(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記装置ではカフが二層ルーメンカフであるか一層ルーメンカフであるかに関わらず、ルーメン(カフに付随する給排気用の導管)を、本体の2つのポートと接続する必要がある。そのため、実際に装置を使用する現場においては、本体とルーメンとを接続する作業が煩雑にならざるを得ないという問題があった。また、上記装置において検出される2つのポート各近傍の圧力の差は、主として、ポンプにより一方のポートからルーメンへ送り出された被圧流体がルーメン中で受ける抵抗に起因して生じている。そのため、抵抗の大きさは、一方のポートと他方のポートとを結ぶルーメンの長さの他に、圧力測定時のルーメンの形状等によって変化する。例えば、ルーメンが極端にねじれたり折れ曲がったりしていると装置が誤判断を下す可能性がある。
【0006】
そこで、この発明の課題は、簡素な構成を有し、接続されたカフの種類を精確に判定することができる電子血圧計を提供することにある。
【0007】
また、この発明の課題は、上記電子血圧計において本体に接続されたカフの種類を自動的に判定するカフ種判定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、この発明の一実施形態による電子血圧計は、
被測定部位を圧迫するカフと、カフの圧力を測定し該測定結果に基づいて被測定部位の血圧を算出する本体と、を有する電子血圧計であって、
カフは、
流体袋と、
流体袋に連通するチューブと、
チューブの先端に取り付けられ、流体袋に流体を供給するために本体に挿入されるべき略円筒状のプラグと、
を備え、
プラグの周壁に貫通孔が設けられ、
プラグの貫通孔よりも先端側の部分の内径は、カフの種類に応じて当該プラグの先端側の部分以外の部分の内径以下で可変して設定されており、
本体は、
そのハウジング内のポンプと配管を介して連通するプラグ受け部と、
配管内の圧力を検出する第1の圧力センサと、
プラグ受け部に挿入されたプラグの貫通孔を通してプラグの内圧を検出する第2の圧力センサと、
第1の圧力センサと第2の圧力センサが検出する圧力の差に基づいて本体に接続されたカフの種類を判定するカフ種判定部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
この発明の一実施形態による電子血圧計では、カフは、略筒形状を有し周壁に貫通孔が設けられたプラグを介して本体に接続される。ここで、プラグの、カフが本体と接続されたときに貫通孔よりも先端側の部分の内径は、カフの種類に応じて当該プラグの先端側の部分以外の部分の内径以下で可変的に設定されている。他方、本体側に設けられたプラグ受け部(コネクタ)は、配管を介してポンプおよび第1の圧力センサと通じているとともに、プラグの周壁に設けられた貫通孔(検出孔)を介してプラグの内圧を検出するための第2の圧力センサと通じている。第1の圧力センサは配管内の圧力を検出し、第2の圧力センサはプラグの内圧を検出する。上述のようにプラグの貫通孔よりも先端側の部分の内径はカフの種類に応じて可変的に設定されているので配管内の圧力とプラグの内圧との差は、カフの種類に応じて変化する。これを用い、カフ種判別部は、2つのセンサが検出した圧力の差に基づいて本体に接続されたカフの種類を判定する。このようにして、この発明の一実施形態による電子血圧計では、簡単な構成で簡便にカフの種類を自動的に判定することができる。また、この方法で判定に用いる2つの圧力の差はカフの流体袋やカフに繋がるチューブ等の影響を受けにくいため、あらゆる使用条件下で常に精確なカフ種判定が可能である。なお、カフの種類には、カフに内包される流体袋の容量の違いや、流体袋を内包する帯状体のサイズの違い、等が含まれ、これに限定されない。
【0010】
一実施形態の電子血圧計は、さらに、プラグの外周面のうち前記貫通孔よりも先端側の部分とプラグ受け部の内周面との間隙を気密に封鎖するシール部材を有する、ことを特徴とする。
【0011】
この一実施形態の電子血圧計では、シール部材による密閉作用により、プラグ外周面とプラグ受け部内周面の間隙における圧力は、プラグの内圧と実質的に等しく保たれる。そのため、第2の圧力センサは、当該間隙の圧力を検出することでプラグの内圧を求めることが可能となり、プラグの内圧の検出が容易になる。
【0012】
一実施形態の電子血圧計は、プラグの貫通孔よりも先端側の部分の内径が、カフが内包する流体袋の容量に応じて可変的に設定されている、ことを特徴とする。
【0013】
