特許第6240807号(P6240807)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6240807
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】改善された高透明性フィルムの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/20 20060101AFI20171120BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20171120BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   B29C43/20
   B32B27/30 101
   H05K3/28 F
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-174399(P2017-174399)
(22)【出願日】2017年9月11日
【審査請求日】2017年9月11日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0126711
(32)【優先日】2016年9月30日
(33)【優先権主張国】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517319639
【氏名又は名称】パク,サン ミン
【氏名又は名称原語表記】PARK, SHANG MINH
(73)【特許権者】
【識別番号】517319640
【氏名又は名称】レオン カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LEON Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】パク,サン ミン
【審査官】 中山 基志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−505755(JP,A)
【文献】 特開平02−177497(JP,A)
【文献】 実開平04−089340(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C43/00−43/58
B32B1/00−43/00
H05K3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
改善された高透明性フィルムの製造方法として、
ベースフィルムの上面及び下面の中で少なくとも一面にサブフィルムを積層する段階;
前記のサブフィルムの上面に樹脂フィルムを積層する段階;
前記の樹脂フィルムの上面に補助シートを積層する段階;
前記の補助シートの上面に保護シートを積層して積層体を製造する段階;
前記の積層体を115ないし135℃にて35ないし50kgf/cm2の圧力が加わるように55ないし65分間プレスして透明フィルムを製造する段階;を含み、
前記の樹脂フィルムは、
0.2T以上の厚さを持つPVC材質の第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムから形成され、
前記の補助シートは、ポリエステル系樹脂であることを特徴とする、改善された高透明性フィルムの製造方法
【請求項2】
請求項1において、
前記のベースフィルムは、
ポリイミド、ポリエチレンフタレート、アセテートの中で選択されたいずれかの一つからなったことを特徴とする、改善された高透明性フィルムの製造方法
【請求項3】
請求項1において、
前記の樹脂フィルムを積層する段階は、
前記のサブフィルムの上面に第1樹脂フィルムを積層する段階と、
積層された前記の第1樹脂フィルムの上面に熱硬化性の透明レジンを塗布する段階、
前記の透明レジンの塗布された前記の第1樹脂フィルムの上面に前記の第2樹脂フィルムを積層して仮積層されたフィルムを形成する段階、及び、
前記の仮積層されたフィルムを、70ないし100℃、及び5ないし20kgf/cm2の恒温加圧チャンバーで20ないし30分間プレスして、前記の透明レジンを硬化させる段階をさらに含むことを特徴とする、改善された高透明性フィルムの製造方法
【請求項4】
請求項において、
前記の透明レジンは、
粘度が80ないし150cPsであり、
前記の透明レジンを塗布する段階は、
前記の透明レジンを、スリットコーターを利用して、前記の第1樹脂フィルムの前方表面上に、面の形態で塗布することでレジン層を形成することを特徴とする、改善された高透明性フィルムの製造方法
【請求項5】
請求項において、
前記のレジン層は、
厚さが10ないし100μmであることを特徴とする、改善された高透明性フィルムの製造方法
【請求項6】
請求項1において、
前記の透明フィルムを製造する段階は、
