特許第6241317号(P6241317)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6241317
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20171127BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20171127BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   B41J29/38 Z
   B41J29/00 Z
   G06F3/12
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-37264(P2014-37264)
(22)【出願日】2014年2月27日
(65)【公開番号】特開2015-160379(P2015-160379A)
(43)【公開日】2015年9月7日
【審査請求日】2016年3月4日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】竹内 雅英
【審査官】 道祖土 新吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−073973(JP,A)
【文献】 特開2009−143084(JP,A)
【文献】 特開2010−052427(JP,A)
【文献】 特開2011−223180(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0182624(US,A1)
【文献】 特開2010−177997(JP,A)
【文献】 特開2008−244518(JP,A)
【文献】 特開2008−217511(JP,A)
【文献】 特開2006−341591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 29/00
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部を使用する印刷ジョブおよび当該印刷ジョブに関連づけられた識別情報を受け付ける受付部と、
前記受付部によって受け付けられた印刷ジョブおよび識別情報が記憶される記憶部と、
識別情報が入力される識別情報入力部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記受付部によって印刷ジョブが受け付けられた受付時刻を前記記憶部に記憶させる受付時刻記憶処理と、
前記識別情報入力部から入力された識別情報を認証する認証処理と、
前記記憶部に記憶されている印刷ジョブの中から、前記認証処理によって認証された識別情報と関連づけられている印刷ジョブを抽出するジョブ抽出処理と、
前記認証処理によって識別情報が認証された認証時刻と前記ジョブ抽出処理にて抽出された印刷ジョブの受付時刻との差である差分時間を取得する差分時間取得処理と、
前記差分時間取得処理にて取得された差分時間が所定時間以内である印刷ジョブの全てについて、指示を受けることなく前記画像形成部に画像の形成を実行させる時間内ジョブ実行処理と、
前記差分時間取得処理にて取得された差分時間が前記所定時間外の印刷ジョブを処理する指示を受け付け、当該印刷ジョブを処理する時間外ジョブ処理と、
を有し、
前記制御部は、
前記差分時間取得処理にて取得された差分時間が所定時間以内である印刷ジョブの全てが前記所定時間よりも短い特別時間以内であるか否かを決定する決定処理を実行し、
前記決定処理によって前記差分時間が所定時間以内である印刷ジョブの全てが前記特別時間以内であることが決定された場合、
前記差分時間が所定時間以内である印刷ジョブを前記受け付けられた受付時刻が古い順に、前記画像形成部に画像の形成を実行させ、
前記決定処理によって前記差分時間が所定時間以内である印刷ジョブの全てが前記特別時間以内でないことが決定された場合、
前記決定処理によって前記差分時間が前記特別時間以内である印刷ジョブを前記受け付けられた受付時刻が古い順に、前記画像形成部に画像の形成を実行させ、
前記決定処理によって前記差分時間が前記特別時間外である印刷ジョブを前記受け付けられた受付時刻が新しい順に、前記画像形成部に画像の形成を実行させる、画像形成装置。
【請求項2】
用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部を使用する印刷ジョブおよび当該印刷ジョブに関連づけられた識別情報を受け付ける受付部と、
前記受付部によって受け付けられた印刷ジョブおよび識別情報が記憶される記憶部と、
識別情報が入力される識別情報入力部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記受付部によって印刷ジョブが受け付けられた受付時刻を前記記憶部に記憶させる受付時刻記憶処理と、
前記識別情報入力部から入力された識別情報を認証する認証処理と、
前記記憶部に記憶されている印刷ジョブの中から、前記認証処理によって認証された識別情報と関連づけられている印刷ジョブを抽出するジョブ抽出処理と、
前記認証処理によって識別情報が認証された認証時刻と前記ジョブ抽出処理にて抽出された印刷ジョブの受付時刻との差である差分時間を取得する差分時間取得処理と、
前記差分時間取得処理にて取得された差分時間が所定時間以内である印刷ジョブの全てについて、指示を受けることなく前記画像形成部に画像の形成を実行させる時間内ジョブ実行処理と、
前記差分時間取得処理にて取得された差分時間が前記所定時間外の印刷ジョブを処理する指示を受け付け、当該印刷ジョブを処理する時間外ジョブ処理と、
を有し、
前記制御部は、
前記差分時間取得処理にて取得された差分時間が所定時間以内である印刷ジョブの中に、前記差分時間が前記所定時間よりも短い特別時間以内である印刷ジョブが存在するか否かを決定する第2決定処理を実行し、
