特許第6241092号(P6241092)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6241092
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】インクジェットプリンター
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20171127BHJP
   B41J 2/17 20060101ALI20171127BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20171127BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20171127BHJP
   B41J 29/13 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   B41J2/01 305
   B41J2/17 201
   B41J2/17 203
   B41J2/175 119
   B41J2/175 151
   B41J2/175 169
   B41J29/00 A
   B41J29/13
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-136042(P2013-136042)
(22)【出願日】2013年6月28日
(65)【公開番号】特開2015-9421(P2015-9421A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2016年3月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116665
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 和昭
(74)【代理人】
【識別番号】100164633
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(72)【発明者】
【氏名】平林 健一
【審査官】 牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−269609(JP,A)
【文献】 特開平02−264556(JP,A)
【文献】 特開平08−169580(JP,A)
【文献】 特開2009−078571(JP,A)
【文献】 特開2003−266748(JP,A)
【文献】 特開2002−331685(JP,A)
【文献】 特開2010−247521(JP,A)
【文献】 特開2011−093182(JP,A)
【文献】 特開2011−056831(JP,A)
【文献】 特開平10−181042(JP,A)
【文献】 特開2007−152811(JP,A)
【文献】 特開2011−056739(JP,A)
【文献】 特開2010−201677(JP,A)
【文献】 特開2001−293921(JP,A)
【文献】 米国特許第7971989(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01−2/215
B41J 29/00
B41J 29/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙排出口が開口しているプリンター前面と、
前記記録紙排出口よりも下側に位置する前記プリンター前面に形成されたロール紙交換口を備えるロール紙収納部と、
前記ロール紙収納部に対してプリンター幅方向の一方の第1の側に位置し、前記プリンター前面に形成されたインクカートリッジ交換口を備えるインクカートリッジ装着部と、
前記ロール紙収納部に対して前記プリンター幅方向の他方の第2の側に位置し、前記プリンター前面に形成された廃インクタンク交換口を備える廃インクタンク装着部と、
前記ロール紙収納部、前記インクカートリッジ装着部、および前記廃インクタンク装着部の前記プリンター幅方向に直交する方向であるプリンター上下方向の上側の位置で、前記プリンター幅方向に往復移動可能なヘッドキャリッジと、
前記ヘッドキャリッジに搭載されたインクジェットヘッドと、
を有していることを特徴とするインクジェットプリンター。
【請求項2】
前記プリンター前面に開閉可能に取り付けられ、前記ロール紙交換口を封鎖しているロール紙交換口カバーと、
前記プリンター前面に取り付けられ、前記ロール紙交換口カバーを開く操作部と、
前記プリンター前面に、開閉可能あるいは着脱可能に取り付けられ、前記インクカートリッジ交換口を封鎖しているカートリッジ交換口カバーと、
前記プリンター前面に、開閉可能あるいは着脱可能に取り付けられ、前記廃インクタンク交換口を封鎖しているタンク交換口カバーと、
を有し
前記操作部により前記ロール紙交換口カバーを開くと、前記ロール紙交換口と共に前記記録紙排出口も開放状態となる請求項1に記載のインクジェットプリンター。
【請求項3】
前記カートリッジ交換口カバーは、前記リンター上下方向の下端部において前記プリンター幅方向に延びる軸線を中心として、前記プリンター前面の前方に回動可能に前記プリンター前面に取り付けられている請求項2に記載のインクジェットプリンター。
【請求項4】
前記プリンター前面に着脱可能に取り付けられ、前記廃インクタンク交換口を封鎖しているタンク交換口カバーと、
前記タンク交換口カバーと前記廃インクタンク交換口の下縁部位の間を連結している所定長さの可撓性連結部材と、
を有している請求項1ないし3のうちのいずれか一つの項に記載のインクジェットプリンター。
