(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コンピュータ使用可能プログラムコードは、前記複数のノズルの噴射タイミングを遅延させることによって、前記複数のノズルの噴射タイミングを調節する、請求項1に記載のプリンタ。
前記ドット列の単一のドット列ピクセルは、11個のサブピクセルに分割され、1回のノズル噴射は、ドット列が1200dpiドット列の幅の1/11だけ調節され、その結果、1インチの1/13200だけラインの移動が生じるように遅延される、請求項1〜4の何れか一項に記載のプリンタ。
前記ノズルの前記噴射タイミングの調節により、前記プリントヘッドを動作させているプリンタの機械的欠陥により生成される走査軸方向における誤差が訂正される、請求項6に記載の方法。
前記一群のノズルのうちの複数のノズルの噴射を遅延させることにより、前記プリントヘッドを動作させているプリンタの機械的欠陥により生成される走査軸方向における誤差が訂正される、請求項11に記載のコンピュータプログラム製品。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下の説明では、本発明のシステム及び方法を完全に理解してもらうために、説明の都合上、多数の具体的詳細が記載される。ただし、本装置、システム、及び方法は、それらの具体的詳細なしに実施される場合もある。本明細書における「一例」、又はそれに類する言葉の記載は、その例に関して説明された特定の機構、構造、又は特性が、記載されたように含まれるが、例によっては、含まれない場合もあることを示している。
【0006】
本明細書、及び添付の特許請求の範囲において、「媒体」という語は、インクジェット・プリントヘッドがその上に流体を堆積させることができる任意の基板を意味するものとして、広く解釈されるべきである。一例において、媒体は紙であり、流体はインクである。
【0007】
また、本明細書、及び添付の特許請求の範囲において、「プリミティブ」という語は、単一の下位分解能噴射サイクルを共に形成する単一のノズル列中の一群のノズルを意味するものとして、広く解釈されるべきである。従って、プリントヘッドの単一のペンは、複数のダイを含む場合があり、各ダイは、複数列のノズルを含み、それらのノズルは、複数のプリミティブ、すなわち複数のノズル群にさらに分割されている場合がある。
【0008】
さらに、本明細書、及び添付の特許請求の範囲において、「走査軸」という語は、時間領域における「時間軸」の距離領域等価要素を意味するものとして、広く解釈されるべきである。媒体を横切って走査されるプリントヘッドの、媒体に対して、プリントヘッドが媒体を横切って走査する方向が、走査軸である。一部の例において、媒体に対するペンの相対運動は、媒体がプリンタ内に供給されることによって生じる。他の例において、相対運動は、プリントヘッドが媒体を横切って走査軸方向に移動することによって生じる。さらに別の例において、相対運動は、プリントヘッドと媒体が移動すること、及び、それらが相対的に移動することによって生じる。印刷の際、個々のノズルは、走査軸方向に沿って、特定のデジタル・タイムスロットにおいて噴射される場合がある。
【0009】
さらに、本明細書、及び添付の特許請求の範囲において、「複数の」という語、又はそれに類する言葉は、1から無限大までを含む任意の正の数を意味するものとして、広く解釈されるべきである。ゼロは、数ではなく、数の不在を意味している。
【0010】
上記のように、プリンタによって生成される印刷出力のクオリティは、インクジェットプリンタ購入者にとって重要な特徴である場合があり、従って、プリンタ製造業者は、高レベルの印刷クオリティを提供しようと試みる場合がある。高い印刷クオリティを提供するためには、プリントヘッドの各ノズルが一貫して、所望の量のインクを媒体上の適切なピクセル位置に正確に堆積させ、丸い斑点、すなわちドットを生成することができなければならない。インク滴は、媒体上でドット列内に堆積される場合がある。
【0011】