常温のホットプレスに前記の積層体を位置させて、前記のホットプレスを1分当り3ないし12℃の加熱速度で5分ないし15分間昇温させる段階と、
前記の昇温されたホットプレスを1分当り4ないし8kgf/cm2の加圧速度及び1分当り3ないし12℃の加熱速度で5分ないし15分間昇温及び昇圧させる段階及び、
115ないし135℃にて35ないし50kgf/cm2の圧力が加わるように、昇温及び昇圧された前記のホットプレスにて前記の積層体を55ないし65分間保持して透明フィルムを形成する段階と、
前記の透明フィルムを15ないし25分間冷却させる段階をさらに含むことを特徴とする、改善された高透明性フィルムの製造方法
【請求項7】
請求項において、
前記の透明フィルムを形成する段階は、
115ないし135℃にて35ないし50kgf/cm2の圧力が加わるように、昇温及び昇圧された前記のホットプレスにて前記の積層体を5分ないし25分間保持する段階及び、
前記のホットプレスが位置したチャンバーを40ないし50分間0.1±0.01MPaの真空状態に維持する段階をさらに含むことを特徴とする、改善された高透明性フィルムの製造方法
【請求項8】
請求項1またはにおいて、
前記の透明フィルムの製造方法は、
前記のサブフィルムを積層する段階ないし前記の透明フィルムを製造する段階を1周期として、前記のベースフィルムの上面及び下面にそれぞれ繰り返して遂行することを特徴とする、改善された高透明性フィルムの製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は改善された高透明性フィルムの製造方法に関するものであり、詳しくは、新しい条件のホットプレス工程及びLAY-UP構造の変形を通じ、高透明度を示すカバーレイ用透明フィルムの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、従来の軟性回路基板で回路保護用として使われるカバーレイは、基板の回路面に附着されるように接着剤層が形成されて、よって、カバーレイを製造時に前記の接着剤層の接着剤を保護するために、離型紙や透明基材に離型処理をしたフィルムを使って来た。
【0003】
前記の離型紙の場合、基材シートの表面にポリエチレン、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフイン樹脂をラミネートして、離型層を形成したことや、アルキド樹脂をコーティングし離型層を形成して、表面に微細な凹凸を形成したエンボスロールによって、その離型層にエンボス加工を実施したことは告知されている。また、前記の離型フィルムの場合は、紙またはプラスチックフィルムなどの基材と粘着性物質との間での接着または固着を防止することを目的にして、基材面にシリコーン組成物の硬化被膜を形成させて剥離性を付与する。前記の基材面がプラスチックフィルムである場合は、通常の離型フィルムと呼ぶが、このような離型フィルムは、例えば、製品の使用準備がされるまで、粉塵、破片、水分及びその他汚染物による汚染から、接着剤層の粘着性接着面を一時的に保護する役割をする。よって、通常、前記の離型紙または離型フィルムは、接着製品の使用直前に接着面から分離される。
【0004】
特に、前記の離型フィルムにおいて、その基材フィルムとしては通常ポリエステルフィルムが主に使われるが、ポリエステルフィルムは安定した化学構造を持っていて、機械的な強度が高く、耐熱性、耐久性、耐薬品性などの物性側面において優秀な特性を現わすからである。このようなポリエステルの中で、特に、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate)は、低温から高温まで広い温度範囲にかけて物性の安全性が優れて、耐火学特性が優秀であり、機械的強度、表面特性、厚さの均一性が良好で、多様な用途の工程条件に優秀な適応力を持っていて、産業用、医療用、包装用などの用途で幅広く使われている。また、最近話題になっている環境汚染の問題においても、リサイクル率が高く産業分野で占める重要度は徐々に大きくなっている実情である。
【0005】
これに関する発明として、韓国登録特許第10-1125423号に「カバーレイフィルム及びその製造方法」が開示されている。前記の発明はカバーレイフィルム及びその製造方法に関することで、前記の発明のカバーレイフィルムは、絶縁性フィルム、接着剤層、及び剥離可能な保護フィルムが順に積層・構成された透明フィルムにおいて、前記の保護フィルムはプラスチック基材内に無機粒子を含有することによって、2次元照度分析法による基材の十点平均照度(Rz)が0.5μm以上で5μm以下のプラスチックフィルムに離型性物質の塗布された離型フィルムであることを特徴とする。
【0006】
