(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6240836
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】一覧性書類保持具
(51)【国際特許分類】
B42F 7/00 20060101AFI20171127BHJP
B42F 23/00 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
B42F7/00 J
B42F7/00 G
B42F23/00
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-93273(P2017-93273)
(22)【出願日】2017年5月9日
【審査請求日】2017年6月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】308042573
【氏名又は名称】平山 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100080654
【弁理士】
【氏名又は名称】土橋 博司
(72)【発明者】
【氏名】平山 光一郎
【審査官】
青山 玲理
(56)【参考文献】
【文献】
実開平6−81776(JP,U)
【文献】
特開平9−300872(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3206806(JP,U)
【文献】
実開昭61−35875(JP,U)
【文献】
特開2000−15975(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0209776(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42F 1/00−23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り曲げ可能に連結された複数の剛性のある中芯シートを備え、該中芯シートの両面に透明な保持シートを原稿、楽譜あるいはその他の書類を収納可能に取り付けるとともに、前記中芯シートの連結部に取り付けた一対の保持シートの対向面に前記原稿、楽譜あるいはその他の書類の挿入口を形成し、前記中芯シートの連結部に一対の保持シート間にまたがる原稿、楽譜あるいはその他の書類を挿入して保持することを可能としたことを特徴とする一覧性書類保持具。
【請求項2】
前記連続する中芯シート間およびそれに続く保持シート間が、その連結部を伸縮性部材を介して連結されていることを特徴とする請求項1記載の一覧性書類保持具。
【請求項3】
前記連続する中芯シート間およびそれに続く保持シート間が、その連結部を単数もしくは不連続の複数の帯状伸縮性部材を介して連結されていることを特徴とする請求項2記載の一覧性書類保持具。
【請求項4】
前記中芯シートの連結部に取り付けた一対の保持シートの対向面に形成した原稿、楽譜あるいはその他の書類の挿入口が、さらに一対の保持シートの上面にも連続するよう形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の一覧性書類保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折畳み可能な複数のホルダを屏風状、観音開き状、ロール状等に連結し、それぞれのホルダに個別に原稿、楽譜あるいはその他の書類を収納することができ、かつ連結部に取り付けた一対の保持シートにまたがって、前記原稿、楽譜あるいはその他の書類の2倍のサイズの書類を挿入して保持することを可能とした一覧性書類保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一覧性書類保持具の例としては以下のような先行技術が存在する。
特開平8−58279号公報(特許文献1参照)には透明又は半透明の材料を用い、収納ポケットを連続して配設し、収納ポケットと収納ポケットの間を折りたたみ可能とした折りたたみ式ファイル用具が示されている。
実開昭51−133524号公報(特許文献2参照)には、一端に連結した書類入れにおいて、状差し状の書類入れはその両面に袋部を有し、書類入れの側縁が相互に連結されて、屏風状に形成した連続式書類入れが示されている。
実開昭55−115876号公報(特許文献3参照)には、長手方向に谷折り線と山折り線とを交互に附設して両端に表紙を取付けた帯状シートの表面へ透明シートを重ね、両シート間は、長手側縁及び谷折り線及び山折り線に沿い溶着した歌詞カード等の整理帳が示されている。
ただ、いずれの先行技術もポケット状、あるいは袋状の構造物に関するものがほとんどである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−58279号公報
【特許文献2】実開昭51−133524号公報
【特許文献3】実開昭55−115876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1〜3のいずれの発明も、屏風状に折り曲げ可能な折畳み式の両面ホルダに関するものではあるものの、ホルダにはそれぞれ収納ポケットが単体で配設されているだけであり、V字状の折畳み部に一対のホルダ間にまたがるサイズの原稿、楽譜あるいはその他の書類を挿入して保持することはできなかった。
【0005】
