【実施例】
【0049】
次に本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0050】
成型し、光硬化した後の感光性樹脂積層体(凸版印刷用原版)のショアーD硬さ、ノルマルヘキサンに対する溶剤吸収重量増加率、反発弾性率、露光時間および現像時間は以下の方法により測定した。なお、測定用サンプルは250μmのポリエステル支持体上に3mmの感光性樹脂層を設けて感光性樹脂層の表面に125μmのポリエステルフィルムを積層した感光性樹脂積層体を使って、感光性樹脂積層体の表面から25W/m
2のケミカルランプを用いて感光性樹脂の表面より高さ5cmの距離から10分間露光し、光硬化させた。このサンプルを20℃、相対湿度65%の条件で24時間保存してサンプルを調整した。
【0051】
(1)ショアーD硬さ
ショアー式デュロメーター(ショアーDタイプ)(西独ツビック社製)を用いて25℃で測定した。
【0052】
(2)溶剤吸収重量増加率
露光後のサンプル厚みが500μmで2cm×5cmのサンプルを作り、5時間ノルマルへキサンに浸漬した後、表面に付着したノルマルへキサンを取り除き、重量を測定した。溶剤吸収重量増加率は、
溶剤吸収重量増加率(%)=(浸漬後の重量÷浸漬前の重量)×100
の計算式で算出した。
【0053】
(3)反発弾性率
直径10mm(重さ:4.16)の鋼球製ボールを20cmの高さより落下させ、跳ね返る高さ(a)を読み取り、(a/20)×100%表示とした。測定は、25℃、70%RHの条件で行った。
【0054】
<実施例1>
まず、支持体2としての厚み188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、ポリウレタン系接着剤で20μmの接着層3を設けた。ポリウレタン系接着剤はポリエステル系樹脂(バイロンRV−300、東洋紡績(株)製)80重量部をトルエン/メチルエチルケトン=80/20(重量比)の混合溶剤1940重量部に80℃で加熱溶解し、冷却後、イソシアヌレート型多価イソシアネートとしてヘキサメチレンジイソシアネートとトルエンジイソシアネートを原料とするイソシアヌレート型多価イソシアネート(デスモジュールHL、住友バイエルウレタン(株)製)20重量部、硬化触媒としてトリエチレンジアミン0.06重量部を添加し、10分間攪拌して調製したものを用いた。このようにして得られたポリウレタン系接着剤を膜厚みが20μmとなるように、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布して100℃で3分間乾燥キュアーし、接着層3を設けた。
【0055】
次に、接着層3上に、ショアーD硬さが30°で反発弾性率が30%の光硬化した感光性樹脂組成物で形成した中間層4を設けた。まず、2−メチルペンタメチレンジアミン(MPDA)2.9重量部、1,4−ビスアミノプロピルピペラジン(BAPP)6.0重量部、ポリエチレングリコールヘキサメチレンジイソシアネート反応物(HE−600)45.5重量部およびアジピン酸1.7重量部をメタノール100重量部と撹拌翼付き加熱溶解釜に入れ、充分な窒素置換を行った後に密閉にして徐々に65℃まで加熱撹拌した。約2時間撹拌してから、1,4−ナフトキノン0.015重量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1重量部を添加してさらに30分間撹拌溶解させた。その後、グリシジルメタクリレート(GMA)2.5重量部、水18重量部、亜硫酸アンモニウム0.3重量部、シュウ酸0.1重量部、アジピン酸0.8重量部、光開始剤としてベンジルジメチルケタール1.0重量部、ジグリシジルエーテルジアクリレート(架橋剤エポキシエステル400EA、共栄社化学(株)製)11.4重量部と架橋剤ライトアクリレート(HOA−MPE、共栄社化学(株)製)11.4重量部をさらに添加して30分間撹拌溶解させた。次いで、徐々に昇温してメタノールと水を留出させて、釜内の温度が110℃となるまで濃縮した。この段階で流動性のある粘稠な感光性樹脂組成物(中間層形成用の感光性樹脂組成物)を得た。
【0056】
次いで、このようにして得られた光硬化後の感光性樹脂組成物の膜厚みが100μmとなるように支持体2に形成した接着層3上に塗布し、70℃で乾燥した後に、さらに125μmのポリエステルフィルムを重ね合わせて照度が10mw/m
2のケミカルランプを使って60秒間露光して光硬化させて、全厚みが310μmの、支持体2上に接着層3および中間層4を設けた積層体を得た。
【0057】
形成した中間層4の反発弾性率を測定したところ、30%であった。また、この中間層4のノルマルヘキサンに対する溶剤吸収重量増加率は7.3%であり、インキの洗い油に対する耐性が充分であることを確認した。
【0058】
