特許第6240966号(P6240966)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6240966マンホールの嵩上げ部材、マンホールの嵩上げ工法、及びマンホール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6240966
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】マンホールの嵩上げ部材、マンホールの嵩上げ工法、及びマンホール
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/12 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
   E02D29/12 C
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-146756(P2016-146756)
(22)【出願日】2016年7月7日
【審査請求日】2017年3月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517049644
【氏名又は名称】太陽都市開発株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田中 進
【審査官】 神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−005653(JP,U)
【文献】 特開昭60−043537(JP,A)
【文献】 特開平11−293692(JP,A)
【文献】 特開平09−209420(JP,A)
【文献】 実開平07−015845(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンホール蓋と筒状部を有する受枠との間に介在され、筒状部を有する嵩上げ部材であって、
前記嵩上げ部材は、前記受枠の前記筒状部内部で支持される嵌め込み部と、前記マンホール蓋を支持する受部とを有し、
前記受部の外径は嵌め込み部の外径より大きく、前記受部には、当該受部を構成する壁を貫通する縦穴が形成され、前記縦穴の下端部は、前記受部の外径が嵌め込み部の外径より大きいことにより形成されている下側段部に露出しており、
前記嵌め込み部には、当該嵌め込み部を構成する外壁表面に溝が形成されているか、または当該嵌め込み部を構成する壁を貫通する横穴が形成されていることを特徴とするマンホールの嵩上げ部材。
【請求項2】
マンホール本体と、マンホール蓋と、筒状部を有する受枠と、前記マンホール蓋と前記受枠との間に介在され、筒状部を有し且つ前記受枠の筒状部に嵌め込まれる嵌め込み部とマンホール蓋を支持する受部とを有する嵩上げ部材とからなり、
前記嵩上げ部材の受部には、当該受部を構成する壁を貫通する縦穴が形成されており、前記縦穴の下端部は、前記受部の外径が嵌め込み部の外径より大きいことにより形成されている下側段部に露出しており、
前記嵩上げ部材を前記受枠の筒状部に嵌め込み、前記縦穴に接着剤を充填するか、または前記縦穴を介して前記嵩上げ部材を溶接により前記受部を受枠に固定し、
この後、前記嵩上げ部材の前記受部に前記マンホール蓋を嵌め込むことを特徴とするマンホールの嵩上げ工法。
【請求項3】
マンホール本体と、マンホール蓋と、筒状部を有する受枠と、前記マンホール蓋と前記受枠との間に介在され、筒状部を有し且つ前記受枠の筒状部に嵌め込まれる嵌め込み部とマンホール蓋を支持する受部とを有する嵩上げ部材とからなり、
前記マンホール蓋は、その外周面に上面側から下面側へ徐々に小径とされたテーパ面が形成されており、
前記受枠は、その内周面に、前記マンホール蓋のテーパ面に対応して前記筒状部の上端 部側から下端部側へ徐々に小径とされたテーパ面が形成されており、
前記嵩上げ部材は、前記受枠の筒状部内部で支持される嵌め込み部と、前記マンホール蓋を支持する受部とを有し、前記嵌め込み部は外壁周面にはその途中に設けた下側段部により小径部が形成されており、この小径部から下端部側へ徐々に小径とされた下側テーパ面を有しており、前記受部は上端部側から筒状部内壁途中の上側段部まで、徐々に小径とされた上側テーパ面を有しており、
前記嵩上げ部材と前記受枠とは、下記(1)〜(4)のいずれかの構成により、互いに接合されていることを特徴とするマンホール。
(1)前記嵩上げ部材の前記嵌め込み部の下側テーパ面に形成された溝に接着剤が充填されているか、または前記嵌め込み部を構成する壁に形成された横穴に接着剤を充填された構成。