前記第2決定処理によって前記差分時間が前記特別時間以内である印刷ジョブが存在することが決定された場合、
前記差分時間が所定時間以内である印刷ジョブを前記受け付けられた受付時刻が新しい順に、前記画像形成部に画像の形成を実行させ、
前記第2決定処理によって前記差分時間が前記特別時間以内である印刷ジョブが存在しないことが決定された場合、
前記差分時間が所定時間以内である印刷ジョブを前記受け付けられた受付時刻が古い順に、前記画像形成部に画像の形成を実行させる、画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の画像形成装置であって、
表示部と、
操作部と、
を更に備え、
前記制御部は、
前記時間外ジョブ処理において、
前記差分時間取得処理にて取得された前記差分時間が前記所定時間外の印刷ジョブが存在することを前記表示部に表示させる表示処理を実行し、
前記表示処理の後、前記操作部を介して前記所定時間外のジョブを処理する指示を受け付け、当該印刷ジョブを処理する、画像形成装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記受付部は、前記画像形成部による画像形成を許可する開錠データが対応づけられたセキュアジョブと、前記開錠データを伴わない通常ジョブとを受付可能であって、
前記制御部は、前記時間内ジョブ実行処理において、前記差分時間取得処理にて取得された差分時間が所定時間以内である全ての前記通常ジョブについて、前記画像形成部に画像の形成を実行させる、画像形成装置。
【請求項5】
請求項4記載の画像形成装置であって、
前記制御部は、
前記時間内ジョブ実行処理において、前記差分時間取得処理にて取得された差分時間が所定時間以内である前記セキュアジョブについて、前記通常ジョブと併せて、前記画像形成部に画像の形成を実行させるか否かを選択する選択処理、
を更に有する、画像形成装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記制御部は、
前記所定時間を変更する所定時間変更処理、
を更に有する、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷ジョブを記憶させることができる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが予め印刷ジョブを記憶させることができる画像形成装置がある。その画像形成装置では、ユーザによるパスワード入力やカード認証等の認証動作によって、印刷ジョブを記憶させたユーザと認証動作を行ったユーザとが一致する場合、予め記憶された該ユーザの全ての印刷ジョブについての画像形成(印刷)が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−341591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の画像形成装置では、印刷ジョブについて、画像形成装置に記憶された日時の古いものから順に画像形成が実行される。ユーザによる認証動作が行われた日時と印刷ジョブが記憶された日時との差(例えば、1日とか1週間)が大きい場合、該日時の差が大きい印刷ジョブは画像形成する必要性が低いにも関わらず、ユーザは、画像形成装置に記憶された時刻が古い印刷ジョブに係る印刷物から入手することになる。そして、ユーザが直近に画像形成装置に記憶させた印刷ジョブに係る印刷物をすぐに入手することができないという問題があった。
【0005】
本発明では、ユーザによる認証動作を行なった時刻と印刷ジョブが記憶された時刻との差が所定時間内である全ての印刷ジョブについて、画像形成を行う画像形成装置について開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像形成装置は、用紙に画像を形成する画像形成部と、画像形成部を使用する印刷ジョブおよび当該印刷ジョブに関連づけられた識別情報を受け付ける受付部と、受付部によって受け付けられた印刷ジョブおよび識別情報が記憶される記憶部と、識別情報が入力される識別情報入力部と、制御部とを備える。制御部は、受付部によって印刷ジョブが受け付けられた受付時刻を記憶部に記憶させる受付時刻記憶処理と、識別情報入力部から入力された識別情報を認証する認証処理と、記憶部に記憶されている印刷ジョブの中から、認証処理によって認証された識別情報と関連づけられている印刷ジョブを抽出するジョブ抽出処理と、認証処理によって識別情報が認証された認証時刻とジョブ抽出処理にて抽出された印刷ジョブの受付時刻との差である差分時間を取得する差分時間取得処理と、差分時間取得処理にて取得された差分時間が所定時間以内である印刷ジョブの全てについて、画像形成部に画像の形成を実行させる時間内ジョブ実行処理とを有する。
【0007】
この構成によれば、印刷ジョブおよび識別情報が受付部に受け付けられると、印刷ジョブおよび識別情報とともに、その印刷ジョブの受付時刻が記憶部に記憶される。識別情報入力部から入力された識別情報が認証されると、記憶部に記憶されている印刷ジョブの中から、識別情報と関連づけられている印刷ジョブが抽出される。そして、抽出された印刷ジョブの受付時刻と認証情報が認証された認証時刻との差が所定時間以内である全ての印刷ジョブについて、画像形成部により用紙に画像が形成される。そのため、ユーザは、当該所定時間内に記憶部に記憶された全ての印刷ジョブに応じた印刷物(画像が形成された用紙)を識別情報の認証後すぐに入手することができる。
【0008】
制御部は、時間内ジョブ実行処理において、受付時刻が新しい印刷ジョブから順に、画像形成部に画像の形成を実行させてもよい。
【0009】
受付時刻が新しい印刷ジョブに応じた印刷物からの入手をユーザが所望することが推測される。そのため、受付時刻が新しい印刷ジョブに応じた画像形成から順に実行されることにより、ユーザの利便性を上げることができる。
【0010】
