(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の圧着処理は採用できないが前記第2の圧着処理と前記第3の圧着処理はいずれも採用可能な基板に対しては、前記圧着処理選択手段は前記第3の圧着処理を選択することを特徴とする請求項1記載の電子部品圧着システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
まず
図1及び
図2を参照して、本発明の一実施の形態における電子部品圧着システムの構成を説明する。電子部品圧着システム1は、液晶パネルやプラズマディスプレイなどの表示パネル2(以下、「基板」と称する)の少なくとも1辺の縁部に一列に並んで配置された複数の電子部品を基板2に圧着する機能を有する。電子部品圧着システム1には、電極にACF(Anisotropic Conductive Film)を介して電子部品が搭載された基板2が搬入される。以後の説明では、水平な一方向をX方向、X方向と水平面内において直交する方向をY方向、XY平面に対して垂直な方向をZ方向と定義する。
【0010】
電子部品圧着システム1は基板位置決め部3と圧着部4を含んで構成される。基板位置決め部3は、基板位置決め機構5と、基板位置決め機構5によって水平方向に移動する移動部材6を備えている。基板位置決め機構5は、X軸テーブル5Xと、X軸テーブル5Xに対してX方向に移動自在なY軸テーブル5Yを有する。Y軸テーブル5Yには移動部材6がY方向に移動自在に装着されている。
【0011】
移動部材6には、基板2を保持可能な2個の保持部7がX方向に並んで設けられている。2個の保持部7はそれぞれ専用の昇降・回転機構8に接続されている。基板位置決め機構5は保持部7に保持された基板2をX方向、Y方向に移動させる。昇降・回転機構8は保持部7に保持された基板2をZ方向に移動させ、また、水平回転(θ方向)させる。このように、基板位置決め部3は基板2を保持する保持部7を2個備えている。
【0012】
基板位置決め部3と隣接する位置にはバックアップ部9が配置されている。バックアップ部9は矩形板状の部材であり、2個の保持部7に保持された2枚の基板2の縁部の下面を同時に支持することができる(
図1を参照)。基板位置決め機構5と昇降・回転機構8を駆動して、保持部7に保持された基板2の縁部の下面をバックアップ部9によって支持することにより、基板2は電子部品が圧着される圧着作業位置に位置決めされる。
【0013】
圧着部4は、圧着ユニットベース部10に対してX軸方向にスライド自在な複数の圧着ユニット11を含んで構成される。本実施の形態における圧着ユニット11の数は6個である。圧着ユニットベース部10にはX軸方向に伸びた一対のガイド部12が設けられている。ガイド部12には、垂直姿勢で配設された矩形平板状の複数の取り付け部材13がX方向にスライド自在に装着されている。
【0014】
圧着ユニット11は加圧機構14と圧着ヘッド15から構成される。加圧機構14は取り付け部材13に取り付けられている。加圧機構14は上下に突没自在なロッド14a(
図2)を有しており、ロッド14aの下端部に圧着ヘッド15が固着している。複数の圧着ヘッド15はバックアップ部9の上方に一列に並んで配置されており、それぞれ固有の識別情報が付与されている。オペレータは、圧着ユニット11を所望の方向にスライドさせることで、圧着ヘッド15の位置を変更することができる。圧着ユニットベース部10は、圧着ヘッド15をその並び方向の位置を変更可能な状態で取り付けたベース部となっている。
【0015】