(2)前記嵩上げ部材の前記嵌め込み部を構成する壁に形成された横穴を介して前記受枠に前記嵩上げ部材が溶接されている構成。
(3)前記嵩上げ部材の前記受部の前記上端部より前記下側段部に縦穴が形成されており、前記縦穴に接着剤が充填されている構成。
(4)前記嵩上げ部材の前記受部の前記上端部より前記下側段部に縦穴が形成されており、前記縦穴を介して前記受枠に前記嵩上げ部材が溶接されている構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路面に設置しているマンホールの陥没を嵩上げするマンホールの嵩上げ部材、マンホールの嵩上げ工法、及びマンホールに関する。
【背景技術】
【0002】
マンホールは地下に埋設されている下水管等の管路の途中に設けられ、その最上部に鋳鉄製等の蓋が取り付けたもので、点検時には作業員が蓋を開閉して出入りしている。
マンホールはその殆どが道路上にあり、特に、車道上にあるマンホールは、経年による通行車両の輪荷重で、マンホールの蓋と受枠が陥没している状態のものが見受けられる。
【0003】
道路上のマンホールの蓋等が陥没していては通行の障害となり、大きな事故の原因になる。平成18年度調査では、マンホールの蓋等の陥没に起因する事故は全国で4,400箇所にもなり、報告のない事故はその数倍にもなると言われ、これらの総数は年々増加している。全国のマンホール数は1,200万個にもなっていることからも、早期にマンホールの陥没箇所の補修が求められている。
【0004】
マンホールの蓋等の陥没を補修するものとして、特許文献1のような蓋の受枠が提案されている。この技術は、マンホールの蓋の受枠を上下に2分割して蓋受部と台座部としており、蓋受部に脚片を設けて台座部に嵌合連結できるようにすると共に、台座部でも蓋板が嵌合担持できるよう構成したものである。
このような構造とすることで、道路の補修時に掘削を機械などで迅速に行え、かつ、車輌の通過に差し支えないような蓋板の受枠を提供できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】 特許第4026032号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の受枠によれば、分割している蓋受部と台座部の両者を嵌合し連結するために、連結棚を内壁面に設け、蓋受部の連結棚にはボルト挿通溝を設け、一方、台座部の連結棚には螺子孔を設けている。そして、ボルト挿通孔と螺子孔にボルトを挿通して蓋受部と台座部を連結した構造になっている。
したがって、台座部に蓋受部を積み重ね、両者を連結するには、蓋受部の連結棚と棚状片の間にあるスペースにボルトの頭を位置させ、台座部の連結棚の螺子孔にボルトを螺合させる作業を行うことになる。
【0007】
このような連結構造では、台座部の螺子孔と台座部の上にある蓋受部のボルト挿通溝との位置合わせが必要となる。さらには、蓋受部の連結棚と棚状片の間にある狭いスペースでボルト締め作業を行うことになり、蓋補修作業者への負担が大きいものとなっている。
【0008】
本発明は、このような従来のマンホールの蓋補修作業の課題を解決しようとするもので、補修作業負担を軽減することができるマンホールの嵩上げ部材、マンホールの嵩上げ工法、及びマンホールを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の発明となるマンホールの嵩上げ部材は、以下の構成からなる。
本発明の第1の発明の要旨は、
マンホール蓋と筒状部を有する受枠との間に介在され、筒状部を有する嵩上げ部材であって、
前記嵩上げ部材は、前記受枠の前記筒状部内部で支持される嵌め込み部と、前記マンホール蓋を支持する受部とを有し、
前記受部の外径は嵌め込み部の外径より大きく、前記受部には、当該受部を構成する壁を貫通する縦穴が形成され、前記縦穴の下端部は、前記受部の外径が嵌め込み部の外径より大きいことにより形成されている下側段部に露出しており、
前記嵌め込み部には、当該嵌め込み部を構成する外壁表面に溝が形成されているか、または当該嵌め込み部を構成する壁を貫通する横穴が形成されていることを特徴とするマンホールの嵩上げ部材である。
【0014】
本発明の第2の発明となるマンホールの嵩上げ工法の要旨は
マンホール本体と、マンホール蓋と、筒状部を有する受枠と、前記マンホール蓋と前記受枠との間に介在され、筒状部を有し且つ前記受枠の筒状部に嵌め込まれる嵌め込み部とマンホール蓋を支持する受部とを有する嵩上げ部材とからなり、
