(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1出湯温度から前記第2出湯温度への前記変化量は、前記第1出湯温度の最高出湯温度と前記第1出湯温度の最低出湯温度との間で、同一外気温度における前記第1出湯温度の大きさに比例する、
請求項1〜5のいずれか1項に記載のヒートポンプ制御装置。
前記制御部は、同一の前記第1設定温度および同一の前記第2設定温度に対して前記第1出湯温度が異なる温度特性が設定可能であり、前記出力抑制時間帯において、同一外気温度に対する前記第1出湯温度が高いほど前記第1出湯温度からの変化量が大きい第2出湯温度を示す第2情報を前記ヒートポンプ式暖房装置に出力する、
請求項1〜6のいずれか1項に記載のヒートポンプ制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見)
本発明者らは、「背景技術」の欄において記載した暖房システムに関し、以下の問題が生じることを見いだした。
【0009】
特許文献1開示の技術には、電力料金の高価な時間帯(以下、「出力抑制時間帯」という)に、ヒートポンプの単位時間当たりの生熱量を減少させている。そのことにより、ヒートポンプを完全に停止させる場合と比較して、消費電力の抑制量は劣るが、高い快適性の維持と消費電力の削減との両立を図る技術について開示されている。
【0010】
ここで、「出力抑制時間帯」とは、電力ピーク回避などのためにヒートポンプからの出湯温度を調整する時間を言う。上記の方式では、前記出力抑制時間帯中に室温を維持するため、住宅性能を考慮している。しかし、上記の方式では、暖房装置の特性を考慮していないため、ヒートポンプ式暖房システムによっては室温を維持することができたとしも、出湯温度を高めに設定してしまう。そのため、必要以上に電力を消費し、削減電力の抑制量が小さくなる場合もある。なお、住宅毎に異なるヒートポンプで生成された熱を放熱する暖房装置の特性を考慮していない。そのため、ヒートポンプ式暖房システムによって、室温を設定室温に維持することができなくなる場合がある。
【0011】
従って、ヒートポンプ式暖房システムは、消費電力の抑制量を向上させつつ、快適性の確保と消費電力の削減との両立をさらに図ることが望まれている。
【0012】
以上の考察により、本発明者らは、以下の発明の各態様を想到するに至った。
【0013】
本開示にかかる一態様は、
ヒートポンプから暖房装置へ熱を供給するヒートポンプ式暖房装置を制御するヒートポンプ制御装置であって、
前記暖房装置が設置された需要家の空間の外気温度を示す温度情報を入力する入力部と、
前記外気温度との関係で前記空間を第1設定温度に維持する前記ヒートポンプの出湯温度を管理するメモリを用いて、前記外気温度に応じた第1出湯温度を示す第1情報を前記ヒートポンプ式暖房装置に出力する制御部と、を具備し、
前記ヒートポンプ制御装置は、前記ヒートポンプ式暖房装置の消費電力を抑制する出力抑制時間帯における前記空間の目標温度である第2設定温度を示す設定情報を格納し、
前記制御部は、
前記出力抑制時間帯になると、前記第1設定温度から前記第2設定温度に切り替えるために、前記外気温度が同じ条件下においては前記1出湯温度が高いほど前記第1出湯温度からの変化量が大きい第2
出湯温度を示す第2情報を前記ヒートポンプ式暖房装置に出力する。
【0014】
例えば、前記ヒートポンプ制御装置は、前記ヒートポンプからの出湯温度を調整する出力抑制時間帯なると、室温を前記第1設定温度(例えば、20℃)から前記第2設定温度(例えば、18℃)に切り替える。この場合、本態様によると、例えば、前記外気温が−15℃のときに前記室温を前記第1設定温度(例えば、20℃)に維持するための前記ヒートポンプからの第1出湯温度が、例えば、55℃([1])である場合、前記室温を前記第2設定温度(例えば、18℃)に維持するための前記ヒートポンプからの第2出湯温度、例えば、45℃([1])に切り替える。一方、前記室温を前記第1設定温度(例えば、20℃)に維持するための前記ヒートポンプからの第1出湯温度が、例えば、50℃([2])である場合、前記室温を前記第2設定温度(例えば、18℃)に維持するための前記ヒートポンプからの第2出湯温度、例えば、43℃([2])に切り替える。
【0015】
このように、本態様によると、前記出力抑制時間帯になると、前記外気温度が同じである条件下で前記第1設定温度(20℃)から前記第2設定温度(18℃)に切り替えた場合、前記1出湯温度([1]例えば55℃、[2]例えば45℃)が高い程、前記第1出湯温度からの変化量が大きい第2出湯温度([1]例えば45℃、[2]例えば43℃)を示す第2出湯情報を前記ヒートポンプ式暖房装置に出力する。
【0016】
上記態様によると、前記出力抑制時間帯中は、前記室温を、例えば、20℃から、例えば、18℃に切り替えるために、前記第1出湯温度が高い程前記第1出湯温度からの変化量が大きい第2出湯温度に設定するので、前記第1出湯温度に応じて必要以上に電力を消費することを防止でき、その結果、削減電力の抑制量を向上させつつ、快適性の確保と消費電力の削減との両立をさらに図る。
【0017】
以下、本開示の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。本開示は、特許請求の範囲によって特定される。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、本開示の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。
【0018】
(実施の形態1)
(実施の形態1の概要)
まず、実施の形態1に係るヒートポンプ式暖房システムの制御方法の概要を説明する。
図1は、実施の形態1に係るヒートポンプ式暖房システムの処理の概要を示すフローチャートである。ここでヒートポンプ式暖房システム1は、
図2に示す通り、ヒートポンプ式暖房装置100とDR(Demmand Response)制御部(以後、ヒートポンプ制御装置とも言う)5とから構成されている。
【0019】
図1に示す通り、実施の形態1に係るヒートポンプ式暖房システム1は、まず、エネルギー供給業者から時間帯別の電力料金に応じた出力調整信号を受信する(S101)。出力調整信号には、ヒートポンプの消費電力を調整(抑制)すべき時間帯である出力抑制時間帯(以後、出力抑制ための時間帯とも言う)を特定する情報が含まれている。
【0020】
なお、出力調整信号を受信する方法は、例えば、下記3つの方法がある。まず、第1の方法は、エネルギー供給業者から、インターネットやスマートメーターなどを経由して、入力部としての通信部51により今後の出力抑制時間帯を予め取得して、記憶部52(メモリ)に格納する。そして、DR制御部5は取得した情報に基づいて運転する方法である。次に第2の方法は、ユーザがインターネットに掲載されている出力抑制時間帯などの情報を手動で確認して、予めDR制御部5の記憶部52(メモリ)に入力する方法である。また、第3の方法は、エネルギー供給業者から、スマートメーターなどを経由して、入力部としての通信部51により、直接出力抑制時間帯開始通知信号及び出力抑制時間帯終了通知信号を受信する方法である。
【0021】
尚、本実施の態様では、記憶部52(メモリ)は、DR制御部5の内部に設けられているが、ヒートポンプ式暖房システム内であれば、DR制御部5の外部に設けられていてもよい。また、後述するが、入力部は、外気温度検出部105からの外気温度の情報を入力してもよい。また、インターネットなどを経由して出力抑制時間帯を示す情報を入力する通信部51と、外気温度検出部105からの外気温度の情報を入力する入力部とは同一構成としたが、別構成であってもよい。
【0022】
この消費電力の調整は、デマンドレスポンス(Demand Response(以下、「DR」と表記することがある))と呼ばれる。
【0023】
「出力抑制時間帯」とは、上述のように、電力ピーク回避などのためにヒートポンプからの出湯温度を調整する時間を言うが、別の言い方をすれば、エネルギー供給業者が供給する電力がピークに達する時間帯である。出力抑制時間帯は、エネルギー供給業者が任意に指定することができる時間帯である。出力抑制時間帯は、例えば、「18時から20時までの2時間」のように規定される。また、ヒートポンプ式暖房システム1は、出力調整開始時刻より前(例えば、17時30分)に出力調整信号を受信する。
【0024】
次に、ヒートポンプ式暖房システム1は、出力抑制時間帯にヒートポンプ101で加熱する温水の温度(以下、「出湯温度」)の目標値(以下、「目標出湯温度」)を設定する(S102)。ヒートポンプ式暖房システム1は、設定した目標出湯温度でヒートポンプ101を運転する(S103)。
【0025】
また、ヒートポンプ式暖房装置100は、出力抑制時間帯以外(以下、「通常時間帯」)に、室温が予め定められた第1設定室温(例えば、20℃)を含む所定範囲内(例えば、±0.25℃)に入るように熱を生成する。ヒートポンプ式暖房装置100は、第1設定室温と後述する暖房装置103の特性とを含む情報に応じて、予めヒートポンプ式暖房装置100に設定された値である暖房設定値を参照し、熱を生成する。実施の形態1では、上記の第1設定室温は、ユーザに快適とされる暖房設備の規格で指定された標準設定室温(例えば、20℃)に設定される。
【0026】
一方、ヒートポンプ式暖房システム1は、出力抑制時間帯に、所定時間(例えば、1時間)が経過すると、室温が第1設定室温と異なる予め定められた第2設定室温(例えば、18℃)を含む所定範囲内(例えば、単位時間当たりに±0.25℃)に入るように、後述するDR制御部5に、前述の暖房設定値に基づいて、ヒートポンプ式暖房装置100の運転条件を決定させ、この運転条件で、ヒートポンプ101に、熱量を生熱させる。
【0027】
以下、室温と第1設定室温との差を、室温変化度と呼ぶ。また、室温変化度の目標値となる第2設定室温と第1設定室温との差を、目標室温変化度と呼ぶ。例えば、第1設定室温が20℃で、第2設定室温が18℃で、室温が19℃の場合、目標室温変化度は、18℃−20℃=−2℃であり、室温変化度は、19℃−20℃=−1℃である。
【0028】
以上のように、本実施の形態では、DR制御部5はヒートポンプ式暖房装置100が通常時間帯に使用している暖房装置103の特性の情報を含む既存設定の暖房設定値を用いる。そのことにより、出力抑制時間帯でも、暖房装置103の特性に適した目標室温変化度を実現するためのヒートポンプ式暖房装置100の運転条件を決定することが可能になる。そして、ヒートポンプ式暖房システム1は、所定時間が経過すると、室温が第2設定室温を含む所定範囲内に入ることができる。
【0029】
(実施の形態1の構成)
図2は、実施の形態1に係るヒートポンプ式暖房装置100を含むヒートポンプ式暖房システム1の構成を示す図である。
図2に示される例では、エネルギー供給業者(電力供給元)2から住宅(建物)に対して、電力系統を通じて電力が供給されている。電力系統は、エネルギー供給業者2によって任意の時間帯に電力の供給を調整することができる電力系統である。また、電力系統は、電力メーター4によって住宅で消費された電力消費量が計測される。
【0030】
また、
図2に示される住宅内には、電力負荷3と、DR制御部5と、ヒートポンプ式暖房装置100とが設置されている。ヒートポンプ式暖房装置100は、ヒートポンプ(生熱部)101と、熱交換器102と、暖房装置(放熱部)103とを少なくとも備えている。
【0031】