圧着ヘッド15はヒータを内蔵しており、電子部品の圧着前にヒータによって所定温度まで加熱される。圧着ヘッド15は加圧機構14の駆動によって下降し、基板2の縁部に搭載された電子部品を加熱しながら押圧する。このとき、ACFは圧着ヘッド15から生じる熱により硬化が促進される。本実施の形態における電子部品圧着システム1は、2個の保持部に保持された基板2を同時に圧着作業位置に位置決めし、圧着処理を並行して実行可能な2枚処理型装置となっている。
【0016】
圧着ユニットベース部10には目盛が施されたスケール17がX方向に延伸して設けられている。また、取り付け部材13の加圧機構14が取り付けられている表面の上部には目印13aが施されている(
図2)。目印13aはオペレータが圧着ヘッド15をスライドさせて位置決めする際の目安として利用される。
【0017】
次に
図3を参照して、電子部品圧着システム1の制御系について説明する。電子部品圧着システム1が備える制御部20は、パネル情報記憶部21、設備情報記憶部22、圧着ヘッド配置計算処理部23および圧着ヘッド位置記憶部24を含んで構成される。また制御部20は、加圧機構14、基板位置決め機構5、昇降・回転機構8、表示部25および操作・入力部26と接続されている。制御部20は、基板位置決め部3及び圧着ヘッド15を制御して、後述する圧着処理を実行する。また、圧着処理以外に、電子部品圧着システム1を機能させるための必要な処理を実行する。
【0018】
パネル情報記憶部21は、表示パネルである基板2に関する種々の情報を記憶する。この情報には、作業対象となる基板2の品種名や寸法をはじめ、基板2の1辺の縁部に搭載された電子部品の数、設計上の電子部品の個々の搭載位置を示す配列情報、搭載位置ごとに付与された固有の識別情報が含まれる。
【0019】
設備情報記憶部22は、電子部品圧着システム1を構成する各種の部材や機構に関する種々の情報を記憶する。この情報には、圧着ヘッド15の個数、識別情報、隣接する圧着ヘッド15の限界最小ピッチが含まれる。限界最小ピッチとは、隣接する圧着ヘッド15を最も接近させたとき、双方の圧着ヘッド15の対応する位置を水平方向に直線で結んだ際の長さを意味する。
【0020】
圧着ヘッド配置計算処理部23は、パネル情報記憶部21と設備情報記憶部22に記憶されている情報に基づいて、基板2の処理に適した圧着ヘッド15の配置を計算する処理を行う。具体的には、圧着ヘッド配置計算処理部23は、前述した圧着ヘッド15の数、限界最小ピッチ、電子部品の数、配列情報などから、圧着処理の種類を選択し、選択した圧着処理を実現可能な圧着ヘッド15の配置パターンの全てについて必要となる圧着回数を計算し、圧着回数の少ない配置パターンに基づいて圧着ヘッド15の圧着ユニットベース部10に対する取り付け位置を計算する。言い換えると、圧着ヘッド配置計算処理部23は、基板2の縁部における電子部品の数と配列情報に基づいて圧着処理を選択する圧着処理選択手段となっている。さらに、圧着ヘッド配置計算処理部23は、基板2の縁部における電子部品の配列情報と、圧着処理選択手段で選択した圧着処理に基づいてベース部に対する圧着ヘッド15の取り付け位置を決定する取り付け位置決定手段となっている。
【0021】
圧着ヘッド位置記憶部24は、圧着ヘッド配置計算処理部23によって決定された複数の圧着ヘッド15の取り付け位置に関する情報や、複数の圧着ヘッド15の現時点での取り付け位置に関する情報などを記憶する。
【0022】
表示部25はモニタなどの表示装置であり、操作・入力部26による入力時の案内画面や、圧着ヘッド配置計算処理部23で求めた圧着ヘッド15の取り付け位置を表示する表示手段として機能する。操作・入力部26は、例えばマウス、キーボード、タッチパネルなどであり、オペレータの操作・入力に基づいて各種の操作指示や入力操作を行う。
