特許第6240965号(P6240965)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6240965配向装填システムおよびウェル中に装填された粒子を配向させる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6240965
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】配向装填システムおよびウェル中に装填された粒子を配向させる方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/00 20060101AFI20171127BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   G01N1/00 101H
   G01N35/02 A
【請求項の数】17
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-1507(P2016-1507)
(22)【出願日】2016年1月7日
(65)【公開番号】特開2016-136140(P2016-136140A)
(43)【公開日】2016年7月28日
【審査請求日】2016年3月7日
(31)【優先権主張番号】62/100,715
(32)【優先日】2015年1月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517356265
【氏名又は名称】パーソナル ジェノミックス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(72)【発明者】
【氏名】蔡 經緯
(72)【発明者】
【氏名】謝 馨儀
(72)【発明者】
【氏名】彭 于▲せん▼
(72)【発明者】
【氏名】陳 文逸
(72)【発明者】
【氏名】黄 俊仁
【審査官】 三木 隆
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/102329(WO,A1)
【文献】 特開2002−181819(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/179069(WO,A1)
【文献】 米国特許第05779907(US,A)
【文献】 国際公開第2003/067258(WO,A1)
【文献】 特開2003−279570(JP,A)
【文献】 特開2011−185920(JP,A)
【文献】 特表2010−517040(JP,A)
【文献】 特開2006−226887(JP,A)
【文献】 特開2006−098082(JP,A)
【文献】 特表2010−504187(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01903337(EP,A1)
【文献】 特開2010−172271(JP,A)
【文献】 特表2010−503842(JP,A)
【文献】 特開2008−190937(JP,A)
【文献】 国際公開第2002/095404(WO,A1)
【文献】 LEAMON J H,A massively parallel PicoTiterPlate based platform for discrete picoliter-scale polymerase chain reactions,Electrophoresis,2003年,Vol.24 No.21,Page.3769-3777
【文献】 Sara Lindstrom,PCR amplification and genetic analysis in a microwell cell culturing chip,Lab on a Chip,2009年,Vol.9,Page.3465-3471
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00
G01N 35/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に形成された複数のウェルであって、各ウェルが底部および側壁を備え、前記側壁が上方部および下方部を備えている、複数のウェルと、
前記ウェル中に装填された複数の粒子
前記ウェルの前記側壁中に部分的に形成された磁性材料を含む金属層と、を備える配向装填システムであって
前記粒子は、コア構造と、前記コア構造を部分的に覆う磁性材料を含む内層とを備え、さらに前記内層上に形成される外層を備えていてもよく、
前記内層に覆われない前記コア構造の一部は、露出しているか、またはコーティング層によって覆われており、
前記粒子の下側が前記ウェルの前記底部の方に配向し、かつ前記露出したコア構造もしくは前記コーティング層が当該配向した粒子の下側となるように、前記内層が前記金属層に引き付けられる、または、前記粒子の下側が前記ウェルの前記底部の方に配向し、かつ前記内層もしくは前記外層が当該配向した粒子の下側となるように、前記内層が前記金属層に引き付けられる、
配向装填システム。
【請求項2】
前記外層および前記コーティング層が非磁性材料を含み、前記コーティング層が前記外層とは異なる請求項1に記載の配向装填システム。
【請求項3】
前記非磁性材料がポリスチレン、ヒドロゲル、シリカ、アルミナ、ダイヤモンド、または金、銀、銅もしくはこれらの合金である請求項2に記載の配向装填システム。