例えば、1200ドット・パー・インチ(DPI)のグリッド上で複数のノズルが噴射される場合、複数の個別のノズルが、単一ピクセルの複数のサブピクセル内において噴射される場合がある。一部の例において、ドット列内の1つの1200dpiピクセルは、例えば、11個のサブピクセルに、さらに分割される場合がある。この例では、それによって、プリンタは、13200dpiで印刷することが可能になる。ドット列上の各ピクセルを複数のサブピクセルに分割することによって、あたかも全ノズルが同時に噴射されたかのような形で、限られた量のパワー(この例では、通常のパワーの1/11)をプリントヘッドに提供することが可能になる。1200dpiピクセルの各々が、11以外の複数のサブピクセルに分割される他の例も存在する。
【0012】
個々のノズルの噴射シーケンスが、
図1に示されている。
図1は、本明細書に記載された原理の一例による、プリントヘッドの複数のノズルについて噴射タイミングを示す時間領域スプレッドシート(100)である。スプレッドシート(100)は、噴射中のノズルを表す横軸を含む:複数のノズルが、プリミティブとして1つにグループ化されている(すなわち、P1、P3など)。11個のアドレス(0〜10)の組は、単一の1200ピクセルを分解して出来た11個のサブピクセルを表している。従って、縦軸は、噴射タイミング0〜10が1インチの1/1200の間に発生するような、それらのノズルの噴射タイミングを表している。スプレッドシート(100)は、全ノズルを一度に噴射するのではなく、代わりに、11個一組のノズルのうちの各ノズルの噴射を時間的に分散させるスミアリング技術を表している。また、スプレッドシート(100)において、各「0」は、ノズルが噴射されない点であることを示し、「1」は、ノズルが噴射される点であることを示している。従って、噴射パターン(105)は、個々のノズルが噴射されることを示しているが、媒体上の1インチの1/1200だけ前又は後のラインにおいては、それらのノズルは噴射されない。本明細書、及び添付の特許請求の範囲において、「媒体」という語は、インクジェット・プリントヘッドがその上に流体を堆積させることができる任意の基板を意味するものとして、広く解釈されるべきである。一例において、媒体は紙であり、流体はインクである。
【0013】
図1は、単一のプリミティブ、すなわち、一群のノズルのうちのどのノズルが噴射されるかを示している。ただし、一群中のノズルは、複数の順序で噴射される場合がある。一例において、ノズルの噴射順序は、2、9、5、1、8、4、0、7、3、10及び6の順序である。本明細書は、この「飛び飛び」の順序でそれらの番号が付されたノズルの噴射を説明する場合があるが、例によっては、噴射順序は、変更される場合がある。すなわち、この説明では、様々な噴射順序を想定している。ただし、この噴射順序によれば、もしノズルが番号順に噴射された場合、鋸歯形状が印刷されることなく、ラインの比較的良好な近似を得ることができる。
【0014】
しかしながら、上で説明したスミアリング技術は、各適当なノズルを同時に噴射しないという欠点を有している。そのため、上で説明したような下位群のノズルのこの噴射は、プリントヘッドが媒体を横切って走査する方向において、SAD(Systematic scan Axis Directionality)エラー、又は位置誤差を生じさせる結果となる。
【0015】
上記スミアリング技術に関する問題を克服するために、千鳥状のペンが使用される場合がある。千鳥状のペンでは、
図1に関連して説明された噴射順序を補うために、ペンのノズルの各々が、走査軸の方向に移動されている。
図2は、他の例によるプリントヘッドの複数のノズルについて噴射タイミングを示す距離領域スプレッドシート(200)である。
図2に示されたノズルは、プリントヘッド上の隣りのノズル列内の隣のノズルと垂直方向又は水平方向に整列しないように、
図1において説明されたようなノズルの位置から、物理的に移動されている。
【0016】
ただし、
