(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.実施形態
1−1.画像形成装置の全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の全体構成を示す図である。以下、図において、画像形成装置1の各構成の配置を説明するため、各構成が配置される空間をxyz右手系座標空間として表す。また、図に示す座標記号のうち、内側が白い円の中に黒い円を描いた記号は、紙面奥側から手前側に向かう矢印を表している。また、内側が白い円の中に交差する2本の線分を描いた記号は、紙面手前側から奥側に向かう矢印を表している。空間においてx軸に沿う方向をx軸方向という。また、x軸方向のうち、x成分が増加する方向を+x方向といい、x成分が減少する方向を−x方向という。y、z成分についても、上記の定義に沿ってy軸方向、+y方向、−y方向、z軸方向、+z方向、−z方向を定義する。
【0010】
同図に示すように、画像形成装置1は、制御部11と、現像部13Y,13M,13C,13Kと、転写部14と、定着部15と、搬送部16とを備えている。なお、符号のY,M,C,Kはそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーに対応した構成であることを意味している。現像部13Y,13M,13C,13Kのそれぞれは、用いるトナーが異なるのみであって、その構成に特段の差異はない。以下、現像部13Y,13M,13C,13Kのそれぞれを特に区別する必要がない場合には、トナーの色を示す符号末尾のアルファベットを省略して「現像部13」と表記する。
【0011】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ソリッドステートドライブやハードディスクドライブなどの記憶手段を有し、CPUがこれらの記憶手段に記憶されているコンピュータプログラムを読み出して実行することにより画像形成装置1の各部を制御する。
【0012】
搬送部16は、容器と搬送ロールとを有する。容器には、予め定められたサイズにカットされた、媒体としての用紙Pが収容される。容器に収容されている用紙Pは、制御部11の指示により搬送ロールによって1枚ずつ取り出され、用紙搬送路を経由して転写部14へと搬送される。なお、媒体は用紙に限らず、例えば樹脂製のシートなどであってもよい。要するに、媒体は、表面に画像を記録し得るものであればよい。
【0013】
各現像部13は、像保持体31と、帯電器32と、露光装置33と、現像装置34と、一次転写ロール35と、ドラムクリーナ36とを備えている。像保持体31は、電荷発生層や電荷輸送層を有する感光体ドラムであり、図示しない駆動部により図中の矢線D13の方向に回転させられる。帯電器32は像保持体31の表面を帯電させる。露光装置33はレーザ発光源やポリゴンミラーなど(いずれも図示せず)を備え、制御部11の制御の下、画像データに応じたレーザ光を、帯電器32により帯電させられた後の像保持体31に向けて照射する。これにより、各像保持体31には潜像が保持される。なお、上記の画像データは、制御部11が図示しない通信部を介して外部装置から取得したものであってもよい。外部装置とは、例えば原画像を読み取る読取装置や画像を示すデータを記憶した記憶装置などである。現像装置34は現像剤を像保持体31に供給する。これにより像保持体31には、画像が形成(現像)される。
【0014】
一次転写ロール35は転写部14の中間転写ベルト41が像保持体31と対向する位置において予め定めた電位差を生じさせ、この電位差によって中間転写ベルト41に画像を転写する。ドラムクリーナ36は、画像の転写後に像保持体31の表面に残留している未転写のトナーを取り除き、像保持体31の表面を除電する。
【0015】
転写部14は、中間転写ベルト41と、二次転写ロール42と、ベルト搬送ロール43と、バックアップロール44と、ベルトクリーナ49とを備えており、現像部13によって形成された画像を用紙Pに転写する転写部である。中間転写ベルト41は無端のベルト部材であり、ベルト搬送ロール43およびバックアップロール44はこの中間転写ベルト41を張架する。ベルト搬送ロール43およびバックアップロール44の少なくとも1つには駆動部(図示せず)が備えられており、中間転写ベルト41を
