(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の発明は、下面に開口を備えた略箱状の上ケースと、上面に開口を備えた略箱状の下ケースと、前記上ケースと前記下ケースとの間に介装された制御基板と、前記制御基板の外周近傍に設置された温度検知センサと、を含み、前記上ケースの内部には、隔離エリアを形成する隔壁が周壁に連続して設けられ、前記下ケースの内部には、隔離エリアを形成する隔壁が周壁に連続して設けられ、前記下ケースの前記隔離エリアに対応する前記周壁には、前記下ケースの内方と外方を連通する通気孔を備え、前記上ケースと、前記制御基板と、前記下ケースと、を積層して組み合わせた状態において、前記上ケースの前記隔離エリアと前記下ケースの前記隔離エリアとはケース内の他の内部空間とは隔離された一体の隔離空間を形成し、前記制御基板の一部と前記温度検知センサが前記隔離空間の内部に収容されていることを特徴とする、電気採暖具のコントローラである。
【0014】
これにより、温度検知センサは、外方に連通する通気孔を備えた隔離空間に収容されるため、コントローラ内部に設置された制御基板の発熱の影響を受けずに室温を正確に検知することが可能となり、検知精度と信頼性を向上することができる。また、温度検知センサは制御基板に一体に設置されているため、不用意な損傷を受けることが抑制されるとともに、低コストで製造することができる。
【0015】
第2の発明は、特に第1の発明において、前記通気孔は、前記周壁の下端近傍に設けたことを特徴とするものである。
【0016】
これにより、通気孔から水が進入することを防止することができるので、温度検知センサの誤検知と損傷を抑制することができ、信頼性をより向上することができる。
【0017】
第3の発明は、特に第1または第2の発明において、前記下ケースの内部には、前記通気孔に対向する位置に制止片が設けられ、前記通気孔の外部から前記隔離空間へは、直進して侵入することができないことを特徴とするものである。
【0018】
これにより、温度検知センサが配置された隔室空間に塵埃や水が侵入することをより確実に抑制することができるので、室温センサの損傷を抑制することができるとともに、温度検知に誤差が生じることを抑制することができる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における電気採暖具の外観を示す斜視図である。
図2は電気採暖具のコントローラの外観を示す斜視図である。
【0021】
<1>電気採暖具の構成
図1に示すように、電気採暖具100は複数のシート状の部材で構成した略長方形の本体110の角部にコントローラ200が配設されており、コントローラの右側面には電気採暖具100に電源を供給する電源コード201が接続されている。コントローラ200に接続した電源コード201で電力を供給することにより本体110を発熱させ、住宅の床面に設置して使用する採暖具である。
【0022】
電気採暖具100の本体110は、表面材111とヒータユニット(図示せず)と断熱シート(図示せず)と裏面材(図示せず)等のシート状の構成部材を積層した積層体で構成されている。
【0023】
ヒータユニットは、電気採暖具100の発熱源であり、アルミニュームを主成分とする均熱シート(図示せず)の片面にヒータ線を(図示せず)蛇行形状に配設して接着固定したものである。
【0024】
均熱シートは、ヒータ線で発熱した熱を本体110全面に均一に拡散する目的の部材であり、熱伝導率が高い金属シートであるアルミニュームを主成分とする厚さ約0.01mmのアルミシートである。
【0025】
ヒータ線は、中心のガラス繊維(図示せず)の周囲に温度を検知する温度検知線(図示せず)を螺旋状に巻回し、その外周にナイロン樹脂で絶縁層(図示せず)を形成し、絶縁層の外周に発熱線(図示せず)を螺旋状に巻回し、その外周にPVCの絶縁層(図示せず)を形成し、絶縁層の外周にポリエチレン樹脂による接着層(図示せず)を形成したものである。
【0026】
ヒータユニットは
図1に示すように加熱範囲をエリアAとエリアBの2つのエリアに分かれて配置されており、それぞれ本体110の約1/2の面積を加熱する。2つのエリアは選択可能であり、両方のエリアの加熱と、どちらか一方のエリアのみの加熱とをコントローラ200により選択的に操作することができる。
【0027】
本体110の角部に設置したコントローラ200にはヒータユニットの発熱線と温度検知線が接続されおり、コントローラ200より発熱線へ電力が供給されるとともに、コントローラで温度検知線の抵抗変化を検知することにより本体110の温度変化が検知できる構成となっている。
【0028】
<2>コントローラの構成
図2コントローラの外観を示す斜視図であり、
図3はコントローラの下ケースの上面図を示すものであり、
図4はコントローラの上ケースの下面図を示すものであり、
図5はコントローラの上ケースに制御基板を取り付けた状態の下面図を示すものであり、
図6は
図2にCCで示すコントローラの断面図を示すものであり、
図7は
図6にDで示すコントローラの室温検知部の詳細な縦断面図を示すものであり、
図8は
図7にEEで示す温度検知部の詳細な横断面図を示すものである。
