特許第6241327号(P6241327)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6241327印刷装置、印刷システム、及び、印刷装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6241327
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】印刷装置、印刷システム、及び、印刷装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/387 20060101AFI20171127BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20171127BHJP
   B41J 5/30 20060101ALI20171127BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   H04N1/387
   B41J29/38 Z
   B41J5/30 Z
   G06F3/12
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-45995(P2014-45995)
(22)【出願日】2014年3月10日
(65)【公開番号】特開2015-171063(P2015-171063A)
(43)【公開日】2015年9月28日
【審査請求日】2017年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116665
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 和昭
(74)【代理人】
【識別番号】100164633
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(72)【発明者】
【氏名】貴福 友晴
【審査官】 鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−112338(JP,A)
【文献】 特開2012−108569(JP,A)
【文献】 特開2009−141941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/387
B41J 2/01
B41J 5/30
B41J 29/38
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コマンドを受信する受信部と、
前記受信部により受信されたコマンドを解析する解析部と、
バーコードを印刷する印刷部と、
前記印刷部により印刷されるバーコードの印刷態様を調整する第1調整値を記憶する記憶部と、
前記解析部により解析されたコマンドが、前記印刷部により印刷されるバーコードの印刷態様を調整する第2調整値を指定するコマンドであった場合に、指定された前記第2調整値を取得する取得部と
前記解析部により解析されたコマンドがバーコードの印刷を指示するコマンドであった場合に、前記印刷部により、前記記憶部に記憶された前記第1調整値と前記取得部により取得された前記第2調整値とが反映された印刷態様でバーコードを印刷させる制御部と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記受信部により受信されたコマンドが蓄積される受信バッファーを備え、
前記解析部は前記受信バッファーに蓄積されたコマンドを順に解析し
記受信バッファーにバーコードの印刷を指示するコマンドと前記第2調整値を指定するコマンドとが蓄積されている場合に、前記取得部は前記第2調整値を取得し、前記制御部は前記第1調整値と、取得された前記第2調整値とが反映された印刷態様でバーコードを印刷させること、を特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
取得された前記第2調整値が前記第1調整値に対応付けられて前記記憶部に記憶され、
前記制御部は、前記解析部により解析されたコマンドがバーコードの印刷を指示するコマンドであった場合に、前記印刷部により、前記記憶部に記憶された前記第1調整値と、前記第1調整値に対応付けられた前記第2調整値とが反映された印刷態様でバーコードを印刷させること、を特徴とする請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記記憶部は、印刷媒体の種類に対応付けて前記第1調整値を記憶し、
前記取得部は、前記解析部により解析されたコマンドが前記印刷媒体の種類と付加調整値とを指定する場合に、前記第2調整値を取得して、指定された前記印刷媒体の種類に対応付けて前記記憶部に記憶させ、
前記制御部は、前記印刷部が印刷する印刷媒体の種類に対応付けて記憶された前記第1調整値および前記第2調整値が反映された印刷態様でバーコードを印刷させること、
を特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記第2調整値を指定するコマンドは、予め定義された範囲内の数値で前記第2調整値を示すパラメーターを伴うコマンドであること、を特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記記憶部に記憶される前記第1調整値、及び、コマンドにより指定される前記第2調整値は、前記印刷部が印刷するバーコードを構成するバーの幅の補正量を示す値であること、を特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項7】
