形態である。
【発明の効果】
【0012】
上記した通り、本発明による放射素子及び多重帯域アンテナは、より最適化された構造を有し、アンテナサイズの最適化を可能にしてアンテナ設計の容易性を提供し、より安定した特性を有することができる。特に、放射素子間の干渉を減らし、アンテナの幅をより狭くするか、又は限定された幅内で多重帯域アンテナを容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態によるアンテナ放射素子及び多重帯域アンテナの平面構造図である。
図2図1の一側面図である。
図3図1の第1の放射モジュールにおける一つの放射素子の斜視図である。
図4図1の第1の放射モジュールのA−A’部分の切断面図である。
図5図1の第1の放射モジュールのX偏波発生状態を示す概略図である。
図6】本発明の他の実施形態による多重帯域アンテナの平面構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明による好ましい実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。下記説明では具体的な構成素子のような特定事項が示されるが、これは本発明のより全般的な理解を助けるために提供されるだけであって、このような特定事項が本発明の範囲内で所定の変形あるいは変更可能であることは当業者にとっては明らかである。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態によるアンテナ放射素子及び多重帯域アンテナの平面構造図であり、図2は、図1の一側面図であり、図3は、図1の第1の放射モジュールにおける一つの放射素子(例えば、第3の放射素子)の斜視図であり、図4は、図1の第1の放射モジュールのA−A’部分切断面図であり、図5は、図1の第1の放射モジュールのX偏波発生状態を示す概略図であり、図1図5では、一つの反射板5上に一つの第1の放射モジュール10:11、12、13、14と、第1の放射モジュール10上に4個の第2の放射モジュール20−1、20−2、20−3、20−4が設置された構造の多重モードアンテナを例示している。
【0016】
図1図5を参照すれば、本発明の一実施形態による多重モードアンテナは、接地面役割をする反射板5上に設置される、第1の周波数帯域(例えば、698〜960MHz帯域)用の第1の放射モジュール10を基本的に具備する。第1の放射モジュール10は、第1〜第4の放射素子11、12、13、14が全体的に平面上四方対称的に組み合わされて構成されるが、それぞれの第1〜第4の放射素子11、12、13、14は、カップ形態の放射アーム(arm)110、120、130などと、当該放射アームを支持する支持台112、122、132などを含んで構成される。第1〜第4の放射素子11、12、13、14は、配置方向及び位置のみが異なるだけであり、全て同一の構造を有することができる。
【0017】
より詳細に説明すれば、第1の放射素子11の放射アーム110:110a、110bは、上部110aが広くかつ下部110bが狭くなるように段差を有するカップ形態を有し、カップ形態は全体的に四角形であり得る。第1の放射素子11を反射板5上に離隔されるように設置しつつ、これを支持する支持台112は、全体的な第1の放射モジュール10の設置部位で中央側に該当する位置で放射アーム110と一体で延長されて反射板5に固定されるように構成される。この時、支持台112は、反射板5にねじ結合方式や熔接方式などにより付着されて固定されることができる。
【0018】
第2〜第4の放射アーム12、13、14の放射アーム120、130などと支持台122、132なども同様に構成される。このような第1〜第4の放射アーム11、12、13、14は、例えば、全体的に第1の放射モジュール10の全体的な形態で各々右側上部、右側下部、左側下部、左側上部に該当する部分構造を順次的に形成する。
【0019】
一方、図4により明確に図示されるように、このように構成される第1の放射モジュール10の給電構造をみると、ストリップライン構造の第1の給電ライン31は、第1の放射素子11及び第3の放射素子13の放射アーム110、130と非接触カップリング方式で信号を伝達するように第1の放射素子11及び第3の放射素子13の支持台112、132に支持されるように設置され、第2の給電ライン32は、第2の放射素子12及び第4の放射素子14の放射アーム120などと非接触カップリング方式で信号を伝達するように第2の放射素子12及び第4の放射素子14の支持台122などに支持されるように設置される。各支持台112、122、132などは、電気的にはストリップラインに対して接地端の役割をするので、各支持台の長さは、当該処理信号の波長のλ/4によって設計されて、オープン状態(接地状態)になるようにする。
【0020】
この時、各支持台112、122、132の中心縦軸には、第1の給電ライン31及び第2の給電ライン32のストリップラインに対向しつつ予め設定された離隔距離を維持するように構成される平行した面が形成され、各支持台112、122、132などの上記平行した面と第1の給電ライン31及び第2の給電ライン32のストリップラインとの間には、当該給電ラインを支持し、当該給電ラインと当該支持台の間隔が一定に離隔されるように維持する適切な構造のスペーサ(spacer)41、42、43、44が予め設定された位置に設置されることができる。
【0021】
このような給電構造を具備するため、図5に図示されるように、第1の放射素子11の放射アーム110及び第3の放射素子13の放射アーム130は、第1の放射素子モジュール10全体の「X」字偏波のうち、垂直軸に対して+45度の偏波を形成し、第2の放射素子12及び第4の放射素子14の放射アーム120などは−45度の偏波を形成する。
【0022】
上記のように、第1〜第4の放射素子11〜14で構成される第1の放射モジュール10において、第1〜第4の放射素子11〜14のそれぞれの放射アーム110、120、130などには、本発明の一実施形態によって、第1の周波数帯域(例えば、1710〜2690MHz帯域の広域)用X偏波を発生する第2の放射モジュール20−1、20−2、20−3、20−4が各々設置される。第2の放射モジュール20−1、20−2、20−3、20−4の各々は、ダイポールタイプなど、多様な構造で提供される通常的な放射素子でそのままで採用して実現されることができる。