【請求項5】
前記プリンター前面に着脱可能に取り付けられ、前記廃インクタンク交換口を封鎖しているタンク交換口カバーを有し、
前記タンク交換口カバーは、前記プリンター前面を向くカバー前面部分と、プリンター上面を向くカバー上面部分とを備え、
前記カバー上面部分は、前記プリンター上面よりも低い位置に形成された指掛け用の係合面を備えている請求項1ないし4のうちのいずれか一つの項に記載のインクジェットプリンター。
【請求項6】
前記プリンター前面に着脱可能に取り付けられ、前記廃インクタンク交換口を封鎖しているタンク交換口カバーを有し、
前記タンク交換口カバーは、前記プリンター前面を向くカバー前面部分と、前記プリンター前面の前記第2の側の端に連続するプリンター側面を向くカバー側面部分とを備え、前記タンク交換口カバーを前記プリンター前面から外すと、前記廃インクタンク交換口が前記プリンター前面に開口すると共に前記プリンター側面にも開口し、
前記廃インクタンク交換口から挿入される廃インクタンクは、前記廃インクタンク交換口における前記プリンター側面に開口する部分に対峙する部位に、指掛け用の係合部を備えている請求項1ないし5のうちのいずれか一つの項に記載のインクジェットプリンター。
【請求項7】
表示面および操作部材が配列された操作面と、
電源スイッチと、
を有し、
前記操作面は、前記プリンター前面において、前記インクカートリッジ交換口に対して前記プリンター上下方向の上側で、かつ、前記記録紙排出口に対して前記プリンター幅方向の前記第1の側に配置され、
前記電源スイッチは、前記プリンター前面において、前記廃インクタンク交換口に対して前記プリンター上下方向の上側で、かつ、前記記録紙排出口に対して前記プリンター幅方向の前記第2の側に配置されている、
請求項1ないし6のうちのいずれか一つの項に記載のインクジェットプリンター。
【請求項8】
前記プリンター前面に開閉可能あるいは着脱可能に取り付けられ、前記インクカートリッジ交換口を封鎖しているカートリッジ交換口カバーと、
前記カートリッジ交換口カバーを開けると露出するプリンター前面部分に配置した設定用操作部材と、
を有している請求項1ないし7のうちのいずれか一つの項に記載のインクジェットプリンター。
【請求項9】
前記記録紙排出口に繋がる記録紙搬送路と、
記インクカートリッジ装着部に対して前記プリンター下方向の上側に配置されたヘッドメンテナンスユニットと、
を有し、
前記ヘッドキャリッジは、前記記録紙搬送路と前記ヘッドメンテナンスユニットの前記プリンター上下方向の上側位置を、前記プリンター幅方向に往復移動可能である請求項1ないし8のうちのいずれか一つの項に記載のインクジェットプリンター。
【請求項10】
前記インクカートリッジ装着部は前記プリンター幅方向に比べて前記プリンター上下方向に長く、前記プリンター上下方向に区画された複数のインクカートリッジ装着部分を備え、
前記廃インクタンク装着部は、前記プリンター幅方向に比べて、前記プリンター上下方向およびプリンター前後方向に長く、偏平な直方体形状の廃インクタンクが縦置き状態で装着される請求項9に記載のインクジェットプリンター。
【請求項11】
前記記録紙排出口に対して前記プリンター上下方向の上側には記録紙切断機構が配置されている請求項1ないし10のうちのいずれか一つの項に記載のインクジェットプリンター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録紙排出口が設けられているプリンター前面からユーザーが各種の操作を行うことのできるインクジェットプリンターに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンターにおいては、インクジェットヘッドの目詰まり等を防止するために定期的に各ノズルからインク液滴を吐出するメンテナンス動作が行われる。特許文献1には、各ノズルから排出された廃インクを回収する廃インクタンクをプリンター本体の下方から着脱できるようにしたインクジェットプリンターが提案されている。
【0003】
また、インクジェットプリンターにおいては、インク供給源として、プリンター本体に着脱可能に装着さるインクカートリッジが用いられる。特許文献2には、ロール紙収納部の側方のスペースをインクカートリッジ装着部として利用して、小型・コンパクト化を図ったインクジェトプリンターが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−181042号公報
【特許文献2】特開2007−152811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のインクジェットプリンターにおいては、インクカートリッジは、プリンター本体の側面あるいは特許文献2に記載されているようにプリンター本体の前面に交換口が形成され、側方あるいは前方からプリンター本体に着脱される。これに対して、廃インクタンクは、インクカートリッジに比べて交換頻度が低いので、プリンター本体における目立たない場所に配置される。通常は、プリンター本体の側面、背面あるいは特許文献1に記載されているようにプリンター本体の下面に配置され、側方、後方あるいは下方からプリンター本体に装着される。
【0006】
従来においては、インクカートリッジの交換口および廃インクタンクの交換口の位置関係については着目されていない。例えば、双方の交換口がプリンター本体における異なる面に設けられていると、それらの着脱方向が相違し、ユーザーにとっては操作性が極めて悪いという問題がある。
【0007】
