特許第6241106号(P6241106)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6241106
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】車両用ドア構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 10/75 20160101AFI20171127BHJP
   B60J 10/30 20160101ALI20171127BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   B60J10/75
   B60J10/30
   B60J5/04 P
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-152355(P2013-152355)
(22)【出願日】2013年7月23日
(65)【公開番号】特開2015-20692(P2015-20692A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2016年4月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000349
【氏名又は名称】特許業務法人 アクア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木舟 太郎
(72)【発明者】
【氏名】笹川 貴史
(72)【発明者】
【氏名】内潟 充
【審査官】 田々井 正吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−121346(JP,A)
【文献】 特開2013−107521(JP,A)
【文献】 特開2010−195163(JP,A)
【文献】 特開2007−131016(JP,A)
【文献】 特開2005−132215(JP,A)
【文献】 実開平02−044516(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 10/75
B60J 5/04
B60J 10/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ドアの窓枠を構成するドアアウタパネルと、
前記ドアアウタパネルの車内側に配置されて該ドアアウタパネルを補強し前記窓枠の下縁に沿った上縁を有するアウタリンフォースと、
前記窓枠の下縁およびアウタリンフォースの上縁に跨って取付けられ該アウタリンフォースの車内側に位置するドアガラスと該アウタリンフォースとの隙間を塞ぐウェザストリップとを備えた車両用ドア構造であって、
前記窓枠の下縁には、
前記アウタリンフォースの上縁を挟んで車内側に折り返される折り返し部と、
前記折り返し部の車内側から下に延びて前記アウタリンフォースから離間するように車内側に屈曲した爪部とが形成されていて、
前記アウタリンフォースには、
前記窓枠の下縁のうち折り返し部を欠いた位置に設けられ車両前後方向から見て前記爪部と重なるように車内側に膨出した膨出部が形成されていて、
前記ウェザストリップは、前記爪部および前記膨出部に係合する係合部を有し、
前記ウェザストリップの、前記係合部が前記爪部に係合する位置での車両前後方向から見た断面形状と、前記係合部が前記膨出部に係合する位置での車両前後方向から見た断面形状とは、同一形状を有していることを特徴とする車両用ドア構造。
【請求項2】
前記ウェザストリップは、車外側で前記ドアアウタパネルに当接する第1リップと、車内側で前記アウタリンフォースの前記膨出部に当接する第2リップとを車両高さ方向同位置に有することを特徴とする請求項1に記載の車両用ドア構造。
【請求項3】
前記膨出部の上端および下端は、前記アウタリンフォースから切り出された開口を形成していることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用ドア構造。
【請求項4】
前記膨出部の両側端は、前記アウタリンフォースと連続していることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用ドア構造。
【請求項5】
前記膨出部は、前記窓枠の下縁のうち車両前後方向の端部付近に位置していることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用ドア構造。
【請求項6】