したがって、屏風状に折り曲げ可能な折畳み式の両面ホルダとしてA4サイズを使用した場合に、ホルダを広げてもA3サイズの原稿、楽譜あるいはその他の書類を収納して保持することはできず、一目でA3サイズの原稿、楽譜あるいはその他の書類の全ページを見ることはできないという問題があった。
【0006】
本発明は、屏風状に折り曲げ可能な折畳み式の両面ホルダとしてA4サイズを使用した場合であっても、ホルダを広げてA3サイズの原稿、楽譜あるいはその他の書類を収納して保持することを可能としたものであり、枚数の多い一枚もののA3サイズの原稿、楽譜あるいはその他の書類を、一目で閲覧可能に展開することができるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の一覧性書類保持具は、折り曲げ可能に連結された複数の剛性のある中芯シートを備え、該中芯シートの両面に透明な保持シートを原稿、楽譜あるいはその他の書類を収納可能に取り付けるとともに、前記中芯シートの連結部に取り付けた一対の保持シートの対向面に前記原稿、楽譜あるいはその他の書類の挿入口を形成し、前記中芯シートの連結部に一対の保持シート間にまたがる少なくとも2倍のサイズの原稿、楽譜あるいはその他の書類を挿入して保持することを可能としたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明の一覧性書類保持具において、前記連続する中芯シート間およびそれに続く保持シート間が、その連結部を伸縮性部材を介して連結されていることをも特徴とするものである。
【0009】
本発明の一覧性書類保持具において、前記連続する中芯シート間およびそれに続く保持シート間が、その連結部を単数もしくは不連続の複数の帯状伸縮性部材を介して連結されていることをも特徴とするものである。
【0010】
本発明の一覧性書類保持具において、前記中芯シートの連結部に取り付けた一対の保持シートの対向面に形成した原稿、楽譜あるいはその他の書類の挿入口が、さらに一対の保持シートの上面にも連続するよう形成されていることをも特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明の一覧性書類保持具によれば、屏風状に折りたためるので不要な部分を折りたたみ、連結部に一対の保持シート間にまたがる原稿、楽譜あるいはその他の書類を挿入して保持することができ、例えば二つ折りの原稿、楽譜あるいはその他の書類を一目で閲覧できる状態にしておくことができる。また、各ホルダをめくるだけで次の原稿、楽譜あるいはその他の書類をも連続して閲覧することができ、さらに裏返せば2倍の原稿、楽譜あるいはその他の書類を連続して閲覧することができる。すなわち、リバーシブルでの使い方ができる上、縦あるいは横方向のいずれの向きにでもめくることができる。
【0012】
請求項2記載の発明の一覧性書類保持具によれば、前記中芯シートが、伸縮性部材を介して連結されているため、繰り返して使用する場合でも折畳みが容易で耐久性に富む一覧性書類保持具を提供することができる。
【0013】
請求項3記載の発明の一覧性書類保持具によれば、前記中芯シートが、単数もしくは不連続の複数の帯状伸縮性部材を介して連結されているため、繰り返して使用する場合でも折畳みが容易でより耐久性に富む一覧性書類保持具を提供することができ、軽量化やコストダウンを図ることができる。
【0014】
請求項4記載の発明の一覧性書類保持具によれば、前記中芯シートの連結部に取り付けた一対の保持シートの対向面に形成した原稿、楽譜あるいはその他の書類の挿入口が、さらに一対の保持シートの上面にも連続するよう形成されており、収納する原稿、楽譜あるいはその他の書類の出し入れを極めて容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一覧性書類保持具の実施の形態の展開状態を示し、(a)は中芯シートと保持シートとの組み付け前の概略正面図、(b)は組み付け状態の概略正面図である。
【
図2】本発明の一覧性書類保持具を折り畳もうとする状態の概略斜視図である。
【
図3】本発明の一覧性書類保持具(A4サイズ)に原稿、楽譜あるいはその他の書類(A3サイズ)を収納しようとする状態の概略斜視図である。
【
図4】本発明の一覧性書類保持具(A4サイズ)に原稿、楽譜あるいはその他の書類(A3サイズ)を収納した状態の概略斜視図である。
【
図5】(a)は隣接する保持シートの端面が平坦な場合の概略要部断面図、(b)は隣接する保持シートの端面が鋭角な場合の概略要部断面図である。
【
図6】本発明の一覧性書類保持具の変形例を示し、展開状態の概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一覧性書類保持具の実施の形態を図面に基いて詳細に説明する。
図1(a),(b)〜
図4において、本実施例の一覧性書類保持具11は、屏風状、観音開き状あるいはロール状等に折り曲げ可能に連結された複数の剛性のある中芯シート12を備え、該中芯シート12の両面に透明な保持シート14を例えば楽譜21等の書類を収納可能に貼付したものである。
図1(a)は中芯シートと保持シートとの組み付け前を、
図1(b)は組み付け状態を示すものである。
図において15は前記保持シート14に形成したL字状の融着部であり、前記楽譜21等の書類の収納スペースを区画している。
それと同時に、前記中芯シート12の連結部13に取り付けた一対の保持シート14,14の対向面に前記楽譜21の挿入口16,16を形成してある。それによって、前記中芯シート12の連結部13に一対の保持シート14,14間にまたがる原稿、楽譜あるいはその他の書類の楽譜21を挿入して保持することを可能としている。
【0017】