前記のように構成されるカバーレイフィルムは、軟性回路基板の回路を保護するカバーレイの接着剤層を保護する離型フィルムで、基材の十点平均照度(Rz)が決まった範囲になるように調節されたプラスチック基材が使われて、前記プラスチック基材内に含まれた粒子による凹凸によって、表面にマット化層が形成されて、その上に離型層が形成されたものが使われるので、従来に使われた3層構造の離型紙に比べ価格を低められるし、外気の吸湿によるカーリング影響を解決すると同時に、凹凸のない従来の透明離型フィルムで問題となった打ち抜き面が浮き立つ仮接着の問題及び打ち抜き時に発生するバリ(Burr)の問題を解決しようとした。
【0007】
また、従来の軟性回路基板の回路保護用カバーレイフィルムを製造時に使われる離型紙は、一般的にポリオレフインフィルム、紙、ポリオレフインフィルムを順次にラミネートしたものの片表面に離型層を形成したものが使われている。このような3層の離型紙は取り扱いやすい良い長所はあるが、中間の紙層の水分吸水が容易く、吸湿による寸法変化によるカーリング(curling)問題で、工程において作業性(裁断)を落とす問題があるし、離型紙に利用されるものとして漂白されていないクラフトパルプで作った茶色紙であるクラフト紙から発生する粉塵によって基板を製作時に基板に粉塵が付くようになって、このままホットプレスで成形を行うと基板に不良が発生するだけでなく、透明軟性回路基板の場合はその透明度が下がるという問題点があった。
【0008】
よって、前記のような問題点を解決するために、ホットプレス工程及びLAY-UP 構造の変形を通じ、透明度を向上させて基板の不良率を低められる、新しく進歩した透明フィルムの製造方法を開発する必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前記の問題点を解決するために案出されたもので、透明度を85%まで引き上げ透明フレキシブル印刷回路基板に適用するのに適した透明フィルムの製造方法を提供することを主な目的とする。
【0010】
本発明の他の目的は、透明フィルムの新しいLAY-UP構造を通じ、フィルム内部から発生する乱反射を最小化し透明度をより高めることにある。
【0011】
本発明の他の目的は、レジンフロー(resin flow)を最小化しながらも透明度を向上させることができ、気泡や浮きが発生しない最適な工程条件を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するために、本発明による改善された高透明性フィルムの製造方法は、改善された高透明性フィルムの製造方法として、ベースフィルムの上面及び下面の中で少なくとも一面にサブフィルムを積層する段階;前記のサブフィルムの上面に樹脂フィルムを積層する段階;前記の樹脂フィルムの上面に補助シートを積層する段階;前記の補助シートの上面に保護シートを積層して積層体を製造する段階;前記の積層体を115ないし135℃にて35ないし50kgf/cm2の圧力が加わるように55ないし65分間プレスして透明フィルムを製造する段階;を含むことを特徴とする。
【0013】
ちなみに、前記のベースフィルムは、ポリイミド、ポリエチレンフタレート、アセテートの中より選択されたいずれかの一つからなることを特徴とする。
また、前記の補助シートは、ポリエステル系樹脂であることを特徴とする。
【0014】
さらに、前記の樹脂フィルムは、0.2T以上の厚さを持つPVC材質の第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムからなることを特徴とする。
【0015】
さらに、前記の樹脂フィルムを積層する段階は、前記のサブフィルムの上面に第1樹脂フィルムを積層する段階と、積層された前記第1樹脂フィルムの上面に熱硬化性透明レジンを塗布する段階、前記の透明レジンの塗布された前記第1樹脂フィルムの上面に前記第2樹脂フィルムを積層し仮積層されたフィルムを形成する段階、及び、前記の仮積層されたフィルムを70ないし100℃及び5ないし20kgf/cm2の恒温加圧チェンバーで20ないし30分間プレスして、前記の透明レジンを硬化させる段階をさらに含むことを特徴とする。
【0016】
さらに、前記の透明レジンは粘度が80ないし150cPsで、前記の透明レジンを塗布する段階は前記の透明レジンを、スリットコーターを利用し前記の第1樹脂フィルムの前方表面上に面の形で塗布することでレジン層を形成することを特徴とする。
【0017】
さらに、前記のレジン層は、厚さが10ないし100μmであることを特徴とする。
【0018】
さらに、前記の透明フィルムを製造する段階は、常温のホットプレスに前記の積層体を位置させて前記のホットプレスを1分当り3ないし12℃の加熱速度で5分ないし15分間昇温させる段階と、前記の昇温されたホットプレスを1分当り4ないし8kgf/cm2の加圧速度及び1分当り3ないし12℃の加熱速度で5分ないし15分間昇温及び昇圧させる段階及び、115ないし135℃及び35ないし50kgf/cm2に昇温及び昇圧された前記のホットプレスを55ないし65分間維持して透明フィルムを形成する段階と、前記の透明フィルムを15ないし25分間冷却させる段階をさらに含むことを特徴とする。
