【文献】
山田 祐樹,Technology Reports,NTT DOCOMOテクニカル・ジャーナル,一般社団法人電気通信協会,2012年 4月 1日,Vol.20 No.1,p.49〜54
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記出力手段は、前記複数の測定ケトン体濃度を結ぶ線の傾きが負であると共に、前記測定ケトン体濃度積分値が前記目標ケトン体濃度積分値よりも小さい場合において、両者の差分が予め定めた閾値以上の場合に、食事及び運動の少なくとも一方の結果に関するアドバイス情報を出力する
請求項1記載の健康支援装置。
前記出力手段は、前記複数の測定ケトン体濃度を結ぶ線の傾きが正であると共に、前記測定ケトン体濃度積分値が前記目標ケトン体濃度積分値よりも大きい場合において、両者の差分が予め定めた閾値以上の場合に、食事及び運動の少なくとも一方の結果に関するアドバイス情報を出力する
請求項1記載の健康支援装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術は、測定したアセトンの濃度が、単に予め定めた閾値よりも高いか低いかを判定し、その判定結果に基づいて食事の摂取に適したタイミング又は運動の実施に適したタイミングを判定するものであり、今後の行動指針を提示するものではなく、適切にダイエット支援ができるとは限らない。
【0006】
また、健康を維持するための目的としては、ダイエットだけでなく、健康的に体脂肪を増加させることを目的とする場合もあるが、従来技術においては、単に予め定めた閾値よりも高いか低いかを判定するものであるため、様々な健康目的に応じて食事の摂取に適したタイミング又は運動の実施に適したタイミングを判定することはできず、例えばダイエットが順調に進んでいるのか否かを精度良く判定することはできない。従って、例えば3食絶食する等の無理なダイエットが行われてしまう虞がある。
【0007】
本発明は、健康目的に応じて適切に行動するよう支援することができる健康支援装置、方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明の健康支援装置は、ユーザーから排出されるケトン体を
同じ日内に測定した
複数の測定ケトン体濃度を取得するケトン体濃度取得手段と、前記ユーザーの健康目的に対応した目標ケトン体濃度の変動を表す目標曲線を取得する目標曲線取得手段と、
前記同じ日内における前記複数の測定ケトン体濃度の濃度差及び測定時刻の時刻差に基づいて測定ケトン体濃度積分値を算出すると共に、前記目標曲線上における前記複数の測定ケトン体濃度の各々の測定時刻に対応する複数の目標ケトン体濃度の濃度差及び測定時刻の時刻差に基づいて目標ケトン体濃度積分値を算出し、前記測定ケトン体濃度積分値と前記目標ケトン体濃度積分値との比較結果に基づいて、前記健康目的に応じたアドバイス情報を出力する出力手段と、を備える。
【0011】
また、請求項
2に記載したように、前記出力手段は、前記複数の測定ケトン体濃度を結ぶ線の傾きが負であると共に、前記測定ケトン体濃度積分値が前記目標ケトン体濃度積分値よりも小さい場合において、両者の差分が予め定めた閾値以上の場合に、食事及び運動の少なくとも一方の結果に関するアドバイス情報を出力するようにしてもよい。
【0012】
また、請求項
3に記載したように、前記出力手段は、前記複数の測定ケトン体濃度を結ぶ線の傾きが正であると共に、前記測定ケトン体濃度積分値が前記目標ケトン体濃度積分値よりも大きい場合において、両者の差分が予め定めた閾値以上の場合に、食事及び運動の少なくとも一方の結果に関するアドバイス情報を出力するようにしてもよい。
【0013】
また、請求項
4に記載したように、前記出力手段は、前記複数の測定ケトン体濃度で表される実測曲線及び
前記目標曲線の各々について、曲線が上昇から下降に転じる少し前の時刻を食事の時刻
として求め、当該求めた
前記実測曲線における食事の時刻と前記目標曲線における食事の時刻と
の差に基づいて、食事の時刻に関するアドバイス情報を出力するようにしてもよい。
【0014】
また、請求項
5に記載したように、前記出力手段は、
同じ日内において測定された複数の測定ケトン体濃度の各々について、前記測定ケトン体濃度と前記目標ケトン体濃度との差分又は比に基づいて
、前記測定ケトン体濃度が前記目標ケトン体濃度に近いほど実施得点が高くなるように前記実施得点を