この一実施形態の電子血圧計では、接続されたカフの流体袋の容量を判定することが可能となる。したがって、本実施形態では、判定結果に基づいて容量に適した加圧および/または減圧を行うことが可能となる。また、判定された容量の大小に基づいて血圧測定のアルゴリズムを最適化することが可能となる。例えば、カフの流体袋の容量が小さいと判定された場合には、接続されたカフは小児用カフであると判断し、血圧測定のアルゴリズムを小児用の血圧測定アルゴリズムに変更することにより、血圧測定のアルゴリズムを最適化することが可能となる。カフの流体袋の容量が大きいと判定された場合にも、同様にして、血圧測定のアルゴリズムを成人用の血圧測定アルゴリズムに変更することにより、血圧測定のアルゴリズムを最適化することが可能となる。
【0014】
一実施形態の電子血圧計では、カフ種判定部は、ポンプがカフに対する加圧を開始することにより生じた圧力の差の経時的変化がプラトー状態を示しているときに検出された圧力の差に基づいてカフの種類を判定する、ことを特徴とする。
【0015】
この一実施形態の電子血圧計では、ポンプによるカフ加圧時において配管内の圧力とプラグの内圧との差が顕著にそして安定的に現れるプラトー状態における圧力の差に基づいてカフの種類を判定するため、カフ種の判定を精確に行うことができる。
【0016】
一実施形態の電子血圧計は、カフ種判定部は、第1の圧力センサと第2の圧力センサが検出した圧力の差と、予め定められた閾値とを比較することにより判定を行う、ことを特徴とする。
【0017】
この一実施形態の電子血圧計では、上記した圧力差を閾値と比較し、両者の大小関係によりカフ種の判定を行う。したがって、該電子血圧計は、極めて簡単な演算で、接続されたカフの種類を判定することができる。
【0018】
この発明の別の一実施形態は、
上記一実施形態による電子血圧計において本体と接続されているカフの種類を判定するカフ種判定方法であって、
ポンプを駆動してカフに対する加圧を開始するステップと、
加圧中に、第1の圧力センサにより配管内の圧力を検出するとともに第2の圧力センサによりプラグの内圧を検出するステップと、
検出するステップにおいて第1の圧力センサと第2の圧力センサが検出した圧力の差に基づいて、カフ種判定部が接続されたカフの種類を判定するステップと、
を有することを特徴とするカフ種判定方法である。
【0019】
この発明の別の一実施形態によるカフ種判定方法では、ポンプがカフを加圧するときに、第1の圧力センサにより配管内の圧力(ポンプの吐出圧)を検出するとともに第2の圧力センサによりプラグの内圧を検出する。そして、カフ種判定部が、そのようにして得られた2つの圧力の差に基づいて、接続されたカフの種類を判定する。本方法は、簡潔な工程のみでカフ種を判定することができ、かつ、通常のカフ加圧過程内で実施可能である。そのため、本方法を採る電子血圧計は、ユーザに気づかれることなく迅速に、接続されたカフの種類を判定することができる。つまり、本方法によれば、自動カフ種判定処理そのものをユーザに対し透明化することができる。また、上述したように、本方法で判定に用いる2つの圧力の差はカフの流体袋やカフに繋がるチューブ等の影響を受けにくいため、あらゆる使用環境下で常に精確なカフ種判定が可能である。
【発明の効果】
【0020】
以上より明らかなように、この発明の一実施形態により、簡素な構成を有し、接続されたカフの種類を精確に判定することができる電子血圧計が提供される。
【0021】
また、この発明の別の一実施形態により、上記電子血圧計においてその本体に接続されたカフの種類を自動的に判定するカフ種判定方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
図1は、この発明の一実施形態の電子血圧計(全体を符号1で示す。)の構成の概略を示す概略図である。この血圧計1は、本体10と、カフ20とを有し、カフ20は、被測定部位に装着されて該被測定部位を圧迫し、本体10は、カフの圧力を測定し該測定結果に基づいて血圧を算出する。
【0025】
カフ20は、流体袋21を内包し、流体袋21には、給排気用のチューブ22が接続されている。チューブ22の他端には、略筒形状のプラグ23が接続されている。プラグ23には、本体10と接続されたときに本体側の先端部に位置する部分に給排気口23bが設けられ、略筒形状の周壁には貫通孔(検出孔23c)が設けられている。カフ20と本体10は、プラグ23が、本体10に設けられているプラグ23に対応したプラグ受け部(コネクタ30)に挿入されることにより接続され、接続された状態では、プラグ23およびコネクタ30の両者の間を流体が流通可能な状態になる。カフ20のプラグ23と、本体10のコネクタ30とは、カフ−本体間の接続部40を構成する。
【0026】
プラグ23とコネクタ30とで構成される接続部40は、プラグ23が備えるシール部材(O−リング23a)と、コネクタ30が備えるシール部材(O−リング30a)と、によって、それぞれが、プラグ23の外周面とコネクタ30の内周面との間の間隙を気密に封鎖する。O−リング23aは、プラグ23の検出孔23cよりも先端側の部分に設けられ、コネクタ30の内底部近傍の領域41を気密に封鎖する。O−リング30aは、コネクタ30の内周面のうち入り口側の部分(プラグ23が