制御部は、時間内ジョブ実行処理において、差分時間取得処理にて取得された差分時間が所定時間よりも短い特別時間以内である印刷ジョブについて、差分時間取得処理にて取得された差分時間が所定時間以内であって特別時間外である印刷ジョブに優先して、画像形成部に画像の形成を実行させてもよい。
【0011】
差分時間が特別時間以内である印刷ジョブは、差分時間が所定時間以内であって特別時間外の印刷ジョブよりも必要度が高いと考えられる。逆に、差分時間が所定時間以内であって特別時間外の印刷ジョブに応じた印刷物は、差分時間が特別時間以内である印刷ジョブに応じた印刷物ほど急ぎで入手する必要がないと考えられる。そのため、必要度がより高い印刷ジョブに応じた画像形成による印刷物を、急ぎで入手する必要がない印刷物に優先して、速やかに入手することができる。
【0012】
画像形成装置は、表示部と、操作部とを更に備えていてもよい。そして、制御部は、差分時間取得処理にて取得された差分時間が所定時間外の印刷ジョブが存在することを表示部に表示させる表示処理と、表示処理の後、操作部を介して所定時間外の印刷ジョブを処理する指示を受け付け、当該印刷ジョブを処理する時間外ジョブ処理とを更に有していてもよい。
【0013】
これにより、所定時間外の印刷ジョブが記憶部に記憶されている場合には、その印刷ジョブの存在が表示部に表示される。その表示を見たユーザは、操作部を操作して、所定時間外の印刷ジョブの処理、例えば、当該印刷ジョブの削除または当該印刷ジョブに応じた画像形成の実行を指示することができる。よって、ユーザが所定時間外の印刷ジョブを適切に処理することができる。
【0014】
受付部は、画像形成部による画像形成を許可する開錠データが対応づけられたセキュアジョブと、開錠データを伴わない通常ジョブとを受付可能であってもよい。この場合、制御部は、時間内ジョブ実行処理において、差分時間取得処理にて取得された差分時間が所定時間以内である全ての通常ジョブについて、画像形成部に画像の形成を実行させてもよい。
【0015】
これにより、ユーザが認証時刻から所定時間内に記憶された全ての通常ジョブに応じた印刷物をまとめて入手することができる。
【0016】
セキュアジョブは、識別情報と共に、画像形成部による画像形成を許可する開錠データが対応付けられている。セキュアジョブについては、識別情報とは別に、画像形成部による画像形成の際、セキュアジョブ毎に開錠データ(パスワード)を入力する必要がある。
【0017】
制御部は、時間内ジョブ実行処理において、差分時間取得処理にて取得された差分時間が所定時間以内であるセキュアジョブについて、通常ジョブと併せて、画像形成部に画像の形成を実行させるか否かを選択する選択処理を更に有していてもよい。
【0018】
これにより、通常ジョブと識別情報が同じであるセキュアジョブについては、通常ジョブと併せて画像形成するか否かを選択することができる。更に、セキュアジョブについて、ユーザは、セキュアジョブ毎に開錠データを入力することなく、画像形成による印刷物を入手することができる。
【0019】
制御部は、所定時間を変更する所定時間変更処理を更に有していてもよい。
【0020】
これにより、所定時間を変更することができるので、ユーザの仕様に合った設定にすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ユーザは、当該所定時間内に記憶部に記憶された全てのジョブに応じた印刷物(画像が形成された用紙)を識別情報の認証後すぐに入手することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係るMFPの右前上側から見た斜視図である。
図2】MFPの電気的構成を示すブロック図である。
図3A】印刷ジョブ処理の流れを示すフローチャート(その1)である。
図3B】印刷ジョブ処理の流れを示すフローチャート(その2)である。
図4】印刷ジョブ記憶処理の流れを示すフローチャートである。
図5】時間変更処理の流れを示すフローチャートである。
図6】セキュアジョブ選択処理の流れを示すフローチャートである。
図7】RAMに蓄積されている印刷ジョブの一例を示す図である。
図8図7に示される印刷ジョブの実行順序を説明するためのタイムチャートである。
図9】第2実施形態に係る第1印刷ジョブ実行処理の流れを示すフローチャートである。
図10】第3実施形態に係る第2印刷ジョブ実行処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0024】
<機械的構成>
【0025】
画像形成装置の一例としてのMFP(Multi-Function Peripheral)1は、図1に示されるように、プリンタ本体2、スキャナ本体3およびADF(Auto Document Feeder)4を備えている。
【0026】
なお、以下の説明では、平面上に載置したMFP1を操作パネル7(後述する)が設けられている側から見て規定した上下、左右および前後の各方向を使用する。
【0027】
プリンタ本体2内には、画像形成部10(図2参照)が収容されている。画像形成部10は、画像データに基づく印刷(カラー印刷またはモノクロ印刷)を実行し、用紙に画像を形成する。画像形成の方式は、電子写真方式であってもよいし、インクジェット方式であってもよい。
【0028】
プリンタ本体2の最下部には、給紙トレイ5が設けられている。給紙トレイ5は、複数枚の用紙を積層状態で収容可能に構成されている。プリンタ本体2の上面には、排紙トレイ6が形成されている。給紙トレイ5に収容されている用紙は、給紙トレイ5からプリンタ本体2内に1枚ずつ送り出され、プリンタ本体2内を排紙トレイ6に向けて搬送される。用紙がプリンタ本体2内を搬送される間に、画像形成部10によって、当該用紙に画像が形成される。画像が形成された用紙(印刷物)は、排紙トレイ6に排出される。
【0029】
スキャナ本体3は、プリンタ本体2の上方に配置され、ADF4は、スキャナ本体3の上方に配置されている。