当該車両用ドア構造は、前記窓枠をドアガラスが固定される第1枠部とドアガラスが昇降可能に配置される第2枠部とに区画する車両上下方向に延びるフレームをさらに備え、
前記膨出部は、第1枠部に位置していることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の車両用ドア構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアの窓枠の下縁に取付けられたウェザストリップを備える車両用ドア構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用ドア構造は、例えば、車両用ドアの窓枠を構成するドアアウタパネルと、窓枠の下縁に取付けられたウェザストリップとを備える。ウェザストリップは、窓枠の下縁とドアガラスとの隙間を塞ぐゴム製の部材であって、この隙間から雨水などが車室内に浸入することを防止する。
【0003】
特許文献1および特許文献2には、ドアアウタパネルの車内側に配置され、ドアアウタパネルを補強するアウタリンフォースを備えた車両用ドア構造が記載されている。特許文献1に記載の車両用ドア構造では、アウタリンフォースの上縁を挟んでドアアウタパネルが曲げ加工によって車内側に折り返されている。ドアアウタパネルは、折り返された箇所からさらに下に延びてアウタリンフォースから離間するように車内側に屈曲した爪形状を有している。ウェザストリップは、爪形状を有するドアアウタパネルに係合している。
【0004】
特許文献2に記載の車両用ドア構造には、アウタリンフォースにウェザストリップと係合する爪を切り起こすことが記載されている。これらの車両用ドア構造では、ドアアウタパネルまたはアウタリンフォースに形成された爪とウェザストリップが係合することで、ウェザストリップが窓枠の下縁から抜け落ちることを防止する、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−132215号公報
【特許文献2】実開平2−44516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の車両用ドア構造では、ドアアウタパネルを曲げ加工によって車内側に折り返している。この技術では、曲げ加工のためのプレス型を、窓枠の下縁付近に入り込ませる必要がある。しかし、窓枠の下縁のうち、車両前後方向の端部には、プレス型が入り込まず、曲げ加工が困難となり、ドアアウタパネルに爪形状を形成できない。
【0007】
そこで、窓枠の下縁のうち車両前後方向の端部には、特許文献2に記載のようにドアアウタパネルに代えてアウタリンフォースに爪を形成することも考えられる。しかし、窓枠の下縁に、ドアアウタパネルに形成された爪と、アウタリンフォースに切り起こされた爪とが存在した場合、窓枠の下縁の車両前後方向全体にわたって、ウェザストリップの取付姿勢を一定に保つことは困難である。
【0008】
ウェザストリップの取付姿勢が変化すると、ゴム製のウェザストリップは、その変化した箇所でしわ、あるいは撓みが発生してしまい、窓枠の下縁から抜け落ちる可能性もある。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑み、ウェザストリップを安定して取付可能な車両用ドア構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明にかかる車両用ドア構造の代表的な構成は、車両用ドアの窓枠を構成するドアアウタパネルと、ドアアウタパネルの車内側に配置されてドアアウタパネルを補強し窓枠の下縁に沿った上縁を有するアウタリンフォースと、窓枠の下縁およびアウタリンフォースの上縁に跨って取付けられアウタリンフォースの車内側に位置するドアガラスとアウタリンフォースとの隙間を塞ぐウェザストリップとを備えた車両用ドア構造であって、窓枠の下縁には、アウタリンフォースの上縁を挟んで車内側に折り返される折り返し部と、折り返し部の車内側から下に延びてアウタリンフォースから離間するように車内側に屈曲した爪部とが形成されていて、アウタリンフォースには、窓枠の下縁のうち折り返し部を欠いた位置に設けられ車両前後方向から見て爪部と重なるように車内側に膨出した膨出部が形成されていて、ウェザストリップは、爪部および膨出部に係合する係合部を有することを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、ドアアウタパネルで構成される窓枠の下縁の折り返し部から延びる爪部、およびアウタリンフォースの膨出部に、ウェザストリップが係合している。よって、ウェザストリップは、爪部および膨出部によって車両上下方向の位置規制が可能となり、窓枠の下縁から抜け落ちることを防止できる。