コネクタ30に挿入されたとき、検出孔23cよりも入り口側になる部分)に設けられ、コネクタ30の内周壁とプラグ23の外周壁とで囲まれる領域42を、領域41および外部から気密に封鎖する。なお、コネクタ30内底部近傍において領域41を規定するO−リング23aは、コネクタ30に設けられてもよい。また、外部と領域42の境界を規定するO−リング30aは、プラグ23に設けられてもよい。
【0027】
本体10は、ハウジングに囲まれ、ハウジングの内部に、制御部としてのCPU(Central Processing Unit)100、表示部62、記憶部としてのメモリ61、操作部63、電源部71、ポンプ53、弁54、ならびに、第1の圧力センサ51および第2の圧力センサ52を含む。また、本体10は、第1の圧力センサ51からの出力を周波数に変換する第1の発振回路510、第2の圧力センサ52からの出力を周波数に変換する第2の発振回路520、ポンプ53を駆動するポンプ駆動回路530、弁54を駆動する弁駆動回路540を有する。上記ポンプ53は、第1の配管31、接続部40の給排気孔
23b、およびチューブ22を介し、カフ20の流体袋21
に空気を供給して流体袋21内の圧力(カフ圧)を加圧する。弁54は、チューブ22、接続部40の給排気孔
23b、および第1の配管31を介し、流体袋21の空気を排出しまたは封入してカフ圧を制御するために開閉される。ポンプ駆動回路530は、ポンプ53をCPU100から与えられる制御信号に基づいて駆動する。弁駆動回路540は、弁54をCPU100から与えられる制御信号に基づいて開閉する。
【0028】
第1の圧力センサ(ポンプ吐出圧センサ)51は、ポンプ53および弁54が接続された第1の配管31に接続されており、第1の配管31内の圧力を検出する。したがって、第1の圧力センサ51は、接続部40の領域41の圧力を検出することができる。ポンプ53が駆動するとき、第1の圧力センサ51が検出する領域41の圧力は、ポンプ53の吐出圧と実質的に同一である。
【0029】
なお、第1の圧力センサ51は、例えば、ピエゾ抵抗式圧力センサである。この例では、第1の発振回路510は、第1の圧力センサ51からのピエゾ抵抗効果による電気抵抗の変化に基づく電気信号値に基づき発振して、第1の圧力センサ51の電気信号値に応じた周波数を有する周波数信号をCPU100に出力する。
【0030】
コネクタ30には、第1の配管31とは別の配管(第2の配管32)が接続されており、第2の配管32の一端は第2の圧力センサ(プラグ内圧(カフ圧)センサ)52と接続され、他端は接続部40のコネクタ30を通してプラグ23の周りの領域42に通じている。したがって、第2の圧力センサ52は、接続部40の領域42の圧力を検出することができる。領域42は、検出孔23cを介してプラグ23の内部に通じているため、第2の圧力センサ52が検出する領域42の圧力は、プラグ23の内圧と実質的に同一である。
【0031】
第2の圧力センサ52もまた、例えば、ピエゾ抵抗式圧力センサである。この例では、第2の発振回路520は、第2の圧力センサ52からのピエゾ抵抗効果による電気抵抗の変化に基づく電気信号値に基づき発振して、第2の圧力センサ52の電気信号値に応じた周波数を有する周波数信号をCPU100に出力する。
【0032】
上記表示部62は、ディスプレイおよびインジケータ等といった表示器を含み、CPU100からの制御信号に従って所定の情報を表示する。
【0033】
上記操作部63は、電源部71をON(オン)またはOFF(オフ)するための指示の入力を受け付ける電源スイッチ63Aと、血圧の測定開始の指示を受け付けるための測定スイッチ63Bと、測定停止の指示を受け付けるための停止スイッチ63Cと、登録された複数のユーザの中から被験者となるユーザを選択するための使用者選択スイッチ63Dとを有する。これらのスイッチ63A,63B,63C,63Dは、ユーザによる指示に応じた操作信号をCPU100に入力する。
【0034】
上記メモリ61は、後述する接続カフ判定のためのプログラムのデータ、および、プラグ23先端部(の給排気孔23b)の内径(すなわち後述する差圧)とカフの種類との対応関係のデータ、ならびに、血圧計1を制御するためのプログラムのデータ、および、血圧計1を制御するために用いられるデータを記憶する。また、上記メモリ61は、血圧計1の各種機能を設定するための設定データ、血圧値の測定結果のデータ等も記憶する。また、メモリ61は、プログラムが実行されるときのワークメモリなどとして用いられる。
【0035】
上記CPU100は、メモリ61に記憶された血圧計1を制御するためのプログラムに従ってカフ圧制御部として働いて、操作部