ヒートポンプ式暖房装置100は、ヒートポンプ101で生成した熱を、熱交換器102を通じて暖房装置103から放熱する。これにより、ヒートポンプ式暖房装置100は、通常時間帯に、暖房装置103が設置されている部屋の室温を第1設定室温に維持する。ヒートポンプ式暖房装置100は、出力抑制時間帯に、DR制御部5から入力された指令値を用いて、室温を第2設定室温に変化させる。
【0032】
電力メーター4は、ヒートポンプ式暖房装置100の消費電力、電力負荷3の消費電力、および、DR制御部5の消費電力を計測するものである。すなわち、ヒートポンプ式暖房装置100、電力負荷3、および、DR制御部5は、電力系統を通じてエネルギー供給業者2から供給される電力を用いて動作する。
【0033】
DR制御部5は、エネルギー供給業者2と通信する。DR制御部5は、ヒートポンプ式暖房装置100に制御指令を与える。例えば、DR制御部5は、出力抑制時間帯におけるヒートポンプ101の消費電力が調整されるように、ヒートポンプ式暖房装置100の運転を制御する。
【0034】
エネルギー供給業者2は、各家庭に電力を供給する会社であり、各家庭の電力の使用を調整したい場合には、DR制御部5に出力調整信号を送信する。
【0035】
なお、出力抑制時間帯を指定する手段は、この例に限定されない。例えば、エネルギー供給会社のほかに、ユーザによって住宅エネルギー管理機器を介して指定されてもよい。DR制御部5は、例えば、電気料金が高い時間帯を示す情報などが設定されることにより、エネルギー供給業者2から出力調整信号を受信しない場合であっても、当該時間帯を出力抑制時間帯として決定することができる。
【0036】
(ヒートポンプ式暖房装置の詳細図)
図3は、実施の形態1に係るヒートポンプ式暖房装置100の構成を示すブロック図である。
図3に示されるヒートポンプ式暖房装置100は、ヒートポンプ101と、熱交換器102と、暖房装置103と、HP制御部104と、外気温度検出部105と、ヒータ106と、出湯温度検出部107と、を備える。また、ヒートポンプ101及び熱交換器102を合わせて、ヒートポンプ部と呼ぶ。
【0037】
ヒートポンプ101は、HP制御部104から入力された指令値に従って、圧縮機の周波数や、膨張弁、ファン風量などの運転条件を設定する。次に、空気を熱源にし、圧縮機で冷媒を圧縮して高温高圧の状態にする。そして、出力された高温高圧の蒸気冷媒は、熱交換器102で水(蓄熱材)との間で熱交換し、低温高圧の液体冷媒として膨張弁に流入する。すなわち、ヒートポンプ101内の冷媒は、ヒートポンプサイクルを循環する。ヒートポンプ101の冷媒は、例えば、410Aである。この冷媒の特性により、熱交換器102の水サイクル側の出口の最高温度は55℃となるので、設定暖房温度の上限値は55℃とする。但し、この最高温度は冷媒の特性に依存して変化する値であり、上記の例には限定されない。
【0038】
熱交換器(水熱交換器)102は、ヒートポンプ101から出力される高温高圧の冷媒と、水が充填されている二次側の水サイクル(すなわち、熱交換器102と暖房装置103との間で循環する水)との間で熱交換を行う。また、暖房装置103から熱交換器102に至る流路上には、
図3に示されるように、熱交換器102への水の入力量を調整する水ポンプが設置されている。
【0039】
暖房装置103は、家庭内を暖めるための装置であり、例えば、放熱パネルを介して室内に熱エネルギーを放出するラジエータや床暖房、或いは熱交換器102で暖められた温風を出力する空調機等である。なお、暖房装置103の具体例はこれらに限定されず、ヒートポンプ101で生成された熱を、放出する放熱部を有するあらゆる装置が該当する。
【0040】
外気温度検出部105は、外気温度を検出するものであり、具体的には、ヒートポンプ式暖房装置100が設置されている近傍の外気温度を検出する。
【0041】
なお、上記の外気温度検出部105の具体的な構成は特に限定されないが、例えば、熱電対、測温抵抗体、サーミスタ、バイメタル式温度計等の温度を測定する一般的な構成を、測定する対象に応じて適宜採用すればよい。
【0042】
HP制御部104は、ヒートポンプ101へ入力する指令値を決定し、ヒートポンプ101の圧縮機の周波数や、膨張弁、ファン風量などを制御することで、生熱量を制御し、暖房装置103に放熱させるための熱を生成する。
【0043】
実施の形態1に係る指令値は、目標出湯温度である。
【0044】
まず、HP制御部104は、室温が第1設定室温を含む所定範囲内に入るように、目標出湯温度を設定するために、暖房設定値を有する。
【0045】
この暖房設定値は、外気温度と目標出湯温度との対応関係、すなわち、暖房設定値とは、外気温度に対する目標出湯温度の温度特性である。
【0046】
図4は、暖房設定値の一例を示している。暖房設定値は、例えば、外気温度が0℃の際に、室温を、第1設定室温を含む所定範囲内に維持するために、HP制御部104が目標出湯温度を40℃に設定することを示している。
図4に示されるように、暖房設定値には、ヒートポンプ101及び暖房装置103の性能によって、最大目標出湯温度(例えば、55℃)及び最低目標出湯温度(例えば、25℃)が設定される場合がある。この場合、HP制御部104は、出湯温度が最大目標出湯温度を超えないように制御する。同様に、HP制御部104は、出湯温度が最低目標出湯温度よりも低くならないように制御する。従って、
図4の例の場合、HP制御部104は、外気温度が−15℃以下となる範囲では出湯温度を55℃に保つ。一方、HP制御部104は、外気温度が0度以上の場合は出湯温度を25度に保つ。
【0047】
尚、
図4に示した、外気温度との関係で室温を第1設定室温に維持するヒートポンプの出湯温度の温度特性を管理するメモリが、ヒートポンプ式暖房装置に設置されている。
【0048】
暖房設定値は、一般的に、ヒートポンプ設置業者がヒートポンプ式暖房装置100を設置した際に、ヒートポンプ式暖房システム1が設置された建物の特性と、暖房装置103の特性と、ユーザに快適とされる暖房設備の規格で指定された標準設定室温とに基づいて設定する値である。具体的には、所定範囲(例えば、−15℃〜10℃まで1℃刻み)における外気温度に対して、ヒートポンプ101が暖房設定値に示される目標出湯温度で運転すれば、標準設定室温を含む所定範囲内に室温を維持できるように、暖房設定値は、ヒートポンプ設置業者により算出され、設定されている。暖房設定値の算出方法は、例えば、定常状態における暖房装置103とヒートポンプ式暖房システム1が設置された建物との熱伝達特性、および、この建物と大気との熱伝達特性で算出する。
【0049】
なお、ユーザが求めている快適性が保てない場合などで、ユーザにより、ヒートポンプ設置業者が設定された暖房設定値を変更する場合もある。
【0050】
また、暖房設定値の具体例は、限定されないが、例えば、2点の外気温度(設計外気温度)とそれぞれに対応する目標出湯温度(設計出湯温度)との関係でもよい。この場合、任意の外気温度に対応する目標出湯温度は、例えば、上記の2点の設計外気温度と設計出湯温度とを補間し、算出してもよい。また、暖房設定値は、例えば、所定の関数の係数であってもよい。この場合、任意の外気温度に対応する目標出湯温度は、例えば、この関数に任意外気温度を代入し、算出してもよい。
【0051】
ユーザが変更する場合では、上記した2点の外気温度(例えば、
図4の−15℃と0℃)とそれぞれに対応する上記した目標出湯温度(
図4の55℃と40℃)の4つの温度設定を変更してもよい。
【0052】
なお、HP制御部104は、第1設定室温だけでなく、複数の設定室温に対応するそれぞれの暖房設定値を有することも考えられる。しかし、複数の暖房設定値を設定するのに、ヒートポンプ設置業者の手間がかかること、暖房設定値を記憶するメモリの容量を要することから、現実的ではない。
【0053】
また、通常時間帯に、HP制御部104は、室温が第1設定室温を含む所定範囲内に入るように、保有する暖房設定を参照し、外気温度検出部105で検出された外気温度(計測外気温度)に対応する値に目標出湯温度を設定する。例えば、
図4の暖房設定値の場合、外気温度が0℃と検出された場合に、HP制御部104は、目標出湯温度を40℃に設定する。さらに、HP制御部104は、出湯温度検出部107で検出された出湯温度(計測出湯温度)が、設定した目標出湯温度を含む所定範囲内に入るように、ヒートポンプ101の圧縮機の周波数やファン風量を制御し、生熱量を制御する。
【0054】
一方、出力抑制時間帯においては、HP制御部104は、後述するDR制御部5から出力抑制時間帯の目標出湯温度通知を受信した場合、この通知を優先する。そして、通知された出力抑制時間帯の目標出湯温度に従って、目標出湯温度を設定し、出湯温度検出部で検出された出湯温度が目標出湯温度を含む所定範囲内に入るように、ヒートポンプ101の動作を制御し、生熱量を制御する。
【0055】
ヒータ106は、
図3に示されるように、熱交換器102から暖房装置103に至る流路上に設置されて、熱交換器102から出力される温水をさらに加熱することができる。ヒータ106の具体的な構成は特に限定されないが、例えば、電熱線等を用いることができる。
【0056】
上記構成のヒートポンプ式暖房装置100は、熱交換器102から出力される温水の温度が、HP制御部104で設定した目標出湯温度を実現するためにヒートポンプ101の指令値を決定する。しかしながら、ヒートポンプ101は、起動してから生熱量が安定するまでにある程度の時間を必要とし、また大幅な設定変更にリアルタイムに追従するのが困難である。そこで、ヒータ106は、出湯温度検出部107で検出される出湯温度が目標出湯温度に満たない場合に、熱交換器102から出力される温水の温度が目標出湯温度に近づくように加熱する。
【0057】
(DR制御部5の詳細図)
図5は、実施の形態1に係るDR制御部(DR制御装置)5の構成を示すブロック図である。
図5に示されるDR制御部5は、通信部51と、記憶部(メモリとも言う)52と、出力抑制時間帯制御部53とを備える。また、DR制御部5は、出力抑制時間帯の目標出湯温度を決定し、HP制御部104に通知する。
【0058】
なお、
図2及び
図3に示されるDR制御部5は、ヒートポンプ式暖房装置100とは別体として構成されているが、本開示はこれに限定されない。すなわち、DR制御部5は、ヒートポンプ式暖房装置100と一体として構成されてもよい。例えば、ヒートポンプ式暖房装置100の内部にDR制御部5に相当する機能を実装してもよい。
【0059】
通信部51は、エネルギー供給業者2から出力調整信号を受信する。また、出力抑制時間帯の目標出湯温度を決定するために、外気温度検出部105が検出した外気温度(計測外気温度)を取得し、HP制御部104が保有する暖房設定値を取得する。さらに、通信部51は、出力抑制時間帯の目標出湯温度が決定した目標出湯温度をHP制御部104に通知する。
【0060】
上記の出力調整信号は、例えば、各家庭の電力の使用を調整したい出力抑制時間帯の開始時刻の前(例えば、0.5時間前から12時間前)に、エネルギー供給業者2から送信される。この場合、出力調整信号には、出力抑制時間帯の開始時刻及び終了時刻を特定するための情報が含まれる。本実施の形態では、「出力調整開始時刻:18時、出力調整終了時刻:20時」を例として説明する。
【0061】
「出力抑制時間帯の開始時刻及び終了時刻を特定するための情報」の具体例は特に限定されない。例えば、「出力調整開始時刻:18時、出力調整終了時刻:20時」のように、出力調整開始時刻及び出力調整終了時刻そのものであってもよい。また、「出力調整開始時刻18時、出力抑制時間帯:2時間」のように、出力開始時刻及び出力時間帯の長さを表す情報であってもよい。