次に、中間層4上に、以下のように調製した感光性樹脂組成物(感光性樹脂層形成用の感光性樹脂組成物)を流延し、感光性樹脂層5を形成した。まず、2−メチルペンタメチレンジアミン(MPDA)2.9重量部、1,4−ビスアミノプロピルピペラジン(BAPP)6.8重量部、ポリエチレングリコールヘキサメチレンジイソシアネート反応物(HE−600)45.4重量部およびアジピン酸1.7重量部をメタノール100重量部と撹拌翼付き加熱溶解釜に入れ、充分な窒素置換を行った後に密閉にして徐々に65℃まで加熱撹拌した。約2時間撹拌してから、1,4−ナフトキノン0.03重量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1重量部を添加してさらに30分間撹拌溶解させた。その後、グリシジルメタクリレート(GMA)2.5重量部、水12重量部、亜硫酸アンモニウム0.3重量部、シュウ酸0.1重量部、アジピン酸0.7重量部、光開始剤としてベンジルジメチルケタール1.0重量部、グリセリンジメタクリレート(架橋剤ライトエステルG101P、共栄社化学(株)製)20.0重量部とエポキシエステル(40EM、共栄社化学(株)製)13.5重量部をさらに添加して30分間撹拌溶解させた。次いで、徐々に昇温してメタノールと水を留出させて、釜内の温度が110℃となるまで濃縮した。この段階で流動性のある粘稠な感光性樹脂組成物(感光性樹脂層形成用の感光性樹脂組成物)を得た。この感光性樹脂組成物の紫外線露光後のショアーD硬さは55°、反発弾性率は30%であった。このような感光性樹脂組成物を用いて、中間層4上に、厚み640μmの感光性樹脂層5を形成した。
【0059】
次に、感光性樹脂層5上に、感熱性を有するマスク層6を形成した。まず、分散バインダーとして、ブチラール樹脂、第三級アミノ基含有ポリアミド、エーテル基含有ポリアミド、極性基不含有ポリアミドおよびポリビニルアルコールを準備した。ブチラール樹脂としては、BM−5(積水化学工業(株)製)を用いた。また第三級アミノ基含有ポリアミドおよびエーテル基含有ポリアミドとしては、以下のようにして合成したものを使用した。極性基不含有ポリアミドとしては、マクロメルト6900(ヘンケル社製)を使用した。ポリビニルアルコールとしては、GH23(日本合成化学(株)製)を使用した。
【0060】
(第三級アミノ基含有ポリアミドの合成)
ε−カプロラクタム50重量部、N,N’−ジ(γ−アミノプロピル)ピペラジンアジペート40重量部、3−ビスアミノメチルシクロヘキサンアジペート10重量部と水100重量部をオートクレーブ中に仕込み、窒素置換後、密閉して徐々に加熱した。内圧が10kg/m
3に達した時点から、その圧力を保持できなくなるまで水を留出させ、約2時間で常圧に戻し、その後1時間常圧で反応させた。最高重合反応温度は255℃であった。これにより、融点137℃、比粘度1.96の第三級アミノ基含有ポリアミドを得た。
【0061】
(エーテル基含有ポリアミドの合成)
数平均分子量600のポリエチレングリコールの両末端にアクリロニトリルを付加し、これを水素還元して得たα,ω−ジアミノポリオキシエチレンとジアジピン酸との等モル塩:60重量部、ε−カプロラクタム:20重量部およびヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との等モル塩:20重量部を溶融重合して、相対粘度(ポリマー1gを水クロラール100mlに溶解し、25℃で測定した粘度)が2.50のエーテル基含有ポリアミドを得た。
【0062】
(マスク層塗工液の調製)
分散バインダーとして、ブチラール樹脂27重量部、第三級アミノ基含有ポリアミド39重量部を溶媒に溶解させ、そこにカーボンブラック34重量部を分散させて分散液を調製し、マスク層塗工液とした。
【0063】
(マスク層の作成)
両面に離型処理を施したPETフィルム支持体(E5000、東洋紡績(株)製、厚さ100μm)に、マスク層塗工液を、層厚が1.5μmになるように適宜選択したバーコーターを用いて塗工し、120℃×5分乾燥してマスク層6を作成した。
【0064】
前記PETフィルム支持体上にマスク層を形成した構造物を、マスク層側が感光性樹脂層と接するようにラミネータを用いて感光性樹脂層5上に積層し、全厚みが
951.5μmであり、感光性樹脂層5の厚みが640μmの凸版印刷用の感光性樹脂積層体1を得た。得られた感光性樹脂積層体1を30℃で保管下、板状に固化した。その24時間後、この感光性樹脂積層体を103℃で3分間加熱して、7日間以上保管した後、凸版印刷用原版(生版)を得た。
【0065】
得られた凸版印刷用原版の微細な独立点の再現性を評価した結果、100μmの独立点を再現する露光時間は4分間であり、感度が高く且つ優れた独立点の再現性を有する凸版印刷用レリーフであった。そのとき得られたレリーフについて、細線再現性のうちレリーフ再現性を評価したところ、細線は10μm幅の細線が再現した。また細線再現性のうち、印刷太り有無を目視にて評価したところ、印刷太りはなかった。さらに、印圧を200μmとなるように調整し、ライン速度20m/分の条件でベタ部の印刷性を評価した結果、カスレはなかった。また、目視にて非画像部インキ汚れは観察されなかった。中間層4と感光性樹脂層5との界面における印刷中の剥がれについても全く見られなかった。さらに、以下の手順で、円筒状成形時の感光性樹脂層の剥がれの有無を評価した。まず、印刷時のシリンダーに版を貼り付ける様態に、版をアウトカールの向きに、直径4cmの円筒状に丸めて、固定した。これを60℃の熱風乾燥機中で30分間加熱し、くせ付けした。その後乾燥機から出し、室温で約30分間放置した。その後、丸めたものを解くと円筒状に巻きくせがついている。このときに中間層と感光性樹脂層の間で歪が生じ、その界面で剥がれが生じると問題であるため、このような評価も行なった。結果、円筒状成形時に感光性樹脂層の剥がれは観察されなかった。