63からの操作信号に応じて、ポンプ53や弁54を駆動する制御を行う。また、CPU100は、第1の圧力センサ51からの信号に基づいて、血圧値を算出し、表示部62およびメモリ61を制御とするともに、メモリ61に記憶された接続カフ判定のためのプログラムに従ってカフ種判定部として働いて、ポンプ53や弁54を駆動制御しつつ第1の圧力センサ51や第2の圧力センサ52を制御する。カフ種判定部として働くCPU100は、第1の圧力センサ51および第2の圧力センサ52からの信号に基づいて、接続されているカフ20の種類を判定する。
【0036】
なお、プラグ23の先端部(の給排気孔23b)の内径は、カフの種類に応じて可変的に設定されており、より詳しくは、予め定められた、内径とカフの種類との対応関係に従ってカフの種類に応じて選択的に設定されている。カフの種類は、例えば、カフ20が内包する流体袋21の容量を規定するものでよい。その場合、メモリ61は、プラグ23先端部(の給排気孔23b)の内径(すなわち後述する差圧)とカフの種類との対応関係として、当該内径(後述する差圧)と流体袋21の容量の対応関係のデータを記憶し、プラグ23の先端部(の給排気孔23b)の内径は、流体袋21の容量に応じて選択的に設定されている。したがってこの場合、カフ種判定の結果に基づいて、カフ種判定部は、接続されているカフ20の流体袋21の容量を判定することが可能となる。よって、電子血圧計1は、当該判定の結果に基づいて容量に適した加圧および/または減圧を行うことが可能となる。また、判定された容量の大小に基づいて血圧測定のアルゴリズムを最適化することが可能となる。例えば、接続されているカフ20の流体袋21の容量が小さい(容量は小児用カフのそれである)と判定された場合には、接続されたカフは小児用カフであると判断して血圧測定のアルゴリズムを小児用の血圧測定アルゴリズムに変更し、血圧測定のアルゴリズムを最適化することが可能となる。接続されているカフ20の流体袋21の容量が大きい(容量は一般成人用カフのそれである)と判定された場合にも、同様にして、血圧測定のアルゴリズムを成人用の血圧測定アルゴリズムに変更することにより、血圧測定のアルゴリズムを最適化することが可能となる。
【0037】
上記電源部71は、CPU100、第1の圧力センサ51、ポンプ53、弁54、表示部62、メモリ61、第1の発振回路510、ポンプ駆動回路530、および弁駆動回路540の各部に電力を供給する。
【0038】
次に、
図2A、
図2B、
図3を参照してプラグ23の構成について説明する。プラグ23は、カフの種類に応じて選択的に設定された内径を有する給排気孔23bを備えている。
【0039】
図2Aは、I型プラグ231の構成の概略を示す図である。I型プラグ231は、例えば、流体袋21の容量が比較的大きい、一般成人用カフに用いられるプラグ23である。I型プラグ231は、均一な内径で内部を貫通する流路231tを有し、流路231tの中央部から検出孔23cへの分岐路が形成されている。I型プラグ231の給排気孔23b1の内径d12は、内径d11と同一である。内径d12は、例えば、2.0ミリメートルである。
【0040】
図2Bは、II型プラグ232の構成の概略を示す図である。II型プラグ232は、例えば、流体袋21の容量が比較的小さい、小児用カフに用いられるプラグ23である。II型プラグ232でも、I型プラグ231同様の分岐路および検出孔23cが形成されるが、II型プラグ232においては、I型プラグ231が均一な内径で内部を貫通する流路231tを有するのに対し、不均一な内径で内部を貫通する流路232tが形成されている。II型プラグ232のチューブ側内径d21は、I型プラグ231における内径
d11と同一でよく、II型プラグ232の流路232tの先端側は、所定の長さd23に渡って内径d22に絞られている(d12>d22)。内径d22は、例えば、0.8ミリメートルである。つまり、I型プラグ231とII型プラグ232とは、給排気孔23b1,23b2の内径d12,d22において異なる。
【0041】
図3は、II型プラグ232の具体例を示す、接続部40近傍拡大断面図である。上述のように、II型プラグ232がコネクタ30と接続されると、2つのシール部材23aおよび30aの作用により、領域41および領域42が気密に封鎖される(I型プラグ231も同様。)。領域41は、第1の配管31を介して第1の圧力センサ51、ポンプ53、および、弁54と通じている。領域42は、第2の配管32を介して第2の圧力センサ52と通じている。第2の配管32は、検出孔23cを介してII型プラグ232の内部と通じている。よって、第1の圧力センサ51は、領域41近傍の圧力を検出し、第2の圧力センサ52は、領域42近傍の圧力(すなわち、II型プラグ232の内圧)を検出する。II型プラグ232においては、内部流路の内径が均一でなく、給排気孔23bの内径が他の部分よりも小さく形成されている。したがって、ポンプ53が駆動され、流体(例えば、空気)が第1の配管31からII型