【0062】
記憶部52は、出力抑制時間帯の目標出湯温度を決定するために、単位時間当たりの目標室温変化度別の計測外気温度と標準出湯温度との対応関係を示す標準出湯温度テーブルを保持する。標準出湯温度テーブルは、例えば、
図8に示されるようなテーブルである。
【0063】
図8に示される標準出湯温度テーブルは、例えば、「単位時間当たりの目標室温変化度=−0.5℃」の場合、テーブルの第1列は、計測外気温度が−15℃の場合に、標準出湯温度が47℃となることを示している。つまり、外気温度が−15℃の場合に、ヒートポンプ101は、目標出湯温度を47℃に設定すれば、後述の標準ヒートポンプ式暖房システムの場合に、1時間経過すると、室温が第1設定室温よりも0.5℃低くなる(室温変化度が−0.5℃になる)ことを意味している。
【0064】
また、標準出湯温度テーブルは、実験によって、予め定められた標準ヒートポンプ式暖房システム(以下、「標準システム」)に基づいて、事前に作成したものである。標準システムは、具体的に、予め定められた標準暖房装置と、ヒートポンプ式暖房システム1が設置された建物の特性とほぼ同じ特性を有する建物と、ヒートポンプ式暖房システム1のヒートポンプ部とで構成されているシステムである。
【0065】
次に、
図8を参照し、標準出湯温度テーブルの作成方法について、具体的に説明する。標準システムにおいて、まず、外気温度が−15℃一定で、第1設定室温がユーザに快適とされる暖房設備の規格で指定された標準設定室温の場合に、長さ1時間の出力抑制時間帯に、目標出湯温度を、25℃〜55℃まで5℃刻みで変化さる。そして、出力抑制時間帯終了時(1時間後)の室温変化度とそれに対応する目標出湯温度とを蓄積する。そして、上記の外気温度において、蓄積した室温変化度を補間し、+1.5℃〜−1.5℃まで0.5℃刻みの室温変化度に対応する目標出湯温度を逆算する。そして、−14℃〜10℃まで1℃刻みの外気温度の範囲で、外気温度を1度ずつ変化させ、上記と同様に繰り返し、各外気温度における室温変化度とそれに対応する目標出湯温度とを蓄積する。さらに、各外気温度における+1.5℃〜−1.5℃まで0.5℃刻みの室温変化度に対応する目標出湯温度を逆算し、標準出湯温度テーブルを完成させる。
【0066】
標準出湯温度テーブルの作成手段は、限定されていない。実験の他に、例えば、シミュレーションなどでもよい。シミュレーションの場合、建物、ヒートポンプ、暖房装置などの特性を表すモデルを使用してもよい。
【0067】
出力抑制時間帯制御部53は、通信部51で出力調整信号が受信された場合に、通信部51で取得された計測外気温度と暖房設定値とを参照し、出力抑制時間帯に、所定時間が経過すると、室温が第2設定室温を含む所定範囲内に入るように、出力抑制時間帯の目標出湯温度を決定する。出力抑制時間帯制御部53は、自らが決定した出力抑制時間帯の目標出湯温度を、通信部51を介して、HP制御部104へ通知させ、この出力抑制時間帯の目標出湯温度でHP制御部104にヒートポンプ101の運転を制御させる。この場合、前述の通り、HP制御部104は、DR制御部5(出力抑制時間帯制御部53)の指令を優先する。
【0068】
(動作)
次に、
図6および
図7を参照して、実施の形態1に係るヒートポンプ式暖房システムの制御方法を説明する。
図6は、実施の形態1に係るDR制御処理を示すフローチャートである。
図7は、実施の形態1に係るHP制御処理を示すフローチャートである。
【0069】
まず、
図6を参照して、DR制御処理を説明する。DR制御部5の通信部51は、エネルギー供給業者2からの出力調整信号を監視している(S601)。出力調整信号を受信した場合(S601でYes)、DR制御部5は、出力調整信号によって特定される出力調整開始時刻tsが到来するのを監視する(S602)。出力調整開始時刻tsが到来すると(S602でYes)、DR制御部5の通信部51は、外気温度検出部105から計測外気温を取得し(S603)、さらに、DR制御部5の通信部51は、HP制御部104から暖房設定値を取得する(S604)。
【0070】
次に、出力抑制時間帯制御部53は、所定時間が経過すると、室温が第2設定室温を含む所定範囲内に入るような、出力抑制時間帯の目標出湯温度を決定する(S605)。
【0071】
具体的には、出力抑制時間帯制御部53は、任意の動作外気温度を決定し、通信部51で取得された暖房設定値をもとに、動作外気温度に対応する動作出湯温度を算出する。
【0072】
なお、この動作外気温度の決定方法は、特に限定されない。例えば、予め定められた外気温度を使用してもよい。また、通信部51で取得された計測外気温度を使用したり、通信部51で取得した暖房設定値に、設計外気温度が指定された場合、その設計外気温度を使用したりしてもよい。
【0073】
そして、出力抑制時間帯制御部53は、動作外気温度と、動作出湯温度と、前述の通りユーザに快適とされる暖房設備の規格で指定された標準設定室温とをもとに、ヒートポンプ式暖房システム1が設置された建物の特性と暖房装置103の放熱特性とを表す放熱係数(以下、Kとする)を下記の式1を用いて算出する。
【0074】
K=(To′−Tr′)/(Tr′−Ta′) ・・・(式1)
ただし、
To′= 動作出湯温度 [℃]
Ta′= 動作外気温度 [℃]
Tr′= 標準設定室温 [℃]
放熱係数は、暖房設定値と関係し、ヒートポンプ式暖房システム1が設置された建物の熱抵抗と暖房装置103の熱伝達率の掛け算の逆数である。ここで、暖房設定値をもとに、上記の放熱係数の導出を説明する。
【0075】
暖房設定値に示される通り、動作外気温度において、ヒートポンプ101が動作出湯温度を出湯すれば、室温が標準設定室温を含む所定範囲内に維持される。この場合、ヒートポンプ式暖房システム1が設置された建物の熱抵抗を、R(m2K/W)とし、暖房装置103の熱伝達率を、H(W/m2K)とすれば、暖房装置103が前述建物に放熱される熱流量は、
H*(To′−Tr′) ・・・(式2)
であり、さらに、前述建物から大気に放熱される熱流量は、
(Tr′−Ta′)/R ・・・(式3)
である。定常状態にあることから、暖房装置が前述建物に放熱される放熱流量は、前述建物から大気に放熱される熱流量と、同等であることが考えられるため、放熱係数の定義から、上記の放熱係数の計算式(式1)が、下記の式4のように求められる。
【0076】
(Tr′−Ta′)/R = H*(To′−Tr′)
K = 1/(R*H)=(To′−Tr′)/(Tr′−Ta′) ・・・(式4)
つまり、放熱係数Kは、ヒートポンプ式暖房システム1が設置された建物の熱抵抗と暖房装置103の熱伝達率の掛け算の逆数であることを意味している。
【0077】
例えば、
図4に示される暖房設定値の場合、ユーザに快適とされる暖房設備の規格で指定された標準設定室温が20℃で、動作外気温度が最大目標出湯温度であれば、Kは、(55℃−20℃)/(20℃−(−15℃))=1である。
【0078】
次に、出力抑制時間帯制御部53は、室温変化度を出力調整開始時刻から所定時間(例えば、1時間)で割って、1時間当たりの目標室温変化度を算出する。算出した放熱係数K、と、計測外気温度と、算出した1時間当たりの室温変化度とに基づいて、出力抑制時間帯の目標出湯温度を算出する。出力抑制時間帯制御部53は、例えば、
図8に示される標準出湯温度テーブルを参照し、このテーブルから、通信部51で取得された計測外気温度に対応する標準出湯温度を読み取る。
【0079】
図8の標準出湯温度テーブルにより、例えば、計測外気温度が−15℃の場合に、且つ、出力調整開始時刻から1時間後に、目標室温変化度が−0.5℃になるように指定された場合、単位時間当たりの目標室温変化度が−0.5℃なので、出力抑制時間帯制御部53は、標準出湯温度を47℃に設定する。
【0080】
そして、出力抑制時間帯制御部53は、出力抑制時間帯の目標出湯温度を下記のように算出する。
【0081】
出力抑制時間帯の目標出湯温度=Tr′+[(K/K′)*(Tout′−Tr′)]
・・・(式5)
ただし、
K = 算出したヒートポンプ式暖房システム1に係る放熱係数(単位なし)
K′ = 標準システムに係る放熱係数(単位なし、以下「標準放熱係数」)
Tout′= 標準出湯温度テーブルから読み取られた標準出湯温度 [℃]
Tr′ = 標準設定室温 [℃]
そして、DR制御部5は、出力抑制時間帯制御部53で決定した出力抑制時間帯の目標出湯温度を、通信部51に、HP制御部104へ通知させる(S606)。すなわち、DR制御部5は、決定した目標出湯温度で、出力抑制時間帯に、HP制御部104にヒートポンプ101を制御させる。
【0082】
次に、DR制御部5は、出力調整信号によって特定される出力調整終了時刻tfが到来するのを監視する(S607)。出力調整終了時刻tfが到来すると(S607でYes)、DR制御部5は、通信部51に、HP制御部104へ出力抑制時間帯終了を通知させ(S608)、DR制御処理を終了する。
【0083】
次に、
図7を参照して、HP制御処理を説明する。HP制御部104は、DR制御部5の通信部51から送信された出力抑制時間帯の目標出湯温度通知を監視している(S701)。出力抑制時間帯の目標出湯温度通知を受信していない場合(S701でNo)、HP制御部104は、外気温度検出部105から計測外気温度を取得する(S702)。
【0084】
そして、HP制御部104は、保有している暖房設定値を参照し(S703)、暖房設定値が示している外気温度と目標出湯温度との対応関係から、計測外気温度に対応する目標出湯温度を読み取る。そして、この目標出湯温度の値に通常時間帯の目標出湯温度(以下、通常目標出湯温度)を決定する(S704)。
【0085】
そして、HP制御部104は、決定した通常目標出湯温度で、ヒートポンプ101を運転させ、HP制御処理を終了する(S705)。
【0086】
一方、S701ステップで、DR制御部5の通信部51から送信された出力抑制時間帯の目標出湯温度通知を受信した場合(S701でYes)、HP制御部104は、DR制御部5の指示を優先する。そして、通知された出力抑制時間帯の目標出湯温度でヒートポンプ101を運転させる(S706)。そして、HP制御部104は、DR制御部5の通信部51から送信された出力抑制時間帯終了通知を監視している(S707)。DR制御部5の通信部51から送信された出力抑制時間帯終了通知を受信した場合(S701でYes)、HP制御部104は、HP制御処理を終了する。
【0087】
(効果)
上記の処理によって得られる効果を、任意計測外気温度(Ta)と、所定の第1設定室温(標準設定室温)(Tr′)の場合に、説明する。
【0088】
まず、定常状態において、ヒートポンプ式暖房システム1に係る暖房設定値に示される目標出湯温度で、室温がTr′を含む所定範囲内に維持できる目標出湯温度と、標準システムに係る暖房設定値に示される目標出湯温度で、室温がTr′を含む所定範囲内に維持できる目標出湯温度との関係性を求める。
【0089】
標準出湯温度テーブル作成に想定された標準システムにおける暖房装置の熱伝達率はH′とし、標準システムに係る放熱係数である標準放熱係数は、K′とし、この標準システムにおいて、標準システムに係る暖房設定値に示される目標出湯温度で、室温がTr′を含む所定範囲内に維持できる目標出湯温度はTout′とする。
【0090】