図1の矢印D14方向に移動させる。なお、駆動部を有さないベルト搬送ロール43またはバックアップロール44は、中間転写ベルト41の移動に伴って回転する。中間転写ベルト41が
図1の矢印D14方向に移動して回転することにより、中間転写ベルト41上の画像は、二次転写ロール42とバックアップロール44とに挟まれる領域に移動させられる。
【0016】
二次転写ロール42は、中間転写ベルト41との電位差によって、中間転写ベルト41上の画像を搬送部16から搬送されてきた用紙Pに転写させる。ベルトクリーナ49は、中間転写ベルト41の表面に残留している未転写のトナーを取り除く。そして、転写部14または搬送部16は、画像が転写された用紙Pを定着部15へと搬送する。定着部15は、加熱によって用紙Pに転写された画像を定着させる。
【0017】
1−2.現像装置の構成
図2は、現像装置34の構成を示す図である。また、
図3は、
図2に示した領域R0を拡大した図である。
図2に示すように、現像装置34は、像保持体31の外周面のうち、下方であって+y方向側に配置されており、現像剤保持体340と、2本のスクリュ349を有する。また、
図3に示すように、現像装置34は、収容器341と、排出路形成部材342とを有する。
【0018】
収容器341は、Y,M,C,Kのいずれかの色のトナーと、フェライト粉などの磁性キャリアを含む二成分現像剤を収容するとともに、現像剤保持体340および2本のスクリュ349を収容する。また、収容器341は、像保持体31に対向した側に、現像剤保持体340の一部を露出させる開口部3410を有する。
【0019】
現像剤保持体340は、現像剤を保持して回転しながら、静電潜像が形成された像保持体31にその現像剤を供給する円筒状の部材である。現像剤保持体340は、収容器341の開口部3410を通して像保持体31と対向するように設けられている。この現像剤保持体340は、磁界を発生させる磁界発生手段としてのマグネットローラと、表面に現像剤を保持する現像スリーブとを有する。マグネットローラは現像スリーブの内部に固定され、予め定められた角度位置に軸方向に沿って複数の磁極を形成する。現像スリーブがマグネットローラの磁極に応じた場所を通過するときに、現像スリーブ上の現像剤に対して磁力が作用する。
【0020】
現像スリーブは、非磁性で円筒状の部材であり、マグネットローラの外周面の周囲を覆い、電圧が印加されて回転する。この現像スリーブが、図示しない駆動部により
図2に示す矢印D0方向、すなわち、現像剤保持体340のうち、開口部3410から露出して像保持体31に面した部分が鉛直方向下から上に向かう成分を持つ方向に回転させられることによって、マグネットローラから磁力の作用を受けた現像剤が矢印D0方向に搬送される。
【0021】
2本のスクリュ349は、現像剤を攪拌しながら現像スリーブに供給する。供給されたこの現像剤は、マグネットローラが与える磁力により磁力線に沿って束状に配列し、いわゆる磁気ブラシを形成する。このように形成された磁気ブラシは、現像スリーブ上に保持され、現像スリーブの回転とともに像保持体31に対向する位置に移動し、その穂先が像保持体31の表面に接触することで、トナーは像保持体31表面で露光装置33により露光された部分、すなわち静電潜像の画線部に付着する。これにより、像保持体31に画像が形成される。
【0022】
排出路形成部材342は、現像剤保持体340の外周面に沿って現像剤保持体340の回転軸方向に延び現像剤保持体340の一部を覆うとともに、収容器341の内部から外部へ空気を排出する排出路343を収容器341の内壁面との間に形成する。排出路形成部材342は、収容器341の内壁面の一部分に設置されたリブ(図示せず)により、収容器341に支持される。排出路形成部材342は、現像剤保持体340の外周面が通過する位置のうち最も高い位置である頂上部Tを覆う。排出路343の排出口3432は、この頂上部Tよりも像保持体31に近い位置に設けられている。
【0023】