【0030】
また、MFP1は、操作パネル7を備えている。操作パネル7は、例えば、スキャナ本体3の前端部に配置されている。操作パネル7には、表示部30、操作部40およびNFC(Near Field Communication)部50が設けられている。
【0031】
表示部30は、例えば、液晶表示器からなる。表示部30には、各種の情報が表示される。
【0032】
操作部40は、各種の操作ボタンからなる。操作ボタンの押操作により、各種の入力が可能である。操作ボタンには、例えば、各種の指示(例えば、画像処理の開始指示)を確定するためのOKボタン、各種の指示をキャンセルするためのキャンセルボタン、表示部30に表示されるキーを選択するための十字ボタン、数字や文字を入力するためのテンキーなどが含まれる。
【0033】
識別情報入力部の一例としてのNFC部50は、IDカードなどの非接触ICカードとの間で無線による双方向通信を行うことができる。
【0034】
<電気的構成>
【0035】
MFP1は、図2に示されるように、通信インターフェース(I/F)60および制御部70を備えている。
【0036】
受付部の一例としての通信インターフェース60は、LAN(Local Area Network)に接続されているPC(パーソナルコンピュータ)などの外部装置との通信のためのインターフェースである。通信の方式は、無線通信方式であってもよいし、有線通信方式であってもよい。
【0037】
制御部70は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)71、ROM72およびRAM73を備えている。
【0038】
ASIC71は、CPU74を内蔵している。ASIC71には、操作部40の操作による指示、NFC部50によりIDカードから読み取られた識別情報が入力される。また、ASIC71には、外部装置から送信される印刷ジョブが通信インターフェース60を介して入力される。図2には、外部装置の一例として、PC(Personal Computer)80が示されている。CPU74は、ASIC71に入力される情報に基づいて、各種の処理のためのプログラムを実行することにより、画像形成部10、画像読取部20および表示部30を制御し、通信インターフェース60を介した通信を制御する。
【0039】
なお、以下では、PC80から送信される印刷ジョブがMFP1に受け付けられる場合を例にとる。
【0040】
ROM72には、CPU74によって実行されるプログラムおよび各種のデータなどが記憶されている。
【0041】
記憶部の一例としてのRAM73は、CPU74がプログラムを実行する際のワークエリアとして使用される。
【0042】
<印刷ジョブ処理>
【0043】
MFP1の電源が投入されている間、ASIC71のCPU74は、図3Aおよび図3Bに示される印刷ジョブ処理を繰り返し実行する。
【0044】
印刷ジョブ処理では、CPU74は、MFP1が印刷ジョブを受け付けたか否かを判断する(S1)。
【0045】
印刷ジョブには、ジョブ種別として、通常ジョブとセキュアジョブとがある。セキュア印刷用パスワードが設定されていない印刷ジョブが通常ジョブであり、セキュア印刷用パスワードが設定されている印刷ジョブがセキュアジョブである。セキュア印刷用パスワードは、印刷ジョブの送信時に、ユーザがPC80を操作することにより設定される。
【0046】
MFP1が印刷ジョブを受け付けると(S1:YES)、CPU74は、印刷ジョブ記憶処理を実行する(S2)。印刷ジョブ記憶処理は、印刷ジョブを送信したユーザの識別情報(ユーザID)および印刷ジョブを受け付けた受付時刻(日時)とともに、画像データを含む印刷ジョブをRAM73に記憶させる処理である。印刷ジョブ記憶処理の詳細については、後述する。
【0047】
また、CPU74は、時間変更処理を実行する(S3)。時間変更処理は、優先的に実行する印刷ジョブを選定するための時間範囲を変更する処理である。時間変更処理の詳細については、後述する。
【0048】
印刷ジョブ記憶処理および時間変更処理の実行後、CPU74は、識別情報が入力されたか否かを判断する(S4)。例えば、ユーザが所有するIDカードをNFC部50に近づける。NFC部50によりIDカードから識別情報が読み取られ、その識別情報がASIC71に入力される。識別情報には、ユーザIDとユーザ認証用パスワードとが含まれる。
【0049】
識別情報が入力されていない状態では(S4:NO)、CPU74は、ステップS1〜S3の処理を繰り返し、印刷ジョブが受け付けられると、印刷ジョブ記憶処理および時間変更処理を実行する。印刷ジョブ記憶処理が繰り返されることにより、印刷ジョブがRAM73に蓄積される。
【0050】
識別情報が入力されると(S4:YES)、CPU74は、ユーザ認証を実行する(S5)。ユーザ認証には、ユーザ管理テーブルが用いられる。ユーザ管理テーブルは、例えば、非図示のNVRAM(Non Volatile RAM)に記憶されている。ユーザ管理テーブルでは、MFP1の使用を許可されている各ユーザのユーザIDに、ユーザ認証用パスワードが対応づけられている。ユーザ認証において、CPU74は、入力された識別情報に含まれるユーザIDとユーザ認証用パスワードとの組合せがユーザ管理テーブルに存在するか否かを判断し、当該組合せがユーザ管理テーブルに存在すれば、ユーザ認証が成功と判断する。
【0051】
ユーザ認証が不成功であった場合には(S6:NO)、ステップS1の処理に戻り、CPU74は、MFP1が印刷ジョブを受け付けたか否かを再び判断する(S1)。
【0052】
ユーザ認証が成功であった場合には(S6:YES)、CPU74は、そのユーザ認証を実行した時刻である認証時刻をRAM73に記憶させる(S7)。
【0053】
その後、CPU74は、RAM73に蓄積されている印刷ジョブの中から、認証されたユーザの通常ジョブを抽出する(S8)。抽出した通常ジョブは、一括印刷リストに含められる。
【0054】