求め、求めた複数の実施得点に基づいて総合得点を算出し、当該算出した総合得点を出力するようにしてもよい。
【0016】
また、請求項
6に記載したように、前記出力手段は、前記目標曲線に対応する行動指針を時間帯毎に表示する行動指針画面を出力するようにしてもよい。
【0017】
また、請求項
7に記載したように、前記出力手段は、前記測定ケトン体濃度の推移を示す実測曲線と前記目標曲線とを表示する濃度推移画面を出力するようにしてもよい。
【0018】
また、請求項
8に記載したように、前記ユーザーから排出されたケトン体を測定する測定手段を備えた構成としてもよい。
【0019】
また、請求項
9に記載したように、前記ユーザーから排出されたケトン体は、前記ユーザーから排出された呼気に含まれるアセトンであることが好ましい。
【0020】
請求項
10記載の発明の健康支援方法は、ユーザーから排出されるケトン体を
同じ日内に測定した
複数の測定ケトン体濃度を取得し、前記ユーザーの健康目的に対応した目標ケトン体濃度の変動を表す目標曲線を取得し、
前記同じ日内における前記複数の測定ケトン体濃度の濃度差及び測定時刻の時刻差に基づいて測定ケトン体濃度積分値を算出すると共に、前記目標曲線上における前記複数の測定ケトン体濃度の各々の測定時刻に対応する複数の目標ケトン体濃度の濃度差及び測定時刻の時刻差に基づいて目標ケトン体濃度積分値を算出し、前記測定ケトン体濃度積分値と前記目標ケトン体濃度積分値との比較結果に基づいて、前記健康目的に応じたアドバイス情報を出力する。
【0021】
請求項
11記載の発明の健康支援プログラムは、コンピュータに、ユーザーから排出されるケトン体を
同じ日内に測定した
複数の測定ケトン体濃度を取得し、前記ユーザーの健康目的に対応した目標ケトン体濃度の変動を表す目標曲線を取得し、
前記同じ日内における前記複数の測定ケトン体濃度の濃度差及び測定時刻の時刻差に基づいて測定ケトン体濃度積分値を算出すると共に、前記目標曲線上における前記複数の測定ケトン体濃度の各々の測定時刻に対応する複数の目標ケトン体濃度の濃度差及び測定時刻の時刻差に基づいて目標ケトン体濃度積分値を算出し、前記測定ケトン体濃度積分値と前記目標ケトン体濃度積分値との比較結果に基づいて、前記健康目的に応じたアドバイス情報を出力する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、健康目的に応じて適切に行動するよう支援することができる、という効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る健康支援装置10の外観図である。
図1に示すように、健康支援装置10は、測定部12、表示部14、及び操作部16を備えている。本実施形態に係る健康支援装置10は、一例として持ち運びに便利な携帯型の装置である。
【0025】
測定部12は、ユーザーから排出されるケトン体の濃度(以下、ケトン体濃度という)を測定する。ここで、ケトン体とは、アセト酢酸、3−ヒドロキシ酪酸(β−ヒドロキシ酪酸、アセトンの総称であり、これらのうちの少なくとも一つを表す。
【0026】
本実施形態では、測定部12が、一例としてユーザーの呼気中のアセトンを検出するアセトン検出センサを備えた構成の場合について説明する。ユーザーは、吹き込み口18に呼気を吹き込むことにより、呼気中のアセトン濃度を測定することができる。
【0027】
表示部14は、例えば液晶パネル等で構成される。詳細は後述するが、表示部14には、例えば各種設定画面、測定部12で測定されたアセトン濃度の測定結果、及び測定されたアセトン濃度に基づくアドバイス情報等の各種画面が表示される。また、表示部14をタッチパネルの機能を備えた構成とし、画面に直接タッチすることで操作が可能な構成としてもよい。
【0028】
操作部16は、複数の操作ボタンを含んで構成されており、
図1では一例として3個の操作ボタン16A〜16Cを備えた場合を示した。
【0029】
操作ボタン16Aは、一例として健康支援装置10の電源のオンオフ及び各種画面において決定の操作を行うためのボタンとして機能する。
【0030】
操作ボタン16Bは、一例として各種画面において情報を入力するためのボタンとして機能する。
【0031】
操作ボタン16Cは、一例として過去の測定結果等を読み出すことを指示するためのボタンとして機能する。
【0032】
図2には、健康支援装置10のブロック図を示した。