【0012】
ここで、膨出部は、窓枠の下縁のうち折り返し部を欠いた位置に設けられていて、車両前後方向から見て爪部と重なる形状を有する。このため、ウェザストリップの係合部は、折り返し部が存在せず爪部を形成することが不可能な位置においても、爪部に係合していたのと同様に、アウタリンフォースの膨出部に係合可能である。したがって、ウェザストリップは、窓枠の下縁に対する取付姿勢が保たれ、取付状態を安定させることができる。
【0013】
上記のウェザストリップは、車外側でドアアウタパネルに当接する第1リップと、車内側でアウタリンフォースの膨出部に当接する第2リップとを車両高さ方向同位置に有するとよい。これにより、ウェザストリップは、第1リップおよび第2リップがドアアウタパネルおよび膨出部にそれぞれ当接しているので、爪部および膨出部による車両上下方向の位置規制に加え、車幅方向の位置規制も可能となる。
【0014】
上記の膨出部の上端および下端は、アウタリンフォースから切り出された開口を形成しているとよい。これにより、膨出部の車両上下方向の間隙を通じて、電着塗料を流し込むことが可能となり、塗装をより確実に行うことができる。
【0015】
上記の膨出部の両側端は、アウタリンフォースと連続しているとよい。これにより、膨出部の車両前後方向の側端がドアアウタパネルに接するように延びているので、膨出部は片持ち形状にならず、位置が安定する。したがって、ウェザストリップは、窓枠の下縁に取付けられ、膨出部に接した状態で位置を安定させることができる。
【0016】
上記の膨出部は、窓枠の下縁のうち車両前後方向の端部付近に位置しているとよい。窓枠の下縁のうち車両前後方向の端部には、折り返し部を成形するためのプレス型が入り込めず、折り返し部が存在せず爪部を形成することも不可能である。また、窓枠の下縁のうち車両前後方向の端部付近は、ウェザストリップの位置ずれの起点になる可能性がある。しかし本発明の上記構成によれば、窓枠の下縁の端部付近で、ウェザストリップを膨出部によって固定できるので、ウェザストリップの位置ずれを防止できる。
【0017】
上記の車両用ドア構造は、窓枠をドアガラスが固定される第1枠部とドアガラスが昇降可能に配置される第2枠部とに区画する車両上下方向に延びるフレームをさらに備え、膨出部は、第1枠部に位置しているとよい。
【0018】
第1枠部では、ドアガラスが昇降しないためウェザストリップを強固に固定することが求められている。また、第2枠部では、ドアガラスの昇降を阻害しないように、ウェザストリップを適度に固定することが求められる。上記構成によれば、第1枠部に膨出部を設定することで、ウェザストリップを第1枠部に強固に固定できる。一方、第2枠部には膨出部が設定されないので、ウェザストリップを第2枠部に適度に固定できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ウェザストリップを安定して取付可能な車両用ドア構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態における車両用ドア構造を示す図である。
図2図1(b)の車両用ドア構造の要部を拡大して示す図である。
図3図2の車両用ドア構造の一部を拡大して示す図である。
図4図3(a)の車両用ドア構造の一部を拡大して示す図である。
図5図4の車両用ドア構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0022】
図1は、本実施形態における車両用ドア構造100を示す図である。図1(a)は、車両用ドア102を車外側から見た状態を示している。図1(b)は、図1(a)の車両用ドア102を車内側から見た状態を示している。図2は、図1(b)の車両用ドア構造100の要部を拡大して示す図である。
【0023】
以下各図に示す矢印X、Yは車両前側、車内側をそれぞれ示している。また、以下では車両用ドア構造100を、車両の右側面に配置される車両用ドア102に基づいて説明するが、車両の左側面に配置される車両用ドアを含む車両用ドア構造も同様の機能などを有している。
【0024】
車両用ドア構造100は、図1(a)に示すように車両用ドア102の窓枠104を構成するドアアウタパネル106を備えている。ドアアウタパネル106の車内側には、図1(b)に示すように、アウタリンフォース108が配置されている。アウタリンフォース108は、ドアアウタパネル106の車内側でドアアウタパネル106を補強する部材であり、窓枠104の下縁110に沿って配置されている。