それに加えて、前記中芯シート12の連結部13に取り付けた一対の保持シート14,14の対向面に形成した楽譜21の挿入口16,16は、さらに一対の保持シート14,14の上面にも連続するよう形成してある。したがって、収納する楽譜21等の書類の出し入れを極めて容易に行うことができるのである。
【0018】
本実施例の一覧性書類保持具11は、連続する前記中芯シート12間およびそれに続く保持シート14間を、単数もしくは不連続の複数の帯状伸縮性部材17を介して連結してある。図においては、前記中芯シート12は、連続する前記中芯シート12間およびそれに続く保持シート14間を所定幅の複数の帯状伸縮性部材17を介して連結してある。したがって、この伸縮性部材17で前記中芯シート12間およびそれに続く保持シート14間を連結あるいは取り外すだけで、一覧性書類保持具11を増減させることができる。
前記中芯シート12の素材としては、剛性のあるプラスチック製シートや厚紙、集成板等の木質シート、薄肉で軽量な金属板等を使用することができる。
また、前記保持シート14としては透明なプラスチック製フィルムを好適に使用することができ、収納する楽譜21等の書類の視認性を損なわない限り、適宜印刷等で装飾しておくこともできる。前記中芯シート12も同様に装飾しておくことができる。
【0019】
前記中芯シート12間を連結する伸縮性部材17としては、軟質プラスチック製フィルムあるいはシート等を好適に使用することができ、前記中芯シート12に熱融着したり、また接着力に富む接着剤等によって強固に連結することができる。このように前記中芯シート12間を伸縮性部材17を介して連結しているため、繰り返して使用する場合でも折畳みが容易で耐久性に富む一覧性書類保持具11を提供することができる。
なお、前記中芯シート12間およびそれに続く保持シート14間を単数もしくは不連続の複数の帯状伸縮性部材17を介して連結することにより、繰り返して使用する場合でも折畳みが容易で、より耐久性に富む一覧性書類保持具を提供することができる。
【0020】
本実施例の一覧性書類保持具11においては
図3に示すように、屏風状に折りたためるので不要な部分を折りたたみ、展開した連結部13に一対の保持シート14,14間にまたがる原稿、楽譜あるいはその他の書類の楽譜21等の書類を挿入して保持することができ、例えば二つ折りの楽譜21を一目で閲覧できる状態にしてことができる。また、各ホルダ11をめくるだけで次の楽譜21をも連続して閲覧することができ、さらに裏返せば2倍の楽譜21を連続して閲覧することができる。
もちろん、上述のようなリバーシブルでの使い方ができる上、縦あるいは横方向のいずれの向きにでもめくることができる。
【0021】
本、冊子等の次ページへのめくり方についてより詳しく説明する。
<従来>
1)紙をつまむ。
2)紙をめくる。
3)発表、演奏、朗読など次の動作に移る。
(課題)
a〉めくった紙(ページ)が戻ることもある。
b)めくる動作が大きい。
c)ピアノ伴奏の場合など、補助者を付ける場合もある。
《本発明》
1)保持シートを指で引っ掛けて手前に移動する。
・(自然に倒れる)
2)発表、演奏、朗読など次の動作に移る。
(メリット)
a〉めくりたいページの保持シートを手間に半分程度まで移動すると、手を放すだけで自然に倒れる。
b)めくった紙(ページ)が戻ることがない。
すなわち、
図5(a)は隣接する保持シート14の端面が平坦な場合を、
図5(b)は隣接する保持シート14の端面が鋭角な場合を示すものである。図で明らかなように、
図5(b)の保持シート14の端面が鋭角な場合の方が保持シートをめくりやすいということができる。
【0022】
(変形例)
図6は、本発明の一覧性書類保持具31の変形例を示すものであり、その展開状態の概略図である。
すなわち、各々連結した複数の中芯シート32の上端を延長し、当該中芯シート32の上部にメモや付箋、その他の機能を備えた突出部33を設けたものである。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の一覧性書類保持具はA4サイズのものであっても、例えばA3サイズの資料を一目で閲覧しなければならい場面でも利用でき、原稿や楽譜以外の種々の資料の閲覧に利用できることはいうまでもない。
なお、本発明の一覧性書類保持具は、屏風状の場合について説明してきたが、ピアノ連弾演奏やプレゼンテーション、朗読、第三者への提案の閲覧などの利用状況に応じて、観音開き状あるいはロール状等に折り曲げ可能に連結することが望ましい。
【符号の説明】
【0024】
11 一覧性書類保持具
12 中芯シート
13 連結部
14 保持シート
15 融着部
16 挿入口
17 伸縮性部材
21 楽譜
31 一覧性書類保持具
32 中芯シート
33 突出部
【要約】
【課題】
折り曲げ可能な折畳み式の両面ホルダとしてA4サイズを使用した場合であっても、ホルダを広げてA3サイズの原稿、楽譜あるいはその他の書類を収納して保持することを可能としたものであり、枚数の多い一枚もののA3サイズの原稿、楽譜あるいはその他の書類を、一目で閲覧可能に展開してみることができるようにする。
【解決手段】
折り曲げ可能に連結された複数の剛性のある中芯シートを備え、該中芯シートの両面に透明な保持シートを原稿、楽譜あるいはその他の書類を収納可能に貼付するとともに、前記中芯シートの連結部に取り付けた一対の保持シートの対向面に前記原稿、楽譜あるいはその他の書類の挿入口を形成し、前記中芯シートの連結部に一対の保持シート間にまたがる原稿、楽譜あるいはその他の書類を挿入して保持することを可能としたことを特徴とする一覧性書類保持具。
【選択図】
図3