印刷装置と印刷制御装置とを通信可能に接続した印刷システムであって、
前記印刷制御装置は前記印刷装置にコマンドを送信し、
前記印刷装置は、
前記印刷制御装置から送信されたコマンドを受信する受信部と、
前記受信部により受信されたコマンドを解析する解析部と、
バーコードを印刷する印刷部と、
前記印刷部により印刷されるバーコードの印刷態様を調整する第1調整値を記憶する記憶部と、
前記解析部により解析されたコマンドが、前記印刷部により印刷されるバーコードの印刷態様を調整する第2調整値を指定するコマンドであった場合に、指定された前記第2調整値を取得する取得部と
前記解析部により解析されたコマンドがバーコードの印刷を指示するコマンドであった場合に、前記印刷部により、前記記憶部に記憶された前記第1調整値と前記取得部により取得された前記第2調整値とが反映された印刷態様でバーコードを印刷させる制御部と、
を備えることを特徴とする印刷システム。
【請求項8】
コマンドを受信し、
受信したコマンドを解析し、
解析したコマンドが第2調整値を指定するコマンドであった場合に、指定された前記第2調整値を取得し、
解析したコマンドがバーコードの印刷を指示するコマンドであった場合に、予め記憶されているバーコードの印刷態様を調整する第1調整値と、コマンドから取得した前記第2調整値とが反映された印刷態様でバーコードを印刷すること、
を特徴とする印刷装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、印刷システム、及び、印刷装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バーコードを印刷する印刷装置が知られている。バーコードは有色のバーと空白のスペースを並べて構成され、JANコード、EAN、UPCコード、ITFコード、CODE39、CODE128、NW−7等の各種の規格が策定されている。バー及びスペースの幅は各規格により定められていて、バーコードを読み取る装置は、規格に定められた幅のバーとスペースを認識する。ところが、例えばインクジェット式の印刷装置でバーコードを印刷する場合、インクの滲みや、インクが印刷面に着弾する位置のずれ等が原因で、バーの幅が太くなってしまうことがある。バーの幅が規格を逸脱してしまうと、読み取りが困難になる可能性がある。そこで、バーコードを印刷する際に、印刷する印刷媒体によってバーコードの印刷の仕方を変更する手法が提案された(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1の装置は、予め記憶する補正テーブルに従って、印刷媒体の種類によってバーコードのバーとスペースのドット構成等を変更する。また、特許文献2の印刷システムは、用紙の種別に応じてバーコードのバー幅を補正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−47169号公報
【特許文献2】特開2009−193428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、印刷媒体の種類は多いので、ユーザーが使用する印刷媒体の特性が、印刷装置の製造事業者が想定した印刷媒体と違っていることもある。この場合、印刷装置のバーコードの印刷態様を調整する必要があり、印刷装置を操作するユーザーの作業負担が増すという問題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、バーコードの印刷態様を容易に調整できる印刷装置、印刷システム、及び、印刷装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、コマンドを受信する受信部と、前記受信部により受信されたコマンドを解析する解析部と、バーコードを印刷する印刷部と、前記印刷部により印刷されるバーコードの印刷態様を調整する第1調整値を記憶する記憶部と、前記解析部により解析されたコマンドが、前記印刷部により印刷されるバーコードの印刷態様を調整する第2調整値を指定するコマンドであった場合に、指定された前記第2調整値を取得する取得部と、前記解析部により解析されたコマンドがバーコードの印刷を指示するコマンドであった場合に、前記印刷部により、前記記憶部に記憶された前記第1調整値と前記取得部により取得された前記第2調整値と反映された印刷態様でバーコードを印刷させる印刷制御部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、印刷装置に対してコマンドを送信することにより、予め印刷装置が記憶する固定値と、コマンドにより指定される付加調整値とを反映した印刷態様でバーコードを印刷させることができる。このため、固定値に加えて付加調整値による調整を要する場合であっても、コマンドで付加調整値を指定するだけで、所望の印刷態様でバーコードを印刷させることができる。従って、バーコードの印刷態様を容易に調整でき、印刷装置が記憶する固定値が印刷媒体に適する場合、及び、適していない場合のいずれであっても、バーコードを良好な印刷態様で印刷できる。
【0006】
本発明は、上記印刷装置において、前記受信部により受信されたコマンド蓄積される受信バッファーを備え、前記解析部は前記受信バッファーに蓄積されたコマンドを順に解析し、前記受信バッファーにバーコードの印刷を指示するコマンドと前記第2調整値を指定するコマンドとが蓄積されている場合に、前記取得部前記第2調整値を取得、前記制御部は、前記第1調整値と、取得された前記第2調整値とが反映された印刷態様でバーコード刷させること、を特徴とする。