【0025】
窓枠104の下縁110には、詳細は後述するが、図2に示すようにウェザストリップ112が取り付けられている。ウェザストリップ112は、例えばアウタリンフォース108の車内側に位置するドアガラス114(図5参照)とアウタリンフォース108との隙間116を塞ぐゴム製の部材であり、雨水などが車室内などに浸入することを防止する。
【0026】
窓枠104は、車両上下方向に延びるフレーム118により、ドアガラス114が固定される第1枠部120と、図示を省略するドアガラスが昇降可能に配置される第2枠部122とに区画されている。ウェザストリップ112は、図2に示すように、フレーム118を避けて一部切り欠かれているが、これに限定されない。一例として、フレーム118が窓枠104の下縁110付近までしか延びていない場合には、ウェザストリップ112は、切り欠かれていず、窓枠104の下縁110全体にわたって同一形状を有する。
【0027】
図3は、図2の車両用ドア構造100の一部を拡大して示す図である。ただし、図3では、ウェザストリップ112を省略して示している。図3(a)は、第1枠部120およびその周辺を拡大して示している。図3(b)は、図3(a)のA矢視図である。図4は、図3(a)の車両用ドア構造100の一部を拡大して示す図である。
【0028】
窓枠104の下縁110には、図3(a)および図4に示すように、ドアアウタパネル106の折り返し部124が形成された位置と、折り返し部124を欠いた位置とがある。折り返し部124は、プレス型を入り込ませて曲げ加工を行うことで成形され、アウタリンフォース108の上縁126を挟んで車内側に折り返されている。このため、折り返し部124は、窓枠104の下縁110のうち車両前側の端部128およびその付近など、プレス型を入り込ませるスペースのない位置には形成できない。
【0029】
そこで、窓枠104の下縁110のうち折り返し部124を欠いた位置には、ドアアウタパネル106に代えて、図3および図4に示すように、アウタリンフォース108に車内側に膨出した膨出部130を形成している。膨出部130は、図3(b)および図4に示すように、上端132aおよび下端132bがアウタリンフォース108から切り出された開口134を形成している。よって、膨出部130は、アウタリンフォース108との間で車両上下方向の間隙を成し、この間隙を通じて電着塗料を流し込むことが可能となり、塗装をより確実に行うことができる。
【0030】
また、膨出部130は、切り出された開口134を形成しているものの、図3(b)および図4に示すように、車両前後方向の両側端136a、136bがアウタリンフォース108に連続している。このため、膨出部130は、図3(b)に示すように両側端136a、136bがドアアウタパネル106に接するように延びて、片持ち形状にならず、位置が安定する。
【0031】
以下、図5を参照して上記各部材の形状および配置についてより具体的に説明する。図5は、図4の車両用ドア構造100の断面図である。図5(a)は、図4の車両用ドア構造100のB−B断面図である。図5(b)は、図4の車両用ドア構造100のC−C断面図である。
【0032】
ただし、図5に示す各断面では、図4で図示を省略したウェザストリップ112、ドアガラス114、ドアインナパネル138およびインナリンフォース140を示している。なおドアインナパネル138は、ドアアウタパネル106とともに車両用ドア102を構成する部材である。インナリンフォース140は、ドアインナパネル138の車外側に配置されドアインナパネル138を補強する部材である。
【0033】
図5(a)に示すように、アウタリンフォース108は、ドアアウタパネル106の折り返し部124により上縁126が挟まれている。また、アウタリンフォース108の上縁126は、窓枠104の下縁110に沿っている。また、ドアアウタパネル106には、折り返し部124に加えて爪部142が形成されている。爪部142は、折り返し部124の車内側から下に延びて、アウタリンフォース108から離間するように車内側に屈曲している。
【0034】
また、ウェザストリップ112は、図5(a)に示すように、爪部142と係合する係合部144と、複数のリップ146a〜146eとを有している。第1リップ146a、リップ146bは、車外側でドアアウタパネル106に当接している。また、第2リップ146cは、図5(a)に示すB−B断面では車内側で爪部142に当接し、図5(b)に示すC−C断面では車内側でアウタリンフォース108の膨出部130に当接している。なお第1リップ146aと第2リップ146cとは、図5(a)および図5(b)に示すように、車両高さ方向同位置にある。さらに、リップ146d、146eは、それぞれドアガラス114に車外側から接して、ドアガラス114とアウタリンフォース108との隙間116を塞いでいる。