【0066】
<
参考例1>
ε−カプロラクタム52.5重量部、N,N’−ビス(γ−アミノプロピル)ピペラジンアジペート40.0重量部、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンアジペート7.5重量部および水100重量部を、反応器に入れ、充分な窒素置換を行った後に密閉して徐々に加熱した。内圧が10kg/cm
2に達した時点から、反応器内の水を徐々に留出させて1時間で常圧に戻し、その後1.0時間常圧で反応させた。最高重合温度は220℃であった。得られた重合体は、融点140℃、比粘度2.00の透明淡黄色のポリアミドを得た。
【0067】
得られたポリアミドを50.0重量部、N−エチルトルエンスルホン酸アミド5.0重量部、1,4−ナフトキノン0.03重量部、メタノール50.0重量部および水10重量部を、攪拌付き加熱解釜中で60℃、2時間混合してポリマーを完全に溶解してから、トリメチロールプロパントリグリシジルエステルのアクリル酸付加物38.1重量部、グリシジルメタクリレート2.5重量部、メタクリル酸2.9重量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1重量部、亜硫酸アンモニウム0.3重量部、シュウ酸0.1重量部およびベンジルジメチルケタール1.0重量部を添加して30分間溶解した。次いで、徐々に昇温してメタノールと水を留出させて、釜内の温度が110℃となるまで濃縮した。この段階で流動性のある粘稠な感光性樹脂組成物(後述する感光性樹脂層形成用の感光性樹脂組成物)を得た。この感光性樹脂組成物の紫外線露光後のショアーD硬さは55°、反発弾性率は18%であった。
【0068】
次に188μmのポリエステルフィルムである支持体2上に実施例1と同様に形成した接着層3を介してショアーD硬さが27°で反発弾性率が21%の光硬化した中間層4を設けた。中間層4は、上記の感光性樹脂組成物に用いたポリアミド55.0重量部、N−エチルトルエンスルホン酸アミド5.0重量部、1,4−ナフトキノン0.03重量部、メタノール50.0重量部および水10重量部を、攪拌付き加熱溶解釜中で60℃、2時間混合してポリマーを完全に溶解した後、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物32.9重量部、メタクリル酸3.1重量部、グリシジルメタクリレート2.5重量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1重量部、亜硫酸アンモニウム0.3重量部、シュウ酸0.1重量部およびベンジルジメチルケタール1.0重量部を添加して、感光性樹脂組成物(中間層形成用の感光性樹脂組成物)を得た。次いで、このようにして得られた光硬後の感光性樹脂組成物の膜厚みが100μmとなるように、支持体2上に形成した接着層3上に塗布して70℃で乾燥した後に、さらに125μmのポリエステルフィルムを重ね合わせて照度が10mw/m
2のケミカルランプを使って60秒間露光して光硬化させた100μmの中間層4を形成した。また、この中間層4のノルマルヘキサンに対する溶剤吸収重量増加率は7.3%であり、インキの洗い油に対する耐性が充分であることを確認した。
【0069】
このようにして形成された中間層4上に、上述した感光性樹脂層形成用の感光性樹脂組成物を流延し、実施例1と同様にして、厚み640μmの感光性樹脂層5形成した。さらに、実施例1と同様にして、感光性樹脂層5上にマスク層6を形成し、全厚みが
951.5μmの感光性樹脂積層体1を得た。
【0070】
直径100μmの独立点を再現する露光時間を、得られた感光性樹脂積層体を凸版印刷用原版として微細な独立点の再現性を評価した結果、100μmの独立点を再現する露光時間は6分間であり、感度が高く且つ優れた独立点の再現性を有する凸版印刷用原版であった。そのとき得られたレリーフについて、細線再現性のうちレリーフ再現性を評価したところ、細線は15μm幅の細線が再現した。次に、実施例1と同様に、細線再現性のうち印刷太りの有無
を評価したところ、印刷太りはなかった。さらに、実施例1と同様にベタ部の印刷性を評価した結果、カスレはなかった。また、目視にて非画像部インキ汚れは観察されなかった。中間層4と感光性樹脂層5との界面における印刷時の剥がれについても全く見られなかった。さらに、実施例1と同様にして円筒状成形時の感光性樹脂層の剥がれの有無を評価した結果、感光性樹脂層5の剥がれは観察されなかった。
【0071】
<
参考例2>
感光性樹脂層5を次のように変更した以外は、
参考例1と同様にして感光性樹脂積層体1を得た。
