(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
回転ポンプ装置の構成要素であるポンプ本体や電動モータを搭載した内側筐体が、箱型の外側筐体の中に収納され、該外側筐体の上面壁の後部に冷却用空気を排気する冷却用排気口が設けられると共に、該冷却用排気口の下側で前記内側筐体の後壁部と前記外側筐体の後面壁との間に形成された排気スペースが設けられ、前記内側筐体の後壁部に、前記回転ポンプ装置の構成が配された設置用スペースから前記冷却用空気を前記排気用スペース及び前記冷却用排気口を介して排出する送風機を備え、前記排気用スペースに、ポンプ本体の排気と冷却用空気の排気とを合流させて消音をさせる消音用合流室が設けられ、
前記回転ポンプ装置の構成要素であるポンプ本体と電動モータとが縦方向に重ねた位置に配されるように、前記内側筐体に設けられた上下段の棚部が上中下段の三段に設けられ、該上段及び下段の棚部に前記ポンプ本体が載置されると共に該中段の棚部に前記電動モータが載置され、該電動モータの前方の位置に相当する前記外側筐体の前面壁の前面に冷却用吸気口の開口が設けられ、該開口から導入される前記冷却用空気の流れを曲げて案内すると共に遮音するように該開口から前記外側筐体の奥方向に間隔を置いて該開口に対応する遮蔽板部が設けられていることを特徴とするパッケージ型回転ポンプユニットの排気構造。
前記消音用合流室が、前記棚部の中段のスペースに対応する高さ位置において前記消音用合流室の断面積が大きくなって広くなるように形成された中段拡張部を備え、該中段拡張部に前記ポンプ本体の排気が合流されていることを特徴とする請求項1記載のパッケージ型回転ポンプユニットの排気構造。
前記棚部の上段のスペースに対応する高さ位置において前記ポンプ本体の冷却用に前記送風機が配されると共に、該上段の送風機の排気方向が下方を向くように配され、該上段の送風機から吐出された排気の方向が上方へ案内されて変えられるようにガイド壁が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のパッケージ型回転ポンプユニットの排気構造。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るパッケージ型回転ポンプユニットの形態例を添付図面(
図1〜13)に基づいて詳細に説明する。
このパッケージ型回転ポンプユニット10は、回転ポンプ装置の構成要素であるポンプ本体11や電動モータ12を搭載した内側筐体20が、箱型の外側筐体30の中に収納されることで構成されている。この回転ポンプ装置とは、真空ポンプやブロアなどの空気圧装置として用いることができるものである。
【0015】
そして、外側筐体30の前面壁31と上面壁35とにおいて、回転ポンプ装置の構成要素を冷却する冷却用空気に係る吸排気を行うための開口が設けられている。また、その外側筐体30の前面壁31がその回転ポンプ装置の保守のために開閉可能に設けられている。これに対して、外側筐体30の左右の側面壁32、後面壁33が、冷却用空気に係る吸排気に関する開口を持たない閉塞面として設けられている。
また、本発明は、この形態例に限定されず、内側筐体20と外側筐体30とが区別される形態ではなく、一つの箱型の筐体の前面壁と上面壁とにおいて、ポンプ本体11に係る吸排気や冷却用空気に係る吸排気に関する開口が設けられている場合も含まれ、同様の効果を奏する。
なお、本形態例では、外側筐体30の前面壁31と上面壁35とにおいて、回転ポンプ装置のポンプ本体11に係る吸排気を行うための開口が設けられており、外側筐体30の左右の側面壁32、後面壁33、及びベース部34が、ポンプ本体11に係る吸排気や冷却用空気に係る吸排気に関する開口を持たない閉塞面として設けられている。
【0016】
これによれば、パッケージ型回転ポンプユニット10を、適切にモジュール化でき、モジュールユニットとして制約された設置場所に適切に配置できる。例えば、複数のパッケージ型回転ポンプユニットを、横に並べた形態で、且つ背後にスペースのない場所に適切に設置でき、大処理流量化に対応できる。さらに具体的には、
