(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本開示の一実施形態による、サンプル検出容器の分解斜視図である。
【
図2】
図1のサンプル検出容器の分解側断面図である。
【
図3】
図1及び
図2のサンプル検出容器の拡大側断面図である。
【
図3A】それぞれ本開示の別の実施形態による、サンプル検出容器の拡大側断面図である。
【
図3B】それぞれ本開示の別の実施形態による、サンプル検出容器の拡大側断面図である。
【
図3C】それぞれ本開示の別の実施形態による、サンプル検出容器の拡大側断面図である。
【
図4】
図1〜
図3のサンプル検出容器の側面図を示し、本開示の一実施形態によるサンプル検出方法を例示している。
【
図5】
図4に例示された
図1〜
図4のサンプル検出容器の一部分の拡大概略部分断面図である。
【
図6】本開示の別の実施形態による、サンプル検出容器の分解斜視図である。
【
図7】
図6のサンプル検出容器の分解側断面図である。
【
図8A】容器を反転したときの比較サンプル検出容器での流体力学の概略図である。
【
図8B】容器を反転したときの比較サンプル検出容器での流体力学の概略図である。
【
図8C】容器を反転したときの比較サンプル検出容器での流体力学の概略図である。
【
図8D】容器を反転したときの比較サンプル検出容器での流体力学の概略図である。
【
図10】本開示の一実施形態による第1の容器アセンブリの分解斜視図であり、第1の容器アセンブリは貯蔵部及びフィルター部を含む。
【
図12】本開示の一実施形態による、第2の容器アセンブリの分解斜視図であり、第2の容器アセンブリは、
図10〜
図11のフィルター部、並びに
図1〜
図3、
図4、及び
図5のサンプル検出容器を含む。
【
図13】
図12の第2の容器アセンブリの組立側断面図である。
【
図14】
図10〜
図11の第1の容器アセンブリ及び
図12〜
図13の第2の容器アセンブリの側面図を示す、本開示の別の実施形態によるサンプル検出方法を例示している。
【
図15A】実施例で使用した比較サンプル検出容器であるSMD1の側断面図であり、SMD1は単一のマイクロキャビティと、45°の有効角度αを有する壁部とを含む。
【
図16A】実施例で使用した一実施例のサンプル検出容器であるSMD2の側断面図であり、SMD2は単一のマイクロキャビティと、60°の有効角度αを有する壁部とを含む。
【
図17A】実施例で使用した比較サンプル検出容器であるSMD3の側断面図であり、SMD3は単一のマイクロキャビティと、45°の有効角度αを有する壁部とを含む。
【
図18A】実施例で使用した一実施例のサンプル検出容器であるSMD4の側断面図であり、SMD4は単一のマイクロキャビティと、60°の有効角度αを有する壁部とを含む。
【
図23A】実施例であるSDM3及びSMD4のマイクロキャビティ内部の細菌の光学顕微鏡写真である。
【
図23B】実施例であるSDM3及びSMD4のマイクロキャビティ内部の細菌の光学顕微鏡写真である。
【
図24A】実施例9に従って試験された様々な有効角度を有する容器の側断面図である。
【
図24B】実施例9に従って試験された様々な有効角度を有する容器の側断面図である。
【
図24C】実施例9に従って試験された様々な有効角度を有する容器の側断面図である。
【
図24D】実施例9に従って試験された様々な有効角度を有する容器の側断面図である。
【
図24E】実施例9に従って試験された様々な有効角度を有する容器の側断面図である。
【
図24F】実施例9に従って試験された様々な有効角度を有する容器の側断面図である。
【
図24G】実施例9に従って試験された様々な有効角度を有する容器の側断面図である。
【
図24H】実施例9に従って試験された様々な有効角度を有する容器の側断面図である。
【
図24I】実施例9に従って試験された様々な有効角度を有する容器の側断面図である。
【
図24J】実施例9に従って試験された様々な有効角度を有する容器の側断面図である。
【0006】
本開示のいずれかの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明に記載されるか、又は以下の図面に例示される構成の詳細及び構成要素の配置に、その適用が限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な態様で実施又は実行することができる。また、本明細書で使用される専門語句及び専門用語は説明を目的としたものであり、発明を限定するものとして見なされるべきものではない点は理解されるべきである。「含む(including)」、「備える・含む(comprising)」、又は「有する(having)」、及びこれらの変化形は、その後に列記される要素及びそれらの均等物、並びに更なる要素を包含することを意味する。特に特定又は限定されないかぎり、「連結された」なる用語及びその変形は広義で用いられるものであり、直接的及び間接的な連結の両方を包含するものである。他の実施形態が利用されてもよく、また、構造的又は論理的な変更が、本開示の範囲から逸脱することなくなされ得ることを理解されたい。更に、「上部」、「下部」等のような用語は、要素の互いの関係を記載するためにのみ使用され、装置の特定の向きを述べること、又は装置に必要である又は要求される向きを指示すること、若しくは暗示すること、あるいは本明細書に記載される本発明が、使用中にどのように使用されるか、搭載されるか、表示されるか若しくは設置されるかを特定することを必要としない。
【0007】
目的とする検体の検査を要するサンプルは様々であり、検体がサンプル中に低濃度で存在している可能性がある。例えば、水安全性試験の規制では、水100mL中、1コロニー形成単位(CFU)の目的菌を検出可能な試験装置が要求される場合がある。このような低濃度を適正な時間内で、まして「迅速な」時間枠で検出することは、以下に詳細を記載するように困難又は不可能であり得る。検出時間を短縮するためには、場合によってサンプルを小体積に濃縮する必要がある。すなわち、より短時間で分析技術の検出閾値に達するように、目的の検体を適切な濃度に到達させるには、場合により数桁単位でのサンプルの濃縮が必要な場合がある。
【0008】
いくつかの既存のシステム及び方法において、遠沈管底部の可視の圧密化した「ペレット」を形成するために、十分に高い検体濃度(例えば、微生物濃度)を有するサンプルに関して、遠心力を作用され得る。遠心力を作用させるプロセスから生じる上澄みはその後、デカント又は吸引により取り出され得る。適切な量の上澄みが取り出されることを判定するためにデカント及び吸引の両方において目視検査が使用され得、上澄みとペレットとの間で大きな検体の損失が生じ得る。加えて、特に低濃度の目的の検体を有するサンプルでは、検体は遠心時に遠心フラスコの底部に移動し得るが、可視のペレットを形成せず、緊密に圧密化されない場合がある。このような状況において検体は、デカント又は吸引中に容易に変位することがあり、これは目的の検体の全体的な回収効率を低減させることがあり、サンプル試験手順の正確性を損なう場合がある。
【0009】
結果として、一定の既存のシステム及び方法において、低濃度サンプルを圧縮するために濾過のみが使用される場合がある。濾過はサンプル内の目的の検体の濃度を増加させることができるが、フィルターからの濃縮されたサンプルを回収することは、困難及び/又は時間がかかる場合がある。例えば、いくつかの場合において、大きな溶出体積(例えば、5〜100mL)は、特に大直径のフィルターを必要とし得る大きな初期サンプルに関して、濃縮サンプルをフィルターからバックラッシュするか、洗い落とす必要があり得る。
【0010】
本開示は一般的に、サンプル内、具体的には液体サンプル内、更に具体的には希釈水性サンプル内における目的の検体の存在又は不在の検出のためのシステム及び方法に関連する。更に、本開示は一般的に、検体を迅速に検出するためのシステム及び方法に関連する。いくつかの実施形態において、検体は、例えば水サンプル内における大腸菌又は他の大腸菌類(例えば、その存在又は不在)を検出するために選択される。水サンプルにおける目的の微生物(又は他の検体)の検出は、これらの微生物の濃度の低さのために困難であり得る。低濃度の結果として、既存のシステム及び方法での検出は非常に遅い場合があり、これは微生物が検出可能な水準まで成長する(又は分析濃度が増加する)必要があり、これに時間がかかり得るためである。本発明者はしかしながら、水サンプル、及び具体的には希釈水サンプル内の目的の検体を検出するために必要な時間を大幅に削減する新規のシステム及び方法を発明した。
【0011】
本開示のシステム及び方法は、目的の検体を検出するためのサンプルの濃縮物を保持しながら、サンプルを収容及び(遠心などにより)濃縮するように適合されたサンプル検出容器を用いる。このようなサンプル検出容器は、(例えば毛管力により)サンプルの濃縮物を受容して保持するように構成された閉鎖端部にマイクロキャビティを備え得る。このような濃縮物は、遠心中に形成され得るサンプルの沈降物を含み得る。マイクロキャビティは、開口上部、底部、及び長手方向軸を備え得る。サンプル検出容器は、マイクロキャビティへと延在する(例えば、マイクロキャビティに向かって円錐状になる)壁部(又は側壁若しくは傾斜壁)を含むことができ、マイクロキャビティの開口上部と隣接して位置する壁部の一部分は、マイクロキャビティの長手方向軸に対して有効角度αで配置される勾配を有し得る。
【0012】
本開示の方法は、一般にサンプル検出容器を提供する工程と、サンプル検出容器内に、試験されるサンプルを配置する工程と、マイクロキャビティに向けて第1の方向にサンプル検出容器を遠心し、サンプルの沈降物及び上澄みを形成する工程と、サンプルの濃縮物がマイクロキャビティに保持されるように、サンプル検出容器を遠心した後、サンプル検出容器を反転させ、マイクロキャビティから上澄みの少なくとも一部をデカントする工程であって、濃縮物が沈降物を含む、工程と、を含む。方法は、マイクロキャビティ内の濃縮物を検査して目的の検体を得ることを更に含む。
【0013】
本発明者らは上述の壁部の有効角度αが45°より大きく、90°より小さい場合に、特段の利益及び利点を見出した。特に対象となる壁部分は、一般に、細孔の開口上部と隣接して位置する壁部分である。いくつかの実施形態では、有効角度αで配向される「マイクロキャビティの開口上部と隣接する」壁部分は、有効角度αで配向される壁部分が、マイクロキャビティの大きさに対して、比較的大きくなるように、マイクロキャビティの代表的な寸法の少なくとも5倍である壁部分であり得る。例えば、開口上部でのマイクロキャビティの横断寸法(例えば、長手方向軸と直交する)を代表的な寸法として使用することができ、有効角度αで配向される壁部(又はその一部)はその寸法の少なくとも5倍である。いくつかの実施形態では、マイクロキャビティに隣接して位置し、有効角度αで配向される壁部分は、マイクロキャビティの代表的な寸法の少なくとも10倍であり、いくつかの実施形態では少なくとも15倍であり、いくつかの実施形態では少なくとも20倍であり、いくつかの実施形態では少なくとも50倍である。
【0014】
本発明者らは、有効角度αで配向され、少なくとも一部がマイクロキャビティに隣接する壁部を含むように容器を構成することにより、マイクロキャビティ内への目的の検体の収集(及び保持)を最大化できると同時に、沈降(例えば、遠心)処理によって得られる上澄みの大半が(例えば、容器の反転時に)マイクロキャビティから極限まで排流される(すなわち、過剰な上澄みが、マイクロキャビティ上部(すなわち、マイクロキャビティの開口上部の上方又はマイクロキャビティの開口上部によって画定される面の上方)で容器内に保持されない)ことを見出した。言い換えると、有効角度αで配向される壁部を含む容器を構成することで、目的の検体の濃縮を最大化することができる。
【0015】
実施例の項に記載及び例示されているように、マイクロキャビティと繋がる壁部が45°〜90°(端点含まず)であるように最適化されていない容器では、検出は可能であるものの、検出時間が長くなる場合がある。すなわち、本発明者らは検出時間を最小限に抑えるためには、壁部の有効角度αは、例えば容器を反転させたときに、マイクロキャビティから上澄み(例えば、毛管力によって保持されないマイクロキャビティ外部の大量の上澄み)を十分に排流できる程度に大きい必要があることを見出した。加えて、本発明者らは、壁部(又は少なくともマイクロキャビティに隣接して位置する部分)の有効角度αは、沈降中に目的の検体が壁部と接触した場合に、目的の検体が下方のマイクロキャビティへと十分に移動できる程度に小さい必要があることを見出した。その結果、本発明者らは有効角度を調整することで、上記現象のバランスを保ち得ることを見出した。
【0016】
有効角度αが小さすぎる場合、上澄みと容器との間の界面の表面張力により、マイクロキャビティ上方(例えば、マイクロキャビティの開口上部又はマイクロキャビティの開口上部によって画定される面)の容器内に余分な上澄みが保持され得、マイクロキャビティの総体積と比較して、保持される総体積が大幅に増加し得る。このように保持される総体積が多くなると、目的の検体(存在する場合)の濃度が減少し、その結果、検出時間が長くなる可能性がある。有効角度αがマイクロキャビティからの上澄みの排流にどのように影響し得るかについての詳細な記述を
図8A〜
図9Dに図示し、以下で説明する。
【0017】
結果的に、本発明者らは壁部の有効角度αを最適化することで、保持される体積を最小化(すなわち、上澄みの排流を最大化)しつつ、マイクロキャビティ内の目的の検体の収集を最大化することができ、その結果、得られる目的の検体の濃縮物が最大化され、それにより検出時間が最小限に抑えられることを見出した。
【0018】
他の従来のシステム及び方法でもサンプルを濃縮した後、比較的早期に目的の検体を検出できていたが、本開示のシステム及び方法は、結果が有効である、あるいは検出時間の最小化に関与すると以前は認識されていなかった変数、すなわちマイクロキャビティの開口上部と隣接する容器の壁部(又はその一部)の有効角度αを最適化することにより、更に早期の検出を達成した。
【0019】
加えて、一部の従来の既存システムでは、微細構造又は微細構造化表面内に実質的に収容される濃縮物(例えば、
図4及び
図5の濃縮物154を参照)の捕捉は、反転工程中に容器を反転させる速度に依存していた。しかし、本開示のサンプル検出容器は、反転速度を問わず、マイクロキャビティ内に実質的に収容される濃縮物の捕捉に対して有効である。例えば、実施例の項の実施例7を参照されたい。
【0020】
「実質的に収容された」とは一般的に、大体積のサンプル又は濃縮物を含み得るマイクロキャビティ上方に、可視の(すなわち、矯正していない、又は裸眼で見て)液滴を有していない、マイクロキャビティ内に収容された濃縮物を指す。
【0021】
このような大体積は、本大体積中に存在する目的の検体を、少なくとも理由の1つとして、検体(存在する場合)がこれらの大体積において低い濃度を有するために、(例えば、画像化、又は光学的検査中において)適切に検出することができないため、及び/又は大体積が検出のために好適に位置付けられ得ないため不所望であり得る。
【0022】
フィルターからの濃縮されたサンプル(濾過物)の回収に関して、本開示のシステム及び方法では、サンプル検出容器を使用して、溶出した濾過サンプルを更に濃縮することができる。すなわち、いくつかの実施形態では、本開示のシステム及び方法は、目的の検体が存在する場合にはそれをサンプルから単離及び検出するために、濾過と、1つ以上のマイクロキャビティへの遠心との組み合わせを用いることができる。結果として、フィルターからの濾過物の溶出に大体積が必要とされる場合でも、溶出された濾過物サンプル(すなわち、濾過により保持された濾過物と、溶出溶液などの希釈剤)を、マイクロキャビティに遠心力を作用させることによって更に濃縮させ、高濃度で小体積の(例えば、nL単位の)サンプルのアリコートを得て、目的の検体を比較的迅速に検出することができる。
【0023】
例えば、大量の希釈水性サンプルが、目的の検体(存在する場合)を捕捉するために、大きさ、電荷及び/又は親和性により、濾過され得る。検体はフィルターの第1の側部に捕捉され得、この側部は以降の遠心分離プロセスの間マイクロキャビティに面するように配向され得る。希釈剤(例えば、培地など)をフィルターに添加することができ、遠心により検体をマイクロキャビティ(複数も可)へと移動させることができる。このような実施形態において、フィルター上の濾過物、及び添加されたいずれかの追加的な希釈剤は、「サンプル」を形成することができ、サンプルはマイクロキャビティへと沈降し(例えば、遠心により)、それによりサンプルの濃度(すなわち、開始サンプルよりも高い濃度を有するサンプルの一部)がマイクロキャビティ中に保持され得、ここで濃縮物はサンプルの沈降物を含み(すなわち、より高い密度の物質)、これは検体を含む(存在する場合)。その後、マイクロキャビティを検査して、例えば検体の存在/不在を検出することにより、検体を検出することができる。本開示のシステムは、濾過から遠心力を作用させることへの移行に加えて、濾過工程と遠心工程を促進するように構成された容器アセンブリを含み得る。加えて、本開示のシステム及び方法は、大体積のサンプルを(例えば、1つのマイクロキャビティ内に)極小体積まで、例えば、約1Lから約1μLまで、又は更には約1nLまで濃縮することを可能にする。
【0024】
特にいくつかの実施形態では、本開示のシステム及び方法は、1つ以上の目的の検体を保持してフィルターの一側部に濾過物を形成するように構成されたフィルターを使用して元のサンプルを濾過することを含む第1の濃縮工程と、場合よって濾過物に1つ以上の希釈剤を添加して、濾過物及び任意の添加された希釈剤を新たな、すなわち第2のサンプルとして使用する工程と、マイクロキャビティに第2のサンプルを(例えば、密度に基づき)濃縮させることを含む濃縮工程を実行することであって、該マイクロキャビティを小体積(例えば、μL又はnL規模)の個別の「試験管」として機能させ、その結果、サンプル中の目的の検体(存在する場合)を高濃度で得ることができる工程と、を含み得る。この目的の検体の濃度の増加は、検体の検出、例えば検体の存在/不在の検出を促進及び迅速化することができる。
【0025】
加えて、いくつかの既存のシステム及び方法において、サンプルの一部分は、濾過中にフィルターに不可逆的に捕捉される場合がある。この閉じ込めは等孔性を使用して克服され得るが、等孔性を通じた濾過は遅い場合があり、当孔性フィルターの孔は濾過中に容易かつ早く詰まる場合がある。しかしながら、本発明は、一定のフィルターが、目的の検体(例えば、細菌などの微生物)のより良好な回収を可能にすることを見出した。例えば、以下でより詳細に記載されるように「マルチゾーン」濾過膜(すなわち、多孔性の多数のゾーンを含むフィルター)は、フィルターから細菌を回収するために特に有用であり得る。これは、そのz寸法(すなわち、深さ)と共に、フィルターの多孔率が変化するためである。このようなマルチゾーンフィルターを使用し、フィルターの「第1の側部」として最も小さい孔径を有するフィルターの側(すなわち、サンプルが最初に通過し、濾過物が回収されるフィルターの側部)を使用することにより、目的の検体の回収における特定の利益が達成され得る。
【0026】
しかしながら、上記のように、このようなマルチゾーンフィルターが使用されなくとも、本開示のシステム及び方法は、従来の濾過のみのシステム及び方法よりも更に効率的であるが、これは、本開示のシステム及び方法は、例えば、遠心により溶出した濾過サンプルをマイクロキャビティの中に更に濃縮し、目的の検体を検出するための時間を改善するためである。
【0027】
いくつかの実施形態において、目的の検体は、目的の微生物自体であってもよく、いくつかの実施形態においては、検体は、生存可能な目的の微生物のインジケータであってもよい。いくつかの実施形態において、本開示は、微生物の指標である、目的の検体に関して検査することにより、サンプル中の目的の微生物の存在/又は不在を判定するためのシステム及び方法を含み得る。
【0028】
いくつかの実施形態において、迅速な検出とは、8時間以下、いくつかの実施形態においては6時間以下、いくつかの実施形態においては5時間以下、いくつかの実施形態においては4時間以下、及びいくつかの実施形態においては3時間以下の検出を指す場合がある。しかしながら、検出時間は、いくつかの微生物が他のものよりも早く成長し、よってより早く検出可能な閾値に到達するために、検出される検体の種類に依存し得る。当業者は、目的の検体(例えば、微生物)を検出する、好適なアッセイ(例えば、好適な酵素及び酵素基質を含む)を特定する方法を理解する。しかしながら、所定の目的の検体において、いずれのアッセイが使用されても、又はいずれの検体が選択されても、本開示のシステム及び方法は一般的に、標準的な培養技術(例えば、マイクロタイタープレートにおける成長ベースの検出(例えば、96ウェル))により達成されるよりも迅速な、時間対結果を達成する。すなわち、本開示のシステム及び方法は、標準的な培養技術よりも少なくとも25%早く検体を検出することができ(例えば、各ウェルが100μLのサンプルを含む)、いくつかの実施形態において50%早く、いくつかの実施形態において少なくとも75%早く、かついくつかの実施形態において少なくとも90%早い。
【0029】
目的の検体に関して分析されるこのようなサンプルは、様々な方法で得られる。例えば、いくつかの実施形態において、分析されるサンプル自体は、希釈液体サンプル、及び/又は希釈水性サンプルなどの、液体サンプルである。いくつかの実施形態において、サンプルは、希釈剤で、目的のソース(例えば、表面、フォーマイトなど)を洗浄するか、又はすすぐことにより生じる液体を含み得る。いくつかの実施形態において、サンプルは、目的のソースを適切な希釈剤と混合することにより生じる液体組成物を濾過するか、又は沈降させることにより生じる濾液を含み得る。すなわち、本開示の方法を使用して分析されるサンプルを形成するために、大きな不溶性物質、及び/又は目的の検体よりも低い又は高い密度を有する物質、例えば、食物、フォーマイトなどが、第1の濾過又は沈降工程において、液体組成物から除去され得る。
【0030】
用語「ソース」は、一般に、検体を試験することが必要とされる食物又は非食物を指すために使用され得る。供給源は、固体、液体、半固体、ゼラチン状物質、及びこれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態において、ソースは、例えば、目的の表面からソースを回収するために使用された基材(例えば、スワブ、又は拭き取り用品)によりもたらされる場合がある。特定の実施形態では、液体組成物は基質を含んでもよく、基質は更に分解される(例えば、攪拌又は溶解プロセスの際に)ことによってソース及び目的の検体とする任意の検体の回収を促進することができる。目的とする表面には、これらに限定されるものではないが、壁(ドアを含む)、床、天井、排水管、冷蔵システム、ダクト(例えば、エアダクト)、通気口、トイレの便座、ハンドル、ドアノブ、手すり、ベッドレール(例えば、病院における)、カウンタートップ、テーブルトップ、食事用表面(例えば、トレイ、皿など)、作業面、機器表面、衣類など、及びこれらの組み合わせを含む様々な表面の少なくとも一部分が含まれる。ソースの全部分又は一部分は、本開示の方法を使用して、分析されるサンプルを得るために使用され得る。例えば、「ソース」は、水源、又はパイプラインを通じて移動する水であってもよく、本開示のシステム及び方法で試験されるサンプルを形成するために、比較的大容量のサンプルがこのソースからとられてもよい。したがって、「サンプル」は、上記のソースのいずれかからのものであり得る。
【0031】
用語「食料」は、一般に、固体、液体(例えば、溶液、分散液、乳濁液、懸濁液等、及びこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない)、及び/又は半固体の食用組成物を指すために使用される。食料の例には、肉、鶏肉、卵、魚、魚介類、野菜、果物、加工食品(例えば、スープ、ソース、ペースト)、穀物製品(例えば、小麦粉、穀物、パン)、缶詰、牛乳、その他の乳製品(例えば、チーズ、ヨーグルト、サワークリーム)、油脂、油、デザート、香辛料、薬味、パスタ、飲料、水、動物用飼料、飲料水、その他の好適な食材、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
「非食品」なる用語は、「食品」の定義に当てはまらず、一般的に食用とは考えられない目的ソースを指すものとして一般的に用いられる。非食料供給源の例には、臨床試料、細胞可溶化物、全血又はその一部分(例えば血清)、その他の体液又は分泌物(例えば、唾液、汗、皮脂、尿)、糞便、細胞、組織、臓器、生検、植物性物質、木材、土、堆積物、薬剤、化粧品、栄養補助食品(例えば、朝鮮人参カプセル)、医薬品、媒介物、その他の好適な非食用物質、及びこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0033】
用語「感染媒介物」は、感染性生物を運搬、及び/又は移動することが可能な無生物又は基質を指すものとして一般的に用いられる。媒介物は、布、モップヘッド、タオル、スポンジ、拭取り布、食器、硬貨、紙幣、携帯電話、衣類(靴を含む)、ドアノブ、婦人用製品、おむつ等、それらの一部分、及びこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0034】
「検体」なる用語は、検出しようとする(例えば、実験室又はフィールド試験により)物質を指すものとして一般的に用いられる。サンプルは、特定の検体の存在、量、及び/又は生存可能性を試験してもよい。こうした検体は、ソースの内部(例えば、内側)、又はソースの外側(例えば、外表面)に存在しうる。検体の例としては、微生物、生体分子、化学物質(例えば、殺虫剤、抗生物質)、金属イオン(例えば、水銀イオン、重金属イオン)、金属イオン含有錯体(例えば、金属イオン及び有機リガンドを含む錯体)、酵素、補酵素、酵素基質、指標染料、ステイン、アデノシン三リン酸(ATP)、アデノシン二リン酸(ADP)、アデニレートキナーゼ、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0035】
目的の検体を同定及び/又は定量化するために、微生物学的アッセイ、生化学的アッセイ(例えば、イムノアッセイ)、又はそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない、様々な試験方法を用いることができる。いくつかの実施形態では、サンプル中の生細胞から放出される酵素の検出、目的の検体を示す光の検出、吸収、反射、蛍光、若しくはこれらの組み合わせの検出、又はこれら検出法の組み合わせにより、遺伝学的に、免疫学的に、比色的に、蛍光定量的に、発光測定的に目的の検体を検出することができる。すなわち、いくつかの実施形態において、サンプルの検査(又はサンプルの濃縮)は、サンプルを光学的に検査することを含み、これは、上記の、又は下記のいずれかの光学的検査を含む場合がある。