【0023】
次に、
図4〜
図7を参照して電子部品圧着システム1を用いて実行可能な4つの圧着処理について説明する。
図4〜
図7では、便宜上、電子部品の符号を「D」とし、複数の電子部品を区別する必要がある場合は「Dn(n=1,2・・・)」とする。また、2個の保持部7に保持される一方の基板2の符号を「A」とし、他方の基板2の符号を「B」とする。また、基板A,Bは同一種であって、電子部品の数や配置も同一であることとする。さらに、6個の圧着ヘッド15の符号を
図4(b)に示す紙面左側から順に「H1」,「H2」・・・「H6」とし、各々を区別する必要が無い場合は単に「H」と称する。
【0024】
<1>第1の圧着処理(一括圧着2枚同時処理)
第1の圧着処理とは、1回の圧着作業で基板A,Bの縁部の全ての電子部品Dを圧着する一括圧着を2個の保持部7に保持された2枚の基板A,Bに対して並行して実行する「一括圧着2枚同時処理」をいう。当該処理は以下に示す(1),(2)の関係を満たす場合に実行可能である。
(1)隣接する電子部品Dの最小ピッチの数値を「Pmin」、隣接する圧着ヘッドHの限界最小ピッチの数値を「Hmin」としたとき、次式
Pmin≧Hmin
の関係を満たす。
(2)単位基板(基板A又は基板B)あたりの1辺の縁部に搭載された電子部品Dの数を「Dn」、圧着ヘッドHの数を「Hn」としたとき、次式
D(n)≦H(n)/2
の関係を満たす。
【0025】
従って、圧着部4の複数の圧着ヘッドHを基板Aと基板Bの全ての電子部品Dに対して一対一で対応させて配置することができる。
図4(c)の例では、圧着ヘッドH2,H3,H5,H6が基板Aの電子部品D1、D2及び基板Bの電子部品D1、D2に一対一の関係で配置されている。圧着ヘッドH2,H3,H5,H6は同時に下降して、基板A,Bにそれぞれ搭載された電子部品D1,D2を一括圧着する。一括圧着2枚同時処理は、1回の圧着作業で2枚の基板の処理が完了するので2枚処理型装置においては最も生産性に優れた圧着処理である。従って、基板A,Bが上述した(1)、(2)の関係を満たす場合はこの基板A,Bに対する圧着処理に一括圧着2枚同時処理を最優先で適用する。
【0026】
<2>第2の圧着処理(分割圧着2枚同時処理)
第2の圧着処理とは、複数回の圧着作業で基板A,Bの縁部の全ての電子部品Dを圧着する分割圧着を2個の保持部に保持された2枚の基板A,Bに対して並行して実行する「分割圧着2枚同時処理」をいう。第2の圧着処理は隣接する電子部品Dの最小ピッチや1辺の縁部に搭載された電子部品Dの数の制約がなく、基板のサイズが許す範囲で全ての基板を対象とすることができる。しかしながら電子部品圧着システム1では、上述した(1)の関係を満たさないことで一括圧着2枚同時処理や後述する一括圧着2枚個別処理を適用することができない基板に対して適用する。
【0027】
図5(a)に例示する基板Aには、1辺の縁部に3個の電子部品D1,D2,D3が一列に並んで搭載されているが、電子部品D1,D2のピッチP1は圧着ヘッドHの限界最小ピッチ(Hmin)より小さいので2個の圧着ヘッドHを電子部品D1,D2ピッチに合わせて配置することができない。このため、電子部品D1と電子部品D2の圧着作業は別々に行われる。
【0028】