図13に示すように複数のパッケージ型回転ポンプユニット10を側壁面同士が密着した状態で設置が可能であり、背面についても設置場所における壁付け設置が可能であり、省スペースが図れる。すなわち、外側筐体30の左右の側面及び後面が、閉鎖された形態であり、通常の保守管理のために使用されない面とされ、吸排気や保守管理ができる面として外側筐体30の前面及び上面のみを用いる形態としたことで、パッケージ型回転ポンプユニット10の設置に係る自由度を格段に向上させている。また、内部筐体20は外側筐体30とは独立した筐体となっており、この内部筐体20をモジュールとして管理することも可能である。これによれば、外側筐体30による外観形状を顧客要求に応じて製作することができ、内部筐体20の在庫管理によって納品のリードタイムを短縮化できる。さらに、メンテナンス時に内部筐体20をユニットとして取り出し可能であり、メンテナンスの簡易化が図れる。
【0017】
また、本形態例によれば、外側筐体30が内側筐体20に比較して一回り大きな矩形状の箱体になっていて、矩形状の内側筐体20を収納することで二重構造になっている。このため、防音性能を向上できる。また、内側筐体20については、回転ポンプ装置の構成要素を適切に支持できるように、その回転ポンプ装置の構成要素が固定された状態を適切に保持できる構造強度を備えている。すなわち、ポンプ本体11と電動モータ12との間のアライメントを出すように、それらを搭載する筐体の強度を高めている。そのように内側筐体20の構造強度を高めて回転ポンプ装置の構成要素を適切に支持しているため、外側筐体30については、構造強度を必要とするベース部34を除いて軽量化(板金の薄肉化)できる構造になっている。このように、二重構造を合理的に構成することでコスト低減を図ることが可能になっている。
【0018】
また、本形態例では、回転ポンプ装置の構成要素の回転軸が前後方向に延びるようにその構成要素が配され、ポンプ本体11のギアボックス11cが、そのギアボックス11cの潤滑液の液位を確認し易いようにそのポンプ本体11の前部端側に設けられている。また、そのポンプ本体11の前部端となっているギアボックス11cの端面には、潤滑液の液位を確認できる液位窓11dと、潤滑液を交換する際に使用するドレン11eが設けられている。なお、回転ポンプ装置の構成要素の回転軸とは、少なくともポンプ本体11の回転入力軸11aと電動モータ12の回転出力軸12aのことである。
【0019】
これによれば、最も頻繁な保守が必要なギアボックス11cにおける潤滑液の液位を容易に確認でき、潤滑液の交換等の保守管理を行い易い利点がある。
また、外側筐体30の前面壁31には、覗き窓31dが、ギアボックス11cの液位窓11dの高さに合わせて設けられている。これによれば、前面壁31を開くことなく、潤滑液の液位を容易に確認でき、日常点検の作業性を向上できる。
【0020】
本形態例のポンプ本体11は、多段型のクローポンプであり、ギアボックス11c、軸受部11g、回転するロータが内蔵されて空気圧室を構成する前段のポンプシリンダ部11h及び後段のポンプシリンダ部11i、マフラー部11mが、前後方向へ直列状態に配設されて連結一体化された状態に構成されている(
図6、7、9を参照)。なお、本発明のパッケージ型のユニット構成は、以上のような多段型のクローポンプに限定されず、単段のクローポンプや、他の回転ポンプ装置にも適用できることは勿論である。回転ポンプ装置としては、ルーツポンプやスクリューポンプなどのロータ非接触型の二軸回転ポンプ、及びベーンポンプなどがあり、これらに本発明のユニット構成を適用できる。
【0021】
また、本形態例では、回転ポンプ装置の構成要素であるポンプ本体11と電動モータ12とが、縦方向に重ねた位置に配されてポンプ本体11の回転入力軸11aと電動モータ12の回転出力軸12aが前方へ突出するように、内側筐体20に設けられた上下段の棚部に載置されている。そして、プーリ11b、12bとベルト14による動力伝達機構13によって回転出力軸12aから回転入力軸11aへ動力が伝達されるように設けられている。