前記嵩上げ部材の受部には、当該受部を構成する壁を貫通する縦穴が形成されており、前記縦穴の下端部は、前記受部の外径が嵌め込み部の外径より大きいことにより形成されている下側段部に露出しており、
前記嵩上げ部材を前記受枠の筒状部に嵌め込み、前記縦穴に接着剤を充填するか、または前記縦穴を介して前記嵩上げ部材を溶接により前記受部を受枠に固定し、
この後、前記嵩上げ部材の前記受部に前記マンホール蓋を嵌め込むことを特徴とするマンホールの嵩上げ工法である。
【0015】
本発明の第3の発明となるマンホールの要旨は、
マンホール本体と、マンホール蓋と、筒状部を有する受枠と、前記マンホール蓋と前記受枠との間に介在され、筒状部を有し且つ前記受枠の筒状部に嵌め込まれる嵌め込み部とマンホール蓋を支持する受部とを有する嵩上げ部材とからなり、
前記マンホール蓋は、その外周面に上面側から下面側へ徐々に小径とされたテーパ面が形成されており、
前記受枠は、その内周面に、前記マンホール蓋のテーパ面に対応して前記筒状部の上端部側から下端部側へ徐々に小径とされたテーパ面が形成されており、
前記嵩上げ部材は、前記受枠の筒状部内部で支持される嵌め込み部と、前記マンホール蓋を支持する受部とを有し、前記嵌め込み部は外壁周面にはその途中に設けた下側段部により小径部が形成されており、この小径部から下端部側へ徐々に小径とされた下側テーパ面を有しており、前記受部は上端部側から筒状部内壁途中の上側段部まで、徐々に小径とされた上側テーパ面を有しており、
前記嵩上げ部材と前記受枠とは、下記(1)〜(4)のいずれかの構成により、互いに接合されていることを特徴とするマンホール。
(1)前記嵩上げ部材の前記嵌め込み部の下側テーパ面に形成された溝に接着剤が充填されているか、または前記嵌め込み部を構成する壁に形成された横穴に接着剤を充填された構成。
(2)前記嵩上げ部材の前記嵌め込み部を構成する壁に形成された横穴を介して前記受枠に前記嵩上げ部材が溶接されている構成。
(3)前記嵩上げ部材の前記受部の前記上端部より前記下側段部に縦穴が形成されており、前記縦穴に接着剤が充填されている構成。
(4)前記嵩上げ部材の前記受部の前記上端部より前記下側段部に縦穴が形成されており、前記縦穴を介して前記受枠に前記嵩上げ部材が溶接されている構成。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の発明となるマンホールの嵩上げ部材によれば、嵩上げ部材の嵌め込み部に溝または横穴、さらには縦穴が設けられており、これら溝、横穴、縦穴を利用した接着剤の充填または溶接作業により、嵌め込み部を受枠に固定することができる。したがって、受枠の上に嵩上げ部材を設置することでマンホールの嵩上げが行え、設置に厳密な位置合せが不要となり、さらに面倒なボルト締め作業も不要となる。
【0017】
本発明の第2の発明となるマンホールの嵩上げ工法によれば、マンホールの蓋を取り除いてから、受枠の上に嵩上げ部材を設置し、取り除いたマンホールの蓋を嵩上げ部材の上に設置することで、陥没したマンホールの蓋の嵩上げ作業が行える工法であるので、掘削が不要となる。
また、嵩上げ部材を受枠に接着剤で固定する場合、受枠と面接合の状態となるので、接着の役割の他に緩衝材としての役割を果たすことになり、自動車通過時の騒音を減少させることができる。
さらに、嵩上げ部材を受枠に溶接で固定する場合、嵩上げ部材が受枠に強固に固定されており、自動車の通過時の振動による分離の恐れがなくなる。したがって、嵩上げ部材と受枠をボルトなどで締着した場合、ボルトの緩みによるガタツキの恐れもなく、ガタツキによる自動車通過時の騒音発生を抑制することができる。
【0018】
本発明の第3の発明となるマンホールによれば、マンホール蓋と受枠との間に、嵩上げ部材を介在させた構造であり、マンホール蓋を取り外して、受枠の上に嵩上げ部材を設置する構造となっていることから、道路の掘削が不要となり、高さ調整するために準備した嵩上げ部材を設置するだけでマンホールの補修が行え、陥没対策に有効なマンホールの構造である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】マンホール全体の概要を示す図
図2】本発明のマンホールの嵩上げ工法を説明するための分解斜視図
図3】本発明の嵩上げ部材を示す一部断面斜視図
図4】本発明の嵩上げ部材を受枠に設置した例を示す一部断面斜視図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図にもとづいて説明する。本発明においては、まず第1の発明に係る嵩上げ部材を用いて補修したマンホール全体の概要を説明する。