プラグ232に送り込まれるときには、給排気孔23bにおいて圧力損失が生じ、プラグ内の内圧が領域
41の圧力よりも低下する。これに対し、I型プラグ231では、同様の圧力損失は生じない。(生じたとしても、少なくとも、II型プラグ232におけるそれよりも極めて軽微である。)
【0042】
図4A、
図4B、
図5を参照し、I型プラグ231、II型プラグ232それぞれの、ポンプ53駆動開始から約一秒間の期間における領域41および領域42の圧力(ポンプ吐出圧およびプラグ内圧)の時間変化の特徴について説明する。
【0043】
図4Aは、そのチューブにI型プラグ231(給排気孔内径2.0mm)が接続されたモデルカフに対しポンプ53が所定流量の流体(空気)の送り込みを開始して(t=0)から1秒間の期間におけるポンプ吐出圧PP1とプラグ内圧PC1の時間変化のプロットである。なお、モデルカフは、周長17センチメートルの模擬腕に巻き付けられた状態であり、t=0においてカフ圧はゼロの状態にされている。使用したポンプ53の仕様は、シリンダー数3気筒、定格電圧DC6V、無負荷流量1.6L/min、無負荷電流170mA、最大電流250mA、最高圧力80kPaである。
【0044】
図4Aより明らかなように、ポンプ53がその駆動を開始してから一秒間の期間にわたり、ポンプ吐出圧PP1と、カフ圧PC1は、両者が実質的に等しい状態を保って推移する。つまり、I型プラグ231の場合、領域41の圧力と領域42の圧力は、ポンプ駆動時において差が見られないことがわかる。
【0045】
図4Bは、
図4Aの測定に用いたモデルカフにII型プラグ232(給排気孔内径0.8mm)を接続して、
図4Aと同一の条件で測定された、ポンプ吐出圧PP2とプラグ内圧PC2の時間変化のプロットである。
【0046】
図4Aとは対照的に、
図4Bにおいては、ポンプ53がその駆動を開始してから約一秒間(図では0.8秒間)の期間にわたり、ポンプ吐出圧PP2と、カフ圧PC2は、相関しつつ、互いに異なる圧力を示すことがわかる。特に、ポンプ駆動開始時から約0.3秒後までは両者の差は拡大し、その後は、ほぼ一定の差で共に増加する。つまり、II型プラグ232の場合、ポンプ駆動時に領域41の圧力と領域42の圧力に差が生じることがわかる。
【0047】
図5は、
図4Aおよび
図4Bに示したポンプ吐出圧PP1,PP2とカフ圧PC1,PC2の差圧(PD1(=PP1−PC1),PD2(=PP2−PC2))のプロットである。
【0048】
図5に顕著に示されるとおり、I型プラグ231を通じてモデルカフに空気を送り込んだ場合には、その開始時において、差圧PD1は実質的にゼロの状態で推移し、これに対し、II型プラグ232を通じてモデルカフに空気を送り込んだ場合には、その開始時から差圧が立ち上がり、開始後0.2〜0.3秒で差圧の拡大は緩やかになり、開始後約0.3秒以降、差圧は、ノンゼロの値(約8mmHg)で安定的に推移する状態(プラトー状態)を示すようになる。プラトー状態(t=約0.3〜)において、差圧PD1と差圧PD2には、約8mmHgの差(PD1=約0.0mmHg、PD2=約8.0mmHg)が生じている。
【0049】
そこで、カフ種判定部として働くCPU100は、上記の差圧がプラトー状態にあると思われるタイミングで当該差圧を求め、求めた差圧を所定の閾値と比較し、差圧と閾値の大小関係より、接続部40に接続されたプラグ23がI型であるか、II型であるかを判断し、記憶している予め定められた給排気孔23bの内径とカフの種類の対応関係を参照して接続されているカフの種類を判定する。上記所定の閾値は、例えば、
図5の場合、プラトー状態における差圧PD1と差圧PD2の中間の値、Th=4.0mmHgとすればよい。
【0050】
なお、プラグ23の例として、2種類のプラグを例示したが、プラグの種類は、2に限定されない。3種以上のプラグを使用することも可能である。その場合、カフ種判定部は、予め測定により求められた3種類以上の給排気孔内径それぞれについて上記プラトー状態における差圧のデータを記憶しておけばよい。あるいは、カフ種判定部は、予め測定により求められた上記の閾値を複数記憶しておけばよい。また、言うまでも無く、上記の差圧の値や、上記のプラトー状態が出現する時間帯等は、プラグ23の先端部の給排気孔23bの内径や、ポンプ53の能力、および、運転条件等により変化する。したがって、上記した値は一例に過ぎず、これに限定されない。
【0051】
カフ種判定部による接続されたカフの種類の判定は、血圧測定開始直後のカフ加圧過程の初期に行うことが可能であるが、カフ種判定の実施タイミングはこれに限定されない。本体10の電源が投入されたときにカフ種判定を実施してもよい。あるいは、カフ20が本体10に接続されたことを検知可能な手段を設け、カフ20が接続された時点でカフ種判定を実施してもよい。またあるいは、定期的に実施してもよい。
【0052】