【0029】
コントローラ200は樹脂材料で成型した略箱状の上ケース210と、上ケース210と対抗する略箱状の下ケース220と、上ケース210と下ケース220に介装されるように内蔵された制御基板230とを主な構成部材とし、上ケース210にはコントローラ200を操作する複数の操作つまみ、操作ボタン、表示灯が設置されている。
【0030】
図2に示すように、コントローラ200の前面と上面との角部には、横方向にスライドさせて電気採暖具100の電源の「入」、「切」を操作する電源操作つまみ241と、温度設定を行う温度設定つまみ242が設置されている。電源操作つまみ241と温度設定つまみ242を横方向のスライドさせることにより、コントローラ200の内部に内蔵された制御基板230に設置された電源スイッチ(図示せず)とスライド抵抗(図示せず)を操作する構成となっている。
【0031】
なお、本実施の形態においては
図2に示すよう、電源操作つまみ241と温度設定つまみ242を配置した側を前方とし、反対方向を後方し、前方から後方に向かって右側を右側、後方に向かって左側を左側として各構成要素の配置を説明する。
【0032】
また、コントローラ200の上面には本体110の加熱エリアを選択して切換えを行うエリア切換ボタン243と、切タイマを設定する切タイマボタン244と、本体110の温度を、設定された温度より低めに制御することにより省エネを図るひかえめボタン245と、室温の変化により設定温度を自動的に変化させる省エネ機能を設定する省エネボタン246が設置されている。
【0033】
これらのボタンは上方より押圧することにより、コントローラ200の内部に内蔵された制御基板230に設置されたプッシュ型のスイッチ(図示せず)が駆動され、切換操作がなされる構成となっている。
【0034】
エリア切換ボタン243の近傍には加熱エリアを表示する2個のエリア表示灯251と、切タイマボタン244の近傍には切タイマの設定時間を表示する2個のタイマ表示灯252と、省エネボタン246の近傍には省エネ表示灯253が設置されている。
【0035】
コントローラ200の内部に内蔵された制御基板230には、操作つまみおよび操作ボタンで操作される複数のスイッチと、LEDからなる表示灯と、制御機能を形成する複数の回路部品が設置されており、特に制御基板230の前方の端部近傍には室温を検知するサーミスタからなる温度検知センサ231が設置されている。
【0036】
なお、本実施の形態においては
図2に示すように操作つまみおよび操作ボタンを配置した上面の側を上方とし、電源操作つまみ241と温度設定つまみ242を配置した側を前方とし、反対方向を後方し、前方から後方に向かって右側を右側、後方に向かって左側を左側として各構成要素の配置を説明する。
【0037】
図3に示すように、下ケース220は上面が開口の略箱状の形状であり、略長方形の底
面221と、底面221の外周に沿って形成された周壁222が樹脂材料により一体に成型されたものである。
【0038】
下ケース220の前方左側には底面221より起立したリブで形成された略コの字状の隔壁223が設置されており、隔壁223の両端部は前方の周壁222に連接して形成されており、下ケース220の内部には周壁222と隔壁223で区画された隔離エリア224が形成されている。
【0039】
図2および
図3に示すように、周壁222の前面下方には、周壁222の外方と隔離エリア224とを連通する通気孔225が形成されている。
【0040】
図7および
図8に示すように通気孔225は、周壁222の下端近傍と底面221の前端近傍に亘って縦長形状の通気孔225が間隔を開け複数個(本実施の形態の場合は5個)設けられている。
【0041】
通気孔225の内部には、通気孔225から進入する空気や水の直進を制止する制止片226が形成されている。
【0042】
制止片226は、通気孔225の内方上部に略水平方向に配置され通気孔225の幅と略同寸法の幅の略長方形に形成されており、全ての通気孔225に対応するように通気孔225と同数設けられている。隣接する制止片226の間は通気開口227が形成されており、通気孔225と通気開口227を介して隔離エリア224は外部と連通している。
【0043】
図4に示すように、上ケース210は、下面が開口の略箱状の形状であり、略長方形の天面211と、天面211の外周に沿って形成された周壁212が樹脂材料により一体に成型されたものである。
【0044】
上ケース210の前方左側には天面211より垂下したリブで形成された略コの字状の隔壁213が設置されており、隔壁213の両端部は前方の周壁212に連接して形成されており、上ケース210の内部には周壁212と隔壁213で区画された隔離エリア214が形成されている。
【0045】
図5は上ケース210に制御基板230を設置した状態を示すものであり、制御基板230の前方左側の端部近傍が隔離エリア214の一部を覆うように配置される。
【0046】
図6に示すように、制御基板230を設置した上ケース210に下ケース220を組み合わせた状態においては、制御基板230は上ケース210と下ケース220との間に介装された状態で設置される。
【0047】
図7および