また、インクジェットプリンターを棚等の狭い場所に設置して使用する場合には、インクジェットプリンターの側方、上方あるいは後方に十分なスペースを確保できないことが多い。インクカートリッジおよび廃インクタンクの交換口がプリンター本体の側面、上面あるいは後面にある場合には、インクジェットプリンターを広い場所に移動して、インクカートリッジ、廃インクタンクを交換する必要があり、極めて不便である。
【0008】
さらに、多数台のインクジェットプリンターを並列配置して使用する場合等においては、インクジェットプリンターは隙間無く配列される。このため、各インクジェットプリンターの側方にはスペースが無い。このような場合においても、側方から廃インクタンク、インクカートリッジの交換作業を行うためには、インクジェットプリンターを移動させる必要があり、極めて不便である。
【0009】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、インクカートリッジ、廃インクタンク等の交換作業等を操作性良く行うことのできるインクジェットプリンターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明のインクジェットプリンターは、
記録紙排出口が開口しているプリンター前面と、
前記記録紙排出口よりも下側に位置し、前記プリンター前面に形成されたロール紙交換口と、
前記ロール紙交換口に対してプリンター幅方向の一方の第1の側に位置し、前記プリンター前面に形成されたインクカートリッジ交換口と、
前記ロール紙交換口に対して前記プリンター幅方向の他方の第2の側に位置し、前記プリンター前面に形成された廃インクタンク交換口と、
を有していることを特徴としている。
【0011】
本発明のインクジェットプリンターでは、記録紙排出口が開口しているプリンター前面に、ロール紙交換口、インクカートリッジ交換口および廃インクタンク交換口が配置されている。したがって、記録紙排出口から排出される印刷済みの記録紙の取り出し、ロール紙の交換、インクカートリッジの交換、および廃インクタンクの交換を、全て、プリンター前面から行うことができる。よって、ユーザーにとって使い勝手のよいインクジェットプリンターを提供できる。
【0012】
インクジェットヘッドがプリンター幅方向に往復移動してロール紙に印刷を行うシリアル型のインクジェットプリンターでは、インクジェットヘッドが搭載されたキャリッジの移動幅がロール紙収納部の幅よりも左右に広い。このため、ロール紙収納部の両側にはデッドスペースができる。特に、インクジェットヘッドが、移動方向にシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの4つのノズル列を備えた幅広の場合には、ロール紙収納部の両側に広いデッドスペースができやすい。本発明では、ロール紙収納部の一方の側にインクカートリッジ交換口を備えたインクカートリッジ装着部を配置でき、他方側に廃インクタンク交換口を備えた廃インクタンク装着部を配置できる。よって、デッドスペースを利用してインクカートリッジ装着部および廃インクタンク装着部を配置できるので、インクジェットプリンターの小型・コンパクト化に有利である。
【0013】
本発明のインクジェットプリンターは、
前記プリンター前面に開閉可能に取り付けられ、前記ロール紙交換口を封鎖しているロール紙交換口カバーと、
前記プリンター前面に、開閉可能あるいは着脱可能に取り付けられ、前記インクカートリッジ交換口を封鎖しているカートリッジ交換口カバーと、
前記プリンター前面に、開閉可能あるいは着脱可能に取り付けられ、前記廃インクタンク交換口を封鎖しているタンク交換口カバーと、
を有していることが望ましい。
【0014】
特に、廃インクタンクに比べて交換頻度の高い前記カートリッジ交換口カバーは、前記プリンター幅方向に直交する方向である上下方向の下端部において前記プリンター幅方向に延びる軸線を中心として、前記プリンター前面の前方に回動可能に前記プリンター前面に取り付けられていることが望ましい。
【0015】
一般に、プリンター前方には十分なスペースが確保されている。よって、カートリッジ交換口カバーを前方に回動させて開ける構成を採用すれば、インクカートリッジの交換作業を簡単に行うことができる。
【0016】
これに対して、廃インクタンクはインクカートリッジに比べて交換頻度が低い。したがって、本発明のインクジェットプリンターは、
前記プリンター前面に着脱可能に取り付けられ、前記廃インクタンク交換口を封鎖しているタンク交換口カバーと、
前記タンク交換口カバーと前記廃インクタンク交換口の下縁部位の間を連結している所定長さの可撓性連結部材と、
を有していることが望ましい。
【0017】
プリンター前面部分に、スナップフィット等の機構を用いて、タンク交換口カバーを着脱可能に取り付けるようにすれば、タンク交換口カバーを回動軸回りに回動可能にプリンター前面部分に取り付ける場合に比べて、取付け部分の機構が簡素化される。
【0018】
また、廃インクタンクは一般に偏平な直方体形状をしているので、その廃インクタンク交換口もプリンター上下方向に縦長の長方形になり、タンク交換口カバーも縦長の長方形になる。この場合、縦長のタンク交換口カバーの下端を前方に回動可能に取り付ける場合には、タンク交換口カバーにプリンター幅方向の力が作用すると、取付け部分に大きな力が作用し、当該取付け部分が破損しやすい。本発明では、タンク交換口カバーを着脱式としているので、このような弊害が発生しない。
【0019】
さらに、取り外したタンク交換口カバーは、可撓性の連結部材によってプリンター前面部分、すなわち、廃インクタンク交換口の下縁部位に繋がっている。よって、取り外したタンク交換口カバーが落下して破損するなどの危険性もない。また、取り外したタンク交換口カバーを見失ってしまうこともない。
