特許第6241253号(P6241253)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6241253
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】共振型インバータ装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20171127BHJP
【FI】
   H02M7/48 P
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-259851(P2013-259851)
(22)【出願日】2013年12月17日
(65)【公開番号】特開2015-119522(P2015-119522A)
(43)【公開日】2015年6月25日
【審査請求日】2016年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106276
【氏名又は名称】サンケン電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】松本 剛幸
【審査官】 木村 励
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−23831(JP,A)
【文献】 特開2001−320884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電圧間に接続され、第1リアクトルと第1スイッチとからなる第1直列回路、前記第1スイッチと第1整流素子と第2スイッチとからなる第2直列回路を有し、入力された前記直流電圧を昇圧する昇圧コンバータと、
前記第2直列回路の両端に接続され、第3スイッチと第1コンデンサと第2コンデンサとからなる第3直列回路、前記第2直列回路の両端に接続され、第4スイッチと第2整流素子とからなる第4直列回路、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの接続点と前記第4スイッチと前記第2整流素子との接続点との間に接続された第2リアクトルとを有する補助回路と、
前記第1スイッチと前記第1整流素子との接続点と前記第3スイッチと前記第1コンデンサとの接続点の間に接続された第3整流素子と、
前記補助回路に接続され、複数の主スイッチをブリッジ接続したインバータ回路と、
前記第1スイッチ乃至第4スイッチ及び前記複数の主スイッチをオンオフさせる制御回路と、
を有することを特徴とする共振型インバータ装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記昇圧コンバータの昇圧動作を停止するときには、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフさせ、前記第3スイッチ及び前記第4スイッチをオンオフさせることにより、前記主スイッチをゼロ電圧スイッチングさせることを特徴とする請求項1記載の共振型インバータ装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記昇圧コンバータと前記インバータ回路とを動作させる場合には、前記第2スイッチをオンし、前記第3スイッチ及び前記第4スイッチをオンオフさせることにより、前記主スイッチと前記第1スイッチとをゼロ電圧スイッチングさせることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の共振型インバータ装置。
【請求項4】
前記第3スイッチと前記第1コンデンサとの接続点と前記直流電圧の正極とを第4整流素子を介して接続したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の共振型インバータ装置。
【請求項5】
前記第3スイッチと前記第1コンデンサとの接続点と前記直流電圧の正極とを第4整流素子と第5スイッチとを介して接続したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の共振型インバータ装置。
【請求項6】
前記第1コンデンサは第1の蓄電池で有り、前記第2コンデンサは第2の蓄電池であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の共振型インバータ装置。
【請求項7】
前記第1コンデンサおよび前記第2コンデンサから成る直列回路の両端に双方向DC/DCコンバータを接続し、前記双方向DC/DCコンバータの他方には、第3の蓄電池を接続することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の共振型インバータ装置。