上記した例では、流体袋21の容量に違いがある複数種類のカフから1つのカフ種を特定、つまり流体袋21の容量を特定する例が示された。この場合には、判定の結果を用いて、加圧過程でカフ20に送り込む空気の単位時間あたりの量を決定したり、減圧過程でカフ20から排出させる空気の単位時間あたりの量を決定したり、血圧測定処理を加圧過程で行うか、減圧過程で行うか、あるいは、両過程で行うか、を決定したり、血圧測定アルゴリズムを最適化したりすることができる。ただし、複数種類のカフは、互いに流体袋21の容量が相違しなくともよい。例えば、カフの幅や、長さ(周長)に相違があってもよい。
【0053】
以下、
図6乃至
図11Bを参照し、血圧測定開始直後のカフ加圧過程の初期においてカフ種判定部による接続カフ種の判定を行ってその結果を用いて血圧測定を行うときの電子血圧計1の動作例を示す。
図6は、電子血圧計1の動作フローである。
図7は、カフ種判定および血圧値測定のために、電子血圧計1のCPU100が実行するソフトウェアによって構成される要素を例示している。この例では、カフ種を判定するための要素は、判定タイミング検出部101、プラグ内圧取得部103、ポンプ吐出圧取得部102、差圧算出部104、および、カフ種判定部105を含んでいる。脈波を測定して血圧値を算出するための要素は、脈波振幅列取得部111、包絡線作成部112、閾値レベル設定部113、収縮期血圧算出部114、および、拡張期血圧算出部115を含んでいる。
図8Aおよび
図8Bは、それぞれ、通常の血圧測定アルゴリズム(一般成人用血圧測定アルゴリズム)または小児用血圧測定アルゴリズムによって血圧値を算出する際の処理の流れを示している。
図9Aは、カフ圧信号Pcfの例を示し、
図9Bは、カフ圧信号Pcfからハイパスフィルタ(HPF)により取り出された変動成分(脈波成分)の出力例ALである。
図10は、出力例ALから生成された脈波信号SMの例を示し、
図11Aおよび
図11Bは、共に、脈波信号SMから生成された包絡線EVを示す。
【0054】
なお、以下の例では、2種類のカフが存在することが想定されており、1つは、I型プラグ231が接続された一般成人用カフであり、もう1つは、II型プラグ232が接続された小児用カフである。一般成人用カフがI型プラグ231を備えることと、小児用カフがII型プラグ232を備えることは、予め、データとしてメモリ61等に保持されているものとする。
【0055】
一般的なオシロメトリック法に従って血圧を測定する場合、概ね、次のような動作が行なわれる。すなわち、被験者の被測定部位(腕など)に予めカフを巻き付けておき、測定時には、ポンプ・弁を制御して、カフ圧を最高血圧より高く加圧し、その後徐々に減圧していく。この減圧する過程において、カフ圧を圧力センサで検出し、被測定部位の動脈で発生する動脈容積の変動を脈波信号として取り出す。その時のカフ圧の変化に伴う脈波信号の振幅の変化(主に立ち上がりと立ち下がり)に基づいて、最高血圧(収縮期血圧:Systolic Blood Pressure)と最低血圧(拡張期血圧:Diastolic Blood Pressure)とを算出する。
【0056】
この電子血圧計1では、CPU100によって、
図6のフローに従ってオシロメトリック法により被験者の血圧値が測定される。
【0057】
具体的には、電源スイッチ63AがONされた状態で測定スイッチ63Bが押されると、
図6に示すように、血圧計1は血圧測定を開始する。血圧測定開始に際して、CPU100は、処理用メモリ領域を初期化し、弁駆動回路540に制御信号を出力する。弁駆動回路540は、制御信号に基づいて、弁54を開放してカフ20の流体袋21内の空気を排気する。続いて、第1の圧力センサ51および第2の圧力センサ52の0mmHgの調整を行う制御を行う。
【0058】
血圧測定を開始すると、まず、CPU100は、弁駆動回路540を介して弁54を閉鎖し、その後、ポンプ駆動回路530を介してポンプ53を駆動して、流体袋21に空気を送る制御を行う。これにより、流体袋21を膨張させるとともにカフ圧を徐々に加圧していく(ステップST1)。
【0059】
判定タイミング検出部101(
図7)として働くCPU100は、加圧開始から0.3秒経過したか否かを判断する(ステップST2)。
【0060】
加圧が開始されて0.3秒経過したと判断されると(ステップST2でYES)、プラグ内圧取得部103(
図7)として働くCPU100は、第2の発振回路520を介して接続されたカフ20のプラグ(231または232)の内圧(カフ圧)を取得するとともに、CPU100はポンプ吐出圧取得部102(
図7)として動作して、第1の発振回路510を介して第1の配管31の圧力(ポンプ吐出圧)を取得する。そして、差圧算出部104(
図7)として働くCPU100が、差圧(=ポンプ吐出圧−カフ圧(プラグ内圧))を算出する(ステップST3)。
【0061】
カフ種判定部105(