収容器341のうち、開口部3410の下辺側には、弁V1および弁V2が設けられている。弁V1は、現像剤保持体340が矢印D0方向に進むほど現像剤保持体340の表面との距離が短くなる角度で現像剤保持体340に接している。弁V1は、現像剤保持体340と開口部3410の下辺側との隙間から現像剤が像保持体31に向かって吹き出し難くなるように空気の流れを制限する。また、弁V2は、像保持体31に接することで、現像剤の拡散を抑制する。
【0024】
層規制部材Bは、トリマーバーなどと呼ばれる部材であり、矢印D0方向に回転する現像剤保持体340の表面に形成された磁気ブラシに接触して一部を掻き落とし、磁気ブラシを決められた高さに近づくよう調整する。掻き落とされた現像剤はスクリュ349に戻る。高さが調整された磁気ブラシは、像保持体31に対向する位置を通過して、像保持体31の表面にトナーを供給した後、排出路形成部材342に覆われる領域Rに移動する。
【0025】
排出路形成部材342には、弁V3が設けられている。弁V3は、現像スリーブが矢印D0方向に進むほど現像スリーブの表面との距離が短くなる角度で現像スリーブに接している。弁V3は、現像剤保持体340と開口部3410の上辺側との隙間から現像剤が像保持体31に向かって吹き出し難くなるように空気の流れを制限する。
【0026】
このように、弁V1および弁V3によって、収容器341の内部の空気は開口部3410から像保持体31に向かう方向に流れ難くなるように制限されている。そして、弁V3を通過して頂上部Tに至る磁気ブラシは、空気を巻き込んで収容器341の内部に進むため、収容器341の内圧は上昇する。
【0027】
排出路形成部材342は、例えば、
図3に示すように、現像剤保持体340の全外周面のうち、頂上部Tに位置する部分を含む四分の一以上の領域Rを覆っている。そして、収容器341の内部の空気は、
図3に示す矢印D1方向に沿って、排出路343の流入口3431に入り、排出路343の排出口3432から像保持体31に向かう矢印D2方向に沿って排出される。これにより、収容器341の内圧の上昇は抑制される。本実施形態においては、開口部3410に隣接して排出口3432が形成されている。
【0028】
1−3.排出口の構成
図4は、排出口3432の構成を示す図である。
図4には、
図3に示す矢視IV−IVから+y方向に現像装置34を見た図が記載されている。
図4に示すように、排出路343の排出口3432は、その幅w0が現像剤保持体340の回転軸方向の幅w1よりも長く、現像剤保持体340の回転軸方向の全域にわたって設けられている。そして、排出口3432の厚さtは、0.2mm以上2mm以下である。
【0029】
1−4.実験結果
図5は、排出口3432の厚さtと現像装置34の内圧との関係を示す図である。
図5には、収容器341の内部の空気における飛散したトナーの濃度[ppm]に対する現像装置34の内部における圧力上昇[Pa]の関係が、排出口3432の厚さt[mm]ごとにそれぞれ示されている。
図5に示すように、従来技術には、排出路343が形成されていないため排出口3432がなく厚さt=0[mm]である。この従来技術では、例えば、トナー濃度が300ppm程度のとき、現像装置の内部が50Paも圧力上昇する。
【0030】
一方、本発明に係る画像形成装置1のように、厚さt=0.5mmの排出口3432を有する排出路343が形成されていると、例えば、トナー濃度が300ppm程度のとき、現像装置の内部の圧力上昇は、27Pa程度に抑えられる。この傾向は、排出口3432の厚さtが厚くなるほど、顕著になり、厚さt=1.0mmの排出口3432を有する排出路343が形成されている場合では、トナー濃度が300ppm程度のとき、現像装置の内部の圧力上昇が13Pa程度となる。これは、同じ流量が排出口から排出される場合に、排出口の断面積が大きいほど圧力損失が抑えられるからである。
【0031】
図6は、排出口3432の厚さtと媒体などへのトナーの付着量との関係を示す図である。
図6には、現像剤中の磁性キャリアの割合を百分率で示すTC[%]とに対する画像以外のトナーの付着量[mg]の関係が、排出口3432の厚さt[mm]ごとにそれぞれ示されている。画像以外のトナーの付着量とは、要するに、トナーによる予期しない汚れであり、現像装置34からトナーが吹き出すことなどによって引き起こされる。
