(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6240892
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】モータ駆動装置
(51)【国際特許分類】
H02P 29/00 20160101AFI20171127BHJP
【FI】
H02P29/00
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-125354(P2013-125354)
(22)【出願日】2013年6月14日
(65)【公開番号】特開2015-2596(P2015-2596A)
(43)【公開日】2015年1月5日
【審査請求日】2016年5月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100170494
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩夫
(72)【発明者】
【氏名】高嶋 真也
(72)【発明者】
【氏名】今田 裕介
(72)【発明者】
【氏名】池内 慶成
【審査官】
田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−246256(JP,A)
【文献】
特開2005−348521(JP,A)
【文献】
特開2003−205075(JP,A)
【文献】
特開2009−230443(JP,A)
【文献】
特開2008−220116(JP,A)
【文献】
特開2008−148504(JP,A)
【文献】
特表2004−513357(JP,A)
【文献】
特開2007−071865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 4/00,25/08−25/098,
29/00−31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ位置を検出するモータ位置検出器を有するモータと接続され、前記モータ位置を取り込むモータ駆動装置であって、
第1外部入力信号と、前記第1外部入力信号の論理値に対して論理値を反転され前記第1外部入力信号に対して遅延した第2外部入力信号とを入力される内部カウンタを備え、
前記内部カウンタは、
前記第1外部入力信号の論理値が変化したときに第1内部カウンタ値を生成し、
前記第2外部入力信号の論理値が変化したときに第2内部カウンタ値を生成し、
前記第1外部入力信号と前記第2外部入力信号とを入力され、前記第2内部カウンタ値と前記内部カウンタ値との差を相対遅延補正量として演算する入力信号間遅延演算手段と、前記第1外部入力信号と前記第2外部入力信号とを入力され、前記第1外部入力信号または前記第2外部入力信号を入力されたタイミングでの前記モータ位置を演算する検出位置演算手段と、
をさらに備え、
前記入力信号間遅延演算手段は、
前記第1外部入力信号の論理値と前記第2外部入力信号の論理値とが異なる時間である第1の相対遅延時間と、
前記第1外部入力信号の論理値と前記第2外部入力信号の論理値とが同じ時間である第2の相対遅延時間と、
を演算し、
前記検出位置演算手段は、
前記内部カウンタが前記第2内部カウンタ値を生成したときに、前記第1の相対遅延時間から前記第2の相対遅延時間を差し引いて前記モータ位置を演算する、
モータ駆動装置。
【請求項2】
前記入力信号間遅延演算手段は、
前記相対遅延補正量を保存するパラメータ記憶手段を有する、
請求項1記載のモータ駆動装置。
【請求項3】
前記第1内部カウンタ値と前記第2内部カウンタ値とを記憶するカウンタ記憶手段をさら
に備え、
前記入力信号間遅延演算手段は、
前記カウンタ記憶手段に記憶された前記第1内部カウンタ値と前記第2内部カウンタ値とを取り込む、
請求項1記載のモータ駆動装置。
【請求項4】