【0020】
本発明のインクジェットプリンターは、
前記プリンター前面に着脱可能に取り付けられ、前記廃インクタンク交換口を封鎖しているタンク交換口カバーを有し、
前記タンク交換口カバーは、前記プリンター前面を向くカバー前面部分と、プリンター上面を向くカバー上面部分とを備え、
前記カバー上面部分は、前記プリンター上面よりも低い位置に形成された指掛け用の係合面を備えていることが望ましい。
【0021】
着脱式のタンク交換口カバーの場合には、プリンター前面から取り外す際に、タンク交換口カバーに指等を掛ける必要がある。本発明では、タンク交換口カバーにカバー上面部分を形成し、このカバー上面部分に、プリンター上面よりも低い位置に形成した係合面を設けてある。タンク交換口カバーの表面等に指掛け用の取手等の突起を形成する場合に比べて、タンク交換口カバーを簡単な構成にすることができる。また、プリンター上面側にスペースが無い場合であっても、プリンター上面よりも一段低い位置に係合面が形成されているので、係合面に指先を掛けてタンク交換口カバーをプリンター前面から外すことができる。
【0022】
本発明のインクジェットプリンターは、
前記プリンター前面に着脱可能に取り付けられ、前記廃インクタンク交換口を封鎖しているタンク交換口カバーを有し、
前記タンク交換口カバーは、前記プリンター前面を向くカバー前面部分と、前記プリンター前面の前記第2の側の端に連続するプリンター側面を向くカバー側面部分とを備え、
前記タンク交換口カバーを前記プリンター前面から外すと、前記廃インクタンク交換口が前記プリンター前面に開口すると共に前記プリンター側面にも開口し、
前記廃インクタンク交換口から挿入される廃インクタンクは、前記廃インクタンク交換口における前記プリンター側面に開口する部分に対峙する部位に、指掛け用の係合部を備えていることが望ましい。
【0023】
タンク交換口カバーを外すと、廃インクタンク交換口がプリンター側方にも開口するので、そこから露出している廃インクタンクの指掛け用の係合部に簡単に指を掛けて、当該廃インクタンクを前方に引き出すことができる。よって、廃インクタンクの取り出しを簡単に行うことができる。
【0024】
次に、本発明のインクジェットプリンターは、
表示面および操作部材が配列された操作面と、
電源スイッチと、
を有し、
前記操作面は、前記プリンター前面において、前記インクカートリッジ交換口に対して前記プリンター上下方向の上側で、かつ、前記記録紙排出口に対して前記プリンター幅方向の前記第1の側に配置され、
前記電源スイッチは、前記プリンター前面において、前記廃インクタンク交換口に対して前記プリンター上下方向の上側で、かつ、前記記録紙排出口に対して前記プリンター幅方向の前記第2の側に配置されていることが望ましい。
【0025】
液晶表示器等の表示面と各種のスイッチ、ボタン等の操作部材が配列された操作面をプリンター前面に配置しておくことにより、インクカートリッジ等の交換作業だけでなく、表示面の表示内容の確認、各種の入力操作等もプリンター前面から行うことができる。したがって、ユーザーにとって操作性に優れたインクジェットプリンターを提供できる。
【0026】
また、電源スイッチもプリンター前面に配置されていると共に、他のスイッチ、ボタンン等の操作部材とは離れた位置に配置されている。したがって、プリンダー動作中において、操作面上において各種のスイッチの操作時に電源スイッチを誤操作して印刷動作が中断してしまう等の弊害を確実に防止できる。
【0027】
さらに、本発明のインクジェットプリンターは、
前記プリンター前面に開閉可能あるいは着脱可能に取り付けられ、前記インクカートリッジ交換口を封鎖しているカートリッジ交換口カバーと、
前記カートリッジ交換口カバーを開けると露出するプリンター前面部分に配置した設定用操作部材と、
を有していることが望ましい。
【0028】
ディップスイッチ等の設定用操作部材は一般にプリンターの後面あるいは底面等に配置されている。このようなスイッチもプリンター前面から操作できるので便利である。また、これらのスイッチはカートリッジ交換口カバーの内側に配置され、通常は隠されている。このようなスイッチは通常は操作されないので、カートリジ交換口カバーの内側に配置しておいてもユーザーが不便を来すことはない。また、誤操作等されることも防止できる。
【0029】
次に、上記のようにプリンター前面に、記録紙排出口、ロール紙交換口、インクカートリッジ交換口および廃インクタンク交換口が配置される場合には、プリンター本体内部の各部のレイアウトを次のようにすることができる。
【0030】
すなわち、本発明のインクジェットプリンターは、
前記記録紙排出口に繋がる記録紙搬送路と、
前記記録紙搬送路よりも下側に配置され、前記ロール紙交換口を備えたロール紙収納部と、
前記ロール紙収納部に対して前記プリンター幅方向の前記第1の側に配置され、前記インクカートリッジ交換口を備えたインクカートリッジ装着部と、
前記ロール紙収納部に対して前記プリンター幅方向の前記第2の側に配置され、前記廃インクタンク交換口を備えた廃インクタンク装着部と、
前記インクカートリッジ装着部に対して前記プリンター幅方向に直交する方向であるプリンター上下方向の上側に配置されたヘッドメンテナンスユニットと、
前記ヘッドメンテナンスユニット、前記記録紙搬送路および前記廃インクタンク装着部の前記プリンター上下方向の上側位置を、前記プリンター幅方向に往復移動可能なヘッドキャリッジと、
前記ヘッドキャリッジに搭載されたインクジェットヘッドと、
を有している。