本発明によれば、印刷装置に対し付加調整値を指定するコマンドとバーコードの印刷を指示するコマンドとを送信すると、コマンドで指定した付加調整値を反映した印刷態様でバーコードが印刷される。このため、バーコードの印刷を指示するコマンドを送信する前に、予め付加調整値を指定するコマンドを送信しておく必要がない。従って、付加調整値を指定する場合の操作がより簡単になる。
【0007】
本発明は、上記印刷装置において、取得された前記第2調整値が前記第1調整値に対応付けられて前記記憶部に記憶され、前記制御部は、前記解析部により解析されたコマンドがバーコードの印刷を指示するコマンドであった場合に、前記印刷部により、前記記憶部に記憶された前記第1調整値と、前記第1調整値に対応付けられた前記第2調整値と反映された印刷態様でバーコードを印刷させること、を特徴とする。
本発明によれば、印刷装置に対してコマンドを利用して付加調整値を指定した場合に、印刷装置が付加調整値を記憶し、この付加調整値を反映した印刷態様でバーコードを印刷する。このため、付加調整値を変更する必要のない場合には、印刷を指示するだけで付加調整値を反映して印刷させることができ、作業負担を軽減できる。
【0008】
本発明は、上記印刷装置において、前記記憶部は、印刷媒体の種類に対応付けて前記第1調整値を記憶し、前記取得部は、前記解析部により解析されたコマンドが前記印刷媒体の種類と付加調整値とを指定する場合に、前記第2調整値を取得して、指定された前記印刷媒体の種類に対応付けて前記記憶部に記憶させ、前記制御部は、前記印刷部が印刷する印刷媒体の種類に対応づけて記憶された前記第1調整値および前記第2調整値反映された印刷態様でバーコードを印刷させること、を特徴とする。
本発明によれば、印刷装置が、印刷媒体の種類に対応付けて固定値を記憶し、コマンドによって印刷媒体と付加調整値とを指定することで、付加調整値を印刷媒体の種類に対応付けて記憶させることができる。これにより、印刷装置に対して印刷媒体の種類を指定して印刷を指示すれば、印刷媒体の種類に適した固定値と付加調整とを反映した印刷態様でバーコードを印刷できる。
【0009】
本発明は、上記印刷装置において、前記第2調整値を指定するコマンドは、予め定義された範囲内の数値で前記第2調整値を示すパラメーターを伴うコマンドであること、を特徴とする。
本発明によれば、付加調整値を数値で指定することができる。
また、本発明は、上記印刷装置において、前記記憶部に記憶される前記第1調整値、及び、コマンドにより指定される前記第2調整値は、前記印刷部が印刷するバーコードを構成するバーの幅の補正量を示す値であること、を特徴とする。
本発明によれば、バーコードを印刷する場合のバー幅を、固定値及び付加調整値により補正して、好適な印刷結果を得ることができる。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の印刷システムは、印刷装置と印刷制御装置とを通信可能に接続した印刷システムであって、前記印刷制御装置は前記印刷装置にコマンドを送信し、前記印刷装置は、前記印刷制御装置から送信されたコマンドを受信する受信部と、前記受信部により受信されたコマンドを解析する解析部と、バーコードを印刷する印刷部と、前記印刷部により印刷されるバーコードの印刷態様を調整する第1調整値を記憶する記憶部と、前記解析部により解析されたコマンドが、前記印刷部により印刷されるバーコードの印刷態様を調整する第2調整値を指定するコマンドであった場合に、指定された前記第2調整値を取得する取得部と、前記解析部により解析されたコマンドがバーコードの印刷を指示するコマンドであった場合に、前記印刷部により、前記記憶部に記憶された前記第1調整値と前記取得部により取得された前記第2調整値と反映された印刷態様でバーコードを印刷させる制御部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、印刷制御装置から印刷装置にコマンドを送信することにより、印刷装置が記憶する固定値と、コマンドにより指定された付加調整値とを反映した印刷態様でバーコードが印刷される。このため、固定値に加えて付加調整値による調整を要する場合であっても、コマンドで付加調整値を指定するだけで、所望の印刷態様でバーコードを印刷させることができる。従って、バーコードの印刷態様を容易に調整でき、印刷装置が記憶する固定値が印刷媒体に適している場合、及び、適していない場合のいずれであっても、バーコードを良好な印刷態様で印刷できる。
【0011】
また、上記目的を達成するために、本発明の印刷装置の制御方法は、コマンドを受信し、受信したコマンドを解析し、解析したコマンドが第2調整値を指定するコマンドであった場合に、指定された第2調整値を取得し、解析したコマンドがバーコードの印刷を指示するコマンドであった場合に、予め記憶されているバーコードの印刷態様を調整する第1調整値と、コマンドから取得した前記第2調整値と反映された印刷態様でバーコードを印刷すること、を特徴とする。
本発明によれば、印刷装置にコマンドを送信することにより、印刷装置が記憶する固定値と、コマンドにより指定される付加調整値とを反映した印刷態様でバーコードが印刷される。このため、固定値に加えて付加調整値による調整を要する場合であっても、コマンドで付加調整値を指定するだけで、所望の印刷態様でバーコードを印刷させることができる。従って、バーコードの印刷態様を容易に調整でき、印刷装置が記憶する固定値が印刷媒体に適している場合、及び、適していない場合のいずれであっても、バーコードを良好な印刷態様で印刷できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、バーコードの印刷態様を容易に調整でき、バーコードを良好な印刷態様で印刷できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る印刷システムの機能ブロック図である。