前記モータ位置検出器から前記モータ位置を前記モータのモータ制御周期毎に取り込むモータ位置取り込み手段をさらに備える請求項1記載のモータ駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリアル通信にてモータ位置をモータ位置検出器から取り込み、外部入力信号の入力タイミングでのモータ位置を検出する機能を有するモータ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一定のサンプリング周期にて発生するモータ位置ラッチ信号のタイミングにてモータ位置検出器からモータ位置をシリアル通信を通じて取り込み、あるポイントを通過し外部入力信号がオンしたタイミングのモータ位置を記憶するモータ駆動装置は、記憶したモータ位置の検出精度を高めるため、モータ位置ラッチ信号と外部入力信号の各エッジのタイミングで内部カウンタの値をそれぞれ記憶し、モータ位置取り込みのサンプリング周期間に外部入力信号がオンした場合においても、記憶した内部カウンタの値を利用し外部入力信号がオンしたタイミングのモータ位置を推定していた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
さらに、2つの外部入力信号の伝達遅延時間差が大きくかつモータが高速動作する場合においても相対位置を精度よく推定するため、外部入力信号が入力されたタイミングを内部のカウンタで記憶し、他の信号が入力されたタイミングのカウンタ値と比較し、そのカウンタ値の差を用いて推定を行っていた(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−220116号公報
【特許文献2】特開2010−246256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、外部入力信号を受ける回路構成にコンデンサを使用しているためにコンデンサの充放電時の動作の違いにより、信号の立ち上がりと立ち下さがり時に伝達遅延時間差が現れるが、信号の変化に合わせた補正ができなかった。
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、2つの外部入力信号に同一論理の信号と反転論理の信号を入力することにより、信号の立ち上がりと立ち下がりの伝達遅延時間を推定することができるモータ駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために請求項1に記載のモータ駆動装置は、一定周期にてモータ位置ラッチ信号を発生するモータ制御手段と、モータ位置ラッチ信号の入力タイミングにてシリアル通信手段を通じてモータ位置検出器内の位置カウンタ値を取り込み記憶するモータ位置取り込み手段と、入力信号を2つの信号に分岐し、その1つの論理を反転して出力することが可能な信号分岐手段と、前記モータ位置ラッチ信号と前記信号分岐手段の2つの出力信号の各信号の変化タイミングで内部カウンタの値をそれぞれ記憶するカウンタ記憶手段と、モータ位置ラッチから外部入力信号がオンするまでのモータ位置変化量を推定し外部入力信号の入力タイミングのモータ位置を演算する検出位置演算手段と、第1外部入力信号と第2外部入力信号を同時に変化したときの第1外部入力信号の伝達により取り込んだ第1内部カウンタ値と第2外部入力信号の伝達により取り込んだ第2内部カウンタ値との差を演算し相対遅延補正量として記憶する入力信号間遅延演算手段を備え、前記検出位置演算手段は同一論理の信号が入力された場合と、異なる論理の信号が入力された場
合に、入力信号間遅延演算手段にて演算されたそれぞれの相対遅延補正量分を第2内部カウンタ値から差し引いた値にて第2外部入力信号の入力タイミングのモータ位置を演算する。
【0008】
また、請求項2に記載のモータ駆動装置は、同じ論理の信号を2つの外部入力信号に同時に入力したときの相対遅延時間を異なる論理の信号を2つの外部入力信号に同時に入力したときの相対遅延時間から引くことにより、同一入力での立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの相対遅延時間を求めることができ、信号の立ち下がり検出時に求めた相対遅延補正量分を第2内部カウンタ値から差し引いた値にて第2外部入力信号の入力タイミングのモータ位置を演算する。
【0009】