図2に示すように、健康支援装置10は、コントローラ20を備えている。コントローラ20は、CPU(Central Processing Unit)20A、ROM(Read Only Memory)20B、RAM(Random Access Memory)20C、不揮発性メモリ20D、及び入出力インターフェース(I/O)20Eがバス20Fを介して各々接続された構成となっている。この場合、後述する健康支援処理をコントローラ20のCPU20Aに実行させる健康支援プログラムを、例えば不揮発性メモリ20Dに書き込んでおき、これをCPU20Aが読み込んで実行する。なお、健康支援プログラムは、CD−ROM、メモリーカード等の記録媒体により提供するようにしてもよく、図示しないサーバからダウンロードするようにしてもよい。
【0033】
I/O20Eには、測定部12、表示部14、操作部16、及びタイマ22が接続されている。タイマ22は、現在時刻を取得する機能及び設定された時間を計時する計時機能を有する。
【0034】
次に、本実施形態の作用として、コントローラ20のCPU20Aにおいて実行される健康支援プログラムによる処理について、
図3に示すフローチャートを参照して説明する。なお、
図3に示す処理は、ユーザーが健康支援装置10の操作部16を操作して、健康支援プログラムの実行を指示した場合に実行される。
【0035】
まず、ステップS100では、健康目的を登録する。具体的には、
図4に示すような健康目的登録画面14Aを表示部14に表示する。
【0036】
健康目的登録画面14Aには、複数の健康目的が表示される。本実施形態では、一例として「ダイエット」、「健康増進」、「維持」、「健康的に増量」の4個の健康目的が表示されるが、健康目的はこれらに限られるものではない。ユーザーは、操作部16を操作して、表示された複数の健康目的の中から所望の健康目的を選択する。ユーザーにより健康目的が選択されると、CPU20Aは、選択された健康目的を登録健康目的として不揮発性メモリ20Dに記憶する。
【0037】
ステップS102では、登録健康目的に対応した目標曲線を不揮発性メモリ20Dから読み出す。目標曲線とは、健康目的を達成するためのアセトン濃度の変動を表す曲線である。なお、本実施形態では、目標曲線が、健康目的を達成するためのアセトン濃度の理想的な変動を表す理想曲線である場合について説明する。
図5には、健康目的が「ダイエット」の場合の理想曲線の一例を示した。
図5に示すように、理想曲線は、一日の中の予め定めた時間帯(例えば起きている時間帯)における時刻と呼気中のアセトン濃度との対応関係を表す曲線である。理想曲線はこの時間帯のアセトン濃度の変動を表す。
【0038】
図5に示すように、健康目的が「ダイエット」の場合の理想曲線は、予め定めた時間帯のすべてにおいてアセトン濃度が予め定めたレベルLv以上であり、一日を通してアセトン濃度が高い傾向となる曲線、すなわち脂肪を燃焼させてアセトンを多く排出させることでダイエットを可能とする曲線である。
【0039】
また、
図6には、健康目的が「健康増進」の場合の理想曲線の一例を示した。健康目的が「健康増進」の場合の理想曲線は、アセトン濃度が予め定めたレベルLv以上である時間帯がほとんどであり、一日を通してアセトン濃度が高い傾向となる曲線である。また、食後のアセトン濃度の低下が少なく、すぐに上昇に転じることにより、食後の血糖値が上がりにくくなりインスリン分泌の急上昇が抑制されるため、血管へのダメージが軽減されることで健康の増進を可能とする曲線である。
【0040】
また、
図7には、健康目的が「維持」、すなわち体型を維持したい人の理想曲線の一例を示した。健康目的が「維持」の場合の理想曲線は、アセトン濃度が予め定めたレベルLv未満である時間帯がほとんどであるが、予め定めたレベルLv以上となる時間帯もあり、体型の維持を可能とする曲線である。
【0041】
また、
図8には、健康目的が「健康的に増量」、すなわち健康的に太るために痩せるのを防ぎたい人の理想曲線の一例を示した。健康目的が「健康的に増量」の場合の理想曲線は、アセトン濃度が予め定めたレベルLv未満である時間帯がほとんどであり、健康目的が「維持」の場合と比較してレベルLv未満の時間帯が更に多く、予め定めたレベルLv以上となる時間帯もある曲線である。また、食後のアセトン濃度の低下が少なく、すぐに上昇に転じることにより、食後の血糖値が上がりにくくなりインスリン分泌の急上昇が抑制されるため、血管へのダメージが軽減されることで健康的な増量を可能とする曲線である。
【0042】