一方、ヒートポンプ式暖房システム1では、標準システムに想定された建物の特性とほぼ同じ特性を有する建物に設置されているが、標準暖房装置の放熱特性と異なる暖房装置103があるため、暖房装置103の熱伝達率も、標準システムに想定された暖房装置の熱伝達率と異なり、ヒートポンプ式暖房システム1に係る放熱係数も、標準放熱係数と異なる。暖房装置103の熱伝達率は、Hとし、ヒートポンプ式暖房システム1係る放熱係数は、Kとする。そして、ヒートポンプ式暖房システム1において、ヒートポンプ式暖房システム1に係る暖房設定値に示される目標出湯温度で、室温がTr′を含む所定範囲内に維持できる目標出湯温度は、Toutとする。
【0091】
次に、ヒートポンプ式暖房システム1が設置された建物の熱抵抗は、R(m2K/W)とする。標準システムに想定された建物の特性は、ヒートポンプ式暖房システム1が設置された建物の特性とほぼ同様であるため、熱抵抗もRに近いものである。
【0092】
定常状態の場合、ヒートポンプ式暖房システム1が設置された建物から大気に放熱される放熱流量も、標準システムに想定された建物から大気に放熱される放熱流量も、(Tr′−Ta)/Rである。
【0093】
また、標準システムにおける暖房装置から建物に放熱される熱流量は、H′*(Tout′−Tr′)である。一方、ヒートポンプ式暖房システム1における暖房装置103から建物に放熱される熱流量は、H*(Tout−Tr)である。
【0094】
以上より、下記の関係性(式6)が求められる。
【0095】
H′*(Tout′−Tr′) = (1/R)*(Tr′−Ta)
H *(Tout −Tr′) = (1/R)*(Tr′−Ta) ・・・(式6)
そして、標準放熱係数であるK′は、1/(R*H′)で、ヒートポンプ式暖房システム1に係る放熱係数であるKは、1/(R*H)である。上記の関係性を放熱係数で表すと、下記の式7のようになる。
【0096】
(1/K′)*(Tout′−Tr′)=(Tr′−Ta)
=(1/K)*(Tout−Tr′) ・・・(式7)
つまり、定常状態において、ヒートポンプ式暖房システム1に係る暖房設定値に示される目標出湯温度で、室温がTr′を含む所定範囲内に維持できる目標出湯温度であるToutと、標準システムに係る暖房設定値に示される目標出湯温度で、室温がTr′を含む所定範囲内に維持できる目標出湯温度であるTout′との関係性は、下記の式8のように求められる。
【0097】
Tout = Tr′+ [(K/K′)*(Tout′−Tr′)]・・・(式8)
すなわち、標準システムにおけるTout′の出湯温度による暖房装置から建物への熱流量は、ヒートポンプ式暖房システム1におけるToutの出湯温度による暖房装置103から建物への熱流量と同等である。
【0098】
出力抑制時間帯には、室温が定常状態になるとは限らないが、ヒートポンプ式暖房システム1が設置された建物と、標準システムに想定された建物とは、特性がほぼ同様である。そのため、室温上昇度合い又は室温低下度合いがほぼ同等なので、式8に示されるToutとTout′の関係性が有効である。
【0099】
このため、標準出湯温度テーブルから算出したTout′で、式8の書き換えられたものである式5によって求められた出力抑制時間帯の目標出湯温度(式8にToutと表記されるもの)は、ヒートポンプ式暖房システム1において、出力抑制時間帯に、所定時間が経過すると、室温変化度が目標室温変化度になることを実現できる。
【0100】
次に、高価電力料金時間帯による出力調整の場面において、本開示の効果と暖房設定値に含まれる暖房装置103の放熱特性を考慮しない、後述する一般方法の効果との比較について、
図9を参照して説明する。一般方法は、出力を抑制するために、通常時間帯に決定された出湯温度よりも低い温度を決定する方法である。例えば、
図9の(a)に示されるように、全外気温度帯、通常目標出湯温度を10℃下げる。
【0101】
まず、
図9の(a)〜(b)は、一般の出力抑制時間帯における目標出湯温度の決定方法(以下、「一般方法」)を示す図である。
【0102】
図9の(a)は、ヒートポンプ式暖房システム1と同じ構成である第1ヒートポンプ式暖房システム(以下、「第1システム」)に、一般方法を適用する際を示す図である。
図9の(b)は、ヒートポンプ式暖房システム1と同じ構成で、第1システムが設置された建物と同一特性を有する建物に設置され、第1システムの暖房装置と異なった放熱特性の暖房装置を有する第2ヒートポンプ式暖房システム(以下、「第2システム」)に、一般方法を適用する際を示す図である。また、第1システムにおける暖房装置は、第2システムにおける暖房装置よりも、放熱能力が低いことを想定している。
【0103】
また、
図9の(a)に示される実線は、第1システムに設置されている建物の特性と、第1システムの暖房装置の特性と、ユーザに快適とされる暖房設備の規格で指定された標準設定室温とに基づいて設定した暖房設定値(以下、「第1暖房設定値」)である。一方、
図9の(b)に示される実線は、第2システムに設置されている建物の特性と、第2システムの暖房装置の特性と、ユーザに快適とされる暖房設備の規格で指定された標準設定室温とに基づいて設定した暖房設定値(以下、「第2暖房設定値」)である。
【0104】
なお、ヒートポンプが出している目標出湯温度には、上限および下限が存在する。
【0105】
図9の(a)では、外気温度が−15℃のときに、目標出湯温度が上限(55℃)に設定される場合が示されている。外気温度が−15℃以下のときは、この上限の目標出湯温度55℃よりも上昇せずに、55℃で一定となる。同様に、外気温が15℃以上のときは目標出湯温度が下限(25℃)に設定される。
【0106】
基本的に、暖房装置は、ヒートポンプ部から生成された熱を放熱するための能力(暖房装置の面積など)が小さければ小さいほど、放熱量も小さい。そのため、高い放熱能力(大きい放熱面積)の暖房装置と比べて、低い放熱能力の暖房装置は、同じ特性の建物に放熱するのに、より高い出湯温度が必要である。すなわち、同じ建物でも、暖房装置の放熱特性が異なる場合、異なった暖房設定値を設定する必要がある。
【0107】
前述の通り、
図9の(a)〜(b)において、第1システムは、第2システムより、低い放熱能力の暖房装置が設置されることを想定しているので、
図9の(b)に示されるように、第2暖房設定値は、最大目標出湯温度が40℃に設定されている。
図9の(a)に示されるように、第2暖房設定値に係る暖房装置より、放熱能力が低い暖房装置に係る第1暖房設定値は、最大目標出湯温度が、第2暖房設定値よりも高い55℃に設定されている。
【0108】
以上より、
図9の(a)に示されるように、第1システムに、一般方法を適用すると、抑制された第1暖房設定値(点線)の最大目標出湯温度が45℃になる。一方、
図9の(b)に示されるように、第2システムに、一般方法を適用すると、抑制された第2暖房設定値(点線)の最大目標出湯温度が30℃になる。
【0109】
現在の計測外気温が、例えば、−15℃とすると、
図9の(a)に示されるように、第1暖房設定値で、一般方法による出力調整するための目標出湯温度が45℃になる。また、
図9の(b)に示されるように、第2暖房設定値で、一般方法による出力調整するための目標出湯温度が30℃になる。
【0110】
次に、第1および第2システムに本開示を適用した場合について説明する。まず、一例として、現在の計測外気温が、−15℃とし、標準システムの標準放熱係数K′を1とし、標準出湯温度テーブルから読み取った標準出湯温度Tout′は、40℃とする。
【0111】
この場合、第1システムに本開示を適用すると、第1暖房設定値をもとに、動作外気温度が−15℃にすれば、前述の式1の通り、第1システムに係る放熱係数(K1とする)は、下記のように1と算出される。
【0112】
K1=(55℃−20℃)/(20℃−(−15℃))=1
それによって、前述の式5の通り、出力抑制時間帯の目標出湯温度(Tout1とする)は、下記のように40℃と算出される。
【0113】
Tout1=20℃+((K1/K′)*(Tout′−20℃))
=20℃+((1)*(Tout′−20℃))= 40℃
一方、第2システムに本開示を適用すると、第2暖房設定値をもとに、動作外気温度が−15℃にすれば、前述の式1の通り、第2システムに係る放熱係数(K2とする)は、下記のように小数点第1位で四捨五入して0.6℃と算出される。
【0114】
K2 = (40℃−20℃)/(20℃−(−15℃))= 0.6
それによって、前述の式5の通り、出力抑制時間帯の目標出湯温度(Tout2とする)は、下記のように32℃と算出される。
【0115】
Tout2=20℃+((K2/K′)*(Tout′−20℃))
=20℃+(0.6*(40℃−20℃))=32℃
以上より、第1システムの場合、第1暖房設定値の最大目標出湯温度(55℃)から、出力抑制時間帯の目標出湯温度(40℃)までの下げ幅が15℃である、一方、第2システムの場合、第2暖房設定値の最大目標出湯温度(40℃)から、出力抑制時間帯の目標出湯温度(32℃)までの下げ幅が8℃である。
【0116】
このように、本実施の形態により、出力調整時の暖房設定値の下げ幅は、ヒートポンプ式暖房システムにおける暖房装置の放熱特性によって異なる。すなわち、第1システムにおける暖房装置の能力は、第2システムにおける暖房装置の能力より低いため、第1システムにおいて、1℃の出湯温度下げ幅による放熱量低下が第2システムよりも低い。このため、出力抑制時間帯に、同じ目標室温変化度の実現に向けて同じ放熱量を削減するために、本実施の形態では、
図13(d)及び
図13(e)に示すように第1暖房設定値の下げ幅を、第2暖房設定値の下げ幅よりも大きくする。このことは、後ほど詳しく述べる。
【0117】
次に、
図9の(c)は、第1システムに、一般方法を適用した結果の例を示す図であり、
図9の(d)は、第2システムに、一般方法を適用した結果の例を示す図である。
【0118】
図9の(c)〜(d)において、第1設定室温は、例えば、20℃で、第2設定室温は、例えば、18℃である。つまり、目標室温変化度は、−2℃である。また、
図9の(c)〜(d)において、点線は、一般方法による室温変化の例であり、実線は、本開示による室温変化の例である。
【0119】
図9の(c)に示されるように、本開示の場合、暖房装置の放熱特性を考慮し、出力抑制時間帯の目標出湯温度を40℃に設定したため、出力調整終了時に、目標室温変化度を実現できる。しかし、一般方法の場合、暖房装置の放熱特性を考慮せず、単に通常目標出湯温度を10℃下げることで、出力抑制時間帯の目標出湯温度を45℃に設定したため、出力調整終了時に、目標室温変化度を実現できず、実際の室温が第2設定室温よりも高めになっている。この場合、出力抑制時間帯滞、一般方法では、ユーザは不快を感じないが、本開示よりも、ヒートポンプの出力が必要以上に高いため、出力調整効果が低くなり、不要な電力を消費してしまう。
【0120】
一方、
図9の(d)に係る第2システムの暖房装置は、前述の通り、第1システムより、放熱能力が高いため、同じ通常目標出湯温度を10℃下げる(一般方法を適用する)ことで、第1システムより、放熱量が大幅に下がる。この場合、
図9の(d)に示されるように、本開示の場合、暖房装置の放熱特性を考慮し、出力抑制時間帯の目標出湯温度を32℃に設定したため、出力調整終了時に、目標室温変化度を実現できる。しかし、一般方法の場合、暖房装置の放熱特性を考慮せず、単に通常目標出湯温度を10℃下げることで、出力抑制時間帯の目標出湯温度を30℃に設定したため、出力調整終了時に、本開示と違って、出力抑制時間帯中、目標室温変化度を実現できず、ユーザの快適性を損なってしまう。
【0121】
つまり、本態様によると、正確な室温変化を実現することで、快適性を維持しつつ、不要な消費電力が発生するのを防止できる。
【0122】
次に、
図13を参照し、暖房設定値の最大目標出湯温度と下げ幅との関係性を説明する。