【請求項4】
前記露出したコア構造または前記コーティング層が前記ウェルの前記底部の方に配向するように、前記金属層が前記側壁の前記上方部に形成される請求項1に記載の配向装填システム。
【請求項5】
前記内層または前記外層が前記ウェルの前記底部の方に配向するように、前記金属層が前記側壁の前記下方部に形成される請求項1に記載の配向装填システム。
【請求項6】
前記コア構造がポリスチレン、ヒドロゲル、シリカ、アルミナ、ダイヤモンド、または金、銀、銅もしくはこれらの合金を含む請求項1に記載の配向装填システム。
【請求項7】
前記内層の前記磁性材料および前記金属層の前記磁性材料が、それぞれ独立に、鉄、コバルト、ニッケルおよびこれらの合金からなる群より選ばれる請求項1に記載の配向装填システム。
【請求項8】
前記内層または前記外層が5〜1000nmの厚さを有する請求項1に記載の配向装填システム。
【請求項9】
前記粒子が50nm〜10μmの径を有する請求項1に記載の配向装填システム。
【請求項10】
前記ウェルが、前記粒子の前記径の1〜3倍の幅を有する請求項1に記載の配向装填システム。
【請求項11】
前記ウェルが、前記粒子の前記径の0.1〜5倍の深さを有する請求項1に記載の配向装填システム。
【請求項12】
前記粒子が、その上に修飾された電荷的に中性な分子(neutrally charged molecules)をさらに含む請求項1に記載の配向装填システム。
【請求項13】
前記粒子の前記下側上および前記ウェルの前記底部上が、帯電分子(electrically charged molecules)で修飾されており、前記粒子の前記下側上の前記帯電分子が、前記ウェルの前記底部上の前記帯電分子とは反対の電荷を含む請求項1に記載の配向装填システム。
【請求項14】
前記ウェルの前記底部上の前記帯電分子は、両性イオン分子(zwitterionic molecule)を含む請求項13に記載の配向装填システム。
【請求項15】
基板と、
前記基板に形成された、底部および側壁をそれぞれ備える複数のウェルと、
前記ウェル中に装填された、磁性ビーズを部分的に有する複数の粒子と、
前記磁性ビーズに対応する前記ウェルの前記側壁中に形成された金属層と、を含み、
前記金属層が磁性材料を含み、前記粒子における前記磁性ビーズを有する部分が前記ウェルの前記底部の方に配向するように、前記磁性ビーズが前記金属層に引き付けられる、
配向装填システム。
【請求項16】
前記磁性ビーズ上および前記ウェルの前記底部上が帯電分子で修飾されており、前記粒子における前記磁性ビーズを有する部分が前記ウェルの前記底部の方に配向するように、前記磁性ビーズ上の前記帯電分子が、前記ウェルの前記底部上の前記帯電分子とは反対の電荷を含む請求項15に記載の配向装填システム。
【請求項17】
前記ウェルの前記底部上の前記帯電分子が両性イオン分子を含む請求項16に記載の配向装填システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年1月7日に出願された米国仮特許出願第62/100,715号の利益を主張し、その全体が本明細書において参照することにより組み込まれる。
【0002】
本技術分野は、配向装填(oriented loading)システムおよびウェル中に装填された粒子を配向させる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
大半の従来の化学または生化学的アッセイは、“バルク(bulk)”測定に基づいている。かかる測定では、一定の容積のサンプル溶液中の多数の分子の集合的挙動(collective behavior)が測定されて、それら分子の特性が決定される。しかし、多くの状況において、例えば、所定の技術の標的分子を検出する感度の限界に対し、サンプルの容積が小さすぎたり、または標的分子の濃度が低すぎたりすると、バルク測定アプローチは使えない。近年、単一標的分子の検出が可能となってきている。また、単一分子検出は、従来のバルク測定に比べ、よりはるかに高い感度を提供し、かつより詳細な情報を提供する。単一分子の計器の感度の進歩もまた、高感度の生体分子検出および診断の新たな可能性を約束する。
【0004】
単一分子検出の分野では、反応/観察領域への標的分子の装填(loading)、および標的分子凝集の形成においていくつかの困難が生じている。
【0005】
よって、標的分子の装填の効率を高め、かつそれらから発せられるシグナルをはっきりと検出するための、改善されたシステムおよび方法の開発が望まれる。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に記載される実施形態は、静電力、磁力またはこれらの組み合わせにより粒子をウェルに配向性をもって装填するためのシステムおよび方法を提供する。本開示の1実施形態によれば、配向装填(oriented loading)システムが提供される。当該配向装填システムは、基板と、基板に形成された、底部および側壁をそれぞれ備える複数のウェルと、ウェル中に装填された複数の粒子であって、粒子が、コア構造、コア構造を部分的に覆う鉄、コバルト、ニッケルもしくはこれらの合金(つまり磁性材料)を含む内層、および外層であって、内層および外層に覆われていないコア構造の一部が露出するよう内層上に形成された外層、を含む粒子と、内層に対応するウェルの側壁中に部分的に形成された、鉄、コバルト、ニッケルもしくはこれらの合金(つまり磁性材料)を含む金属層と、を含み、露出したコア構造がウェルの底部の方を向く、または外層がウェルの底部の方を向くように、内層が金属層に引き付けられる。いくつかの実施形態において、金属層は内層と同じ材料を有する。任意で、露出したコア構造がウェルの底部の方を向くように、露出したコア構造上が負帯電分子で修飾され、ウェルの底部上が正帯電分子で修飾される、または外層がウェルの底部の方を向くように、外層上が負帯電分子で修飾され、かつウェルの底部上が正帯電分子で修飾される。いくつかの実施形態において、外層は任意(optional)である。いくつかの実施形態において、露出したコア構造はコーティング層によって覆われる。