【0022】
これによれば、各回転軸11a、12aが前方に突出しているため、動力伝達機構13がパッケージ型回転ポンプユニット10の前部に位置することになり、その動力伝達機構13の日常のメンテナンス(本形態例ではベルトの調整などのメンテナンス)を正面から容易に行うことができる。また、ポンプ本体11と電動モータ12とを縦方向に重ねた位置に配しているため、回転ポンプ装置をパッケージ内にコンパクトに構成できる。このため、小さな設置スペースに、大きな処理流量の回転ポンプ装置を合理的に設置できる。
【0023】
さらに、本形態例では、内側筐体20に設けられた棚部が上中下段の三段20a、20b、20cに設けられ、その上段及び下段の棚部20a、20cにポンプ本体11、11が載置されると共にその中段の棚部20bに電動モータ12が載置されている。
これによれば、二つのポンプ本体11、11を、動力装置である一つの電動モータ12を共用する形態で、内側筐体20内に効率良く収納でき、回転ポンプ装置をパッケージ内によりコンパクト且つ合理的に構成できる。また、このように内側筐体20の中に騒音の発生源となるポンプ本体11及び電動モータ12を全て収納でき、その内側筐体20が外部筐体30に内蔵される二重構造であって、内側筐体20が外部筐体30とは独立した筐体であるため、静音化性能を高めることができる。
【0024】
なお、上段のポンプ本体11に比べて、下段のポンプ本体11の方が前側に突き出た形態に配置されている。これによれば、一つの電動モータ12のプーリ12bの奥側と上段のポンプ本体11のプーリ11bとの間にベルト14を掛け回し、そのプーリ12bの手前側と下段のポンプ本体11のプーリ11bの間にベルト14を掛け回すことで、動力伝達機構13を構成できる。下段のポンプ本体11の方が手前にあるため、その動力伝達機構13の全体を作業者が視認し易い配置になっており、メンテナンス作業を適切に行うことができる。
また、14aはテンションローラであって、そのテンションローラ14aを左右方向に移動して固定できるテンション調整機構14b(
図3参照)を介して、ベルト14のテンションを調整できるように配されている。
【0025】
また、本形態例では、外側筐体30の前面壁31に回転ポンプ装置の冷却用空気(矢印(
図1、
図6〜11)を参照)を導入するための冷却用吸気口31aが設けられ、その外側筐体30の上面壁35の後部に冷却用空気を排気する排気口35bが設けられることで、パッケージ型回転ポンプユニットの冷却構造が構成されている。これによれば、冷却用空気が、外側筐体30及び内側筐体20よって構成されるパッケージ内を前部から後部へ流れることになる。このため、冷却用空気の流れが一方向となり、冷却効率を高めることができる。
【0026】
また、本発明に係るパッケージ型回転ポンプユニットの冷却構造の形態例は、回転ポンプ装置の構成要素であるポンプ本体11や電動モータ12を搭載した内側筐体20が、箱型の外側筐体30の中に収納されることで構成され、その回転ポンプ装置の構成要素の回転軸(回転入力軸11aや回転出力軸12aなど)が前後方向に延びるようにその構成要素が配されていると共にポンプ本体11や電動モータ12の外表面に突起して回転軸と同方向に延びるように設けられた冷却用フィン11fやモータ冷却用フィン12fを備えている。これによれば、冷却用空気が、ポンプ本体11の外表面に突起して設けられた冷却用フィン11fの向きに沿って手前から奥へ向かって流れることになり、ポンプ本体11を効果的に冷却することができる。また、モータ自己冷却ファン12cによって生じるモータ冷却用空気の流れが、電動モータ12の外表面に突起して設けられたモータ冷却用フィン12fの向きに沿って奥から手前へ向かって流れることになり、電動モータ12を効果的に冷却することができる。すなわち、冷却用フィン11fやモータ冷却用フィン12fの方向と、冷却用空気流の方向とが、軸線(回転軸の方向)と平行になっており、通気抵抗を小さく抑制して効率的な熱交換ができ、ポンプ本体11と電動モータ12を効率良く冷却できる。