図13の(a)〜(c)は、一般方法による出力抑制時間帯の暖房設定値の適用方法を示す図である。
図13の(d)〜(f)は、本開示による出力抑制時間帯の暖房設定値の適用方法を示す図である。
【0123】
図13の(a)と(d)の実線は、同じヒートポンプ式暖房システム(以下、第1システムと言う)の通常時間帯の暖房設定値である。
図13の(b)と(e)の実線は、同じヒートポンプ式暖房システム(以下、第2システムと言う)の通常時間帯の暖房設定値である。
図13の(c)と(f)の実線は、同じヒートポンプ式暖房システム(以下、第3システムと言う)の通常時間帯の暖房設定値である。
【0124】
また、
図13の(a)と(d)の点線は、第1システムの出力抑制時間帯の暖房設定値である。
図13の(b)と(e)の点線は、第2システムの出力抑制時間帯の暖房設定値である。
図13の(c)と(f)の点線は、第3システムの出力抑制時間帯の暖房設定値である。
【0125】
第1システム〜第3システムは、それぞれ、暖房装置の放熱特性が異なることを想定している。このため、放熱能力がそれぞれ違って、暖房設定値の最大目標出湯温度も異なっている。具体的に、第1システムにおける暖房装置は、第2システムにおける暖房装置よりも、放熱能力が低いことを想定しており、さらに、第2システムにおける暖房装置は、第3システムにおける暖房装置よりも、放熱能力が低いことを想定している。
【0126】
放熱能力の低い順で、第1システムの通常時間帯の暖房設定値では、最大目標出湯温度が55℃に設定されており、第2システムの通常時間帯の暖房設定値では、最大目標出湯温度が50℃に設定されており、第3システムの通常時間帯の暖房設定値では、最大目標出湯温度が45℃に設定されている。
【0127】
前述の
図9(a)〜(b)の説明の通り、出力抑制時間帯に、一般方法を適用すると、どの暖房システムでも、通常目標出湯温度を10℃下げる。一方、本開示を適用する場合を説明する。同じ目標室温変化度の実現に向けて、同じ放熱量を削減するために、本開示は、
図13の(d)と(e)の通り、第1暖房設定値の下げ幅を、第2暖房設定値の下げ幅よりも大きくし、また、
図13の(e)と(f)の通り、第2暖房設定値の下げ幅を、第3暖房設定値の下げ幅よりも大きくする。すなわち、暖房設定値の最大目標出湯温度が大きいほど、出湯温度の下げ幅が大きくなる。
【0128】
(実施の形態1の補足)
なお、本実施の形態では、一例として第1の室温設定20℃に対し、第2の室温設定18℃と室温を低下させる方法を記載したが、これに限定されない。例えば、第2の室温設定が第1の室温設定よりも高く、室温を増加させてもよい。
【0129】
また、本実施の形態では、一例として出力調整信号を受信し、出力抑制時間帯を取得する方法を記載したが、これに限定されない。例えば、エネルギー供給業者からは情報は取得せずに、HP制御部104に予めタイマで出力抑制時間帯を設定しておく方法や、常に出力抑制時間帯として第2の設定温度に追従するよう制御する方法などでもよい。
【0130】
また、本実施の形態では、一例として第2の設定温度を予め設定しておく方法を記載したが、これに限定されない。例えば、想定される電力ピークの大きさに応じてエネルギー供給業者が第2の設定温度を決める方法などでもよい。
【0131】
また、本実施の形態では、室温変化度を出力抑制時間帯の長さ(例えば、1時間)で割った単位時間(例えば、1時間)当たりの目標室温変化度を算出し、標準出湯温度テーブルを参照している。しかし、標準出湯温度テーブルを参照する値はこれに限定されない。
【0132】
例えば、出力抑制時間帯の長さから、除霜運転に要する時間を減算した長さと室温変化度から求めた、単位時間当たりの目標室温変化度も用いてもよい。
【0133】
ヒートポンプ101は外気温度が0℃近辺の場合に、運転に伴い外気との熱交換器に霜が付く。この霜が多くなるとヒートポンプサイクルの効率が低下するために、除霜運転を行うことが一般的である。例えば、出力調整信号を受信時に、外気との熱交換器の温度が一定以下であれば、出力抑制時間帯に除霜運転が実施されると推定した場合には、出力抑制時間帯の長さから、予め設定した除霜運転所要時間を減算した長さで、室温変化度を除算した単位時間あたりの目標室温変化度を算出する。この目標室温変化で標準出湯温度テーブルを参照すると、除霜が行われたとしても出力調整終了時に第2の室温設定を維持することが可能である。
【0134】
また、本実施の形態では、暖房システムを前提としている。上述した暖房システムに変えて、給湯も併用する給湯暖房システムとする一例として、熱交換器102から暖房装置103の間に三方弁を設け、熱交換器102で加熱された水を、暖房装置103もしくは、給湯タンクのいずれかへ流し、加熱する構成もある。
【0135】
この構成の場合、給湯タンクを加熱する時間は暖房装置103を加熱できないため、出力抑制時間帯の長さから、給湯タンクの加熱に要する時間を減算した長さと室温変化度から求めた、単位時間当たりの目標室温変化度も用いてもよい。
【0136】
例えば、過去の各時刻でのヒートポンプ101で給湯タンクを加熱した時間の履歴を取得しておき、出力調整信号を受信時に、出力抑制時間帯で給湯タンクを加熱した時間の過去の平均値を算出する。次に、出力抑制時間帯の長さから、給湯タンクを加熱した時間の過去の平均値を減算した長さで、室温変化度を除算した単位時間当たりの目標室温変化度を算出する。この目標室温変化で標準出湯温度テーブルを参照すると、過去の平均的な給湯の使用に対して、第2の室温設定を維持するよう制御されるため、出力調整終了時に、第2の室温設定に近しい温度が維持される可能性が高い。
【0137】
また、
図6および
図7に示されるように、本実施の形態では、出力抑制時間帯終了時に、DR制御部5は、通信部51に介して、HP制御部104に、通知する(S608)。そして、HP制御部104は、DR制御部5からの通知を監視して(S707)、通知を受信した場合に(S707でYes)、HP制御処理を終了する。しかし、DR制御部5は、出力抑制時間帯終了を通知せず、事前に通信部51に介して、出力抑制時間帯のHP指令値とともに、出力抑制時間帯の終了時刻(tf)をHP通知してもよい(S606)。この場合、HP制御部104は、tfを保持し、出力抑制時間帯の終了時刻が過ぎたか否かを自ら確認し、HP制御処理を終了してもよい。
【0138】
(実施の形態2)
実施の形態1では、第1設定温度が、ユーザに快適とされる暖房設備の規格で指定された標準設定室温に設定されることを前提している。ただし、ユーザによって、第1設定室温と標準設定室温とが同じでない場合がある。実施の形態1では、DR制御部5の出力抑制時間帯制御部53で、算出された放熱係数および出力抑制時間帯の目標出湯温度をそのまま利用する。そのため、想定した第1設定室温(標準設定室温)と実際の第1設定室温が異なり、出力抑制時間帯中に、目標室温変化度を実現できない場合もある。
【0139】
そこで、実施の形態2では、標準設定室温とは別に、ユーザによって設定された第1設定室温を参照し、出力抑制時間帯の目標出湯温度を算出する。なお、実施の形態1との共通点の詳しい説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0140】
まず、実施の形態2係る出力抑制時間帯の目標出湯温度を決定する標準出湯温度テーブルは、
図10に示される。
【0141】
図10に示される標準出湯温度テーブルは、例えば、「単位時間当たりの目標室温変化度=−0.5℃」で、「第1設定室温=21℃」の場合、テーブルの第1列は、計測外気温度が−15℃の場合に、標準出湯温度が46℃となることを示している。つまり、外気温度が−15℃で、第1設定室温が21℃の場合に、ヒートポンプ101は、目標出湯温度を46℃に設定すれば、1時間経過すると、室温が第1設定室温よりも0.5℃低くなる(室温変化度が−0.5℃になる)ことを意味している。
【0142】
また、標準出湯温度テーブルは、実験によって、予め定められた標準ヒートポンプ式暖房システム(以下、「標準システム」)に基づいて、事前に作成したものである。標準システムは、具体的に、予め定められた標準暖房装置と、ヒートポンプ式暖房システム1が設置された建物の特性とほぼ同じ特性を有する建物と、ヒートポンプ式暖房システム1のヒートポンプ部とで構成されているシステムである。この標準システムと、ユーザに快適とされる暖房設備の規格で指定された標準設定室温とで、出力抑制時間帯に、所定外気温度と所定設定室温とにおいて、目標出湯温度を変化させ、出力抑制時間帯終了時の室温変化度とそれに対応する目標出湯温度とを蓄積する。そして、蓄積した室温変化度を補間し、上記の外気温度と設定室温において、複数の所定室温変化度に対応する目標出湯温度を逆算する。同じように繰り返し、複数の指定外気温度において、複数の所定室温変化度に対応する目標出湯温度を算出し、標準出湯温度テーブルを完成させる。
【0143】
(構成)
実施の形態2は、実施の形態1と同じ
図2から4に示されるヒートポンプ式暖房装置100を前提としている。ただし、実施の形態2は、第1設定温度が、ユーザに快適とされる暖房設備の規格で指定された標準設定室温に設定されることを前提していない。
【0144】
次に、実施の形態2では、DR制御部5の記憶部52は、出力抑制時間帯の目標出湯温度を決定するために、位時間当たりの目標室温変化度別の計測外気温度と標準出湯温度との対応関係を示す標準出湯温度テーブルと、さらに第1設定室温とを保持する。標準出湯温度テーブルは、例えば、
図10に示されるようなテーブルである。
【0145】
(動作)
実施の形態2では、出力抑制時間帯の目標出湯温度を決定するために、DR制御部5の出力抑制時間帯制御部53は、任意の動作外気温度を決定する。そして、通信部51で取得された暖房設定値をもとに、動作外気温度に対応する動作出湯温度を算出し、さらに、出力抑制時間帯制御部53は、記憶部52で保持されている第1設定室温を参照する。
【0146】
なお、この動作外気温度の決定方法は、特に限定されない。例えば、予め定められた外気温度を使用してもよい。また、通信部51で取得された計測外気温度を使用したり、通信部51で取得した暖房設定値に、設計外気温度が指定された場合、その設計外気温度を使用したりしてもよい。
【0147】
そして、出力抑制時間帯制御部53は、動作外気温度と、動作出湯温度と、記憶部52で保持されている第1設定室温とをもとに、暖房装置103の放熱特性を表す単位なしの放熱係数Kを下記の式9のように算出する。
【0148】
K =(To′−Tr′)/(Tr′−Ta′) ・・・(式9)
ただし、
To′= 動作出湯温度 [℃]
Ta′= 動作外気温度 [℃]
Tr′= 第1設定温度 [℃]
次に、出力抑制時間帯制御部53は、出力抑制時間帯の長さと室温変化度とで、単位時間当たりの目標室温変化度を算出する。そして、算出した放熱係数と、計測外気温度と、計算した単位時間当たりの目標室温変化度と、第1室温設定とに基づいて、出力抑制時間帯の目標出湯温度を算出する。出力抑制時間帯制御部53は、例えば、
図10に示される標準出湯温度テーブルを参照する。そして、このテーブルから、通信部51で取得された計測外気温度に対応する標準出湯温度を読み取り、出力抑制時間帯の目標出湯温度を下記の式10のように算出する。
【0149】
出力抑制時間帯の目標出湯温度=Tr′+[(K/K′)*(Tout′−Tr′)]
・・・(式10)
ただし、
K = 算出したヒートポンプ式暖房システムに係る放熱係数(単位なし)
K′ = 標準システムに係る放熱係数(単位なし)
Tout′= 標準出湯温度テーブルから読み取られた標準出湯温度 [℃]