図5(b)、(c)の例では、圧着ヘッドH2,H3と圧着ヘッドH5,H6を基板A、Bの電子部品D2,D3のピッチP2に合わせて配置しておく。そして最初の圧着作業で基板A、Bの電子部品D2とD3を同時に圧着する。次に基板A、Bの電子部品D1を圧着ヘッドH2と圧着ヘッドH5の下方に位置決めして2回目の圧着作業を行い基板A、Bの電子部品D1を同時に圧着する。分割圧着2枚同時処理は複数回の圧着作業が必要になるが、圧着ヘッドHの配置を最適化することで圧着作業の回数を少なくして生産性への影響を最小限に抑えることができる。
【0029】
<3>第3の圧着処理(一括圧着2枚個別処理)
第3の圧着処理とは、2個の保持部7に保持された2枚の基板A,Bに対して一括圧着を順次実行する「一括圧着2枚個別処理」をいう。当該処理は、上述した(2)の関係を満たさないことで一括圧着2枚同時処理を適用することができない基板に適用する。
【0030】
図6(a)に例示する基板Aには、1辺の縁部に4個の電子部品D1,D2,D3,D4が一列に並んで搭載されており、これに一括圧着2枚同時処理を適用する場合は8個の圧着ヘッドHが必要になる。これに対し圧着部4には6個の圧着ヘッドHしか装備されていないため基板Aと基板Bの一括圧着を同時に行うことは不可能である。そこでこのような場合には基板Aに対する一括圧着と基板Bに対する一括圧着を別々の圧着作業で行う一括圧着2枚個別処理を適用する。
【0031】
図6(c)の例では、圧着ヘッドH2,H3,H4,H5が基板Aの電子部品D1,D2,D3,D4に対して一対一の関係で配置されている。1回目の圧着作業で圧着ヘッドH2,H3,H4,H5は同時に下降して基板Aに搭載された電子部品D1,D2,D3,D4を一括圧着し、2回目の圧着作業で基板Bの電子部品D1,D2,D3,D4を一括圧着する。
【0032】
<4>第4の圧着処理(分割圧着2枚個別処理)
第4の圧着処理とは、2個の保持部7に保持された2枚の基板A,Bに対して分割圧着を順次実行する「分割圧着2枚個別処理」をいう。当該処理は、第2の圧着処理と同様、上述の(1)の関係を満たさないことで一括圧着2枚同時処理や一括圧着2枚個別処理を適用することができない基板に対して適用する。第2の圧着処理と異なる点は、2枚の基板A,Bに対する圧着作業を同時ではなく別々に行う点である。基板に搭載されている電子部品Dの数が圧着部4に装備されている圧着ヘッドHの数よりも多くなると、第4の圧着処理の方が第2の圧着処理よりも圧着作業の回数が少なくて済む場合がある。よって、圧着作業の回数で第2の圧着処理よりも有利になる場合に第4の圧着処理が適用される。
【0033】
図7(b)に示す例では、圧着ヘッドH2,H4のピッチを電子部品D1,D3のピッチ(P1+P2)に合わせ、また、圧着ヘッドH3,H5のピッチを電子部品D2,D4のピッチ(P2+P3)に合わせた状態を示している。
図7(b)に示すように1回目の圧着作業は基板Aの電子部品D1,D3を対象に圧着ヘッドH2,H4で行い、同図(c)に示すように2回目の圧着作業は電子部品D2,D4を対象に圧着ヘッドH3,H5で行う。そして3回目の圧着作業は基板Bの電子部品D1,D3を対象に圧着ヘッドH2,H4で行い、4回目の圧着作業は電子部品D2,D4を対象に圧着ヘッドH3,H5で行う。
図7に示す例では合計4回の圧着作業で基板A、Bへの電子部品を圧着する。
【0034】
次に、圧着処理の優先順位について説明する。圧着処理の選択で最優先される要素は圧着作業回数である。すなわち、少ない圧着回数で2枚の基板2の処理が済む圧着処理から選択される。上述の4つの圧着処理のうち、最も圧着回数が少ないのは第1の圧着処理(一括圧着2枚同時処理)であり、最小の圧着回数1回で2枚の基板2を同時に処理できる。次に圧着回数が少ないのは第3の圧着処理(一括圧着個別処理)であり、2回の圧着作業で2枚の基板2を処理できる。その次に圧着回数で有利なのは第2の圧着処理(分割圧着2枚同時処理)であり、電子部品の配置ピッチの条件次第では最小2回の圧着回数で済む場合がある。この場合、圧着回数では第3の圧着処理と同じになり、優劣がつかない。圧着回数で最も不利になのは第4の圧着処理(分割圧着2枚個別処理)であり、2枚の基板2を処理するのに少なくとも4回以上の圧着作業が発生する。