本実施形態では、不揮発性メモリ20Dには、上記4個の健康目的に対応した理想曲線が予め記憶されているが、理想曲線は上記4個に限られるものではない。
【0043】
なお、各理想曲線は、
図9に示すように、時刻、健康目的、及びアセトン濃度の対応関係を表すテーブルデータから求めても良いし、数式で表すこともできる。
【0044】
図9に示すテーブルデータは、例えば各時刻におけるアセトン濃度を多数のユーザーに対して予め実測した結果に基づいて統計的に求められたものである。また、各時刻におけるアセトン濃度を多数のユーザーに対して予め実測した結果に基づいて回帰分析し、時刻とアセトン濃度との関係を表す回帰式として統計的に求められたものであってもよい。回帰式は健康目的毎に異なり、係数及び時刻をパラメータとした多項式(tのn次式)であってもよいし、一次式や二次式でもよく、逆数、指数計算、対数計算を含む式でもよい。また、各理想曲線は、
図10に示すように、時刻、健康目的、及びΔアセトン濃度の対応関係を表すテーブルデータから求めても良い。
図10に示す各時刻におけるΔアセトン濃度は、時刻tにおけるアセトン濃度Atと予め定めた基準アセトン濃度A’との差分(アセトン濃度変化量)を表すデータである。また、時刻、健康目的、及びアセトン濃度積分値の対応関係を表すテーブルデータを用いても良い。
【0045】
ステップS104では、ステップS102で読み出した理想曲線と、不揮発性メモリ20Dに予め記憶された
図11に示すようなアドバイステーブルと、に基づいて、登録健康目的に対応した行動指針を示す行動指針画面を生成する。
【0046】
図11(A)には、健康目的が「ダイエット」の場合のアドバイステーブル30Aを示した。
図11(A)に示すように、アドバイステーブル30Aは、予め定めた時間帯(起きている時間帯)を複数の時間帯に分割し、分割した時間帯(ta〜tb、tb〜tc、・・・te〜tf)とアドバイス(A1、A2、・・・A5)との対応関係を表す情報である。ここでいうアドバイスとは、対応する時間帯にどのような行動をすべきか、すなわち行動指針を表す。
【0047】
図11(B)には、健康目的が「健康増進」の場合のアドバイステーブル30Bを示し、
図11(C)には、健康目的が「維持」の場合のアドバイステーブル30Cを示し、
図11(D)には、健康目的が「健康的に増量」の場合のアドバイステーブル30Dを示した。理想曲線は健康目的毎に異なるため、
図11(A)〜(D)に示すように、アドバイステーブル30A〜30Dの時間帯及びアドバイスも健康目的毎に異なる。なお、各時間帯は、数時間毎でもよいし、数十分毎でもよく、分割の仕方は限定されるものではない。
【0048】
このような健康目的に対応したアドバイステーブルに基づいて、例えば
図12に示すような行動指針画面14Bを生成して表示部14に表示する。行動指針画面14Bは、一例として健康目的が「ダイエット」の場合のアドバイスを現在時刻から12時間分表したものである。
【0049】
図12の例では、現在時刻の10時から11時までの時間帯のアドバイスは、「有酸素運動推奨」であり、11時〜13時までの時間帯のアドバイスは、「食事」であり、13時〜17時までの時間帯のアドバイスは、「意識的に動きましょう」であり、17時〜19時までの時間帯のアドバイスは、「ヘルシーな食事」であり、19時から22時までの時間帯のアドバイスは、「意識的に動きましょう」であるが、これに限られるものではない。
【0050】
このように、健康目的に対応した行動指針画面を生成して表示部14に表示することにより、ユーザーは、どのような行動を実行すれば所望の健康目的を達成できるかを容易に把握することができる。
【0051】
ステップS106では、アセトン濃度の測定を行う。具体的には、まず、予め定めた時間(例えば10秒)の経過後にアセトン濃度の測定を開始する旨のメッセージを表示部14に表示すると共に、タイマ22に対して予め定めた時間を計時するよう指示する。
【0052】
そして、予め定めた時間が経過したことがタイマ22から通知された場合には、吹き込み口18から呼気を吹き込むよう指示する吹き込み開始メッセージを表示部14に表示すると共に、測定部12に対してアセトン濃度の測定を開始するよう指示する。ユーザーは、吹き込み開始メッセージが表示部14に表示されると、呼気を吹き込み口18に対して吹き込む。
【0053】