【0007】
本開示の1実施形態によれば、配向装填(oriented loading)システムが提供される。当該配向装填システムは、基板と、基板に形成された、底部および側壁をそれぞれ備える複数のウェルであって、ウェルの底部上が正帯電分子で修飾されている、ウェルと、ウェル中に装填された複数の粒子と、を含み、粒子が、コア構造、任意で、コア構造を部分的に覆う鉄、コバルト、ニッケルまたはこれらの合金(つまり磁性材料)を含む内層、および外層であって、内層と外層に覆われないコア構造の一部が露出するよう、内層上、または直接コア構造上に形成される外層、を含み、露出したコア構造がウェルの底部の方を向く、または外層がウェルの底部の方を向くように、露出したコア構造上が負帯電分子で修飾されている、または外層上が負帯電分子で修飾されている。
【0008】
本開示の1実施形態によれば、配向装填(oriented loading)システムが提供される。当該配向装填システムは、基板と、基板に形成された、底部および側壁をそれぞれ備える複数のウェルと、ウェル中に装填された磁性ビーズを有する複数の粒子と、磁性ビーズに対応するウェルの側壁中に形成された磁性材料を含む金属層と、を含み、磁性ビーズがウェルの底部の方を向くように、磁性ビーズが前記金属層に引き付けられる。いくつかの実施形態において、金属層は磁性ビーズと同じ材料を有する。任意で、磁性ビーズがウェルの底部の方を向くように、磁性ビーズ上が負帯電分子で修飾され、ウェルの底部上が正帯電分子で修飾される。
【0009】
本開示の1実施形態によれば、配向装填(oriented loading)システムが提供される。当該配向装填システムは、基板と、基板に形成された、底部および側壁をそれぞれ備える複数のウェルであって、ウェルの底部上が正帯電分子または負帯電分子で修飾されている、ウェルと、ウェル中に装填された複数の粒子と、を含み、粒子が、コア構造、コア構造を部分的に覆う鉄、コバルト、ニッケルもしくはこれらの合金(つまり磁性材料)を含む内層、および外層であって、内層と外層に覆われないコア構造の一部が露出するよう内層上に形成された、その上が電荷的に中性な分子で修飾されている外層を含み、露出したコア構造がウェルの底部の方を向くように、露出したコア構造上が負帯電分子または正帯電分子で修飾される。
【0010】
本開示の1実施形態によれば、ウェルに装填された粒子を配向させる方法が提供される。当該ウェルに装填された粒子を配向させる方法は、底部および側壁をそれぞれ備える複数のウェルが形成されている基板を準備する工程であって、磁性材料を含む金属層がウェルの側壁中に形成されている、工程と、複数の粒子を準備する工程であって、粒子が、コア構造と、コア構造を部分的に覆う鉄、コバルト、ニッケルもしくはこれらの合金(つまり磁性材料)を含む内層、および外層であって、内層と外層に覆われないコア構造の一部が露出するように内層上に形成された外層、を含む、工程と、粒子をウェル中に装填する工程と、を含み、露出したコア構造がウェルの底部の方を向く、または外層がウェルの底部の方を向くように、内層が金属層によって引き付けられる。いくつかの実施形態において、金属層は内層と同じ材料を有する。
【0011】
本開示の1実施形態によれば、ウェルに装填された粒子を配向させる方法が提供される。当該ウェルに装填された粒子を配向させる方法は、底部および側壁をそれぞれ備える複数のウェルが形成されている基板を準備する工程であって、磁性材料を含む金属層がウェルの側壁中に形成されている、工程と、複数の粒子を準備する工程であって、粒子が、コア構造と、コア構造を部分的に覆う鉄、コバルト、ニッケルもしくはこれらの合金(つまり磁性材料)を含む内層、および外層であって、内層と外層に覆われないコア構造の一部が露出するように内層上に形成された外層、を含む、工程と、粒子をウェル中に装填する工程と、を含み、内層が金属層によって引き付けられる。当該方法は、露出したコア構造がウェルの底部の方を向くように、露出したコア構造上を負帯電分子で修飾すると共に、ウェルの底部上を正帯電分子で修飾する工程、または外層がウェルの底部の方を向くように、外層上を負帯電分子で修飾すると共に、ウェルの底部上を正帯電分子で修飾する工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、金属層は内層と同じ材料を有する。
【0012】