【0027】
また、本形態例では、ポンプ本体11における前段のポンプシリンダ部11hが、後段のポンプシリンダ部11iよりもパッケージの手前側に配され、後段のポンプシリンダ部11iよりも奥側にマフラー部11mが配されている。このため、ポンプの吸気口11jが前段のポンプシリンダ部11hの位置に対応して設けられ、後段のポンプシリンダ部11iがマフラー部11mに接続され、マフラー部の排気口11nが後述する消音用合流室26へ管路27を介して接続されている。これによれば、前段のポンプシリンダ部11hで圧縮された空気が、後段のポンプシリンダ部11iでさらに圧縮されるポンプ装置となっており、前段のポンプシリンダ部11hよりも、後段のポンプシリンダ部11iの方が空気の圧縮率が高まる。
【0028】
このようにポンプ本体11が配されているため、そのポンプ本体11についてはパッケージの手前側よりも奥側がより高温となる状況になっている。つまり、このポンプ本体11についてはパッケージの奥へ向かって徐々に高温になり、冷却用空気はパッケージの手前側から奥側へ向って流れるように構成されている。このように、冷却用空気がポンプ本体11の低温側から高温側へ流れて冷却することで、そのポンプ本体11の低温側が高温側の熱の影響を受けることがなく、冷却効率を高めることができる。
【0029】
また、その冷却用吸気口31aは、前面壁31の前面に開口31bが設けられ、その開口31bから導入される冷却用空気の流れを曲げて案内すると共に遮音するようにその開口31bから外側筐体30の奥方向に間隔を置いてその開口31bに対応する遮蔽板部31cが設けられて構成されている。これによれば、冷却用空気を前面壁31の開口31bから適切に吸気できると共に、適切な遮音効果がある。
【0030】
なお、31xは上部開口であり(
図6、7を参照)、冷却用吸気口31aにおいて、遮蔽板部31cによって流れが曲げられた冷却用空気が出る上方側の吸気口となっている。この上部開口31xから出た冷却用空気は、主に上段のポンプ本体11を冷却するように後述する上段の送風機15によって吸引される。また、31zは下部開口であり(
図6、8、9を参照)、冷却用吸気口31aにおいて、遮蔽板部31cによって流れが曲げられた冷却用空気が出る下方側の吸気口となっている。この下部開口31zから出た冷却用空気は、主に下段のポンプ本体11を冷却するように後述する下段の送風機15によって吸引される。
【0031】
そして、本形態例では、電動モータ12の前方の位置に相当する外側筐体30の前面壁31の前面に開口31bが設けられると共に遮蔽板部31cが設けられている。これによれば、電動モータ12の後部に設けられたモータ自己冷却ファン12c(
図2、
図6及び8を参照)によるモータ冷却用空気の流れ(
図6及び8の矢印を参照)を邪魔しないように、前面壁31の開口31bから導入された冷却用空気の流れを案内して冷却効率を向上できると共に、好適な遮音効果を奏することができる。
【0032】
また、36は冷却空気用粗塵フィルタであり、吸入される冷却用空気を浄化するように、開口31bに装着されている。このように、冷却空気用粗塵フィルタ36が正面中央にあることで、フィルタの汚れの確認がし易く、メンテナンス(フィルタの清掃)を確実に行うことができる。また、37は吸音材であり、消音効果を高めるために、パネル状に形成されたものが遮蔽板部31cの奥面に積層されるように貼設されている。なお、吸音材については、詳細に図示していないが、内側筐体20及び外側筐体30のそれぞれの壁面にも積層することができ、消音効果を向上させることができる。
【0033】
また、内側筐体20の前面部21の形態は、吸気用スペース20sと設置用スペース20xとを連通する上段の通気開口21a、中段の通気開口21b及び下段の通気開口21cが、
図3に示すように、全面開放ではなく、適宜に狭めた形状に設けられている。これによれば、冷却用空気の流れを規制して案内でき、冷却効率を高めることができるように適正化できる。ここで、吸気用スペース20sとは、外側筐体30の前面壁31と内側筐体20の前面部21との間の空間であり、前述した動力伝達機構13が収納されている空間になっている。