測定部12は、吹き込み口18に吹き込まれた呼気のアセトン濃度を測定してコントローラ20に出力する。また、測定したアセトン濃度は、タイマ22から取得した現在時刻と共に不揮発性メモリ20Dに記憶する。
【0054】
ステップS108では、ステップS106で測定したアセトン濃度(以下、測定アセトン濃度という)を表示部14に表示させる。
図13には、測定アセトン濃度表示画面の一例を示した。
図13に示すように、測定アセトン濃度表示画面14Cには、一例として現在のアセトン濃度及び現在のアセトン濃度に対応した脂肪燃焼状況が表示される。脂肪燃焼状況は、一例として炎のマーク及び文字で表されており、炎の数が多いほど脂肪がより燃焼されていることを表している。表示する炎の数は、測定アセトン濃度が高くなるに従って多くなるように決定される。なお、炎以外のマークで脂肪燃焼状況を表示してもよい。
【0055】
ステップS110では、測定アセトン濃度(以下、測定アセトン濃度Conc1という)と、ステップS102で取得した理想曲線の現在時刻に対応したアセトン濃度(以下、理想アセトン濃度Conc2という)との差分を算出する。具体的には、現在時刻をt1とした場合、t=t1として、登録健康目的に対応した理想曲線に対応する
図9に示すようなテーブルデータ又は回帰式により理想アセトン濃度Conc2を演算する。そして、算出した理想アセトン濃度Conc2と測定アセトン濃度Conc1との差分ΔConcを次式により算出する。
【0056】
ΔConc=Conc2−Conc1 ・・・(1)
【0057】
ステップS112では、ステップS110で算出した差分ΔConcに対応した実施得点を求める。具体的には、
図14に示すような、差分ΔConcと実施得点との対応関係を表す実施得点テーブル40から求める。実施得点テーブル40は、予め不揮発性メモリ20Dに記憶されている。求めた実施得点は、現在時刻と共に不揮発性メモリ20Dに記憶する。
【0058】
なお、実施得点は、例えば差分ΔConcが0の場合に最も高い値となり、差分ΔConcの絶対値が大きくなるに従って小さい値となるように設定される。従って、実施得点が高いほど理想のアセトン濃度に近いことを示す。すなわち、実施得点は、目標達成度を表しているといえる。
【0059】
また、上記(1)式は、理想アセトン濃度Conc2と測定アセトン濃度1との差分を算出する式となっているが、比(例えばConc2/Conc1)を求めるようにしてもよい。この場合、比が1に近いほど理想に近くなる。従って、実施得点は、比が1に近くなるほど高くなるように設定すればよい。
【0060】
ステップS114は、ステップS110で算出した差分ΔConc及びステップS112で求めた実施得点を表示部14に表示させる。
図15には、差分ΔConc及び実施得点を表示した実施得点表示画面の一例を示した。
図15に示すように、実施得点表示画面14Dには、差分ΔConcを「現在の理想との差」として表示すると共に、実施得点を表示している。なお、表示方法はこれに限られるものではない。
【0061】
ステップS116では、不揮発性メモリ20Dに、同じ日内における過去に算出した実施得点が記憶されているか否かを判断し、記憶されていればステップS118へ移行し、記憶されていなければステップS126へ移行する。
【0062】
ステップS118では、その日のアセトン濃度の総合得点を算出する。具体的には、同じ日に算出した実施得点Pがn個(正数)あり、これらをP1〜Pnとした場合に、次式により総合得点Pallを算出する。
【0063】
Pall=(P1+P2+・・・Pn)/n ・・・(2)
【0064】
すなわち、総合得点Pallは、同じ日内に測定したアセトン濃度の実施得点の平均値であり、この値が大きいほど理想との差が小さく、登録健康目的の達成度が高いことになる。なお、総合得点Pallの計算方法はこれに限られない。例えば、上記(2)式は和と商を用いた式であるが、差と積を用いた式でもよく、総合得点が高いほど登録健康目的の達成度が高いことを表す式であればよい。
【0065】
ステップS120では、
図16に示すように、ステップS118で算出した総合得点と、ステップS102で読み出した理想曲線と、不揮発性メモリ20Dに記憶された、同じ日に実測したアセトン濃度の推移を表す実測曲線と、を表示する濃度推移画面14Eを表示部14に表示する。
【0066】