図2】第1の実施形態における印刷システムの動作を示すフローチャートである。
図3】第1の実施形態における印刷システムの動作を示すフローチャートである。
図4】第2の実施形態においてプリンター記憶部に記憶される固定値及びユーザー補正値の構成例を示す図である。
図5】第2の実施形態における印刷システムの動作を示すフローチャートである。
図6】第2の実施形態における印刷システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施形態]
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る印刷システム8の機能ブロック図である。
印刷システム8は、プリンター5(印刷装置)と、プリンター5を制御するホストコンピューター1(印刷制御装置)とを接続して構成される。
印刷システム8は、オペレーターの操作によりホストコンピューター1が印刷コマンド及び印刷データをプリンター5に出力し、プリンター5が、印刷コマンド及び印刷データに基づいて印刷媒体に印刷するシステムである。
【0015】
ホストコンピューター1は、ホストコンピューター1の各部を制御するホスト制御部45を備える。ホスト制御部45は、アプリケーション実行部45aと、プリンタードライバー実行部45bと、プリントモニター部45cと、を備える。
アプリケーション実行部45aは、文書作成プログラム、画像編集プログラム、POSアプリケーション、或いは、ラベル作成プログラム等のアプリケーション(プログラム)を実行する。アプリケーション実行部45aは、オペレーターの操作により印刷実行が指示された場合に、作成した文書や画像を印刷するためのデータを生成して出力する。プリンタードライバー実行部45bは、プリンター5を制御するためのデバイスドライバー(プログラム)を実行する。プリンタードライバー実行部45bは、プリンター5を制御するコマンドと、このコマンドに関連するデータとを生成して出力することにより、プリンター5の動作を制御する。例えば、プリンタードライバー実行部45bは、アプリケーション実行部45aが出力するデータをもとに、プリンター5に対して印刷を指示する印刷コマンドと印刷データを生成する。なお、プリンタードライバー実行部45bが実行するデバイスドライバーは、プリンター5に最適化されたプログラムに限らず、汎用のデバイスドライバーであってもよい。また、他の機種のプリンター向けのデバイスドライバーであってもよい。この場合、プリンター5は、他の機種のプリンターに対応したプリンタードライバー実行部45bが出力するコマンドやデータを、処理可能な構成であればよい。
【0016】
プリントモニター部45cは、プリンター5をモニターするモニタープログラムを実行する。プリントモニター部45cは、プリンター5の動作状態を検出し、プリンタードライバー実行部45bが生成するコマンドの送信制御、及び、プリンター5に送信したコマンドの応答を監視する制御を行う。
具体的には、プリントモニター部45cはプリンタードライバー実行部45bが出力するコマンドを順次取得して、プリンター5に送信する。また、プリントモニター部45cは、複数のコマンドをプリンター5に送信する場合、所定の順序でプリンター5にコマンドを実行させるために、コマンドの送信順序や送信タイミングを調整する。この場合、プリントモニター部45cは、例えばプリンター5にコマンドを送信し、このコマンドに対する応答を受信してから、次のコマンドを送信する等の制御を行う。
また、プリントモニター部45cは、アプリケーション実行部45aがコマンドを出力した場合には、このコマンドを取得して、プリンタードライバー実行部45bが出力するコマンドと同様に、送信制御を行う。
さらに、プリントモニター部45cは、アプリケーション実行部45aまたはプリンタードライバー実行部45bが生成したコマンドをプリンター5に送信し、プリンター5から応答を受信した場合、受信したコマンドを、もとのコマンドの生成元に返す。このため、アプリケーション実行部45a及びプリンタードライバー実行部45bは、生成したコマンドに対する応答を取得できる。
プリントモニター部45cは、一般に、LM(Language Monitor)やポートモニターと呼ばれるプログラムモジュールを実行し、上記の制御を行う。プリントモニター部45cは、ホストコンピューター1のオペレーティングシステムまたはプリンタードライバー実行部45bの一部を構成するモジュールであってもよい。
【0017】
ホストコンピューター1は、各種情報を表示するホスト表示部46、接続された入力デバイスに対する操作を検出するホスト入力部47、各種データを記憶するホスト記憶部48、及びプリンター5に接続される通信インターフェース(I/F)49を備える。ホスト表示部46及びホスト入力部47はオペレーターの操作に供される。ホスト記憶部48は、ホスト制御部45が実行する制御プログラム、アプリケーションプログラム、デバイスドライバープログラム等の各種のプログラム、及び、これらのプログラムに関するデータ等を不揮発的に記憶する。
【0018】
本実施形態では、ホストコンピューター1が、バーコードを含むラベルの印刷を指示する印刷コマンド及び印刷データを送信する場合を例として示す。この場合、アプリケーション実行部45aによりバーコードを含む画像の印刷が指示され、プリンタードライバー実行部45bが、バーコードを含む印刷データと印刷を指示する印刷コマンドを生成する。アプリケーション実行部45aが生成するバーコードのデータは、例えば、JANコード、EAN、UPCコード、ITFコード、CODE39、CODE128、NW−7等の規格に準じたバーコードとしてもよく、独自のバーコードであってもよい。これらのバーコードは、バーコードフォントを利用して印刷される。従って、プリンタードライバー実行部45bは、バーコードフォントを指定するデータと文字コードとを含むバーコードの印刷データを出力する。