【0035】
次に優先される要素は品質である。基本的には一括圧着の方が分割圧着よりも品質面で有利である。その理由を第2の熱圧着(分割圧着2枚同時処理)と第3の圧着処理(一括圧着2枚個別処理)とを比較して説明する。第2の圧着処理では、1回目の圧着作業時に圧着ヘッド15の熱が2回目以降の圧着作業の対象である未圧着の電子部品と電極との間に介在するACFに伝わって硬化反応を促進させてしまう。そして、2回目以降の圧着作業において熱の影響を受けたACF上の電子部品を熱圧着しても導通不良などの圧着不良を招くおそれがある。例えば、
図5(b)では、電子部品D2を押圧する際に圧着ヘッドH2から生じる熱が電子部品D1に付着するACFに伝わって硬化させるおそれがある。よって、2回目の圧着作業で電子部品D1を圧着してもACFが予定した硬化反応を起こさずに圧着不良となる可能性が高まる。
【0036】
その一方で、第3の圧着処理では、1辺の縁部に搭載された全ての電子部品を一括して同時に圧着するため前述のような問題が生じない。したがって、第1の圧着処理は採用できないが第2の圧着処理と第3の圧着処理はいずれも採用可能で圧着回数で優劣がつかない基板2に対しては、圧着処理選択手段は第3の圧着処理を選択する。これにより、品質の低下を防止することができる。
【0037】
本実施の形態における電子部品圧着システム1は以上のように構成され、次に
図8を参照して圧着ヘッド配置計算処理のフローについて説明する。まず、制御部20はパネル情報記憶部21と設備情報記憶部22から各種情報を読み取る(ST1:パネル情報・設備情報読取り工程)。制御部20は(ST1)で少なくとも基板2の1辺の縁部に搭載された電子部品の数と配列情報を読み取る。次いで、制御部20は読み取った配列情報より隣接する電子部品の最小ピッチ(Pmin)を求め、この数値が圧着ヘッド15の限界最小ピッチ(Hmin)の数値以上であるかを判定する(ST2:ピッチ判定工程)。すなわち、制御部20は電子部品の最小ピッチ(Pmin)に着目して一括圧着の可能性、言い換えれば一括圧着を行い得る圧着ヘッド15の配置が可能であるかを判断する。
【0038】
(ST2)で「Yes」である場合、制御部20は単位基板あたりの1辺の縁部に搭載された電子部品の数(Dn)が、圧着ヘッド15の数(Hn)から2を除算した数よりも大きいかを判定する(D(n)>H(n)/2)(ST3:電子部品搭載数判定工程)。すなわち、制御部20は圧着ヘッド15の数が一括圧着2枚同時処理に必要な個数揃っているかを1辺の縁部に搭載された電子部品の数に基づいて判断する。(ST3)で「No」の場合、制御部20は圧着作業回数が1回で済む第1の圧着処理(一括圧着2枚同時処理)を選択する。そして、制御部20は当該処理に対応した圧着ヘッド15の取り付け位置を計算する(ST4:第1の圧着ヘッド取付位置決定工程)。
【0039】
図4は、第1の圧着処理に対応した圧着ヘッド15の取り付け位置の一例を示している。(ST4)において制御部20は、圧着ヘッドH2,H3,H5,H6の配置位置を、基板A,Bの縁部における電子部品の配列情報、すなわち電子部品D1,D2のピッチP1に基づいて決定する。さらに、基板A,Bに対して並行して電子部品D1,D2の圧着が行えるようにするため、制御部20は電子部品D1を圧着する圧着ヘッドH2,H5が2個の保持部7の間隔Lだけ離れるようにその位置を決定する。電子部品D2を圧着する圧着ヘッドH3,H6についても同様である。