図6に示すように、従来技術は、排出口3432がなく、TC=11%程度のときにトナー付着量が22mg程度である。
【0032】
一方、本発明に係る画像形成装置1のように、厚さt=0.5mmの排出口3432を有する排出路343が形成されていると、例えば、TC=11%程度のとき、トナー付着量は、16mg程度に抑えられる。この傾向は、排出口3432の厚さtが厚くなるほど、顕著になり、厚さt=1.0mmの排出口3432を有する排出路343が形成されている場合では、TC=10%程度のとき、トナー付着量が10mg程度となる。これは、同じ流量が排出口から排出される場合に、排出口の断面積が大きいほど流速は低下するため、排出される空気に含まれたトナーが媒体などを汚す可能性が抑えられるからである。
【0033】
以上、説明した通り、現像装置34には、排出路343が形成されているので、現像装置34の隙間から現像剤が吹き出して媒体などを汚す可能性が低減される。
【0034】
また、像保持体31の周囲は、現像剤を含んだ空気が浮遊、滞留し易いから、像保持体31の近くには、これら滞留する空気を吸引する吸引装置が設けられていることが多い。上述したように、排出路343は、像保持体31に向けて形成されているので、上述した吸引装置が設けられている場合には、新たに別の処理装置を設けなくてもこの吸引装置によって、現像装置34の収容器341内の現像剤を含む空気が処理される。
また、排出路343の排出口3432は、収容器341の開口部3410に隣接して形成されている。すなわち、排出路343が開口部3410に隣接する位置まで延びている。したがって、排出口3432から排出された現像剤を含む空気が、開口部3410近くで浮遊する現像剤とともに吸引装置で効率的に処理される。
【0035】
また、形成された排出路343は、現像剤保持体340の外周面に沿って形成されるとともに、この外周面が通過する位置のうち最も高い位置である頂上部Tを覆うので、排出路343の流入口3431から流入する空気は、頂上部Tを越えるまで重力に逆らって流れる。したがって、流入する空気が頂上部Tを越えるまでに、空気に含まれる現像剤が重力によって分離し易く、排出される空気に含まれたトナーが媒体などを汚す可能性が抑えられる。
【0036】
2.変形例
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例を組み合わせてもよい。
【0037】
2−1.変形例1
上述した実施形態において、排出路343は、像保持体31に向けて形成されていたが、頂上部Tよりも像保持体31に近い位置に設けられているのであれば、像保持体31に向けて形成されていなくてもよい。
【0038】
図7は、この変形例における排出路343aの形状を示す図である。この変形例において、現像装置34aは、現像剤保持体340aと、収容器341aと、排出路形成部材342aとを有する。現像装置34aが上述した現像装置34と異なる点は、現像剤保持体340aの上方を覆う収容器341aのうち、像保持体31(
図7において図示せず)側の端部が、排出路形成部材342aの像保持体31側の端部よりも、像保持体31から離れた位置にある点である。そのため、排出路343aの排出口3432aは、像保持体31に向いていない。しかし、
図7に示すように、収容器341aおよび排出路形成部材342aの上述した像保持体31側の端部は、いずれも、頂上部Tより像保持体31に近い位置にある。その結果、この変形例においても排出口3432aは、この頂上部Tよりも像保持体31に近い位置に存在する。したがって、上述した吸引装置が像保持体31の周囲に設けられている場合には、新たに別の処理装置を設けなくてもこの吸引装置によって、現像装置34aの収容器341a内の空気が処理される。
【0039】
2−2.変形例2
上述した実施形態において、排出路形成部材342は、現像剤保持体340の全外周面のうち、頂上部Tに位置する部分を含む四分の一以上を覆っていたが、排出路形成部材342が覆う現像剤保持体340の全周に対する割合は、四分の一以上でなくてもよい。例えば、排出路343に空気が流入する流入口3431が、現像剤保持体340の回転軸よりも低い位置に設けられていればよい。