参考例1で感光性樹脂層形成用の感光性樹脂組成物に用いたポリアミドを50.0重量部、N−エチルトルエンスルホン酸アミド5.0重量部、1,4−ナフトキノン0.03重量部、メタノール50.0重量部および水10重量部を、攪拌付き加熱解釜中で60℃、2時間混合してポリマーを完全に溶解してから、トリメチロールプロパントリグリシジルエステルのアクリル酸付加物とメタクリル酸付加物(アクリル酸50モル%含有)35.4重量部、グリシジルメタクリレート2.0重量部、メタクリル酸3.1重量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1重量部、亜硫酸アンモニウム0.3重量部、シュウ酸0.1重量部およびベンジルジメチルケタール1.0重量部を添加して30分間溶解した。次いで、徐々に昇温してメタノールと水を留出させて、釜内の温度が110℃となるまで濃縮した。この段階で流動性のある粘稠な感光性樹脂層形成用の感光性樹脂組成物を得た。この感光性樹脂組成物の紫外線露光後のショアーD硬さは67°、反発弾性率は15%であった。このような感光性樹脂組成物を用いて、実施例1、
参考例1と同じ厚みである640μmの感光性樹脂層5を形成した。
【0072】
直径100μmの独立点を再現する露光時間を、実施例1と同等の方法で得られた全厚み
951.5μmの感光性樹脂積層体を凸版印刷用原版として微細な独立点の再現性を評価した結果、100μmの独立点を再現する露光時間は6分間であり、感度が高く且つ優れた独立点の再現性を有する凸版印刷用原版であった。そのとき得られたレリーフについて、細線再現性のうちレリーフ再現性を評価したところ、細線は15μm幅の細線が再現した。次に、実施例1と同様に、細線再現性のうち印刷太りの有無
を評価したところ、印刷太りはなかった。さらに、実施例1と同様にベタ部の印刷性を評価した結果、カスレはなかった。また、目視にて非画像部インキ汚れは観察されなかった。中間層4と感光性樹脂層5との界面における印刷中の剥がれについても全く見られなかった。さらに、実施例1と同様にして円筒状成形時の感光性樹脂層の剥がれの有無を評価した結果、感光性樹脂層5の剥がれは観察されなかった。
【0073】
<実施例2>
感光性樹脂層5の厚みを490μmとした以外は実施例1と同様にして、全厚みが
801.5μmの感光性樹脂積層体1を得た。このようにして得た感光性樹脂積層体1を凸版印刷用原版として、実施例1と同様にして、微細な独立点の再現性を評価した結果、直径100μmの独立点を再現する露光時間は4分間であり、感度が高く且つ優れた独立点の再現性を有する凸版印刷用原版であった。そのとき得られたレリーフについて、細線再現性のうちレリーフ再現性を評価したところ、10μm幅の細線が再現した。次に、実施例1と同様に、細線再現性のうち印刷太りの有無
を評価したところ、印刷太りはなかった。さらに、実施例1と同様にベタ部の印刷性を評価した結果、カスレはなかった。また、目視にて非画像部インキ汚れは観察されなかった。中間層4と感光性樹脂層5との界面における印刷中の剥がれについても全く見られなかった。さらに、実施例1と同様にして円筒状成形時の感光性樹脂層の剥がれの有無を評価した結果、感光性樹脂層5の剥がれは観察されなかった。
【0074】
<実施例
3>
感光性樹脂層5を次のように変更した以外は、実施例1と同様にして感光性樹脂積層体1を得た。2−メチルペンタメチレンジアミン(MPDA)2.9重量部、1,4−ビスアミノプロピルピペラジン(BAPP)6.8重量部、ポリエチレングリコールヘキサメチレンジイソシアネート反応物(HE−600)45.4重量部およびアジピン酸1.7重量部をメタノール100重量部と撹拌翼付き加熱溶解釜に入れ、充分な窒素置換を行った後に密閉にして徐々に65℃まで加熱撹拌した。約2時間撹拌してから、1,4−ナフトキノン0.03重量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1重量部を添加してさらに30分間撹拌溶解させた。その後、グリシジルメタクリレート(GMA)2.5重量部、水12重量部、亜硫酸アンモニウム0.3重量部、シュウ酸0.1重量部、アジピン酸0.7重量部、光開始剤としてベンジルジメチルケタール1.0重量部、グリセリンジメタクリレート(架橋剤ライトエステルG101P、共栄社化学株式会社製)20.0重量部とエポキシエステル200EA 13.5重量部をさらに添加して30分間撹拌溶解させた。次いで、徐々に昇温してメタノールと水を留出させて、釜内の温度が110℃となるまで濃縮した。この段階で流動性のある粘稠な感光性樹脂組成物を得た。この感光性樹脂組成物の紫外線露光後のショアーD硬さは47°、反発弾性率は30%であった。このような感光性樹脂組成物を用いて、実施例1、
参考例1と同じ厚みである640μmの感光性樹脂層5を形成した。
【0075】
直径100μmの独立点を再現する露光時間を、実施例1と同等の方法で得られた全厚み
951.5μmの感光性樹脂積層体を凸版印刷用原版として微細な独立点の再現性を評価した結果、100μmの独立点を再現する露光時間は4分間であり、感度が高く且つ優れた独立点の再現性を有する凸版印刷用原版であった。そのとき得られたレリーフについて、細線再現性のうちレリーフ再現性を評価したところ、細線は10μm幅の細線が再現した。次に、実施例1と同様に、細線再現性のうち印刷太りの有無
を評価したところ、印刷太りはなかった。さらに、実施例1と同様にベタ部の印刷性を評価した結果、カスレはなかった。また、目視にて非画像部インキ汚れは観察されなかった。中間層4と感光性樹脂層5との界面における印刷中の剥がれについても全く見られなかった。さらに、実施例1と同様にして円筒状成形時の感光性樹脂層の剥がれの有無を評価した結果、感光性樹脂層5の剥がれは観察されなかった。