図2のスプレッドシートにおいては、たとえ時間領域ではノズルのプリミティブ内の各ノズルが11を超える位置で噴射されていても、各ノズルのペン上の物理的位置によって、距離領域では、噴射により形成されるドットが同じ位置に付与されるようなノズルの噴射が可能である。そのため、ノズルの機械的配置によって、時間領域から距離領域への変換が得られる。ノズルのこの代替配置では、1つの問題が顕著に現れる。例によっては、インクがペン内を移動しなければらない流体経路は、ノズルがインクを堆積させる態様に影響を及ぼす場合がある。事例によっては、ノズルの各々のマイクロ流体特性は、互いに異なる場合があり、また、期待されるものとも異なる場合がある。代わりに今度は、各ノズルが、ペンにより印刷される如何なるラインにも認識可能なパターンを形成することができるようなフロー特性を備えている場合がある。
【0017】
さらに、千鳥状のペンを用いる一部の事例においては、ペン全体を印刷方向に対して正確に直角な向きでプリンタに配置することは、できない場合がある。そのため、もしペンが印刷方向に対して直角から外れていた場合、ペンは、ゆがんだ形で印刷を行うことがある。さらに、種々のダイは、走査軸方向において、互いに物理的にオフセットされている場合がある。さらにまた、印刷画像は、単一の列により形成された非直線的形状を有する場合がある。千鳥状のペンにおいてこの誤差を訂正するために、フルドット列補正が使用される場合がある。本明細書、及び添付の特許請求の範囲において、「フルドット列」という語は、1本の1200dpi列中の1本の1/1200ライン全体を意味するものと、解釈されるべきである。この補正は、
図3において見ることができる。
図3は、さらに別の例による、プリントヘッドの複数のノズルについて噴射タイミングを示す距離領域スプレッドシート(300)である。このスプレッドシート(300)では、千鳥状のペンにおいて、複数のノズルの噴射を新たな1200dpiドット列へ移動させることによって、走査軸方向誤差を補正している。この場合、直線が描かれているが、シータ−Z誤差を有しており、複数のノズルの噴射は、1インチの1/1200のラインまるまる1本分だけ移動されている。シータ−Z誤差とは、1本の直線が複数のバラバラの線分として光学的に分解される際の走査軸誤差である。上記の方法は、フルドット列(FDR)補正と呼ばれることがある。千鳥状のペンに一般的に関係する上記問題の他に、この形でのFDR補正の実施は、印刷物に顕著な欠陥を生成する。例えば、ライン上の破断がある場所でFDR補正を使用してラインをシフトさせた場合、比較的粗い形状が現れる。また、複数の色を噴射するペンを用いて、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラック以外の色を生成する場合、カラーペンの一部は、同じFDR補正を使用してノズルを噴射することができないことから、色の組み合わせを適切に実施することができない場合がある。その結果、色は、意図するものとは異なる見え方になる場合がある。
【0018】
次に、
図4に移ると、本明細書に記載された一例による、印刷システム(400)が示されている。印刷システム(400)は、プリンタ(405)、画像ソース(410)、及び媒体(415)を含む場合がある。プリンタ(405)は、コントローラ(420)、プリントヘッド運動機構(425)、媒体運動機構(430)、インタフェース(435)、及びプリントヘッド(440)を含む場合がある。コントローラ(420)は、プロセッサ(445)、及びデータ記憶装置(450)を含む場合がある。次に、これらの各々について、より詳細に説明する。
【0019】
プリンタ(405)は、画像ソース(410)と接続するためのインタフェース(435)を含む場合がある。インタフェース(435)は、プリンタ(405)を画像ソース(410)に接続する有線又は無線の接続である場合がある。画像ソースは、そこからプリンタ(405)が、画像を媒体(415)上に印刷するためにプリンタ(405)のコントローラ(420)によって実行すべきプリントジョブを表すデータを受け取ることができる如何なるソースであってもよい。一例において、画像ソースは、プリンタ(405)と通信する計算装置であってもよい。
【0020】
インタフェース(435)によれば、プリンタ(405)、及び、より具体的にはプロセッサ(420)は、プリンタの内外にある画像ソース(410)のような種々の他のハードウェア要素と接続することが可能となる。例えば、インタフェース(435)は、例えば、表示装置、マウス、又はキーボードのような入出力装置と接続される場合がある。インタフェース(435)は、外部記憶装置や、例えばサーバ、スイッチ及びルータのような複数のネットワーク・デバイス、クライアント・デバイス、他のタイプの計算装置のような他の外部装置、並びにそれらの組み合わせへのアクセスをさらに提供する場合がある。