【0023】
図3では、例えば、第2の放射素子13のカップ形態の放射アーム130の下面の中央の部位に第2の放射モジュール20−3が設置される例が図示され、この時、放射アーム130の下面では、当該設置される第2の放射モジュール20−3をねじ結合などを通して設置及び固定し、また第2の放射モジュール20−3の給電ライン設置のための複数のねじ穴134が形成されることが図示されている。
【0024】
この時、第1〜第4の放射素子11〜14のそれぞれの放射アーム110、120、130などがカップ形態を有することは非常に重要な特徴である。より詳細に説明すれば、一次的に、カップ形態の広い面積の下面が上側に設置される第2の放射モジュール20−1、20−2、20−3、20−4に十分な接地面を提供する。アンテナの全体サイズを減らすために、上記と第2の放射モジュールを第1の放射モジュールの上部に積層的に設置することが考慮可能な場合に、実際に実現し難い点は、第2の放射モジュールに十分の接地特性を与えない点である。放射素子の接地面対称性は、放射パターン特性で非常に重要な要素であるが、本発明では、上記のように第1の放射モジュールのそれぞれのカップ形態の放射素子を通してこのような問題点を解消する。
【0025】
また、第1〜第4の放射素子11〜14のそれぞれの放射アーム110、120、130などのカップ形態の側面は、それぞれの放射アーム110、120、130などに設置される第2の放射モジュール20−1、20−2、20−3、20−4に対する第1の放射モジュール10の影響を除去する(または、減らす)役割をして、第2の放射モジュール20−1、20−2、20−3、20−4の放射特性が安定しており、放射パターンのビーム幅を対称的にすることに役立つ。
【0026】
また、第1〜第4の放射素子11〜14のそれぞれの放射アーム110、120、130などのカップ形態は、単純な形態を有することもできるが、本実施形態で、上部110a、120a、130aなどが広くかつ下部110b、120b、130bが狭くなるように段差を有するカップ形態を有することが示される。これは、第1の放射モジュール10及び第2の放射モジュール20の放射特性によって最適化された放射パターンが形成されるように実現されたものであり、例えば、カップ形態の下部110b、120b、130bなどは、内部に設置される第2の放射モジュール20−1、20−2、20−3、20−4の放射特性を最適化できるように第2の放射モジュール20との間隔を考慮して設計され、カップ形態の上部110a、120a、130aなどは、周囲に設置される他の第1の放射モジュール(の放射アーム)との間隔を考慮して設計される。
【0027】
このように、本発明の第1の放射モジュール10に第2の放射モジュール20が積層される構造を有することができ、このような積層構造をみると、比較的低周波帯域の第1の放射モジュールの放射素子が第1の周波数帯域の放射素子の役割をすると共に、第2の放射モジュールの接地部の役割を実行するようにすることが分かる。すなわち、第1の放射モジュールの放射素子は、第2の放射モジュールの反射板の役割をする。
【0028】
上記のような構成を有することによって、従来技術の問題点である帯域間の相互影響を減らすことができる。
【0029】
図6は、本発明の他の実施形態による多重帯域アンテナの平面構造図である。まず、図6の(a)に図示の構造を見ると、図6の(a)には図1図5に図示の構造と同一の構造を有することができる、複数の第2の放射モジュールが積層された第1の放射モジュール10−1、10−2、10−3、10−4、10−5などが反射板5上に垂直に相互間の適切な間隔をおいて配置される構造が図示されている。この場合に、第1の放射モジュール間の間隔は、当該第1の放射モジュールの放射特性及び第2の放射モジュールの放射特性を全体的に考慮して適切に設定される。
【0030】
図6の(b)に図示の構造を見ると、図6の(b)には図1図5に図示の構造と同一の構造を有することができる、複数の第2の放射モジュールが積層された第1の放射モジュール10−1、10−2、10−3、10−4、10−4などが反射板5上に垂直に相互間の適切な間隔をおいて配置される構造が図示されると共に、少なくとも一部の第1の放射モジュール10−1、10−2、10−3、10−4、10−4間には反射板5に直接設置される第2の放射モジュール20−5、20−6、20−7、20−8、20−9、20−10が追加的にさらに設置される構造が図示されている。もちろん、この場合に、第1の放射モジュール間の間隔は、第1の放射モジュール及び第2の放射モジュールの全体の放射特性を考慮して適切に設定される。
【0031】
上記の通りに本発明の一実施形態によるアンテナ放射素子及びそれを利用した多重帯域アンテナ構成及び動作が行われることができ。一方、上記した本発明の説明では具体的な実施形態に関して説明したが多用な変形が本発明の範囲を逸脱せずに実施されることができる。
【0032】
例えば、上記の説明では一つの反射板上に本発明の実施形態による第1の放射モジュールが複数個垂直に一列に配列されることを図示したが、この他にも本発明の他の実施形態では第1の放射モジュールが複数個垂直に2列以上に配列される構造を有することができる。もちろん、この場合に第1の放射モジュールの全体または少なくとも一部には第2の放射モジュールが積層されるように設置されることができる。
【0033】
また、上記の説明では第1の放射モジュールに第2の放射モジュールが常に積層される形態で設置されることを例示しているが、図6の(a)で10−6で示し、図6の(b)で10−5で示すように、第2の放射モジュールが積層されずに、第1の放射モジュール単独で設置されることも可能であり得る。
【0034】
このように、本発明の多様な変形及び変更が可能であり、したがって、本発明の範囲は、説明された実施形態によって定められるべきではなく、特許請求の範囲及び特許請求の範囲と均等な物によって定められるべきである。
【符号の説明】
【0035】
10 第1の放射モジュール
11、12、13、14 放射素子
20 第2の放射モジュール
31、32 給電ライン
41、42、43、44 スペーサ
110、120、130 放射アーム
112、122、132 支持台
134 ねじ穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6(a)】
図6(b)】