【0076】
<実施例4>
ジグリシジルエーテルジアクリレートのみについて、架橋剤エポキシエステル400EA(共栄社化学株式会社製)を架橋剤エポキシエステル200EA(共栄社化学株式会社製)に変更したこと以外は実施例1と同様にしてショアーD硬さが40°、厚みが100μmの中間層4を形成し、それ以外は実施例1と同様にして全厚み
951.5μmの感光性樹脂積層体1を得た。
【0077】
直径100μmの独立点を再現する露光時間を、得られた感光性樹脂積層体1を凸版印刷用原版として微細な独立点の再現性を評価した結果、100μmの独立点を再現する露光時間は4分間であり、感度が高く且つ優れた独立点の再現性を有する凸版印刷用原版であった。そのとき得られたレリーフについて、細線再現性のうちレリーフ再現性を評価したところ、細線は10μm幅の細線が再現した。次に、実施例1と同様に、細線再現性のうち印刷太りの有無
を評価したところ、印刷太りはなかった。さらに、実施例1と同様にベタ部の印刷性を評価した結果、カスレはなかった。また、目視にて非画像部インキ汚れは観察されなかった。中間層4と感光性樹脂層5との界面における印刷中の剥がれについても全く見られなかった。さらに、実施例1と同様にして円筒状成形時の感光性樹脂層の剥がれの有無を評価した結果、感光性樹脂層5の剥がれは観察されなかった。
【0078】
<実施例
5>
中間層4を次のように変更した以外は、実施例1と同様にして感光性樹脂積層体1を得た。2−メチルペンタメチレンジアミン(MPDA)2.9重量部、1,4−ビスアミノプロピルピペラジン(BAPP)6.8重量部、ポリエチレングリコールヘキサメチレンジイソシアネート反応物(HE−600)45.4重量部およびアジピン酸1.7重量部をメタノール100重量部と撹拌翼付き加熱溶解釜に入れ、充分な窒素置換を行った後に密閉にして徐々に65℃まで加熱撹拌した。約2時間撹拌してから、1,4−ナフトキノン0.03重量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1重量部を添加してさらに30分間撹拌溶解させた。その後、グリシジルメタクリレート(GMA)2.5重量部、水12重量部、亜硫酸アンモニウム0.3重量部、シュウ酸0.1重量部、アジピン酸0.7重量部、光開始剤としてベンジルジメチルケタール1.0重量部、グリセリンジメタクリレート(架橋剤ライトエステルG101P、共栄社化学株式会社製)17.0重量部とエポキシエステル40EM(共栄社化学株式会社製)16.5重量部をさらに添加して30分間撹拌溶解させた。次いで、徐々に昇温してメタノールと水を留出させて、釜内の温度が110℃となるまで濃縮した。この段階で流動性のある粘稠な感光性樹脂組成物を得た。この感光性樹脂組成物の紫外線露光後のショアーD硬さは、48°、反発弾性率は27%であった。
【0079】
直径100μmの独立点を再現する露光時間を、得られた全厚み
951.5μmの感光性樹脂積層体1を凸版印刷用原版として微細な独立点の再現性を評価した結果、100μmの独立点を再現する露光時間は4分間であり、感度が高く且つ優れた独立点の再現性を有する凸版印刷用原版であった。そのとき得られたレリーフについて、細線再現性のうちレリーフ再現性を評価したところ、細線は10μm幅の細線が再現した。次に、実施例1と同様に、細線再現性のうち印刷太りの有無
を評価したところ、印刷太りはなかった。さらに、実施例1と同様にベタ部の印刷性を評価した結果、カスレはなかった。また、目視にて非画像部インキ汚れは観察されなかった。中間層4と感光性樹脂層5との界面における印刷中の剥がれについても全く見られなかった。さらに、実施例1と同様にして円筒状成形時の感光性樹脂層の剥がれの有無を評価した結果、感光性樹脂層5の剥がれは観察されなかった。
【0080】
<実施例6>
感光性樹脂層5の厚みを380μmとし、全厚みを
691.5μmとしたこと以外は実施例1と同様にして感光性樹脂積層体1を得た。
【0081】
直径100μmの独立点を再現する露光時間を、得られた感光性樹脂積層体1を凸版印刷用原版として微細な独立点の再現性を評価した結果、100μmの独立点を再現する露光時間は3分間であり、感度が高く且つ優れた独立点の再現性を有する凸版印刷用原版であった。そのとき得られたレリーフについて、細線再現性のうちレリーフ再現性を評価したところ、細線は10μm幅の細線が再現した。次に、実施例1と同様に、細線再現性のうち印刷太りの有無
を評価したところ、印刷太りはなかった。さらに、実施例1と同様にベタ部の印刷性を評価した結果、カスレはなかった。また、目視にて非画像部インキ汚れは観察されなかった。中間層4と感光性樹脂層5との界面における印刷中の剥がれについても全く見られなかった。さらに、実施例1と同様にして円筒状成形時の感光性樹脂層の剥がれの有無を評価した結果、感光性樹脂層5の剥がれは観察されなかった。
【0082】
<
参考例3>