ステップS122では、実測曲線と理想曲線との差に基づいて、実測曲線の理想曲線からのずれを評価する。アセトン濃度は、体内に糖質エネルギーが余っている場合には脂肪が燃焼されないため低くなり、体内に糖質エネルギーが足りなくなった場合には脂肪が燃焼されるため高くなる。このため、通常は、食事をして体内に糖質エネルギーが余っているとアセトン濃度は下降し始め、その後体内に糖質エネルギーが足りなくなるとアセトン濃度は上昇する。従って、食事は1日に3回摂るのが一般的であるため、アセトン濃度の理想曲線は、頂部及び底部を3回ずつ有すると考えられる。ここで、頂部とは、アセトン濃度が徐々に上昇した状態から下降に転じるアセトン濃度をいう。逆にアセトン濃度が徐々に下降した状態から上昇に転じるアセトン濃度を底部と称する。
【0067】
実測曲線の理想曲線からのずれを評価する方法としては、様々な評価方法が考えられる。まず、第1の評価方法について説明する。
【0068】
第1の評価方法では、例えば
図17に示すように、実測曲線50Aの頂部52Aと底部54Aとの濃度差(Δ濃度)と、頂部52Aから底部54Aまでの時刻差(Δt)と、に基づいて、次式によりアセトン濃度積分値Dを算出する。
【0069】
D=(Δ濃度×Δt)/2 ・・・(3)
【0070】
すなわち、上記(4)式は、
図17にハッチングで示された領域56Aの面積を算出する式である。なお、上記(3)式はアセトン濃度積分値Dを簡単に求めることができる式であるが、頂部52Aの時刻をt1、底部54Aの時刻をt2とし、Conc=f(t)として、頂部52Aから底部54Aまでのアセトン濃度積分値Dを次式により算出するようにしてもよい。これにより、より正確にアセトン濃度積分値Dを算出することができる。
【数1】
・・・(4)
【0071】
また、理想曲線50Bについても同様に、実測曲線50Aの頂部52Aに対応する頂部52Bと、実測曲線の底部54Aに対応する底部54Bとの濃度差(Δ濃度)と、頂部52Bから底部54Bまでの時刻差(Δt)と、に基づいて、上記(3)式又は(4)式によりアセトン濃度積分値Dを算出する。すなわち、
図17にハッチングで示された領域56Bの面積を算出する。なお、以下では、実測曲線50Aの領域56Aについて算出したアセトン濃度積分値をDA、理想曲線50Bの領域56Bについて算出したアセトン濃度積分値をDBとする。
【0072】
ここで、アセトン濃度積分値は脂肪の燃焼量に相当すると考えられる。また、領域56A、56Bは、頂部から底部へとアセトン濃度が下降する領域、すなわち頂部と底部を結ぶ線の傾きが負であり、食事をして体内に糖質エネルギーが余っている領域である。従って、理想曲線50Bの領域56Bのアセトン濃度積分値DBよりも実測曲線50Aの領域56Aのアセトン濃度積分値DAが小さい場合は、脂肪の燃焼量が少なく、食事を摂ったものと判断することが出来る。
【0073】
このため、第1の評価方法では、頂部と底部を結ぶ線の傾きが負であり、理想曲線50Bの領域56Bのアセトン濃度積分値DBよりも実測曲線50Aの領域56Aのアセトン濃度積分値DAが小さく、その差分が予め定めた閾値以上の場合は、食事を摂りすぎであるか、運動が不足しているか、或いはその両方であるものと評価する。なお、閾値は、この値以上であれば食事を摂りすぎであると判断できる値に設定され、多くの被験者に対する実験結果等から定められる。
【0074】
次に、第2の評価方法について説明する。第2の評価方法では、例えば
図18に示すように、実測曲線50Aの底部54Aと頂部58Aとの濃度差(Δ濃度)と、底部54Aから頂部58Aまでの時刻差(Δt)と、に基づいて、上記(3)式又は(4)式によりアセトン濃度積分値DAを算出する。すなわち、
図18にハッチングで示された領域60Aの面積を算出する。
【0075】
また、理想曲線50Bについても同様に、実測曲線50Aの底部54Aに対応する底部54Bと、実測曲線の頂部58Aに対応する頂部58Bとの濃度差(Δ濃度)と、底部54Bから頂部58Bまでの時刻差(Δt)と、に基づいて、上記(3)式又は(4)式によりアセトン濃度積分値DBを算出する。すなわち、
図18にハッチングで示された領域60Bの面積を算出する。
【0076】
ここで、前述したように、アセトン濃度積分値は脂肪の燃焼量に相当すると考えられる。また、領域60A、60Bは、底部から頂部へとアセトン濃度が上昇する領域、すなわち底部と頂部を結ぶ線の傾きが正であり、脂肪燃焼に転じる領域である。従って、理想曲線50Bの領域60Bのアセトン濃度積分値DBよりも実測曲線50Aの領域60Aのアセトン濃度積分値DAが大きい場合は、脂肪の燃焼量が多く、運動をしているか、食事をしていないか、或いはその両方であるものと判断することが出来る。