【0031】
この場合、前記インクカートリッジ装着部は前記プリンター幅方向に比べて前記プリンター上下方向に長く、前記プリンター上下方向に区画された複数のインクカートリッジ装着部分を備えた構成とすることができる。また、前記廃インクタンク装着部は、前記プリンター幅方向に比べて、前記プリンター上下方向およびプリンター前後方向に長く、偏平な直方体形状の廃インクタンクを縦置き状態で装着するように構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明を適用したインクジェットプリンターの斜視図である。
図2】各交換口が開いた状態を示すインクジェットプリンターの斜視図である。
図3】インクジェットプリンターのプリンター機構部を示す斜視図である。
図4】廃インク回収系を示す説明図である。
図5】インクカートリッジ交換口が開いたインクジェットプリンターの斜視図である。
図6】廃インクタンク交換口が開いたインクジェットプリンターの斜視図である。
図7】廃インクタンク交換口を封鎖するタンク交換口カバーを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したインクジェットプリンターの実施の形態を説明する。
【0034】
(プリンター前面の構成)
図1は本実施の形態に係るインクジェットプリンターを示す外観斜視図である。図2(a)は、プリンター前面に設けた各交換口を開けた状態のインクジェットプリンターを前方の左側から見た場合の外観斜視図であり、図2(b)は同状態のインクジェットプリンターを前方の右側から見た場合の外観斜視図である。図3(a)はインクジェットプリンターのプリンター機構部を前方の左側から見た場合の斜視図であり、図3(b)はプリンター機構部を前方の右側から見た場合の斜視図である。
【0035】
これらの図を参照して説明すると、インクジェットプリンター1(以下、単に「プリンター1」と呼ぶ場合もある。)はロール紙プリンターであり、全体として略直方体の輪郭形状をしたプリンター機構部2(図3参照)がプリンターケース3によって覆われた構成となっている。
【0036】
プリンター1は所定幅の記録紙排出口4を備えており、本明細書においては、記録紙排出口4が開口しているプリンターケース3の面をプリンター前面5aと呼ぶものとする。記録紙排出口4はプリンター前面5aにおいて、その幅方向であるプリンター幅方向Xに延びる所定幅の開口である。記録紙排出口4の下辺縁、すなわち、プリンター幅方向Xに直交するプリンター上下方向Zの下側の縁に沿って、プリンター前方に突出した排紙ガイド6がプリンター1の前面部分に取り付けられている。
【0037】
記録紙排出口4に対して、プリンター上下方向Zの下側には、プリンター前面5aに開口可能な所定幅および所定高さの矩形のロール紙交換口7が形成されている。ロール紙交換口7は、プリンター1の前面部分に開閉可能に取り付けたロール紙交換口カバー8によって封鎖されている。ロール紙交換口カバー8は、カバー開閉レバー9を操作することによって不図示のロックが解除されて開けることができる。カバー開閉レバー9は、記録紙排出口4に対してプリンター幅方向Xにおける一方の側(第2の側)に隣接配置されている。
【0038】
ロール紙交換口カバー8は、そのプリンター上下方向Zの下端部を中心としてプリンター前方に開けることができる開閉式のカバーである。すなわち、プリンター機構部2におけるプリンター前面5aの側の下端部には、プリンター幅方向Xに延びる支軸8a(図3(a)参照)が取り付けられている。この支軸8aを中心として、ロール紙交換口カバー8は、図1に示す閉じ位置から、図2に示すようにプリンター前方に略水平に倒れた開き位置までの間を回動可能である。ロール紙交換口カバー8には排紙ガイド6が取り付けられており、ロール紙交換口カバー8を開くと記録紙排出口4も開放状態になる。
【0039】
ロール紙交換口7に対して、プリンター幅方向Xにおけるカバー開閉レバー9とは反対側(第1の側)には、プリンター前面5aに開口可能なプリンター上下方向Zに長い長方形のインクカートリッジ交換口10が形成されている。インクカートリッジ交換口10は、プリンター1の前面部分に取り付けた開閉可能なカートリッジ交換口カバー11によって封鎖されている。
【0040】
ロール紙交換口7に対してプリンター幅方向Xにおけるインクカートリッジ交換口10とは反対側(第2の側)には、プリンター前面5aに開口可能なプリンター上下方向Zに細長い廃インクタンク交換口12が形成されている。廃インクタンク交換口12は、着脱可能にプリンター1の前面部分に取り付けたタンク交換口カバー13によって封鎖されている。
【0041】
このように、プリンター1においては、そのプリンター前面5aに、記録紙排出口4、ロール紙交換口7、インクカートリッジ交換口10および廃インクタンク交換口12が配置されている。したがって、記録紙の取り出し、ロール紙交換、インクカートリッジ交換および廃インクタンク交換をプリンター前方から行うことができる。なお、これらの交換口7、10、12を介して交換作業以外の各種のメンテナンス作業を行い得ることは勿論である。
【0042】
次に、プリンター前面5aには、LCD表示面および複数の操作部材が配列された操作面15が配置されている。操作面15は、インクカートリッジ交換口10に対してプリンター上下方向Zの上側で、かつ、記録紙排出口4に対してプリンター幅方向Xにおける側方の部位(第1の側の部位)に配置されている。操作面15には、表示部として、例えば、LEDが内蔵された電源ランプ16a、状態表示ランプ16b、ペーパーエンドランプ16c、インクエンドランプ16dが、この順序でプリンター幅方向Xに配列されている。また、これらの下側にはプリンター幅方向Xに細長い液晶表示画面17が配置されている。液晶表示面17の下側には、複数の操作部材が配列されている。例えば、カッター駆動ボタン18a、紙送りボタン18bおよびクリーニングスイッチ18cが配置されている。