また、ホストコンピューター1は、バーコードの印刷態様を指定するコマンドを送信できる。本実施形態では、プリンタードライバー実行部45bの機能により、バーコードのバーの幅を調整するパラメーターを指定する場合を例に挙げる。コマンドの詳細については後述する。
【0019】
本実施形態のプリンター5は、一例として、インクジェット式のプリンターを示す。プリンター5は、インクを吐出するノズルを有するラインインクジェットヘッド12(印刷部)を備える。ラインインクジェットヘッド12は、搬送方向に直交する方向において印刷範囲全体にわたって、ノズルが列をなして配置されたラインヘッドである。ラインインクジェットヘッド12は、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、及びブラック(K)の4色の色毎にノズル列を有し、フルカラーで印刷媒体に印刷を行うことができる。また、ラインインクジェットヘッド12が、さらに多色のインクを使用する構成であってもよいし、2色またはモノクロのインクを使用する構成であってもよい。
【0020】
プリンター5で使用する印刷媒体は、所定サイズにカットされたカットシートまたは連続シートであり、これらのシートは紙または合成樹脂製であって、表面加工が施されていてもよい。連続シートは、例えばロール紙やファンフォールド紙である。本実施形態では、プリンター5が、裏面に粘着剤が付された定型サイズのラベルを、剥離紙(台紙)に並べてロール状に巻いたラベル用紙、及び、ロール紙を用いる例を説明する。
プリンター5で使用されるラベル用紙及びロール紙には複数の種類がある。例えば、普通紙、ファイン紙、普通紙ラベル、ファイン紙ラベル、合成紙ラベル、及び光沢紙ラベルが挙げられる。普通紙及び普通紙ラベルは印刷面が普通紙であり、ファイン紙及びファイン紙ラベルはインクの吸収能および定着性に優れたファイン紙となっている。合成紙ラベルは合成樹脂性のシートを用いて構成されるラベル用紙である。光沢紙ラベルはインクの吸収能、定着性、及び発色性に優れ、インクを吸収した後も光沢を有する光沢紙を用いたラベル用紙である。
【0021】
プリンター5は、プリンター5の各部を制御するプリンター制御部27(印刷制御部、取得部)を備える。プリンター制御部27は、図示しない演算実行部としてのCPU、及び、ROM、RAM等を備える。プリンター制御部27のROMには、CPUによって実行可能なファームウェア、ファームウェアに係るデータ等が不揮発的に記憶される。また、RAMにはCPUが実行するファームウェアに係るデータ等が一時的に記憶される。プリンター制御部27は、その他の周辺回路等を備えていてもよい。
【0022】
プリンター制御部27には、上述したラインインクジェットヘッド12の他、モーター36、プリンター表示部39、プリンター入力部40、通信インターフェース(I/F)41、ブラックマークセンサー42、及び、プリンター記憶部50の各部が接続される。
プリンター表示部39は、プリンター制御部27の制御によりプリンター5の動作状態等を表示するLEDインジケーターや液晶表示パネルを備える。プリンター入力部40は、各種スイッチを備え、これらスイッチの操作に応じた信号をプリンター制御部27に出力する。通信インターフェース41は、ホストコンピューター1に接続される。ブラックマークセンサー42は、プリンター5の内部で印刷媒体(ラベル用紙及びロール紙)が搬送される搬送経路上に設けられ、印刷媒体に付された位置合わせ用のブラックマーク(図示略)を検出する光センサーである。通信インターフェース41(インターフェイス)は、プリンター制御部27の制御の下、ホストコンピューター1との間で所定のプロトコルに準拠した通信を行う。
【0023】
モーター36は、プリンター制御部27の制御に従って搬送ローラー(図示略)を回転させて、ラベル用紙14を搬送する。モーター36は、例えばステッピングモーターにより構成され、プリンター制御部27によってモーター36の回転量及び回転方向を制御できる。モーター36を、ラインインクジェットヘッド12とともに印刷部に含めることもできる。ブラックマークセンサー42は、ラベル用紙14の搬送中にブラックマークの検出を行い、検出値をプリンター制御部27に出力する。
【0024】
プリンター制御部27は、機能を実行する実行部として、コマンド受信部27a(受信部)、コマンド解析部27b(解析部)、印刷制御部27c、及び画像処理部27d(取得部)を備える。これらの実行部は、CPUがファームウェア(プログラム)を実行した場合に実現される機能に相当する。また、プリンター制御部27を構成するRAM(図示略)の記憶領域に、受信バッファー27e及びプリントバッファー27fが設けられる。受信バッファー27e及びプリントバッファー27fのいずれか、または両方を、プリンター記憶部50に設けることも、プリンター制御部27に外部接続されるRAMに設けることも可能である。
プリンター記憶部50(記憶部、調整値記憶部)は、EEPROMやフラッシュメモリー等の半導体記憶素子、或いは、ハードディスク等の記憶媒体を備え、各種データを書き換え可能に不揮発的に記憶する。プリンター記憶部50は、プリンター制御部27が実行するプログラム、プリンター制御部27が処理するフォントデータ等の各種データを記憶する。
【0025】