中間層4、感光性樹脂層5をそれぞれ次のように変更した以外は、実施例1と同様にして感光性樹脂積層体1を得た。中間層4については、合成高分子化合物として用いたポリウレアウレタンをポリエーテルアミドに変更した。ポリエーテルアミドは、数平均分子量600のポリエチレングリコールの両末端にアクリロニトリルを付加し、これを水素還元して得たα,ω−ジアミノポリオキシエチレンとジアジピン酸との等モル塩:60重量部、ε−カプロラクタム:20重量部およびヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との等モル塩:20重量部を溶融重合して、相対粘度(ポリマー1gを水クロラール100mlに溶解し、25℃で測定した粘度)が2.50のエーテル基含有するポリエーテルアミドを得た。得られたポリエーテルアミド60重量部をメタノール中で60℃で1時間撹拌して溶解した後に、1,4−ナフトキノン0.015重量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1重量部を添加してさらに30分間撹拌溶解させた。その後、グリシジルメタクリレート(GMA)2.5重量部、水18重量部、亜硫酸アンモニウム0.3重量部、光開始剤としてベンジルジメチルケタール1.0重量部、ジグリシジルエーテルジアクリレート(架橋剤エポキシエステル400EA、共栄社化学株式会社製)18.1重量部と架橋剤ライトアクリレートHOA−MPE(共栄社化学株式会社製)18.0重量部をさらに添加して30分間撹拌溶解させた。次いで、徐々に昇温してメタノールと水を留出させて、釜内の温度が110℃となるまで濃縮した。この段階で流動性のある粘稠な感光性樹脂組成物を得た。ついでこのようにして得られた光硬後の感光性樹脂組成物の膜厚みが100μmとなるように厚さ188μmのポリエステルフィルム上に塗布して70℃で乾燥した後に、さらに125μmのポリエステルフィルムを重ね合わせて照度が10mw/m
2のケミカルランプを使って60秒間露光して光硬化させた310μmの中間層を設けた支持体を得た。形成された中間層4のショアーD硬さは35°であった。
【0083】
また、感光性樹脂層5については、合成高分子化合物として用いたポリウレアウレタンをポリエーテルアミドに変更して感光性樹脂層を製造した。感光性樹脂組成物は数平均分子量600のポリエチレングリコールの両末端にアクリロニトリルを付加し、これを水素還元して得たα,ω−ジアミノポリオキシエチレンとジアジピン酸との等モル塩:60重量部、ε−カプロラクタム:20重量部およびヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との等モル塩:20重量部を溶融重合して得たポリエーテルアミド60重量部をメタノール中で60℃で1時間撹拌して溶解した後に、1,4−ナフトキノン0.015重量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1重量部を添加してさらに30分間撹拌溶解させた。その後、グリシジルメタクリレート(GMA)2.5重量部、水12重量部、亜硫酸アンモニウム0.3重量部、シュウ酸0.1重量部、光開始剤としてベンジルジメチルケタール1.0重量部、グリセリンジメタクリレート(架橋剤ライトエステルG101P、共栄社化学株式会社製)20.0重量部とエポキシエステル40EM13.5重量部をさらに添加して30分間撹拌溶解させた。次いで、徐々に昇温してメタノールと水を留出させて、釜内の温度が110℃となるまで濃縮した。この段階で流動性のある粘稠な感光性樹脂組成物を得た。この感光性樹脂組成物の紫外線露光後のショアーD硬さは58°、反発弾性率は30%であった。
【0084】
直径100μmの独立点を再現する露光時間を、得られた全厚み
951.5μmの感光性樹脂積層体1を凸版印刷用原版として微細な独立点の再現性を評価した結果、100μmの独立点を再現する露光時間は6分間であり、感度が高く且つ優れた独立点の再現性を有する凸版印刷用原版であった。そのとき得られたレリーフについて、細線再現性のうちレリーフ再現性を評価したところ、細線は15μm幅の細線が再現した。次に、実施例1と同様に、細線再現性のうち印刷太りの有無
を評価したところ、印刷太りはなかった。さらに、実施例1と同様にベタ部の印刷性を評価した結果、カスレはなかった。また、目視にて非画像部インキ汚れは観察されなかった。中間層4と感光性樹脂層5との界面における印刷中の剥がれについても全く見られなかった。さらに、実施例1と同様にして円筒状成形時の感光性樹脂層の剥がれの有無を評価した結果、感光性樹脂層5の剥がれは観察されなかった。
【0085】
<実施例
7>