【0043】
プリンター前面5aにおいて、記録紙排出口4に対して、操作面15とは反対側(第2の側)には、電源スイッチ19が配置されている。電源スイッチ19は、カバー開閉レバー9と、廃インクタンク交換口12の境界部分の上方の位置に配置されている。このように、電源スイッチ19は、それ以外の操作部材が配列された操作面15とはプリンター幅方向Xに離れた位置に配置されている。したがって、操作面15上の操作部材の操作時に、電源スイッチ19を誤って操作してしまう等といった誤操作の発生を確実に防止できる。
【0044】
また、図2から分かるように、インクカートリッジ交換口10におけるプリンター上下方向Zの上側の部位にも操作面20が形成されている。この操作面20には、複数個のディップスイッチ21aおよび液晶表示画面17のコントラスト(明るさ)調整用のボタン群21b等の設定スイッチが配列されている。カートリッジ交換口カバー11における上端部分は当該操作面20を覆うカバー部分11Bであり、それ以外の部分がインクカートリッジ交換口10を封鎖するカバー部分11Aである。図1に示すように、インクカートリッジ交換口10をカートリッジ交換口カバー11で封鎖すると、操作面20が覆い隠された状態になる。
【0045】
このように、プリンター前面5aには、ユーザーが通常の操作において使用する表示部と操作部材が配列されている。したがって、プリンター1の状態確認、操作入力等をプリンター前方から行うことができる。また、通常は使用しないディップスイッチ21a、コントラスト調整用のボタン群21bなどの設定スイッチも、カートリッジ交換口カバー11を開けるとプリンター前方に露出する。これらの操作もプリンター1を移動させるなどの作業、プリンター1の背面側に回り込む等の動作を行うことなく、簡単に行うことができる。
【0046】
(プリンター機構部)
次にプリンター1の内部構成を説明する。プリンターケース3によって覆われているプリンター機構部2は、図3に示すように、板金製の底板30a、左右の側板30b、30c等から構成されるプリンターフレーム30を備えている。プリンターフレーム30に、プリンター1の各構成部品が組み付けられている。
【0047】
プリンター機構部2におけるプリンター幅方向Xの中央部分には、ロール紙交換口7を介してプリンター前方に開口可能なロール紙収納部31が配置されている。ロール紙収納部31には、ラベル用紙等のテープ状の記録紙が巻き取られた構成のロール紙(図示せず)が横置き状態で収納される。
【0048】
ロール紙からプリンター前後方向Yの後方に向けて繰り出される記録紙は、ロール紙収納部31の上方に形成されているプリンター前後方向Yに延びる記録紙搬送路32に沿ってプリンター前方に引き回されて、記録紙排出口4に引き出された状態にセットされる。
【0049】
記録紙搬送路32の上方には、プリンター幅方向Xに往復移動可能な状態でヘッドキャリッジ33が配置されている。ヘッドキャリッジ33には記録紙搬送路32を向く状態にインクジェットヘッド29(後述の図4参照)が搭載されている。ヘッドキャリッジ33は、記録紙搬送路32の幅よりも両側に広い移動範囲を移動する。
【0050】
ロール紙収納部31に対してプリンター幅方向Xの一方の側(第1の側)には、インクカートリッジ交換口10を介してプリンター前方に開口するインクカートリッジ装着部34が配置されている。ロール紙収納部31に対してプリンター幅方向Xの反対側(第2の側)には、廃インクタンク交換口12を介してプリンター前方に開口する廃インクタンク装着部35が配置されている。また、インクカートリッジ装着部34におけるプリンター上下方向Zの上側にはヘッドメンテナンスユニット36が配置されている。
【0051】
ヘッドキャリッジ33は、ヘッドメンテナンスユニット36、記録紙搬送路32および廃インクタンク装着部35におけるプリンター上下方向Zの上側位置を、プリンター幅方向Xに直線状に移動する移動経路に沿って往復移動可能である。なお、記録紙排出口4に対してプリンター上下方向Zの上側には、記録紙切断機構61(カッター)が配置されている。
【0052】
ここで、インクカートリッジ装着部34は、プリンター幅方向Xに比べてプリンター上下方向Zに長い断面形状をしたプリンター前後方向Yに延びる装着部である。このインクカートリッジ装着部34は、プリンター上下方向Zに複数に区画されている。本例では、4つに区画されており、例えば、下側から上側に向かって、ブラックインク、マゼンタインク、イエローインクよびシアンインクのインクカートリッジK、M、Y、Cの装着部分となっている。廃インクタンク装着部35は、プリンター幅方向Xに比べて、プリンター上下方向Zおよびプリンター前後方向Yに長い。ここには、偏平な直方体形状の廃インクタンク37が縦置き状態で装着される。
【0053】
このように、本例では、ヘッドキャリッジ33の移動範囲におけるロール紙収納部31の両側のスペースを利用して、インクカートリッジ装着部34および廃インクタンク装着部35を配置してある。したがって、これらの装着部34、35の設置スペースを確保するために、プリンター1の幅寸法が大きくなってしまうことがなく、プリンター1の小型・コンパクト化に有利である。
【0054】