【0036】
使用され得る試験方法の特定のサンプルとしては、抗原−抗体相互作用、分子センサー(親和性結合)、熱分析、顕微鏡(例えば、光学顕微鏡、蛍光顕微鏡、免疫蛍光顕微鏡、走査電子顕微鏡(SEM)、透過電子顕微鏡(TEM))、分光法(例えば、質量分析法、核磁気共鳴(NMR)分光法、ラマン分光法、赤外線(IR)分光法、X線分光法、減衰全反射分光法、フーリエ変換分光法、ガンマ線分光法など)、分光測光法(例えば、吸光度、反射、蛍光、ルミネセンス、比色など)、電気化学分析、遺伝子技術(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、転写介在増幅法(TMA)、ハイブリダイゼーション保護アッセイ(HPA)、DNA又はRNA分子認識アッセイなど)、アデノシン三リン酸(ATP)検出アッセイ、免疫学的アッセイ(例えば、酵素結合免疫吸着法(ELISA))、細胞毒性アッセイ、ウイルスプラークアッセイ、細胞変性効果を評価するための技術、他の好適な分析試験方法、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
用語「微生物」は、一般に、バクテリア(例えば、運動性若しくは増殖性、グラム陽性、又はグラム陰性)、ウイルス(例えば、ノロウイルス、ノーウォーク・ウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス、DNAウイルス、RNAウイルス、エンベロープ型、無エンベロープ型、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)等)、細菌胞子若しくは内生胞子、藻類、菌類(例えば、酵母、糸状菌、菌類胞子)、プリオン、マイコプラズマ、及び原生生物の内の1つ以上が挙げられるが制限はない、任意の原核性又は真核性の微生物を指すために使用される。特定の場合では、特に目的となる微生物は病原性を有するものであり、「病原体」なる用語がすべての病原性微生物を指して用いられる。病原体の例としては、腸内細菌科のメンバー、又はミクロコッカス科のメンバー、又はブドウ球菌属種、連鎖球菌種、シュードモナス種、腸球菌種、サルモネラ種、レジオネラ種、赤痢菌種、エルシニア種、エンテロバクター種、エシェリキア種、バチルス種、リステリア種、カンピロバクター種、アシネトバクター種、ビブリオ種、クロストリジウム種、及びコリネバクテリウム種が挙げられるが、これらに限定されない。特定の病原体の例としては、腸管出血性大腸菌を含む大腸菌、例えば、血清型O157:H7、O129:H11;緑膿菌;セレウス菌;炭疽菌;腸炎菌;ネズミチフス菌;リステリア菌;ボツリヌス菌;ウェルシュ菌;黄色ブドウ球菌;メチシリン耐性黄色ブドウ球菌;カンピロバクター・ジェジュニ;腸炎エルシニア;ビブリオ・バルニフィカス;クロストリジウム・ディフィシル;バンコマイシン耐性腸球菌;エンテロバクター[クロノバクター]・サカザキ;及びコリ型細菌が挙げられるが、これらに限定されない。微生物の増殖に影響する可能性がある環境要因には、栄養素の存在又は不在、pH、湿分含量、酸化−還元電位、抗菌剤化合物、温度、雰囲気ガス組成、及び生物学的構造又は障壁を挙げることができる。
【0038】
「生体分子」なる用語は、生物の体内に存在するが、生物によって生成される分子又はその誘導体を指すものとして一般的に用いられる。例えば、生体分子としては、これらに限定されるものではないが、アミノ酸、核酸、ポリペプチド、タンパク質、ポリヌクレオチド、脂質、リン脂質、糖類、多糖類、及びこれらの組み合わせの少なくとも1つが挙げられる。生体分子の具体的な例には、代謝産物(例えば、ブドウ球菌外毒素)、アレルゲン(例えば、ピーナッツアレルゲン、卵アレルゲン、花粉、チリダニ、菌、フケ、又はそれらの中に固有のタンパク質等)、ホルモン、毒素(例えば、下痢毒素菌(Bacillus diarrheal toxin)、アフラトキシン、クロストリジウム・ディフィシレ毒素等)、RNA(例えば、mRNA、全RNA、tRNA等)、DNA(例えば、プラスミドDNA、植物DNA等)、タグ付きタンパク質、抗体、抗原、ATP、及びこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0039】
「可溶性物質」及び「不溶性物質」なる用語は、特定の条件下で特定の培地に比較的可溶又は不溶である物質を指すものとして一般的に用いられる。具体的には、所定の条件下において、「可溶物」は溶液の中に入り、系の溶媒(例えば希釈剤)に溶解可能なものである。「不溶物」は、所定の条件下において、溶液の中に入らず、系の溶媒中に溶けないものである。ソース、又はソースから取ったサンプルは、可溶性物質及び不溶性物質(例えば、細胞残屑)を含む場合がある。不溶物は、微粒子、沈殿物又は残屑と称される場合があり、ソース物質自体の一部分(すなわち、ソースの内側部分又は外側部分(例えば、外側表面)から)、又は攪拌プロセスから生じるその他のソース残基若しくは残屑を含むことができる。加えて、ソース及び希釈剤を含む液体組成物は、より高密度の物質(すなわち、混合物中の希釈剤及び他の物質よりも高い密度を有する物質)、及びより低密度の物質(すなわち、混合物中の希釈剤及び他の物質よりも低い密度を有する物質)を含み得る。結果として、サンプルの希釈剤は、目的の検体は、希釈剤よりも高密度であり、沈降により濃縮され得るように選択され得る(例えば、遠心)。
【0040】
用語「希釈剤」は一般的に、ソースを分配し、溶解し、懸濁し、乳化し、洗浄及び/又はすすぐために、ソース材料に添加する液体を指すものとして使用される。希釈剤は、液体組成物の形成に使用され得、ここから、本開示の方法を使用して分析されるサンプルが得られる場合がある。いくつかの実施形態において、希釈剤は無菌液である。いくつかの実施形態では、希釈剤として、界面活性剤、若しくは後の検体の試験のためにソースの分散、溶解、懸濁又は乳濁を助ける他の好適な添加剤、レオロジー添加剤、抗微生物中和剤(例えば、防腐剤又は他の抗微生物剤を中和するもの)、栄養素(例えば、望ましい微生物の選択的増殖を促進するもの)及び/若しくは増殖阻害剤(例えば、望ましくない微生物の増殖を阻害するもの)を含む増菌又は成長培地、pH緩衝剤、酵素、指示薬分子(例えば、pH又は酸化/還元指示薬)、胞子発芽剤、消毒剤を中和するための薬剤(例えば、塩素のチオ硫酸ナトリウムによる中和)、細菌の甦生を促進することを目的とした薬剤(例えば、ピルビン酸ナトリウム)、安定化剤(例えば、塩化ナトリウム、スクロールなどの溶質を含む、目的の検体を安定化させるもの)、又はこれらの組み合わせなどの各種の添加剤が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、希釈剤は、滅菌水(例えば、滅菌二重蒸留水(ddH
2O))、ソースを選択的に溶解する、分散する、懸濁する、若しくは乳化する1つ以上の有機溶媒、水溶性有機溶媒、又はこれらの組み合わせを含み得る。一部の実施形態では、希釈剤は、滅菌緩衝溶液(例えば、Edge Biological、Memphis TNから入手可能なButterfield’s Buffer)である。いくつかの実施形態では、希釈剤は、希釈剤が所望の検体(例えば、細菌)を選択的又は半選択的に成長するために使用できるような、選択的又は半選択的栄養製剤である。このような実施形態では、希釈剤をソースと一緒にある期間(例えば、特定の温度で)培養して、所望の検体の増殖及び/又は成長を促進することができる。
【0041】
増殖培地の例には、トリプシン大豆ブロス(TSB)、緩衝ペプトン水(BPW)、ユニバーサル予備富化ブロス(UPB)、リステリア富化ブロス(LEB)、ラクトースブロス、ボルトンブロス、又は他の一般的な非選択的な、又は当業者に既知の軽度に選択的な培地を挙げることができるが、これらに限定されない。成長培地は、1つ以上の所望の微生物(すなわち、目的の検体)の増殖を支持する栄養素を含みうる。
【0042】
増殖阻害剤の例としては、これらに限定されるものではないが、胆汁塩、デオキシコール酸ナトリウム、亜セレン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化リチウム、亜テルル酸カリウム、テトラチオン酸ナトリウム、スルファセタミドナトリウム、マンデル酸、セレナイト テトラチオン酸システイン、スルファメタジン、ブリリアントグリーン、マラカイトグリーンオキサレート、クリスタルバイオレット、タージトール4、スルファジアジン、アミカシン、アズトレオナム、ナリジクス酸、アクリフラビン、ポリミキシンB、ノボビオシン、アラフォスファリン、有機及び鉱酸、バクテリオファージ、ジクロランローズベンガル、クロラムフェニコール、クロロテトラサイクリン、特定の濃度の塩化ナトリウム、スクロース及び他の溶質、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0043】
用語「攪拌する」及びその派生語は、一般に、例えば、液体組成物の内容物を混合する若しくは混和するために、前記液体組成物に動作を与えるプロセスを記述するために使用される。手動振盪、機械的振盪、超音波振動、ボルテックス攪拌、手動攪拌、機械的攪拌(例えば、機械プロペラ、電磁攪拌棒、又はボールベアリング等の他の攪拌補助手段による)、手動叩解、機械的叩解、混合、混練、及びそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない、様々な攪拌方法を使用することができる。
【0044】
用語「濾過」は一般的に、サイズ、電荷及び/又は機能で物質を分離するプロセスを指すものとして使用される。例えば、濾過は、可溶物及び溶媒(例えば、希釈剤)を不溶物からの分離する工程を含むことができ、あるいは、濾過は、可溶物、溶媒、及び比較的小さな不溶物を、比較的大きな不溶物から分離する工程を含むことができる。結果として、液体組成物は、本開示の方法を使用して分析されるサンプルを得るために、「事前濾過」され得る。フィルター、他の好適な濾過方法、及びこれらの組み合わせを通じて液体組成物(例えば、そこから濃縮されたサンプルが得られる、目的のソースを含む)液体組成物を通すことが挙げられるがこれらに限定されない、様々な濾過方法が使用され得る。
【0045】
「沈降」とは一般的に、例えば、沈降又は沈殿させるために液体組成物内のより高い密度の物質(すなわち、混合物中の希釈剤及び他の物質よりも高い密度を有する物質)を沈降又は沈殿させることによって、並びに/又は液体組成物中のより低い密度の物質(すなわち、混合物中の希釈剤及び他の物質よりも低い密度を有する物質)を上昇させるか又は浮かせることによって、物質を分離させるプロセスを指す。沈殿は重力又は遠心によって行うことができる。より高密度の物質は、より低密度の物質(すなわち、沈降していない、又は浮いている)及び希釈剤をより高密度の物質から吸引するか、より低密度の物体及び希釈剤をデカントするか、又はこれらの組み合わせによって、より低密度の物質(及び希釈剤)から分離され得る。事前沈降工程は、本開示のサンプル検出システム、及び方法を使用して濃縮されるサンプルを得るために、事前濾過することに加えて、又はその代わりに、事前沈降工程が使用されてもよい。
【0046】
「濾過」とは一般的に、可溶性物質(又は可溶性物質及び比較的小さい不溶性物質)、及び溶媒を、液体組成物中の不溶性物質(又は比較的大きな不溶性物質)から分離し、並びに/又はサンプル濃縮中にサンプルを濾過するために使用される装置を表す。フィルターの例には、織布又は不織布メッシュ(例えば、ワイヤーメッシュ、布メッシュ、プラスチックメッシュ等)、織布又は不織布高分子ウェブ(例えば、カレンダー加工され得る、均一又は不均一なプロセスで固着される高分子繊維を含む)、表層フィルター、深層フィルター、膜(例えば、セラミックス膜(例えば、Whatman Inc.、Florham Park,NJよりANOPOREの商品名で入手可能な酸化アルミニウムセラミックス膜フィルター)、ポリカーボネート膜(例えば、Whatman Inc.よりNUCLEOPOREの商品名で入手可能なトラックエッチングポリカーボネート膜フィルー)、ポリエステル膜(例えば、トラックエッチングポリエステル等を含む))、ふるい、ガラス綿、フリット、ろ紙、発泡体等、及びこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0047】
いくつかの実施形態において、フィルターは、大きさ、電荷、及び/又は親和性によりサンプルから目的の微生物を分離するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態において、フィルターは、フィルターに保持される濾過物が目的の微生物を含むようにして、目的の微生物を保持するように構成され得る。
【0048】
いくつかの実施形態において、サンプル中の目的の検体(例えば、目的の微生物)の少なくとも30%、いくつかの実施形態において、少なくとも50%、いくつかの実施形態において少なくとも80%、いくつかの実施形態において少なくとも85%、いくつかの実施形態において少なくとも90%、及びいくつかの実施形態において少なくとも95%を保持するように構成され得る。
【0049】
好適なフィルターの追加的なサンプルは、米国特許出願番号第61/352,229号に対する優先権を主張する、同時係属PCT公開番号第WO2011/156251号(Rajagopal,et al.)、米国特許出願番号第61/352,205号への優先権を主張するPCT公開番号第WO2011/156258号(Mach et al.)、米国特許出願番号第61/350,147号、及び同61/351,441号に対する優先権を主張するPCT公開番号第WO2011/152967号(Zhou)、米国特許出願番号61/350,154号、及び同61/351,447号に対する優先権を主張する、PCT公開番号WO2011/153085号(Zhou)に記載され、これら全ては本明細書において参照としてその全体が組み込まれる。
【0050】
いくつかの実施形態において、用語「濾液」は、一般に、液体組成物から不溶物(又は少なくとも比較的大きな不溶物)を分離又は除去した後に残る液体を記述するために使用される。いくつかの実施形態において、用語「上澄み」とは一般的に、より高密度の物質が液体組成物から分離又は除去された後に残る液体を表すものとして使用される。このような濾液及び/又は上澄みは、本発明において使用されるサンプルを形成することができる。いくつかの実施形態において、濾液及び/又は上澄みは、目的の微生物を成長させるための時間にわたって培養され得、生じる培養された濾液及び/又は上澄みは、本開示で使用するためのサンプルを形成し得る。いくつかの実施形態において、目的の微生物の成長を保持するために成長培養物が添加され得る。
【0051】
いくつかの実施形態において、「濾過物」とは一般的に、可溶性物質から不要性物質を分離するために、液体ソース(例えば、試験される水)が濾過された後に残る液体を記載するために使用され得る。このような濾過物は、本開示で使用されるサンプルを形成するために、更に希釈、及び任意により攪拌、成長(例えば、成長培養物の添加により)、及び/又は培養され得る。濾過物は、フィルターの一方の表面若しくは側面に存在してもよく、及び/又はフィルターの深さに少なくとも部分的に浸透してもよい。結果として、いくつかの実施形態において、フィルターからの濾過物の除去を促進するために、溶出液を含む希釈剤、洗浄液などが使用され得る。いくつかの実施形態において、フィルター(例えば、深さフィルターにわたって)からの濾過物の除去を促進及び向上させるために、表面フィルターが好ましい場合がある。
【0052】
いくつかの実施形態において、続く遠心工程において濾過物に働くG力が、フィルターからの濾過物の除去を助ける場合がある。いくつかの場合において、重力によって保持される生体有機物が変位することよってフィルターから溶出するように、フィルターを再配置することによって保持される目的の検体(例えば、微生物)はフィルターから溶出され得る。他の場合において、保持された検体は、保持された検体をフィルターから変位させるために、フィルターを手で振盪することによって、フィルターから溶出し得る。他の場合において、保持された検体は、保持された検体をフィルターから変位させるためにフィルターをボルテックスすることによって、フィルターから溶出し得る。他の場合において、検体は、フォーム溶出によってフィルターから溶出し得る。
【0053】
目的の検体(例えば、微生物)が検出され、及び/又はフィルターから回収した後に軽量される実施形態において、本開示の方法は、保持された目的の検体をフィルターから少なくとも50%溶出することを含み得るが、方法は、保持された検体の50%未満をフィルター溶出した後に行われてもよい。いくつかの実施形態において、フィルターから、保持された検体の少なくとも60%、いくつかの実施形態においては少なくとも70%、いくつかの実施形態においては少なくとも75%、いくつかの実施形態においては少なくとも80%、いくつかの実施形態においては90%、いくつかの実施形態においては95%が溶出し得る。
【0054】
いくつかの実施形態において、どんな形態の開始サンプルが入っていても、又はそれがどのように得られても、本開示のシステム及び方法で分析されるサンプルを形成するために、サンプルが攪拌、成長(例えば、成長培養物を添加することにより)、及び/又は培養され得る。いくつかの実施形態において、様々な試薬はプロセスの様々な段階で添加され得、例えば、元のサンプルに添加される、試験されるサンプルを形成するために、使用される濾過物(例えば、希釈剤と共に)、若しくは上澄みに添加される、サンプルの濃縮物の検出容器として機能する1つ以上のマイクロキャビティ内でコーティング及び/若しくは乾燥されるが、これに限定されない。
【0055】
いくつかの実施形態において、用語「沈降物」は一般的に、より高密度な物質が、例えば遠心によって、液体組成物から分離又は除去された後に、上澄みから分離された「ペレット」又は個体を記載するために使用される。
【0056】
用語「マイクロキャビティ」及びその派生語は一般に、液体、固体、半固体、ゼラチン状材料、別の好適な材料、又はこれらの組み合わせを、特に通常の重力下でいかなる方向でも(例えば、毛管力によって)保持するように構成された容器、凹部、くぼみ、又はウェルを指す際に使用される。
【0057】
いくつかの実施形態において、「マイクロキャビティ」は、少なくとも2つの可能な寸法において1000μm以下、いくつかの実施形態においては500μm以下、及びいくつかの実施形態においては200μm以下であり得る。しかしながら、本開示のいくつかの実施形態において「マイクロキャビティ」は、サンプルの一部分(例えば、マイクロキャビティに向けて遠心後のサンプルの液体濃縮物)を通常の重力下でいかなる方向でも保持するために十分な任意の容器、凹部、くぼみ、又はウェルであり得る。したがって、本開示のマイクロキャビティは、所与の表面張力のサンプル(例えば、サンプルの沈降物を含む濃縮液)を保持するために、十分な毛管力をもたらす、十分な深さ(例えば、z寸法)又はz寸法のx−y寸法に対する比率(すなわち、「アスペクト比」)(又は逆)を有することができる。マイクロキャビティの表面エネルギーは、保持を向上させるために制御(例えば、表面処理による改質)され得るが、一般的に本開示のマイクロキャビティは、目的のサンプルを保持するために必要な毛管力をもたらす、アスペクト比を有し得る。
【0058】
いくつかの実施形態において、アスペクト比は少なくとも約0.1、いくつかの実施形態において、少なくとも約0.25、いくつかの実施形態において、少なくとも約0.5、いくつかの実施形態において、少なくとも約1、いくつかの実施形態において少なくとも約2、いくつかの実施形態において少なくとも5、いくつかの実施形態において、少なくとも約10であり得る。いくつかの実施形態において、マイクロキャビティのx−y寸法(例えば、凹部)は、その深さ又はz寸法に沿って変化する場合があるため(例えば、機構が抜き勾配を含む場合)、アスペクト比は、z寸法の、「代表的な」x−y寸法に対する比率であり得る。代表的なx−y寸法は、一般にマイクロキャビティの長手方向軸と直交する寸法であり、マイクロキャビティの深さ、すなわちz寸法と区別される。代表的なx−y寸法は、上部の寸法(すなわち、マイクロキャビティの開口上部におけるx−y寸法)、下部の寸法(例えば、マイクロキャビティの底部のx−y寸法)、中間の寸法(例えば、半分の深さ/高さの位置におけるx−y寸法)、平均x−y寸法(例えば、深さ/高さに沿った平均)、別の好適な代表的寸法などであり得る。
【0059】
いくつかの実施形態では代表的なx−y寸法は、少なくとも約1μmであり、いくつかの実施形態では少なくとも約10μmであり、いくつかの実施形態では少なくとも約50μmである。いくつかの実施形態では代表的なx−y寸法は約1000μm未満であり、いくつかの実施形態では約500μm未満であり、いくつかの実施形態では約100μm未満である。
【0060】
いくつかの実施形態では、マイクロキャビティの深さ、すなわちz寸法(例えば、マイクロキャビティの閉鎖端部すなわち底部と、マイクロキャビティの開放端部すなわち開口上部との間の距離)は、少なくとも約5μm、いくつかの実施形態では少なくとも約20μm、及びいくつかの実施形態では少なくとも約30μmである。いくつかの実施形態では、マイクロキャビティの平均深さは約1000μm以下、特定の実施形態では250μm以下、いくつかの実施形態では約100μm以下、及びいくつかの実施形態では約50μm以下である。
【0061】
いくつかの実施形態では、マイクロキャビティ体積は少なくとも約1ピコリットル(pL)であり、いくつかの実施形態では少なくとも約10pLであり、いくつかの実施形態では少なくとも約100pLであり、いくつかの実施形態では少なくとも約1000pL(1nL)である。いくつかの実施形態では、マイクロキャビティ体積は約1,000,000pL(1μL)以下であり、いくつかの実施形態では約100,000pL以下であり、いくつかの実施形態では約10,000pL以下である。いくつかの実施形態では、マイクロキャビティ体積は10nL(10,000pL)〜100nL(100,000)pLの範囲内である。
【0062】
用語「実質的に透明」とは、一般に紫外線から赤外線のスペクトルの選択される波長又は選択される波長範囲内(例えば、約200nmから約1400nm、「UV−IR」)の、波長を有する電磁放射線の少なくとも50%、いくつかの実施形態において、UV−IRスペクトルの選択される波長(又は範囲)の少なくとも約75%、いくつかの実施形態において、UV−IRスペクトルの選択される波長(又は範囲)の少なくとも約90%を透過する本体又は基材を指す。
【0063】
用語「実質的に不透明」とは、紫外線から赤外線のスペクトルの選択される波長又は選択される波長範囲内(例えば、約200nmから約1400nm、「UV−IR」)の、波長を有する電磁放射線の50%未満、いくつかの実施形態において、UV−IRスペクトルの選択される波長(又は範囲)の25%未満、いくつかの実施形態において、UV−IRスペクトルの選択される波長(又は範囲)の10%未満を透過する本体又は基材を指す。
【0064】
「実質的に透明」及び「実質的に不透明」の様々な詳細は、PCT特許公開番号第WO2011/063332号に記載され、これは、本明細書において参照としてその全体を組み込まれる。
【0065】
用語「疎水性」及び「親水性」は一般的に、当該技術分野において一般的に理解されるように使用される。したがって、「疎水性」材料は水又は水性媒体に対して比較的、親和性を殆ど又は全く有さず、一方で「親水性」材料は水又は水性材料に対して比較的強い親和性を有する。必要とされるレベルの疎水性又は親水性はサンプルの性質によって異なり得るが、様々な疎水性又は親水性表面に適用される際に、液体サンプルの単純な経験的観測に基づき容易に調節され得る。
【0066】
いくつかの実施形態において、表面の疎水性/親水性を特徴付けるために、接触角測定(例えば、静的及び/又は動的)が使用され得る。このような表面特徴は、バルク材料と別個であり得る、表面自体による場合がある。すなわち、いくつかの実施形態において、構造を形成するバルク材料の大部分が疎水性であったとしても、サンプルに接触する表面は、例えば水性サンプルが修正された表面においてより高い親和性を有するように、親水性であるように修正され得る。代表的な静的及び動的な接触角測定方法が、実施例10及び11に記載される。
【0067】
いくつかの実施形態において、例えば本開示のマイクロキャビティが形成され得るサンプル検出容器のうち少なくとも内部表面の静的な水表面接触角(例えば静的及び/又は動的)は、少なくとも約50°、いくつかの実施形態において約65°、いくつかの実施形態において少なくとも約75°、いくつかの実施形態において少なくとも約85°、いくつかの実施形態において少なくとも約95°、いくつかの実施形態において少なくとも約100°、いくつかの実施形態において少なくとも約130°であり得る。
【0068】
いくつかの実施形態において、例えば本開示のマイクロキャビティが形成され得るサンプル検出容器のうち少なくとも内部表面の動的な前進表面接触角は、少なくとも約50°、いくつかの実施形態において少なくとも約65°、いくつかの実施形態において少なくとも約75°、いくつかの実施形態において少なくとも約85°、いくつかの実施形態において少なくとも約95°、いくつかの実施形態において少なくとも約100°、いくつかの実施形態において少なくとも約130°である。
【0069】
いくつかの実施形態において、例えば本開示のマイクロキャビティが形成され得るサンプル検出容器のうち少なくとも内部表面の動的な後退表面接触角は、少なくとも約25°、いくつかの実施形態において少なくとも約35°、いくつかの実施形態において少なくとも約45°、いくつかの実施形態において少なくとも約65°、いくつかの実施形態において少なくとも約75°、いくつかの実施形態において少なくとも約90°、いくつかの実施形態において少なくとも約100°であり得る。
【0070】
いくつかの実施形態において、(例えば、実施例13で参照する種々の位置に)有効角度で配向されたサンプル検出容器(例えば、その内部表面)の壁部(例えば、その内部表面)は、マイクロキャビティ内への目的の検体の収集を妨げないか、又は目的の検体の収集を改善するような表面粗さを有し得る。いくつかの実施形態において、壁部の表面粗さは、粗さ平均値(Ra)が1.5ミクロン未満、いくつかの実施形態では1ミクロン未満、いくつかの実施形態において750nm(0.75ミクロン)未満、いくつかの実施形態において500nm(0.5ミクロン)未満、及びいくつかの実施形態では300nm(0.3ミクロン)未満であることを特徴とし得る。