【0034】
なお、ポンプ本体11が載置された上段と下段の通気開口21a、21cについては、ポンプ本体11に設けられた冷却用フィン11fに沿って冷却用空気が流れるように、その通気開口21a、21cが絞られた形態になっている。また、中段の通気開口21bは、電動モータ12が載置された段であり、電動モータ12のモータ自己冷却ファン12cによってモータ冷却用空気が奥から手前へ流れるものであるため、通気抵抗を低減するように他の通気開口21a、21cよりも大きく開口している。このモータ冷却用空気は、前述したようにモータ冷却用フィン12fに沿って流れ、中段の通気開口21bから出た後は、上下段のポンプ本体11、11の冷却用空気と吸気用スペース20sで合流し、送風機15によって吸引され、消音用合流室26を介して最終的には排気口35bを通って外部へ排出される。
【0035】
そして、内側筐体20の側壁部22には、電動モータ冷却空気導入用の開口22aが設けられており、電動モータ12の載置された中段の奥側の通気空間12sへ連通する開口となっている。これによれば、冷却用吸気口31aから吸気した冷却用空気を、モータ冷却用空気としてモータ自己冷却ファン12cへ供給でき、冷却性能を高めることができる。すなわち、この電動モータ冷却空気導入用の開口22aによれば、モータ自己冷却ファン12cが、内側筐体20の側壁部22と外側筐体30の側面壁32との間のスペースを流れることでポンプ本体11と電動モータ12の発熱の影響を受けない冷却用空気を吸引でき、電動モータ12を効率良く冷却できる。
また、12pは通気空間を区画する仕切板であり、電動モータ12の奥側の通気空間12sを狭め、冷却用空気が淀むことを防止すると共に、消音用合流室26などから伝導する熱を遮断するように設けられている。
【0036】
以上のように、冷却用空気を用いる冷却によって回転ポンプ装置の構成要素の温度低減ができることで、部品の長寿命化やシリンダ内でのロータのクリアランス量の低減による性能向上など、ポンプ品質の向上が可能となる。また、モータ巻線の温度上昇値の低下によって信頼性を向上できる。さらに、適正な冷却効果によって、ポンプ装置としての騒音レベルを低減できる効果もある。
【0037】
また、本形態例では、外側筐体30の上面壁35に、吸気用の開口35aが設けられている。この形態例の吸気用の開口35aは、吸気フィルタ装置16の吸気管路16bが挿通されている開口になっており、これによってポンプ本体11に係る吸気を行うための開口となっている。なお、16aは吸気フィルタ装置の吸気口である。この吸気フィルタ装置の吸気口16aから、吸気フィルタ装置16のフィルタを通り、次いで、本形態例では分岐して上下段のポンプ本体11、11に連通されている吸気管路16bを通り、その上下段のポンプ本体11、11への吸気がなされる。
【0038】
また、
図13に示すように、本形態例のパッケージ型回転ポンプユニット10が配電及び制御を除く機械的動作を行う構成によって設けられたモジュールユニットとされ、配電制御盤ユニット50が別体のモジュールユニットとして設けられている。
これによれば、処理流量の大きな大型の回転ポンプ装置システムを、簡便且つ適切に構築できる。
【0039】
さらに、本形態例では、
図12に示すように、ポンプ装置の構成要素であるポンプ本体11と電動モータ12とが、着脱棚部(20a′、20b′)を介して外側筐体30の前方へ引き出して保守交換可能に設けられている。上段の棚部20aは、ポンプ本体11が固定・支持される着脱棚部20a′を備えており、中段の棚部20bは、電動モータ12が固定・支持される着脱棚部20b′を備えている。これによれば、メンテナンス作業を効率良く行うことができる。すなわち、日常の点検を行う前面側に、ポンプ本体11や電動モータ12を引き出すことができるため、
図13のように複数のモジュールユニット(パッケージ型回転ポンプユニット10)を並べて設置した場合でも、容易に保守や交換の作業ができる。