通常ジョブの抽出後、CPU74は、セキュアジョブ選択処理を実行する(S9)。セキュアジョブ選択処理は、ユーザにより選択されたセキュアジョブを一括印刷リストに追加する処理である。セキュアジョブ選択処理の詳細については、後述する。
【0055】
つづいて、CPU74は、一括印刷リストに含まれる各印刷ジョブについて、印刷ジョブを受け付けた受付時刻と認証時刻との時間差である差分時間を取得する(S10)。
【0056】
そして、CPU74は、差分時間が所定時間以内である全ての印刷ジョブを、受付時刻が新しい印刷ジョブから、順次に実行する(S11)。印刷ジョブの実行とは、CPU74により、印刷ジョブに含まれる画像データに基づいて画像形成部10が制御され、画像形成部10により、当該画像データに対応した画像(印刷ジョブに応じた画像)が用紙に形成されることをいう。
【0057】
差分時間が所定時間以内である全ての印刷ジョブが終了すると(S12:YES)、CPU74は、一括印刷リストに含まれる印刷ジョブの中に、差分時間が所定時間外である印刷ジョブが存在するか否かを判断する(S13)。言い換えれば、CPU74は、一括印刷リストに含まれる印刷ジョブの中に、認証時刻から所定時間前の時刻よりも過去に受け付けられた印刷ジョブが存在するか否かを判断する。
【0058】
差分時間が所定時間外である印刷ジョブが存在しない場合(S13:NO)、CPU74は、印刷ジョブ処理を終了する。
【0059】
差分時間が所定時間外である印刷ジョブが存在する場合には(S13:YES)、CPU74は、表示部30を制御して、処理選択画面を表示部30に表示させる(S14)。
【0060】
処理選択画面では、例えば、差分時間が所定時間外である各印刷ジョブの受付時刻が上下に並べて表示され、各受付時刻の右側に「削除」キーおよび「実行」キーが横並びで表示される。操作部40の十字ボタンの上方向ボタンまたは下方向ボタンの操作により、印刷ジョブの1つを選択することができる。印刷ジョブが選択された状態は、その受付時刻が有色の背景に無色の文字で表されることにより示され、印刷ジョブが選択されていない状態は、その受付時刻が無色の背景に有色の文字で表されることにより示される。また、操作部40の十字ボタンの左方向ボタンまたは右方向ボタンの操作により、「削除」キーまたは「実行」キーの一方を選択することができる。「削除」キーまたは「実行」キーの一方が選択されると、その他方が非選択となる。選択された「削除」キーまたは「実行」キーは、無色の背景に有色の文字で表され、非選択の「削除」キーまたは「実行」キーは、有色の背景に無色の文字で表される。
【0061】
なお、この画面構成および以下で述べる選択操作は、単なる一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
【0062】
処理選択画面の表示後、CPU74は、差分時間が所定時間外である印刷ジョブのいずれか1つの削除が指示されたか否かを判断する(S15)。
【0063】
ユーザによって処理選択画面において、印刷ジョブが選択され、「削除」キーが選択された状態で、ユーザによって操作部40のOKボタンが押操作されると、CPU74は、当該印刷ジョブの削除が指示されたと判断し(S15:YES)、当該印刷ジョブをRAM73から削除する(S16)。
【0064】
また、いずれの印刷ジョブについても削除が指示されていない場合には(S15:NO)、CPU74は、差分時間が所定時間外である印刷ジョブのいずれか1つの実行が指示されたか否かを判断する(S17)。
【0065】
ユーザによって処理選択画面において、印刷ジョブが選択され、「実行」キーが選択された状態で、ユーザによって操作部40のOKボタンが押操作されると、CPU74は、当該印刷ジョブの実行が指示されたと判断し(S17:YES)、当該印刷ジョブを実行する(S18)。
【0066】
その後、CPU74は、差分時間が所定時間外である全ての印刷ジョブについての削除または実行の選択が終了したか否かを判断する(S19)。
【0067】
差分時間が所定時間外である全ての印刷ジョブについての削除または実行の選択が終了するまで、ステップS15〜S19の処理が繰り返される。
【0068】
差分時間が所定時間外である全ての印刷ジョブについての削除または実行の選択が終了すると(S19:YES)、CPU74は、印刷ジョブ処理を終了する。
【0069】
<印刷ジョブ記憶処理>
【0070】
図3AのステップS2で実行される印刷ジョブ記憶処理の流れは、図4に示されている。
【0071】
印刷ジョブ記憶処理では、CPU74は、MFP1が受け付けた印刷ジョブにセキュア印刷用パスワードが設定されているか否かを判断する(S21)。
【0072】
印刷ジョブにセキュア印刷用パスワードが設定されていれば(S21:YES)、CPU74は、当該印刷ジョブをセキュアジョブとしてRAM73に記憶させる(S22)。
【0073】
印刷ジョブにセキュア印刷用パスワードが設定されていない場合には(S21:NO)、CPU74は、当該印刷ジョブを通常ジョブとしてRAM73に記憶させる(S23)。
【0074】
そして、CPU74は、RAM73に記憶させた印刷ジョブと対応づけて、当該印刷ジョブを受け付けた受付時刻をRAM73に記憶させ(S24)、印刷ジョブ記憶処理をリターンする。
【0075】
<時間変更処理>
【0076】
図3AのステップS3で実行される時間変更処理の流れは、図5に示されている。
【0077】
時間変更処理では、CPU74は、操作部40から所定時間を変更する指示が入力されたか否かを判断する(S31)。例えば、印刷ジョブ処理の開始時において、表示部30には、「時間変更」キーが表示されている。ユーザが操作部40の十字ボタンの上方向ボタンまたは下方向ボタンを操作することにより、「時間変更」キーが選択されている状態と選択されていない状態とを切り替えることができる。「時間変更」キーが選択された状態は、有色の背景に「時間変更」の文字が無色で表されることにより示され、「時間変更」キーが選択されていない状態は、無色の背景に「時間変更」の文字が有色の文字で表されることにより示される。「時間変更」キーが選択された状態で、操作部40のOKボタンが押操作されると操作部40からの信号によって、CPU74は、所定時間を変更する指示が入力されたと判断する。