また、請求項3に記載のモータ駆動装置は、相対遅延時間を測定するモードと測定された相対遅延時間を用いて演算(補正)するモードを設け、測定モード時に相対遅延時間を測定した後、測定された相対遅延時間を用いて演算するモードに戻すことで、外部信号の変化を検出した応じた補正を行うことでモータ駆動装置のみで相対遅延時間の測定と反映を行い、上位装置での補正処理を省略する。
さらに、請求項4に記載のモータ駆動装置は、前記入力信号間遅延演算手段で演算した相対遅延補正量を保存する不揮発性の記憶手段であるパラメータ記憶手段を設け、モータ駆動装置の電源再投入後に前記検出位置演算手段はパラメータ記憶手段から相対遅延補正量を読み出すことで相対遅延補正量の再演算を省略する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載のモータ駆動装置によれば、信号の立ち上がりと立ち下さがり時の伝達遅延時間差が大きくかつモータが高速動作する場合においても、信号変化の特性差を精度よく推定することができる。
請求項2に記載のモータ駆動装置によれば、同じ論理の信号を2つの外部入力信号に同時に入力したときの相対遅延時間を異なる論理の信号を2つの外部入力信号に同時に入力したときの相対遅延時間から引くことにより、同一入力での立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの相対遅延時間を求めることで、同一入力での立ち上がり時と立ち下がり時のモータ位置検出精度差を小さくすることができる。
【0011】
請求項3に記載のモータ駆動装置によれば、相対遅延時間を測定するモードと測定された相対遅延時間を用いて演算(補正)するモードを設けることにより、測定モード時に相対遅延時間を測定した後、測定された相対遅延時間を用いて演算するモードに戻すことで、外部信号の変化を検出した応じた補正を行うことでモータ駆動装置のみで相対遅延時間の測定と反映を行うことができ、上位装置の補正処理が不要となる。
【0012】
請求項4に記載のモータ駆動装置によれば、演算した相対位置遅延補正量を不揮発性の記憶手段に保存することにより、モータ駆動装置の電源再投入後の相対位置遅延補正量の再演算が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態1におけるモータ駆動装置の要部の説明図
【
図2】本発明の実施の形態1における論理違い時の入力信号間遅延演算手段の説明図
【
図3】本発明の実施の形態1における論理違い時の検出位置演算手段の説明図
【
図4】本発明の実施の形態1における論理同一時の入力信号間遅延演算手段の説明図
【
図5】本発明の実施の形態1における論理同一時の検出位置演算手段の説明図
【
図6】本発明の実施の形態4におけるモータ駆動装置の要部の構成図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
(実施の形態1)
実施の形態1は本発明の基本構成であり、2つのポイントのモータ位置を検出し、これらの相対位置を精度よく算出する使用例について各図を併用して説明する。
【0016】
図1は要部の説明図であり、モータ位置検出器21付きのモータ20をモータ駆動装置10に接続し、モータ駆動装置10はモータ位置検出器21で検出したモータ位置カウンタの値を一定周期(モータ制御周期)にてシリアル通信手段19を通じてモータ位置取り込み手段14に取り込み、その値をモータ制御手段15に入力し、モータ制御処理用位置カウンタを更新することでモータ位置フィードバック制御を行う。
【0017】
ここで、モータ位置取り込み手段14はモータ制御手段15より一定周期(モータ制御周期)で発生するモータ位置ラッチ信号18がオンとなる(ここではオン時にLow、オフ時にHighとする)タイミングにてモータ位置カウンタの値を取り込むこととする。
【0018】
第1のポイント通過時にオンとなる(ここではオン時にLow、オフ時にHighとする)第1外部入力信号24と第2のポイント通過時にオフとなる第2外部入力信号25を内部カウンタ11と検出位置演算手段13と入力信号間遅延演算手段16に入力し、さらにモータ位置ラッチ信号18をモータ制御手段15より内部カウンタ11にも入力する。
【0019】
