【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するために、本発明の浄水器は、筒状のケーシング部と、浄水が流出する中空部が形成され、水道水の少なくとも塩素成分の一部を除去し、外面が前記ケーシング部の内面と所定の間隔を形成するようにして前記ケーシング部内に設けられたフィルタ部と、前記ケーシング部の一端が嵌合可能な嵌合凹部が形成された内底部を有するベース部と、前記内底部の表面に形成された第1の開口部、および水道水が流入する流入配管が接続され前記ベース部の側面に形成された流入配管開口部を連通する第1の連通路と、一端が前記フィルタ部の前記中空部に接続され、他端が前記内底部の表面に形成された第2の開口部に接続される中空状のフィルタ支持管と、前記第2の開口部、および浄水が流出する流出配管が接続され前記ベース部の側面に形成された流出配管開口部を連通する第2の連通路と、前記内底部の表面に形成された第3の開口部、および前記第2の連通路の所定の位置に形成された連通路開口部を連通するバイパス通路と、該バイパス通路に略直交し、前記ケーシング部の外であって、かつ前記ベース部の側面に形成された雌ネジ部、該雌ネジ部と螺合するとともに、先端部で前記バイパス通路の開口面積を可変に調整可能な雄ネジ部から構成され、前記バイパス通路の開口面積を調整可能な開度調整機構とを備える。
【0013】
ここで、フィルタ部の外面が、筒状のケーシング部の内面と所定の間隙を形成して設けられていることにより、ケーシング部に流入した水道水は、この間隙を通りフィルタ部内に流入し、水道水に含まれる不純物を濾過することができる。
【0014】
また、フィルタ部は浄水が流出する中空部を有していることにより、フィルタ部で濾過された水道水(浄水)は、この中空部を通じて浄水器の外部に流出させることができる。
【0015】
また、フィルタ部は、少なくとも塩素成分の全部、または一部を除去することにより、水道水に含まれる残留塩素を除去することができる。
【0016】
また、内底部を有し、ケーシング部の一端が嵌合可能な嵌合凹部が形成されたベース部により、ケーシング部とベース部の脱着を容易に行うことができる。
【0017】
また、内底部に形成された第1の開口部、および水道水が流入する流入配管が接続されベース部の側面に形成された流入配管開口部を連通する第1の連通路を有することにより、流入配管から送られてきた水道水は、第1の連通路を通じて第1の開口部からケーシング部内に流入させ、さらにはフィルタ部を通じて、不純物を除去することができる。
【0018】
また、一端がフィルタ部の中空部に接続され、他端が内底部に形成された第2の開口部に接続される中空状のフィルタ支持管を有することにより、フィルタ部の中空部をフィルタ支持管の一端に接続するという簡単な作業で、フィルタ部を固定することができる。
【0019】
また、フィルタ支持管が中空状であることにより、フィルタ部の中空部から流出する浄水は、フィルタ支持管を通って第2の開口部に流出させることができる。
【0020】
また、第2の開口部、および浄水が流出する流出配管が接続されベース部の側面に形成された流出配管開口部を連通する第2の連通路を有することにより、第2の開口部から第2の連通路を通じて末端の個別の流出配管にそれぞれ浄水を流出させることができる。
【0021】
また、内底部に形成された第3の開口部、および第2の連通路の所定の位置に形成された連通路開口部を連通するバイパス通路を有することにより、塩素成分を含有する水道水の一部を、フィルタ部を介さずに第2の連通路に流出させることができる。したがって、例えば、家庭内の末端の個別の水栓が長時間使用されずに放置されるようなことがあっても、流出配管に滞留する浄水は、一定量の塩素成分が含有されているため、雑菌の繁殖等を抑え、流出配管の腐食劣化を未然に防止することができる。
【0022】
また、バイパス通路の開口面積を調整可能な開度調整機構を有することにより、流出配管に流出させる水道水の量を調整し、浄水の塩素成分の含有比率を変更することができる。したがって、例えば、家庭内の末端の個別の水栓を常時使用するような場合には、開口面積を極力小さくすることで、塩素成分をほとんど含まない浄水を利用することができる。一方、家庭内の末端の個別の水栓の使用頻度が少ない場合には、開口面積を大きくすることで、浄水に一定の塩素成分を含有するようにして、流出管内に浄水が長時間滞留することによる、流出配管の腐食劣化を未然に防止することができる。
【0023】
また、開度調整機構が、雌ネジ部と、この雌ネジ部と螺合するとともに、先端部でバイパス通路の開口面積を可変に調整可能な雄ネジ部とから構成されている場合には、雄ネジ部を雌ネジ部に螺合させることによる雄ネジ部の移動に応じて、バイパス通路の開口面積を容易に変更することができる。
【0024】