【0077】
このため、第2の評価方法では、底部と頂部を結ぶ線の傾きが正であり、理想曲線50Bの領域60Bのアセトン濃度積分値DBよりも実測曲線50Aの領域60Aのアセトン濃度積分値DAが大きく、その差分が予め定めた閾値以上の場合は、運動をしていたか、食事をしていないか、或いはその両方であるものと評価する。なお、閾値は、この値以上であれば運動をしていたか、食事をしていないか、或いはその両方であるものと判断できる値に設定され、多くの被験者に対する実験結果等から定められる。
【0078】
なお、第1の評価方法及び第2の評価方法では、頂部と底部の2点のアセトン濃度に基づいて理想曲線からのずれを評価する場合について説明したが、必ずしも頂部及び底部を含む必要はなく、任意の2点のアセトン濃度に基づいて理想曲線からのずれを評価してもよい。また、2点に限らず、任意の3点以上のアセトン濃度に基づいて理想曲線からのずれを評価してもよい。
【0079】
次に第3の評価方法について説明する。第3の評価方法としては、例えば、実測曲線50A及び理想曲線50Bの各々について食事の時刻を求め、食事の時刻のずれを評価する。前述したように、体内に糖質エネルギーが足りなくなるとアセトン濃度は上昇し、食事をして体内に糖質エネルギーが余っているとアセトン濃度は下降し始める。従って、食事の時刻は、アセトン濃度の曲線が下降し始めるポイントより少し前の時刻と考えられる。そこで、実測曲線50A及び理想曲線50Bの各々について、曲線が上昇から下降に転じる少し前の時刻を食事の時刻とし、両者の時刻の差分を食事(朝食、昼食、夕食)毎に求める。そして、差分が予め定めた閾値以上の場合には、食事の時刻がずれているものとして評価する。例えば、
図19に示すように、実測曲線50Aにおける夕食の時刻がta、理想曲線50Bにおける夕食の時刻がtbの場合、(tb−ta)が閾値以上の場合には、食事の時刻がずれているものとして評価する。なお、閾値は、この値以上であれば食事の時刻がずれていると判断できる値に設定され、多くの被験者に対する実験結果等から定められる。また、1日に朝食、昼食、夕食の3回の食事を適切に摂った場合には、実測曲線50Aに頂部が3カ所現れるはずであるが、頂部が3カ所未満であった場合には、食事を抜いたものと評価するようにしてもよいし、3カ所を越えていた場合には、間食をしたものと評価するようにしてもよい。
【0080】
以上のように、第1〜第3の評価方法の少なくとも一つの評価方法に基づいて理想曲線からのずれを評価し、評価結果を現在時刻と共に不揮発性メモリ20Dに記憶する。
【0081】
なお、本実施形態では、第1〜第3の評価方法について説明したが、評価方法はこれらに限られるものではない。
【0082】
ステップS124では、ステップS122での評価結果に基づいて、アドバイス情報を表示部14に表示する。具体的には、
図20に示すようなアドバイステーブル70を不揮発性メモリ20Dに記憶しておき、このアドバイステーブル70から求めたメッセージをアドバイス情報として表示部14に表示する。
図20に示すように、アドバイステーブル70は、健康目的、評価結果、及びメッセージの対応関係を示す情報である。例えば、健康目的が「ダイエット」で、前述した第1の評価方法による評価結果が「食事の摂りすぎ」であった場合には、メッセージとしては、例えば「糖質をとりすぎましたね。」や「運動しましょう」等の脂肪の燃焼を促す行為を勧めるメッセージが対応付けられる。このように、理想曲線からのずれに基づく評価結果に応じたメッセージが表示部14に表示されることにより、ユーザーは、健康目的を達成するためにとるべき行動を容易に把握することができる。
【0083】
一方、ステップS116において、不揮発性メモリ20Dに、同じ日内における過去に算出した実施得点が記憶されていないと判断された場合には、ステップS126に移行する。
【0084】
ステップS126では、現在のアセトン濃度を、理想曲線と共に表示部14に表示する。
図21にはアセトン濃度表示画面の一例を示した。
図21に示すように、アセトン濃度表示画面14Fには、現在のアセトン濃度(実測)が理想曲線と共に表示されている。これにより、現在のアセトン濃度が理想からどの程度ずれているのかを容易に把握することができる。
【0085】
ステップS128では、ステップS106で測定した測定アセトン濃度と、測定アセトン濃度を測定した時刻における理想曲線の理想アセトン濃度との差分に基づいて、アドバイス情報を表示部14に表示する。例えば、