図7)として働くCPU100は、算出された差圧が4mmHg以上であるか否かを判断する(ステップST4)。
【0062】
差圧が4mmHg以上であれば(ステップST4でYES)、カフ種判定部105(
図7)は、コネクタ30に接続されたプラグはII型プラグ232であると判定し、よって、接続されているカフ20は小児用カフである、と判定する(ステップ
ST5)。
【0063】
差圧が4mmHg未満であれば(ステップST4でNO)、カフ種判定部105(
図7)は、コネクタ30に接続されたプラグはI型プラグ231であると判定し、よって、接続されているカフ20は小児用カフではない(一般成人用カフである)、と判定する(ステップST6)。
【0064】
電子血圧計1は、ステップST5またはステップST6の判定結果に基づき適切な加圧の速度を導出し、当該速度でカフの加圧を継続する。そしてカフ圧が加圧されて所定の圧力に達すると(ステップST7でYES)、CPU100は、ポンプ駆動回路530を介してポンプ53を停止し、その後、弁駆動回路540を介して弁54を徐々に開放する制御を行う。これにより、流体袋21を収縮させるとともにカフ圧を徐々に減圧していく(ステップST8)。
【0065】
ここで、所定の圧力とは、被験者の収縮期血圧よりも十分高い圧力(例えば、収縮期血圧+30mmHg)であり、予めメモリ61に記憶されているか、カフ圧の加圧中にCPU100が収縮期血圧を所定の算出式により推定して決定する(例えば特開2001−70263号公報参照。)。また、減圧速度については、カフの加圧中に目標となる目標減圧速度を設定し、その目標減圧速度になるようにCPU100が弁54の開口度を制御する(同公報参照。)。なお、減圧速度の設定においては、ステップST5またはステップST6の判定結果がCPU100によって参酌される。
【0066】
次に、ステップST5またはステップST6の判定結果がCPU100によって参照され、血圧値の算出に用いる血圧測定アルゴリズムが決定される。接続されているカフ20が一般成人用カフであれば(ステップST9でNO)、血圧測定アルゴリズムとして通常の(一般成人用の)血圧測定アルゴリズムが選択され(ステップST11)、接続されているカフ20が小児用カフであれば(ステップST9でYES)、小児用の血圧測定アルゴリズムが選択される。
【0067】
上記減圧過程において、カフ20を介して、カフ20の圧力を表すカフ圧信号(符号Pcfで表す(
図8A、
図8B、および、
図9A)。)を第2の圧力センサ52(または第1の圧力センサ51)が検出する。CPU100は、このカフ圧信号Pcfに基づいて、オシロメトリック法により後述のアルゴリズムを適用して血圧値(収縮期血圧と拡張期血圧)を算出する(ステップST11またはST10)。なお、血圧値の算出は、減圧過程に限らず、加圧過程において行われてもよい。
【0068】
通常の血圧測定アルゴリズムが選択された場合(ステップST9でNO)、ステップST11において血圧値の算出が行われる。以下、通常の血圧測定アルゴリズムによる血圧値の算出(ステップST11)について、
図7、
図8A、
図9Aおよび
図9B、
図10、ならびに、
図11Aを参照して説明する。
【0069】
この場合、まず、脈波振幅列取得部111(
図7)は、
図8A中に示すように、上述の第2の圧力センサ52(または第1の圧力センサ51)によって検出されたカフ圧信号Pcfを受けて、カフ圧信号Pcfに重畳された被測定部位の脈波を表す脈波信号SMを取り出す。
【0070】
ここで、カフ圧信号Pcfは、
図9Aに示すように、時間経過に伴って略直線的に上昇(加圧過程)または低下(減圧過程)する圧力に対して、1拍毎の動脈容積変化に伴う変動成分が重畳された信号である。脈波振幅列取得部111は、ハイパスフィルタ(HPF)を通してカフ圧信号Pcfから
図9Bに示すような変動成分(HPF出力)を取り出し、
図10に示すような脈波信号SMとして出力する。この例では、
図10(減圧過程に相当)に示すように、脈波信号SMは、動脈容積の変動に応じて、測定開始から約12秒で大きくなり始め、約16秒で最大となり、約20秒でほぼ消失している。
【0071】
そして、脈波振幅列取得部111は、その脈波信号SMが示す振幅(以下、適宜「脈波振幅」と呼ぶ。)の列AL(
図9B)を取得する。
【0072】
次に、
図7中の包絡線作成部112は、
図8A中に示すように、脈波振幅列取得部111によって取得された脈波振幅の列ALに対して、それらの振幅を結ぶ包絡線EVを作成する(
図11A)。
【0073】
閾値レベル設定部113は、収縮期血圧BPsys、拡張期血圧BPdia(
図8A)を求めるために、包絡線EVにおける最大ピークEVpの値に対してそれぞれ予め定められた割合の第1の成人用閾値レベルThsr、第2の成人用閾値レベルThdrを算出して設定する。この例では、第1の成人用閾値レベルThsrを最大ピークEVpの値の約40%とし、また、第2の成人用閾値レベルThdrを最大ピークEVpの値の約60%とする。