【請求項8】
前記第3の蓄電池は、電力系統を整流した電力または分散電源からの直流電力によって充電することを特徴とする請求項7記載の共振型インバータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流を交流又は交流を直流に変換するソフトスイッチング制御の共振型インバータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図8は、従来の共振型インバータ装置の例1を示す回路図である(特許文献1)。図8に示す共振型インバータ装置は、直流母線PN間に昇圧回路1、補助回路2、インバータ回路3を接続し、インバータ回路3と配電系統をフィルタ回路4で連系するソフトスイッチング回路方式からなる。昇圧回路1及びインバータ回路3のスイッチQo,S1〜S4がオンするタイミングにおいて補助回路2を動作させ、スイッチQo,S1〜S4をゼロ電圧にてターンオンさせる。
【0003】
スイッチQo,S1〜S4のターンオフは、各スイッチQo,S1〜S4に並列接続されたコンデンサCo,C1〜C4により電圧の立ち上がりが遅れ、ソフトターンオフとなる。この方式により、スイッチQo,S1〜S4で発生するスイッチング損失が低減されるため、効率を大幅に改善することができる。
【0004】
しかしながら、直流電源Eの電力を交流系統に回生する場合、直流電源Eの電圧の大きさに関わらず、昇圧回路1が必ず動作する。このため、直流電源Eの電圧が交流電圧を生成するために必要な直流母線電圧より大きい場合においても昇圧回路1が動作してしまう。このため、昇圧回路1にて損失が発生し変換効率が悪化するという課題を有していた。
【0005】
この課題を解決したものとして、特許文献2、特許文献3に記載された技術が知られている。図9は、従来のインバータ装置の例2を示す回路図である(特許文献2)。図10は、従来のインバータ装置の例3を示す回路図である(特許文献3)。図8及び図9に示すインバータ装置は、ハードスイッチング方式の系統連系インバータからなる。
【0006】
図9では、交流電圧を生成するために必要な直流母線電圧V3BがVm1であり、太陽光電圧VoがVm1より小さい場合にIGBTスイッチ103aをオンオフして、Vm1まで昇圧し、太陽光電圧VoがVm1を超えるとIGBTスイッチ103aを停止する。太陽光電圧Voの増加と共に昇圧率が低下してチョッパ回路103の効率が良くなるが、IGBTスイッチ103aを停止すると、損失が大幅に低下し、ダイオード103cの導通損失のみとなる。従って、太陽光電圧VoがVm1を境に効率が急に増加する。
【0007】
図10では、太陽光電圧Voが所定の電圧Vm1までIGBTスイッチ103aをオンオフして、Vm1まで昇圧する。この間、バイパス回路107は開放されている。太陽光電圧Voが所定の電圧Vm1を超えると、IGBTスイッチ103aを停止する。このとき、バイパス回路107のリレー107aを閉じてバイパス回路107側に電流を流し、チョッパ回路103のリアクトル103b及びダイオード103cをバイパスする。太陽光電圧VoがVm1を超えると昇圧動作を停止するため、損失がほとんどなくなる。このため、太陽光電圧VoがVm1を境に効率が急に増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012−23831号公報
【特許文献2】特開2006−238628号公報
【特許文献3】特開2006−238629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の共振形インバータにおいて、昇圧回路を単純に停止及びバイパスさせた場合、共振タイミングにおいて直流母線PN間電圧がゼロまで低下するため、昇圧リアクトルL1が直流電圧Eによって不要に励磁されてしまい、システムが安定に動作しない場合がある。
【0010】
また、図8に示す直流電圧(Ca+Cb)に蓄電池などを接続し、インバータ回路3のみを動作させて交流系統から蓄電池を充電する場合においても、共振タイミングにおいて昇圧リアクトルL1が不要に励磁されてしまい、システムが意図しない動作をすることになる。
【0011】