本開示の1実施形態によれば、ウェルに装填された粒子を配向させる方法が提供される。当該ウェルに装填された粒子を配向させる方法は、底部および側壁をそれぞれ備える複数のウェルが形成されている基板を準備する工程であって、ウェルの底部上が正帯電分子で修飾されている、工程と、複数の粒子を準備する工程であって、粒子が、コア構造、コア構造を部分的に覆う鉄、コバルト、ニッケルもしくはこれらの合金(つまり磁性材料)を含む内層、および外層であって、内層と外層に覆われないコア構造の一部が露出するように内層上に形成された外層、を含み、露出したコア構造上が負帯電分子で修飾される、または外層上が負帯電分子で修飾される、工程と、露出したコア構造がウェルの底部の方を向く、または外層がウェルの底部の方を向くように、粒子をウェル中に装填する工程と、を含む。
【0013】
本開示の1実施形態によれば、ウェルに装填された粒子を配向させる方法が提供される。当該ウェルに装填された粒子を配向させる方法は、底部および側壁をそれぞれ備える複数のウェルが形成されている基板を準備する工程であって、ウェルの底部上が両性イオン分子で修飾されている、工程と、複数の粒子を準備する工程であって、粒子が、コア構造、および外層であって、外層に覆われないコア構造の一部が露出するようにコア構造を部分的に覆う外層、を含み、露出したコア構造上または外層上が帯電分子で修飾されている、工程と、粒子を溶液と共にウェル中に装填する工程と、両性イオン分子が、露出したコア構造上または外層上の帯電分子と反対または同じである電荷を含むように、溶液のpH値を調整する工程と、を含み、露出したコア構造または外層が、ウェルの底部上の両性イオン分子に引き付けられるまたは反発することで、露出したコア構造または外層がウェルの底部の方を向く、または粒子がウェルから離れる。
【0014】
本開示において、ナノ粒子は標的分子の装填効率を高める。標的分子から発せられるシグナルは、検出時におけるナノ粒子の精確な配向(precise orientation)のために、はっきりと検出される。標的分子はナノ粒子上に結合され、標的分子から発せられるシグナルは、粒子の標的分子が結合している面が検出器/センサーへ向くように制御することによって、改善される。本開示は、ナノ粒子、ナノウェルまたはこれらの組み合わせを修飾することによってナノ粒子を精確に配向させる方法およびシステムを提供する。
【0015】
添付の図面を参照しながら、以下の実施形態において詳細な説明を行う。
【図面の簡単な説明】
【0016】
添付の図面を参照しながら、後続の詳細な説明および実施例を読むことによって、本開示をより十分に理解することができる。
図1図1は、本開示の1実施形態による配向装填システムの断面図である。
図2図2は、本開示の1実施形態による配向装填システムの断面図である。
図3A図3Aは、本開示の1実施形態による配向装填システムの断面図である。
図3B図3Bは、本開示の1実施形態による配向装填システムの断面図である。
図4A図4Aは、本開示の1実施形態による配向装填システムの断面図である。
図4B図4Bは、本開示の1実施形態による配向装填システムの断面図である。
図5図5は、本開示の1実施形態による配向装填システムの断面図である。
図6図6は、本開示の1実施形態による配向装填システムの断面図である。
図7図7は、本開示の1実施形態による配向装填システムの断面図である。
図8図8は、本開示の1実施形態による配向装填システムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の詳細な記載においては、説明の目的で、開示される実施形態を十分理解するために、多数の特定の詳細が記述される。しかし、これら特定の詳細がなくとも、1つまたはそれ以上の実施形態が実施可能であることが明らかであろう。他の場合では、図を簡潔とするため、既知の構造および装置は概略的に示される。
【0018】
図1を参照すると、本開示の1実施形態により、配向装填システム(oriented loading system)10が提供される。配向装填システム10は、基板12と、基板12に形成された、底部16および側壁18をそれぞれ備える複数のウェル14と、ウェル14中に装填された複数の粒子20と、を含む。粒子20(例えばヤヌス粒子)は、コア構造22と、コア構造22を部分的に覆う鉄、コバルト、ニッケルまたはこれらの合金のような磁性材料を含む内層24と、外層26であって、内層24および外層26に覆われないコア構造22の一部が露出するように内層24上に形成された外層26と、内層24に対応するウェル14の側壁18中に部分的に形成された、鉄、コバルト、ニッケルまたはこれらの合金のような磁性材料を含む金属層28と、を含む。露出したコア構造22’がウェル14の底部16の方を向くように、内層24が金属層28によって引き付けられる。任意で、金属層28は内層24と同じ材料を有する。
【0019】
この実施形態では、露出したコア構造22’がウェル14の底部16の方を向くように、金属層28が側壁18の上方部に形成されている。例えば、金属層28は、ウェルの深さの1/2、2/3または3/4より上の側壁18の位置に形成される。
【0020】
いくつかの実施形態において、金属層28の上の基板12は、非磁性材料、例えば、シリコン、金、クロム、銀、シリカ、アルミナ、TiOまたはTaを含み得る。
【0021】
いくつかの実施形態において、金属層28は、粒子20の径の約0.1〜0.3倍の厚さを有する。
【0022】
いくつかの実施形態において、コア構造22は、非磁性材料、例えば、ポリスチレンもしくはヒドロゲルのようなポリマー、シリカもしくはアルミナのような金属酸化物、金、銀もしくは銅またはこれらの合金のような金属、あるいはダイヤモンドを含み得る。