【0019】
さらに、前記の透明フィルムを製造する段階は、前記のホットプレスが位置したチャンバーを40ないし55分間0.1±0.01MPaの真空状態で維持させる段階をさらに含むことを特徴とする。
【0020】
さらに、前記の透明フィルムの製造方法は、前記のサブフィルムを積層する段階ないし前記の透明フィルムを製造する段階を1周期とし、前記のベースフィルムの上面及び下面にそれぞれ繰り返して行うことを特徴とする。
【0021】
さらに、前記の透明フィルムを形成する段階は、115ないし135℃にて35ないし50kgf/cm2の圧力が加わるように昇温及び昇圧された前記のホットプレスに前記の積層体を5分ないし25分間維持させる段階及び、前記のホットプレスが位置したチャンバーを40ないし50分間0.1±0.01MPaの真空状態で維持する段階をさらに含むことを特徴とする。
【0022】
さらに、前記の透明フィルムの製造方法は、前記のサブフィルムを積層する段階ないし前記の透明フィルムを製造する段階を1周期として、前記のベースフィルムの上面及び下面にそれぞれ繰り返して行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明による改善された高透明性フィルムの製造方法は、
1) 透明度を85%まで引き上げて透明フレキシブルの印刷回路基板に適用するに適した透明フィルムの製造方法を提供して、
2) 透明フィルムの補助シートとして、ポリエステル系樹脂を適用することで、フィルムの内部で発生する乱反射を最小化し透明度をさらに向上させるとともに、
3) レジンフロー(resin flow)を最小化しながらも透明度を向上させることができ、気泡や浮きが発生しない最適な工程条件を提供する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の改善された高透明性フィルムの製造方法の基本手順を表した手順図
図2】本発明の樹脂フィルムを積層する段階の詳細手順を表した手順図
図3】本発明の透明フィルムを製造する段階の詳細手順を表した手順図
図4】本発明の透明フィルム製造方法の実験例を比較した表
図5】ホットプレス条件別に実験例を比較した表
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に添付された図面を参照し、本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。添付された図面は縮尺によって図示されておらず、各図面の同じ参照番号は同じ構成要素を示す。
【0026】
ここで、本発明の透明フィルムとは半導体工程で製造されるカバーレイフィルムを指す言葉で、以下で明示される「透明フィルム」は「カバーレイフィルム」を指す言葉であり、本発明の詳しい説明及び図面で「透明フィルム」と「カバーレイフィルム」は同じものとして混用されることがある。
【0027】
図1は本発明の改善された高透明性フィルムの製造方法の基本手順を表した手順図である。
【0028】
図1を参照して説明すると、本発明の改善された高透明性フィルムの製造方法は、ベースフィルムの上面及び下面の中で少なくとも一面にサブフィルムを積層する段階(S100)と、前記のサブフィルムの上面に樹脂フィルムを積層する段階(S200)と、前記の樹脂フィルムの上面に補助シートを積層する段階(S300)と、前記の補助シートの上面に保護シートを積層して積層体を製造する段階(S400)と、前記の積層体を115ないし135℃にて35ないし50kgf/cm2の圧力が加わるように55ないし65分間プレスして透明フィルムを製造する段階(S500)とを基本的に含むことを特徴とする。
【0029】
ここで、ベースフィルムは透明材質あるいは不透明材質として、その材質に制限を置かないが、本発明の改善された高透明性フィルムが積層される特性から、透明材質のポリイミド、ポリエチレンフタレート、アセテートの中でいずれかを選択して、透明フレキシブルディスプレイに適用することがより望ましく、上面に回路パターンが形成されて内層回路基板として利用されることができる。
【0030】
サブフィルムを積層する段階(S100)は、このようなベースフィルムの上面及び下面の中で少なくとも一面にサブフィルムを積層して、サブフィルムはベースフィルムを保護する保護フィルムとしての役割を遂行する。ここで、サブフィルムの材質においては制限がないので、ポリオレフイン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルイミド、アセテート、塩化ビニールなどの多様な材質が利用されうる。より望ましくはFR-1200またはFR-1500フィルムシートが利用されうる。