中間層4を次のように変更した以外は、実施例1と同様にして感光性樹脂積層体1を得た。合成高分子化合物として用いたポリウレアウレタンをポリウレタンに変更して中間層4を製造した。数平均分子量600のポリウレタンを50重量部、1,5−ブタンジオール10重量部およびヘキサメチレンジイソシアネート32.7重量部を混合し、150℃で重合してエーテル結合を含むポリウレタンを得た。得られたポリウレタン60重量部をメタノール中で60℃で1時間撹拌して溶解した後に、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1重量部を添加してさらに30分間撹拌溶解させた。その後、グリシジルメタクリレート(GMA)2.5重量部、水18重量部、亜硫酸アンモニウム0.3重量部、光開始剤としてベンジルジメチルケタール1.0重量部、ジグリシジルエーテルジアクリレート(架橋剤エポキシエステル400EA、共栄社化学株式会社製)23.1重量部と架橋剤ライトアクリレートHOA−MPE(共栄社化学株式会社製)13.0重量部をさらに添加して30分間撹拌溶解させた。次いで、徐々に昇温してメタノールと水を留出させて、釜内の温度が110℃となるまで濃縮した。この段階で流動性のある粘稠な感光性樹脂組成物を得た。次いでこのようにして得られた光硬後の感光性樹脂組成物の膜厚みが100μmとなるように厚さ188μmのポリエステルフィルム上に塗布して70℃で乾燥した後に、さらに125μmのポリエステルフィルムを重ね合わせて照度が10mw/m
2のケミカルランプを使って60秒間露光して光硬化させた310μmの中間層4を設けた支持体を得た。形成された中間層4のショアーD硬さは27°であった。
【0086】
直径100μmの独立点を再現する露光時間を、得られた全厚み
951.5μmの感光性樹脂積層体1を凸版印刷用原版として微細な独立点の再現性を評価した結果、100μmの独立点を再現する露光時間は4分間であり、感度が高く且つ優れた独立点の再現性を有する凸版印刷用原版であった。そのとき得られたレリーフについて、細線再現性のうちレリーフ再現性を評価したところ、細線は10μm幅の細線が再現した。次に、実施例1と同様に、細線再現性のうち印刷太りの有無
を評価したところ、印刷太りはなかった。さらに、実施例1と同様にベタ部の印刷性を評価した結果、カスレはなかった。また、目視にて非画像部インキ汚れは観察されなかった。中間層4と感光性樹脂層5との界面における印刷中の剥がれについても全く見られなかった。さらに、実施例1と同様にして円筒状成形時の感光性樹脂層の剥がれの有無を評価した結果、感光性樹脂層5の剥がれが観察された。
【0087】
<比較例1>
中間層を設けず、厚み680μmの感光性樹脂層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、全厚みが
891.5μmとなるように感光性樹脂積層体を作製した。このようにして得た感光性樹脂積層体を凸版印刷用原版として、実施例1と同様にして、微細な独立点の再現性を評価した結果、直径100μmの独立点を再現する露光時間は12分間であり、感度が低く独立点の再現性が満足いかない凸版印刷用原版であった。そのとき得られたレリーフについて、細線再現性のうちレリーフ再現性を評価したところ、20μm幅の線が再現した。次に、実施例1と同様に、細線再現性のうち印刷太りの有無
を評価したところ、印刷太りが観察された。さらに、実施例1と同様にベタ部の印刷性を評価した結果、カスレはなかった。また、目視にて非画像部インキ汚れは観察されなかった。中間層と感光性樹脂層との界面における印刷中の剥がれについても全く見られなかった。さらに、実施例1と同様にして円筒状成形時の感光性樹脂層の剥がれの有無を評価した結果、感光性樹脂層の剥がれは観察されなかった。
【0088】
<比較例2>
実施例1と同様の感光性樹脂層形成用の感光性樹脂組成物を用いて感光性樹脂層を形成したこと以外は参考例1と同様にして、感光性樹脂積層体を作製した。このようにして得た感光性樹脂積層体を凸版印刷用原版として、実施例1と同様にして、微細な独立点の再現性を評価した結果、直径100μmの独立点を再現する露光時間は4分間であり、感度の高い凸版印刷用原版であった。そのとき得られたレリーフについて、細線再現性のうちレリーフ再現性を評価したところ、10μm幅の線が再現した。次に、実施例1と同様に、細線再現性のうち印刷太りの有無
を評価したところ、印刷太りはなかった。さらに、実施例1と同様にベタ部の印刷性を評価した結果、カスレはなかった。また、目視にて非画像部インキ汚れは観察されなかった。中間層と感光性樹脂層との界面における印刷中の剥がれが観察され、また、実施例1と同様にして円筒状成形時の感光性樹脂層の剥がれの有無を評価した結果、感光性樹脂層の剥がれが観察された。
【0089】
<比較例3>
中間層の厚みを250μm、感光性樹脂層の厚みを240μmに変更した以外は実施例1と同様にして、全厚みが
701.5μmの感光性樹脂積層体を作製した。このようにして得た感光性樹脂積層体を凸版印刷用原版として、実施例1と同様にして、微細な独立点の再現性を評価した結果、直径100μmの独立点を再現する露光時間は4分間であり、感度の高い凸版印刷用原版であった。そのとき得られたレリーフについて、細線再現性のうちレリーフ再現性を評価したところ、10μm幅の線が再現した。次に、実施例1と同様に、細線再現性のうち印刷太りの有無
を評価したところ、印刷太りはなかった。さらに、実施例1と同様にベタ部の印刷性を評価した結果、カスレはなかった。得られた印刷物は、凸版印刷用レリーフのフロアー部(底部)にインキが付着し、印刷物の非画像部にインキ汚れが生じ、満足いく印刷品位のものが得られなかった。中間層と感光性樹脂層との界面における印刷中の剥がれについても全く見られなかった。さらに、実施例1と同様にして円筒状成形時の感光性樹脂層の剥がれの有無を評価した結果、感光性樹脂層の剥がれは観察されなかった。