Tr′ = 第1設定温度 [℃]
(効果)
実施の形態2では、ユーザによって設定された第1設定温度が、暖房設定値と前提となる標準設定室温と異なっても、出力抑制時間帯中に、室温が第2設定室温を含む所定範囲内に入ることを高精度に実現することができる。
【0150】
具体的に、本開示を適用した場合について説明する。まず、
図9の(a)に示される実線の暖房設定値を有するヒートポンプ式暖房システム1と同じ構成である第1ヒートポンプ式暖房システム(以下、「第1システム」)と、第2ヒートポンプ式暖房システム(以下、「第2システム」)を想定している。第1システムの暖房設定値は、第1システムの室温を20℃に維持することを想定している。そして、第2システムの暖房設定値は、第2システムの室温を22℃に維持することを想定している。一例として、現在の計測外気温度が、−15℃とすると、
図9の(a)により、通常時間帯の目標出湯温度は、55℃である。そして、標準システムの標準放熱係数K′を1とする。また、
図10と異なる標準出湯温度テーブルを参照するとして、
図10には記載がないが、標準出湯温度Tout′は、20℃の場合に、Tout′=40℃とし、22℃の場合に、Tout′=45℃とする。
【0151】
この場合、第1システムに本開示を適用すると、第1暖房設定値をもとに、動作外気温度が−15℃にすれば、前述の式1の通り、第1システムに係る放熱係数(K1とする)は、下記のように1と算出される。
【0152】
K1=(55℃−20℃)/(20℃−(−15℃))=1
それによって、前述の式5の通り、出力抑制時間帯の目標出湯温度(Tout1とする)は、下記のように40℃と算出される。
【0153】
Tout1=20℃+((K1/K′)*(Tout′−20℃))
=20℃+((1)*(Tout′−20℃))
=20℃+((1)*(40℃−20℃))= 40℃
一方、第2システムに本開示を適用すると、第2暖房設定値をもとに、動作外気温度が−15℃にすれば、前述の式1の通り、第2システムに係る放熱係数(K2とする)は、下記のように小数点第1位で四捨五入して0.9℃と算出される。
【0154】
K2 = (55℃−22℃)/(22℃−(−15℃))= 0.9
それによって、前述の式5の通り、出力抑制時間帯の目標出湯温度(Tout2とする)は、下記のように四捨五入で整数にして43℃と算出される。
【0155】
Tout2=20℃+((K2/K′)*(Tout′−20℃))
=22℃+(0.9*(Tout′−22℃))
=22℃+(0.9*(45℃−22℃))=43℃
以上より、第1システムの場合、第1暖房設定値の通常時間帯の目標出湯温度(55℃)から、出力抑制時間帯の目標出湯温度(40℃)までの下げ幅が、15℃であるが、第2システムの場合、第2暖房設定値の通常時間帯の目標出湯温度(55℃)から、出力抑制時間帯の目標出湯温度(43℃)までの下げ幅が、12℃である。
【0156】
このように、本開示により、出力調整時の暖房設定値の下げ幅は、通常時間帯の設定室温によって、異なる。すなわち、通常時間帯において、第2システムの室温の方が、第1システムの室温より高いため、室温と外気温の差は、第2システムの方が大きく、大気に放熱される熱流量も大きくなる。同じ目標室温変化度の実現に向けて、同じ放熱量を削減するために、本開示は、第2暖房設定値の下げ幅を、第1暖房設定値の下げ幅よりも小さくする。
【0157】
次に、
図14を参照し、設定室温と下げ幅との関係性を説明する。
図14の(a)〜(c)は、一般方法による出力抑制時間帯の暖房設定値の適用方法を示す図である。
図14の(d)〜(f)は、本開示による出力抑制時間帯の暖房設定値の適用方法を示す図である。
【0158】
図14の(a)と(d)の実線は、同じヒートポンプ式暖房システム(以下、第1システム)の通常時間帯の暖房設定値である。
図14の(b)と(e)の実線は、同じヒートポンプ式暖房システム(以下、第2システム)の通常時間帯の暖房設定値である。
図14の(c)と(f)の実線は、同じヒートポンプ式暖房システム(以下、第3システム)の通常時間帯の暖房設定値である。
【0159】
また、
図14の(a)と(d)の点線は、第1システムの出力抑制時間帯の暖房設定値である。
図14の(b)と(e)の点線は、第2システムの出力抑制時間帯の暖房設定値である。
図14の(c)と(f)の点線は、第3システムの出力抑制時間帯の暖房設定値である。
【0160】
さらに、第1システム〜第3システムは、設定室温である第1設定室温(18℃)、第2設定室温(20℃)、第3設定室温(22℃)、それぞれ異なることを想定している。
【0161】
一般方法を適用すると、どの暖房システムでも、通常目標出湯温度を10℃下げる。一方、本開示を適用する場合を説明する。前述の説明の通り、同じ目標室温変化度の実現に向けて、同じ放熱量を削減するために、本開示は、
図14の(d)と(e)の通り、第1暖房設定値の下げ幅を、第2暖房設定値の下げ幅よりも大きくし、また、
図14の(e)と(f)の通り、第2暖房設定値の下げ幅を、第3暖房設定値の下げ幅よりも大きくする。すなわち、設定室温が大きいほど、出湯温度の下げ幅が小さくなる。
【0162】
(実施の形態2の補足)
実施の形態2では、標準出湯温度を設定するために、単位時間当たりの目標室温変化度と計測外気温度とに加えて、第1設定室温を標準出湯温度テーブルの入力としている。しかし、室温に関係する要素の他に、例えば、異なる建物特性に対応するために、断熱性や熱容量などの建物特性を標準出湯温度テーブルの入力としてもよい。また、人体からの放熱に対応するために、建物に居る人の人数を標準出湯温度テーブルの入力としてもよい。また、変わる天気の状況に対応するために、風量や日射量などの天候条件を標準出湯温度テーブルの入力としてもよい。
【0163】
(実施の形態3)
(実施の形態3の概要)
実施の形態3に係る暖房システムの制御方法の概要を説明する。実施の形態3は、実施の形態1の変形例である。
【0164】
実施の形態1では、ヒートポンプ式暖房システム1は、HP制御部104がDR制御部5から取得した目標出湯温度に基づき、出湯温度検出部107で検知される温度が目標出湯温度と近しくなるように、ヒートポンプ101の圧縮機の周波数、膨張弁、ファン風量などを制御する。
【0165】
一般的に、暖房装置103から熱交換器102に戻る水の温度は、住宅内の換気状態の変化や、人の動き、暖房装置103に付随しているバルブの絞り等の要因によって随時変動する。
【0166】
このため、実施の形態1では、出湯温度検出部107で検知される温度を一定とするために、ヒートポンプ101から熱交換器102を介して水を加熱する能力も変動させる制御が行われる。その結果、ヒートポンプ式暖房装置100で消費する電力も変動することになる。
【0167】
エネルギー供給業者2が電力の平準化を目的として、出力調整信号を送信している場合に、電力の変動を実施の形態1では避けることができないという課題がある。
【0168】
そこで、実施の形態3では、DR制御部5から取得した目標出湯温度を維持するように制御をおこなわずに、出湯温度が変動しても平均的に目標出湯温度となる消費電力を算出し、消費電力を維持するようにヒートポンプ101の制御を行う。これにより、高精度な室温変化を実現し、不要な電力消費を避け、さらに消費電力の平準化を可能とする。
【0169】
なお、実施の形態3のうち、実施の形態1との共通点の詳しい説明は省略し、以下相違点を中心に説明する。
【0170】
(実施の形態3の構成)
実施の形態3の構成は、
図2と
図3と
図5とに示されるヒートポンプ式暖房装置100を前提としているが、記憶部52と、出力抑制時間帯制御部53と、HP制御部104とが実施の形態1と異なるため、相違点を記載する。
【0171】
まず、実施の形態3の記憶部52を説明する。記憶部52は、実施の形態1と同様に、標準出湯温度テーブルを保持する。さらに、実施の形態3では、計測外気温度と、標準システムでの出湯温度の平均値とに対する消費電力の対応関係を示す、標準消費電力テーブルを保持する。標準消費電力テーブルは、例えば
図11に示すようなテーブルである。
【0172】
図11に示される標準消費電力テーブルは、例えば、外気温度が−15℃で、出湯温度の平均値を30℃とするためには、消費電力3000Wでヒートポンプ101を動作させたら良いということを意味している。
【0173】
標準消費電力テーブルは、実施の形態1の標準出湯温度テーブルと同様に、前述の標準システムに基づいて事前に作成したものである。具体的には、前述の標準システムで、所定外気温度で一定の電力でヒートポンプ101を動作させた際に、一定時間経過するまでの出湯温度の平均値を取得する。同様に外気温度と消費電力の組み合わせに対する出湯温度の平均値を繰り返して取得し、取得した結果から外気温度1℃刻みに対して、各外気温度で出湯温度の平均値が1℃刻みとなる消費電力を抽出して標準消費電力テーブルを作成する。
【0174】
標準消費電力テーブルの作成手段は上記の形態に限定されない。標準システムを用いた実験のほかに、シミュレーションを用いる手法などでもよい。
【0175】
次に、実施の形態3の出力抑制時間帯制御部53を説明する。出力抑制時間帯制御部53は、実施の形態1と同様に、通信部51で出力調整信号が受信された場合に、通信部51で取得した計測外気温度と暖房設定値を参照し、出力抑制時間帯の目標出湯温度を決定する。次に、標準消費電力テーブルのうち、出湯温度の平均値には出力抑制時間帯の目標出湯温度を、計測外気温度には通信部51から取得した値を参照した結果の値を出力抑制時間帯消費電力として算出する。出力抑制時間帯制御部53は、算出した出力抑制時間帯消費電力を、通信部51を介してHP制御部104へ通知し、ヒートポンプ101の運転を制御する。
【0176】
次に、実施の形態3のHP制御部104を説明する。HP制御部104は、暖房設定値を有し、通常時間帯には、実施の形態1と同様に、外気温度検出部105で検出した外気温度に対応する値に目標出湯温度を設定する。
【0177】
出力抑制時間帯には、DR制御部5から取得した出力抑制時間帯消費電力に基づいて、消費電力が出力抑制時間帯消費電力となるよう、圧縮機の周波数、膨張弁、ファンの風量などをヒートポンプ101へ算出する。例えば、消費電力が出力抑制時間帯消費電力よりも大きい場合は圧縮機の周波数を低下させ、逆の場合は圧縮機の周波数を増加させる。
【0178】
(実施の形態3の動作)
次に、実施の形態3に係る暖房システムの制御方法を説明する。実施の形態3は、
図6と
図7に示されるフローチャートを前提としているが、出力抑制時間帯のHP指令値を決定する処理(S605)と、通知されたHP指令値でHPを運転する処理(S706)とが異なるため、相違点を記載する。
【0179】
実施の形態3では、実施の形態1と同様に、DR制御部5は、出力調整信号を取得した場合、暖房設定値を取得する(S601からS604)。
【0180】
次に、出力抑制時間帯制御部53は、出力抑制時間帯消費電力を算出する(S605)。実施の形態1と同様に、出力抑制時間帯制御部53は、放熱係数Kを算出し、標準出湯温度テーブルを参照した値を使用して、出力抑制時間帯の目標出湯温度を算出する。
【0181】
次に、出力抑制時間帯制御部53は、前述のとおり、標準消費電力テーブルのうち、出湯温度の平均値には出力抑制時間帯の目標出湯温度を、計測外気温度には通信部51から取得した値を参照した結果の値を出力抑制時間帯消費電力として算出する。
【0182】