コマンド受信部27aは、ホストコンピューター1から送信されたコマンド及びデータを、通信インターフェース41を介して受信し、受信バッファー27eに記憶させる。受信バッファー27eには、コマンド受信部27aが受信したコマンド及びデータが受信順に蓄積される。コマンド解析部27bは、受信バッファー27eに蓄積されたコマンド及びデータを受信バッファー27eのアドレスに従って順に読み出し、解析する。受信バッファー27eにはコマンド及びデータが受信順に蓄積されるので、これらのコマンド及びデータは受信順に、コマンド解析部27bにより解析される。コマンド解析部27bは、解析したコマンドまたはデータが、印刷制御部27cにより実行すべきコマンドまたは印刷制御部27cで処理されるデータの場合、印刷制御部27cにコマンドまたはデータを渡す。コマンド解析部27bは、解析したコマンドまたはデータが、画像処理部27dにより実行すべきコマンドまたは画像処理部27dで処理されるデータの場合、画像処理部27dにコマンドまたはデータを渡す。
【0026】
印刷制御部27cは、コマンド解析部27bから渡されるコマンドを実行し、データを処理する。具体的には、印刷制御部27cは、印刷コマンドに従って印刷動作を実行し、印刷データに基づく文字や画像を印刷する。印刷動作において、印刷制御部27cは、モーター36を制御してラベル用紙14を搬送させるとともに、ラインインクジェットヘッド12を駆動してインクを吐出させる。
印刷制御部27cは、ホストコンピューター1から入力された印刷データを処理する際に画像処理部27dを呼び出す。画像処理部27dは、印刷データをプリントバッファー27fにラスターデータとして展開する。プリントバッファー27fは、ラインインクジェットヘッド12の印刷解像度、及び、プリンター5の印刷可能領域のサイズに合わせて形成された記憶領域である。
【0027】
また、画像処理部27dは、コマンド解析部27bから渡されるコマンドを実行し、データを処理する。例えば、画像処理部27dは、コマンド解析部27bから渡されるコマンドが、画像処理に係る設定値を示すパラメーターを伴う場合に、このパラメーターを取得して設定値を設定または変更する。
【0028】
本実施形態では、ホストコンピューター1から、バーコードフォントを指定するデータ及び文字コードを含む印刷データが出力される。画像処理部27dは、プリンター記憶部50に記憶されたフォントデータを読み出して、プリントバッファー27fにバーコードの画像データを展開する。
印刷制御部27cは、プリントバッファー27fに展開された画像を、ラインインクジェットヘッド12により印刷させる。プリントバッファー27fに展開される画像データは、プリンター5の印刷可能領域をカバーする所定画素数(所定ドット数)の画素(ドット)について、画素毎に印刷色のデータを設定したラスター画像データである。印刷制御部27cは、プリントバッファー27fに展開された画像データの画素毎の色情報を、予め設定されたLUTに従って、ラインインクジェットヘッド12が吐出するインク色毎のインク量に変換する。その後、印刷制御部27cは、変換後のインク量に基づき、ラインインクジェットヘッド12がインク滴を吐出して形成するドットの位置及びサイズを、インクの色毎に決定し、印刷を実行する。
【0029】
また、画像処理部27dは、プリントバッファー27fに展開したバーコードの画像データを調整する機能を有する。
上述のように、プリンター5で使用される印刷媒体は、例えば、普通紙、ファイン紙、普通紙ラベル、ファイン紙ラベル、合成紙ラベル、及び光沢紙ラベルである。これらは印刷面の表面状態が異なっており、特に、インクの滲みの発生状態が異なる。例えば、ファイン紙はインク吸収能に優れるため滲みを生じにくく、普通紙や合成紙ラベルはインク吸収能が高くないため、滲みやすい。このため、プリントバッファー27fに展開されたバーコードの画像データを印刷した場合、印刷媒体の種類によって大きな滲みが発生することがある。滲みによりバーコードの黒部分(バー)の幅が増して、規格で定められたバー幅を超えたり、バー幅の増大によりスペースが縮小したりすると、印刷されたバーコードは規格から逸脱したバーコードになる。このようなバーコードは、バーコードを読み取る装置が正常に読み取れない可能性がある。
さらに、ラインインクジェットヘッド12の特性には希に個体差を生じることがあり、印刷媒体に印刷されるバーの一部に、小さなサイズの差が発生することがある。この場合、バー幅の小さな差異を生じるため、例えば、滲みを生じやすい印刷媒体を使用した場合にバー幅が規格を超える可能性がある。
そこで、プリンター5では、画像処理部27dが、プリントバッファー27fに展開するバーコードの画像に対して調整を行う。具体的には、プリンター記憶部50に記憶された固定値50a及びユーザー補正値50b(付加調整値)に従って、バーコードを構成するバーの幅を調整し、規格から逸脱しない、好適な印刷態様でバーコードを印刷する。
【0030】
固定値50aは、プリンター5の工場出荷時、ファームウェアの書き込みの際、或いはファームウェアアップデートの際に、プリンター記憶部50に記憶される。固定値50aは、プリンター5が印刷する印刷媒体の種類が特に限定されている場合に、その印刷媒体の種類に適した印刷態様を実現するための値である。また、プリンター5のラインインクジェットヘッド12の特性等に起因する個体差を解消し、規格に適合するバーコードを安定して印刷するために、固定値50aを定めてもよい。
ユーザー補正値50bは、固定値50aにより調整されたバーコードのバー幅を、さらに調整させる値である。ユーザー補正値50bは、ホストコンピューター1からプリンター5にコマンドを送信することで、設定できる。例えば、ユーザーがプリンター5で使用する印刷媒体の種類に合わせてバー幅を調整するため、ユーザー補正値50bを設定する。
【0031】