【0040】
2−3.変形例3
上述した実施形態において、排出路の形状はX軸方向の各位置において異なっていなかったが、X軸方向の各位置において気体の通り難さが異なるように排出路の形状を構成してもよい。この場合、収容器の形状のうち、現像剤を撹拌する部分の形状に応じて、排出路の厚さを変化させてもよい。なお、「排出路の厚さ」とは、収容器の内壁面と、排出路形成部材の外壁面との距離である。
【0041】
図8は、この変形例における現像装置34bを示す図である。現像装置34bの内部には計測装置17が固定されている。計測装置17は、透磁率を計測することにより現像剤に含まれる磁性キャリアの濃度を計測する装置である。計測装置17は、現像剤保持体340bの回転軸方向の全域にわたって設けられているのではなく、その一部の領域に設けられている。
【0042】
図9は、
図8における矢視IX−IXから現像装置34bを見た図である。排出路形成部材342bは、現像剤保持体340bの外周面に沿って現像剤保持体340bの回転軸方向に延び現像剤保持体340bの一部を覆うとともに、収容器341bの内部から外部へ空気を排出する排出路343bを収容器341bの内壁面との間に形成する。収容器341bの内部の空気は、排出路343bの流入口3431bに流入し、排出口3432bから排出される。
【0043】
図9(a)に示すように、この位置には計測装置17が配置されていない。
図9(a)における領域R1の拡大図が
図9(b)である。収容器341bは、第1蓋部3411、第2蓋部3412、および区画部材3413を有する。
【0044】
現像剤保持体340bに供給される前の現像剤は、第1撹拌室3481および第2撹拌室3482(以下、特に区別の必要がない場合は、これらを総称して「撹拌室348」と記す)において、それぞれ2つのスクリュ3491,3492で撹拌されている。スクリュ3491,3492は、いずれも現像剤保持体340bの回転軸方向に沿って伸びる棒状の部材であり、回転するときに周面に設けられた羽根によって現像剤を撹拌するとともに搬送する。第1撹拌室3481および第2撹拌室3482は、いずれも現像剤保持体340bの回転軸方向に沿って設けられた部屋である。なお、上述した計測装置17は、第2撹拌室3482のうち、回転軸方向のいずれかの位置に配置されているが、上述したとおり、
図9に示す位置には配置されていない。
【0045】
まず、現像剤はスクリュ3492により第2撹拌室3482において撹拌されるとともに、+X方向に沿ってスクリュ3492の端部まで搬送され、この端部から第1撹拌室3481に備えられたスクリュ3491へ供給される。そして、現像剤はスクリュ3491により第1撹拌室3481において撹拌されるとともにスクリュ3492とは逆の−X方向に搬送される。スクリュ3491により−X方向に搬送される間、現像剤は現像剤保持体340bの回転軸方向の全域に向けて供給される。第1撹拌室3481とスクリュ3491とは、現像剤保持体の回転軸方向に沿って設けられ、この現像剤保持体に現像剤を供給する第1供給部の一例である。
【0046】
第1蓋部3411および第2蓋部3412は、現像剤を撹拌する第1撹拌室3481と第2撹拌室3482とを上(+Z方向)から閉鎖する部材である。区画部材3413は、第1撹拌室3481と第2撹拌室3482とを区画する部材であり、例えば板状の部材を含む。
【0047】
図9に示す位置において、第1蓋部3411と区画部材3413との間隔A1は、例えば1〜5ミリメートルの狭い間隔である。一方、第2蓋部3412と区画部材3413ととは接しており、隙間が設けられていない。そのため、
図9に示す位置において第2撹拌室3482に存在する空気は第1撹拌室3481へほとんど流れない。
【0048】
図10は、
図8における矢視X−Xから現像装置34bを見た図である。
図10(a)に示すように、この位置の第2撹拌室3482には計測装置17が配置されている。
図10(a)における領域R2の拡大図が
図10(b)である。
【0049】
図10に示す位置において、第1蓋部3411と区画部材3413との間隔A1は、