【0078】
所定時間を変更する指示が入力された場合には(S31:YES)、CPU74は、表示部30を制御して、所定時間を入力する所定時間入力画面を表示部30に表示させる。所定時間入力画面が表示されている状態において、ユーザは、操作部40のテンキーの操作により、ユーザが所望する時間を入力することができる。ユーザによって操作部40を介して時間が入力されると、CPU74は、図3BのステップS11で実行する印刷ジョブを選定するための時間範囲である所定時間をその入力された時間に変更して(S32)、時間変更処理をリターンする。
【0079】
所定時間を変更する指示が入力されないまま、識別情報がASIC71に入力されると、CPU74は、所定時間を変更せずに、時間変更処理をリターンする。
【0080】
<セキュアジョブ選択処理>
【0081】
図3AのステップS9で実行されるセキュアジョブ選択処理の流れは、図6に示されている。
【0082】
セキュアジョブ選択処理では、CPU74は、RAM73に蓄積されている印刷ジョブの中にセキュアジョブが含まれている否かを判断する(S91)。
【0083】
セキュアジョブが含まれていない場合(S91:NO)、CPU74は、セキュアジョブ選択処理をリターンする。
【0084】
セキュアジョブが含まれている場合(S91:YES)、CPU74は、表示部30を制御して、一括印刷選択画面を表示部30に表示させる(S92)。
【0085】
一括印刷選択画面では、例えば、RAM73に蓄積されている全てのセキュアジョブの受付時刻が上下に並べて表示される。また、一括印刷選択画面の右下端には、「選択」キーと「キャンセル」キーとが横並びで表示される。
【0086】
なお、この画面構成および以下で述べる選択操作は、単なる一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
【0087】
「選択」キーが選択された状態で、操作部40のOKボタンが押操作されると、CPU74は、ユーザによりセキュアジョブを一括印刷リストに含める選択がなされたと判断し(S93:YES)、RAM73に蓄積されている全てのセキュアジョブを一括印刷リストに追加する(S94)。その後、CPU74は、セキュアジョブ選択処理をリターンする。
【0088】
「キャンセル」キーが選択された状態で、ユーザによって操作部40のOKボタンが押操作されると、CPU74は、ユーザによりセキュアジョブを一括印刷リストに含めない選択がなされたと判断し(S93:NO)、セキュアジョブを一括印刷リストに追加せずに、セキュアジョブ選択処理をリターンする。
【0089】
<印刷ジョブの実行順序の一例>
【0090】
図7図8の具体例を用いて、ユーザID「X」のユーザがユーザ認証を行った場合の印刷ジョブの実行順序について説明する。なお、図3BのステップS11で実行する印刷ジョブを選定するための時間範囲である所定時間は、24時間に設定されている。 図7に示されるように、RAM73において、印刷ジョブは、ユーザID、ジョブ名、セキュア印刷用パスワードおよび受付時刻を対応づけたテーブルの形式で蓄積される。
【0091】
図7に示される一例では、5個の印刷ジョブがRAM73に蓄積されている。
【0092】
最も古い(最も過去に蓄積された)印刷ジョブには、ユーザID「X」、ジョブ名「A」、セキュア印刷用パスワード「○○○○」および受付時刻「2014年2月11日23時」が対応づけられている。この印刷ジョブは、セキュア印刷用パスワードが設定されているセキュアジョブである。以下では、ジョブ名「A」の印刷ジョブを「印刷ジョブA」という。
【0093】
2番目に古い印刷ジョブには、ユーザID「X」、ジョブ名「B」および受付時刻「2014年2月12日5時」が対応づけられている。この印刷ジョブには、セキュア印刷用パスワードが対応づけられていない。すなわち、2番目に古い印刷ジョブは、セキュア印刷用パスワードが設定されていない通常ジョブである。以下では、ジョブ名「B」の印刷ジョブを「印刷ジョブB」という。
【0094】
3番目に古い印刷ジョブには、ユーザID「Y」、ジョブ名「C」、セキュア印刷用パスワード「△△△△」および受付時刻「2014年2月12日14時」が対応づけられている。この印刷ジョブは、セキュア印刷用パスワードが設定されているセキュアジョブである。以下では、ジョブ名「C」の印刷ジョブを「印刷ジョブC」という。
【0095】
4番目に古い印刷ジョブには、ユーザID「X」、ジョブ名「D」、セキュア印刷用パスワード「□□□□」および受付時刻「2014年2月12日18時」が対応づけられている。この印刷ジョブは、セキュア印刷用パスワードが設定されているセキュアジョブである。以下では、ジョブ名「D」の印刷ジョブを「印刷ジョブD」という。
【0096】
最も新しい印刷ジョブには、ユーザID「X」、ジョブ名「E」、セキュア印刷用パスワード「××××」および受付時刻「2014年2月12日22時」が対応づけられている。この印刷ジョブは、セキュア印刷用パスワードが設定されているセキュアジョブである。以下では、ジョブ名「E」の印刷ジョブを「印刷ジョブE」という。
【0097】
これらの5個の印刷ジョブを受付時刻によって時系列に並べたタイムチャートが図8に示されている。
【0098】
ユーザID「X」のユーザがユーザ認証を行った場合、図3のステップS8では、CPU74は、そのユーザの通常ジョブである印刷ジョブBを抽出し、印刷ジョブBを一括印刷リストに含める。その後、ユーザID「X」のユーザがセキュアジョブの追加を選択した場合、図3のステップS9で実行されるセキュアジョブ選択処理により、CPU74は、そのユーザのセキュアジョブである印刷ジョブA、印刷ジョブDおよび印刷ジョブEを一括印刷リストに追加する。