本発明は、昇圧リアクトルが不要に励磁せず、システムが安定化し、高効率を実現できる共振型インバータ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、直流電圧間に接続され、第1リアクトルと第1スイッチとからなる第1直列回路、前記第1スイッチと第1整流素子と第2スイッチとからなる第2直列回路を有し、入力された前記直流電圧を昇圧する昇圧コンバータと、前記第2直列回路の両端に接続され、第3スイッチと第1コンデンサと第2コンデンサとからなる第3直列回路、前記第2直列回路の両端に接続され、第4スイッチと第2整流素子とからなる第4直列回路、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの接続点と前記第4スイッチと前記第2整流素子との接続点との間に接続された第2リアクトルとを有する補助回路と、前記第1スイッチと前記第1整流素子との接続点と前記第3スイッチと前記第1コンデンサとの接続点の間に接続された第3整流素子と、前記補助回路に接続され、複数の主スイッチをブリッジ接続したインバータ回路と、前記第1スイッチ乃至第4スイッチ及び前記複数の主スイッチをオンオフさせる制御回路とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、昇圧回路を停止させ共振インバータ回路のみを動作させるモードにおいては、第2スイッチと第3整流素子とにより昇圧リアクトルが不要に励磁せず、システムが安定化し、高効率を実現できる共振型インバータ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例1の共振型インバータ装置を示す回路図である。
図2】実施例1の共振型インバータ装置に設けられたインバータ一相分の等価回路を示す図である。
図3】実施例1の共振型インバータ装置の昇圧回路停止モードにおける各部の動作波形図である。
図4】実施例1の共振型インバータ装置の昇圧回路動作モードにおける各部の動作波形図である。
図5】本発明の実施例2の共振型インバータ装置を示す回路図である。
図6】本発明の実施例3の共振型インバータ装置を示す回路図である。
図7】本発明の実施例5の共振型インバータ装置を示す回路図である。
図8】従来の共振型インバータ装置の例1を示す回路図である。
図9】従来のインバータ装置の例2を示す回路図である。
図10】従来のインバータ装置の例3を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の共振型インバータ装置の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は本発明の実施例1の共振型インバータ装置を示す回路図である。実施例1の共振型インバータ装置は、昇圧回路1aを停止させインバータ回路3のみを動作させるモードにおいて、昇圧リアクトルL1が不要に励磁せずにインバータ回路3のみが共振によりゼロ電圧スイッチングを行うように、昇圧回路1aにスイッチQ3とダイオードDdとを追加したことを特徴とする。
【0017】
また、追加したスイッチQ3を制御することにより、昇圧回路1aとインバータ回路3との両方を動作させるモードにおいては、昇圧回路1aとインバータ回路3とが一括で共振によりゼロ電圧スイッチングを行うことを特徴とする。
【0018】
図1において、直流電源Eの両端には、昇圧回路1aが接続されている。この昇圧回路1aは、直流電源Eの両端に接続された昇圧リアクトルL1と絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)からなるスイッチQo(第1スイッチ)との直列回路(第1直列回路)と、スイッチQoとダイオードDc(第1整流素子)とIGBTからなるスイッチQ3(第2スイッチ)との直列回路(第2直列回路)とから構成され、直流電源Eの電圧を昇圧する。
【0019】
スイッチQoのコレクタ−エミッタ間には、ダイオードDoとコンデンサCoとが並列に接続される。
【0020】
昇圧回路1aの第2直列回路両端には、正側入力ラインP及び負側入力ラインNを介して補助回路2が接続されている。補助回路2は、次のように構成される。昇圧回路1aの第2直列回路両端には、IGBTからなるスイッチQ1(第3スイッチ)とコンデンサCa(第1コンデンサ)とコンデンサCb(第2コンデンサ)との直列回路(第3直列回路)が接続されている。
【0021】
また、昇圧回路1aの第2直列回路両端には、IGBTからなるスイッチQ2(第4スイッチ)とダイオードDs(第2整流素子)との直列回路が接続されている。
【0022】
コンデンサCaとコンデンサCbとの接続点とスイッチQ2とダイオードDsとの接続点との間にはリアクトルLr(第2リアクトル)が接続されている。スイッチQoとダイオードDcとの接続点とスイッチQ1とコンデンサCaとの接続点は、ダイオードDd(第3整流素子)を介して接続されている。
【0023】
スイッチQ1のコレクタ−エミッタ間には並列にダイオードDaが接続され、スイッチQ2のコレクタ−エミッタ間には並列にダイオードDbが接続される。