【0021】
プロセッサ(445)は、データ記憶装置(450)から実行可能コードを読み出し、その実行可能コードを実行するためのハードウェア・アーキテクチャを含む場合がある。実行可能コードは、プロセッサ(445)により実行されたとき、プロセッサ(445)に、本明細書に記載された方法に従って、少なくとも、媒体(415)上に印刷を行い、プリントヘッド運動機構及び媒体運動機構(425、430)を駆動する機能を実施させる。コードの実行中、プロセッサ(445)は、残りのハードウェア・ユニットの複数から入力を受け取り、それらに出力を提供する場合がある。さらに、プロセッサは、データ記憶装置(450)から、コンピュータ使用可能プログラムコードの形で、ファームウェアを受け取る場合がある。ファームウェアは、プロセッサにより実行されたときに、プリントヘッドの一群のノズルのうちの複数のノズルの噴射タイミングを1ドット列の一部だけ調節するためのコンピュータ使用可能プログラムコードを含む場合がある。これは、その一群のノズルのうちの複数のそれらのノズルの噴射を選択的に遅延させることにより達成される場合がある。
【0022】
データ記憶装置(450)には、プロセッサ(445)又は他の処理装置により実行される実行可能プログラムコードのようなデータが記憶されている場合がある。データ記憶装置(450)には、具体的には、少なくとも本明細書に記載された機能を実施するためにプロセッサ(445)によって実行される複数のアプリケーションを表すコンピュータコードが記憶されている場合がある。
【0023】
データ記憶装置(450)は、揮発性及び不揮発性のメモリのような、種々のタイプのメモリ・モジュールを含む場合がある。例えば、本例のデータ記憶装置(450)は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リード・オンリー・メモリ(ROM)、及びハード・ディスク・ドライブ(HDD)メモリを含む。多くの他のタイプのメモリも使用することができ、本明細書は、データ記憶装置(450)において、本明細書に記載された原理の特定の応用形態に適合するような多数の異なるタイプのメモリの使用を想定している。一部の例では、様々なデータ記憶ニーズに備えて、様々なタイプのメモリが、データ記憶装置(450)において使用される場合がある。例えば、一部の例において、プロセッサ(445)は、リード・オンリー・メモリー(ROM)(450)からブートされ、ハード・ディスク・ドライブ(HDD)メモリ上の不揮発性記憶装置に保持され、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)に記憶されたプログラム・コードを実行する場合がある。
【0024】
一般に、データ記憶装置(450)は、とりわけ、コンピュータ読取可能媒体、コンピュータ読取可能記憶媒体、又は非一時的コンピュータ読取可能媒体を含む場合がある。例えば、データ記憶装置(450)は、限定はしないが、電子的、磁気的、光学的、電磁気的、赤外線による、又は半導体のシステム、装置、若しくはデバイス、又は前記の任意の適当な組み合わせであってもよい。コンピュータ読取可能記憶媒体のより具体的な例としては、例えば、次のものが挙げられる:複数のワイヤを有する電気接続、ポータブル・コンピュータのフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リード・オンリー・メモリ(ROM)、消去可能なプログラマブル・リード・オンリー・メモリ(EPROM又はフラッシュ・メモリ)、ポータブル・コンパクト・ディスク・リードオンリー・メモリ(CD−ROM)、光学的記憶装置、磁気的記憶装置、あるいは前記の任意の適当な組み合わせ。本文書のコンテキストにおいて、コンピュータ読取可能記憶媒体は、命令実行システム、装置若しくはデバイスによって使用される、又はそれらに関係するコンピュータ使用可能プログラムコードを格納し、あるいは記憶することができる如何なる有形媒体であってもよい。他の例において、コンピュータ読取可能記憶媒体は、命令実行システム、装置若しくはデバイスによって使用される、又はそれらに関係するプログラムを格納し、あるいは記憶することができる如何なる非一時的媒体であってもよい。