【0074】
次に、収縮期血圧算出部114(
図7)は、
図8Aおよび
図11A中に示すように、包絡線EVの最大ピークEVpよりも高圧側の部分が第1の成人用閾値レベルThsrを横切る点の圧力値Psrを求め、これを収縮期血圧BPsysとして算出する。また、
図7中の拡張期血圧算出部115は、
図8Aおよび
図11A中に示すように、包絡線EVの最大ピークEVpよりも低圧側の部分が第2の成人用閾値レベルThdrを横切る点の圧力値Pdrを求め、これを拡張期血圧BPdiaとして算出する。
【0075】
上の例では、第1の成人用閾値レベルThsrを最大ピークEVpの値の約40%とし、また、第2の成人用閾値レベルThdrを最大ピークEVpの値の約60%としたが、これに限られるものではない。
【0076】
他方、小児用の血圧測定アルゴリズムが選択された場合(ステップST9でYES)、ステップST10において小児用血圧測定アルゴリズムを用いた血圧値の算出が行われる。以下、小児用の血圧測定アルゴリズムによる血圧値の算出(ステップST10)について、
図7、
図8B、
図9Aおよび
図9B、
図10、ならびに、
図11Bを参照して説明する。なお、以下の例では、小児用血圧測定アルゴリズムと通常の血圧測定アルゴリズムとは、例えば、収縮期および拡張期血圧を求めるための閾値の設定が異なり、その余の点で同一である。これは、小児の血圧は、通常の(成人用の)血圧測定アルゴリズムを用いて算出すると本来の血圧値よりも低めに(例えば、10〜20mmHg程度低めに)算出される、という事例を考慮したものである。しかしながら、血圧測定アルゴリズムによっては、一般成人用の血圧測定アルゴリズムを用いて小児の血圧を測定した場合に、逆に小児の血圧は実際の血圧値よりも高めに算出されるという報告もある。以下の例は単なる一例に過ぎず、適宜変更可能である。
【0077】
この場合でもまず、脈波振幅列取得部111(
図7)は、
図8B中に示すように、上述の第2の圧力センサ52(または第1の圧力センサ51)によって検出されたカフ圧信号Pcfを受けて、カフ圧信号Pcfに重畳された被測定部位の脈波を表す脈波信号SMを取り出し、包絡線作成部112が包絡線EVを作成する(
図11B)。
【0078】
閾値レベル設定部113は、収縮期血圧BPsys、拡張期血圧BPdia(
図8B)を求めるために、包絡線EVにおける最大ピークEVpの値に対してそれぞれ予め定められた割合の第1の小児用閾値レベルThss、第2の小児用閾値レベルThdsを算出して設定する。この例では、第1の小児用閾値レベルThssを最大ピークEVpの値の約35%とし、また、第2の小児用閾値レベルThdsを最大ピークEVpの値の約65%とする。収縮期血圧算出部114(
図7)は、
図8Bおよび
図11B中に示すように、包絡線EVの最大ピークEVpよりも高圧側の部分が第1の小児用閾値レベルThssを横切る点の圧力値Pssを求め、これを収縮期血圧BPsysとして算出する。また、
図7中の拡張期血圧算出部115は、
図8Bおよび
図11B中に示すように、包絡線EVの最大ピークEVpよりも低圧側の部分が第2の小児用閾値レベルThdsを横切る点の圧力値Pdsを求め、これを拡張期血圧BPdiaとして算出する。上の例では、第1の小児用閾値レベルThssを最大ピークEVpの値の約35%とし、また、第2の小児用閾値レベルThdsを最大ピークEVpの値の約65%としたが、これに限られるものではない。
【0079】
血圧値を算出して決定すると、CPU100は、算出した血圧値を表示部62へ表示し(ステップST12)、血圧値をメモリ61へ保存する制御を行う(ステップST13)。
【0080】
次に、停止スイッチ63Cが押されると、CPU100は、弁駆動回路540を介して弁54を開放し、カフ20の流体袋21内の空気を排気する制御を行う(ステップST14)。
【0081】
この後、上記電源スイッチ63Aが押されると、血圧測定を終了する。
【0082】
このようにして、この電子血圧計1は、簡素な構成を有し、簡便な処理により本体に接続されているカフの種類を精度よく迅速に判定することが可能である。また、当該判定は、例えば、血圧測定のための加圧過程において実施することもでき、その際にも、カフ種判定のために加圧過程が長期化することがない。カフ種の判定の結果は、それ以降の加圧及び減圧過程や血圧測定アルゴリズムの最適化に貢献する。そのため、このような特徴により、この電子血圧計1は優れたユーザビリティを発揮する。
【0083】
また、この発明の電子血圧計は、血圧値を測定するだけでなく、他の生体情報、例えば脈拍数などを併せて測定するものであってもよい。
【0084】
上述の実施形態は例示に過ぎず、この発明の範囲から逸脱することなく種々の変形が可能である。