固定値50a及びユーザー補正値50bは、例えば、バー幅をドット単位で小さく(細く)、或いは大きく(太く)する補正量である。この例では、補正量が「−2」である場合、画像処理部27dはプリントバッファー27fに展開するバーコードの画像に対し、バー幅を2ドット分細くする調整を行う。正の値の補正量はバー幅を太くし、負の値の補正量はバー幅を細くする調整を指示する。
画像処理部27dは、固定値50aとユーザー補正値50bの両方がプリンター記憶部50に記憶されている場合、固定値50aとユーザー補正値50bの両方を反映した印刷態様となるように、調整を行う。例えば、固定値50aが「−2」、ユーザー補正値50bが「−1」の場合、画像処理部27dは、(−2)と(−1)の和である(−3)を補正量とし、バー幅を3ドット分細くする調整を行う。
【0032】
ユーザー補正値50bを設定するコマンドについて詳細に説明する。
本実施形態では、印刷システム8で使用されるコマンドは、<プレフィックス文字>、<コマンド識別子>、及び<パラメーター>で構成される。
プレフィックス文字は、例えば1文字のASCIIコードからなり、コマンドの分類を示す。印刷システム8では、フォーマットコマンドとコントロールコマンドの2種類のコマンドを使用できる。フォーマットコマンドは、プリンター5が印刷する印刷態様や印刷動作を指示するコマンドである。コントロールコマンドは、プリンター5の制御に関するコマンドである。ここでは、コントロールコマンドのプレフィックス文字を半角の「/」、コントロールコマンドのプレフィックス文字を半角の「*」とする。
【0033】
コマンド識別子は、コマンドの種類を示し、例えば1〜3文字のASCIIコードで構成される。パラメーターは、コマンドの機能を制御する値であり、例えば1文字以上のASCIIコードで値を指定する。パラメーターはコマンドの種類に対応して、数値を用いる場合、文字を用いる場合、文字と数値の両方を用いる場合がある。また、数値パラメーターについては、コマンドの種類に対応付けて上限と下限が決まっている。パラメーターの値が上限を超える場合、コマンド解析部27bは、上限値が指定されたとみなし、パラメーターの値が下限より小さい場合は、下限値が指定されたとみなす。また、パラメーターが省略された場合、コマンド解析部27bはデフォルトのパラメーターが指定されたとみなす。
【0034】
印刷システム8においてユーザー補正値50bを指定するコマンドは、フォーマットコマンドとコントロールコマンドの両方で定義される。フォーマットコマンドを下記式(1)で示し、コントロールコマンドを下記式(2)で示す。
/FDCX(パラメーター) …(1)
*HDCX(パラメーター) …(2)
パラメーターは、ユーザー補正値50bに相当する、例えば+3〜−3の数値である。
【0035】
フォーマットコマンドは構文が定められており、先頭にラベルフォーマット開始の符号を有し、終端にラベルフォーマット終了を示す符号を有するコマンド群の形態で記述できる。このコマンド群は先頭の符号と終端の符号の間に、<プレフィックス文字>、<コマンド識別子>、及び<パラメーター>を含むコマンドを、複数配置できる。この構文に従い、複数のコマンドをホストコンピューター1からプリンター5に送信できる。
例えば、バーコードの印刷範囲(フィールド)の先頭位置を指定するコマンドと、バーコードを指定するコマンドと、印刷範囲の終端を指定するコマンドとが記述されると、プリンター5はコマンドを解析してバーコードを印刷する。さらに、上記先頭の符号と終端の符号の間に、ユーザー補正値50bを指定するコマンド「/FDCX(パラメーター)」を記述できる。この場合、コマンド解析部27bは、コマンドで指定されたユーザー補正値50bをプリンター記憶部50に記憶させ、このユーザー補正値50bを利用して印刷制御部27cによりバーコードを印刷させる。
また、コマンド受信部27aは、フォーマットコマンドを受信した場合に、上記先頭の符号と終端の符号の間に記述されたコマンド群のコマンドを、記述順に受信して受信バッファー27eに記憶させる。このため、上記先頭の符号と終端の符号の間に記述されたコマンドは、コマンド解析部27bにより、コマンド群で記述された順に解析される。
【0036】
ラベルフォーマット開始の符号とラベルフォーマット終了の符号との間に配置されるコマンド群において、フォーマットコマンドの順序は特に制限されないが、コマンドに適した実行順に合わせて配置することが好ましい。例えば、コマンド群が印刷指示に関するコマンドと印刷形態を設定するコマンドとを含む場合は、コマンドの配置順序により、印刷形態を設定するコマンドの設定内容を印刷に反映させるかどうかが決定される。フォーマットコマンドはコマンド群の記述順に受信バッファー27eに蓄積され、蓄積された順にコマンド解析部27bにより解析され実行される。例えば、印刷形態を設定するコマンドが先に配置され、印刷指示に関するコマンドが後に配置されている場合、プリンター5は、印刷形態の設定を実行してから印刷を行う。つまり、1つのコマンド群に含まれるコマンドにより設定が行われ、この設定に従って印刷が実行される。一方、印刷指示に関するコマンドが先に配置された場合、印刷が実行されてから設定が行われる。この場合は、設定内容を反映しないで印刷が実行される。
プリンタードライバー実行部45b及びプリントモニター部45cは、印刷指示に関するコマンドと印刷形態を設定するコマンドとを含むコマンド群を生成する場合に、予め設定されたコマンドの順序に従ってコマンドを配置する。本実施形態では、印刷形態を設定するコマンドを先に、印刷指示に関するコマンドを後に配置する。
【0037】