【0024】
正側入力ラインPと負側入力ラインNとの間には、インバータ回路3が接続されている。インバータ回路3において、正側入力ラインPと負側入力ラインNとの間には、主スイッチS1と主スイッチS2との直列回路(ハーフブリッジ回路)が接続されるとともに、主スイッチS3と主スイッチS4との直列回路(ハーフブリッジ回路)が接続されている。IGBTからなる主スイッチS1〜S4のコレクタ−エミッタ間にはダイオードD1〜D4、及び共振コンデンサC1〜C4が接続されている。
【0025】
主スイッチS1と主スイッチS2との接続点はリアクトルLwを介して交流出力端子W1に接続され、主スイッチS3と主スイッチS4との接続点はリアクトルLuを介して交流出力端子U1に接続され、補助コンデンサCaと補助コンデンサCbとの接続点は、交流出力端子V1に接続されている。ここで、フィルタ回路4は、リアクトルLu,Lw及びコンデンサC11,C12から構成され、高周波成分を除去して正弦波成分を出力するフィルタである。
【0026】
制御回路10aは、コンデンサCo,C1〜C4の電圧を、主スイッチQo,S1〜S4のターンオン時にゼロ電圧になるようにスイッチQo,Q1,Q2,Q3をオンオフ制御して、主スイッチQo,S1〜S4をゼロ電圧スイッチングさせる。
【0027】
このとき、制御回路10aは、昇圧回路1aの昇圧動作を停止するときには、スイッチQo及びスイッチQ3をオフさせ、スイッチQ1及びスイッチQ2をオンオフさせる。
【0028】
また、制御回路10aは、昇圧回路1a及びインバータ回路3を動作させるときには、スイッチQ3を常時オンさせ、スイッチQ1,Q2をオンオフさせる。
【0029】
次にこのように構成された実施例1の共振型インバータ装置の動作を図2に示すインバータ一相分の等価回路を参照しながら説明する。
【0030】
なお、図1の回路構成において、共振時の数usec期間において、昇圧リアクトルL1、交流リアクトルLu,Lwの電流に変化がないものとし、図2においては、定電流源Id,Ioとして説明する。また、簡単のために、図2に示すように、インバータ回路一相分のみを扱うものとする。
【0031】
また、図3に、昇圧回路1aを停止しインバータ回路3のみを動作させる場合の制御タイミング及び動作モードを示す。図4に、昇圧回路1a及びインバータ回路3を動作させる場合の制御タイミング及び動作モードを示す。
【0032】
まず、図3を参照しながら、昇圧回路1aを停止しインバータ回路3のみを動作させる場合の動作を説明する。なお、図3及び図4において、G(Q1)はスイッチQ1のゲート信号、G(Q2)はスイッチQ2のゲート信号、G(Q3)はスイッチQ3のゲート信号、G(S3)は主スイッチS3のゲート信号、G(S4)は主スイッチS4のゲート信号、G(Qo)はスイッチQoのゲート信号、I(Lr)はリアクトルLrに流れる電流、V(PN)は直流母線PN間電圧、V(S3)は主スイッチS3のコレクタ−エミッタ間電圧、I(S3sw)は主スイッチS3に流れるコレクタ電流、V(Qo)はスイッチQoのコレクタ−エミッタ間電圧、I(Qosw)はスイッチQoに流れるコレクタ電流である。
【0033】
まず、昇圧回路1aを停止させる場合には、制御回路10aは、ゲート信号G(Qo)とゲート信号G(Q3)とによりスイッチQoとスイッチQ3とを常時、オフさせておく。
【0034】
期間t2において、スイッチQ1がオフ状態で、スイッチQ2がオンすると、コンデンサC3の電荷が放電し、C3→Q2→Lr→Cb→D4→C3の経路でリアクトルLrに電流I(Lr)が流れる。このとき、電流I(Lr)は、リアクトルLrとコンデンサC3とコンデンサCbとの共振により正弦波状の電流となる。また、直流電源Eから流入する電流Idは、Dd→Ca→Cbの経路で、コンデンサCaとコンデンサCbとに出力される。
【0035】
期間t3において、コンデンサC3の電荷の放電が完了し、スイッチS3の電圧V(S3)がゼロ電圧となり、電流I(Lr)がゼロとなったときに、主スイッチS3をオンさせる。これにより、主スイッチS3のゼロ電圧スイッチングを実現できる。
【0036】
直流母線PN間電圧V(PN)もスイッチS3の電圧V(S3)と同じく共振により直流電源Eの電圧からゼロまで低下するが、スイッチQ3がオフしているため、スイッチQoの電圧V(Qo)は直流電源Eの電圧の一定値となる。従って、直流電源Eの電圧により昇圧リアクトルL1が不要に励磁されることがなくなる。
【0037】
また、Cb→Lr→Db→S3→C4→Cbの経路で負の電流I(Lr)が流れ始める。電流I(Lr)と電流I(S3)とは、リアクトルLrとコンデンサC4との共振により正弦波状の電流となる。