【0031】
さらに、ベースフィルムの上面にサブフィルムを積層するにあたり、ベースフィルムと、サブフィルムとの間には別途の接着層が形成されうるのであり、接着層を成す接着剤の成分には制限を置かないが、望ましくはプレス工程後に硬化されうるように架橋可能な機能基を持つ熱硬化性樹脂であるエポキシ系樹脂またはアクリル系樹脂が利用されうるのであり、また、流れを制御するために熱可塑性樹脂を添加できることは勿論のこと、電子部品に利用されるための難燃性を取り揃えるためにブロム系難燃剤またはリン系難燃剤が添加されることができる。さらに、このような接着層は、後述する樹脂フィルム、補助シート、保護シートの積層時にも形成されることができる。
【0032】
サブフィルムの積層が完了すれば、前記のサブフィルムの上面に樹脂フィルムを積層する段階(S200)が遂行されるが、樹脂フィルムは外部に加わる衝撃からベースフィルムを保護して、衝撃を吸収する緩衝役割を遂行する一種の緩衝フィルムと言える。
【0033】
このような樹脂フィルムの材質としては、ポリオレフイン系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリビニール系など多様なプラスチック材質が利用されることができるが、ポリビニール系樹脂を適用するのが適しており、より望ましくはポリ塩化ビニール(PVC)を利用するのが保護機能及び衝撃緩和機能の遂行のために望ましい。さらに、樹脂フィルムをPVC材質として構成する時、積層された樹脂フィルムの厚さが0.4T、すなわち、0.4mm(=400μm)以上のとき、レジンフロー(Resin flow)を安定化することができので、厚さを0.4T以上に構成するのが望ましい。
【0034】
次に、前記の樹脂フィルムの上面に補助シートを積層する段階(S300)について説明する。補助シートはベースフィルムに対する保護機能だけではなく、下面に積層された樹脂フィルムが後に積層される保護シートと融着される場合に発生し得る樹脂フィルムによる収縮不良などの問題を解消するために積層されるものである。
【0035】
このような補助シートは従来に利用されたクラフト(KRAFT)紙を離型紙として利用する際、表面が平坦ではないクラフト紙の特性から、表面の跡によって透明度が落ち透明フレキシブル印刷回路基板に適用するに限界があるので、補助シートの材質としてクラフト紙の代わりにポリエステル系樹脂を適用する。より詳しくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)材質のXG-284シートを適用するのが望ましい。
【0036】
このようなポリエステル系樹脂材質の補助シートを適用する場合、透明フィルムの平坦度が向上し補助シートの上面に積層される保護シートとの積層に、より有利になるだけではなく、滑らかではない表面で発生し得る乱反射による透明度の減少の問題を解消することで、透明度をより向上させられることは勿論である。
【0037】
補助シートが積層された後には、前記の補助シートの上面に保護シートを形成し積層体を製造する段階(S400)が遂行される。保護シートは積層体の最上層に位置するものとして、その材質には制限がないが、透明材質のデュオフォイル(Duo Foil)を利用するのが望ましい。
【0038】
積層体の製造が完了すると、前記の積層体を115ないし135℃及び35ないし50kgf/cm2の条件で55ないし65分間プレスして透明フィルムを製造する段階(S500)が遂行されるが、これは従来の透明フィルムプレス工程に比べ、温度と圧力を低めた条件でプレスを遂行することとして、これを通じ85%水準の透明度を確保することができ、プレス後に透明度が著しく落ちた従来の透明フィルムの透明性問題を解決したものである。
【0039】
ここで、プレス工程時に高温で維持する時間は60分であるのが、透明フィルムの気泡及び浮きの防止とともに透明度を向上させるにおいて一番効果的であり、圧力の場合、35ないし50kgf/cm2条件内で可変されることができるが、一番高い透明度を示すためには40kgf/cm2条件でプレスされるのが一番望ましい。
【0040】
図2は本発明の樹脂フィルムを積層する段階(S200)の詳細手順を表した手順図である。
【0041】
図2を参照して樹脂フィルムを積層する段階(S200)に対してより詳しく説明すれば次の通りである。先に前記の樹脂フィルムは、0.2T以上の厚さを持つPVC材質の第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムからなって、第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムの厚さの合計が0.4T以上から構成される。
【0042】