【0099】
一括印刷リストに含まれる印刷ジョブAについての差分時間(受付時刻と認証時刻との時間差)は、25時間である。印刷ジョブBについての差分時間は、18時間である。印刷ジョブDについての差分時間は、5時間である。印刷ジョブEについての差分時間は、1時間である。
【0100】
図3BのステップS11で実行する印刷ジョブを選定するための時間範囲である所定時間が24時間に設定されている場合、差分時間が24時間以内である印刷ジョブは、印刷ジョブB、印刷ジョブDおよび印刷ジョブEである。したがって、図3BのステップS11では、印刷ジョブB、印刷ジョブDおよび印刷ジョブEが印刷ジョブAに優先して実行される。印刷ジョブB、印刷ジョブDおよび印刷ジョブEは、受付時刻が新しいものから順に、つまり印刷ジョブE、印刷ジョブDおよび印刷ジョブBの順に実行される。
【0101】
ユーザID「X」のユーザがセキュアジョブの追加を選択しなかった場合は、一括印刷リストに含まれる印刷ジョブが印刷ジョブBのみであるから、印刷ジョブBが印刷ジョブAに優先して実行される。
【0102】
また、差分時間が所定時間外である印刷ジョブAについて、その削除または実行をユーザに選択される処理選択画面が表示部30に表示される(S14)。そして、印刷ジョブAの削除が選択されると、印刷ジョブAがRAM73から削除される。印刷ジョブAの実行が選択されると、印刷ジョブE、印刷ジョブDおよび印刷ジョブBがこの順に実行された後、印刷ジョブBに引き続いて、印刷ジョブAが実行される。
【0103】
<作用効果>
【0104】
以上のように、印刷ジョブおよび当該印刷ジョブを送信したユーザのユーザIDがMFP1に受け付けられると、印刷ジョブおよびユーザIDとともに、その印刷ジョブの受付時刻がRAM73に記憶される。ユーザID入力部から入力されたユーザIDが認証されると、RAM73に記憶されている印刷ジョブの中から、ユーザIDと関連づけられている印刷ジョブが抽出される。そして、抽出された印刷ジョブの受付時刻と認証情報が認証された認証時刻との差が所定時間以内である全ての印刷ジョブについて、画像形成部10により用紙に画像が形成される。そのため、ユーザは、当該所定時間内にRAM73に記憶された全ての印刷ジョブに応じた印刷物(画像が形成された用紙)をユーザIDの認証後すぐに入手することができる。
【0105】
また、所定時間内にRAM73に記憶された全ての印刷ジョブについて、受付時刻が新しい印刷ジョブから順に実行され、画像形成部10により画像が形成される。受付時刻が新しい印刷ジョブに応じた印刷物からの入手をユーザが所望することが推測される。そのため、受付時刻が新しい印刷ジョブに応じた画像形成から順に実行されることにより、ユーザの利便性を上げることができる。
【0106】
RAM73に記憶されている印刷ジョブの中に、差分時間が所定時間外の印刷ジョブが存在する場合には、処理選択画面が表示部30に表示される。処理選択画面では、ユーザが操作部40を操作することにより、差分時間が所定時間外である各印刷ジョブの処理として、印刷ジョブの削除または実行を選択して指示することができる。よって、ユーザが所定時間外の印刷ジョブを適切に処理することができる。
【0107】
RAM73に記憶されている印刷ジョブに通常ジョブとセキュアジョブとが含まれる場合、差分時間が所定時間以内である全ての通常ジョブと併せて、差分時間が所定時間以内であるセキュアジョブを実行するか否かをユーザが選択することができる。これにより、ユーザが認証時刻から所定時間内に記憶された全ての通常ジョブに応じた印刷物をまとめて入手することができる。
【0108】
従来、セキュアジョブを実行する際には、セキュアジョブ毎にセキュア印刷用パスワードを入力する必要があった。しかし、本発明の構成によって、ユーザは、通常ジョブと併せてのセキュアジョブの実行を選択することにより、セキュアジョブ毎にセキュア印刷用パスワードを入力することなく、セキュアジョブに応じた画像形成による印刷物を入手することができる。
【0109】
時間変更処理により、ユーザが所定時間を変更することができる。これにより、所定時間をユーザの仕様に合った設定にすることができる。
【0110】
<第2実施形態>
【0111】
前述の実施形態における所定時間を第1所定時間とし、第1所定時間よりも短い特別時間である第2所定時間を設定して、差分時間が第2所定時間以内である印刷ジョブを、差分時間が第1所定時間以内であって第2所定時間外である印刷ジョブに優先して実行する構成が採用されてもよい。
【0112】
この構成が採用される場合、例えば、図3BのステップS11では、図9に示される第1印刷ジョブ実行処理が実行される。
【0113】
第1印刷ジョブ実行処理では、CPU74は、一括印刷リストに含まれる印刷ジョブの中から、差分時間が第1所定時間以内である印刷ジョブを選定する。そして、その選定した全ての印刷ジョブ(以下、単に「全印刷ジョブ」という。)についての差分時間が第2所定時間以内であるか否かを判断する(S1101)。
【0114】
全印刷ジョブについての差分時間が第2所定時間以内である場合(S1101:YES)、CPU74は、差分時間が第2所定時間以内である全印刷ジョブを受付時刻が古いものから順に実行し(S1102)、第1印刷ジョブ実行処理をリターンする。
【0115】
全印刷ジョブについての差分時間が第2所定時間以内ではなく、全印刷ジョブの中に差分時間が第2所定時間外である印刷ジョブが含まれる場合(S1101:NO)、CPU74は、差分時間が第2所定時間以内である印刷ジョブを受付時刻が古いものから順に実行する(S1103)。
【0116】
その後、CPU74は、差分時間が第2所定時間外である印刷ジョブを受付時刻が新しいものから順に実行し(S1104)、第1印刷ジョブ実行処理をリターンする。
【0117】