なお、プリンター機構部2には、廃インクタンク37に廃インクを回収する廃インク回収系が組み込まれている。図4は廃インク回収系を示す説明図である。プリンター機構部2の背面側の部位には、ヘッドメンテナンスユニット36と廃インクタンク装着部35の間を繋ぐ廃インクチューブ28aが配置されている。ヘッドキャリッジ33に搭載されているインクジェットヘッド29は、ヘッドメンテナンスユニット36のヘッドキャップ36aに対峙した位置において、そのノズル回復動作等のために各ノズルからインク液滴の吐出動作(フラッシング)を行う。吐出された廃インクは、ヘッドメンテナンスユニット36のヘッドキャップ36aから圧送ポンプ28bによって廃インクチューブ28aを介して廃インクタンク装着部35に排出され、ここに装着されている廃インクタンク37に回収される。廃インクチューブ28aは、プリンター背面側の部位において、プリンター上下方向における同一高さ位置をプリンター幅方向Xに略水平に直線状に引き回されている。廃インクタンク37に回収された廃インクは、廃インクタンク37内に収納された多孔質の吸収材37Aに吸収されて保持される。
【0055】
(カートリッジ交換口カバー)
次に、図5(a)はカートリッジ交換口カバー11を開けた状態のプリンター1をプリンター前方の左側から見た場合の外観斜視図であり、図5(b)は同状態のプリンター1をプリンター前方の右側から見た場合の外観斜視図である。
【0056】
これらの図に示すように、カートリッジ交換口カバー11は、そのプリンター上下方向Zの下端部を中心としてプリンター前方に開けることができる開閉式のカバーである。すなわち、プリンター機構部2における下端部に取り付けたプリンター幅方向Xに延びる支軸11aを中心として、カートリッジ交換口カバー11は、図1に示す閉じ位置から、図5に示すようにプリンター前方に略水平に倒れた開き位置までの間を回動可能である。
【0057】
カートリッジ交換口カバー11はプリンター上下方向Zに長い長方形輪郭のカバーであり、その上端部には開閉時に指で掴んで操作する摘み用突部11bが形成されている。また、カートリッジ交換口カバー11の側縁部分、上端部内周面には、係合用のフック11c、11dが形成されており、プリンターケース3の側のインクカートリッジ交換口10における対応する内周縁部分には、これらのフックが弾性変形によって係合可能な係合部(図示せず)が形成されている。フックと係合部との係合によって、カートリッジ交換口カバー11はインクカートリッジ交換口10を封鎖した閉じ位置に保持される。所定の力で摘み用突部11bをプリンター前方に引くことで、フックが係合部から外れて、カートリッジ交換口カバー11を開けることが可能となっている。
【0058】
このように、カートリッジ交換口カバー11は、その下端部を中心としてプリンター前方に開けることができる。一般に、プリンター前方には十分なスペースが確保されている。したがって、カートリッジ交換口カバー11を側方に旋回させてインクカートリッジ交換口10を開ける場合等に比べて、カートリッジ交換口カバー11の開閉を簡単に行うことができる。よって、インクカートリッジ装着部34に対するインクカートリッジの交換作業を簡単に行うことができる。
【0059】
(タンク交換口カバー)
図6(a)はタンク交換口カバー13を開けた状態のプリンター1をプリンター前方の左側から見た場合の外観斜視図であり、図6(b)は同状態のプリンター1をプリンター前方の右側から見た場合の外観斜視図である。また、図7(a)はプリンター前方に向けて水平に倒した状態のタンク交換口カバー13を示す斜視図であり、図7(b)はプリンター上下方向Zに立てた状態のタンク交換口カバー13を示す斜視図である。
【0060】
図1および図6を主に参照して説明すると、タンク交換口カバー13は、プリンター1のプリンター上下方向Zの高さとほぼ同一の長さの細長いカバーである。このタンク交換口カバー13は着脱可能な状態でプリンター前面5aに取り付けられている。また、タンク交換口カバー13の下端部と、廃インクタンク交換口12の下縁部位との間は、一定幅の可撓性の連部材である連結バンド40によって連結されている。したがって、プリンター1のプリンター前面5aから取り外したタンク交換口カバー13が落下して破損する等のおそれがない。また、取り外したタンク交換口カバー13を見失ってしまうこともない。
【0061】
図7から分かるように、タンク交換口カバー13は、プリンター前面5aを向くカバー前面部分41と、プリンター前面5aの側端からプリンター後方に延びるプリンター側面5bを向くカバー側面部分42と、プリンター上面5cを向くカバー上面部分43と、プリンター底面5dを向くカバー底面部分44を備えている。タンク交換口カバー13のカバー前面部分41におけるロール紙交換口カバー8の側の縁端には、プリンター後方に延びる垂直仕切板部分45が形成されている。また、タンク交換口カバー13の内側面には、その上端側の部分に、水平仕切り板部分46が形成されている。この水平仕切り板部分46から下側の部分は、廃インクタンク交換口12を封鎖するカバー部分13Aである。水平仕切り板部分46よりも上側の部分は、プリンター前面5aにおける廃インクタンク交換口12の上端からプリンター上面5cまでの間を覆うカバー部分13Bである。カバー部分13Bには、電源スイッチ19の輪郭に対応する矩形の切り欠き部52が形成されている。
【0062】