また、雌ネジ部がケーシング部の外であって、かつベース部の側面に形成されている場合には、開度調整機構による開度調整に際しては、作業者は浄水器本体を持ち上げたりする必要がなく、浄水器の設置状態において簡易に操作することができるため、作業者による作業負担を大幅に改善することができる。
【0025】
また、雌ネジ部は、バイパス通路に対して略直交するように形成されている場合には、第3の開口部を通じて目視しながら、雄ネジ部のバイパス通路への突き出し量を調整することができるため作業性が向上する。
【0026】
また、バイパス通路の開口面積が、残留塩素濃度が略0.1mg/L以上となるように設定されている場合には、浄水に最低限の残留塩素濃度を含有させることができる。
【0027】
また、内底部が円形であり、第1の開口部、第2の開口部、および第3の開口部は内底部の直径線上に配置されている場合には、これらに連通する第1の連通路、第2の連通路、およびバイパス通路の配置を簡素化でき、生産性を高めることができるとともに、第1の連通路、第2の連通路、およびバイパス通路内での目詰まりなどの不具合を未然に防止することができる。
【0028】
また、第1の開口部、および第3の開口部は、第1の直径線に略直交する第2の直径線に対して線対称な位置に配置されている場合には、これらに連通する第1の連通路、およびバイパス通路の配置をより簡素化でき、生産性を高めることができるとともに、第1の連通路、第2の連通路、およびバイパス通路内での目詰まりなどの不具合を未然に防止することができる。
【0029】
また、開度調整機構が、第3の開口部からバイパス通路に沿って挿通可能であり、バイパス通路の断面積の少なくとも一部を閉塞する閉塞部を含み、雄ネジ部のバイパス通路への突き出し量を決定する開度調整治具を有する場合には、浄水に含まれる塩素濃度を所定の値とするために、作業者の感覚等に頼らず、雄ネジ部のバイパス通路への突き出し量を正確に設定することができるため、作業性を向上することができる。
【0030】
また、閉塞部が、その外径がバイパス通路の内径と略一致する円柱状である場合には、雄ネジ部の先端のバイパス通路への突き出し量を正確に設定することができる(即ち、雄ネジ部の先端のバイパス通路への突き出し量を最小とし、バイパス通路を通過する水道水を最大量とすることができる)。
【0031】
また、閉塞部がバイパス通路の内周面に当接可能である円弧面部、および雄ネジ部が当接する平滑面部を含む半円柱状である場合には、雄ネジ部の先端のバイパス通路への突き出し量を正確に設定することができる(即ち、雄ネジ部の先端のバイパス通路への突き出し量を、バイパス通路の断面積のうち、閉塞部の断面積を除く部分までとすることができる)。
【0032】
前記の目的を達成するために、本発明の浄水の塩素濃度調整方法は、ベース部に形成された嵌合凹部に装着された中空状のフィルタ部を被覆するケーシング部を前記ベース部から取り外す工程と、前記フィルタ部を通過した浄水を前記ベース部の側面に接続された流出配管に導く連通路に対して、前記嵌合凹部の内定部に形成された開口部から水道水を流入させるバイパス通路の断面積の少なくとも一部を閉塞する開度調整治具を前記開口部から挿入する工程と、前記ベース部の側面に形成され、前記バイパス通路に略直交するように連通する雌ネジ部に対して、雄ネジ部の先端が前記バイパス通路に挿入された前記開度調整治具に当接するまで、前記雄ネジ部を前記ベース部の外側から前記雌ネジ部に螺合する工程と、前記バイパス通路に挿入された前記開度調整治具を前記開口部から抜去する工程とを備える。
【0033】
ここで、ベース部に形成された嵌合凹部に装着された中空状のフィルタ部を被覆するケーシング部をベース部から取り外す工程を備えることにより、後述するベース部の内底部に形成された開口部を露出させることができる。
【0034】
また、フィルタ部を通過した浄水をベース部の側面に接続された流出配管に導く連通路に対して、嵌合凹部の内底部に形成された開口部から水道水を流入させるバイパス通路の断面積の少なくとも一部を閉塞する開度調整治具を開口部から挿入する工程を備えることにより、後述する雄ネジ部のバイパス通路への突き出し量の位置決めのための開度調整治具を、簡単な作業により設置することができる。
【0035】
また、ベース部の側面に形成され、バイパス通路に略直交するように連通する雌ネジ部に対して、雄ネジ部の先端がバイパス通路に挿入された開度調整治具に当接するまで、雄ネジ部を前記ベース部の外側から前記雌ネジ部に螺合する工程を備えることにより、作業者による感覚に基づかなくても、雄ネジ部のバイパス通路への所定の突き出し量を一義的に決定することができる。
【0036】
また、バイパス通路に挿入された開度調整治具を前記開口部から抜去する工程を備えることにより、開度調整治具が抜去された部分から所定の量の水道水を通過させ、連通路に流入させることができるため、流出配管に流出する浄水の塩素濃度を所定の値に調整することができる。