ここで、内部カウンタ11は、16bit幅のフリーランカウンタ(0000hからFFFFhまでカウントアップし、FFFFhを超えると0に戻り再びカウントアップしていく)とする。内部カウンタ11は、入力信号がオンとなるタイミング(HighからLowに変化する立ち下がりエッジ)、または入力信号がオフとなるタイミング(LowからHighに変化する立ち上がりエッジ)にて内部カウンタの値をカウンタ記憶手段12にコピーして記憶する(ラッチする)。
【0020】
カウンタ記憶手段12にラッチする記憶領域はCH0ラッチレジスタ、CH1ラッチレジスタ、CH2ラッチレジスタと3つの入力信号用それぞれに区別されている。ここではモータ位置ラッチ信号18でCH0ラッチレジスタに、第1外部入力信号24でCH1ラッチレジスタに、第2外部入力信号25でCH2ラッチレジスタに記憶することとする。
【0021】
次に、
図2を使用して入力信号間遅延演算手段16の内部処理について説明する。2つの入力信号間の信号変化方向の違いによる伝達遅延時間差を測定するために、一つのセンサ出力信号を第1外部入力信号に接続し、センサ出力信号を論理反転回路に接続し、その論理反転回路の出力を第2外部入力信号に接続しモータ駆動装置10に伝達するように接続する。それぞれの伝達経路を通じて信号が内部カウンタ11に到達し、第1外部入力信号24側はカウンタ記憶手段12のCH1ラッチレジスタに内部カウンタ値Cap1を記憶し、第2外部入力信号25側はCH2ラッチレジスタに内部カウンタ値Cap2を記憶する。入力信号間遅延演算手段16は内部カウンタ値Cap2とCap1との差を相対遅延補正量として演算する。
【0022】
相対遅延補正量=Cap2−Cap1 (1)
なお、
図2に示す遅延1はケーブル遅延などモータ駆動装置外の伝達遅延時間、遅延2はモータ駆動装置内のフォトカプラ、抵抗、コンデンサなどの伝達遅延時間、遅延3はモータ駆動装置内のICの複数回読み等による伝達遅延時間などを想定している。
【0023】
次に、
図3を使用して検出位置演算手段13の内部処理について説明する。検出位置演算処理は一定周期(モータ制御周期)で行うこととする。まず、検出位置演算手段13は
モータ位置取り込み手段14で取り込んだ最新のモータ位置を取り込み、変数Pos(k)に記憶する。図中のPos(k)は最新の値、Pos(k−1)は1周期前の値、Pos(k−2)は2周期前の値といったように、過去のモータ位置を数回分記憶している。また、カウンタ記憶手段12からモータ位置ラッチ信号18により取り込んだCH0ラッチレジスタの最新の値を取り込み、変数Cap0(k)に記憶する。図中のCap0(k)は最新の値、Cap0(k−1)は1周期前の値、Cap0(k−2)は2周期前の値といったように過去のCH0ラッチレジスタを数回分記憶している。
【0024】
図3における第1のポイント通過(第1外部入力信号24がオンとなるエッジ)タイミングのモータ位置Pos1は以下の計算式で求まる。
【0025】
Pos1=Pos(k−4)+推定変化量1 (2)
推定変化量1=(Pos(k−2)−Pos(k−4))
×(Cap1−Cap0(k−4))
/(Cap0(k−2)−Cap0(k−4)) (3)
また、
図3における第2のポイント通過(第2外部入力信号25がオフとなるエッジ)タイミングのモータ位置Pos2に相対遅延補正量を加味し補正したPos2’は以下の計算式で求まる。
【0026】
Pos2’=Pos(k−2)+推定変化量2 (4)
推定変化量2=(Pos(k)−Pos(k−2))
×((Cap2−相対遅延補正量)−Cap0(k−2))
/(Cap0(k)−Cap0(k−2)) (5)
よって、第1のポイントと第2のポイントの相対位置の補正後の値Pr_defは以下の計算式で求まる。
【0027】
Pr_def=Pos2’−Pos1 (6)
検出位置演算手段13により演算した相対位置Pr_defと入力された論理信号が異なること意味するデータを、モータ制御手段15を通じてモニタ値23として出力する。上位装置はそのモニタ値23を参照して論理が異なる場合の2ポイント間の相対位置関係を知ることが可能となる。
【0028】
さらに、
図4に示すように、2つの入力信号間の伝達遅延時間差を測定するために、一つのセンサ出力信号を第1外部入力信号と第2外部入力信号の両方に接続しモータ駆動装置10に伝達するように接続する。前記
図3の説明と同様の方法で、第3のポイント通過(第1外部入力信号24がオンとなるエッジ)タイミングのモータ位置Pos3は以下の式で求まる。