【0040】
また、本発明に係るパッケージ型回転ポンプユニットの形態例では、外側筐体30のベース部34を基準として内側筐体20の水平出しができるように、外側筐体30の内底面34aと内側筐体20の底面24aとの間に、振動を吸収する制振材41及び高さ調整部材42を構成要素とする水平出し機構40を備える。なお、本形態例の内側筐体20の底面24aは、内側筐体20の底板部24の下面によって構成されている。
【0041】
これによれば、外側筐体30については、大まかに水平出しがなされている現場の設置場所に配置され、その外側筐体30の中で、独立して設けられている内側筐体20について、より精度の高い水平出しを行うことができる。そして、本発明の水平出し機構40は、高さ調整部材42を使って容易に水平出しができる構造であると共に、制振材41によって適切にポンプ本体11や電動モータ12等の振動を吸収できる構造になっている。この水平出し機構40は、外側筐体30に内蔵されたものであり、外部の要因(例えば設置面の整備の程度)に影響を受けることなく、特に制振材41の接触する面が一定のものとなっている。このため、適切且つ容易に水平出し作業を行うことができると共に、信頼性の高い水平出しを行うことができる。なお、制振対策として、ポンプ本体11や電動モータ12の個々にゴム脚等の弾性材による制振材を取り付けると、弾性材の伸縮によってポンプ本体11のプーリ11bと電動モータ12のプーリ12bのアライメントが崩れてしまう。これに対して、本形態例では、一つの筐体(内側筐体20)に、二台のポンプ本体11及び一台の電動モータ12を、制振材を介することなく搭載し、その内側筐体20に制振対策を施していることで、アライメントを崩すことなく、適切な制振対応が可能になっている。
【0042】
本形態例の水平出し機構40は、制振材41が少なくとも3箇所に設けられ、高さ調整部材42が内側筐体20の前部側の2箇所に設けられて構成されている。これによれば、簡易な構成で、水平出し機構40を構成できる。
【0043】
さらに具体的には、制振材41がゴム材等の弾性材を構成要素として設けられ、外側筐体30のベース部34における内底面34a上の4箇所に配され、その制振材41の各々が外側筐体30の内底面34aと内側筐体20の底面24aに係止した状態で位置決めされ、高さ調整部材42が内側筐体20の前部で且つ左右の位置に設けられている。
これによれば、簡単な構成で、高さ調整部材42を使って適切且つ容易に水平出しができ、制振材41によって極めて好適に振動を吸収できる。なお、制振材41には、リング状のゴム材を、金属板を介して2段に重ねたものを利用できる。また、高さ調整部材42としては、ボルトとナットで構成されて支持脚が設けられたアジャスターを利用できる。
【0044】
また、本形態例では、内側筐体20の重心が前部側に位置するように、回転ポンプ装置の構成要素がその内側筐体20内に配されて搭載されている。例えば、本形態例のように電動モータ12が内側筐体20の前側に配置されていることや、比較的軽量のマフラー部11mが内側筐体20の後側に配置されていることで、内側筐体20の重心を前部側に位置させることができる。
これによれば、内側筐体20が前傾し易い傾向となるため、その前傾を是正する方向に高さ調整部材42で調整するという定型的な作業方法で容易に水平出しができ、作業性を向上できる利点がある。
【0045】
さらに、本形態例では、内側筐体20の上面部25に装着された吊り上げ用の被係止部25aを介して、パッケージ型回転ポンプユニット10全体を吊り上げ可能に設けられている。被係止部25aとしては、図示してあるようにアイボルトを用いることができる。本形態例の内側筐体20は、構造強度が高く設けられているため、パッケージ型回転ポンプユニット10全体を好適に吊り上げて移送することができる。
【0046】