【0023】
いくつかの実施形態において、外層26は、非磁性材料、例えば、ポリスチレン、ヒドロゲル、シリカ、アルミナ、ダイヤモンド、または金、銀、銅もしくはこれらの合金を含み得る。
【0024】
いくつかの実施形態において、内層24は約5nmから約1000nmの厚さを有する。任意で、内層24は約10nmから約100nmの厚さを有する。
【0025】
いくつかの実施形態において、外層26は約5nmから約1000nmの厚さを有する。任意で、外層26は約10nmから約100nmの厚さを有する。
【0026】
いくつかの実施形態において、外層26は任意(optional)であってよい。
【0027】
いくつかの実施形態において、コア構造22の表面の約3分の1から3分の2が内層24および外層26に覆われる。
【0028】
いくつかの実施形態において、粒子20は約50nmから約10000nm(10μm)または約100nmから約10000nm(10μm)の径を有する。
【0029】
いくつかの実施形態において、粒子20は、露出したコア構造22’上に形成されるコーティング層(図示せず)をさらに含んでいてよい。コーティング層は、外層26とは異なる、ポリスチレン、ヒドロゲル、シリカ、アルミナ、ダイヤモンド、または金、銀、銅もしくはこれらの合金のような非磁性材料を含み得る。
【0030】
いくつかの実施形態において、ウェル14は、粒子20の径の約1〜3倍の幅dを有する。
【0031】
いくつかの実施形態において、ウェル14は、粒子20の径の約0.1〜5倍の深さhを有する。
【0032】
図2を参照すると、本開示の1実施形態により、配向装填システム100が提供される。配向装填システム100は、基板12と、基板12に形成された、底部16および側壁18をそれぞれ備える複数のウェル14と、ウェル14中に装填された複数の粒子20と、を含む。粒子20(例えばヤヌス粒子)は、コア構造22と、コア構造22を部分的に覆う鉄、コバルト、ニッケルまたはこれらの合金のような磁性材料を含む内層24と、外層26であって、内層24および外層26に覆われないコア構造22の一部が露出するように内層24上に形成された外層26と、内層24に対応するウェル14の側壁18中に部分的に形成された、鉄、コバルト、ニッケルまたはこれらの合金のような磁性材料を含む金属層28と、を含む。外層26がウェル14の底部16の方を向くように、内層24が金属層28によって引き付けられる。任意で、金属層28は内層24と同じ材料を有する。
【0033】
この実施形態では、外層26がウェル14の底部16の方を向くように、金属層28が側壁18の下方部に形成されている。例えば、金属層28は、ウェルの深さの1/2、2/3または1/4より下の側壁18の位置に形成される。
【0034】
いくつかの実施形態において、外層26は任意であってよい。
【0035】
図3Aを参照すると、本開示の1実施形態により、配向装填システム40が提供される。配向装填システム40は、基板12と、基板12に形成された、底部16および側壁18をそれぞれ備える複数のウェル14と、ウェル14中に装填された複数の粒子20と、を含む。粒子20(例えばヤヌス粒子)は、コア構造22と、コア構造22を部分的に覆う鉄、コバルト、ニッケルまたはこれらの合金のような磁性材料を含む内層24と、外層26であって、内層24および外層26に覆われないコア構造22の一部が露出するように内層24上に形成された外層26と、内層24に対応するウェル14の側壁18中に部分的に形成された、鉄、コバルト、ニッケルまたはこれらの合金のような磁性材料を含む金属層28と、を含む。露出したコア構22’がウェル14の底部16の方を向くように、内層24が金属層28によって引き付けられる。任意で、金属層28は内層24と同じ材料を有する。
【0036】
この実施形態では、露出したコア構造22’がウェル14の底部16の方を向くように、金属層28が側壁18の上方部に形成されている。
【0037】
いくつかの実施形態において、外層26は任意であってよい。
【0038】
さらに、露出したコア構造22’上およびウェル14の底部16上は、帯電分子(electrically charged molecules)で修飾されており、例えば、露出したコア構造22’上は負帯電分子60で修飾され、ウェル14の底部16上は正帯電分子62で修飾されている。明確には、露出したコア構造22’がウェル14の底部16の方を向くように、露出したコア構造22’上の帯電分子は、ウェル14の底部16上の帯電分子とは反対の電荷を含む。
【0039】
いくつかの実施形態において、露出したコア構造22’上の帯電分子は、標的分子、例えばポリヌクレオチド、またはその他の分子、例えばタンパク質、ウィルス、バクテリア、細胞、負帯電ポリマーもしくは負帯電粒子あり得る。
【0040】
いくつかの実施形態において、ウェル14の底部16上の帯電分子は、pH調整(例えばpH<pI)による次式のシステイン−ベタイン(CB)シラン(pI=5〜6)のような両性イオン分子を含み得る。
【0041】
【化1】
【0042】
図3Bを参照すると、本開示の1実施形態により、配向装填システム40’が提供される。図3Aの配向装填システム40と、図3Bの配向装填システム40’との差異は、配向装填システム40’では、露出したコア構造22’上が正帯電分子62で修飾され、ウェル14の底部16上が負帯電分子60で修飾されている点である。
【0043】