図8に示すように、上ケース210の隔壁213とした下ケース220の隔壁223は相互に重なり合った状態で設置され、上ケース210の隔離エリア214と下ケース220の隔離エリア224は連通した状態となり、一体の隔離空間260が形成されている。
【0048】
隔離空間260は上ケース210の隔壁213と下ケース220の隔壁223によりコントローラ200の他の内部空間270とは隔離された空間となっており、コントローラ200の内部で発生する熱を遮断するとともに、隔離空間260は下ケース220に形成された通気孔225と通気開口227とを介して外部と連通する構成となっている。
【0049】
隔離空間260の内部には制御基板230の外周近傍の上面に設置されたサーミスタか
らなる温度検知センサ231が配置されている。温度検知センサ231は、コントローラ200の内部の発熱に影響されずに、通気孔225と通気開口227とを介してコントローラ200の外部の温度を正確に検知できる構成となっている。
【0050】
<3>電気採暖具の動作および作用
電源コード201を電源コンセントに接続して、電源つまみ241を左方向にスライドさせることにより本体110のヒータへの通電が開始され、本体110が設定された温度まで昇温する。本体110の温度は、温度設定つまみ241をスライドさせることにより設定温度を調節することができる。
【0051】
本体110のヒータは2個に分割して配置されており、エリアAとエリアBの2つの加熱エリアが設けられている。通常は両方のエリアが同時に加熱されるようになっているが、電気採暖具100を1人で使用する場合などで、狭い範囲の暖房でよい場合は、エリア切換ボタン243を押動すると加熱エリアを切換えることができる。エリア切換ボタン243を1回押動するとエリアAのみの加熱となり、2回押動するとエリアBのみの加熱となり、3回押動すると両方のエリアの加熱に戻るようになっている。また、加熱エリアの切換にともなって2個のエリア表示灯251の表示が切換わる。
【0052】
電気採暖具100を自動的に停止させたい場合は、切タイマボタン244を操作することにより、タイマの設定ができる。切タイマボタンを1回押動操作すると2時間後に自動停止する設定となり、2回押動操作すると4時間後に自動停止する設定となり、3回押動操作すると切タイマが設定されない状態にもどる。また、切タイマの設定にともなって2個のタイマ表示灯252の表示が切換わる。
【0053】
複数の人数で使用する場合、使用する人の好みにより、加熱エリア毎に設定温度を変えることが望まれることがある。そのような場合、ひかえめボタン245を操作することにより選択されたエリアの表面温度が設定温度より3℃低くすることができる。ひかえめボタン245を1回押動操作するとエリアAの表面温度が設定温度より3℃低くなり、2回押動操作するとエリアBの表面温度が設定温度より3℃低くなり、3回押動操作すると両方のエリアの表面温度が設定温度より3℃低くなり、4回押動操作をすると両エリアの表面温度は設定温度にもどる。また、ひかえめボタン245の操作にともなって、表面温度が低くなるエリアに対応するエリア表示灯251の色が赤から緑に変化する。
【0054】
また、エアコンや温風機と併用した場合や、春先、秋口等の比較的室温と高い状態で使用する場合は、同じ設定温度でも体感温度が高くなるため、低温時と同等の体感温度を得るためには設定温度を低くすることが有効であり、省エネ効果も得ることができる。
【0055】
本実施に形態における電気採暖具は、室温の変化を検知して設定温度を自動的に調整する省エネ機能を備えており、省エネボタン246を操作することにより省エネ機能を起動させることができる。省エネボタン246を1回押動操作すると省エネ機能が起動し、省エネ表示灯253が点灯する、省エネボタン246を2回押動操作すると省エネ機能は停止し、省エネ表示灯253は消灯する。
【0056】
省エネ機能が起動されている状態では、コントローラ200は温度検知センサ231により室温を正確に検知し、室温が高い場合は温度設定つまみ242で設定された温度より2℃〜6度程度低い温度になるように調整する。これにより10%〜20%程度の省エネ効果を得ることができる。
【0057】
上記のように、本実施の形態における電気採暖具は省エネ機能を備えたことにより、他の暖房器具を併用した場合や、室温が比較的高い場合に省エネ効果を得ることができる。
【0058】
また、制御基板上に設置された温度検知センサをコントローラの内部に形成された隔離空間に配置し、隔離空間と外部が連通する通気孔を設けたことにより、温度検知センサを低コストで安定して設置できるとともに、コントローラ内部の発熱に影響されずに室温を正確に検知することができる。これにより省エネ機能を効果的に作用させることができる。
【0059】
また、通気孔をコントローラの下ケースの周壁の下端近傍に設けたことにより、通気孔から水が進入することを防止することができるので、温度検知センサの誤検知と損傷を抑制することができ、信頼性を向上することができる。
【0060】
また、通気孔の内部に制止片を設けたことにより、水の進入をより確実に防止することができるので、温度検知センサの誤検知と損傷をより一層抑制することができ、信頼性をより向上することができる。