図1はマンホールの全体の概要を示し、マンホール本体10と、マンホール蓋20と、マンホール蓋20の受枠30と、マンホール蓋20と受枠30の間に介在された嵩上げ部材40とからなる。マンホール本体10の底部には下水道管11が設置されている。
【0021】
このような構成のマンホールにおいて、図2にもとづいてマンホール蓋20を説明する。このマンホール蓋20は円盤状であり、鋳鉄製のものからなる。マンホール蓋20の周側面は下に向かって縮径するテーパ面21となっている。
【0022】
次ぎに、マンホール蓋20を設置する場合に通常使われている受枠30について説明する。この受枠30はマンホール蓋20と同じく円盤状であり、マンホール蓋20を支持する筒状部31を有し、筒状部31の内壁は開口端部33に向かって上に拡開するテーパ面32を有する。筒状部31を構成する壁の内部中段には段部34が形成されている。
【0023】
次ぎに、本発明の第1の発明である嵩上げ部材40について説明する。この嵩上げ部材40は筒状部41を有し、嵌め込み部42と受部43とからなる。
嵌め込み部42は受枠30の筒状部31内部で支持される。また受部43はマンホール蓋20を支持する。受部43の外径は嵌め込み部42の外径より大きくなっており、受部43の外径が嵌め込み部42の外径より大きくなっていることで下側段部44が形成されている。
図2に示されているように、嵌め込み部42は、下側テーパ面45を有しており、受枠30の筒状部31内部のテーパ面32に支持される。この嵌め込み部42はその外壁表面に中央の波線を境に左側に溝46、右側に横穴47が例示されている。溝46としては横溝、縦溝、格子状溝などがある。また、横穴47は嵌め込み部42を構成する壁を貫通して形成されている。
【0024】
溝46は接着剤が充填されるものとなり、受枠30に嵩上げ部材40を接着固定する役割を果たす。また横穴47に接着剤が充填されることにより、受枠30に嵩上げ部材40接着固定する役割を果たす。この他、横穴47を介して嵩上げ部材40を受枠20に溶接することにより、受枠30に嵩上げ部材40を固定するようにしてもよい。
嵩上げ部材40の受部43は、上端部48側から筒状部41の内壁途中までマンホール蓋20のテーパ面21を支持する上側テーパ面50を有するとともに、マンホール蓋20の下部端面を支持する上側段部49を有している。
さらにこの嵩上げ部材40について、図3に示すように、受部43には、その受部43を構成する壁の上端部48から下側段部44を貫通する縦穴51が形成されている。
【0025】
次ぎに、この嵩上げ部材40を用いてマンホールを嵩上げする工法の例について説明する。
マンホールの嵩上げ工法の第1の例として、図2で説明した嵩上げ部材40として、下側テーパ面45に溝46を形成しているものについて説明する。
嵩上げ部材40の溝46の領域に、例えば、エポキシ系の接着剤(図示せず)を充填しておく。そののち、この嵩上げ部材40を図1のマンホール本体10に設置する。詳しくは、図2に示している受枠30の筒状部31に嵩上げ部材40を挿入し、嵌め込み部42を嵌め込む作業を行う。この作業で接着剤が硬化し、嵩上げ部材40が受枠30に固定される。次いで、嵩上げ部材40の筒状部41にマンホール蓋20を挿入、嵌め込む。この作業で陥没していたマンホールの補修を完了する。
【0026】
このほか、マンホールの嵩上げ工法の第2の例として、図2において示したように、嵌め込み部42を構成する壁に横穴47を形成した嵩上げ部材40を用いた場合について説明する。
まず、嵌め込み部42を構成する壁に形成された横穴47にあらかじめエポキシ系の接着剤を充填しておく。次いで、嵩上げ部材40を受枠30の筒状部31に挿入、嵌め込む作業を行う。この作業で横穴47に充填された接着剤が硬化し、嵩上げ部材40が受枠30に固定される。この後、嵩上げ部材40の受部43にマンホール蓋20を嵌め込み、陥没しているマンホールの補修を完了する。
【0027】
さらに、マンホールの嵩上げ工法の第3の例を説明する。
ここでは、嵩上げ部材40として、嵌め込み部42を構成する壁に横穴47を形成したものを用いた場合について説明する。
あらかじめ先に、嵩上げ部材40を受枠30の筒状部31に嵌め込んでおく。そして、横穴47にエポキシ系の接着剤を充填し、固化するか、または横穴47を介して嵩上げ部材40を溶接により、嵌め込み部42を受枠30に固定する。この後、嵩上げ部材40の受部43にマンホール蓋10を嵌め込み、陥没しているマンホールの補修を完了する。
【0028】
さらにまた、本発明のマンホールの嵩上げ工法に関連する第4の例について、図3にもとづいて説明する。ここでは、図2において示した箇所で重複するものは説明を省略する。