図4Aを参照すると、本開示の1実施形態により、配向装填システム400が提供される。配向装填システム400は、基板12と、基板12に形成された、底部16および側壁18をそれぞれ備える複数のウェル14と、ウェル14中に装填された複数の粒子20と、を含む。粒子20(例えばヤヌス粒子)は、コア構造22と、コア構造22を部分的に覆う鉄、コバルト、ニッケルまたはこれらの合金のような磁性材料を含む内層24と、外層26であって、内層24および外層26に覆われないコア構造22の一部が露出するように内層24の上に形成された外層26と、内層24に対応するウェル14の側壁18中に部分的に形成された、鉄、コバルト、ニッケルまたはこれらの合金のような磁性材料を含む金属層28と、を含む。外層26がウェル14の底部16の方を向くように、内層24が金属層28によって引き付けられる。任意で、金属層28は内層24と同じ材料を有する。
【0044】
この実施形態では、外層26がウェル14の底部16の方を向くように、金属層28が側壁18の下方部に形成されている。
【0045】
さらに、外層26上およびウェル14の底部16上は、帯電分子(electrically charged molecules)で修飾されており、例えば、外層26上は負帯電分子60で修飾され、ウェル14の底部16上は正帯電分子62で修飾されている。明確には、外層26がウェル14の底部16の方を向くように、外層26上の帯電分子は、ウェル14の底部16上の帯電分子とは反対の電荷を含む。
【0046】
いくつかの実施形態において、外層26上の帯電分子は、標的分子、例えばポリヌクレオチド、またはその他の分子、例えばタンパク質、ウィルス、バクテリア、細胞、負帯電ポリマーもしくは負帯電粒子であり得る。
【0047】
いくつかの実施形態において、ウェル14の底部16上の帯電分子は、pH調整(例えばpH<pI)による次式のシステイン−ベタイン(CB)シラン(pI=5〜6)のような両性イオン分子を含み得る。
【0048】
【化2】
【0049】
いくつかの実施形態において、外層26は任意(optional)であってよい。
【0050】
いくつかの実施形態において、外層26が任意であるとき、帯電分子は内層24上に修飾される。
【0051】
図4Bを参照すると、本開示の1実施形態により、配向装填システム400’が提供される。図4Aの配向装填システム400と、図4Bの配向装填システム400’との差異は、配向装填システム400’では、外層26上が正帯電分子62で修飾され、ウェル14の底部16上が負帯電分子60で修飾されている点である。
【0052】
図5を参照すると、本開示の1実施形態により、配向装填システム120が提供される。配向装填システム120は、基板12と、基板12に形成された、底部16および側壁18をそれぞれ備える複数のウェル14と、ウェル14中に装填された磁性ビーズ132を有する複数の粒子130と、磁性ビーズ132に対応するウェル14の側壁18中に部分的に形成された、鉄、コバルト、ニッケルまたはこれらの合金のような磁性材料を含む金属層28と、を含む。磁性ビーズ132がウェル14の底部16の方を向くように、磁性ビーズ132は金属層28によって引き付けられる。任意で、金属層28は磁性ビーズ132と同じ材料を有する。この実施形態では、磁性ビーズ132がウェル14の底部16の方を向くように、金属層28は側壁18の下方部に形成される。図6に示される別の実施形態では、磁性ビーズ132がウェル14の底部16の方を向くように、磁性ビーズ132上が負帯電分子60で修飾され、ウェル14の底部16上が正帯電分子62で修飾される。
【0053】
いくつかの実施形態において、磁性ビーズ132上の負帯電分子60は、標的分子、例えばポリヌクレオチド、またはその他の分子、例えばタンパク質、ウィルス、バクテリア、細胞、負帯電ポリマーもしくは負帯電粒子であり得る。
【0054】
いくつかの実施形態において、ウェル14の底部16上の正帯電分子62は、pH調整(例えばpH<pI)による次式のシステイン−ベタイン(CB)シラン(pI=5〜6)のような両性イオン分子を含み得る。
【0055】
【化3】
【0056】
図7を参照すると、本開示の1実施形態により、配向装填システム160が提供される。配向装填システム160は、基板12と、基板12に形成された、底部16および側壁18をそれぞれ備える複数のウェル14と、を含む。ウェル14の底部16上は、正帯電分子62で修飾され、複数の粒子170はウェル14中に装填される。粒子170(例えばヤヌス粒子)は、コア構造22と、コア構造22を部分的に覆う鉄、コバルト、ニッケルまたはこれらの合金(つまり磁性材料)を含む内層24と、外層26であって、内層24および外層26に覆われないコア構造22の一部が露出するよう内層24上に形成された、電荷的に中性な分子(neutrally charged molecules)180でその上が修飾された外層26と、を含む。露出したコア構造22’がウェル14の底部16の方を向くように、露出したコア構造22’上は負帯電分子60で修飾される。あるいは、図8に示されるように、露出したコア構造22’がウェル14の底部16の方を向くよう、ウェル14の底部16上が負帯電分子60で修飾され、露出したコア構造22’上が正帯電分子62で修飾される。粒子間の凝集が防がれるように、図1から図6に示された実施形態の外層上または粒子表面上に、電荷的に中性な分子180が修飾されてもよい。