このような第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムを積層する段階(S200)は、前記のサブフィルムの上面に第1樹脂フィルムを積層する段階(S210)と、積層された前記第1樹脂フィルムの上面に熱硬化性の透明レジンを塗布する段階(S220)及び、前記の透明レジンの塗布された前記の第1樹脂フィルムの上面に前記の第2樹脂フィルムを積層し仮積層されたフィルムを形成する段階(S230)と、前記の仮積層されたフィルムを70ないし100℃及び5ないし20kgf/cm2の恒温加圧チェンバーで20ないし30分間プレスして前記の透明レジンを硬化させる段階(S240)を含んで構成されることができる。
【0043】
ここで、利用される熱硬化性の透明レジンの粘度は80ないし150cPsであるのが均一な厚さで熱硬化性の透明レジンを塗布するのにおいて適しているであろうし、前記の透明レジンを塗布する段階(S220)は、前記の透明レジンを、スリットコーターを利用し前記の第1樹脂フィルムの前方表面上に、面の形態で塗布することでレジン層を形成することとなる。
【0044】
したがって、このように第1樹脂フィルムを積層する段階(S210)後に、熱硬化性の透明レジンを塗布する段階(S220)を通じレジン層を形成した後、仮積層されたフィルムを形成する段階(S230)で第2樹脂フィルムを積層して、仮積層されたフィルムを70ないし100℃及び5ないし20kgf/cm2の恒温加圧チェンバーで20ないし30分の間プレスして、前記の透明レジンを硬化させる段階(S240)を通じ、透明レジンが第1樹脂フィルムと第2樹脂フィルムを接着するようになる。
【0045】
ここで、透明レジンを硬化させる段階(S240)では50ないし80℃及び5ないし20kgf/cm2の条件で20ないし30分間プレスが遂行されるので、透明フィルムを製造する段階(S500)に比べ、より低い温度及び圧力にプレスして透明レジンのみを硬化させることをその目的とする。
【0046】
これを通じ、単一構造の樹脂フィルムを利用した場合、より高い強度を提供することができるし、形成されたレジン層は厚さが10ないし100μmなので、透明フィルムの厚さに大きい影響を及ぼさないことは勿論である。
【0047】
図3は本発明の透明フィルムを製造する段階(S500)の詳細手順を表した手順図である。
【0048】
図3を参照して説明すれば、前記の透明フィルムを製造する段階(S500)は、常温のホットプレスに前記の積層体を位置させて、前記のホットプレスを1分当り3ないし12℃の加熱速度で5分ないし15分間昇温させる段階(S510)と、前記の昇温されたホットプレスを1分当り4ないし8kgf/cm2の加圧速度及び1分当り3ないし12℃の加熱速度で5分ないし15分間昇温及び昇圧させる段階(S520)及び、115ないし135℃から35ないし50kgf/cm2の圧力が加わるように昇温及び昇圧された前記のホットプレスに、前記の積層体を55ないし65分間維持し透明フィルムを形成する段階(S530)と、前記の透明フィルムを15ないし25分間冷却させる段階(S540)を含んで構成されることができる。
【0049】
これは、前記のように透明性を最大に高めながらも気泡や浮きの発生を最小化して、レジンフロー(Resin flow)を最小化することができるプレス工程の条件を表したのであり、このような工程を通じ製造された透明フィルムは85%の透明度を保障するだけでなく、浮き及び気泡の発生がなく、レジンフロー(Resin flow)を最小化し、後工程で発生する不良率を低められるという特性を提供する。
【0050】
この際、前記のホットプレスを1分当り3ないし12℃の加熱速度で5分ないし15分間昇温させる段階及び前記の昇温されたホットプレスを1分当り4ないし8kgf/cm2の加圧速度及び1分当り3ないし12℃の加熱速度で5分ないし15分間の昇温及び昇圧させる段階(S520)は、透明フィルムを形成する段階においてホットプレスが115ないし135℃にて35ないし50kgf/cm2の圧力が加わるように昇温及び昇圧されることができれば、それぞれ5ないし15分という時間条件の下で相互調節できることは勿論である。
【0051】
さらに、前記の透明フィルムを形成する段階(S530)は、115ないし135℃にて35ないし50kgf/cm2の圧力が加わるように昇温及び昇圧された前記のホットプレスに前記の積層体を5分ないし25分間維持させる段階(S531)及び、前記のホットプレスが位置したチェンバーを40ないし50分間0.1±0.01MPaの真空状態で維持させる段階(S532)から構成できるので、ホットプレスが位置したチャンバーを真空状態に維持することでプレスの性能をより向上させられることは勿論である。この際、望ましくは透明フィルムを形成する段階がその詳細工程を合わせて55分ないし65分以内に進行されることが望ましい。
【0052】