【0071】
いくつかの実施形態において、壁部(例えば、その内部表面)の表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(Rq)値が1.5ミクロン未満、いくつかの実施形態において1ミクロン未満、いくつかの実施形態において800nm未満であることを特徴とし得る。
【0072】
いくつかの実施形態において、本開示のシステム及び方法は、微生物自体に関して、又は微生物の存在を表す目的の検体に関して、サンプルを検査することによってサンプル内の目的の微生物の存在又は不在を判定するために使用され得る。例えば、いくつかの実施形態において、微生物自体がサンプル内で濃縮され(例えば、遠心により1つ以上のマイクロキャビティ内に沈降され)、1つ以上のマイクロキャビティ内で検出されてもよく、いくつかの実施形態において、微生物の存在を表す検体がサンプル中で濃縮され(例えば、遠心により1つ以上のマイクロキャビティ内に沈降され)、1つ以上のマイクロキャビティ内で検出されてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、適切な酵素による開裂の後に沈殿するサンプルに基質が添加されてもよい(例えば、X−galなどのβ−ガラクトシダーゼ基質)。このような沈殿した基質は濃縮され(例えば、微生物/細胞と共に、遠心により1つ以上のマイクロキャビティに沈降され)、濃縮しない大体積のサンプル中での低濃度における場合よりも、迅速に検出及び/又は計量することができる。
【0073】
指標染料を含む、検体の様々な例を上記、及び実施例の項に記載している。いくつかの実施形態において、このような指標染料としては、沈殿した染料及び/又は内部化した染料が挙げられる。沈殿した染料の場合、多くの場合染料は、細胞から拡散する小さな分子であり、これは、1つ以上のマイクロキャビティ中で濃縮されている場合であっても、検出可能な濃度に達するまで十分な培養時間を必要とし得る。しかしながら、内部化した染料の場合、細胞(すなわち、微生物)自体は、染料により「マーキング」すなわち染色される場合があり、細胞がマイクロキャビティ中に濃縮されるとすぐに、例えばマイクロキャビティの底部を観察することにより、検出(例えば、存在/不在、及び/又は計量)が行われ得る。
【0074】
本開示のシステム及び方法を使用して実行できる検出の別の具体的な例としては、サンプルを1つ以上のマイクロキャビティに濃縮し、ATP系検出を行うための試薬を加えることによって、化学発光を使用して微生物(例えば、存在/不在)を検出することを含む。試薬は、試薬をマイクロキャビティにコーティングし、及び/又は乾燥させることによって、遠心の前又は後に添加され得る。このような実施形態において、試薬としては、細胞溶解試薬、ルシフェリン(基質)、及びルシフェラーゼ(酵素)が挙げられる。細胞溶解試薬は、ATPを解放するために細胞を破断させるために使用され得、これはルシフェラーゼがルシフェリンを化学発光させるために必要である。結果として、目的の微生物を含むマイクロキャビティが「マーキング」され(例えば、照明される)、微生物を含まないマイクロキャビティは「マーキング」されず(例えば、暗い)、それによって微生物の存在/不在は間接的に検出され得る。
【0075】
図1は、本開示の一実施形態によるサンプル検出システム100を例示する。いくつかの実施形態において、サンプル検出システム100はサンプルを濃縮して(例えば、
図2及び
図3に示し、以下に詳細を説明するマイクロキャビティ136に)濃縮物を形成するために使用され得、更に、目的の検体に関して、すなわち目的の検体の存在又は不在を検出するために、濃縮物を検査するために使用され得る。
【0076】
図1に示すように、いくつかの実施形態において、サンプル検出システム100は、サンプル検出容器102を含み得る。サンプル検出容器102はキャップ104によって閉じられるように構成され、それによりサンプル検出容器102及びキャップ104は互いに取り外し可能に又は恒久的に連結され得る。
【0077】
サンプル検出容器102は、例えば、1つ以上の目的の検体に関して分析されるサンプルを含むように適合され得る。サンプルは一般的には液体サンプルであり、いくつかの実施形態においては希釈液体サンプルであり(すなわち、サンプルに存在するいずれかの目的の検体が低濃度で存在する)、いくつかの実施形態においては希釈水性サンプルである。サンプル検出容器102は、所望により、分析されるサンプルに適合する寸法及び形状であり得、サンプル検出容器102及びキャップ104の形状及び構成は、単に例として示される。
【0078】
図1に示すように、サンプル検出容器102は、閉鎖端部すなわち底部112(例えば、先細の閉鎖端部112)と開放端部114とを有する伸長管であり得、キャップ104は閉鎖端部すなわち底部116及び開放端部118を含み得る。キャップ104の開放端部118は、サンプル検出容器102の少なくとも一部分、特にサンプル検出容器102の開放端部114を受容するような寸法であり得、したがって、キャップ104及びサンプル検出容器102を一緒に連結すると、サンプル検出容器102の開放端部114は閉じられる及び/又は蓋をされる。
【0079】
一般的に、サンプル検出方法は、
図1のサンプル検出システム100を使用して以下のように行われ得る。サンプルはサンプル検出容器102内に配置でき、キャップ104をサンプル検出容器102に連結すると、サンプル検出容器102を閉じることができる。次に、閉じられた又はキャップされたサンプル検出容器102に、サンプル検出容器102の閉鎖端部112に向けて遠心させられて、サンプル検出容器102内にサンプルの濃縮物(例えば、マイクロキャビティ136内に保持されるもの)を形成することができる。濃縮物は更に、サンプル検出容器102に保持される間に、目的の検体に関して検査され得る。したがって、いくつかの実施形態において、「濃縮物」(すなわちサンプルの高濃度部分)を「保持液」と称する場合もある。いくつかの実施形態において、サンプル検出容器102を反転させ、遠心により生じたサンプルの上澄みをマイクロキャビティ136から排流し、サンプル検出容器102の閉鎖端部112を通してマイクロキャビティ136内の濃縮物を検査することにより濃縮物を検査することができる。
【0080】
サンプル検出容器102を用いる代表的なサンプル検出方法は、
図4を参照して以下でより詳細に記載される。
【0081】
更なる例として、キャップ104は1つ以上の突出部121を含む内側表面120を含み、サンプル検出容器102は開放端部114に隣接する1つ以上のトラック又はねじ123を含む外側表面122を含む。キャップ104の突出部121は、キャップ104及びサンプル検出容器102が一緒に連結し得るように、サンプル検出容器102のねじ123と協調し、これと係合するように構成される。
【0082】
図1に示す突出部121及びねじ123のうちある種の種類は、一連の円周方向に離間された突出部121及びねじ123を含み、それにより、キャップ104及びサンプル検出容器102を互いに対して(例えば、4セットの突出部121/ねじ123が用いられ、キャップ104の内部表面120及びサンプル検出容器102の外部表面122の周囲に均等に離間されている場合は90°)回転させることにより、キャップ104上のいずれかの突出部121をサンプル検出容器102上のいずれかのねじ123と連結させ、ロック解除位置からロック位置に変えることができる。図示された、サンプル検出容器102とキャップ104とを連結する機構は、サンプル検出容器102を閉じるための効率的な手段として、単に例として示す。
【0083】
いくつかの実施形態において、サンプル検出容器102とキャップ104とは、サンプル検出システム100の内部を周囲雰囲気から密封する(例えば、液密封止、気密封止、又はこれらの組み合わせを形成する)ような方法で共に連結され得る。例えば、いくつかの実施形態において、1つ以上の封止(例えば、Oリング)をサンプル検出容器102とキャップ104との間に用いても、サンプル検出容器102とキャップ104の一方又は両方が1つ以上の封止(例えば、Oリング)を含んでいてもよい。
【0084】
サンプル検出容器102及びキャップ104は、様々な材料から作製され得、例えば、ポリマー材料、金属(例えば、アルミニウム、ステンレス鋼など)、セラミックス、ガラス、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。高分子材料の例には、ポリオレフィン類(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、これらの組み合わせ等)、ポリカーボネート、アクリル樹脂類、ポリスチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン、自立型及び/又は自己支持型容器を形成することができるその他の好適な高分子材料、又はこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。用語「自己支持型」は、一般に、それ自身の重量下で倒壊又は変形することのない物体を指すために使用される。例えば、袋は、典型的には、それ自身の重量下でその形状を維持せず、むしろ倒壊又は変形する点から、「自己支持型」ではない。サンプル検出容器102及びキャップ104は、同一又は異なる材料から形成され得る。
【0085】
サンプル検出容器102及びキャップ104、又はこれらの一部分は、検出されるサンプルの種類、量及び/又は大きさ、並びに回収及び検査される濃縮物の種類、量、及び/又は大きさによって、実質的に透明、不透明(すなわち、実質的に透明でない)、又はその中間(例えば、半透明)であり得、任意の好適な大きさであり得る。サンプル検出容器102又はマイクロキャビティ136に隣接する少なくとも一部分は、実質的に透明であることが好ましい。いくつかの実施形態において、サンプル検出容器102は、少なくとも1mL、少なくとも約5mL、少なくとも約10mL、少なくとも約25mL、少なくとも約50mL、少なくとも約100mL又は少なくとも約250mLの収容量を有し得る。すなわち、いくつかの実施形態において、貯蔵部102の収容量又は体積は、約1mL〜約250mLの範囲であり得、及びいくつかの実施形態において、約1mL〜約100mLの範囲であり得る。
【0086】
サンプル検出容器102及びキャップ104の形状、寸法、及び連結手段は、単に例として先に記載され、
図1に示される。しかしながら、サンプル検出容器102及びキャップ104の様々な形状及び寸法が使用され得ることが理解されるべきである。加えて、様々な連結手段を用いて、サンプル検出容器102とキャップ104とを取り外し可能に及び/又は恒久的に連結し得るが、例えば、(図示されたような、又はそれ以外の)スクリューねじ、クランプ(例えば、ばね式クランプ、スナップ式クランプなど);クリップ(例えば、ばね式クリップなど);結束(例えば、結束バンド);1つ以上の磁石;テープ;接着剤;粘着剤;スナップフィット係合(例えば、この場合、キャップ104は押し上げ式キャップとして機能する);圧力フィット係合(「摩擦フィット係合」又は「締りフィット係合」と呼ばれる場合もある);熱接着(例えば、構成部品の一方又は両方に熱及び/又は圧力を加えて連結する);溶接(例えば音波(超音波など)溶接);他の好適な連結手段;並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
図2及び
図3に示すように、サンプル検出容器102の閉鎖端部112は、分析されるサンプルの濃縮物を保持するように適合された1つ以上のマイクロキャビティ136を含み(すなわち、そこで終端され)得、マイクロキャビティ136はサンプル検出容器102の開放端部114に向かって開口し得る。マイクロキャビティ136は少なくとも1つのウェル、くぼみ、凹部、及びこれらに類するもの、並びにこれらの組み合わせを含み得、その結果、マイクロキャビティ136は、サンプルの濃縮物を保持するように構成された内部体積(例えば、微小体積以下)を画定する。
図1〜
図3、
図4及び
図5に示された実施形態に記載されたような、いくつかの実施形態において、サンプル検出容器102は単一のマイクロキャビティ136を含み得る。いくつかの実施形態において、サンプル検出容器102は複数のマイクロキャビティ136を含み得るが、一般に、サンプルの濃縮物を保持できる合計体積を最小化し、それにより保持されるサンプルの濃縮物中の目的の検体(存在する場合)の濃度を最大限にするため、マイクロキャビティ136の数は可能な限り少なくするよう留意すべきである。
【0088】
いくつかの実施形態において、サンプル検出容器102はマイクロキャビティ136を取り囲む1つ以上の突出部143を含み得る。このような突出部又は支持構造143は、配合時及び使用時にマイクロキャビティ136を支持することができる。
【0089】
いくつかの従来の既存システムでは、最終的に目的の検体1つだけ(例えば、1コロニー形成単位(cfu)の目的菌)が所与の1つのマイクロキャビティ内に得られる確率を高めるため、多数のマイクロキャビティ、凹部、ウェルなどを用いていた。このような構成は、所与のサンプル中に存在する目的の検体の数を定量化するのに特に有用であり得る。この場合、多数のマイクロキャビティを走査して、例えば、目的の検体が存在しているかどうかを特定すると同時に、存在する検体の量を判定することができる。しかし、本発明者らは、最大1つの(すなわち比較的少量の)目的の検体が所与の1つのマイクロキャビティ内に存在する場合、その1つのマイクロキャビティ内の濃度は比較的低くなり、その結果そのサンプルの検出時間が長くなり得ることを見出した。例えば、サンプルが10cfuの目的菌を含んでおり、10cfuが、それぞれ個別のマイクロキャビティ内で得られた場合、10cfu全てが同一のマイクロキャビティ内で得られた場合よりも存在の検出に時間を要することになる。
【0090】
したがって、本発明者らはマイクロキャビティの数を最小限にできれば、サンプル中に存在し得る目的の検体の全てが少数のマイクロキャビティ内で一緒に濃縮され、合計の体積又は全体積が小さくなる可能性が高く、その結果、高濃度になり、検出時間をより一層短縮できることを見出した。しかしながら、従来の教示では、マイクロキャビティの数を最小限にすると目的の検体を定量化する能力が減少する又はなくなる(すなわち犠牲になる)という理由で、このような構造物は教示されていなかった。ところが、目的の検体の存在又は不在を決定するための検出時間を大幅に短縮することができる。こうした理由により、単一のマイクロキャビティを用いることで特別な利点を得ることができる。
【0091】
したがって、いくつかの実施形態において、サンプル検出容器102は10以下のマイクロキャビティを含むことができ、いくつかの実施形態においては8以下のマイクロキャビティ、いくつかの実施形態においては5以下のマイクロキャビティ、いくつかの実施形態においては4以下のマイクロキャビティ、いくつかの実施形態においては3以下のマイクロキャビティ、いくつかの実施形態においては2以下のマイクロキャビティ、いくつかの実施形態においては1以下のマイクロキャビティを含むことができる。簡略化のため、
図1〜
図3、
図4及び
図5のマイクロキャビティ136は単一のマイクロキャビティとして記述されるが、2つ以上のマイクロキャビティを用いる場合は同じ記述が複数のマイクロキャビティ136に対して適用できると理解されるべきである。
【0092】
図3に示すように、いくつかの実施形態において、マイクロキャビティ136は開放端部(開口部又は開口上部)144、1つ以上の側壁142、底部146、及び長手方向軸Aを含み得る。
図1及び
図2に示すように、マイクロキャビティ136の長手方向軸Aは、サンプル検出容器102及びサンプル検出システム100の長手方向軸Aでもあり得る。いくつかの実施形態において、図に示すように、マイクロキャビティ136、サンプル検出容器102及びキャップ104は長手方向軸Aを中心とし得る。長手方向軸Aは一般に、マイクロキャビティ136の横断面と直交(すなわち横断面に対して直角に配向)しており、マイクロキャビティ136の開口上部144及び底部146を通過し得る。このようなマイクロキャビティ136の横断面は、開口上部144と底部146との間のマイクロキャビティ136の高さ沿いであれば、どの場所を選択してもよい。長手方向軸Aは垂直軸、又は遠心/沈降の公称軸と称される場合もある。すなわち、サンプル検出容器102内に位置するサンプルが、小半径(例えば卓上)遠心分離機の既知の効力によらず、遠心下で遠心力を受ける軸を意味する。マイクロキャビティ136の他の可能な形状及び構成を
図3A〜3Cに示し、以下で更に詳細に記載する。
【0093】
図3に略台形の断面形状(すなわち円錐台形の三次元形状)を有するマイクロキャビティ136を示す。マイクロキャビティ136は、マイクロキャビティ136がサンプルの濃縮物を保持できる形状である限り、様々な形状を含み得ると理解されるべきである。換言すると、各凹部136は、サンプルの濃縮物のためのリザーバ又はウェルをもたらすような形状及び寸法であり得る。一般に、マイクロキャビティ136は、サンプル検出容器102がどの向きであっても、(例えば毛管力により)マイクロキャビティ136内に濃縮物154を保持するように構成される(例えば、形状及び寸法である)。
【0094】
マイクロキャビティ136がウェル、くぼみ、又はこれらの組み合わせのいずれを含む場合でも、好適な凹部の形状の例としては、様々な多角形、平行六面体、プリズマトイド、角錐台など、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。例えば、マイクロキャビティ136は、多面体、円錐、切頭円錐、角錐、接頭角錐、球、部分球、半球、楕円体、ドーム形状、円筒形、キューブコーナー形状、他の好適な形状、及びこれらの組み合わせであってもよい。更にマイクロキャビティ136は、平行四辺形、角が丸みを帯びた平行四辺形、長方形、正方形、円形、半円形、楕円形、半楕円形、三角形、台形、星形、他の多角形、他の好適な断面形状、及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つが挙げられるがこれらに限定されない、様々な断面形状(
図3に示される垂直断面、水平断面、又はこれらの組み合わせを含む)を有し得る。
【0095】
図1〜
図3に示すように、サンプル検出容器102は、サンプル検出容器102の内部表面のうち少なくとも一部分を画定する壁部138(すなわち内部壁)を更に含み得る。壁部138はマイクロキャビティ136まで延在し(マイクロキャビティ136に向かって先細になり)、壁部138の少なくとも一部分はマイクロキャビティ136の開口上部144と隣接して位置する。一般に、用語「マイクロキャビティの開口上部と隣接して位置する」とは、(図示したように)マイクロキャビティ136の開口上部144の真上、又はマイクロキャビティ136の横断寸法、すなわち上述した代表的なx、y寸法の1倍未満(理想的には0.5倍未満、若しくは0.25倍未満)である位置の真上まで延在する壁部138(若しくはその一部分)を意味する。いくつかの実施形態において、代表的な横断寸法は開口上部144の位置のマイクロキャビティ136の横断寸法であり得る。
【0096】
壁部138の少なくとも一部分は、マイクロキャビティ136に向かって傾斜しており、マイクロキャビティ136の長手方向軸Aに対して有効角度αで配向される勾配を有する。この有効角度αは、45°よりも大きく、90°よりも小さい角であり得る。上述のように、上限の90°では、マイクロキャビティ136内への目的の検体の回収が容易である。すなわち、有効角度αは、マイクロキャビティ136へのサンプルの回収及び沈降を最大化するように設定されており、その結果、遠心下で目的の検体(例えば微細物)がマイクロキャビティ136へと誘導される。更に上述したように、下限の45°では、(例えば、遠心後、サンプル検出容器102を反転させたとき)マイクロキャビティ136内に保持されていない残存する上澄みをマイクロキャビティ136から容易に排流し、保持された量がマイクロキャビティ136によって画定される量とほぼ等しく(又はそれ未満に)なるようにサンプルの濃縮物がマイクロキャビティ136内に単離される。
【0097】
いくつかの実施形態において、有効角度αは少なくとも46°、いくつかの実施形態においては少なくとも47°、いくつかの実施形態においては少なくとも48°、いくつかの実施形態においては少なくとも49°、いくつかの実施形態においては少なくとも50°、いくつかの実施形態においては少なくとも55°、いくつかの実施形態においては少なくとも60°、いくつかの実施形態においては少なくとも65°、いくつかの実施形態においては少なくとも70°であり得る。
【0098】
いくつかの実施形態において、有効角度αは89°以下、いくつかの実施形態においては88°以下、いくつかの実施形態においては87°以下、いくつかの実施形態においては86°以下、いくつかの実施形態においては85°以下、いくつかの実施形態においては80°以下、いくつかの実施形態においては75°以下であり得る。
【0099】
いくつかの実施形態において、有効角度αは50°よりも大きく、90°よりも小さい角であり得る。いくつかの実施形態において、有効角度αは50°〜80°の範囲内、いくつかの実施形態において、60°〜80°の範囲内であり得る。
【0100】
単に例として、
図1〜
図3、
図4及び
図5のサンプル検出容器102の有効角度αは60°である。
【0101】
壁部138、具体的にはその有効角度αは、マイクロキャビティ136内への目的の検体の回収、及びマイクロキャビティ136内に得られる目的の検体の濃度を制御する。所望の効果を得るためには、壁部138(例えば、壁部138の面積)はマイクロキャビティ136(例えば、マイクロキャビティ136の開口部の面積)と比較して、大幅に大きくなければならない。したがって、有効角度αで配向される(及びマイクロキャビティ136と隣接して位置する)壁部138の少なくとも一部分は、マイクロキャビティ136の(例えば、長手方向軸Aに対して直角な向きの)代表的な寸法の少なくとも5倍である長さ(例えば、
図3の長さLを参照)を有し得る。例えば、いくつかの実施形態において、壁部138(又は有効角度αで配向される、それに該当する部分)は、例えば開口上部144での横断寸法の5倍の長さを有し得る。
図3は、マイクロキャビティ136の開口上部144の横断寸法Xを示している。
図3を更に参照すると、図示されている壁部138の長さLの部分は、明らかに少なくとも5倍の長さを有している。
【0102】
いくつかの実施形態において、壁部138は少なくとも10倍、いくつかの実施形態においては少なくとも15倍、いくつかの実施形態においては少なくとも20倍、いくつかの実施形態においては少なくとも50倍、いくつかの実施形態においては少なくとも100倍、いくつかの実施形態においては少なくとも200倍、いくつかの実施形態においては少なくとも500倍、いくつかの実施形態においては少なくとも1000倍の幅を有し得る。
【0103】
壁部138とマイクロキャビティ136との間の界面は技術上、重要である(例えば、マイクロキャビティ136内に回収される目的の検体を最大化する一方で、サンプル検出容器102を反転させたときなどに、上澄みをマイクロキャビティの開口上部144から溢れさせ開口上部でピンチオフできる)ことから、開口上部の横断(すなわちx、y)寸法が、一般に本開示において代表的な横断寸法として使用される。ただし、代表的な寸法が、壁部の長さに対するマイクロキャビティ136の大きさを示す限り、他の寸法を代表的な寸法として使用してもよい。例えば、いくつかの実施形態において、マイクロキャビティ136の底部146(例えば、平坦な底部を用いる場合)を使用しても、又は平均横断寸法の代わりにマイクロキャビティ136の高さなどを使用してもよい。
【0104】
壁部138の有効角度αを制御することで得られる利点は、特にマイクロキャビティ136の数を最小限にする(例えば、単一のマイクロキャビティである)場合に見出し得る。マイクロキャビティ136の数が、例えば数百又は数千へと増加するにつれ、壁部138の有効角度αが結果に及ぼす効果は減少し得る。例えば、サンプル検出容器102の閉鎖端部112が数千のマイクロキャビティを含んでいた場合、サンプル検出容器102の一方の側にあるマイクロキャビティに隣接して位置する壁部138の部分は、サンプル検出容器102の反対側(例えば、180°反対側)にあるマイクロキャビティに隣接して位置する壁部138の部分の近くにはならない。このような構造では、マイクロキャビティからのマイクロキャビティ上方の上澄みの排流は、壁部138の有効角度αよりも、マイクロキャビティを画定する微細構造化された上壁部表面によって制御される可能性が高くなる。これは、本開示のマイクロキャビティ136の数を最小限にするもう一つの理由である。
【0105】
いくつかの実施形態において、
図3に示すように、マイクロキャビティ136は、マイクロキャビティ136の1つ以上の側壁部142が対応する底部146に対してゼロでなく、直角でない角度で向けられるように、抜け勾配βを含み得る。いくつかの実施形態において、抜け勾配βは、マイクロキャビティ136の側壁部142と、垂直線(すなわち、平坦な底部146と垂直又は直角な直線又は平面)との間の角度として記録され得る。いくつかの実施形態において、抜け勾配βは約5°、いくつかの実施形態において少なくとも約10°、いくつかの実施形態において少なくとも約12.5°、及びいくつかの実施形態において少なくとも約15°であり得る。いくつかの実施形態において、抜け勾配βは約50°以下であり、いくつかの実施形態において約30°以下であり、いくつかの実施形態において約25°以下であり、いくつかの実施形態において約20°以下である。いくつかの実施形態において、抜け勾配βは約10°〜約15°の範囲である。いくつかの実施形態において、抜け勾配βは14°である。
【0106】
図3に示す実施形態において、マイクロキャビティ136の底部146は平坦及び平面状(すなわち面積を有する)であり、長手方向軸Aに対して実質的に直角に配向される。しかし、マイクロキャビティ136の他の形状が可能であるため、底部146は平面状である必要はないが、開口上部144から最も離れた距離にある点又は線を含み得る。更に、平面状の底部146を用いた実施形態であっても、底部146は全体的に平坦である必要はなく、少なくとも一部が湾曲している、平坦である、又はこれらの組み合わせであってもよい。更に、平坦かつ平面状の底部146を用いた実施形態であっても、底部146は長手方向軸Aと直交している必要はない。
【0107】