次に、DR制御部5は、出力抑制時間帯消費電力を、通信部51を介しHP制御部104へ通知し(S606)、DR制御部5は出力調整終了時刻が到来するのを監視する(S607)。出力調整終了時刻が到来すると(S607でYes)、DR制御部5は、通信部51に、HP制御部104へ出力抑制時間帯終了を通知させ(S608)、DR制御処理を終了する。
【0183】
また、
図7に示すHP制御処理では、DR制御処理で出力抑制時間帯の出力抑制時間帯消費電力が通知される(S606)。そして、HP制御部104は、DR制御部5の通信部51から送信された出力抑制時間帯の目標出湯温度通知を受信した場合(S701でYes)と判定する。そして、HP制御部104は、DR制御部5の指示を優先し、通知された出力抑制時間帯消費電力でヒートポンプ101を運転させる(S706)。前述のとおり、HP制御部104は消費電力が出力抑制時間帯消費電力と等しくなるよう、圧縮機の周波数、膨張弁、ファンの風量などをヒートポンプ101へ算出する。
【0184】
次に、HP制御部104は、出力抑制時間帯終了通知を監視し(S707)、出力抑制時間帯終了通知を受信した場合(S701でYes)、HP制御部104は、HP制御処理を終了する。
【0185】
(実施の形態3の効果)
図12を参照して、実施の形態3の効果を説明する。
図12は、実施の形態1と実施の形態3での動作の一例を示す図である。この例では、出力抑制時間帯の目標出湯温度が40度、第1の室温設定が20℃、第2の室温設定が18℃の場合を示している。
【0186】
図12の(a)に示す実施の形態1の動作の一例では、前述の通り出湯温度を一定に保つようにHP制御部104がヒートポンプ101を制御する。一般的に、暖房装置103から熱交換器102に戻る水の温度(図の戻り温度)は、住宅内の換気状態の変化や、人の動き、暖房装置103に付随しているバルブの絞り等の要因によって随時変動する。このため、出湯温度検出部107で検知される温度を一定とするために、ヒートポンプ101から熱交換器102を介して水を加熱する能力を、戻り温度が低い時には能力を高く、戻り温度が高い時には能力を低くする制御が行われる。その結果、ヒートポンプ式暖房装置100で消費する電力も変動し、電力のピークが発生することになる。また、室温の変化に関しては、暖房装置103の特性を考慮した制御により、出力抑制時間帯に第2の設定室温となる。
【0187】
これに対し、
図12の(b)に示す実施の形態3の動作の一例では、前述の通り消費電力を一定に保つようにHP制御部104がヒートポンプ101を制御する。このため、消費電力は一定を保ち、ピーク電力は発生しない。この際に出湯温度は変動するが、出湯温度の平均値が40℃となるよう、標準消費電力テーブルを用いて出力抑制時間帯消費電力を算出しているため、出湯温度は平均40℃となるよう変動する。この結果、室温の変化に関しては、実施の形態1と同様に、出力抑制時間帯に第2の設定室温となる。
【0188】
以上のように、実施の形態3に係る暖房システムの制御方法によれば、正確な室温変化を実現することで、快適性を維持しつつ、不要な消費電力を避け、消費電力削減効果を最大化し、かつ消費電力を平準化することが可能である。
【0189】
(実施の形態3の補足)
なお、本実施の形態では、出力抑制時間帯のHP制御部104への指令値として消費電力を使用しているが、使用する制御の指令値はこれに限定されない。例えば、ヒートポンプ式暖房装置100の消費電力の大部分を占める、ヒートポンプ101の圧縮機の周波数を消費電力の代替として使用してもよい。
【0190】
この場合、標準消費電力テーブルの消費電力の代わりに、周波数のテーブルを実験から作成し、記憶部52へ記憶しておく。そして、DR制御部5は、出力抑制時間帯の目標出湯温度に対する周波数を算出し、HP制御部104へ指令する。
【0191】
(全体の補足)
なお、ヒートポンプシステム制御装置、ヒートポンプシステム、および、ヒートポンプシステム制御方法は、上記の実施の形態に限定されない。ヒートポンプシステム制御装置、ヒートポンプシステム、および、ヒートポンプシステム制御方法は、以下に示される態様でもよい。
【0192】
(1)
上記の各装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボードおよびマウスなどで構成されるコンピュータシステムで実現されてもよい。RAMまたはハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここで、コンピュータプログラムは、コンピュータに対する指令を示す複数の命令コードの組み合わせで構成される。
【0193】
(2)
上記の各装置を構成する複数の構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)で構成されてもよい。システムLSIは、複数の構成要素を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROMおよびRAMなどを含むコンピュータシステムである。ROMには、コンピュータプログラムが記憶されている。
【0194】
マイクロプロセッサが、ROMからRAMにコンピュータプログラムをロードし、ロードされたコンピュータプログラムに従って演算等を行うことにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0195】
(3)
上記の各装置を構成する複数の構成要素の一部または全部は、各装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュール等で構成されてもよい。例えば、ICカードまたはモジュールは、マイクロプロセッサ、ROMおよびRAMなどで構成されるコンピュータシステムである。ICカードまたはモジュールには、上記の超多機能LSIが含まれてもよい。
【0196】
マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、ICカードまたはモジュールは、その機能を達成する。ICカードまたはモジュールは、耐タンパ性を有してもよい。
【0197】
(4)
本概念は、上記の複数の実施の形態に示された方法で実現されてもよい。また、本概念は、これらの方法をコンピュータによって実現するコンピュータプログラムで実現されてもよいし、コンピュータプログラムからなるデジタル信号で実現されてもよい。
【0198】
また、本概念は、コンピュータプログラムまたはデジタル信号が記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体で実現されてもよい。記録媒体は、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray(登録商標) Disc)、または、半導体メモリなどである。また、本概念は、これらの記録媒体に記録されているデジタル信号で実現されてもよい。
【0199】
また、上記のコンピュータプログラムまたはデジタル信号は、電気通信回線、無線または有線の通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、あるいは、データ放送等を経由して伝送されてもよい。
【0200】
また、上記の各装置は、マイクロプロセッサとメモリとを備えるコンピュータシステムでもよい。そして、マイクロプロセッサが、メモリに記憶されているコンピュータプログラムに従って動作してもよい。
【0201】
また、プログラムまたはデジタル信号が記録媒体に記録され移送されることにより、あるいは、プログラムまたはデジタル信号がネットワーク等を経由して移送されることにより、独立した他のコンピュータシステムが上記の複数の実施の形態に示された方法を実行してもよい。
【0202】
(5)
上記の各装置は、集積回路などの電子回路でもよい。上記に示された複数の構成要素は、全体として1つの回路でもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの構成要素は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0203】
(6)
ヒートポンプシステム制御装置等は、複数の実施の形態に示された各構成要素に対応するメモリおよびプロセッサを備えてもよい。そして、プロセッサが、メモリを用いて、複数の実施の形態に示された各処理を実行してもよい。
【0204】
(7)
上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0205】
(8)
上記の実施の形態および上記の変形例が、それぞれ組み合わされてもよい。上記に示された特定の構成要素が実行する処理を別の構成要素が実行してもよい。また、処理を実行する順番が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0206】
以上、一つまたは複数の態様に係るヒートポンプシステム制御装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0207】
(本開示の第1側面にかかるヒートポンプ制御装置)
本開示の第1側面にかかるヒートポンプ制御装置は、
ヒートポンプから暖房装置へ熱を供給するヒートポンプ式暖房装置を制御するヒートポンプ制御装置であって、
前記暖房装置が設置された需要家の空間の外気温度を示す温度情報を入力する入力部と、
前記外気温度との関係で前記空間を第1設定温度に維持する前記ヒートポンプの出湯温度を管理するメモリを用いて、前記外気温度に応じた第1出湯温度を示す第1情報を前記ヒートポンプ式暖房装置に出力する制御部と、を具備し、
前記ヒートポンプ制御装置は、前記ヒートポンプ式暖房装置の消費電力を抑制する出力抑制時間帯における前記空間の目標温度である第2設定温度を示す設定情報を格納し、
前記制御部は、前記出力抑制時間帯になると、前記第1設定温度から前記第2設定温度に切り替えるために、前記外気温度が同じ条件下においては前記1出湯温度が高いほど前記第1出湯温度からの変化量が大きい第2
出湯温度を示す第2情報を前記ヒートポンプ式暖房装置に出力する。
【0208】
上記側面によると、前記出力抑制時間帯になると、前記室温を、例えば、20℃から、例えば、18℃に切り替えるために、前記外気温度が同じ条件下においては(例えば、−15℃)、前記第1出湯温度が高い程前記第1出湯温度からの変化量が大きい第2出湯温度に設定するので、前記第1出湯温度に応じて必要以上に電力を消費することを防止でき、その結果、削減電力の抑制量を向上させつつ、快適性の確保と消費電力の削減との両立をさらに図る。
【0209】
上記側面において、例えば、前記第2出湯温度は、前記第1出湯温度よりも低い温度であってもよい。
【0210】
上記側面において、例えば、前記制御部は、前記第1出湯温度の最高出湯温度が高いほど、前記第1出湯温度から前記第2出湯温度への下げ幅を大きくしてもよい。
【0211】
上記側面において、例えば、前記制御部は、前記ヒートポンプの出湯温度を前記第1出湯温度から第2出湯温度に下げたときに、前記第1出湯温度が予め定められた上限値になっていた場合、前記第1出湯温度から前記第2出湯温度への下げ幅を、前記第1出湯温度が前記上限値に達した外気温における下げ幅としてもよい。
【0212】
上記側面において、例えば、前記制御部は、前記ヒートポンプの出湯温度を前記第1出湯温度から第2出湯温度に下げたときに、前記第2出湯温度が予め定められた下限値よりも小さくなる場合、前記第2出湯温度を前記下限値に設定してもよい。
【0213】
上記側面において、例えば、前記第1出湯温度から前記第2出湯温度への前記変化量は、前記第1出湯温度の最高出湯温度と前記第1出湯温度の最低出湯温度との間で、同一外気温度における前記第1出湯温度の大きさに比例するようにしてもよい。