図3は、嵩上げ部材40の一部断面斜視図を示している。図3において、嵩上げ部材40において、嵌め込み部41に横穴47を有するとともに、受部43には、その受部43を構成する壁の上端部48から下側段部44を貫通する縦穴51が形成されている。この縦穴51には接着剤が充填され、硬化することで、受枠30に固定されている。または縦穴51を介して嵩上げ部材40が受枠30に溶接されて固定される。
なお、この第4の例において、横穴47を形成せず、縦穴51を形成した嵩上げ部材としてもよい。
【0029】
次ぎに、図4について説明する。受枠30と嵩上げ部材40とが互いの接触面の間に接着剤52が介在し、両者が固定されたものである。
このような構成にするには、受枠30が嵩上げ部材40と面接触する箇所に予め接着剤を塗布しておき、その後、嵩上げ部材を受枠30の筒状部31に嵌め込み、上から荷重を加えて相互に密着させ、接着剤を硬化させることで、堅く締まった状態で安定することになる。
【0030】
以上説明した工法により補修されたマンホールは、以下のような構造になる。
図1図2にもとづいて説明すると、まず、マンホール本体10と、マンホール蓋20と、筒状部31を有する受枠30と、マンホール蓋10と受枠30との間に介在され、筒状部41を有し且つ前記受枠30の筒状部31に嵌め込まれる嵌め込み部42とマンホール蓋10を支持する受部43とを有する嵩上げ部材40とからなっている。
【0031】
ここで、まずマンホール蓋10は、その外周面に上面側から下面側へ徐々に小径とされたテーパ面21が形成されている。
受枠30は、その内周面に、マンホール蓋20のテーパ面21に対応して筒状部31の上端部から下端部側に向けて徐々に小径とされたテーパ面32が形成されている。
また、嵩上げ部材40は、受枠30の筒状部31の内部で支持される嵌め込み部42と、マンホール蓋20を支持する受部43とを有する。嵌め込み部42はその外壁周面の途中に設けた下側段部44により小径部が形成されており、この小径部から下端部側へ徐々に小径とされた下側テーパ面45を有している。受部43は上端部48側から筒状部41の内壁途中の上側段部49まで、徐々に小径とされた上側テーパ面50を有している。
【0032】
そして、嵩上げ部材40と受枠30とは、下記(1)〜(4)のいずれかの構成により、互いに接合されてマンホールが構成されている。
(1)嵩上げ部材40の嵌め込み部42の下側テーパ面45に形成された溝46に接着剤が充填されているか、または嵌め込み部42を構成する壁に形成された横穴47に接着剤を充填された構成。
(2)嵩上げ部材40の嵌め込み部42を構成する壁に形成された横穴47を介して受枠30に嵩上げ部材40が溶接されている構成。
(3)嵩上げ部材40の受部43の上端部48より下側段部44に縦穴51が形成されており、縦穴51に接着剤が充填されている構成。
(4)嵩上げ部材40の受部43の上端部48より下側段部44に縦穴51が形成されており、縦穴51を介して受枠30に嵩上げ部材40が溶接されている構成。
以上の構成により、陥没したマンホールを補修した構成とすることになり、その多くが道路上に設置されているマンホールの陥没に起因する事故の減少に貢献することができる。
【符号の説明】
【0033】
10 マンホール本体
11 下水道管
20 マンホール蓋
21 テーパ面
30 受枠
31 筒状部
32 テーパ面
33 開口端部
34 段部
40 嵩上げ部材
41 筒状部
42 嵌め込み部
43 受部
44 下側段部
45 下側テーパ面
46 溝
47 横穴
48 上端部
49 上側段部
50 上側テーパ面
51 縦穴
52 接着剤
【要約】
【課題】陥没したマンホールの蓋等の嵩上げ処理で、従来行われていた掘削が不要な嵩上げが行え、工期の短縮、コストダウンを図る。
【解決手段】マンホールの蓋とマンホールを設置している受枠の間に、嵩上げ部材を介在させる。嵩上げ部材は、受枠の筒状部内部で支持される嵌め込み部と、マンホール蓋を支持する受部とを有している。受部の外径は嵌め込み部の外径より大きく、前記受部には、当該受部を構成する壁を貫通する縦穴が形成され、前記縦穴の下端部は、前記受部の外径が嵌め込み部の外径より大きいことにより形成されている下側段部に露出している。また、前記嵌め込み部には、当該嵌め込み部を構成する外壁表面に溝が形成されているか、または当該嵌め込み部を構成する壁を貫通する横穴が形成されていることを特徴とする
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4