更に、
図3に例示される実施形態において、マイクロキャビティ136は、様々な対称線を有するものとして示されており、底部146は、開口部144に対して中心合わせされている。しかしながら、凹部136は対称線を有さずともよく、底部146が(底部146が点、線、又は面積を有しているか否かとは関係なく)凹部136の開口部144に対して中央に配置される必要はないことが理解されるべきである。
【0108】
2つ以上のマイクロキャビティ136を用いる場合、マイクロキャビティ136は同一の寸法及び形状を有し得る。ただし、マイクロキャビティ136の全てが同一の寸法又は形状である必要はないことを理解されるべきである。すなわち、凹部136はすべてが概ね同じ形状及び大きさに形成されてもよく、同じ又は似た形状であるが異なる大きさのものとして形成されてもよく、異なる形状及び大きさのものとして形成されてもよく、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。
【0109】
図3A〜
図3Cは、本開示の追加実施形態によるサンプル検出容器102A、102B、及び102Cの拡大図を示す。各サンプル検出容器102A、102B、102Cは、マイクロキャビティ136A、136B、136C、長手方向軸A’、A’’、A’’’及び各々有効角度α’、α’’、α’’’で配向される壁部138A、138B、138Cを含む。
【0110】
図3Aは、壁部138Aが湾曲しており、その結果複合勾配を含むサンプル検出容器102Aを示す。例えば、有効角度α’、α
2’及びα
3’を例示目的として示す。しかし、マイクロキャビティ136Aに隣接して位置する壁部138Aの部分はマイクロキャビティ136Aの開口上部144Aの横断寸法の少なくとも5倍であり、湾曲した壁部138Aの複合勾配(すなわち複数の有効角度α’、α’’及びα’’’)は各々、45°よりも大きく、90°よりも小さい。したがって、
図3Aは、複合勾配が、マイクロキャビティの長手方向軸に対して40°超かつ90°未満である有効角度αで全て配向され、かつ勾配域にわたる全長が所望の効果を得るのにほぼ十分な長さ、すなわち開口上部でのマイクロキャビティの横断寸法の少なくとも5倍の全長を有する限り、本開示によるサンプル検出容器の「壁部」が湾曲していても、複合勾配を含んでいてもよいことを示している。
【0111】
図3Bは、壁部138(又は有効角度α’’で配向される壁部の一部分)とマイクロキャビティ136との間に位置する平坦な領域(すなわち、長手方向軸A’’に対して90°で配向される)を含むサンプル検出容器102B(又は壁部138)を示す。しかし、平坦な領域はマイクロキャビティ136又は壁部138と比較して大きな寸法ではなく、開口上部144Bでのマイクロキャビティ136Bの横断寸法Xの1倍未満、いくつかの実施形態においては0.5倍未満、いくつかの実施形態においては0.25倍未満である長さRを有する。サンプル検出容器102は、平坦な領域以外、
図1〜
図3のサンプル検出容器102に示したものと実質的に同様である。
【0112】
図3Cは円形状の底部及び円形状の開口上部を有するマイクロキャビティ136Cを示す。変曲点Iは、マイクロキャビティ136Cが壁部138Cと、又は有効角度α’’’で配向する壁部の部分と交わる位置を画定する。記載のように、いくつかの実施形態において、変曲点Iはマイクロキャビティ136Cの開口上部144Cを画定でき、このような実施形態においては、マイクロキャビティ136Cの横断寸法Xは変曲点Iの高さで計測される。このようなマイクロキャビティ136Cに対して湾曲した上面は、成形アーティファクトにより生じ得る。しかし、本開示の「壁部」138Cは、マイクロキャビティ136に対して実質的に十分な寸法があり、壁部136Cは単なる成形アーチファクトではない。本開示のサンプル検出容器の「壁部」は、マイクロキャビティに対して相当の寸法であり、「壁部」は成形加工の単なるアーティファクト(すなわち、例えば意図しない結果)を意味しない。
【0113】
図1〜
図3の実施形態を引き続き参照すると、いくつかの実施形態において、マイクロキャビティ136は(例えば、サンプル検出容器102のそれ以外の部分と比較して)、目的の濃縮物を容易に保持するために表面改質(例えば、親水性/親油性の表面処理又はコーティングなど)を含み得る。
【0114】
いくつかの実施形態において、図に示すように、サンプル検出容器102は、サンプル検出容器102の内部(すなわち「内側」)に概ね面し、かつサンプル検出容器102の内側表面124又はその部分を概ね含む、サンプル検出容器102の第1の側部140にマイクロキャビティ136を含むように記載されている場合がある。特に、第1の側部140は、マイクロキャビティ136の開口上部144がサンプル検出容器102の第1の側部140に向けて、及びサンプル検出容器102の内部に向けて開口しているように、マイクロキャビティ136を形成し得る内側表面124を含み得る。サンプル検出容器102は更に、第1の側部140及び内側表面124それぞれのほぼ反対側である、外側表面149(例えば、
図3参照)を有する第2の側部141を含み得る。第2の側部141は、サンプル検出容器102の外側、例えばサンプル検出容器102の反対側に面する場合がある。結果として、サンプル検出容器102内(すなわちマイクロキャビティ136内)に保持される濃縮物は、例えば、サンプル検出容器102の少なくとも一部分(例えば、閉鎖端部又は底部112及び/又は第2の側部141)が実質的に透明である実施形態において、第2の側部141から検査され得る。
【0115】
上記のように、いくつかの実施形態において、サンプル検出容器102の体積(すなわち、サンプル検出容器102の容量)は、約1mL〜約250mLの範囲であり得る。結果として、いくつかの実施形態において、サンプルの体積は、少なくとも約1mL、いくつかの実施形態において少なくとも約10mL、及びいくつかの実施形態において少なくとも約100mLであり得る。いくつかの実施形態において、サンプルの容積は約200mL以下であり、いくつかの実施形態において、約100mL以下であり、いくつかの実施形態において、約75mL以下であり、いくつかの実施形態において約50mL以下である。いくつかの実施形態において、サンプルの体積は、約1mL〜約100mLの範囲である。
【0116】
いくつかの実施形態において、サンプル検出容器102が有する濃縮物の体積を保持する収容量、及び/又はマイクロキャビティ136の体積(若しくは複数のマイクロキャビティ136の総体積)は1μL以下であり、いくつかの実施形態において500ナノリットル(nL)以下、いくつかの実施形態において250nL以下、いくつかの実施形態において200nL以下、いくつかの実施形態において100nL以下、いくつかの実施形態において50nL以下、いくつかの実施形態において25nL以下及びいくつかの実施形態において10nL以下である。
【0117】
いくつかの実施形態において、マイクロキャビティ136内に保持されるサンプルの濃縮物(又は「保持液」)の体積に対する、サンプル検出容器102(すなわち容器108の「貯蔵」部分)の体積の比率は、少なくとも約100:1(10
2:1)、いくつかの実施形態において、少なくとも約1000:1(10
3:1)、いくつかの実施形態において、少なくとも約10,000:1(10
4:1)、いくつかの実施形態において、少なくとも約100,000:1(10
5:1)、いくつかの実施形態において、少なくとも約10
8:1、いくつかの実施形態において、少なくとも約10
9:1、いくつかの実施形態において、少なくとも約10
10:1、及びいくつかの実施形態において、少なくとも約10
11:1である。いくつかの実施形態において、サンプル検出容器102の体積の、マイクロキャビティ136内の濃縮物の体積に対する比率は、約100:1〜約10
11:1の範囲である。
【0118】
いくつかの実施形態において、濃度上昇率(すなわち、マイクロキャビティ136内に保持された生成濃縮物の(すなわち、目的の検体などの高密度の物質の)濃度を初期サンプルの濃度で乗算して表される比)は、少なくとも約100:1(10
2:1)であり、いくつかの実施形態において、少なくとも約1000:1(10
3:1)、いくつかの実施形態において、少なくとも約10,000:1(10
4:1)、及びいくつかの実施形態において、少なくとも約100,000:1(10
5:1)であり得る。いくつかの実施形態において、濃度係数は、約10:1〜約10
5:1の範囲である。
【0119】
図4を参照して、サンプル検出方法150をここで説明するが、
図1〜
図3のサンプル検出システム100を引き続き参照し、マイクロキャビティ136は例示目的で概略的に示す。
【0120】
図4に示すように、第1工程150Aでは、サンプル152はサンプル検出の位置にあり、キャップ104はサンプル検出容器102を閉じるため、サンプル検出容器102と連結され得る。第2工程150Bに示すように、サンプル検出システム100(すなわちサンプル検出容器102)はマイクロキャビティ136に向かう第1の方向(又は向き)D
1に遠心され得る。このような遠心プロセスは、サンプル152の濃縮物154及び上澄み156を形成し、サンプル152の高密度物質を含む濃縮物154(
図5を参照)をマイクロキャビティ136へと移動させることができる。「濃縮物」154は一般的に、遠心プロセスの結果として形成されるサンプル、の沈降物を含むが、また、
図5を参照して以下でより詳細に記載されるように、サンプルの上澄み、又は希釈剤の少なくとも一部を含み得る。
【0121】
図4の工程150Bに示される遠心工程において、マイクロキャビティ136に濃縮物154を形成及び保持するために必要な遠心G力、持続時間、及び/又は周期数は、サンプル152の組成物、目的の検体などの1つ以上によって変動し得る。いくつかの実施形態において、目的の検体の濃縮に必要なG力の規模は、検体の大きさ及び密度、希釈剤の密度及び速度、並びにサンプル検出容器102内のサンプル152のサンプルの体積に依存し得る(すなわち、サンプル検出容器102のサンプル152の高さが、特定のG力下で検体がマイクロキャビティ136に到達するまでに移動する必要がある距離を規定する)。沈降速度(V、1秒当たりのセンチメートル(cm/s))は、等式1を用いて近似値を与えられる。
V=2ga
2(ρ1−ρ2)/9η (1)
式中、g=加速度(cm/s
2)(すなわち、G力=gs
*980cm/s
2)、ρ1=検体密度(g/cm
3)、ρ2=サンプル媒体の密度(例えば希釈剤)(g/cm
3)、η=粘度係数(ポワズ)(g/cm/s)、及びa=検体半径(cm)(球形であることを想定する)である。いくつかの遠心分離機では、一定の遠心力を作用させることにおいて、回転速度(例えば、1分当たりの回転(RPM))、及び回転中心からのサンプルの距離によって決定され得る(すなわち、サンプルは、これがローターから離れている場合に同じ回転速度においてより高いG力を経験する)。結果として、マイクロキャビティ136から最も遠い、サンプル152中に位置し得る目的の検体を回収するために、ローターの中心とローターに最も近く位置するサンプル152の高さとの距離が計算されて、目的の検体の回収を最大化するためにサンプル152中において目的の検体を最も遠い距離で移動させるために必要なG力を推定することができる。
【0122】
上記の等式を使用して沈降速度が計算され得、その後目的の検体(存在する場合)が移動するべき距離(例えば、最大距離)を、沈降速度で割ることによって、遠心力を作用させる時間(すなわち、持続時間)が計算され得る。あるいは、沈降速度を推定するために、所望の時間及び距離が使用され得、その後必要なG力が等式1を使用して算出され得る。
【0123】
いくつかの実施形態において、遠心工程におけるG力は、いくつかの実施形態において、少なくとも約500・g(例えば、地球上、海水位において500
*9.8m/s
2)、いくつかの実施形態において少なくとも1000・g、及びいくつかの実施形態において少なくとも約5000・gである。いくつかの実施形態において、遠心工程におけるG力は、100,000・g以下、いくつかの実施形態において約50,000・g以下、及びいくつかの実施形態において約10,000・g以下である。
【0124】
いくつかの実施形態において、遠心力を作用させる工程の持続時間は少なくとも約1分、いくつかの実施形態において少なくとも約5分であり、いくつかの実施形態において少なくとも約10分である。いくつかの実施形態において遠心力を作用させる工程は、約120分以下、いくつかの実施形態において約60分以下、及びいくつかの実施形態において約20分以下であり得る。
【0125】
図4の工程150Cに示すように、サンプル検出容器102(すなわちサンプル検出システム100)は次に、遠心工程から得られる上澄み156をマイクロキャビティ136からデカントすると同時に、濃縮物154はマイクロキャビティ136内に保持されたままになるように、反転され得る。用語「反転する」とは、本明細書において向きの変化を指し、様々な角度に向けることを含み、向きを180°変えることに限定されない場合がある。マイクロキャビティ136は、通常の重力下において濃縮物154を保持するように適合され得る(例えば、標準重力下において、すなわち、海水位における地球の重力加速度の標準的値9.8m/s
2)。
【0126】
いくつかの実施形態において、反転工程は、容器108を少なくとも20°(例えば、−10°〜+10°又は0°〜+20°など)、いくつかの実施形態においては少なくとも45°、いくつかの実施形態においては少なくとも60°、いくつかの実施形態においては少なくとも90°、及びいくつかの実施形態においては180°反転させることを含むべきである。例えば、
図4の工程150A及び150Bに示すように、キャップ104が(例えば、水平面から)−90°に向けられる実施形態において、容器108は、マイクロキャビティ136内に保持される濃縮物154から上澄み156を適切に排除するために、少なくとも90°(例えば、0°まで)又はそれ以上反転させる必要がある。
【0127】
上述のように、本開示のサンプル検出容器の反転速度は、濃縮物154がマイクロキャビティ136内に実質的に収容され、及び/又は上澄み156が排流されるときの乱流から保護されることが保証される限り、厳密に制御する必要はない。
【0128】
図4の工程150Dに示されるように、マイクロキャビティ136内の濃縮物154はその後、(大きな矢印によって表される)サンプル検出容器102の外側又は外面から、すなわち、サンプル検出容器102の第2の側部141から(例えば光学的に)検査され得る。大きな矢印は、真下からマイクロキャビティ136の方向(すなわちマイクロキャビティの底部146)を向いているが、マイクロキャビティ136は所望するいかなる方向からも検査できることを理解されるべきである。上述のように、サンプル検出容器102又は少なくともその一部分は、第2の側部141から濃縮物154を(例えば、光学的に)検査することを可能にするために、実質的に透明であり得る。また、このような実施形態は、一緒に恒久的に連結されたサンプル検出容器102及びキャップ104を用いて、検出又は検査工程がサンプル検出システム100の外側から行われ得るため、キャップ104を検査工程のためにサンプル検出容器102から分離する必要がない。また、このような実施形態において、
図4の工程150Dに示されるように、上澄み156は、検出/検査プロセスが完了する前に、濃縮物154の実質的な蒸発を避けるために、湿度リザーバとして機能し得る。
【0129】
濃縮物154の問い合わせは、光学的走査、画像化、上記の方法のいずれかなどの、光学的検査方法を含む、サンプル中の目的の検体を検出するための、上記の検出方法のいずれかを含み得る。例えば、蛍光検出法は、マイクロキャビティ136の濃縮物154に電磁エネルギーを第1の周波数で向ける工程と、マイクロキャビティ136の濃縮物154から放出される電磁エネルギーを第2の周波数で検出する工程とを含む。更なる例として、比色検出法は、広域周波数(すなわち、広域スペクトル光)でマイクロキャビティ136の濃縮物154に電磁エネルギーを放出する工程と、マイクロキャビティ136の濃縮物154の透過性及び吸収性のうちの少なくとも一方を検出する工程とを含み得る。
【0130】
いくつかの実施形態において、マイクロキャビティ136は、サンプル検出容器102の第2の側部(又は第2の主要表面)141の少なくとも一部分によって形成される底部146を含み、この底部は、マイクロキャビティ136の内容物が、サンプル検出容器102の第2の側部141から(すなわち、サンプル検出システム100の外側から)見えることができるように、実質的に透明である。このような実施形態において、凹部136のいずれかの側壁は、ウェルの間のクロストークを阻止し、検出、特に光学的検出又は検査を向上させるように、実質的に不透明であり得る。
【0131】
いくつかの実施形態において、サンプル検出容器102の少なくとも一部分は、実質的に透明な光学窓を含み得る。光学窓は、マイクロキャビティ136(及びこれらの内容物)がサンプル検出容器102の外側から、特に、サンプル検出容器102の第2の側部141の外側から見えるように、少なくとも一部が、マイクロキャビティ136と、同一の広がりを有する(すなわち、重なる)場合がある。
【0132】
図5は、サンプル検出容器102のマイクロキャビティ136内に濃縮物154が保持されている、サンプル検出容器102の概略的な拡大断面図を示す。
図5に示すように、マイクロキャビティ136はサンプル検出容器102の内側表面124(又は第1の側部140)に形成され得る。
【0133】
いくつかの実施形態において、
図5に示されるように、濃縮物154は、不溶性物質158及び液体160を含む場合があり、これはまた、可溶性物質、及び特に、不溶性物質158よりも低い密度を有する可溶性物質を含み得る。濃縮物154、及び特に不溶性物質158(存在する場合)は、目的の検体(例えば、目的の微生物、又は目的の微生物を表す検体)(サンプル152、に存在する場合)を含み得る。液体160は、サンプル152の上澄み156の少なくとも一部分を含み得る。
【0134】
図4に例示され、かつ先に記載されたサンプル検出方法150は、サンプル152及び/又は濃縮物154の損失を最小にして、サンプル152の濃縮物154(すなわち、及びサンプル152に存在し得るいずれかの目的の検体)の効率的な回収をもたらし得る。例えば、効率的な回収は、
図4に例示される遠心工程150B中にサンプル検出容器102へ濃縮物154(存在する場合、目的の検体を含む)を本質的に「捕捉する」ことによって達成され得る。濃縮物154は一般的には、サンプル152に存在し得るいずれかの目的の検体のサンプル152、よりも遥かに高い濃度を有し得る。
【0135】
遠心工程で利用される遠心パラメータ、及び/又はサンプル検出容器102で利用されるマイクロキャビティ136の数、形状及び寸法に基づき、サンプル検出容器102に保持される濃縮物154の質量及び/又は体積が決定され得る。すなわち、サンプル検出容器102(及び/又は遠心工程)は、濃縮するサンプル152で所望する目的の検体に応じて、構成され得る。いくつかの実施形態において、サンプル検出容器102のマイクロキャビティ136の体積は一定であるため、サンプル検出容器102は、毎回予測可能な体積を得るために使用され得る。サンプル検出容器102のマイクロキャビティ136について、ここでより詳細に説明する。
【0136】
図5に更に示すように、マイクロキャビティ136はサンプル検出容器102の内側表面124に形成され得る。いくつかの実施形態において、1つ以上のマイクロキャビティ136は、成形(例えば射出成形)、他の好適な技術、又はこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない、様々な微細複製方法を含む、様々な方法で形成され得る。いくつかの実施形態において、マイクロキャビティ136を製造する器具(例えば、成形型)は、コーティング、鋳造、エッチング(例えば、化学エッチング、機械的エッチング、反応性イオンエッチングなど、及びこれらの組み合わせ)、アブレーション(例えば、レーザーアブレーションなど)、フォトリソグラフィ、ステレオリソグラフィ、微細機械加工、ローレット加工(例えば、切削ローレット加工若しくは酸強化ローレット加工)、スコアリング、カッティングなど、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない様々な方法によって形成され得る。
【0137】
マイクロキャビティ136は、
図4及び上記の遠心工程150Bから生じる濃縮物154を保持するように適合される。
【0138】
図5に例示する実施形態において、マイクロキャビティ136は縁部又は角部を(例えば、マイクロキャビティの底部146に)含むように形成される。このような縁部又は角部は、濃縮物154を凹部136内に保持することを促進し、通常の重力において濃縮物154が、凹部136から取り除かれるのを阻止する。例えば、濃縮物154が高い表面エネルギーを有するか、又は濃縮物154がサンプル検出容器102の内側表面124を構成する材料の分子に引きつけられる分子を含む実施形態において、濃縮物154は、平滑な単一の表面よりも、マイクロキャビティ136の縁部及び/又は角部に優先的に引きつけられる(すなわち、濃縮物154が2つ以上の表面と接触したままであり得る)場合がある。
【0139】
上述のように、壁部138の有効角度αを制御すると、上澄み156が排流されたとき、すなわち遠心及び反転後に保持される濃縮物154の体積を最小化することができる。特に、45°よりも大きい有効角度αでは、マイクロキャビティ136内に保持されない残存する上澄みをマイクロキャビティ136から容易に排流し、(例えば、遠心後に、サンプル検出容器102を反転させたとき)保持される量がマイクロキャビティ136によって画定される量とほぼ等しく(又はそれ未満に)なるようにマイクロキャビティ136内にサンプル152の濃縮物154が単離される。
【0140】
すなわち、サンプル検出容器102は、マイクロキャビティの体積に対する濃縮物154の保持される総体積の比率が約1となるように構成され得る。いくつかの実施形態において、マイクロキャビティの体積に対する、(濃縮物154の)保持される総体積の比率は5未満であり、いくつかの実施形態においては2以下、いくつかの実施形態においては1.5以下、いくつかの実施形態においては1.25以下であり得る。
【0141】
図5に示すように、有効角度αが60°の場合、保持される体積はマイクロキャビティの体積と等しいか、又はそれ未満であり得る。サンプル検出容器102内に保持される体積が多いと思われる場合の一例を破線155で示す。実施例の項の実施例4及び5では、有効角度αと、マイクロキャビティ136の体積に対する保持される総体積の比率との間の関係に加え、検出時間を実証する。
【0142】
図6及び
図7は、本開示の別の実施形態によるサンプル検出システム200を示したものであり、同様の参照符合は同様の要素を表わしている。
図6及び
図7のサンプル検出システム200は、
図1〜
図5に関して上述したサンプル検出システム100と同一の要素、特徴、機能のうちの多くを共有する。
図6及び
図7に図示される実施形態の特徴部及び要素(並びに特徴部及び要素の代替)をより完全に説明するために、
図1〜
図5に関してなされた上記説明を参照する。
図1〜
図5に関する上述の特徴のいずれかを、
図6及び
図7の実施形態に適用してもよく、その逆も同様である。
【0143】
サンプル検出システム200は、サンプル検出容器202及びキャップ204を含む。
図6及び
図7に示すように、サンプル検出容器202は、閉鎖端部すなわち底部212(例えば、先細の閉鎖端部212)及び開放端部214を有する伸長管であり得る。単に例として、キャップ204は、サンプル検出容器202の開放端部214に受容されるように寸法設定された部分(例えば突起部)213を含むものとして図示されている。キャップ204は更に、所望する場合にサンプル検出容器202からキャップ204を容易に取り外しするためのタブすなわちフランジ215を含むものとして図示されている。単に例として、サンプル検出容器202及びキャップ204は、スナップフィット型係合により共に連結されるように構成されている。いくつかの実施形態において、サンプル検出容器202及びキャップ204を共に連結するときに容器が密封されるように、サンプル検出容器202及びキャップ204の一方又は両方は、それと連結される、又はそれによって一体化される封止(例えば、Oリング)を含み得る。
【0144】
サンプル検出容器202の閉鎖端部212は、分析されるサンプルの濃縮物を保持するように適合された1つ以上のマイクロキャビティ236を含み(すなわち、そこで終端され)得、マイクロキャビティ236はサンプル検出容器202の開放端部214に向かって開口し得る。閉鎖端部212は更に、マイクロキャビティ236まで延在し、有効角度αで(すなわち長手方向軸A’に対して)配向される壁部238を含み得る。閉鎖端部212は更に、マイクロキャビティ236を取り囲む1つ以上の突出部243を含み得る。
【0145】
図6及び
図7のサンプル検出システム200と、
図1〜
図5のサンプル検出システム100との主な違いは、サンプル検出容器102、202の全体のサイズ/体積、及びアスペクト比(横断寸法(例えば、直径又は幅)に対する長さの比)である。サンプル検出容器102はサンプル検出容器202よりもアスペクト比が小さい。
【0146】
加えて、サンプル検出容器102はサンプル検出容器202の直径よりも大きい横断寸法(例えば、直径)を有している。結果として、マイクロキャビティ136がマイクロキャビティ236と同一、又は同一の大きさである場合、サンプル検出容器102の横断寸法(例えば、直径)に対するマイクロキャビティ136の比率は、サンプル検出容器202の横断寸法(例えば、直径)に対するマイクロキャビティ236の比率よりも低い。
【0147】
しかし、サンプル検出容器102及びサンプル検出容器202はいずれも、45°より大きく、90°より小さい有効角度αで配向される壁部138、238を有する。例として、サンプル検出容器202は60°の有効角度αを有する。
図1〜
図3、
図4及び
図5並びに
図6〜
図7に示すように構成されたサンプル検出容器を試験し(実施例を参照)、遠心後にサンプルの一部分を保持しつつ、保持された体積を最小(すなわち、マイクロキャビティ136、236上方の液滴又は液状の溜まり(liquid hang-ups)を最小)にするのに、いずれも有効であることがわかった。
【0148】
図8A〜
図8D及び
図9A〜
図9Dは、容器を反転させたときの、比較例(
図8A〜
図8D)のサンプル検出容器と本開示のサンプル検出容器の流体力学を示す概略図である。
図8A〜