【0214】
前記制御部は、同一の前記第1設定温度および同一の前記第2設定温度に対して前記第1出湯温度が異なる温度特性が設定可能であり、前記出力抑制時間帯において、同一外気温度に対する前記第1出湯温度が高いほど前記第1出湯温度からの変化量が大きい第2出湯温度を示す第2情報を前記ヒートポンプ式暖房装置に出力するようにしてもよい。
【0215】
上記側面において、例えば、さらに、出力抑制時間帯を示す情報を含む出力調整信号を受信する通信部を備え、前記制御部は、前記出力調整信号を受信した場合、前記出力抑制時間において前記第2
出湯温度を示す情報を前記ヒートポンプ式暖房装置に出力するようにしてもよい。
【0216】
なお、上記の側面は、ヒートポンプ制御装置の制御方法、暖房システム又はプログラムとして実現されてもよい。
【0217】
(本開示の第2側面にかかるヒートポンプ制御装置)
本開示の第2側面にかかるヒートポンプ制御装置は、
ヒートポンプから暖房装置へ熱を供給するヒートポンプ式暖房装置を制御するヒートポンプ制御装置であって、
前記暖房装置が設置された需要家の空間の外気温度を示す温度情報を入力する入力部と、
前記外気温度との関係で第1設定温度に前記空間を維持する前記ヒートポンプの第1出湯温度を管理するメモリを用いて、前記外気温度に応じた第1出湯温度を示す第1情報を前記ヒートポンプ式暖房装置に出力する制御部と、を具備し、
前記ヒートポンプ制御装置は、前記ヒートポンプ式暖房装置の消費電力を抑制する出力抑制時間帯における前記空間の目標温度である第2設定温度を示す情報を格納し、
前記制御部は、
前記出力抑制時間帯になると、前記第1設定温度から前記第2設定温度に切り替えるために、前記外気温度が同じである条件下においては前記
第1設定温度が高いほど前記第1出湯温度からの変化量が小さい第2出湯温度を示す第2情報を前記ヒートポンプ式暖房装置に出力する。
【0218】
例えば、前記ヒートポンプ制御装置は、前記外気温度との関係で第1設定温度(例えば、[1]18℃、又は、[2]20℃)に前記空間を維持する前記ヒートポンプの第1出湯温度(例えば、[1]と[2]と共通で55℃)を管理するメモリを用いて、前記外気温度(例えば、−15℃)のとき、前記第1設定温度が18℃の場合及び20℃の場合のいずれにおいても、前記第1出湯温度として55℃を示す第1出湯情報を前記ヒートポンプ式暖房装置に出力する。
【0219】
ここで、前記出力抑制時間帯になると、前記第1設定温度(例えば、[1]18℃)か ら前記第2設定温度(例えば、[1]16℃)に切り替えるために、前記外気温度が同 じである条件下(例えば、−15℃)においては前記
第1設定温度([1]18℃)が 高い程前記第1出湯温度(例えば、55℃)からの変化量が小さい第2出湯温度(例え ば、[1]45℃)を示す第2出湯情報を前記ヒートポンプ式暖房装置に出力する。
【0220】
一方、前記出力抑制時間帯になると、前記第1設定温度(例えば、[2]20℃)から前記第2設定温度(例えば、[2]16℃)に切り替えるために、前記外気温度が同じである条件下(例えば、−15℃)においては前記第1設定温度(例えば、[2]20℃)が高い程前記第1出湯温度(55℃)からの変化量が小さい第2出湯温度(例えば、[2]48℃)を示す第2出湯情報を前記ヒートポンプ式暖房装置に出力する。
【0221】
上記側面によると、前記出力抑制時間帯になると、前記室温を、例えば、18℃から、 例えば、16℃に切り替えた場合よりも、20℃から、例えば、16℃に切り替えた場 合の方が、前記
第1設定温度が高い程前記第1出湯温度からの変化量を小さく第2出湯 温度に設定するので、前記第1出湯温度に応じて必要以上に電力を消費することを防止 でき、その結果、削減電力の抑制量を向上させつつ、快適性の確保と消費電力の削減と の両立をさらに図る。
【0222】
上記側面において、例えば、前記第2出湯温度は前記第1出湯温度よりも低い温度であってもよい。
【0223】
上記側面において、例えば、前記制御部は、前記ヒートポンプの出湯温度を前記第1出湯温度から前記第2出湯温度に下げたときに、前記第1出湯温度が予め定められた上限値になっていた場合、前記第1出湯温度から前記第2出湯温度への下げ幅を、前記第1出湯温度が上限値に達した外気温における下げ幅としてもよい。
【0224】
上記側面において、例えば、前記制御部は、前記ヒートポンプの出湯温度を前記第1出湯温度から前記第2出湯温度に下げたときに、前記第2出湯温度が予め定められた下限値よりも小さくなる場合、前記第2出湯温度を前記下限値に設定してもよい。
【0225】
なお、上記の側面は、ヒートポンプ制御装置の制御方法、暖房システム又はプログラムとして実現されてもよい。
【0226】
(本開示の第3側面にかかるヒートポンプ制御装置)
本開示の第3側面にかかるヒートポンプ制御装置は、
ヒートポンプから暖房装置へ熱を供給するヒートポンプ式暖房装置を制御するヒートポンプ制御装置であって、
前記暖房装置が設置された需要家の空間の外気温度を示す温度情報を入力する入力部と、
前記外気温度との関係で第1設定温度に前記空間を維持する前記ヒートポンプの出湯温度を管理するメモリを用いて、前記外気温度に応じた第1出湯温度を示す第1情報を前記ヒートポンプ式暖房装置に出力する制御部と、を具備し、
前記ヒートポンプ制御装置は、前記ヒートポンプ式暖房装置の消費電力を抑制する出力抑制時間帯における前記暖房装置の第2設定温度を示す設定情報を格納し、
前記制御部は、
前記出力抑制時間帯になると、前記第1設定温度から前記第2設定温度に切り替えるために、前記外気温度が同じ条件下であって前記第1設定温度と前記第2設定温度との温度差が同一である場合においては前記第1出湯温度が高いほど前記第1出湯温度からの変化量が大きい第2
出湯温度を示す第2情報を前記ヒートポンプ式暖房装置に出力する。
【0227】
例えば、前記ヒートポンプ制御装置は、前記ヒートポンプからの出湯温度を調整する出力抑制時間帯になると、室温を前記第1設定温度(例えば、20℃)から前記第2設定温度(例えば、18℃)に切り替える。ここで、例えば、前記外気温度は−15℃であって、前記第1設定温度([1]20℃)と前記第2設定温度([1]18℃)との温度差は2℃であるとする。
【0228】
例えば、この条件下で、本側面においては、前記1出湯温度(例えば、[1]55℃)に対して前記第2出湯温度(例えば、[1]45℃)を示す第2出湯情報を前記ヒートポンプ式暖房装置に出力することができる(第1の場合)。
【0229】
一方、前記1出湯温度(例えば、[2]50℃)に対して前記第2出湯温度([2]43℃)を示す第2出湯情報を前記ヒートポンプ式暖房装置に出力することもできる(第2の場合)。
【0230】
このように、前記第1の場合と前記第2の場合とを比較すると、前記第2の場合より前記第1の場合の方が、前記1出湯温度が高く、前記第1出湯温度からの変化量が大きい第2出湯温度を示す第2出湯情報を前記ヒートポンプ式暖房装置に出力している。
【0231】
上記側面によると、前記出力抑制時間帯になると、前記室温を、例えば、20℃から、例えば、18℃に切り替えるために、前記第1出湯温度が高い程前記第1出湯温度からの変化量が大きい第2出湯温度に設定するので、前記第1出湯温度に応じて必要以上に電力を消費することを防止でき、その結果、削減電力の抑制量を向上させつつ、快適性の確保と消費電力の削減との両立をさらに図る。
【0232】
上記側面において、例えば、前記第2出湯温度は、前記第1出湯温度よりも低い温度であってもよい。
【0233】
上記側面において、例えば、前記制御部は、前記ヒートポンプの出湯温度を前記第1出湯温度から第2出湯温度に下げたときに、前記第1出湯温度が予め定められた上限値になっていた場合、前記第1出湯温度から前記第2出湯温度への下げ幅を、前記第1出湯温度が前記上限値に達した外気温における下げ幅としてもよい。
【0234】
上記側面において、例えば、前記制御部は、前記ヒートポンプの出湯温度を前記第1出湯温度から第2出湯温度に下げたときに、前記第2出湯温度が予め定められた下限値よりも小さくなる場合、前記第2出湯温度を前記下限値に設定してもよい。
【0235】
上記側面において、例えば、前記第1出湯温度から前記第2出湯温度への前記変化量は、前記第1出湯温度の最高出湯温度と前記第1出湯温度の最低出湯温度との間で、同一外気温度における前記第1出湯温度の大きさに比例するようにしてもよい。
【0236】
上記側面において、例えば、前記制御部は、前記第1出湯温度の最高出湯温度が高いほど、前記第1出湯温度から前記第2出湯温度への下げ幅を大きくしてもよい。
【0237】
なお、上記の側面は、ヒートポンプ制御装置の制御方法、暖房システム又はプログラムとして実現されてもよい。
【0238】
(本開示の第4側面にかかる暖房システムの制御方法)
本開示の第4側面にかかる暖房システムの制御方法は、エネルギー供給元からエネルギーの供給を受けて動作する暖房システムの制御方法であって、前記暖房システムは、前記エネルギー供給元から供給されるエネルギーを用いて熱を生成する熱源を備え、前記暖房システムの制御方法は、前記暖房システムの熱の供給先である第1の需要家の空間の温度が第1の温度となるための第1の制御指令である第1の暖房設定を取得する第1取得ステップと、所定の温度と、第2の需要家の空間の温度が前記所定の温度となる第1の制御指令との関係である第2の暖房設定を取得する第2取得ステップと、前記第1の需要家の空間の温度を、任意の温度から温度変更したときの目標温度である第2の温度を取得する第3取得ステップと、前記第1の暖房設定および前記第2の暖房設定を用いて、前記第1の需要家の空間の温度が前記第2の温度となる第2の制御指令を算出する算出ステップと、前記第2の制御指令に基づいて前記熱源を制御する制御ステップと、を含む。
【0239】
また、例えば、前記熱源は、電力をエネルギーとするヒートポンプであってもよい。
【0240】
また、例えば、前記第1の暖房設定は、外気温度に対する制御指令との対応関係であってもよい。
【0241】
また、例えば、前記第1の暖房設定は、第1の需要家の断熱特性と暖房装置の放熱特性に基づき決定される制御指令との対応関係であってもよい。
【0242】
また、例えば、前記第2の暖房設定は、変化前の空間の温度と、外気温度とに対しての、空間の温度が所定の室温となる制御指令との関係であってもよい。
【0243】
また、例えば、前記算出ステップでは、前記第2の暖房設定のうち、前記第2の温度となる第1の制御指令の第1の値を算出し、前記第1の暖房設定と前記第2の暖房設定の関係から、前記第1の値を補正した第2の値を算出してもよい。
【0244】
また、例えば、前記暖房システムは、給湯タンクを備え、前記暖房システムの制御方法は、さらに、前記熱源が給湯タンクを加熱する時間を算出する給湯加熱ステップを含み、前記算出ステップでは、給湯タンクを加熱する時間を除く時間で、前記第1の需要家の空間の温度が前記第2の温度となる第2の制御指令を算出してもよい。
【0245】
また、例えば、前記算出ステップでは、前記第2の暖房設定の変化前の空間の温度の参照に用いる値として、予め決められた温度、第1の需要家の空間を計測した温度、前記第2の温度のいずれかを用いてもよい。
【0246】
また、例えば、前記第1の制御指令および第2の制御指令は、前記熱源で加熱された水の温度、消費エネルギー量、および、ヒートポンプ圧縮機の周波数のいずれかの指令であってもよい。
【0247】
なお、上記の全般的または具体的な態様は、暖房システム又はプログラムとして実現されてもよい。