本発明に係るパッケージ型回転ポンプユニットの排気構造の形態例は、回転ポンプ装置の構成要素であるポンプ本体11や電動モータ12を搭載した内側筐体20が、箱型の外側筐体30の中に収納され、その外側筐体30の上面壁35の後部に冷却用空気を排気する排気口35bが設けられると共に、その排気口35bの下側で内側筐体20の後壁部23と外側筐体30の後面壁33との間に形成された排気用スペース20zが設けられ、内側筐体20の後壁部23に、回転ポンプ装置の構成が配された設置用スペース20xから冷却用空気を排気用スペース20z及び排気口35bを介して排出する送風機15を備え、排気用スペース20zに、ポンプ本体11の排気と冷却用空気の排気とを合流させて消音をさせる消音用合流室26が設けられている。
【0047】
ポンプ本体11の排気(ポンプ排気)は、マフラー部の排気口11nとポンプ排気合流口26bとが排気管路27によって接続されることで、下段の送風機15による冷却用空気の排気が導入された消音用合流室26へ合流されている。
これによれば、ポンプ排気が、マフラー部11mと消音用合流室26との両方で消音されると共に、且つポンプ排気が冷却用空気と合流されることで温度が下がり適正な状態で排気される。すなわち、ポンプ排気と冷却用空気とが合流された全排気によれば、適正な消音と温度のレベルになった状態で、排気口35bを介して排出される。
なお、送風機15としては、遠心ファンを用いることができ、本形態例では
図10に示すようにシロッコファンが設置されている。
【0048】
また、本形態例では、回転ポンプ装置の構成要素であるポンプ本体11と電動モータ12とが縦方向に重ねた位置に配されるように、内側筐体20に設けられた棚部が上中下段の三段20a、20b、20cに設けられ、その上段及び下段の棚部20a、20cにポンプ本体11が載置されると共に中段の棚部20bに電動モータ12が載置され、その電動モータ12の前方の位置に相当する外側筐体30の前面壁31の前面に冷却用吸気口31aの開口31bが設けられ、その開口31bから導入される冷却用空気の流れを曲げて案内すると共に遮音するようにその開口31bから外側筐体30の奥方向に間隔を置いてその開口に対応する遮蔽板部31cが設けられている。
【0049】
そして、消音用合流室26が、棚部の中段20bのスペースに対応する高さ位置において消音用合流室26の断面積が大きくなって広くなるように形成された中段拡張部26aを備え、その中段拡張部26aにポンプ本体11の排気(ポンプ排気)が合流されている。すなわち、この中段拡張部26aでは、
図10に示すように、下段の送風機15から上方へ排気されて消音用合流室26内に進入した冷却用空気の排気と、ポンプ排気とが合流されている。
これによれば、消音用合流室26の容積による消音効果、及び異なる音源が合流する際の音の干渉による消音効果が生じ、騒音の発生を低減できる。また、中段拡張部26aの上段側が流路を絞った状態になって、上部絞り流路26cが形成されている。この上部絞り流路26cによっても消音効果が生じ、騒音の発生を低減できる。
【0050】
棚部の上段に対応する高さ位置においてポンプ本体11の冷却用に送風機15が配されると共に、その上段の送風機15の排気方向が下方を向くように配され、その上段の送風機15から吐出された排気の方向が上方へ案内されて変えられるようにガイド壁15aが設けられている。
これによれば、排気音が直接的に外部へ出ることがなく、風切り音を低減させ、消音効果を向上できる。また、その上段の送風機15の排気を、上部絞り流路26cで、下段の送風機15からの冷却用空気の排気及びポンプ排気が混合された流れと合流させており、その上部絞り流路26cで生じるベンチュリー効果によって、排気を効果的に排出できる。
【0051】
また、これらの送風機15は、それぞれのポンプ本体11の軸線(長手方向)の延長線上に配置されている。このため、冷却用空気が手前から奥側へ一方向の流れとして直線的に流れ、通気抵抗を小さく抑えることができ、冷却効率を向上できる。なお、15sは通気空間であり、それぞれのポンプ本体11のマフラー部11mと送風機15の吸気口の間に、冷却用空気がスムースに流れるためのスペースとして設けられている。
【0052】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。