【0025】
プリントヘッド運動機構及び媒体運動機構(425、430)は、プリントヘッド(440)及び媒体(415)をそれぞれ動かすことができる機械的装置を含む。プリントヘッド(440)及び媒体(415)を動かすための命令は、コントローラ(420)によって受け取られ、処理される場合があり、種々の信号が、コントローラ(420)からプリントヘッド(440)及び媒体運動機構(430)へ送信される場合がある。
【0026】
上で述べたように、プリントヘッド(440)は、複数のノズルを含む場合がある。一部の例において、プリントヘッド(440)は、複数の色を備えた複数のペン(455)を含む場合がある。
図4に示した例では、プリントヘッド(440)は、単一のペン(455)である。しかしながら、プリンタ(405)は、複数のペン(455)を含む場合があり、
図4は、単に一例を意味している。各ペンは、複数のダイ(460)をさらに含む場合がある。それらのダイ(460)は各々、複数列のノズルを含む場合がある。参考のために、
図4は、ノズル軸矢印(465)、及び走査軸矢印(470)を含んでいる。ノズル軸矢印(465)は、各ノズル列内におけるノズルの軸を示している。走査軸矢印(470)は、ペン(455)が媒体(415)を横切って走査する方向を示している。
【0027】
各ダイ(460)内のノズル列の数は、変更される場合がある。一例において、ノズル列の数は、8である場合がある。さらに、各ダイ(460)内の複数のノズル列は、複数の列群に分解される場合があり、各列群が、それらの列内のノズルから異なる色の流体又はインクを噴射する場合がある。一例において、8列のノズルを有するダイ(460)は、4つの群に分解される場合があり、各群が2つの列を含み、各群が、それらのノズルから異なる色を噴射する場合がある。この例では、色は、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックを含む場合がある。ペン(455)、ダイ(460)、列の群、及び列の数は、変更されてもよく、本出願は、それらの要素の各々の数が、互いに独立した様々な数であることを想定している。
【0028】
複数列のノズルは、プリミティブに、すなわち、単一の噴射サイクル中に一斉に動作するノズル群に、さらに分割される場合がある。この場合も、各プリミティブ内のノズルの数は、変更されてもよく、本出願は、プリミティブ内における任意数のノズルを想定している。一例において、単一のプリミティブは、11個のノズルを含む場合がある。2列のノズルを使用して単一色の流体を噴射する例では、ノズル軸、すなわち、ノズルの列が存在する軸における1/1200間隔を実現するために、任意の2つのノズル列が、1インチの1/1200だけ互いにオフセットされる場合があり、個々の列における各ノズルは、1インチの1/600だけ互いに間隔を空けて設けられる場合がある。
【0029】
次に、
図5A及び
図5Bに移ると、本明細書に記載された原理の2つの例による、2つのタイプのノズルレイアウトが示されている。
図5Aは、非千鳥状のプリントヘッド(505)のダイ内の複数のノズルのレイアウトを示し、
図5Bは、千鳥状のプリントヘッド(510)のダイ内の複数のノズルのレイアウトを示している。
図5Aでは、一列内の各ノズルが、同じノズル列内で互いのノズル(515)と整列するように、ノズル(515)は非千鳥状になっている。
図5Bでは、単一のノズル列内の何れの所与のノズル(520)も、その同じ列における何れの他のノズル(520)とも整列しないように、ノズル(520)は千鳥状になっている。一例において、この千鳥化(千鳥配置)は、走査軸方向において、1インチの1/1200にわたって実施される場合がある。従って、千鳥状のペンのダイ(
図4、460)上のノズルは、
図1の説明によるノズルの噴射順序により