【0040】
(ST3)で「Yes」の場合、制御部20は第2の圧着処理(分割圧着2枚同時処理)、第3の圧着処理(一括圧着2枚個別処理)の何れかをオペレータに選ばせるための確認画面を表示部25に表示する(ST5:確認画面表示工程)。このとき、制御部20は表示部25を通じて品質に有利な第3の圧着処理をオペレータに勧める。
【0041】
次いで、制御部20はオペレータが第3の圧着処理を選択したかを判断する(ST6:判断工程)。ここでの判断は、例えば表示部25に表示された第3の圧着処理を選択する旨の入力スイッチをオペレータが操作したか否かに基づいて行う。(ST6)で「Yes」の場合、制御部20は第3の圧着処理を選択し、当該処理に対応した圧着ヘッド15の取り付け位置を決定する(ST7:第2の圧着ヘッド取付位置決定工程)。
図6は第3の圧着処理に対応した圧着ヘッド15の取り付け位置の一例を示している。例示する基板A(B)には、1辺の縁部に4個の電子部品D1,D2,D3,D4が一列に並んで搭載されている。(ST7)において制御部20は、圧着ヘッドH2,H3,H4,H5の配置位置を、基板A(B)の縁部における電子部品の配列情報、すなわち電子部品D1,D2のピッチP1、電子部品D2,D3のピッチP2、電子部品D3,D4のピッチP3に基づいて決定する。なお、第3の圧着処理では基板A,Bを1枚ずつ処理するので、
図6(b)に示すように、使用する圧着ヘッドH2〜H5は圧着ユニットベース部10の中央部に寄せて配置可能である。
【0042】
その一方、(ST6)で「No」の場合、制御部20は第2の圧着処理を選択し、当該処理に対応した圧着ヘッド15の取り付け位置を決定する(ST8:第3の圧着ヘッド取付位置決定工程)。
図5は第2の圧着処理に対応した圧着ヘッド15の取り付け位置の一例を示している。
図5(a)に例示する基板Aには、1辺の縁部に3個の電子部品D1,D2,D3が一列に並んで搭載されている。電子部品D1,D2のピッチP1は電子部品D2,D3のピッチP2よりも小さく、圧着ヘッドHの限界最小ピッチ(Hmin)よりも小さい。このため、制御部20は1回目の圧着作業で電子部品D2とD3を圧着し2回目で電子部品D1を圧着する分割圧着を基板A、B同時に行う分割圧着2枚同時処理に対応する圧着ヘッドHの取り付け位置を、電子部品D1,D2のピッチP1、電子部品D2,D3のピッチP2に基づいて決定する。制御部20は1回目の圧着作業の対象となる電子部品D2,D3のピッチP2に基づいて圧着ヘッドH2,H3と圧着ヘッドH5,H6の配置を決定する。この際、制御部20は、基板A,Bに対して並行して電子部品D2,D3の圧着を行えるようにするため、2個の保持部7の間隔Lを加味して圧着ヘッドH2,H5及び圧着ヘッドH3,H6のピッチを間隔Lに合わせる。なお、第3の圧着処理に比べて品質面で不利な第2の圧着処理をオペレータが選択する場合としては、一部の圧着ヘッド15が故障して第3の圧着処理を実行できないような場合が挙げられる。
【0043】
また、前述した(ST2)で「No」の場合、制御部20は分割圧着を用いた第2の圧着処理(分割圧着2枚同時処理)又は第4の圧着処理(分割圧着2枚個別処理)の何れかを選択し、選択した圧着処理に対応した圧着ヘッド15の取り付け位置を決定する(ST9:第4の圧着ヘッド取付位置決定工程)。どちらの圧着処理を選択するかは、圧着作業回数の少なさで決定する。