【0038】
期間t4において、共振電流によりコンデンサC4が充電されて、V(S4)の電圧が上昇していく。期間t4において、スイッチQ2をオフするが、ダイオードDbを介して共振電流は流れる。そして、期間t4の最後で共振が終了した時、即ち、期間t5の開始時にスイッチQ1がターンオンされる。
【0039】
次に、図4を参照しながら、昇圧回路1a及びインバータ回路3を動作させる場合を説明する。
【0040】
制御回路10aは、ゲート信号G(Q3)によりスイッチQ3を常時、オンさせる。
【0041】
期間t0において、電流Idは、第1の経路Dd→Ca→Cbおよび第2の経路Dc→Q3→Da→Ca→Cbの経路で流れている。期間t1において、スイッチQ2をオンすることにより、ダイオードDa及びダイオードDdを流れている電流IdをリアクトルLrに転流させる。
【0042】
リアクトルLrの電流I(Lr)が電流Idに達すると、転流が完了し、コンデンサC3及びコンデンサCoの電荷が放電する期間t2となる。コンデンサC3の放電経路はC3→Q2→Lr→Cb→D4→C3、コンデンサCoの放電経路は、Co→Dc→Q3→Q2→Lr→Cb→Coとなる。
【0043】
期間t2において、コンデンサCo,C3の電荷の放電が完了し、コンデンサCo電圧V(Qo)及びコンデンサC3の電圧V(S3)がゼロ電圧となり、電流I(Lr)がIdとなったときに、主スイッチQo,S3をオンさせる。これにより、主スイッチQo,S3のゼロ電圧スイッチングを実現できる。
【0044】
期間t3において、Cb→Lr→Q2→S3→C4→Cbの経路で負の電流I(Lr)が流れ始める。電流I(Lr)と電流I(S3)とは、リアクトルLrとコンデンサC4との共振により正弦波状の電流となる。
【0045】
期間t4において、共振電流によりコンデンサC4が充電されてV(S4)の電圧が上昇していく。スイッチQ2をオフするが、ダイオードDbを介して共振電流は流れる。
【0046】
そして、期間t4の最後で共振が終了した時、即ち、期間t5の開始時にスイッチQ1がターンオンされる。リアクトルLrの電流I(Lr)が上昇してゼロになると、期間t6の開始時にスイッチQ2のダイオードDbが逆回復する。逆回復によりリアクトルLrに蓄積されたエネルギーは、Lr→Cb→Ds→Lrの経路で、コンデンサCbに回生される。この期間、スイッチQ2の電圧V(Q2)は、コンデンサCa,Cbの合成された電圧にクランプされる。即ち、昇圧回路1の出力電圧にクランプされる。
【0047】
リアクトルLrに蓄積されたエネルギーがコンデンサCbに回生されることにより、期間t6において、リアクトルLrの電流I(Lr)とスイッチQ2の電圧V(Q2)との高周波振動を抑制することができる。スイッチQ2のターンオフへの切り替えが期間t6以降にずれ、リアクトルLrにエネルギーが蓄積される場合でも、上述した動作と同様な動作となる。
【0048】
このように実施例1の共振型インバータ装置によれば、昇圧回路1aを停止させインバータ回路3のみを動作させるモードにおいて、昇圧リアクトルL1を不要に励磁せずインバータ回路3のみが共振によりゼロ電圧スイッチングを行えるため、システムが安定化し高効率が実現できる。
【0049】
また、昇圧回路1aとインバータ回路3の両方を動作させるモードにおいて、昇圧回路1aとインバータ回路3とが一括でゼロ電圧スイッチングを行えるため、昇圧が必要な場合においても高効率な変換器が実現できる。
【実施例2】
【0050】
図5は、本発明の実施例2の共振型インバータ装置を示す回路図である。実施例2の共振型インバータ装置は、図1に示す実施例1の共振型インバータ装置の構成に、さらに、スイッチQ1とコンデンサCaとの接続点と直流電源Eの電圧の正極とをダイオードDf(第4整流素子)を介して接続したことを特徴とする。
【0051】
このように実施例2の共振型インバータ装置によれば、昇圧回路1aを停止しインバータ回路3のみを動作させる場合で、スイッチQo,Q3をオフさせたときには、E→Df→Ca→Cb→Eの経路で、直流電源Eの電圧がコンデンサCa,Cbに出力される。
【0052】
即ち、リアクトルL1をバイパスするので、リアクトルL1の損失を低減することができる。
【実施例3】
【0053】
図6は、本発明の実施例3の共振型インバータ装置を示す回路図である。実施例3の共振型インバータ装置は、図1に示す実施例1の共振型インバータ装置の構成に、さらに、スイッチQ1とコンデンサCaとの接続点と直流電源Eの電圧の正極とをダイオードDf(第4整流素子)とIGBTからなるスイッチQ4(第5スイッチ)とを介して接続したことを特徴とする。
【0054】