図1に記載されたような領域スプレッドシートが作成され、それによって、非千鳥状のペンの時間領域態様が元に戻されるようにレイアウトされることが見て取れる。
【0030】
図5A及び
図5Bはそれぞれ、プリントヘッド(505、510)内に画定された複数のノズルを示している。さらに別のノズル(510、520)がプリントヘッド(505、510)内に画定される場合もあり、本明細書は、任意数のノズル(515、520)を想定している。一例において、ノズル(515、520)の数は、42,240ノズルである場合があり、その数のノズル(515、520)が、異なるプリミティブに分解される場合がある。一例において、群の数は11である場合があり、それによって、ノズルは3840ノズルの群に分解され、任意の所与の群内のそれらのノズルの各々が、同時に噴射される場合がある。
【0031】
図6は、本明細書に記載された原理の一例による、プリントヘッドの複数のノズルについて噴射タイミングを示す距離領域スプレッドシート(600)である。スプレッドシート(600)は、非千鳥状のノズルレイアウトを有するプリントヘッドを示している。大括弧(605)は、ページ上にラインを形成するために噴射されるノズルを、「1」を使用して強調して示している。「0」は、噴射されていないノズルを示している。スプレッドシート(600)上の1200dpi行の約5と1/2の位置に、中心線(610)が示されている。この場合、「5と1/2」ラインは、媒体(
図4、415)上に印刷されたラインの中心にほぼ等しい。
【0032】
次に
図7に移ると、
図6に記載した原理の例による、プリントヘッドの複数のノズルについて噴射タイミングを示す距離領域スプレッドシート(600)が、再び示されている。この場合、
図7は、走査軸方向に約1/2ドット列の位置において噴射される少なくとも1つのプリミティブを備えた非千鳥状のノズル列を示しており、そこでは:フルドット列全体が、約1/2ドット列だけ、すなわち、5/11だけ、走査軸方向に移動されている。従って、
図7において、ドット列は半分だけ移動される場合があり、それによって、より多くの画定されたラインが印刷画像上に形成され、シータ−Z誤差のような印刷システム(400)内の任意の誤差を訂正する能力が形成される。中心線(605)は、5と1/2ラインから10と1/2ラインまで移動される一方、隣りのノズル・プリミティブの中心線は、5と1/2ラインに留まる。実際には、任意のノズル列に沿った任意のポイントにおいて、任意のノズル・プリミティブを上記のようにシフトすることができる。
図6における影付きブロック及び矢印から見て取れるように、ノズル1、2、5、8及び9の噴射は、まるまる1サイクルだけ遅延されている一方、ノズル0、3、4、6、7及び10の噴射は遅延されていない。従って、噴射ノズルの半分をまるまる1サイクルだけ、すなわち、スプレッドシート(700)上の11個分の位置だけ遅延させることによって、
図7に示したような噴射パターンと共にフルドット列補正を使用することにより、フルドット列より少ない補正が実現される。
【0033】
図8もまた、本明細書に記載された原理の一例による、プリントヘッドの複数のノズルについて噴射タイミングを示す、
図6の距離領域スプレッドシートである。
図8に示した例では、フルドット列を1/4距離だけシフトさせることによって、四分の一ドット列が実現される。この場合も、これは、ノズルの四分の一の噴射を噴射サイクルの四分の一だけ遅延させることによって達成される場合がある。この例では、そのようにシフトされたライン、又はラインの一部が、フルドット列の約1/5だけ、すなわち2/11だけ移動されている。具体的には、ノズル2及び9が、フルドット列だけ移動され、ノズル0、1、3、4、5、6、7、8及び10は、移動されていない。
【0034】
図9もまた、本明細書に記載された原理の一例による、プリントヘッドの複数のノズルについて噴射タイミングを示す、
図6の距離領域スプレッドシートである。
図9に示した例では、1個のノズルは遅延され、他の全てのノズルは遅延されないような形で、フルドット列が、その幅の1/11だけ調節されている。具体的には、ノズルの噴射順序は、2、9、5、1、8、4、0、7、3、10及び6の順序であるから、ノズル2は遅延されるが、他の全てのノズルは遅延されない。従って、ラインは、フルドット列の1/11だけ移動され、実際には、1200dpiピクセルの1つのサブピクセルだけ移動される。これによって、