図7に示される5個の印刷ジョブA〜EがRAM73に蓄積されている状態で、ユーザID「X」のユーザがユーザ認証を行った場合、図3AのステップS8では、そのユーザの通常ジョブである印刷ジョブBが抽出されて、印刷ジョブBが一括印刷リストに含められる。その後、ユーザID「X」のユーザがセキュアジョブの追加を選択した場合、図3のステップS9で実行されるセキュアジョブ選択処理により、そのユーザのセキュアジョブである印刷ジョブA、印刷ジョブDおよび印刷ジョブEが一括印刷リストに追加される。
【0118】
第1所定時間が24時間に設定され、第2所定時間が1時間に設定されている場合、差分時間が24時間(第1所定時間)以内である印刷ジョブは、印刷ジョブB、印刷ジョブDおよび印刷ジョブEであり、差分時間が1時間(第2所定時間)以内である印刷ジョブは、印刷ジョブEである。したがって、図9のステップS1101では、全印刷ジョブについての差分時間が第2所定時間以内ではなく、全印刷ジョブの中に差分時間が第2所定時間外である印刷ジョブBが含まれると判断される。そして、ステップS1103では、差分時間が1時間以内である印刷ジョブEが差分時間が1時間を超えている印刷ジョブBおよび印刷ジョブDに優先して実行される。その後、印刷ジョブEの実行に続いて、差分時間が1時間を超えている印刷ジョブBおよび印刷ジョブDが受付時刻の新しいものから順に、つまり印刷ジョブDおよび印刷ジョブBの順に実行される。
【0119】
ユーザID「X」のユーザがセキュアジョブの追加を選択しなかった場合は、一括印刷リストに含まれる印刷ジョブが印刷ジョブBのみであるから、印刷ジョブBが印刷ジョブAに優先して実行される。
【0120】
印刷ジョブAの処理については、前述の実施形態の場合と同様である。
【0121】
<作用効果>
【0122】
第2実施形態では、差分時間が第1所定時間よりも短い第2所定時間以内である印刷ジョブについて、差分時間が第1所定時間以内であって第2所定時間外である印刷ジョブに優先して、画像形成部10による画像の形成が実行される。
【0123】
差分時間が第2所定時間以内である印刷ジョブは、差分時間が第1所定時間以内であって第2所定時間外の印刷ジョブよりも必要度が高いと考えられる。逆に、差分時間が第1所定時間以内であって第2所定時間外の印刷ジョブに応じた印刷物は、差分時間が第2所定時間以内である印刷ジョブに応じた印刷物ほど急ぎで入手する必要がないと考えられる。そのため、必要度がより高い印刷ジョブに応じた画像形成による印刷物を、急ぎで入手する必要がない印刷物に優先して、速やかに入手することができる。
【0124】
また、第2所定時間以内の印刷ジョブは、必要度が高いと考えられるので、記憶された順番に印刷物を取得したほうが、ユーザの利便性が高い。
【0125】
<第3実施形態>
【0126】
図3BのステップS11では、図9に示される第1印刷ジョブ実行処理に代えて、図10に示される第2印刷ジョブ実行処理が実行されてもよい。
【0127】
第2印刷ジョブ実行処理では、CPU74は、一括印刷リストに含まれる印刷ジョブの中から、差分時間が第1所定時間以内である印刷ジョブを選定する。そして、その選定した全印刷ジョブの中に、差分時間が第2所定時間以内である印刷ジョブが存在するか否かを判断する(S1111)。
【0128】
全印刷ジョブの中に、差分時間が第2所定時間以内である印刷ジョブが存在する場合(S1111:YES)、CPU74は、差分時間が第1所定時間以内である全印刷ジョブを受付時刻が新しいものから順に実行し(S1112)、第2印刷ジョブ実行処理をリターンする。
【0129】
全印刷ジョブの中に、差分時間が第2所定時間以内である印刷ジョブが存在しない場合(S1111:NO)、CPU74は、差分時間が第1所定時間以内である印刷ジョブを受付時刻が古いものから順に実行し(S1113)、第2印刷ジョブ実行処理をリターンする。
【0130】
<作用効果>
【0131】
第3実施形態では、差分時間が第1所定時間よりも短い第2所定時間以内である印刷ジョブがRAM73に1つでも記憶されている場合には、差分時間が第1所定時間以内である全印刷ジョブが受付時刻が新しいものから順に実行される。これにより、必要度がより高い印刷ジョブに応じた画像形成による印刷物から順に、差分時間が第1所定時間以内である全印刷ジョブに応じた画像形成による印刷物を速やかに入手することができる。また、第2所定時間以内である印刷ジョブがRAM73に1つも記憶されていない場合、直近の印刷ジョブがない。そこで、第1所定時間以内である全印刷ジョブが古い順に順番に実行される。
【0132】
<変形例>
【0133】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0134】
例えば、前述の実施形態においては、ユーザが所有するIDカードがNFC部50に近づけられると、NFC部50によりIDカードから識別情報(ユーザID、ユーザ認証用パスワード)が読み取られて、その識別情報がASIC71に入力されるとした。これに限らず、ユーザが操作部40を操作して、ユーザIDおよびユーザ認証用パスワードを入力してもよい。
【0135】
また、前述の実施形態では、CPU74が各処理を実行する場合について説明した。しかしながら、制御部70に1または複数のCPUが追加されて、ASIC71のCPU74とその追加されたCPUとが協働して各処理を実行してもよい。
【0136】
また、前述の実施形態では、画像形成装置の一例として、画像形成部10による画像形成機能(印刷機能)を有するMFP1を取り上げたが、画像形成装置は、画像形成機能を有する単機能の装置であってもよい。
【0137】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0138】
1 MFP
10 画像形成部
30 表示部
40 操作部
50 NFC部
60 通信インターフェース
70 制御部
73 RAM
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10