図8Dの比較例は、例示目的として挙げる。実施例8に更に詳しく記載されているように、高速イメージングシステムを使用して、容器の反転時に容器内で起こっている流体力学の映像を撮影した。
図8A〜
図8D及び
図9A〜
図9Dに示す4つの画像は、映像の4つの時点から取得した実際のスナップショットから抽出した。様々な有効角度αを有する他の容器も、
図8A〜
図9Dで表われたものと同様の現象を示すことを目視により観察した。上述のようなこのような反転工程は、一般に、サンプルを濃縮してサンプルの沈殿物(すなわち、サンプルの最も高密度な部分)をマイクロキャビティへと送るための遠心工程後に行われるものである。
【0149】
図8A及び
図8Dのサンプル検出容器は、45°の有効角度αを備える比較例の容器である。
図9A〜
図9Dのサンプル検出容器は、本開示の一実施形態であり、単に例として60°の有効角度αを備える。
【0150】
図8A〜
図8D及び
図9A〜
図9Dに示すように、容器を傾けると、液体(例えば、サンプルの上澄み)は、容器の下部表面(すなわち、
図8A〜
図8Dに示されるような「下部」表面)に沿って形成される液体の薄膜を通って容器の外へと排流され、その力により気液界面は更に容器内へと(マイクロキャビティ方向へと)移動する。同時に、空気、液体及び固体の相が接する接触線は容器の上部表面から滑り落ち、最終的にマイクロキャビティに近づく。容器の上部表面上の接触線がマイクロキャビティの角部に達する前に、気液界面が容器の底部壁と接触する場合、容器内、すなわちマイクロキャビティの上方に過剰な液体が残留することになり、その結果マイクロキャビティの体積よりも明らかに大きい体積が保持されることになる。他方で、残留液体(すなわち、マイクロキャビティ上方)の体積は、重力によって液滴を取り除くにはまだ小さく、かつ表面張力が妨げとなり過剰な液体をマイクロキャビティから簡単に排流されない。結果として、本発明者らは、容器の壁部と相互作用する界面を移動させる力学が、それによってマイクロキャビティの上方に保持される何らかの過剰な液体の有無を特定する際に重要な役割を果たすことを見出した。
【0151】
図8A〜
図8Dと
図9A〜
図9Dとの比較により示したように、本発明者らは意外にも、有効角度αが45°のときは過剰な液体がマイクロキャビティ上方の容器内に残留するが、有効角度αが60°(又は、45°よりも大きい他の有効角度α。60°は単に例として9A〜9Dに示す)のときは残留しないことを見出した。理論に束縛されるものではないが、本発明者らはこれを2つの関連するメカニズムの結果であり得ると理論付けている。第一に、気液界面と容器内の底部壁との間のピンチオフ事象は、有効角度αが小さいと、(
図8A〜
図8Dとに示すように)マイクロキャビティと隣接して位置する容器壁部が界面に「近づく」ため、一般的に有効角度αの小さい容器の方が迅速に発生する。第二に、接触線の速度は、(
図9A〜
図9Dに示すように)有効角度αが大きい表面で一般的に速くなるため(すなわち、反転時)、接触線がマイクロキャビティの縁部に達して、その位置で直ちに、すなわち、45°ではなく60°が有効角度αの方が直ちに止まる。
【0152】
図10〜
図14は、本開示の一実施形態によるサンプル検出システム300を示したものであり、同様の参照符合は同様の要素を表わしている。
図10〜
図14のサンプル検出システム300は、
図1〜
図5及び
図6〜
図7それぞれに関して上述したサンプル検出システム100及び200と同一の要素、特徴、機能のうちの多くを共有する。
図10〜
図14に図示される実施形態の特徴部及び要素(並びに特徴部及び要素の代替)をより完全に説明するために、
図1〜
図7に関してなされた上記説明を参照する。
図1〜
図5又は
図6〜
図7に関する上述の特徴のいずれかを、
図10〜
図14の実施形態に適用してもよく、その逆も同様である。
【0153】
サンプル検出システム300は、
図1〜
図3、
図4及び
図5のサンプル検出容器102(又は
図6〜
図7のサンプル検出容器202)をどのように濾過用構成部品と共に用い得るかを例示したものであり、この濾過用構成部品を使用すると、サンプル検出容器102を使用してサンプルを濃縮する前に、サンプルを前濾過することができる。単に例としてサンプル検出容器102を示しているが、本開示のいかなるサンプル検出容器も代わりにサンプル検出システム300に用いられ得ると理解されるべきである。
【0154】
サンプル検出システム300は、第1の容器(又は「第1の容器アセンブリ」)303(
図10、
図11及び
図14参照)、及び第2の容器(又は「第2の容器アセンブリ」)305(
図3、
図4及び
図5参照)を含み得る。第2の容器305はサンプル検出容器102を含み得る。いくつかの実施形態において、サンプル検出システム300は濃縮物を形成するためにサンプルを濃縮するのに使用され得(例えば、下記のようなマイクロキャビティ136中)、更に、目的の検体に関して、すなわち目的の検体の存在又は不在を検出するために、濃縮物を検査するために使用され得る。
【0155】
図10、
図11及び
図14に示されるように、第1の容器303は、サンプル(例えば、大体積の水性サンプル)を収容するように適合された貯蔵部(又は「第1部」)306、及び存在する場合にサンプルからの目的の検体を保持するように構成され得るフィルター312を含むフィルター部(又は「第2部」)308を含む。フィルター部308、及び貯蔵部306は、第1の容器303を形成するように、取り外し可能に一緒に連結されるように構成され得る。
【0156】
図12〜
図14に示すように、第2の容器305はフィルター部308(すなわち、サンプルフィルター部308)、及び「検出部」又は「第3部」とも呼ばれる場合があるサンプル検出容器102を含み得る。フィルター部308はしたがって、第1の容器303及び第2の容器305の両方において使用され得る。上述のように、サンプル検出容器102は、第2の容器305が遠心力を受けたときサンプルの濃縮物を受容するように適合され、更に、通常の重力下(例えば、標準重力下、すなわち、海面での地球の重力加速度の標準値である9.8m/s
2)でサンプルの濃縮物の少なくとも一部分を保持するように適合される、マイクロキャビティ136を含み得る。
【0157】
一般的に第1の容器303は、フィルター部308を通じて、及び特に、フィルター312にサンプルを通すことによってサンプルを濾過し、サンプルの濾液及び濾過物を形成するために使用され得る。フィルター部308はその後、第1の容器303の貯蔵部306から取り除かれ、第2の容器305を形成するためにサンプル検出容器102に連結される。次に、第2の容器305はマイクロキャビティ136に向けて遠心されて、フィルター312からの濾過物の少なくとも一部分をマイクロキャビティ136へと移動させることができる。このようにして、サンプルの沈降物及び上澄みが形成され得る。上澄みは、例えば、第2の容器305を反転させることによって、マイクロキャビティ136からデカントされ得、かつ濃縮物がマイクロキャビティ136に保持され得る。濃縮物は、沈降物を含む場合があり、これは(サンプル中に存在する場合)1つ以上の目的の検体を含む場合がある。
【0158】
本開示の代表的なサンプル検出方法は、
図14を参照として以下でより詳細に記載される。サンプル検出システム300はここで、より詳細に記載される。
【0159】
第1の容器303、及び具体的に貯蔵部306は、例えば、1つ以上の目的の検体について分析されるサンプルを収容するように適合され得る。第1の容器303(又は貯蔵部306)は、所望により、分析されるサンプルに適合する寸法及び形状であり得、貯蔵部306及びフィルター部308の形状及び構成は、単に例として示される。
【0160】
貯蔵部306及びフィルター部308は様々な材料、例えば、限定するものではないが、
図1〜
図3、
図4及び
図5のサンプル検出容器102及びキャップ104に関して上述した材料から形成され得る。貯蔵部306、フィルター部308及びサンプル検出容器102は同一の又は異なる材料から形成され得る。
【0161】
貯蔵部306は、リザーバ318を少なくとも部分的に画定する第1の端部314、及びフィルター部308に連結される(すなわち、直接的又は間接的)ように構成された第2の端部316を含み得る。第1の端部314は、開放端部又は閉鎖端部のいずれかであり得る。単に例として、
図10及び
図11において、第1の端部314は閉じられ、第2の端部316は開かれており、それにより、例えば貯蔵部306をフィルター部308と連結する前に第2の端部316を通じてリザーバ318にサンプルを添加することができる。しかし、いくつかの実施形態において、第1の端部314を通じてリザーバ318にサンプルを添加できるように第1の端部314を開放しておくことができ、また第1の端部314は開いたままでも、カバー又は蓋によって閉じることもできる。
【0162】
図10に示されるように、第1の容器303は、フィルター部308及び貯蔵部306を一緒に連結するためフィルター接続アセンブリ320を更に含む場合がある。いくつかの実施形態において、フィルター接続アセンブリ320は、貯蔵部306に連結される場合があり(例えば、取り外し可能に又は恒久的に)、いくつかの実施形態において、フィルター接続アセンブリ320は、貯蔵部306と一体的に形成されてもよい。単に例として、フィルター接続アセンブリ320は、貯蔵部306とフィルター部308とを連結するように適合されるものとして、
図10及び
図11に例示されている。
【0163】
図10に示されるように、いくつかの実施形態において、フィルター接続アセンブリ320は、コネクタ322及びガスケット324を含み得る。ガスケット324は、コネクタ322と貯蔵部306とを連結するように構成され得る。いくつかの実施形態において、図に示すように、ガスケット324は貯蔵部306の第2の端部316内に受容されるように寸法設定され得、更にコネクタ322の第1の端部323を受容するように寸法設定された穴、すなわち開口部326を含み得る。例えば、穴326はコネクタ322の接続管321を受容するように形状及び寸法設定され得る。このような構成は、第1の容器303の内部を周囲雰囲気から密封するために、貯蔵部306とフィルター部308との間に封止(例えば、液密封止、密封封止又はこれらの組み合わせ)を形成し、一方で内部に形成される開口部326を通じた貯蔵部306とフィルター部308との間の流体連通を維持することを助け得る。ガスケット324、コネクタ322及び貯蔵部306の第2の端部316の形状及び構成は単に例として示されるが、これら要素のいかなる形状及び構成、並びに相対的な構造も、同じ機能を達成するように用いられ得ると理解されるべきである。
【0164】
上述のように、コネクタ322は、貯蔵部306に連結されるように構成された第1の端部323、及びフィルター部308に連結されるように構成された第2の端部325を含み得る。単に例として、第2の端部325は、上記で説明し、
図1及び
図2に示したサンプル検出容器102上のねじ又はトラック123と実質的に同様であるねじ327を含むものとして示されている。コネクタ322上のねじ327は、フィルター接続アセンブ320及び貯蔵部306を連結させるために、フィルター部308がフィルター接続アセンブリ320に螺着されるようにするために、フィルター部308の突出部329(
図12を参照)と協調及び係合する。単に例として(
図12に示すように)、フィルター部308(及び特に、フィルターハウジング332)は、サンプル検出システム100のキャップ104上の突出部121と実質的に同様である突出部329を含み得る。いくつかの実施形態において、貯蔵部306又はフィルター部308はそれ自体がフィルター接続アセンブリ320の機構の全てを含むことができる。あるいは、いくつかの実施形態において、貯蔵部306及びフィルター部308は、互いに直接連結されるように構成され得る。
【0165】
フィルター部308と貯蔵部306との(又はフィルター部308とサンプル検出容器102との)ねじ式接続を単に例として示すが、いくつかの実施形態において、これら構成要素間に「摩擦フィット(例えば、圧力フィット)」型又は「スナップフィット」型の連結手段を用いることによって生産性を強化してもよい。
【0166】
図10及び
図11に示されるように、フィルター接続アセンブリ320(例えば、コネクタ322)は、特に、貯蔵部306の第1の端部314が閉じられる実施形態において、濾過プロセス中において、空気入口として機能し得る、通気ポート328及び濾過プラグ330を更に含む場合がある。フィルタープラグ330は、濾過プロセス中において第1の容器303に入ってくる、吸気を濾過するために使用され得る。いくつかの実施形態においてフィルタープラグ330は、通気ポート328からのサンプルの漏れ、及び汚染物質が通気ポート328内に入るのを防ぐために、疎水性材料(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はこれらの組み合わせ)で形成され得る。
【0167】
フィルター部308は、フィルター312を収容及び保持するように構成されたフィルターハウジング332を含む場合がある。単に例として
図12に示すように、フィルター312はフィルターハウジング332の第1、すなわち上方表面331側に配置され得る。
図12に更に示されるように、フィルターハウジング332の上方表面331は、出口339(
図10及び
図11を参照)と流体連通する複数の開口部337を含むか、又はその少なくとも一部を画定する。このような出口339は、第1の容器303及び/又はフィルター部308の出口として機能することができ、かつ貯蔵部306、フィルター接続アセンブリ320(利用される場合)、及びフィルター部308を通じてサンプルを移動させて濾過工程を行うために吸引源(図示されない)に連結され得る。
【0168】
いくつかの実施形態において、フィルター312(例えば、その周辺部)は、フィルターハウジング332に超音波により溶接され得る(例えば、フィルター312の周辺部が上に位置するハウジング332内の棚又はフランジ)。このような超音波溶接は、フィルター312をフィルターハウジング332に連結する手段をもたらすことに加えて、密封封止をもたらすことができる。更にいくつかの実施形態において、フィルター312は、フィルターハウジング332と一体的に形成され得るか、又は2つの主要部品間に挟まれ得る。
【0169】
フィルター部308(フィルターハウジング332)は、フィルター312及び出口339を含む第1の端部344、並びに貯蔵部306(すなわち、例えばフィルター接続アセンブリ320を介して直接又は間接的に)及びサンプル検出容器102に(例えば、取り外し可能に)連結されるように構成された第2の端部345を含み得る。例えば、
図12に示されるように、いくつかの実施形態において、第2の端部345は、フィルター接続アセンブリ320(又はフィルター接続アセンブリ320が利用されない場合は貯蔵部306)のねじ327とサンプル検出容器102のねじ123とを連結するためのねじ329を含む。加えて、単に例として、いくつかの実施形態において、第2の端部345は、フィルター接続アセンブリ320の第2の端部325に受容される(又はその逆)ような寸法であり得る。あるいは、フィルター接続アセンブリ320が利用されないとき、第2の端部345は、貯蔵部306に直接連結されるように構成され得る。
【0170】
加えて、
図10及び
図12に示すように、いくつかの実施形態において、ガスケット(例えば、Oリング)335はフィルターハウジング332(すなわちフィルター312)とフィルター接続アセンブリ320(又はフィルター接続アセンブリ320が利用されない場合は貯蔵部306)との間、及び/又はフィルターハウジング332(すなわち、フィルター312)とサンプル検出容器102との間に用いられ得る。このようなガスケット335は、貯蔵部306(例えば、又はフィルター接続アセンブリ320)とフィルター部308との間の封止を強化し得る。単に例として、同様のガスケット335は、第1の容器303(
図10)及び第2の容器305(
図12)で用いられるものとして示されている。しかしながら、必ずしもそうである必要はない。
【0171】
上記のように、フィルター312は、存在する場合、サンプルからの目的の検体を保持するように構成され得る。フィルター312は、大きさ、電荷、親和性、又は目的の検体を保持するために好適な手段のいずれかによって構成され得る。上記のフィルター又は膜のいずれかが、本開示において利用され得る。
【0172】
特に代表的なフィルター312は、例えば、TIPS(熱的に誘発された相分離)プロセス、SIPS(溶媒誘発された相分離)プロセス、VIPS(気体誘発された相分離)プロセス、伸展プロセス、飛跡エッチング、又は電界紡糸(例えば、PAN繊維膜)により作製され得る。適切な膜材料は、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン及び/又はポリプロピレン)、エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、セルロースエステル及び/又はそれらの組み合わせを含む。
【0173】
適切な膜は、多孔質膜又はナノファイバ膜として特徴付けされ得る。ナノファイバフィルタ膜は、例えば、1μm未満等の、5μm未満の繊維直径を有することができる。ナノファイバ膜は、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、セルロースエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール及び/又はそれらの組み合わせから調製され得る。
【0174】
特定のTIPSポリオレフィン膜は、それらが、各ゾーンが異なる細孔微細構造を有する、単一の均質化ゾーンの膜構造を保有するように調製され得る。他の場合において、TIPS膜は、各ゾーンが異なる細孔微細構造を有する、2つ以上のゾーンを含むマルチゾーン膜として調製され得る。マルチゾーンTIPS膜は、別々のゾーンを含有することができるか、又は代替的に、2つの他の別々のゾーンの間に移行ゾーンを保有することができる。このようなマルチゾーンフィルターは、効果的な溶出のために、本開示のシステム及び方法において特に有用であり得る。このようなマルチゾーンフィルターを利用する実施形態において、最小の孔径を含むフィルターの側は、第1の側面313として利用され得る。
【0175】
代表的なフィルター膜としては、例えば、米国特許番号第4,539,256号、同第4,726,989号、同第4,867,881号、同第5,120,594号、同第5,260,360号、国際特許公開番号第WO2010/078234号、同第WO2010/071764号、PCT公開番号第WO2011/152967号、及び同第WO2011/153085号に記載される膜を含む。
【0176】
フィルター312は、濾過工程中に貯蔵部306に面し、遠心工程中にサンプル検出容器102(及び、特にマイクロキャビティ136)に面する第1の側面313と、出口339に面する第2の側部315とを含み得る。濾過中、サンプルは、フィルター312の第1の側部313に保持される濾過物351(
図13及び
図14を参照する)、及び濾液に分離される。上記のように、濾液は、廃棄されるか、又は目的の検体を更に得るためにサンプル処理を通じて再利用されてもよく、ないしは別の方法で処理される。
【0177】
濾過物351は、フィルター312の第1の側部313に保持されるものとして記載され得るが、これは濾過物351がフィルター312のいずれの深さにも存在しないことを必ずしも意味するものではない(広範な孔径分布を持つ多孔性ポリマーフィルムの場合のように)。むしろこれは、サンプルがフィルター312を通じて第1の側部313から第2の(反対側)側部へと濾過されること、かつ第1の側部313が濾過中において貯蔵部306に、及び遠心力の作用中において検出部102に、双方に面する、フィルター312の側部であることを意味する。濾過物の少なくともいくらかが、フィルター312の第1の側部313の表面下、すなわち、フィルター312の深さの少なくともやや内部に存在する可能性がある。しかしながら、濾過物351をフィルター312から回収するのにかなりの時間及び溶出労力を必要とするため、フィルター312のあまりに深い場所にサンプルが移動しないようにするため、特定のフィルター、又はフィルターの種類(例えば、マルチゾーンフィルター)が利用されてもよい。
【0178】
図14に示されるように、フィルター部308(例えば、フィルターハウジング332)の第2の端部345、及びフィルター接続アセンブリ320の第2の端部325(又は貯蔵部306の第2の端部316)が一緒に連結され、第1の向き(例えば直立)で配置される。サンプル352は、所蔵部306のリザーバ318に添加されてもよく、フィルター部308の出口339は吸引源に連結され得、サンプル352は第1の方向D1でフィルター312に向かって濾過され得、サンプル352の濾液がフィルター部308の外に移動させ、サンプル352の濾過物351がフィルター312の第1の側部313に保持される。
【0179】
貯蔵部306及びフィルター部308、又はその一部分は、検出されるサンプルの種類、量及び/又は大きさ、並びに回収及び検査される濃縮物の種類、量及び/又は大きさによって、実質的に透明、不透明(すなわち、実質的に透明でない)又はその中間(例えば、半透明)であり得、任意の好適な大きさであり得る。
【0180】
図12〜
図14を参照し、第2の容器305がここで記載される。上記のように、第2の容器305は、フィルター部308及びサンプル検出容器102を含み得る。サンプル検出容器102はマイクロキャビティ136を含み得る。
【0181】
サンプル検出容器102の第1の端部112はマイクロキャビティ136を含み、第2端部114はフィルター部308の第2の端部345と連結されるように構成される。
図12に示すように、いくつかの実施形態において、サンプル検出容器102の第2の端部114は、フィルター部308(すなわちフィルターハウジング332)内に受容されるように寸法設定され得、また、ねじ123は、
図1〜
図3、
図4及び
図5のサンプル検出システム100のキャップ104の突出部121とねじ123が協調及び係合するのと同じ方法で、フィルター部308の突出部329(
図12を参照)と協調及び係合するように構成され得る。このような係合は、サンプル検出容器102とフィルター部308とを一緒に螺着させる、特に共に取り外し可能に連結することを可能にし得る。しかしながら、いくつかの実施形態において、フィルター部308及び検出部102は他の手段(例えば、上記のもののいずれか)によって取り外し可能に連結され得、又は、例えば、検出部102及びフィルター部308を分離する必要がない実施形態において互いに恒久的に連結され得る。このような実施形態において、第2の容器305全体が使い捨てであってもよく、検出プロセスの後に廃棄されてもよい。しかしながら、いくつかの実施形態において、サンプル検出容器102は代わりに、フィルターハウジング308の少なくとも一部分を受容するような寸法であり得ることが理解されるべきである。
【0182】
単に例として、サンプル検出容器102は、サンプル検出容器102が第2の容器305の管又はリザーバとして機能し、フィルター部308が第2の容器305のキャップ又はカバーとして機能するように、第2の容器305の大きい方の部分として例示される。しかしながら、第2の容器305の大きさ、形状、及び相対的な寸法は、特定のサンプル又は状況に適合するように調節され得ることが理解されるべきである。
【0183】
サンプル検出容器102の第1の側部140(
図2、
図3及び
図13)は、一般に第2の容器305の内部に面し、サンプル検出容器102の第2の側部141は、一般に第2の容器305の外部に面する。第2の側部141はしたがってまた、フィルター部308と反対側を向く。結果として、サンプル検出容器102に保持される濃縮物は、例えば、サンプル検出容器102の少なくとも一部分(例えば、第1の(閉鎖)端部112及び/又は第2の側部141)が実質的に透明である実施形態において、第2の側部141から検査され得る。いくつかの実施形態において、マイクロキャビティ136の少なくとも一部分(例えば、その底部146)は、マイクロキャビティ136の内容物が第2の側部141から観察、検出、及び/又は検査されるようにするため、実質的に透明であり得る。
【0184】
図12及び13に示されるように、いくつかの実施形態において、濾液を除去し、第1サンプル濃縮工程を実行するために、濾過工程で使用される、フィルター部308の出口339は、例えばキャップ317によって封止又は閉鎖され得る。例えば、キャップ317は濾過工程の後、特に第2の容器305を形成するようにフィルター部308及び検出部102が連結する際に出口339に連結され得る。
【0185】
いくつかの実施形態において、目的の検体に関して試験される元のサンプル体積(すなわち、濾過及び/又は遠心力を作用させる工程を含むいずれかの遠心力を作用させる工程の前)は、少なくとも約5mL、いくつかの実施形態においては少なくとも約10mL、いくつかの実施形態においては少なくとも約25mL、いくつかの実施形態においては少なくとも約50mL、いくつかの実施形態においては少なくとも約100mL、いくつかの実施形態においては少なくとも約500mL、いくつかの実施形態においては少なくとも約1L、いくつかの実施形態においては少なくとも約2L、いくつかの実施形態においては少なくとも約5L、いくつかの実施形態においては少なくとも約10Lであり得る。
【0186】
いくつかの実施形態において、サンプル検出容器102又は第2の容器305の体積は、約1mL〜約250mLの範囲であり得る。結果として、いくつかの実施形態において、サンプルの体積(例えば、元のサンプル352の濾過物351から形成されるサンプル、及び濾過後に添加される1つ以上の希釈剤)は、少なくとも約1mLであり得、いくつかの実施形態では、少なくとも約10mL、及びいくつかの実施形態においては少なくとも約100mLである。いくつかの実施形態において、サンプルの容積は約200mL以下であり、いくつかの実施形態において、約100mL以下であり、いくつかの実施形態において、約75mL以下であり、いくつかの実施形態において約50mL以下である。いくつかの実施形態において、サンプルの体積は、約1mL〜約100mLの範囲である。
【0187】
いくつかの実施形態において、サンプル検出容器102内に保持されるサンプルの濃縮物(又は保持液)の体積に対する、サンプル検出容器102又は第2の容器305の体積の比率は、少なくとも100:1(10
2:1)、いくつかの実施形態において、少なくとも約1000:1(10
3:1)、いくつかの実施形態において、少なくとも約10,000:1(10