さらに、前記の透明フィルムの製造方法は、前記のサブフィルムを積層する段階(S100)ないし前記の透明フィルムを製造する段階(S500)を1周期にして前記のベースフィルムの上面及び下面にそれぞれ繰り返して遂行できるので、ベースフィルムの上面及び下面にそれぞれ透明フィルムが形成されるようにすることで、透明フィルムとベースフィルム間の接着効率をより増大させることで浮きを防止することができる。
【0053】
図4は、本発明の透明フィルムの製造方法で、クラフト紙を利用した実験例と、ポリエステル系樹脂の実験例とを比較した表である。
【0054】
図4を参照して説明すると、同じ透明フィルムを製造する段階(S500)を遂行した時、 補助シートとしてクラフト紙を利用した対照例に比べて、補助シートとしてポリエステル系樹脂であるXG-284フィルムを利用した実施例がその結果において透明度が遥かに向上されたことが確認できる。したがって、補助シートとしてポリエステル系樹脂を利用する場合、粗い表面によって乱反射が起きて透明度が著しく落ちる問題点を解決できるということを現わす。
【0055】
図5はホットプレスの条件別に実験例を比較した表である。
【0056】
図5を参照して説明すると、同じLAY-UP条件で透明フィルムを製造する段階(S500)を遂行した時、本発明の透明フィルムを製造する段階(S500)に比べ高温維持時間を長く設定した対照例よりも、本発明の透明フィルムを製造する段階(S500)を適用した実施例が、より高い透明度を示すだけでなく、レジンフローがより少なく発生したことを確認することができる。
【0057】
これまで説明したように、本発明による改善された高透明性フィルムの製造方法の構成及び作用を前記の説明及び図面で表現したが、これは例を挙げて説明したことに過ぎず、本発明の思想が前記の説明及び図面に限定されなく、本発明の技術的思想を脱しない範囲内で多様な変化及び変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0058】
S100:ベースフィルムの上面及び下面の中で少なくとも一面にサブフィルムを積層する段階
S200:前記のサブフィルムの上面に樹脂フィルムを積層する段階
S210:前記のサブフィルムの上面に第1樹脂フィルムを積層する段階
S220:積層された前記の第1樹脂フィルムの上面に熱硬化性の透明レジンを塗布する段階
S230:前記の透明レジンの塗布された前記の第1樹脂フィルムの上面に前記の第2樹脂フィルムを積層して仮積層されたフィルムを形成する段階
S240:前記の仮積層されたフィルムを70ないし100℃及び5ないし20kgf/cm2の恒温加圧チェンバーで20ないし30分間プレスし前記の透明レジンを硬化させる段階
S300:前記の樹脂フィルムの上面に補助シートを積層する段階
S400:前記の 補助シートの上面に保護シートを積層し積層体を製造する段階
S500:前記の積層体を115ないし135℃にて35ないし50kgf/cm2の圧力が加わるように55ないし65分間プレスして透明フィルムを製造する段階
S510:常温のホットプレスに前記の積層体を位置させて前記のホットプレスを1分当り3ないし12℃の加熱速度で5分ないし15分間昇温させる段階
S520:前記の昇温されたホットプレスを1分当り4ないし8kgf/cm2の加圧速度及び1分当り3ないし12℃の加熱速度で5分ないし15分間昇温及び昇圧させる段階
S530:115ないし135℃から35ないし50kgf/cm2の圧力が加わるように昇温及び昇圧された前記のホットプレスにて前記の積層体を55ないし65分間保持して透明フィルムを形成する段階
S531:115ないし135℃にて35ないし50kgf/cm2の圧力が加わるように昇温及び昇圧された前記のホットプレスに前記の積層体を5分ないし25分間維持させる段階
S532:前記のホットプレスが位置したチャンバーを40ないし50分間0.1±0.01MPaの真空状態に維持させる段階
S540:前記の透明フィルムを15ないし25分間冷却させる段階
【要約】
【課題】透明度を85%まで引き上げ透明フレキシブル印刷回路基板に適用するのに適した透明フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明による改善された高透明性フィルムの製造方法は、ベースフィルムの上面及び下面の中で少なくとも一面にサブフィルムを積層する段階と、前記のサブフィルムの上面に樹脂フィルムを積層する段階と、
前記の樹脂フィルムの上面に 補助シートを積層する段階と、前記の補助シートの上面に保護シートを積層して積層体を製造する段階と、前記の積層体を115ないし135℃にて35ないし50kgf/cm2の圧力が加わるように55ないし65分間プレスして透明フィルムを製造する段階;を含むことを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5