図9(b)に示した程度の間隔である。一方、
図10に示す位置において、第2蓋部3412と区画部材3413とは、
図9に示す位置よりも離れており、上述した間隔A1よりも大きな空間A2となっている。そのため、
図10に示す位置において第2撹拌室3482に存在する空気は、
図9に示す位置よりも第1撹拌室3481へ流れ易くなっている。つまり、空間A2が設けられていることにより、第2撹拌室3482には第1撹拌室3481へ空気を通過させる通路が形成されている。そして、スクリュ3492と第2撹拌室3482とは、
現像剤保持体から第1供給部を隔て
た位置に回転軸方向に沿って設けられ、
回転軸方向の端部からこの第1供給部に現像剤を供給する供給部であって
、第1供給部へ空気を通過させる通路が
回転軸方向に沿って形成された第2供給部の一例である。
【0050】
空間A2が設けられた理由は以下のとおりである。すなわち、
図10に示す位置には、計測装置17が配置されている。計測装置17が第2撹拌室3482の中にある現像剤の透磁率を安定して計測するためには、計測装置17の計測位置において現像剤が決められた密度以上に存在していることが必要である。そのため、計測装置17の計測位置では現像剤が滞留するようにスクリュ3492の
形状を変更し、現像剤の搬送能力を低下させて、現像剤が滞留するようにしている。
現像剤が滞留するように調整されている上記の計測位置においては
現像剤の量が増加する。
この増加した現像剤を収容するために
図9に示す位置よりも大きな空間が必要となり、第2蓋部3412と区画部材3413との間に空間A2を設ける必要がある。
【0051】
なお、第2撹拌室3482内で空間A2を設けつつ区画部材3413に沿って伸びる板状の部材を第2蓋部3412に設けることも可能であるが、撹拌される現像剤の中で姿勢を維持するための強度をその板状の部材が有するように構成することは一般的に困難である。
【0052】
図11は、
図8における矢視XI−XIから現像装置34bを見た図である。
図11(a)に示すように、この位置の第2撹拌室3482には計測装置17が配置されていない。
図11(a)における領域R3の拡大図が
図11(b)である。
【0053】
図11に示す位置において、第1蓋部3411と区画部材3413との間隔A1は、
図9(b)に示した程度の間隔である。一方、
図11に示す位置において、第2蓋部3412と区画部材3413とは、
図9に示す位置よりも離れており、
図10に示す位置よりも近い間隔A3となっている。そのため、
図11に示す位置において第2撹拌室3482に存在する空気は、
図9に示す位置よりも第1撹拌室3481へ流れ易くなっており、
図10に示す位置よりも第1撹拌室3481へ流れ難くなっている。
【0054】
図12は、現像装置34bの収容器341bを撹拌室の側から見た斜視図である。第2蓋部3412は、X軸方向の各位置で異なる形状になるよう成形されている。
【0055】
図13は、排出路343bの流入口3431bを+Z方向に見た図である。
図13に示す領域R9は、第2蓋部3412が
図9に示した形状を有する領域であり、領域R10は、第2蓋部3412が
図10に示した形状を有する領域であり、領域R11は、第2蓋部3412が
図11に示した形状を有する領域である。すなわち、第2撹拌室3482に形成された通路であって、第1撹拌室3481へ空気を通過させる通路の圧力損失は、領域R9よりも領域R11の方が小さく、領域R11よりも領域R10の方が小さい。(なお、第2撹拌室3482のうち、上述した計測装置17が配置されている領域は、
図10に示したとおり、上記通路の圧力損失が小さい領域R10である。)
【0056】
一方、流入口3431bを構成する排出路形成部材342bには、領域R10において障壁344aが、領域R11において障壁344bがそれぞれ設けられている。障壁344aおよび障壁344b(以下、特に区別の必要がない場合は、これらを総称して「障壁344」と記す)は、いずれも矩形の部材であって、流入口3431bにおいて、排出路343bの厚さを調整する部材である。障壁344aは、障壁344bに比べてY方向に長い。そのため、障壁344bが設けられた領域R11よりも、障壁344aが設けられた領域R10の方が、流入口3431bにおける排出路343bの厚さが短い。すなわち、現像剤保持体340bの回転軸方向の各位置において、第1撹拌室3481へ空気を通過させる通路の圧力損失が小さい部分に対応する排出路343bの部分ほど、狭く形成されている。