4:1)、いくつかの実施形態において、少なくとも約100,000:1(10
5:1)、いくつかの実施形態において、少なくとも約10
8:1、いくつかの実施形態において、少なくとも約10
9:1、いくつかの実施形態において、少なくとも約10
10:1、及びいくつかの実施形態において、少なくとも約10
11:1である。いくつかの実施形態において、サンプル検出容器102内に保持されるサンプルの濃縮物の体積に対する、サンプル検出容器102又は第2の容器305の体積の比率は、約100:1〜約10
11:1の範囲である。
【0188】
図1〜
図3、
図4、及び
図5のサンプル検出システム100と同様に、いくつかの実施形態において、濃度上昇率(すなわち、サンプル検出容器102内に保持された生成濃縮物の(すなわち、目的の検体などの高密度の物質の)濃度を初期サンプル(濾過前又は濾過後)の濃度で乗算して表される比)は、少なくとも約100:1(10
2:1)であり、いくつかの実施形態において、少なくとも約1000:1(10
3:1)、いくつかの実施形態において、少なくとも約10,000:1(10
4:1)、及びいくつかの実施形態において、少なくとも約100,000:1(10
5:1)であり得る。いくつかの実施形態において、濃度係数は、約10:1〜約10
5:1の範囲である。
【0189】
いくつかの実施形態において、
図10及び
図11の貯蔵部306は、少なくとも1mL、少なくとも約5mL、少なくとも約10mL、少なくとも約25mL、少なくとも約50mL、少なくとも約100mL又は少なくとも約250mLの収容量を有し得る。すなわち、いくつかの実施形態において、貯蔵部306の収容量又は体積は、約1mL〜約250mLの範囲であり得、及びいくつかの実施形態において、約1mL〜約100mLの範囲であり得る。いくつかの実施形態において、フィルター部308、検出部102、及び/又は第2の容器305は、約1mL以下、約2mL以下、約5mL以下又は約10mL以下の収容量を有し得る。
【0190】
貯蔵部306、フィルター部308、及びサンプル検出容器102の形状、寸法、及び連結手段は、先に記載され、
図10〜
図14に単に例として例示されている。しかしながら、貯蔵部306、フィルター部308及び検出部102の様々な形状及び寸法が使用され得ることが理解されるべきである。加えて、様々な連結手段を用いて、貯蔵部306とフィルター部308とを、並びにフィルター部308とサンプル検出容器102とを取り外し可能に及び/又は恒久的に連結し得るが、例えば、(図示されたような)スクリューねじ、クランプ(例えば、ばね式クランプ、スナップ式クランプなど);クリップ(例えば、ばね式クリップなど);結束(例えば、結束バンド);1つ以上の磁石;テープ;接着剤;粘着剤;面ファスナー;スナップフィット係合(例えば、この場合、フィルターハウジング308は押し上げ式キャップとして機能する);圧力フィット係合(「摩擦フィット係合」又は「締りフィット係合」と呼ばれる場合もある);熱接着(例えば、構成部品の一方又は両方に熱及び/又は圧力を加えて連結する);溶接(例えば音波(超音波など)溶接);他の好適な連結手段;並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0191】
図14を参照して、サンプル検出方法350をここで説明するが、
図10〜
図13のサンプル検出システム300を引き続き参照し、マイクロキャビティ136は例示目的で概略的に示す。
【0192】
サンプル検出方法350の第1工程、すなわち、濾過工程が、第1の容器303を参照して先に記載された。濾過工程は場合によりサンプル検出方法350の第1濃縮工程と称される場合があり、その後の遠心工程は第2濃縮工程と称される場合があり、よってサンプル検出方法350は、目的の検体に関して検査され得るサンプルの濃縮物を得るために、2つの濃縮工程を含むものとして記載され得る。
【0193】
フィルター312の第1の側部313に保持されるサンプル352の濾過物351はその後、溶出、攪拌、洗浄、フィルター312から濾過物351を回収するための好適な手段、又はこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない様々な手段を使用して、フィルター312から回収され得る。例えば、いくつかの実施形態において、濾過物351の回収には、1つ以上の希釈剤(例えば、溶出溶液及び/又は洗浄溶液)をフィルター部308(又は第2の容器305)に追加する工程を含み得る。溶出溶液は、濾過物351とフィルター312との間の親和性を断絶させることによってフィルター312から濾過物351を溶出させるように構成され得る。いくつかの実施形態において、1つ以上の希釈剤がフィルター部308に追加された後、検出部102がフィルター部308に連結されて第2の容器305を形成することができ、第2の容器305は、濾過物351をフィルター312から回収するのを補助するために攪拌され得る。したがって、濾過物351及び添加されるいずれかの希釈剤を含む、新しい「サンプル」352’が形成され得る。
【0194】
特に、
図10〜
図14に例示される実施形態において、第2の容器305の形成において、サンプル検出容器102の第2の(開放)端部114は、フィルター部308の第2(開放)端部345に挿入され得、フィルター部308の突出部329とサンプル検出容器102のねじ123とが一緒に螺着され得る。
【0195】
次に
図14の第3工程に示すように、第2の容器305を第2の向きに反転させ、サンプル検出容器102に向かう第2の方向(又は向き)D
2に遠心させ得る(
図14の第4工程を参照)。このような遠心処理により、元のサンプル352(及び濾過されたサンプル352’)のうち、より高密度の物質を含む濃縮物354が、サンプル検出容器102へ、特にサンプル検出容器102内に形成されるマイクロキャビティ136へと移動され得る。「濃縮物」354は一般的に、遠心処理の結果として形成されるサンプル352、352’の沈降物を含むが、上述のように、サンプル352、352’の上澄み、又は希釈剤の少なくとも一部も含み得る。
【0196】
図14の第4工程に示す遠心工程は、一般に上述のような
図4の遠心工程150Bに準拠し、マイクロキャビティ136内のサンプル352、352’の濃縮物354、及びサンプルの上澄み356を形成する。
【0197】
次に、
図14の第5工程に示されるように、第2の容器305は、遠心後、濃縮物354がマイクロキャビティ136に保持されたままである一方で、遠心工程の結果生じる上澄み356がマイクロキャビティ136からデカントされるように、反転される。
図14の第5工程に示す反転工程は、一般に上述のような
図4の反転工程150Cに準拠し得る。
【0198】
次に、
図14の最終(第6)工程に示すように、マイクロキャビティ136内の濃縮物354は、大きい矢印で表されるように検査(例えば、光学的に検査)され得る。大きな矢印は、真下からマイクロキャビティ136の方向を向いているが、マイクロキャビティ136は所望するいかなる方向からも検査できることを理解されるべきである。
図14の検査(又は検出)工程は、一般に上述のような
図4の検査工程150Dに準拠し得る。
【0199】
図14に示すように、いくつかの実施形態において、第2の容器305のフィルター部308及びサンプル検出容器102は、遠心工程、反転工程、及び検出又は検査工程中に、(例えば、取り外し可能な連結又は恒久的な連結により)一緒に連結されたままであり得、上澄み356は、検出/検査処理が完了する前に、濃縮物354の実質的な蒸発を避けるために、湿度リザーバとして機能し得る。
【0200】
いくつかの実施形態において、上澄み356は第2の容器305から取り除かれ、後続の処理工程(例えば、反復した遠心工程)で廃棄又は使用され得る。
【0201】
それぞれ
図14に例示され、かつ先に記載されたサンプル検出方法350は、サンプル352、352’及び/又は濃縮物354の損失を最小にして、サンプル352、352’の濃縮物354(すなわち、及びサンプル352、352’に存在し得るいずれかの目的の検体)の効率的な回収をもたらし得る。例えば、効率的な回収は、
図14の第4工程において例示される遠心力を作用させる工程中における検出部102の濃縮物354(存在する場合、目的の検体を含む)を本質的に「捕捉する」ことによって達成され得る。濃縮物354は一般的には、サンプル352、352’に存在し得た、いずれかの目的の検体のサンプル352、352’よりも遥かに高い濃度を有し得る。
【0202】
上述され、図に示された実施形態は、単に例として示され、本開示の概念及び原理における限定を意図しない。このように、要素並びにそれらの構成及び配列における様々な変化が、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく可能であることは、当業者であれば認識するであろう。
【0203】
本明細書において引用された全ての参照及び刊行物は、その全体が参照することによって本開示に明確に援用される。
【0204】
以下の実施形態は、本開示の説明を目的としたものであって、限定するものではない。
【0205】
実施形態
1.サンプルを収容及び濃縮して、目的の検体が存在する場合にはそれを検出するように適合されたサンプル検出容器であり、該容器が、
サンプルを受容するように構成された開放端部と、
マイクロキャビティを含む閉鎖端部であって、該マイクロキャビティは開口上部、底部、及びマイクロキャビティの横断面に対して垂直である長手方向軸を含み、目的のサンプルを保持するための毛管力をもたらすように構成されたマイクロキャビティである、閉鎖端部と、
マイクロキャビティまで延在する壁部であって、マイクロキャビティの開口上部と隣接して位置する該壁部のうち少なくとも一部分は、マイクロキャビティの長手方向軸に対して有効角度αで配向される勾配を有し、該有効角度αは45°より大きく、90°より小さく、有効角度αで配向される、マイクロキャビティの開口上部と隣接して位置する壁部のうち少なくとも一部分は、マイクロキャビティの開口上部の横断寸法の少なくとも5倍の長さを有する壁部と、を含む。
2.実施形態1のサンプル検出容器であって、長手方向軸はマイクロキャビティの開口上部及び底部を通過する。
3.実施形態1又2のサンプル検出容器であって、マイクロキャビティは単一のマイクロキャビティである。
4.実施形態1〜3のいずれかのサンプル検出容器であって、サンプル検出容器は10以下のマイクロキャビティを含む。
5.実施形態1〜4のいずれかのサンプル検出容器であって、サンプル検出容器は5以下のマイクロキャビティを含む。
6.実施形態1〜5のいずれかのサンプル検出容器であって、マイクロキャビティは、サンプルを含む容器が遠心力を受けるときサンプルの濃縮物を受容するように構成され、かつ該マイクロキャビティは通常の重力下でサンプルの濃縮物の少なくとも一部分を保持するように適合される。
7.実施形態1〜6のいずれかのサンプル検出容器であって、有効角度αは、遠心力下でマイクロキャビティ内にサンプルを濃縮させるのに十分でありながら、サンプル検出容器の反転時に、マイクロキャビティの開口上部によって画定される面の上方に位置する液体が過剰にならないように、上澄みを十分に排流してマイクロキャビティ内にサンプルの濃縮物を保持するのに十分な角度である。
8.実施形態1〜7のいずれかのサンプル検出容器であって、マイクロキャビティは体積を有し、マイクロキャビティ及び壁部は、マイクロキャビティの体積に対する、サンプル検出容器内に保持される濃縮物の体積の比が2以下となるように構成される。
9.実施形態1〜8のいずれかのサンプル検出容器であって、マイクロキャビティは体積を有し、マイクロキャビティ及び壁部は、マイクロキャビティの体積に対する、サンプル検出容器内に保持される濃縮物の体積の比が1.5以下となるように構成される。
10.実施形態1〜9のいずれかのサンプル検出容器であって、マイクロキャビティは体積を有し、マイクロキャビティ及び壁部は、マイクロキャビティの体積に対する、サンプル検出容器内に保持される濃縮物の体積の比が1以下となるように構成される。
11.実施形態1〜10のいずれかのサンプル検出容器であって、有効角度αは少なくとも50°である。
12.実施形態1〜11のいずれかのサンプル検出容器であって、有効角度αは少なくとも60°である。
13.実施形態1〜12のいずれかのサンプル検出容器であって、有効角度αは80°以下である。
14.実施形態1〜13のいずれかのサンプル検出容器であって、有効角度αは50°〜80°の範囲である。
15.実施形態1〜14のいずれかのサンプル検出容器であって、マイクロキャビティが更に側壁を含み、該側壁は、少なくとも10°の抜け勾配を有する。
16.実施形態1〜15のいずれかのサンプル検出容器であって、サンプル検出容器は少なくとも1種のポリオレフィン、環状オレフィンコポリマー、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリスチレン、又はこれらの組み合わせから形成される。
17.実施形態1〜16のいずれかのサンプル検出容器であって、マイクロキャビティの開口上部と隣接して位置する壁部のうち少なくとも一部分は、少なくとも65°の静的な水表面接触角を有する。
18.実施形態1〜17のいずれかのサンプル検出容器であって、マイクロキャビティの開口上部と隣接して位置する壁部のうち少なくとも一部分は、少なくと25°の動的な水表面後退接触角を有する。
19.実施形態1〜18のいずれかのサンプル検出容器であって、マイクロキャビティの開口上部と隣接して位置する壁部のうち少なくとも一部分は、500nm未満の粗さ平均値(Ra)を特徴とする表面粗さを有する。
20.実施形態1〜19のいずれかのサンプル検出容器であって、マイクロキャビティは1マイクロリットル以下の容積に規定される。
21.実施形態1〜20のいずれかのサンプル検出容器であって、マイクロキャビティは100ナノリットル以下の容積に規定される。
22.実施形態1〜21のいずれかのサンプル検出容器であって、マイクロキャビティは10ナノリットル以下の容積に規定される。
23.実施形態1〜22のいずれかのサンプル検出容器であって、マイクロキャビティの底部は、マイクロキャビティの内容物がサンプル検出容器の外側から見えるように実質的に透明である。
24.実施形態23のサンプル検出容器であって、マイクロキャビティの側壁が実質的に不透明である。
25.実施形態1〜24のいずれかのサンプル検出容器であって、マイクロキャビティは試薬を含む。
26.実施形態25のサンプル検出容器であって、試薬は少なくとも1つの基質、酵素、増殖試薬、細胞溶解試薬、又はこれらの組み合わせを含む。
27.実施形態1〜26のいずれかのサンプル検出容器であって、目的の検体は少なくとも1つの大腸菌及び大腸菌類を含む。
28.実施形態1〜27のいずれかのサンプル検出容器であって、サンプルは水である。
29.サンプル中に目的の検体が存在する場合に、それを検出するためのシステムであって、該システムは、
フィルター部を含む第1の容器アセンブリであって、フィルター部はフィルターを含み、フィルターは第1の側部を有し、第1の側部上にサンプルの濾過物を含む、第1の容器アセンブリと、
実施形態1〜28のいずれかのサンプル検出容器に連結されたフィルター部を含む第2の容器アセンブリであって、フィルター部及びサンプル検出容器が、フィルターの第1の側部がサンプル検出容器のマイクロキャビティと面するように、一緒に連結される第2の容器アセンブリと、を含む。
30.サンプル中に目的の検体が存在する場合にそれを検出する方法であって、該方法は、
実施形態1〜28のいずれかのサンプル検出容器を提供する工程と、
サンプル検出容器内にサンプルを配置する工程と、
マイクロキャビティに向けてサンプル検出容器を遠心し、サンプルの沈降物及び上澄みを形成する工程と、
サンプル検出容器を遠心した後、サンプル検出容器を反転させ、サンプルの濃縮物がマイクロキャビティに保持されるように、マイクロキャビティから上澄みの少なくとも一部分をデカントする工程であって、濃縮物が沈降物を含む工程と、を含む。
31.実施形態30の方法であって、目的の検体についてマイクロキャビティ内の濃縮物を検査する工程を更に含む。
32.サンプル中に目的の検体が存在する場合にそれを検出する方法であって、該方法は、
フィルター部を含む第1の容器アセンブリを提供する工程であって、フィルター部はサンプルからの目的の検体を保持するように構成されたフィルターを含み、フィルターは第1の側部を有し、第1の側部上にサンプルの濾過物を含む、工程と、
フィルター部を実施形態1〜28のいずれかのサンプル検出容器と連結して第2の容器アセンブリを形成する工程であって、フィルターの第1の側部がサンプル検出容器のマイクロキャビティに面するように、フィルター部とサンプル検出容器とを一緒に連結する、工程と、
マイクロキャビティに向けて第2の容器アセンブリを遠心し、濾過物をフィルターからサンプル検出容器のマイクロキャビティに移動させ、サンプルの沈降物及び上澄みを形成する工程と、
第2の容器アセンブリを遠心した後、第2の容器アセンブリを反転させ、サンプルの濃縮物が第2の容器アセンブリのサンプル検出容器のマイクロキャビティに保持されるように、サンプル検出容器から上澄みの少なくとも一部分をデカントする工程であって、濃縮物が沈降物を含む、工程と、を含む。
33.実施形態32の方法であって、目的の検体についてマイクロキャビティ内の濃縮物を検査する工程を更に含む。
34.サンプル中の目的の検体の存在を検出する方法であって、存在する場合、該方法は、
サンプルを収容するように適合された貯蔵部、及び貯蔵部に取り外し可能に連結されるように適合されたフィルター部を含む第1の容器アセンブリを提供する工程であって、該フィルター部はサンプルから目的の検体を保持するように構成されたフィルターを含み、該フィルターは第1の側部を含む、工程と、
貯蔵部からフィルターの第1の側部へと第1方向にサンプルを移動させることによってサンプルを濾過し、フィルターの第1の側部にサンプルの濾過物を形成する一方でサンプルの濾液を除去する工程と、
第1の容器アセンブリの貯蔵部及びフィルター部を分離する工程と、
フィルター部を実施形態1〜28のいずれかのサンプル検出容器と連結して第2の容器アセンブリを形成する工程であって、フィルターの第1の側部がサンプル検出容器のマイクロキャビティに面するように、フィルター部とサンプル検出容器とを一緒に連結する、工程と、
第2の容器アセンブリを遠心して、フィルターから第2の容器アセンブリのサンプル検出容器のマイクロキャビティへと第2の方向に濾過物を移動させ、サンプルの沈降物及び上澄みを形成する工程であって、第2の方向は第1の方向と異なる、工程と、
第2の容器アセンブリを遠心した後、第2の容器アセンブリを反転させ、サンプルの濃縮物がサンプル検出容器のマイクロキャビティに保持されるように、サンプル検出容器からサンプルの上澄みの少なくとも一部分をデカントする工程であって、濃縮物が沈降物を含む工程と、
目的の検体に関して、マイクロキャビティの濃縮物を検査する工程と、を含む。
35.実施形態31、33及び34のいずれかの方法であって、目的の検体が存在する場合、それを3時間未満でマイクロキャビティ内で検出する。
36.実施形態31、33〜35のいずれかの方法であって、反転後及び検査前にサンプル検出容器を培養する工程を更に含む。
37.実施形態31、33〜36のいずれかの方法であって、マイクロキャビティ内の濃縮物を検査する工程は、吸収度、透過性、蛍光、化学発光、及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つに関して検査する工程を含む。
38.実施形態31、33〜37のいずれかの方法であって、マイクロキャビティ内の濃縮物を検査する工程が、マイクロキャビティ内の濃縮物を光学的に検査する工程を含む。
39.実施形態38の方法であって、光学的に検査する工程が、マイクロキャビティ内の濃縮物の蛍光性を検査する工程を含む。
40.実施形態38又は39の方法であって、光学的に検査する工程は、
マイクロキャビティ内の濃縮物に向かって第1の周波数で電磁エネルギーを向ける工程と、
マイクロキャビティ内の濃縮物から放出される、第2の周波数の電磁エネルギーを検出する工程と、を含む。
41.実施形態38の方法であって、光学的に検査する工程は、濃縮物を比色的に検査する工程を含む。
42.実施形態38又は41の方法であって、光学的に検査する工程は、
マイクロキャビティ内の濃縮物に対して、広範な周波数の電磁波を放射する工程と、
マイクロキャビティ内の濃縮物の少なくとも一部分の透過性及び吸収度の少なくとも一方を検出する工程と、を含む。
43.実施形態31、33〜42のいずれかの方法であって、マイクロキャビティ内の濃縮物を検査する工程は、目的の検体の指標である光を検出する工程を含む。
44.実施形態31、33〜43のいずれかの方法であって、マイクロキャビティ内の濃縮物を検査する工程は、吸収度、反射率及び蛍光のうち少なくとも1つによって光を検出する工程を含む。
45.実施形態31、33〜44のいずれかの方法であって、マイクロキャビティ内の濃縮物を検査する工程は、目的の検体を免疫学的に検出する工程を含む。
46.実施形態31、33〜45のいずれかの方法であって、マイクロキャビティ内の濃縮物を検査する工程は、目的の検体を遺伝学的に検出する工程を含む。
47.実施形態31、33〜46のいずれかの方法であって、マイクロキャビティ内の濃縮物を検査する工程は、サンプル中の生細胞から放出された酵素を検出する工程を含む。
48.実施形態31、33〜47のいずれかの方法であって、マイクロキャビティ内の濃縮物を検査する工程は、目的の検体を比色、蛍光定量、発光測定、又はこれらの組み合わせにより検出する工程を含む。
49.実施形態31、33〜48のいずれかの方法であって、マイクロキャビティは、サンプル検出容器の第1の側部に形成され、第1の側部は遠心中にフィルター部に面するように配置され、サンプル検出容器は第1の側部と反対側の第2の側部を更に含み、マイクロキャビティ内の濃縮物を検査する工程は、マイクロキャビティ内の濃縮物をサンプル検出容器の第2の側部から検査する工程を含む。
50.実施形態49の方法であって、検出部の第2の側部は、実質的に透明な光学窓を含む。
51.実施形態50の方法であって、光学窓は、マイクロキャビティの少なくとも一部分と同一の広がりを有する。
52.実施形態31、33〜51のいずれかの方法であって、第2の容器アセンブリのフィルター部及びサンプル検出容器が、遠心工程、反転工程、及び検査工程中に一緒に連結されたままである。
53.実施形態31、33〜52のいずれかの方法であって、マイクロキャビティ内の濃縮物を検査する工程は、第2の容器アセンブリのサンプル検出容器が第2の容器アセンブリのフィルター部に連結されたままである間に行われ、それにより上澄みが湿度リザーバとして機能する。
54.実施形態31、33〜53のいずれかの方法であって、上澄みが湿度リザーバとして機能するように、検査工程中、第2の容器アセンブリ内に位置する。
55.実施形態30〜54のいずれかの方法であって、フィルター部に溶出溶液を添加する工程を更に含み、溶出溶液はフィルターから濾過物を溶出させるように適合される。
56.実施形態30〜55のいずれかの方法であって、フィルター部に溶出溶液を添加する工程は、フィルター部をサンプル検出容器に連結して第2の容器アセンブリを形成する前に行われる。
57.実施形態30〜56のいずれかの方法であって、遠心工程の前に第2の容器アセンブリのうち少なくともフィルター部を攪拌する工程を更に含み、攪拌はフィルターから濾過物を取り除くのを助ける。
58.実施形態30〜57のいずれかの方法であって、第2の容器アセンブリを遠心する前にフィルター部に希釈剤を添加する工程を更に含む。
59.実施形態30〜58のいずれかの方法であって、第2の容器アセンブリを遠心する前に第2の容器アセンブリを攪拌する工程を更に含む。
60.実施形態30〜59のいずれかの方法であって、攪拌は第2の容器アセンブリが第1の向きにあるときに行われ、遠心は第2の向きで行われ、第2の向きは第1の向きと異なる。
61.実施形態30〜60のいずれかの方法であって、サンプル中に微生物が存在する場合にそれを増殖させるため、遠心前に容器を培養する工程を更に含む。
62.実施形態29のシステム又は実施形態30〜61のいずれかの方法であって、フィルターは、ポリオレフィン多孔質膜、エチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー多孔質膜、ポリアクリロニトリル多孔質膜、ポリカーボネート多孔質膜、ポリエステル多孔質膜、セルロースエステル多孔質膜、ポリアミド多孔質膜、ポリエーテルスルホン多孔質膜、ポリスルホン多孔質膜、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)多孔質膜、ポリアクリロニトリルナノ繊維膜、PVDFナノ繊維膜、セルロースエステルナノ繊維膜、ポリビニルアセテート、又はアルコールナノ繊維膜、若しくはポリビニルブチラールナノ繊維膜、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む。
63.実施形態29若しくは62のシステム又は実施形態30〜62のいずれかの方法であって、該フィルターは、
熱相分離(TIPS)プロセスによって形成される膜と、
ナノ繊維膜のうちの少なくとも一方と、を含む。
64.実施形態29、62及び63のいずれかのシステム、又は実施形態30〜63のいずれかの方法であって、フィルターは、多孔性ごとの複数のゾーンを含み、フィルターの第1の側部が最小の多孔性ゾーンを含む。
【0206】
以下の実施例は、本開示の説明を意図するものであって、限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0207】
定義
・SMD:単一マイクロキャビティのデバイス
・マイクロキャビティ:マイクロキャビティは熱可塑性又は熱硬化性材料で適切に形成される。マイクロキャビティは、開口上部、1つ以上の側壁及び底部(すなわち、底)を有する、二次元(例えば、断面)形状(例えば、正方形、六角形、円形)であることを特徴とする。マイクロキャビティの概算の体積は、以下の式で計算される:
V=1/3h(A
1+A
2+√A
1.A
2)
ここで、hは深さ/高さ、A
1は底部の面積、及びA
2は開口上部の面積である。
【0208】
体積は、(i)底部の面積、(ii)開口上部の面積、(iii)(i)及び(ii)の積の平方根を合計し、次に、求めた合計を深さ(高さ)で乗算し、3で除算して算出される。
【0209】
・開始:画像上で蛍光が最初に観察される時間。マイクロキャビティの画像が、一定の間隔(例えば、1時間、2時間、3時間など)でとられる。実施例において記録される時間は、画像において蛍光が最初に観察される時間を表す。実際の開始時間は、蛍光を呈する画像と前の画像との間の時間である。