【0029】
Pos3=Pos(i−4)+推定変化量3 (7)
推定変化量3=(Pos(i−2)−Pos(i−4))
×(Cap1−Cap0(i−4))
/(Cap0(i−2)−Cap0(i−4)) (8)
また、
図5における第4のポイント通過(第2外部入力信号25がオンとなるエッジ)タイミングのモータ位置Pos4に相対遅延補正量を加味し補正したPos4’は以下の計算式で求まる。
【0030】
Pos4’=Pos(i−2)+推定変化量4 (9)
推定変化量4=(Pos(i)−Pos(i−2))
×((Cap2−相対遅延補正量)−Cap0(i−2))
/(Cap0(i)−Cap0(i−2)) (10)
よって、第1のポイントと第2のポイントの相対位置の補正後の値Pr_samは以下の計算式で求まる。
【0031】
Pr_sam=Pos4’−Pos3 (11)
検出位置演算手段13により演算した相対位置Pr_samと入力された論理信号が同じであること意味するデータを、モータ制御手段15を通じてモニタ値23として出力する。上位装置はそのモニタ値23を参照して論理が同一の場合の2ポイント間の相対位置関係を知ることが可能となる。
【0032】
この構成により、シリアル通信にてモータ位置をモータ位置検出器から取り込みフィードバック制御を行うモータ制御システムにおいて、外部入力信号の論理違いによる伝達遅延が大きくかつモータが高速動作する場合においても、相対位置を精度よく推定することができる。
【0033】
(実施の形態2)
実施の形態2は本発明の応用構成であり、実施の形態1で求めた異なる論理の信号を2つの外部入力信号に同時に入力したときの相対遅延時間から同じ論理の信号を2つの外部入力信号に同時に入力したときの相対遅延時間を引くことにより、同一入力での立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの相対遅延時間を求めることができ、同一入力での立ち上がり時と立ち下がり時のモータ位置検出精度差を小さくすることができる。
【0034】
(実施の形態3)
実施の形態3は本発明の測定モードと補正モードの状態の切り替え方法を示したものであり、相対遅延時間を測定するモードと測定された相対遅延時間を用いて演算(補正)するモードを設けている。測定モード時に実施の形態1記載の相対遅延時間を測定した後、測定された相対遅延時間を用いて演算するモードに戻すことで、外部信号の変化を検出した応じた補正を行うことができる。
【0035】
このモード切り替えにより、測定タイミングと反映タイミングが明確になるため、モータ駆動装置のみで相対遅延時間の測定と反映を行うことができ、上位装置の補正処理が不要となる。
【0036】
(実施の形態4)
実施の形態4は本発明の応用構成であり、入力信号間遅延演算手段16で演算した相対遅延補正量を保存するパラメータ記憶手段17を設けている。パラメータ記憶手段17は不揮発性の記憶手段であるためモータ駆動装置の電源をリセットしても値を保持している。モータ駆動装置の電源リセット後、検出位置演算手段13はパラメータ記憶手段17から相対遅延補正量を読み出し再利用が可能で、相対遅延補正量の再演算を省略することができる。
【0037】
この構成により、相対遅延補正量の算出処理時に行う作業(入力信号の配線切り替え)などが不要となり使い勝手がよくなる。なお、パラメータ記憶手段17を他の用途で既に実装済みのモータ駆動装置10においてはハードウェアの追加が不要となり、コストアップを抑えることができる。
【0038】
なお、モータ制御手段15、検出位置演算手段13、入力信号間遅延演算手段16はマイクロコンピュータなどで処理することを想定している。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のモータ駆動装置は、信号の立ち上がりと立ち下がりで対象物の幅を測定する機
器などにも有用である。
【符号の説明】
【0040】
10 モータ駆動装置
11 内部カウンタ
12 カウンタ記憶手段
13 検出位置演算手段
14 モータ位置取り込み手段
15 モータ制御手段
16 入力信号間遅延演算手段
17 パラメータ記憶手段
26 論理反転回路