【0057】
1実施形態において、露出したコア構造22’上は負帯電分子60で修飾され、ウェル14の底部16は両性イオン分子で修飾される。この実施形態では、ウェル14の底部16上に修飾された両性イオン分子が、図7に示されるように、正帯電分子62となるよう、環境のpH値は両性イオン分子のpI値よりも低い。このとき、露出したコア構造22’上に修飾された負帯電分子60は、ウェル14の底部16上に修飾された正帯電分子62によって静電的に引き付けられる。
【0058】
別の実施形態において、露出したコア構造上は負帯電分子で修飾され、ウェルの底部は両性イオン分子で修飾される。この実施形態では、ウェルの底部上に修飾された両性イオン分子が負帯電分子となるよう、環境のpH値は両性イオン分子のpI値よりも高い(図示せず)。このとき、露出したコア構造上に修飾された負帯電分子は、ウェルの底部上に修飾された負帯電分子に静電的に反発する。
【0059】
いくつかの実施形態において、電荷的に中性な分子180は、次式のスルホ−ベタイン(SB)シラン(pI=2〜13)を含み得る。
【0060】
【化4】
【0061】
いくつかの実施形態において、負帯電分子60は、標的分子、例えばポリヌクレオチド、またはその他の分子、例えばタンパク質、ウィルス、バクテリア、細胞、負帯電ポリマーもしくは負帯電粒子であり得る。
【0062】
いくつかの実施形態において、正帯電分子62は、pH調整による(例えばpH<pI)次式のシステイン−ベタイン(CB)シラン(pI=5〜6)のような両性イオン分子を含み得る。
【0063】
【化5】
【0064】
さらに、ウェル中に装填された粒子を配向させる方法が提供される。いくつかの実施形態において、当該方法は次の工程を含む。図1に示されるように、複数のウェル14が形成された基板12が準備される。基板12において、各ウェル14は、底部16および側壁18、ならびにウェル14の側壁18中に部分的に形成された鉄、コバルト、ニッケルまたはこれらの合金のような磁性材料を含む金属層28、を含む。複数の粒子20(例えばヤヌス粒子)が準備される。粒子20は、コア構造22と、コア構造22を部分的に覆う鉄、コバルト、ニッケルまたはこれらの合金のような磁性材料を含む内層24と、外層26であって、内層24および外層26に覆われないコア構造22の一部が露出するように内層24の上に形成された外層26と、を含む。任意で、内層24は金属層28と同じ材料を有する。粒子20がウェル14中に装填される。内層24が金属層28に磁気により引き付けられる。図1において、金属層28は側壁18の上方部、好ましくはウェルの深さの半分より上に形成されており、側壁18の上方部に金属層28が形成されているために、露出したコア構造22’がウェル14の底部16の方を向くようになる。図2を参照すると、金属層28は側壁18の下方部、好ましくはウェル深さの半分より下に形成されており、側壁18の下方部に金属層28が形成されているために、外層26がウェル14の底部16の方を向くようになる。
【0065】
上記方法は、ウェルの底部上、および、外層上または露出したコア構造上を、帯電分子で修飾することによって、より優れたものとなり得る。図3Aを参照すると、露出したコア構造22’上は負帯電分子60で修飾される。ウェル14の底部16上は正帯電分子62で修飾される。粒子20がウェル14中に装填される。露出したコア構造22’がウェル14の底部16の方を向くように、内層24は金属層28に磁気により引き付けられ、露出したコア構造22’上に修飾された負帯電分子60は、ウェル14の底部16上に修飾された正帯電分子62によって静電的に引き付けられる。図4Aを参照すると、外層26上は負帯電分子60で修飾されている。ウェル14の底部16上は正帯電分子62で修飾されている。粒子20がウェル14中に装填される。外層26がウェル14の底部16の方を向くように、内層24は金属層28に磁気により引き付けられ、外層26上に修飾された負帯電分子60は、ウェル14の底部16上に修飾された正帯電分子62によって静電的に引き付けられる。
【0066】
図3Aにおいて、ウェル14の底部16上は、例えばpH調整によって、正帯電分子62で修飾される。例えば、ウェル14の底部16は両性イオン分子で修飾される。環境のpH値が両性イオン分子のpI値よりも低いとき、両性イオン分子は正に帯電したものとなる。
【0067】
本開示では、pH調整により粒子の装填を制御する方法も提供される。当該方法は次の工程を含む。図7に示されるように、複数のウェル14が形成された基板12が準備される。基板12において、各ウェル14は底部16および側壁18をそれぞれ備える。ウェル14の底部16上は正帯電分子62で修飾される。複数の粒子170(例えばヤヌス粒子)が準備される。粒子170は、コア構造22と、任意で、コア構造22を部分的に覆う鉄、コバルト、ニッケルまたはこれらの合金のような磁性材料を含む内層24と、外層26であって、内層24および外層26に覆われないコア構造22の一部が露出するように内層24上に、または直接コア構造22上に形成され、電荷的に中性な分子180でその上が修飾された外層26と、を含む。露出したコア構造22’上は負帯電分子60で修飾される。粒子170がウェル14中に装填される。露出したコア構造22’がウェル14の底部16の方を向くように、露出したコア構造22’上に修飾された負帯電分子60は、ウェル14の底部16上に修飾された正帯電分子62によって静電的に引き付けられる。あるいは、図8に示されるように、ウェル14の底部16上は負帯電分子60で修飾され、露出したコア構造22’上は正帯電分子62で修飾される。粒子170がウェル14中に装填されると、露出したコア構造22’がウェル14の底部16の方を向くように、露出したコア構造22’上に修飾された正帯電分子62は、ウェル14の底部16上に修飾された負帯電分子60によって静電的に引き付けられる。