実施例2の共振型インバータ装置では、ダイオードDfのみであるので、コンデンサCaとコンデンサCbとに電荷がない場合には、直流電源Eの電圧からダイオードDfを介してコンデンサCaとコンデンサCbに突入電流が流れる。
【0055】
このため、実施例3の共振型インバータ装置では、コンデンサCaとコンデンサCbとに電荷がない場合には、制御回路10bがスイッチQ4をオフさせる。
【0056】
このとき、E→L1→Dd→Ca→Cb→Eの経路で、直流電源Eの電圧がコンデンサCa,Cbに出力される。そして、コンデンサCaとコンデンサCbとが十分に充電されると、制御回路10bは、スイッチQ4をオンさせる。
【0057】
すると、E→Df→Q4→Ca→Cb→Eの経路で、直流電源Eの電圧がコンデンサCa,Cbに出力されるが、ダイオードDfには僅かな電流が流れる。即ち、スイッチQ4を挿入することにより、突入電流からダイオードDfを保護することができる。
【実施例4】
【0058】
実施例4は、実施例1の第1コンデンサCaを第1蓄電池、第2コンデンサCbを第2蓄電池に置き換えたものである。第1蓄電池および第2蓄電池からのみエネルギーを出力する場合、スイッチQ0及びスイッチQ3を常時オフし、スイッチQ1及びスイッチQ2及びインバータ回路3のスイッチS1〜S4をオンオフさせる。これにより、昇圧リアクトルL1を不要に励磁することなく、蓄電池からの電力でインバータ回路3から交流電力を出力することができる。
【0059】
また、交流端子から第1蓄電池および第2蓄電池へ充電する場合においても,スイッチQ0及びスイッチQ3を常時オフし、スイッチQ1及びスイッチQ2及びインバータ回路3のスイッチS1〜S4をオンオフさせることで、昇圧リアクトルL1を不要に励磁することなく,蓄電池を充電することができる。
【実施例5】
【0060】
図7は、本発明の実施例5の共振型インバータ装置を示す回路図である。実施例5はさらにコンデンサCa、Cbに双方向DC/DCコンバータ12を介して蓄電池11を接続する。コンデンサCa、Cbは昇圧コンバータ1aによって充電されるとともに、蓄電池11からも双方向DC/DCコンバータ12を介して充電される。
【0061】
このため、昇圧コンバータ1aからの電力をインバータ回路3によって電力系統に供給するだけではなく、蓄電池11からの電力をインバータ回路3によって電力系統に供給することが可能となる。また,昇圧コンバータ1a によってコンデンサCa,Cbに充電された充電エネルギーを双方向DC/DCコンバータ12を介して蓄電池11へ充電することも可能である。
【0062】
実施例5では、実施例1と同様に昇圧リアクトルL1を不要に励磁することなく、昇圧コンバータ1aを停止し、蓄電池11からの電力のみでインバータ回路3を動作させることができる。
【0063】
このとき、制御回路10bは、実施例1の昇圧コンバータ1aを停止させる場合と同様に、スイッチQ0及びスイッチQ3を常時オフし、スイッチQ1及びスイッチQ2及びインバータ回路3のスイッチS1〜S4をオンオフさせるので、昇圧リアクトルL1を不要に励磁することなく、蓄電池11からの電力のみでインバータ回路3を動作させることができる。
【0064】
また、交流端子から蓄電池11へ充電する場合においても,スイッチQ0及びスイッチQ3を常時オフし、スイッチQ1及びスイッチQ2及びインバータ回路3のスイッチS1〜S4をオンオフさせることで、昇圧リアクトルL1を不要に励磁することなく、蓄電池11を充電することができる。
【0065】
蓄電池11は電力系統からの電力を整流し双方向DC/DCコンバータ12を介して充電しても良い。また、蓄電池11は太陽光発電装置等の分散電源13からの電力を双方向DC/DCコンバータ12を介して充電しても良い。実施例5は実施例2,3の回路にも同じ効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、直流−交流電力変換装置や系統連系インバータ装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0067】
E 直流電源
L1 昇圧リアクトル
Qo,Q1,Q2,Q3 スイッチ
S1〜S4 主スイッチ
Lr リアクトル
Da,Db,Dc,Ds,Do〜D4 ダイオード
Ca,Cb,Co〜C4,C11,C12 コンデンサ
Lu,Lw リアクトル
1a 昇圧回路
2 補助回路
3 インバータ回路
4 フィルタ回路
10,10a,10b 制御回路
11 蓄電池
12 双方向DC/DCコンバータ
13 電力系統又は分散電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10