図6及び
図7において説明したような印刷ラインのより一層細かい調節が可能となり、ラインを1/11だけ、又は1インチの1/13200だけ動かすことが可能となる。
図6、
図7、
図8、及び
図9は、単一の1200dpiピクセルを11個のサブピクセルに分解する状況を示しているが、本明細書は、上記のようなラインシフトによってより高い分解能を実現するために、1200dpiピクセルをより多くのサブピクセルに分解することも想定している。さらに、1インチの1/1200の走査軸分解能サイクルは、単なる例であり、分解能サイクルは、実行の際にコンピュータプログラムコードを変更することによって変更される場合がある。
【0035】
図6〜
図9に関係して上で説明したような補正によれば、比較的向上された分解能での印刷が可能になるとともに、プリンタ(
図4、405)の機械部品における小さな欠陥により生じることがある誤差に対し、、ペン、ダイ、及び/又はノズルをより正確に調節することが可能となる。斜めに印刷されたであろうラインを、今まで見たことが無いほどの極めて高い精度で、今度は横向きに印刷することができる。
図6〜
図9は、印刷すべきラインの一部を示しているが、本明細書に記載された原理は、本明細書に記載された向上された分解能を有する、如何なる長さのラインの印刷にも拡張することができる。実際、ある距離にわたって任意の特定のノズルの遅延を調節することによって、湾曲したラインは、あまり鋸歯状に見えないようになることがあり、よりはっきりと見えるようになる場合がある。さらに、本システム及び方法が、プリンタ(
図4、405)の電子回路を変更するコストを増加させることはなく、従って、製造コストを抑えることができる。
【0036】
図10は、本明細書に記載された原理の一例による、印刷文書の分解能を調節する方法を示すフロー図である。この方法は、プロセッサ(
図4、445)が、プリントヘッドの一群のノズルのサブセットの噴射をフルドット列だけ遅延させることによって、プリントヘッドの一群のノズル内の複数のノズルの噴射タイミングをフルドット列の一部だけ調節すること(1005)から開始される場合があり、ノズルのサブセットは、一群のノズルよりも少ない。上記のように、調節されるノズルの数は、ユーザがラインを調節すべきことを命じる際の意図する量に応じて決まる場合がある。具体的には、プロセッサは、ドット列の各ピクセルが11個のサブピクセルに分割されている1200dpiドット列において、1インチの1/13200単位で、プリミティブ・ライン・セグメントの補正を調節する。
【0037】
さらに、印刷文書の分解能を調節するためのコンピュータプログラム製品もまた、本明細書に記載される。コンピュータプログラム製品は、コンピュータ使用可能プログラムコードがそこに具現化されたコンピュータ読取可能記憶媒体を含む場合があり、コンピュータ使用可能プログラムコードは、プロセッサによって実行されたときに、プリントヘッドの一群のノズルのうちの複数のノズルの噴射を1ドット列の一部だけ遅延させるコンピュータ使用可能プログラムコードを含む。プリントヘッドのノズルが互いのノズルに対して垂直又は水平に整列されるように、プリントヘッドのノズルは、非千鳥状である場合がある。
【0038】
本明細書、及び図面は、印刷文書の分解能を調節するためのプリンタ及び方法を記載している。プリンタは、非千鳥状のプリントヘッドにおいて、一群のノズルのうちの複数のノズルの噴射タイミングを1ドット列の一部だけ調節することにより、印刷ラインの選択的調節を提供する。本プリンタ及び方法は、プリンタの余分なハードウェア又は再設計に起因する僅かな製造コストの追加だけで、又は製造コストの追加なしに、印刷文書のより高い分解能が得られることを含む、多数の利点を有する場合がある。
【0039】
上記の説明は、記載した原理の例を図示説明するために提示したものである。この説明は、原理を網羅的に記載することも、原理を開示した何れかの形態に厳密に限定することも、意図していない。上記の教示に鑑みて、多数の修正及び変形が可能である。