【0210】
材料及び器具
・COC−S−04−透明な環状オレフィンコポリマー、高水分バリア;Topas(登録商標)8007S−04、Topas Advanced Polymers Gmbh(Florence,KY)製
・PMMA−WF100ポリ(メチルメタクリレート)、Mitsubishi Rayon Co Ltd(Tokyo,Japan)製
・Colilert(商標)培養物−Colilert(商標)大腸菌類/大腸菌試験培養物、IDEXX Laboratories,Inc.(Westbrook,ME)製。培養物は、実施例のため、100mLの滅菌水として、100mLサンプルとしてSnap Packからの培養物を混合して調製された。
・フィルターA−使用される装置にフィットする30mm直径、PCT特許公開番号第WO 2011/156251号、表題「Filtration Methods and Devices」の実施例及び記載に従って調製されたポリエチレングリコール(R1933−7/PEG)でコーティングされた0.34μmマルチゾーンTIPS膜。膜は、PCT特許公開番号第WO 2011/153085号、表題「PROCESS FOR MAKING COATED POROUS MATERIALS」に記載の材料及び手順を使用して、ポリエチレングリコール(PEG)でコーティングされた。
・フィルターB−使用される装置にフィットする30mm直径のIsopore膜、0.40μmポリカーボネート、Millipore(Billerica,MA)製
・フィルターC−使用される装置にフィットする30mm直径、MF−Millipore Membrane(型番HAWP、0.45μm混合セルロースエステル)、Millipore(Billerica,MA)製
・多目的遠心管−双方ともEppendorf(Hauppauge NY)により製造された、スイングバケットローター(A−4−81)を備える、多目的遠心管(モデル5810R)
・イメージングシステム−照明(照明イメージャ)又は蛍光灯(蛍光イメージャ)のいずれかを使用した、照明/蛍光ステレオ顕微鏡モデルSteREO Lumar.V12、画像はAxioCam MRc 5カメラ及びAxioVision Release 4.6.3プログラムを用いて取得した(全てCarl Zeiss Microimaging,Inc.,Thornwood NJから入手)。
・真空アセンブリ−真空アセンブリ−AIR CADET真空/圧力ステーション、型番420−3901、Thermo Fisher Scientific Inc.,(Waltham,MA)製
【0211】
サンプル検出容器の作製
1−射出成形された単一マイクロキャビティを有する1.5mLサンプル検出容器(SMD1〜SMD2)
単一マイクロキャビティを有する1.5mLサンプル検出容器を射出成形するため、精密機械加工を使用して単一マイクロキャビティを含む挿入工具を作製した。最初に、単一マイクロキャビティ(
図15A及び
図15B)を有する光学的に透明な1.5mL容器を成形するための単一マイクロキャビティデバイスのコア(SMDコア1)を作製するCAD設計を行った。設計は、45°の有効角度αを有する容器の底に、円錐台状のマイクロキャビティを成形することを目的とした。容器の口縁は、標準の1.5mL微量遠心管容器のキャップを用いて閉じることができるように設計した。CADファイルを使用して、精密機械加工により鋼鉄製のコアを作製し、コアに所望の形状の反転型を形成した。成形型は、様々なマイクロキャビティ、例えばマイクロキャビティの寸法、マイクロキャビティの形状、有効角度などを有する容器を成形するために、単一マイクロキャビティを成形するための挿入工具が他の挿入工具と互換可能であるように設計した。
【0212】
図6及び
図7、特に
図16A及び
図16Bに示す、60°の有効角度を有する容器の底に円錐台のマイクロキャビティを有するような容器を成形するためのSMDコア2を作製する第2のCAD設計を行った。成形された容器SMD1及びSMD2内の単一マイクロキャビティの特徴を表1に示す。
【0213】
単一マイクロキャビティを有する1.5mL容器、すなわちSMD1又はSMD2は、KraussMaffei射出成形機(Model K65−CX、KraussMaffei technologies(Munich,Germany)製)にて、樹脂COC−S−04又はPMMAを用いて射出成形した。各蓋のための樹脂ペレットを溶融させた後(COC−S−04を232〜238℃で、PMMAを215〜227℃で)、16,000psiで射出した。いずれの樹脂も成形温度は66℃に維持し、射出時間は0.78秒であった。各容器は個別に成形した。
【0214】
【表1】
【0215】
2−射出成形された単一マイクロキャビティを有する10mL容器(SMD3〜SMD4)
それぞれ有効角度45°及び60°を有する容器の底に、円錐台状のマイクロキャビティを有する10mL容器を成形するため、SMDコア3(
図17A及び
図17B)及びSMDコア4(
図18A及び
図18B)を作製するCAD設計を行った。各容器の口縁は、
図1、
図2、
図4及び
図12〜
図14に関して上述したように、キャップ(例えば、
図1、
図2及び
図4のキャップ104を参照)を用いて閉じることも、フィルターホルダー(例えば、
図10〜
図14のフィルターハウジング332を参照)と連結することもできるようなツイストロック機構を有するように設計した。SMDコア4(SMD4)は、
図1〜
図3、
図4、
図5及び
図12〜
図14のサンプル検出容器102と実質的に同様であった。成形された容器SMD3及びSMD4内の単一マイクロキャビティの特徴を表2に示す。
【0216】
【表2】
【0217】
単一マイクロキャビティを有する10mL容器、すなわちSMD3又はSMD4は、KraussMaffei射出成形機(Model K65−CX、KraussMaffei technologies(Munich,Germany)製)にて、樹脂COC−S−04を用いて射出成形した。フィルターホルダーの各キャップ用の樹脂ペレットを232〜238℃で溶融させた後、16,000psi(110MPa)で射出した。成形温度は66℃に維持し、射出時間は0.78秒であった。各容器は個別に成形した。
【0218】
成形容器の単一マイクロキャビティの走査電子顕微鏡による観察
成形容器をマイクロキャビティ上方で切断した後、アルミニウムスタブに置き、金/パラジウムでスパッタコーティングした。JSM−7001F走査電子顕微鏡(JEOL Ltd、Tokyo,Japan)を使用して容器を検査した。初回の検査後、ディスクを液体窒素に浸しながらハンマーで叩き、横断面で切断した。断面を別のスタブに置いてスパッタコーティングし、先に述べたように検査した。スタブの表面に対して視野角70°で表面画像を撮影した。切断面の表面に対して直角な視野角で断面画像を撮影した。倍率50倍及び150倍で画像を取得した。
【0219】
SMD1容器の光学画像を
図19A、
図19B、
図19C、及び
図19Dに示す。SMD2を
図20A、
図20B、
図20C、及び
図20Dに、SMD3を
図21A、
図21B、
図21C、及び
図21Dに、SMD4を
図22A、
図22B、
図22C、及び
図22Dに示す。
【0220】
成形した濾過装置の作製
30mm膜フィルター(例えば、
図10及び
図12〜
図14のフィルター312を参照)を保持するためのフィルターホルダー(
図10〜
図14のフィルターハウジング332を含むフィルター部308など)、フィルターホルダーに連結される、コネクタ(
図10、
図11、及び
図14のコネクタ322など)及びガスケット(
図10のガスケット324など)を含むフィルター接続アセンブリ(
図10、
図11及び
図14のフィルター接続アセンブリ320など)、並びに膜フィルターとフィルター接続アセンブリとの間に封止を付与するガスケット(
図10及び
図12のガスケット335など)を作製するため、CAD設計を行った。フィルター接続アセンブリのガスケット(すなわち、
図10のガスケット324)を使用すると、フィルター接続アセンブリの残部及びフィルターホルダーをサンプルボトル(例えば、
図10〜
図11及び
図14の貯蔵部306)に連結することができる。フィルターホルダー及びコネクタは、ポリプロピレンを使用して射出成形により作製し、ガスケットは医療等級のSANTOPRENE(登録商標)181−55MED熱可塑性エラストマー(ExxonMobil Chemical Company、Houston,TX)を使用して作製した。コネクタは、焼結ポリプロピレンから形成されたプラグ(
図10〜
図11のプラグ330など)に嵌合する通気ポート(
図10〜
図11の通気ポート328など)を有し、真空濾過中の空気移動が可能である。コネクタは、(例えば、
図10及び
図11に関して上述したねじ式接続によって)フィルターホルダーにロックされる。フィルター接続アセンブリのガスケット(すなわち、
図10のガスケット324)は、コネクタ頚部に被さるように嵌められ、サンプルボトルをフィルター接続アセンブリと接続する(更に、これをフィルターホルダー/ハウジングと接続する)ために使用される。
【0221】
試験のための細菌培地の調製
実施例で使用した細菌培地を表3に示す。細菌培地はAmerican Type Culture Collection(ATCC)(Manassas,VA)から入手した。
【0222】
【表3】
【0223】
試験用培地は、表3から純粋培養の標的細菌株をTSB(BD Tryptic Soy Broth、Becton,Dickinson and Co.,(Franklin Lakes,NJ)製)に接種し、37℃で一晩増殖させて作製した。培地をButterfieldのリン酸緩衝液(Whatman Inc.、Piscataway,NJ)で段階希釈し、水サンプルへの接種に望ましい所望のミリリットル当たりのコロニー形成単位(cfu)を得た。約10
1〜10
2cfu/mLを含む最後の2段階の希釈液を使用して、試験又は平板培養のためのサンプルを調製した。3M(商標)Petrifilm(商標)大腸菌/大腸菌類カウントプレート(3M Co.、St.Paul,MN)を使用して、細菌希釈液を検査し、大腸菌及び他の大腸菌類細菌濃縮物を定量化した。プレートはメーカーの取扱説明書によって調製及び使用され、37℃で一晩にわたって培養された。3M(商標)PETRIFILM(商標)Plate Reader(3M Co.)を使用してプレートを読み取り、cfu/mLを判定した。
【0224】
糖染料(Sugar Dye)基質培地の調製
培地は5グラム(g)のトリプトース(Difco laboratories,Detroit,MI)、5gの塩化ナトリウム、1gのソルビトール、1gのトリプトファン、2.7gのリン酸二カリウム、2gのリン酸二水素カリウム及び0.1gラウリル硫酸ナトリウム塩(全て、Sigma Aldrich,St.Louis,MOから得られ得る)を、1000mLの二重蒸留水と混合することによって調製された。培地は、121℃で15分間オートクレーブされた。
【0225】
表4に示される染料基質は、DMSO 1mL当たり100mgの糖基質を含む溶液を形成するために、DMSO(ジメチルスルホキシド(DMSO,Sigma Aldrich,St.Louis,MO)に溶かされた。培地1mL当たり40μg(μg/mL)の糖基質の最終的な濃度をもたらすために、基質溶液が、培地に添加された。
【0226】
【表4】
【0227】
注:3つのサンプルが参考例及び各実施例に関して一般的に調製及び試験された。実施例は単一のものとして記載されるが、3つの複製物が一般的に調製され、試験された。結果の平均として計測数が記録された。蛍光の開始が、画像中において蛍光が観察される最初の瞬間を記録された。
【0228】
参考例−大腸菌/大腸菌類検出のための糖染料基質の選択
a)ガラクトシダーゼ基質を使用した大腸菌の検出
糖酵素基質を有する培地は、上記の手順に従って調製され、黒い96ウェル光学底部マイクロタイタープレート(Nalgene Nunc International,Rochester,NY)に分配された。大腸菌培地は、上記のように調製され、所望の量のcfu/mLを得るために段階希釈された。96ウェルプレートの培養物が、10μLの段階希釈されたセルで接種され、各ウェル中、1cfu、10cfu、又は100cfuを含む、ウェルが得られ、各基質に関して最小3つのウェルが使用された。10μLのButterfield緩衝液により対照ウェルが調製された。プレートが37℃で培養され、Tecan Infinite 200 PROマルチモードリーダー(Tecan US,Inc.Durham,NC)を使用して、速度論式で読み取られた。蛍光強度は、時間の関数として記録された。検出までの時間は、信号が、初期読み取り値(背景データ)の50倍である時点で、画定された。結果を表5に示す。全ての試験された基質は、大腸菌の成長に際して蛍光を示し、100μL中において1cfuの大腸菌を検出するまでに、15〜17時間かかった。
【0229】
【表5】
【0230】
b)グルクロニダーゼ及びガラクトシダーゼ基質の組み合わせを使用した大腸菌の検出
培地を調製して試験し、得られたデータを大腸菌検出のための手順に従って分析したが、グルクロニダーゼ基質(Mu−GlcU又はRes−GlcU)とガラクトシダーゼ基質(Flu−di−Gal又はRes−Gal)との組み合わせを表6に示す糖染料基質として使用した。培地は、96ウェルマイクロタイタープレート内に分配され、ウェルはおよそ1cfu、10cfu、又は100cfuを得るために、段階希釈された培養物を接種された。それぞれの接種に、最低限3つのウェルを使用した。表6のデータは、2つの異なる基材の組み合わせが単一のウェルで使用される場合、グルクロニダーゼ及びガラクトシダーゼの酵素活性がそれぞれ、異なる時間(hr)において蛍光により検出され得ることを示す。反応はより高い細菌濃度においてより早く検出された。
【0231】
【表6】
【0232】
c)Flu−di−galを使用した大腸菌類の検出
実施例a)に概要を記載した大腸菌の検出の手順が、表7に掲載された細菌を使用して反復された。Flu−di−galで調製された培地を96ウェルマイクロタイタープレート内に配置し、段階希釈した培養液を接種し、各ウェルに約1cfu、10cfu、及び100cfuを得た。それぞれの接種に、最低限3つのウェルを使用した。表7のデータは、Flu−di−galが大腸菌類を検出するためのガラクトシダーゼにとって好適な基質であることを示している。
【0233】
【表7】
【0234】
実施例1−遠心によるSMD1(有効角度45°)及びSMD2(有効角度60°)のマイクロキャビティ内への細菌の濃縮
大腸菌及びE.エロゲネスの細菌懸濁液をそれぞれ1mLのButterfield緩衝液(Whatman)で調製し、約10
1〜10
2cfu/mLの緩衝液を得て、SMD1及びSMD2の容器に移した。各細菌懸濁液が入った6つの容器を作製し、キャップでしっかりと閉じた。キャップは、1.5mLの微量遠心管容器(Plastibrand微細管、Brand GmbH & Co.KG(Wertheim,Germany)製)から切り取り、一般的に
図6〜
図7に示すようなキャップ形状にした。次に、スイングアウトローター(1154)を備えるHettich Mikro 22微量遠心管(Andreas Hettich GmbH & Co.KG(Tuttlingen,Germany)製)内に容器を置き、13000RPMで10分間遠心した(18,890xg)。更にまた、固定角ローター(Rotor F−45−30−11)を備えるEppendorf 5417R遠心機(Eppendorf、Hauppauge,NY)内で、個々の容器を13,375RPMで10分間(19,000xg)回転させた。
【0235】
遠心後、容器を取り出した。上澄みを除去して、メーカーの取扱説明書に従って、大腸菌及びE.エロゲネス用の3M(商標)Petrifilm(商標)E.coli/Coliform Count Platesに置いた。プレートを37℃で一晩培養し、3M(商標)PETRIFILM(商標)Plate Readerを使用して読み取り、コロニー形成単位(cfu)を判定した。回収率(すなわち、マイクロキャビティに捕捉された細菌の割合)は、上澄み中のcfuを初期1mLサンプル内でのcfuから引き、100をかけることによって計算した。容器の種類ごとのマイクロキャビティ内の回収率を表8に示す。マイクロキャビティ内の細菌回収率は、使用した遠心機及びcfu投入量に関係なく、どの容器もほぼ同じであった。
【0236】
【表8】
【0237】
実施例2−遠心によるSMD3(有効角度45°)及びSMD4(有効角度60°)のマイクロキャビティ内への細菌の濃縮
大腸菌及びE.エロゲネスの細菌懸濁液をそれぞれ10mLのButterfield緩衝液(Whatman)で調製し、約10
1〜10
2cfu/mLの緩衝液を得て、SMD3及びSMD4の容器に移した。各細菌懸濁液が入った6つの容器を作製した。穴あけ器を使用して、直径30mmの円形ディスク(1mm厚)をポリプロピレンシートから打ち抜き、フィルターホルダー上に置き(すなわち、フィルターホルダー内の開口部(
図12の開口部337を参照)を密封する)、容器SMD3及びSMD4の第1の開口端を閉じるのに使用した。すなわち、フィルターホルダーを改造して、サンプル検出容器SMD3及びSMD4用の簡易なキャップ(例えば、
図1、
図2及び
図4のキャップ104と類似)を作った。ポリエチレンキャップ(U.S.Plastic Corp(Lima,OH)製、
図12のキャップ317を参照)を用いて、フィルターホルダー底部の開口部を閉じた。容器をスイングバケット遠心ローター内に配置し、多目的遠心管内で4000RPM(3220xg)にて15分間、遠心した。遠心後、容器を取り出し、各容器内の上澄みを、25mmの微粒子分析用フィルターホルダー(Millipore)を使用して、0.45μm混合セルロースエステルフィルター(HAWP02500、Millipore(Billerica,MA)製)に通して濾過した。フィルターホルダーに25mmの0.45μm混合セルロースエステルフィルターを嵌め、15mLの漏斗を取り付けた。フィルターホルダーの底部を真空アセンブリに取り付けられた真空フラスコに接続した。遠心後の容器から上澄みを漏斗に添加し、約508mm Hgの真空圧でフィルターを通して濾過した。
【0238】
3M(商標)Petrifilm(商標)E.coli/Coliform Count Plates(大腸菌及びE.エロゲネス用に使用)を、メーカーの取扱説明書に従って水和した。フィルターをフィルターホルダーから滅菌ピンセットを用いて注意深く取り除いて水和プレートに置き、プレートを37℃で一晩培養した。3M(商標)Petrifilm(商標)プレートリーダー(3M Company(St.Paul.,MN))及び/又は手作業でプレートを読み取り、コロニー形成単位(cfu)を計測した。マイクロキャビティの%回収(すなわち、マイクロキャビティに捕捉された細菌の割合)は、遠心力を作用させる前の初期10mLサンプルcfuから、フィルターのcfuを引き、初期10mLサンプルcfuで割り、100をかけることによって計算された。マイクロキャビティ内の回収率を表9に示す。
【0239】
【表9】
【0240】
実施例3−遠心によりSMD3(45°)及びSMD4(60°)のマイクロキャビティ内に濃縮された細菌の走査電子顕微鏡による観察
大腸菌の細菌懸濁液を10mLの滅菌水で調製し、約10
6cfu/mLを得て、SMD3及びSMD4の容器に移した。実施例2に従って、穴あけ器を使用して、直径30mmの円形ディスク(1mm厚)をポリプロピレンシートから打ち抜き、フィルターホルダー上に置き、容器SMD3及びSMD4の密閉に使用した。ポリエチレンキャップ(U.S.Plastic Corp)を用いて、フィルターホルダー底部の開口部を閉じた。容器をスイングバケット遠心ローター内に配置し、多目的遠心管内で4000RPM(3220xg)にて10分間、遠心した。遠心後、容器を取り出して上澄みを除去した。容器に残った液体があれば滅菌綿棒を使用して除去し、サンプルを直ちに処理した。
【0241】
成形容器をマイクロキャビティ上方で切断した後、アルミニウムスタブに置き、金/パラジウムでスパッタコーティングした。次に、これをJSM−7001F走査電子顕微鏡(JEOL Ltd)を使用して検査した。スタブの表面に対して視野角70°で表面画像を撮影した。倍率3000倍で画像を取得した。
【0242】
SMD3及びSMD4の容器それぞれのマイクロキャビティ内部の細菌の光学画像を
図23A及び
図23Bにそれぞれ示す。
【0243】
実施例4−SMD1(45°)及びSMD2(60°)内の細菌検出
10
1〜10
2cfuを含有する大腸菌懸濁液を1mLのCOLILERT(商標)培養物で調製して、SMD1及びSMD2の容器内に分配し、1.5mL微量遠心管容器(Plastibrand微細管)から切り出されたキャップを使用して容器を密閉した。対照サンプルは同様に調製されたが、10μLのButterfield緩衝液を受容した。次に、スイングアウトローター(1154)を備えるHettich Mikro 22微量遠心管(Andreas Hettich GmbH & Co.KG)又は固定角ローター(Rotor F−45−30−11)を備えるEppendorf 5417R遠心機(Eppendorf)のいずれかに容器を配置した。13000RPMで10分間(19,000xg)、容器を遠心した。遠心後、容器を取り出し、ゆっくりと反転させてマイクロキャビティから培養物(すなわち、上澄み)を排流し、37℃で培養した。容器のマイクロキャビティは、「材料及び器具」に記載したイメージャを使用して毎時間撮影した。
【0244】
同じ初期大腸菌懸濁液が、参考例に記載された96ウェルマイクロタイタープレート内で、Colilert(商標)培養物で試験された。
【0245】
SMD2容器(有効角度60°)と異なり、SMD1容器(有効角度45°)は、容器の反転時にマイクロキャビティの開口上部の上方に過剰な液体を含有し、よって保持される体積はマイクロキャビティの体積よりも実質的に大きくなった。SMD2内の液体の上部表面は、マイクロキャビティの開口上部と同じ水位であり、よって保持される体積はマイクロキャビティの体積と実質的に等しくなることが観察された。過剰な液体の量を測定するために、容器を空にして、口縁の周囲の過剰な液体を拭き取り、10μLのピペット(カタログ番号PR−10、Rainin Instrument LLC(Oakland,CA)製)を使用して容器内の過剰な液体の量を測定した。SMD1容器での過剰な液体は平均で約2.3μLであった(57nL体積のマイクロキャビティでの比較を表11に示す)。SMD2容器にピペット計量できる液体はなかった。
【0246】
表10に示すように、SMD2容器内では約3時間で、SMD1容器内では約5時間で、マイクロタイタープレート内では約15時間で蛍光の開始を観察した。対照サンプルでは背後に蛍光の増加は観察されなかった。固定角ローター又はスイングアウトローターのいずれを使用しても、SMD1容器内の過剰な液体の量、あるいはSMD1又はSMD2容器内での蛍光の開始の差に影響しなかった。
【0247】
【表10】
*「有り」は蛍光が観察されたことを意味する。
*「なし」は蛍光が観察されなかったことを意味する。
【0248】
【表11】
*0は液体を測定できなかったことを示す
【0249】
実施例5−SMD3(45°)及びSMD4(60°)内の細菌検出
10
1〜10
2cfuを含有する大腸菌懸濁液を10mLのCOLILERT(商標)培養物で調製して、SMD3及びSMD4の容器内に分配した。実施例2及び3に従って、穴あけ器を使用して、直径30mmの円形ディスク(1mm厚)をポリプロピレンシートから打ち抜き、フィルターホルダー上に置き、容器SMD3及びSMD4の密閉に使用した。ポリエチレンキャップ(U.S.Plastic Corp)を用いて、フィルターホルダー底部の開口部を閉じた。容器をスイングバケット遠心ローター内に配置し、多目的遠心管内で4000RPM(3220xg)にて15分間、遠心した。遠心後、容器を取り出し、ゆっくりと反転させてマイクロキャビティから培養物を排流し、37℃で培養した。容器のマイクロキャビティは、蛍光結像系を使用して毎時間撮影した。
【0250】
参考例に記載した96ウェルマイクロタイタープレート内で、同じ初期大腸菌懸濁液をColilert(商標)培養物にて試験した。
【0251】
SMD4(有効角度60°)とは異なり、SMD3容器(有効角度45°)は、容器の反転時にマイクロキャビティの開口上部の上方に過剰な液体を示した。この挙動は、使用した体積(1又は10mL)に関係なく類似していた。マイクロキャビティの開口部の上方にある過剰な液体の量を測定するために、容器を空にして、口縁の周囲の過剰な液体を拭き取り、10μLのピペット(カタログ番号PR−10、Rainin Instrument LLC製)を使用して容器内の過剰な液体の量を測定した。SMD3容器での過剰な液体は平均で約4.4μLであった(57nL体積のマイクロキャビティでの比較を表13に示す)。SMD4容器にピペット計量できる液体はなかった。
【0252】
表12に示すように、SMD4容器内では約3時間で、SMD3容器内では約7時間で、マイクロタイタープレート内では約15時間で蛍光の開始を観察した。対照サンプルでは背後に蛍光の増加は観察されなかった。
【0253】
【表12】
*「有り」は蛍光が観察されたことを意味する。
*「なし」は蛍光が観察されなかったことを意味する。
【0254】
【表13】
*0は液体を測定できなかったことを示す
【0255】
実施例6−SMD4内の細菌の検出
10
1〜10
2cfuの細菌(E.エロゲネス、C.フロインディー、K.ニューモニエ)を含む細菌懸濁液を10mLのColilert(商標)培養物にて調製し、SMD4容器内に分配した。対照サンプルは同様に調製されたが、100μLのButterfield緩衝液を受容した。E.エロゲネス、C.フロインディー、又はK.ニューモニエを含む細菌懸濁液それぞれに対して、Colilert(商標)培養物に40μg/mLのMu−gal又はFlu−galを追加して、細菌株ごとに2種類のサンプルを得た。上述のように、穴あけ器を使用して、直径30mmの円形ディスク(1mm厚)をポリプロピレンシートから打ち抜き、フィルターホルダー内部に置き、更に容器の密閉に使用した。ポリエチレンキャップ(U.S.Plastic Corp)を用いて、フィルターホルダー底部の開口部を閉じた。容器をスイングバケット遠心ローター内に配置し、多目的遠心管内で4000RPM(3220xg)にて15分間、遠心した。遠心後、容器を取り出し、ゆっくりと反転させてマイクロキャビティから培養物を排流し、37℃で培養した。容器のマイクロキャビティは、蛍光結像系を使用して毎時間撮影した。