タンク交換口カバー13には、その内側部分の下端部に形成した位置決め用突起47等の位置決め部が形成されている。また、タンク交換口カバー13には係合用のフック48が形成されている。プリンター1のプリンター前面5aの側には、図6に示すように、廃インクタンク交換口12の上側に円弧面状部分12Bが形成されており、ここには、フック48に対応する部位に、弾性変形してフック48に係合可能なフック係合溝49が形成されている。タンク交換口カバー13をプリンター前面5aの廃インクタンク交換口12に位置決めして押し込むと、フック48がフック係合溝49に係合し、タンク交換口カバー13がプリンター前面5aに取り付けられ、廃インクタンク交換口12が閉鎖された状態が形成される。また、当該タンク交換口カバー13の上端側のカバー部分13Bによって廃インクタンク交換口12の上側の円弧面状部分12Bが覆い隠された状態になる。
【0063】
ここで、タンク交換口カバー13の上端側のカバー部分13Bの内側面部分には、カバー検出片50が形成されている。プリンター前面5aの円弧面状部分12Bには、このカバー検出片50を差し込み可能なスリット51が形成されている。スリット51の内部には、カバー検出片50を検出可能な検出器(図示せず)が配置されている。例えば光学式検出器等の非接触式検出器あるいはマイクロスイッチ等の接触式検出器が組み込まれている。タンク交換口カバー13を廃インクタンク交換口12に取り付けると、カバー検出片50がスリット51に差し込まれた状態になり、内蔵の検出器によってカバー検出片50が検出される。よって、タンク交換口カバー13が取り付けられているのか、あるいは、外されているのかをプリンター1が認識できる。
【0064】
次に、タンク交換口カバー13には、そのカバー上面部分43に指掛け用の係合面43aが形成されている。係合面43aは、プリンター上面5cよりも一段低い位置となるように形成され、高摩擦係数の凹凸状の面となっている。プリンター前面5aに取り付けられているタンク交換口カバー13を外す場合には、プリンター前方から、プリンター上面5cよりも一段低い位置にある係合面43aに指先等を掛け、当該タンク交換口カバー13をプリンター前方に引けばよい。これにより、フック48がフック係合溝49から外れるので、タンク交換口カバー13をプリンター前面5aからプリンター前方に外すことができる。
【0065】
狭い高さの棚等にプリンター1を設置する場合、プリンター1のプリンター上面5cに物を載せてある場合等においても、プリンター前方から、タンク交換口カバー13の上端の係合面43aに指先等を簡単に掛けることができる。よって、タンク交換口カバー13の取り外しを、プリンター1を移動することなく、また、他の物品を移動することなく、簡単に行うことができる。
【0066】
次に、タンク交換口カバー13は、前面カバー部分41と側面カバー部分42を備えている。したがって、タンク交換口カバー13をプリンター前面5aから外すと、廃インクタンク交換口12は、プリンター前方に開口すると共に、プリンター側方にも開口する。廃インクタンク交換口12から廃インクタンク装着部35に装着されている廃インクタンク37は、そのプリンター前方の側の端部分37aに指掛け用の係合用凹部37bを備えている。係合用凹部37bはプリンター側面5bに開口しており、タンク交換口カバー13を外すと、図6から分かるように、プリンター側方に露出する。
【0067】
したがって、係合用凹部37bに指先などを掛けることで、廃インクタンク37を廃インクタンク装着部35からプリンター前方に引き抜く作業を簡単に行うことができる。すなわち、多数台のプリンター1を隙間無く横方向に配列して使用する場合等においては、プリンター前方に開口した廃インクタンク交換口12から指先等を入れて廃インクタンク37の前端部分を掴み、引き出すことが困難な場合がある。本例では、廃インクタンク37の前端の側方に開口する係合用凹部37bに指先等を簡単に掛けることができるので、プリンター1が隙間無く並列配置されている場合であっても、プリンター前方から簡単に廃インクタンク37を掴んで引き出すことができる。
【符号の説明】
【0068】
1 インクジェットプリンター、2 プリンター機構部、3 プリンターケース、4 記録紙排出口、5a プリンター前面、5b プリンター側面、5c プリンター上面、5d プリンター底面、6 排紙ガイド、7 ロール紙交換口、8 ロール紙交換口カバー、8a 支軸、9 カバー開閉レバー、10 インクカートリッジ交換口、11 カートリッジ交換口カバー、11A カバー部分、11B カバー部分、11a 支軸、11b 摘み用突起、12 廃インクタンク交換口、12B 円弧面状部分、13 タンク交換口カバー、13A カバー部分、13B カバー部分、15 操作面、16a 電源ランプ、16b 状態表示ランプ、16c ペーパーエンドランプ、16d インクエンドランプ、17 液晶表示画面、18a カッター駆動ボタン、18b 紙送りボタン、18c クリーニングボタン、19 電源スイッチ、20 操作面、21a ディップスイッチ、21b ボタン群、28a 廃インクチューブ、28b 圧送ポンプ、29 インクジェットヘッド、30 プリンターフレーム、30a 底板、30b,30c 側板、31 ロール紙収納部、32 記録紙搬送路、33 ヘッドキャリッジ、34 インクカートリッジ装着部、35 廃インクタンク装着部、36 ヘッドメンテナンスユニット、36a ヘッドキャップ、37 廃インクタンク、37A 吸収材、37a 端部分、37b 係合用凹部、40 連結バンド、41 カバー前面部分、42 カバー側面部分、43 カバー上面部分、43a 係合面、44 カバー底面部分、45 垂直仕切り板部分、46 水平仕切り板部分、47 位置決め用突起、48 フック、49 フック係合溝、50 カバー検出片、51 スリット、61 記録紙切断機構、X プリンター幅方向、Y プリンター前後方向、Z プリンター上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7