図7は第4の圧着処理(分割圧着2枚個別処理)に対応した圧着ヘッド15の取り付け位置の一例を示している。基板A(B)には、1辺の縁部に4個の電子部品D1,D2,D3,D4が一列に並んで搭載されており、電子部品D3,D4のピッチP3は圧着ヘッドHの限界最小ピッチ(Hmin)よりも小さい。このため、制御部20は1回目の圧着作業で電子部品D1とD3を圧着し2回目で電子部品D2とD4を圧着する分割圧着を基板A、Bの順で行う分割圧着2枚個別処理に対応する圧着ヘッドHの取り付け位置を、ピッチP1,P2,P3に基づいて決定する。制御部20は1回目の圧着作業の対象となる電子部品D1,D3のピッチ(P1+P2)に基づいて圧着ヘッドH2,H4の配置を決定し、電子部品D2,D4のピッチ(P2+P3)に基づいて圧着ヘッドH3,H5の配置を決定する。この際、制御部20は圧着ヘッドH2〜H5が互いに干渉しない位置で、且つ、バックアップ部9の中央寄りにこれ等の位置を決定する。
【0044】
前述した(ST4),(ST7),(ST8),(ST9)の何れかにおいて、圧着ヘッド15の取り付け位置が決定したならば、制御部20は圧着ヘッド15の取り付け位置に関する情報を表示部25に表示する(ST10:圧着ヘッド取付位置表示工程)。以上の工程を経て、圧着ヘッド配置計算処理は終了する。
【0045】
その後、オペレータは表示部25に表示された情報に基づいて、個々の圧着ヘッド15を所定の方向にスライドさせて位置合わせする。そして、制御部20は基板位置決め部3と圧着ヘッド15を制御して、決定した所定の圧着処理に基づいて圧着作業を実行する。
【0046】
以上説明したように、本実施の形態における電子部品圧着システム1によれば、圧着処理の選択と圧着ヘッド15の取り付け位置の決定を適切に行うことができる。また、オペレータは最適な圧着処理の選択や圧着ヘッド15の取り付け位置について熟考する必要がないため作業負担が軽減される。
【0047】
本実施の形態で説明した4つの圧着処理を実行するためには、2枚の基板2を同時に処理する際、1枚の基板2について2個以上の圧着ヘッド15を用意する必要がある。したがって、電子部品圧着システム1は少なくとも4個以上の圧着ヘッド15を備えておく必要がある。
【0048】
本発明はこれまで説明した実施の形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えば、2枚の基板2を同時に処理する際、一方の基板2に搭載された電子部品を圧着する圧着ヘッド15の下降タイミングと、他方の基板2に搭載された電子部品を圧着する圧着ヘッド15の下降タイミングを若干異ならせたいわゆる「疑似同時圧着」を用いてもよい。
【0049】
さらに、本実施の形態において制御部20は、(ST3)が「Yes」の場合(ST5)の確認画面表示工程から(ST6)の判断工程を経て第2の圧着処理(分割圧着2枚同時処理)を選択するようになっているが、(ST5),(ST6),(ST8)を削除し、(ST3)が「Yes」であれば(ST7)の処理、すなわち第3の圧着処理(一括圧着2枚個別処理)を選択するようにしても良い。すなわち(ST3)が「Yes」の場合は分割圧着2枚同時処理よりも品質面で有利な一括圧着2枚個別処理を選択するようにしても良い。
【0050】
なお本実施の形態では、制御部20(ST2)から(ST3)の処理が、基板の縁部における電子部品の数と配列情報に基づいて圧着処理を選択する圧着処理選択手段に対応し、(ST4),(ST7),(ST8),(ST9)が基板の縁部における電子部品の配列情報と圧着処理選択手段で選択した圧着処理に基づいてベース部に対する圧着ヘッドの取り付け位置を決定する取り付け位置決定手段に対応する。