【0068】
したがって、ウェル14の底部16は、例えばpH調整により、負帯電分子60または正帯電分子62で修飾され得る。例えば、1実施形態において、露出したコア構造22’上は負帯電分子60で修飾され、ウェル14の底部16は両性イオン分子で修飾される。この実施形態では、図7に示されるようにウェル14の底部16上に修飾された両性イオン分子が正帯電分子62になるよう、環境のpH値が両性イオン分子のpI値よりも低いものに調整される。このとき、露出したコア構造22’上に修飾された負帯電分子60は、ウェル14の底部16上に修飾された正帯電分子62によって静電的に引き付けられる。別の実施形態では、露出したコア構造上は負帯電分子で修飾され、ウェルの底部は同じく両性イオン分子で修飾される。この実施形態では、ウェルの底部上に修飾された両性イオン分子が負帯電分子になるよう(図示せず)、環境のpH値が両性イオン分子のpI値よりも高いものに調整される。よって、このとき、露出したコア構造上に修飾された負帯電分子はウェルの底部上に修飾された負帯電分子と反発し、粒子170がウェル14から離れる。
【0069】
本開示において、ナノ粒子は標的分子の装填効率を高める。標的分子から発せられるシグナルは、検出時におけるナノ粒子の精確な配向(precise orientation)のために、はっきりと検出される。本開示は、ナノ粒子、ナノウェルまたはこれらの組み合わせを修飾することによってナノ粒子を精確に配向させる(precise nanoparticle orientation)方法およびシステムを提供する。
【実施例】
【0070】
実施例1
【0071】
システイン−ベタイン(CB)シランの合成
【0072】
スキーム
【0073】
【化6】
【0074】
トリメトキシ[(3−メチルアミノ)プロピル]シランおよびエチル4−ブロモブタノエート(ethyl 4−bromobutanoate)をACN中にモル比1:1.3で混合してから、72時間還流した。その生成物を凍結乾燥機で乾燥した。ガラスの表面改質のために、Oプラズマ(またはピラニア)処理ガラスを、EtOHに溶解した1(v/v)%の生成物中に1時間浸漬した。次いで、30分間の2.5M HCl処理によりエチル基を加水分解した後に、CB官能基がグラフトされたガラスを得た。
【0075】
実施例2
【0076】
スルホ−ベタイン(SB)シランの合成
【0077】
スキーム
【0078】
【化7】
【0079】
50ml THF中の11−ブロモ−ウンデカ−1−エン(5ml)を室温で8時間撹拌した。その混合溶液を真空で濃縮し、DCM50mlを加えて2回濃縮してから、NaOHで抽出した。その有機溶液を無水硫酸ナトリウムフィルターに通し、真空で濃縮して、N,N−ジメチル−ウンデカ−10−エニル−アミン(無色の油状物)を得た。N,N−ジメチル(11−メルカプトウンデシル)アミン(3.0g)を、無水アセトン(100mL)中の1,3−プロパンスルトン(1.6mL)の溶液に加え、その反応混合物を室温で24時間撹拌した。その反応混合物をろ過し、固体をアセトンで洗浄し、真空で乾燥して、3−(N,N−ジメチル−ウンデカ−10−エニル−アミノ)−プロパン−1−スルホン酸(白色の固体)を得た。メタノール(10mL)中のCHCH(CH(CHCHCHCHSO(2.7g)およびCHC(O)SH(5.0mL)の溶液に窒素ガスをバブリングし、ABCN(50mg)を加え、その溶液を光反応器内に入れ室温で16時間照射した。無水アセトン(200mL)を加え、得られた沈殿物をろ過し、真空で乾燥した。その生成物をアセトン/メタノールから再結晶させてCHC(O)S−(CH11(CHCHCHCHSO(白色の固体)を得た。HO(10mL)中のCHC(O)S(CH11(CHCHCHCHSO(1.0g)の溶液に窒素ガスを10分バブリングし、NaOH(5mL、1.0M)を加え、その溶液を2時間撹拌した。その溶液をHCl(6mL,1M)で酸性化し、シンチレーションバイアル中へろ過し、冷凍し、凍結乾燥してHS(CH11(CHCHCHCHSO(白色の固体)を得た。
【0080】
開示された実施形態に様々な変更および変化が加えられ得ることは、当業者には明らかであろう。明細書および実施例は単に例示と見なされることが意図されており、本開示の真の範囲は以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって示される。
【符号の説明】
【0081】
10、40、40’、100、120、160、400、400’…配向装填システム
12…基板
14…ウェル
16…底部
18…側壁
20、130、170…粒子
22…コア構造
22’…露出したコア構造
24…内層
26…外層
28…金属層
60…負帯電分子
62…正帯電分子
132…磁性ビーズ
180…電荷的に中性な分子
d…ウェルの幅
h…ウェルの深さ
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8