図22に示すように、測定アセトン濃度と理想アセトン濃度との差分ΔConcとメッセージとの対応関係を表すアドバイステーブル72を予め不揮発性メモリ20Dに記憶しておき、測定アセトン濃度と理想アセトン濃度との差分に対応するメッセージをアドバイステーブル72から求め、表示部14に表示する。これにより、ユーザーは健康目的を達成するためにどのような行動をとればよいのかを容易に把握することができる。
【0086】
このように、本実施形態では、健康目的毎に理想曲線を不揮発性メモリ20Dに記憶しておき、測定したアセトン濃度の理想曲線からのずれを評価して健康目的毎のアドバイスをユーザーに提示する。このため、ユーザーは健康目的に応じて適切な行動をとることが可能となり、例えば3食絶食してダイエットするなどの無理なダイエットを防止することができ、ユーザーの健康目的の達成を適切に支援することができる。
【0087】
なお、本実施形態では、健康支援装置10が携帯型の専用装置の場合について説明したが、例えば
図23に示すように、パーソナルコンピュータ80に、測定部12を含む測定機器82を有線又は無線により接続する構成としてもよい。この場合、パーソナルコンピュータ80は、測定機器82により測定されたアセトン濃度を取得して
図3に示す処理を実行することにより、健康支援装置として機能する。
【0088】
また、測定機器82を接続する機器は、パーソナルコンピュータに限らず、携帯電話、スマートフォン、及びタブレット端末等の携帯端末でもよい。また、これらの携帯端末に測定部12を内蔵した構成としてもよい。また、これらの携帯端末又は測定機器82をサーバにネットワーク接続する構成としてもよい。この場合、サーバが健康支援装置として機能する。すなわち、携帯端末又は測定機器82は、測定したアセトン濃度をサーバに送信し、サーバは、携帯端末又は測定機器82から受信したアセトン濃度に基づいて
図3に示す処理を実行し、結果を携帯端末又は測定機器82に送信する。これにより、測定機器82は、少なくともアセトン濃度を測定してサーバに送信する機能及びサーバから結果を受信して表示する機能を備えればよく、安価な構成とすることができる。
【0089】
また、本実施形態では、測定部12が、呼気中のアセトンを検出するアセトン検出センサを備えた構成の場合について説明したが、これに限らず、ユーザーの皮膚、尿、唾液、及び汗等から排出されたケトン体を検出するケトン体検出センサを備えた構成としてもよい。
【0090】
また、本実施形態では、健康目的毎の理想曲線を予め不揮発性メモリ20Dに記憶しておく場合について説明したが、例えばメモリーカード等から読み込むことにより理想曲線を取得して登録できるようにしてもよいし、有線又は無線によるネットワーク経由でサーバから理想曲線を取得して登録できるようにしてもよい。また、サーバから補正された理想曲線を取得して登録できるようにしてもよく、ユーザーが理想曲線を補正できるようにしてもよい。
【0091】
また、本実施形態では、「ダイエット」、「健康増進」、「維持」、「健康的に増量」の4個の健康目的に応じた理想曲線が予め不揮発性メモリ20Dに記憶された場合について説明したが、体重の目標変化量(体重をどの程度減少させたいか又は増加させたいか)、体脂肪の目標変化量(体脂肪をどの程度減少させたいか又は増加させたいか)等、体重や体脂肪の増減目標毎に理想曲線を設けてもよい。
【0092】
また、ライフスタイル毎に理想曲線を設けるようにしてもよい。例えば、朝食、昼食、及び夕食を摂る時間、就寝時間、起床時間、運動が可能な時間等が各々異なるライフスタイル毎に理想曲線を設ける。そして、ユーザーにライフスタイルを入力させ、入力されたユーザーのライフスタイルに対応する理想曲線とのずれを評価するようにしてもよい。
【0093】
また、本実施形態では、目標曲線が理想曲線である場合について説明したが、例えばユーザーが設定した目標曲線を登録できるようにしてもよい。
【0094】
また、本実施形態では、測定したアセトン濃度の実測曲線と登録健康目的に対応した理想曲線とのずれを評価する場合について説明したが、実測曲線が不揮発性メモリ20Dのどの理想曲線に近いかを判定し、判定結果を表示部14に表示するようにしてもよい。
【0095】
また、ユーザー情報を入力させ、ユーザー毎に、登録健康目的、アセトン濃度の測定結果、及び評価結果を含む測定情報を不揮発性メモリ20Dに記憶させるようにしてもよい。