【0090】
<比較例4>
中間層形成用の感光性樹脂組成物を、ショアーD硬さ55°の感光性樹脂層形成用の感光性樹脂組成物に変更した以外は、実施例1と同様にして感光性樹脂積層体を作製した。このようにして得た感光性樹脂積層体を凸版印刷用原版として、実施例1と同様にして、微細な独立点の再現性を評価した結果、直径100μmの独立点を再現する露光時間は4分間であり、感度の高い凸版印刷用原版であった。そのとき得られたレリーフについて、細線再現性のうちレリーフ再現性を評価したところ、10μm幅の線が再現した。得られた印刷物は、中間層のクッション機能が発現せず、印圧によるレリーフ層の変形により、微細な画像に太りが生じ、ベタ部にはカスレが生じており、満足いく印刷品位のものが得られなかった。なお、目視にて非画像部インキ汚れは観察されなかった。中間層と感光性樹脂層との界面における印刷中の剥がれについても全く見られなかった。さらに、実施例1と同様にして円筒状成形時の感光性樹脂層の剥がれの有無を評価した結果、感光性樹脂層の剥がれは観察されなかった。
【0091】
<比較例5>
感光性樹脂層形成用の感光性樹脂組成物において、グリセリンジメタクリレート(架橋剤ライトエステルG101P、共栄社化学株式会社製)とエポキシエステル40EM(共栄社化学株式会社製)との比率のみを変更し、G101Pを15.0重量部とエポキシエステル40EM 18.5重量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にして感光性樹脂積層体を得た。感光性樹脂組成物の紫外線露光後のショアーD硬さは
40°、反発弾性率は28%であった。
【0092】
直径100μmの独立点を再現する露光時間を、得られた感光性樹脂積層体を凸版印刷用原版として微細な独立点の再現性を評価した結果、100μmの独立点を再現する露光時間は4分間であり、感度が高く且つ優れた独立点の再現性を有する凸版印刷用原版であった。そのとき得られたレリーフについて、細線再現性のうちレリーフ再現性を評価したところ、細線は10μm幅の細線が再現した。次に、実施例1と同様に、細線再現性のうち印刷太りの有無
を評価したところ、印刷太りが観察された。さらに、実施例1と同様にベタ部の印刷性を評価した結果、カスレはなかった。また、目視にて非画像部インキ汚れは観察されなかった。中間層と感光性樹脂層との界面における印刷中の剥がれについても全く見られなかった。さらに、実施例1と同様にして円筒状成形時の感光性樹脂層の剥がれの有無を評価した結果、感光性樹脂層の剥がれは観察されなかった。
【0093】
<比較例6>
感光性樹脂層を次のように変更した以外は、実施例1と同様にして感光性樹脂積層体1を得た。感光性樹脂層形成用の感光性樹脂組成物を、グリセリンジメタクリレート(架橋剤ライトエステルG101P、共栄社化学株式会社製)とエポキシエステル40EM(共栄社化学株式会社製)との比率のみを変更し、G101Pを29.5重量部とエポキシエステル40EMを4.0重量部を配合した。この感光性樹脂組成物の紫外線露光後のショアーD硬さは
78°、反発弾性率は28%であった。
【0094】
直径100μmの独立点を再現する露光時間を、得られた感光性樹脂積層体を凸版印刷用原版として微細な独立点の再現性を評価した結果、100μmの独立点を再現する露光時間は4分間であり、感度が高く且つ優れた独立点の再現性を有する凸版印刷用原版であった。そのとき得られたレリーフについて、細線再現性のうちレリーフ再現性を評価したところ、細線は10μm幅の細線が再現した。次に、実施例1と同様に、細線再現性のうち印刷太りの有無
を評価したところ、印刷太りが観察された。さらに、実施例1と同様にベタ部の印刷性を評価した結果、カスレが生じていた。また、目視にて非画像部インキ汚れは観察されなかった。中間層と感光性樹脂層との界面における印刷中の剥がれについても全く見られなかった。さらに、実施例1と同様にして円筒状成形時の感光性樹脂層の剥がれの有無を評価した結果、感光性樹脂層の剥がれは観察されなかった。
【0095】
<比較例7>
感光性樹脂層の厚みを740μmとしたこと以外は実施例1と同様にして、全厚み
1051.5μmの感光性樹脂積層体を作製した。直径100μmの独立点を再現する露光時間を、得られた感光性樹脂積層体を凸版印刷用原版として微細な独立点の再現性を評価した結果、100μmの独立点を再現する露光時間は6分間であり、感度が高く且つ優れた独立点の再現性を有する凸版印刷用原版であった。そのとき得られたレリーフについて、細線再現性のうちレリーフ再現性を評価したところ、細線は30μm幅の細線が再現した。次に、実施例1と同様に、細線再現性のうち印刷太りの有無
を評価したところ、印刷太りはなかった。さらに、実施例1と同様にベタ部の印刷性を評価した結果、カスレはなかった。なお、目視にて非画像部インキ汚れは観察されなかった。中間層と感光性樹脂層との界面における印刷中の剥がれについても全く見られなかった。さらに、実施例1と同様にして円筒状成形時の感光性樹脂層の剥がれの有無を評価した結果、感光性樹脂層の剥がれは観察されなかった。
【0096】
実施例1〜
7、
参考例1〜3、比較例1〜7の構成および結果を以下に示す。
【0097】
【表1】