【0057】
第2撹拌室3482から第1撹拌室3481へ空気が通過する通路の圧力損失が小さい部分ほど、その下流にある排出路343bは狭く形成されているから、撹拌室348において空気が流れ易い部分では、排出路343bにおいて流れ難く調整される。この構成によって、排出路343bを空気が通過する速度は、現像剤保持体340bの回転軸方向(X軸方向)において均される。その結果、
第2撹拌室3482に浮遊している現像剤の粒子が、この空気によって
、像保持体31へ運ばれたとしても、この構成を有しない場合に比べて
浮遊した現像剤がX軸方向にわたって偏在し難い。すなわち、この構成を有することにより、回転軸方向のいずれかの位置に集中して現像剤が排出されることが緩和される。
【0058】
なお、この変形例において、障壁344は、排出路形成部材342bに設けられたが、収容器341bに設けられていてもよい。
また、障壁344は、排出路343bの流入口3431bに設けられたが、排出口3432bに設けられてもよく、排出路343bのいずれかの位置に設けられてもよい。
【0059】
2−4.変形例4
上述した変形例3において、障壁344は矩形の部材であったが、形状は矩形に限られない。
図14は、この変形例における障壁344の形状を示す図である。流入口3431bを構成する排出路形成部材342bには、領域R10において障壁344aが、領域R11において障壁344bが設けられている。障壁344aは、領域R10の中央に近い位置ほど厚み、すなわち、Y軸方向の長さがある部材であり、中央から離れるにしたがって階段状に厚みが小さくなる形状を有している。また、障壁344bは、領域R11の中央に近い位置ほど厚みがある部材であり、中央から離れるにしたがって連続的に厚みが小さくなる形状を有している。なお、これら障壁344は、それぞれの領域からはみ出ていてもよい。この構成により、排出路343bを空気が通過する速度は、X軸方向において均される。
【0060】
2−5.変形例5
上述した変形例3、4において、障壁344は、排出路形成部材342bまたは収容器341bのいずれかに設けられていたが、例えばリブのように、排出路形成部材342bと収容器341bとの両方に接続されていてもよい。この場合、第2撹拌室3482から第1撹拌室3481へ空気が通過する通路の圧力損失が小さい部分ほど、障壁344が密に設けられていてもよい。
【0061】
図15は、この変形例における障壁344の形状を示す図である。
図15(a)には、収容器341bの側から排出路形成部材342bを見た図が示されている。排出路形成部材342bには、領域R9において複数の障壁344cが、領域R10において複数の障壁344dがそれぞれ設けられている。
【0062】
個々の障壁344はX軸方向に同じ幅を有しており、いずれも矢印D2方向(空気の排出方向)に沿って設けられている。ただし、領域R10の障壁344dは、領域R9の障壁344cよりもX軸方向に密に設けられている。この構成により、排出路343bにおいて、領域R9よりも領域R10の方が、空気が通過し難くなるため、排出路343bを空気が通過する速度は、X軸方向において均される。
【0063】
なお、障壁344は、X軸方向に垂直な方向に沿って設けられなくてもよい。例えば、
図15(b)に示すように、領域R10において障壁344dは、流入口3431bの側よりも排出口3432bの側の方が、間隔が広がるように矢印D2方向に対して斜めに設けられていてもよい。この構成により、排出路343bを空気が通過する速度は、X軸方向においてさらに均される。
【0064】
また、障壁344は、上述したものに限られず、例えば金網などでもよい。要するに障壁344は、排出路343bの断面積を狭くして圧力損失を生じさせ、流入口3431bから排出口3432bへ、気体を流れ難くするものであればよい。