【0256】
蛍光の開始は、約3時間後に観察された。対照サンプルでは背後に蛍光の増加は観察されなかった。
【0257】
実施例7−マイクロキャビティ上部の残留液滴の保持に対する反転速度の影響
100mLの蒸留水に、10mgのフルオレセインを溶解させて、フルオレセインナトリウム塩(Sigma Aldrich)の溶液を調製した。1mLの溶液をSMD1及びSMD2の容器に分配し、1.5mL微量遠心管容器(Plastibrand微細管)から切り出したキャップを使用して容器を密閉した。10mLの溶液をSMD3及びSMD4の容器に分配した。上述のように、穴あけ器を使用して、直径30mmの円形ディスク(1mm厚)をポリプロピレンシートから打ち抜き、フィルターホルダー内部に置き、更に容器の密閉に使用した。ポリエチレンキャップ(U.S.Plastic Corp)を用いて、フィルターホルダー底部の開口部を閉じた。実施例1の手順に従って、スイングローターを備えた微量遠心管内でSMD1及びSMD2の容器を回転させた。実施例2の手順に従って、スイングバケットローターを備えた多目的遠心管内でSMD3及びSMD4の容器を回転させた。次に、容器をThermolyne Vari Mix rocker、モデルM8474(Barnstead Thermolyne、Dubuque,IA)内にマイクロキャビティを下にして配置し、表14に示す様々な速度で回転させた。回転角度は60°であり(反転位置において−30°、直立位置において+30°である)、完全な60°にするまでの時間に基づき、°/sとして速度が計算された。回転が完了し、容器が反転位置に来た後、蛍光イメージャを使用してマイクロキャビティを撮影し、分析した。
【0258】
画像を検査して、様々な容器のマイクロキャビティの開口上部の上方に過剰な液体が残留しているかどうかを確認した。表14の結果は、容器SMD1及びSMD3内(すなわち、有効角度αが45°である容器内)に過剰な液体が存在することを示している。反転速度に関係なく、保持された液体の上面は、SMD2及びSMD4内(すなわち、有効角度αが60°である容器内)のマイクロキャビティ開口部と同じ水位であった。
【0259】
【表14】
なし=マイクロキャビティの上方に液体は観察されなかった。
有り=マイクロキャビティの上方に2〜4マイクロリットルを観察した。
【0260】
実施例8−単一マイクロキャビティの容器を反転したときの液体挙動の映像取得
青色の食品着色剤溶液(McCormik & Company Inc.、Hunt Valley,MD)を100mLの蒸留水で1:100に希釈した。1mLの溶液をSMD1及びSMD2の容器に分配し、1.5mL微量遠心管容器(Plastibrand微細容器)から切り出したキャップを使用して容器を密閉した。5mLの溶液をSMD3及びSMD4の容器に分配した。上述のように、穴あけ器を使用して、直径30mmの円形ディスク(1mm厚)をポリプロピレンシートから打ち抜き、フィルターホルダー内部に置き、更に容器の密閉に使用した。ポリエチレンキャップ(U.S.Plastic Corp)を用いて、フィルターホルダー底部の開口部を閉じた。実施例1の手順に従って、スイングローターを備えた微量遠心管内でSMD1及びSMD2の容器を回転させた。実施例2の手順に従って、スイングバケットローターを備えた多目的遠心管内でSMD3及びSMD4の容器を回転させた。
【0261】
遠心後、容器を取り出して、実験用支持台に取り付けられた標準の3段階スイベルクランプで直立に保持した。クランプをゆっくりと回転させ、容器を反転させた。光源を使用して容器を照光した。Photron FASTCAM Ultima APX高速イメージングシステム(Photron USA Inc.、San Diego,CA)を使用して、容器の壁部に沿って液体が移動する様子を250フレーム/秒又は500フレーム/秒でビデオ撮影した。映像を使用して、液体の界面が容器の壁部に沿って移動する様子を観察した。SMD1及びSMD3(すなわち、45°の有効角度αを有する容器)は、マイクロキャビティの開口上部の上方に過剰な液体が保持されていることが明らかであった。これに対して、SMD2又はSMD4(すなわち、60°の有効角度αを有する容器)は、保持された液体の上面がマイクロキャビティの開口部と同じ水位であることを示した。
【0262】
4つの時点の映像から取得したSMD1及びSMD2の容器の光学画像を概略的な線図に変換した。これについては、
図8A〜
図8D及び
図9A〜
図9Dにそれぞれ示し、上述した通りである。
【0263】
実施例9−様々な有効角度のサンプル検出容器内での液体挙動
30°、40°、45°、50°、55°、60°、65°、70°、75°及び80°(
図24A〜
図24J)の角度を有する小容器(1.5mL)をラピッドプロトタイピングにより作製した。容器は、メーカーの取扱説明書に従って、ステレオリソグラフィ機(Viper SI2 SLA(登録商標) System)にて、UV硬化型エポキシ組成物(Accura(登録商標)60プラスチック)を使用して、CAD図面から作製した。エポキシ組成物及び機器は、3D Systems Corporation(Rock Hill SC)によって製造された。マイクロキャビティはラピッドプロトタイピングでは作製できないため、マイクロキャビティであると想定される領域は先の鋭い円錐状に成形した。角度が大きくなるにつれ、円錐は平らになり、まだ先端は尖っているが、それほど鋭くはない。
【0264】
a)色を使用した視覚化:青色の食品着色剤溶液(McCormik & Company Inc.,)を100mLの蒸留水で1:100に希釈した。1mLの溶液を様々な角度の容器に分配し、1.5mL微量遠心管容器(Plastibrand微細管)から切り出したキャップを使用して容器を密閉した。容器をゆっくりと反転させ、テーブルに対して上下反対となる位置に配置した。容器先端の液体の存在を白色光下で、目視にて及びイメージャを使用して観察した。30°、40°及び45°の有効角度を有する容器内には、過剰な液体の存在が認められ、50°、55°、60°、65°、70°、75°及び80°の有効角度を有する容器内には認められなかった。
【0265】
b)蛍光を使用した視覚化:100mLの蒸留水に、10mgのフルオレセインを溶解させて、フルオレセインナトリウム塩(Sigma Aldrich)の溶液を調製した。1mLの溶液を様々な角度の容器に分配し、1.5mL微量遠心管容器(Plastibrand微細管)から切り出したキャップを使用して容器を密閉した。容器をゆっくりと反転させ、テーブルに対して上下反対となる位置に配置した。容器先端の液体の存在を目視にて及び蛍光イメージャを使用して観察した。30°、40°及び45°の有効角度を有する容器内には、過剰な液体の存在が再度認められ、50°、55°、60°、65°、70°、75°及び80°の有効角度を有する容器内には認められなかった。
【0266】
c)過剰な液体の測定:
1)1mLの蒸留水を様々な角度の容器に分配し、容器をゆっくりと反転させ水を排流して容器を空にした。次に、容器をKimwipeの上に上下反対に置き、容器の縁に液体があれば除去した。容器を反転位置に維持し、20μL(PR−20)又は10μL(PR−10)又は2μL(PR−2)のピペット(Rainin Instrument LLC)を使用して、容器の先端に存在する過剰な液体の量を測定した。5種類の容器(すなわち、複製)に対して測定を行い、少なくとも5回、それぞれの測定を繰り返した。平均の結果を表15に報告する。50°以上の有効角度を有する容器では測定できる液体は存在しなかったため、表15にゼロと表記した。
【0267】
2)比較例のVoluPac管(Sartorius Corporation、Bohemia,NY)の5μL毛細管上部の側壁の測定角度は約40°である。角度は分度器を使用して測定した。1mLの蒸留水をVoluPac管に分配し、管をゆっくりと反転させ水を排流して容器を空にした。次に、Kimtech Science Kimwipes(商標)(Kimberly−Clark Professional)上に管を上下反対に置き、管の縁に液体があれば除去した。管を反転位置に維持し、上述のように管の先端に存在する過剰な液体の量を測定した。VoluPac管の先端毛管の上部に存在する過剰な液体の平均量は、12μLであった(表15)。容器SMD1、SMD2、SMD3、及びSMD4でも同様に、過剰な液体を測定した。毛管/マイクロキャビティの体積に対する保持された液体の総体積(過剰な液体と毛管/マイクロキャビティの体積の合計)の比も計算した(表16)。
【0268】
【表15】
*0は液体を測定できなかったことを示す
【0269】
【表16】
*0は液体を測定できなかったことを示す
【0270】
実施例10−成形したディスクの接触角測定
PMMA(WF100ポリ(メチルメタクリレート)、Mitsubishi Rayon Co Ltd,(Tokyo,Japan)製)、COC1(透明環状オレフィンコポリマー、Topas(商標)8007X10、Topas Advanced Polymers Gmbh(Florence KY)製)、COC2(透明環状オレフィンコポリマー、高水分バリア;Topas(商標)8007S−04、Topas Advanced Polymers Gmbh製)、PC(Lexanポリカーボネート、HPS1R、SABIC Americas Corp.,(Houston TX)製)、COP(透明シクロオレフィンポリマー、Zeonor(商標)1430R、Zeon Chemicals L.P.,(Louisville KY)製)から成形したディスクを、PCT特許公開番号第WO2013/003308の準備実施例「Preparation of Microstructures,3−Injection Molded Lids」に記載のように作製した。成形されたポリマーの平坦な側の静的及び動的接触角は、VCA 2500 XE Video Contact Angle Systemで、液適法を使用して測定した。VCA−2500XE画像分析ソフトウェアを使用してデータは分析された。器具及びソフトウェアは、AST Products,Inc.,Billerica MAから得られた。
【0271】
静的接触角に関し、1μLの水の液滴が室温において表面に送達された。液滴が表面上に形成され、注射器の先端部が後退した直後に、右及び左接触角が測定された。
【0272】
動的接触角において、1μLの液滴が表面に送達され、中間的速度に設定されたシリンジで液滴に水が追加されるか、又は引き抜かれた。動的接触角の前進及び後退を判定するために、いつ液滴が最も対称的に拡大又は縮小するかを示す、ビデオ画像のフレームが得られた。前進接触角と後退接触角との間の差として、ヒステリシスが計算された。結果を表17に示す。
【0273】
【表17】
【0274】
実施例11−成形容器の接触角測定
成形容器SMD3及びSMD4の静的接触角を、実施例10で説明した液適法を使用して測定した。成形容器を切断し、円錐角に近接した平坦な面を試験した。加えて、容器の外側の表面も試験した。4つのサンプルを試験し、平均の結果を表18に報告する。
【0275】
【表18】
【0276】
実施例12−成形容器の液体挙動に対する表面処理の影響
最初に成形容器を、本明細書において参照として全体を組み込まれる、米国特許番号第5,888,594号に詳細に記載される装置を使用して、プラズマ処理した。
【0277】
a)シラン(SiH
4):O
2処理:成形容器を円筒形ドラム電極上に置き、5×10(
−4)Torrの基底圧までチャンバを減圧した。500sccm(毎分標準立方センチメートル)の流量でチャンバの中にアルゴンガスを導入し、プラズマを点火させ、500ワットの電力で30秒間維持した。500sccmの流量でチャンバの中に酸素ガスを導入し、500ワットの電力でプラズマを60秒間、維持した。次いで、それぞれ150及び500sccmの流量のテトラメチルシラン(TMS)蒸気及び酸素で処理を行い、500ワットの電力でプラズマを60秒間、維持した。テトラメチルシラン蒸気及び酸素中のプラズマ処理後、2%のシラン(SiH
4)及び酸素をそれぞれ1000sccm及び500sccmの流量でチャンバ内に導入し、500ワットの電力でプラズマを60秒間、維持した。これらのプラズマ処理工程の間、チャンバ内の圧力は、5〜10mTorrの範囲内であった。この処理の結果、表面は親水性になった。次いで、プラズマチャンバを大気と通気させ、プラズマ処理された成形容器をチャンバから取り出し、SMD1−1、SMD2−1、SMD3−1、SMD4−1と付番した(表19)。
【0278】
b)TMS:O
2処理:別のセットの成形容器を、アルゴンプラズマ、次いでTMS蒸気及び酸素によって同様に処理した。アルゴンプラズマ処理後、それぞれ50sccm及び500sccmの流量でチャンバ内にTMS蒸気及び酸素を導入し、500ワットの電力でプラズマを60秒間維持した。これらのプラズマ処理工程の間、チャンバ内の圧力は、5〜10mTorrの範囲内であった。次いで、プラズマチャンバを大気と通気させ、プラズマ処理された成形容器をチャンバから取り出し、SMD1−2、SMD2−2、SMD3−2、SMD4−2と付番した(表19)。
【0279】
c)TMS処理:別のセットの成形容器を、アルゴンプラズマ、次いで流量150sccmのTMS蒸気によって同様に処理し、500ワットの電力でプラズマを60秒間維持した。TMS蒸気処理の後、プラズマチャンバを大気と通気させ、プラズマ処理された成形容器を、チャンバから取り出し、SMD1−3、SMD2−3、SMD3−3、SMD4−3と付番した(表19)。
【0280】
d)ペルフルオロヘキサン(C
6F
14)処理:別のセットの成形容器を、アルゴンプラズマ、次いで流量145sccmのC
6F
14蒸気によって同様に処理し、1000ワットの電力でプラズマを120秒間維持した。C
6F
14蒸気処理の後、プラズマチャンバを大気と通気させ、プラズマ処理された成形容器をチャンバから取り出し、SMD1−4、SMD2−4、SMD3−4、SMD4−4と付番した(表19)。
【0281】
非処理の成形容器を、SMD1−0、SMD2−0、SMD3−0、SMD4−0と付番した。(表19)疎水性処理の順番は、C
6F
14>TMS>TMS−O
2>シラン−O
2であり、シラン−O
2処理は親水性である。非処理の容器はポリマーの性質として疎水性であり、TMS処理とTMS:O
2処理との間に位置する。
【0282】
液体の挙動の視覚化:100mLの蒸留水に、10mgのフルオレセインを溶解させて、フルオレセインナトリウム塩(Sigma Aldrich)の溶液を調製した。1mLの溶液をSMD1及びSMD2の容器に分配し、1.5mL微量遠心管容器(Plastibrand微細管)から切り出したキャップを使用して容器を密閉した。10mLの溶液をSMD3及びSMD4の容器に分配した。上述のように、穴あけ器を使用して、直径30mmの円形ディスク(1mm厚)をポリプロピレンシートから打ち抜き、フィルターホルダー内部に置き、更に容器の密閉に使用した。ポリエチレンキャップ(U.S.Plastic Corp)を用いて、フィルターホルダー底部の開口部を閉じた。実施例1の手順に従って、スイングローターを備えた微量遠心管内でSMD1及びSMD2の容器を回転させた。実施例2の手順に従って、スイングバケットローターを備えた多目的遠心管内でSMD3及びSMD4の容器を回転させた。遠心後、容器をゆっくりと反転させ、蛍光イメージャを使用してマイクロキャビティを撮影及び分析した。
【0283】
画像を検査して、様々な容器のマイクロキャビティの開口上部の上方に過剰な液体が残留しているかどうかを確認した。表19の結果は、処理に関係なく、容器SMD1及びSMD3内に過剰な液体が存在することを示している。保持された液体の上面は、シラン酸素(親水性)処理を除く全処理で、SMD2及びSMD4内のマイクロキャビティ開口部と同じ水位であった。
【0284】
【表19】
【0285】
実施例13−粗さ測定
成形容器SMD3及びSMD4をマイクロキャビティ上部で切断し、各サンプルの表面トポグラフィーを、(1)マイクロキャビティ近傍、(2)円錐状表面の中心(すなわち、マイクロキャビティと縁との間)、及び(3)円錐縁の近傍の3箇所で測定した。10倍の対物レンズ及び1.0倍の視野レンズを使用して、Wyko NT9800干渉計(Bruker Corporation、Tucson,AZ)にて測定を実施した。隣接するフレームを共につなぎ合わせて、デジタル処理により視野を広げ、より大きく連続した測定領域を得た。計器は、フル解像度のVSIモード、スキャン速度1倍、シングルスキャンモード、及び変調しきい値の設定が2%にて使用した。データを処理して、傾斜及び円筒状の湾曲を除去し、目的とする各領域に対して粗さ計算を実施した。Vision(登録商標)分析ソフトウェアを使用して、粗さパラメータRa及びRqを計算した。2つのサンプルについて、計算した粗さ値を表20に示す。サンプルSMD4の粗さ値は、一般にSMD3のものより低い。SMD4及びSMD3の材料構成は同じだったため、粗さの相違は成形アーティファクトに起因する可能性が高い。
【0286】
【表20】
Ra:表面プロファイルの高さの絶対値の算術平均
Rq:測定値の二乗値を得る関数。表面のRMS粗さは、表面粗さプロファイルの平均二乗絶対値を求める点が異なるだけで、平均粗さと近似する。
【0287】
実施例14−濾過装置の作製
フィルターホルダー(
図10〜
図14のフィルターホルダー332を参照)及びフィルター接続アセンブリ(
図10、
図11及び
図14のフィルター接続アセンブリ320)を含むフィルター部(
図10及び
図11のフィルター部308を参照)を、複数の(すなわち、4つの同心円上に離間された)協調するツイストロックねじと突出部(
図10及び
図12に示す)によって互いに連結するように構成した。フィルターホルダー内にフィルターを配置し、ガスケットによりフィルター接続アセンブリのフィルターとコネクタとの間を封止した。コネクタはフィルタープラグを備える通気ポートを有した。フィルタープラグは、POREX(登録商標)疎水性ポリエチレンシートPOR−4902(Porex Technologies,Fairburn,GA)で形成され、通気ポートにフィットするように切り取られた。ガスケット(
図10のガスケット324を参照)を、コネクタ(
図10のコネクタ320の第1の端部321などを参照)の上部頚部を受容するように、すなわち、摩擦フィットの上部をスライドさせることによりを受容するように寸法設定して、サンプルボトルの頚部と連結されるように構成されたフィルター接続アセンブリを形成した(すなわち、ガスケットをサンプルボトル(又は貯蔵部、
図10、
図11及び
図14の貯蔵部306などを参照)の開口部に受容されるように構成した)。本実施例のサンプルボトル(又は貯蔵部)は、1Lのポリプロピレン製サンプルボトル(Nalgene 2087 Narrow−Mouth Economy Bottle、カタログ番号2087−0032:Nalgene Nunc、Thermo Fisher Scientific(Rochester NY)製)であった。本開示に従って、サンプルボトル(貯蔵部)と第1部とを組み合わせて、サンプル検出システムの「第1の容器」(
図10、
図11、及び
図14の第1の容器303を参照)を形成した。
【0288】
穴あけ器を使用して、30mmの不織布支持材(Uniblend 135、湿式ポリエステル/セルロースの混合フィルター材、Midwest Filtration,LLC,(Cincinnati,OH)製)を材料シートから打ち抜き、フィルターホルダー、次いでフィルター(フィルターA、フィルターB、フィルターC)に挿入した。フィルター接続アセンブリをフィルター部とサンプルボトルとの間に接続し、次にフィルター部の他方の端部を真空アセンブリ(すなわち、吸引源)に接続して濾過し、フィルター上に細菌の少なくとも一部分を捕捉した。真空アセンブリを、真空フラスコ、又は複数の器具を接続できる真空マニホールドに接続した。真空濾過に続いて、フィルター接続アセンブリをサンプルボトルから取り外し、ポリエチレンキャップ(U.S.Plastic Corp、
図12のキャップ317を参照)を使用してフィルターホルダーの底部を閉じた。フィルターホルダーをフィルター接続アセンブリと分離し、フィルターホルダーをサンプル検出容器SMD3又はSMD4に連結して、サンプル検出システムの第2の容器(本開示の第2の容器、すなわちSMD4を用いたものを
図12〜
図14の第2の容器305を示す)を形成した。ガスケットは、処理中の漏れ防止のために使用でき、
図12に示すように用いられ得る。
【0289】
実施例15−濾過装置を使用した細菌の回収
大腸菌の細菌懸濁液が調製され、希釈液が100cfu/mLを含むように、段階希釈された。3つの1000mLサンプルのボトル(Nalgene)は、1000mLの減菌水を充填され、1mLの懸濁液が各ボトルに添加された。実施例14の手順に従って構成したフィルター接続アセンブリに、フィルターA、フィルターB、又はフィルターCを取り付け、ガスケットを介して充填済みサンプルボトルと接続した。フィルターホルダーの底部を、真空アセンブリに取り付けられた真空フラスコの上に配置し、サンプルを約508mm Hgの真空圧でフィルターを通して濾過した。濾過後、フィルターホルダーを真空装置から取り外し、フィルター接続アセンブリをフィルターホルダーから取り外して、フィルター膜それぞれをフィルターホルダーから無菌状態のまま取り出し、メーカーの取扱説明書に従って調製した、水和された3M(商標)PETRIFILM(商標)大腸菌/大腸菌類カウントプレート(3M Co.)上に配置して、37℃で一晩培養した。プレートは、3M(商標)PETRIFILM(商標) Plate Reader(3M Co.)を使用して読み取られ、及び/又はコロニー形成ユニット(cfu)を測定するために手作業で計測された。表21に示す結果は、細菌のうち少なくとも約87%が回収されたことを示す。
【0290】
【表21】
【0291】
実施例16−濾過された水サンプルからの細菌の回収、及びその後の溶出
実施例15の手順に従って、大腸菌を含む3つの1000mLの水サンプルを調製し、フィルターA〜Cのそれぞれを使用して濾過した。濾過後、フィルターホルダーを真空装置から取り外し、フィルターホルダーの底部に蓋をして、フィルターホルダーからフィルター接続アセンブリを取り外した。濾過物を含むフィルターホルダーを、5mLのButterfieldリン酸緩衝液(Whatman Inc.)を含有するSMD4サンプル検出容器に連結した。得られた「第2の容器」をフィルター部を下にして、室温にて約2分間ボルテックスし(Fixed Speed Vortex Mixer、VWR Intl.LLC(Batavia,IL)製)、フィルターから細菌を溶出した。ボルテックスされたサンプルは、メーカーの取扱説明書に従って、3M(商標)PETRIFILM(商標)E.coli/Coliform Count Plates (3M Co.)上に塗布され、37℃で一晩培養された。プレートは、3M(商標)PETRIFILM(商標)Plate Reader(3M Co.)を使用して読まれ、及びコロニー形成ユニット(cfu)は判定され、各フィルターについて表22に示される。フィルターAは、大腸菌の最高回収率を示した(約72%、表22)。
【0292】
【表22】
【0293】
実施例17−サンプル検出容器内で増殖後、濾過された水サンプルからの細菌の検出
実施例15の手順に従って、それぞれ10cfuの大腸菌を含む3つの1000mLの水サンプルを調製し、フィルターAを使用して濾過した。濾過後、フィルターホルダーを真空装置から取り外し、フィルターホルダーの底部に蓋をして、フィルターホルダーからフィルター接続アセンブリを取り外した。濾過物を含むフィルターホルダーを、10mLの調製済みColilert(商標)培養物を含有するSMD4サンプル検出容器に連結した。フィルターホルダーとサンプル検出容器SMD4の組み合わせは、本実施例では「第2の容器」として機能した(
図12〜
図14)。
【0294】
対照サンプルは同様に調製されたが、1mLのButterfield緩衝液を受容した。
【0295】
第2の容器をフィルター部を下にして、室温で2分間にわたりボルテックス(Fixed Speed Vortex Mixer、VWR)し、その後、多目的遠心機にて20分間にわたり、4000RPM(3220xg)で遠心した(すなわち、マイクロキャビティに向かう)。遠心後、第2の容器を遠心機から取り外し、ゆっくりと反転させて、培養物をマイクロキャビティから再び容器へと排流した。次に第2の容器を反転位置で37℃で培養した。構造は、蛍光イメージャを使用して画像化された。蛍光の開始は、約3時間でマイクロキャビティ内に観察された。対照サンプルでは、3時間以上、蛍光が認められなかった(最大18時間の培養)。
【0296】
実施例18−フィルター上で増殖後、サンプル検出容器内で増殖させた、濾過された水サンプルからの細菌の検出
実施例15の手順に従って、それぞれ10cfuの大腸菌を含む3つの1000mLの水サンプルを調製し、フィルターAを使用して濾過した。濾過後、フィルターホルダーを真空装置から取り外し、フィルターホルダーの底部に蓋をして、フィルターホルダーからフィルター接続アセンブリを取り外した。濾過物を含むフィルターホルダーを、10mLの調製済みColilert(商標)培養物を含有するSMD4サンプル検出容器に連結した。フィルターホルダーとサンプル検出容器の組み合わせは、本実施例では「第2の容器」として機能した(
図12〜
図14)。
【0297】
対照サンプルは同様に調製されたが、1mLのButterfield緩衝液を受容した。
【0298】
第2の容器をフィルター部を下にして、室温で2分間にわたりボルテックス(Fixed Speed Vortex Mixer、VWR)し、その後、振とう培養機(Model Innova 4000、New Brunswick Scientific(Enfield,CT)製)にフィルター部を下にして配置し、37℃、300rpmにて1時間、攪拌した。次に、第2の容器を多目的遠心機にて20分間にわたり、4000RPM(3220xg)で遠心した(すなわち、マイクロキャビティに向かう)。遠心後、第2の容器を遠心機から取り外し、ゆっくりと反転させて、培養物をマイクロキャビティから再び容器へと排流した。次に第2の容器を反転位置で37℃で培養した。構造は、蛍光イメージャを使用して画像化された。蛍光の開始は、約2時間でマイクロキャビティ内に観察された(フィルター上で増殖した1時間を加えると合計3時間)。対照サンプルでは、2時間以上、蛍光が認められなかった(最大18時間の培養)。
【0299】
本開示の様々な特徴及び局面は、以下の請求項において述べられる。