【0035】
ここで、図5(a)に示す折り返し部124から下に延びる爪部142と、図5(b)に示す膨出部130とを車両前後方向から見て比較すると、膨出部130は、爪部142と重なるように車内側に膨出している。そして、ウェザストリップ112の係合部144は、図5(b)に示すように、膨出部130の下端132bで係合している。その結果、ウェザストリップ112の断面形状は、折り返し部124が位置するB−B断面、折り返し部124を欠いた位置でのC−C断面のいずれでも同一形状を保っている。つまり、押し出し成形で同一断面形状に形成されるウェザストリップ112を、窓枠104の下縁110全体にわたって同一の形状で固定できる。
【0036】
本実施形態における車両用ドア構造100では、ドアアウタパネル106の折り返し部124から延びる爪部142、およびアウタリンフォース108の膨出部130に、ウェザストリップ112が係合している。このため、ウェザストリップ112は、爪部142および膨出部130によって車両上下方向の位置規制が可能となり、窓枠104の下縁110から抜け落ちることを防止できる。
【0037】
また、ウェザストリップ112は、車両高さ方向同位置にある第1リップ146aおよび第2リップ146cがドアアウタパネル106および膨出部130にそれぞれ当接している。このため、車両用ドア構造100では、爪部142および膨出部130による車両上下方向の位置規制に加え、車幅方向の位置規制も可能となる。
【0038】
さらに、膨出部130は、窓枠104の下縁110のうち折り返し部124を欠いた位置に設けられていて、車両前後方向から見て爪部142と重なる形状を有する。このため、ウェザストリップ112の係合部144は、窓枠104の下縁110の端部128付近など、折り返し部124が存在せず爪部142を形成することが不可能な位置においても、爪部142に係合していたのと同様に、アウタリンフォース108の膨出部130に係合可能である。したがって、ウェザストリップ112は、窓枠104の下縁110に対する取付姿勢が保たれ、取付状態を安定させることができる。
【0039】
膨出部130の両側端136a、136bがアウタリンフォース108と連続しているため、膨出部130は片持ち形状にならず、位置が安定する。したがって、ウェザストリップ112は、窓枠104の下縁110に取付けられ、膨出部130に接した状態で位置を安定させることができる。
【0040】
ここで、第1枠部120では、ドアガラス114が昇降しないためウェザストリップ112を強固に固定することが求められている。また、第2枠部122では、ドアガラス114の昇降を阻害しない程度に、ウェザストリップ112を適度に固定することが求められる。そこで、車両用ドア構造100では、第1枠部120に膨出部130を設定することで、ウェザストリップ112を第1枠部120に強固に固定できる。一方、第2枠部122には膨出部130を設定しないことで、ウェザストリップ112を第2枠部122に適度に固定できる。
【0041】
さらに、膨出部130は、窓枠104の下縁110のうち車両前側の端部128付近に位置している。窓枠104の下縁110の端部128付近は、ウェザストリップ112の位置ずれの起点になる可能性もある。しかし、車両用ドア構造100では、窓枠104の下縁110の端部128付近で、ウェザストリップ112を膨出部130によって固定できるので、ウェザストリップ112の位置ずれを防止できる。
【0042】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、車両用ドアの窓枠の下縁に取付けられたウェザストリップを備える車両用ドア構造に利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
100…車両用ドア構造、102…車両用ドア、104…窓枠、106…ドアアウタパネル、108…アウタリンフォース、110…下縁、112…ウェザストリップ、114…ドアガラス、116…隙間、118…フレーム、120…第1枠部、122…第2枠部、124…折り返し部、126…上縁、128…端部、130…膨出部、132a…上端、132b…下端、134…開口、136a、136b…両側端、138…ドアインナパネル、140…インナリンフォース、142…爪部、144…係合部、146a〜146e…リップ
図1
図2
図3
図4
図5