コントロールコマンドでは構文の定義がなく、コマンドが単独でホストコンピューター1からプリンター5に送信される。ユーザー補正値50bを指定する場合、ホストコンピューター1から「*HDCX(パラメーター)」が単独でプリンター5に送信される。この場合、コマンド受信部27aは1つのコマンドを受信バッファー27eに記憶させ、コマンド解析部27bが1つのコマンドを解析して実行する。コマンド解析部27bは、「*HDCX(パラメーター)」コマンドを検出すると、このコマンドのパラメーターをユーザー補正値50bとしてプリンター記憶部50に記憶させる。このユーザー補正値50bは、その後に受信されるパラメーターで更新されるまでの間は、画像処理部27dがバーコードのバー幅を調整する際に参照される。
このように、印刷システム8では、フォーマットコマンドを用いることで印刷を指示するコマンドとともにユーザー補正値50bを指定することができる。そして、コントロールコマンドによって、印刷をさせるタイミングの制約を受けることなく、任意のタイミングでユーザー補正値50bを設定できる。
【0038】
図2は、ユーザー補正値の設定に係る印刷システム8の動作を示すフローチャートであり、(A)はホストコンピューター1の動作を示し、(B)はプリンター5の動作を示す。
ホストコンピューター1は、ホスト入力部47に接続された入力デバイスの操作に応じて、プリンタードライバー実行部45bの機能によりユーザー補正値を入力する画面を表示する(ステップSA1)。次いで、この画面に対する操作によりユーザー補正値が入力される(ステップSA2)。プリンタードライバー実行部45bは、入力されたユーザー補正値を設定するコマンドを生成して出力する(ステップSA3)。つまり、プリンタードライバー実行部45bは、ユーザー補正値50bを入力するためのユーザーインターフェイスを提供し、このユーザーインターフェイスを利用して入力された値を出力する。図2の動作ではユーザー補正値50bの設定のみを行うので、プリンタードライバー実行部45bは、ユーザー補正値50bを設定するコントロールコマンドを生成する。ホストコンピューター1のプリントモニター部45cは、プリンタードライバー実行部45bが出力するコマンドをプリンター5に送信する(ステップSA4)。
【0039】
コマンド受信部27aは、ホストコンピューター1が送信したコマンドを受信し、受信バッファー27eに記憶させる(ステップSB1)。その後、コマンド解析部27bは受信バッファー27eのコマンドを解析し(ステップSB2)、ユーザー補正値50bを設定するコマンドであると判定した場合に、コマンドを画像処理部27dに渡す。画像処理部27dは、コマンドにより指定されたユーザー補正値50bを取得し(ステップSB3)、プリンター記憶部50に記憶させる(ステップSB4)。プリンター記憶部50に既にユーザー補正値50bが記憶されている場合、画像処理部27dはユーザー補正値50bを上書き更新する。これにより、プリンター記憶部50に新たなユーザー補正値50bが設定される。
【0040】
設定の後、プリンター制御部27は、コマンドで指示された処理が完了したことを示す応答コマンドをホストコンピューター1に送信する(ステップSB5)。プリントモニター部45cは、プリンター5から送信された応答コマンドを受信する(ステップSA5)。この応答コマンドはプリンタードライバー実行部45bが生成した設定コマンドへの応答である。プリントモニター部45cは、プリンタードライバー実行部45bのコマンドに対する応答であることを識別して、プリンタードライバー実行部45bに設定が完了したことを通知してもよい。
【0041】
図3は、ユーザー補正値の設定に係る印刷システム8の動作を示すフローチャートであり、(A)はホストコンピューター1の動作を示し、(B)はプリンター5の動作を示す。なお、この図3に示す動作を、図2に示す動作と続けて実行することも勿論可能である。
アプリケーション実行部45aは、バーコードを含む画像を印刷するためのデータと印刷指示をプリンタードライバー実行部45bに出力する(ステップSA11)。プリンタードライバー実行部45bは、アプリケーション実行部45aから入力されたデータ及び印刷指示を取得する(ステップSA12)。ここで、プリンタードライバー実行部45bは、印刷とともにユーザー補正値50bの設定を指示するか否かを判定する(ステップSA13)。例えば、ホストコンピューター1で印刷が指示されるときにプリンタードライバー実行部45bのユーザーインターフェイスが表示される構成とすることができる。このユーザーインターフェイスでユーザー補正値の入力欄と、印刷実行を指示するボタン等が配置されていれば、印刷実行の指示とユーザー補正値50bの設定の指示とを一括して行うことができる。
印刷と合わせてユーザー補正値50bの設定を行う場合(ステップSA13;Yes)、プリンタードライバー実行部45bは、ユーザー補正値50bの設定コマンドと印刷指示に関するコマンドとをフォーマットコマンドで生成する(ステップSA14)。ここで生成される複数のコマンドは上述したコマンド群を構成する。一方、ユーザー補正値50bの設定をしない場合(ステップSA13;No)、プリンタードライバー実行部45bは、印刷指示に関するコマンドを生成する(ステップSA15)。印刷指示に関するコマンドは、例えば、上述したバーコードの印刷範囲の位置を指定するコマンド、バーコードを指定するコマンド、印刷範囲の終端を指定するコマンド等を含むフォーマットコマンドである。
プリンタードライバー実行部45bは、ステップSA14,SA15で生成したコマンドをプリントモニター部45cに出力し、プリントモニター部45cはコマンドをプリンター5に送信する(ステップSA16)。
【0042】
コマンド受信部27aはホストコンピューター1が送信したコマンドを受信し、受信バッファー27eに記憶させる(ステップSB11)。ホストコンピューター1が送信したコマンドが複数のフォーマットコマンドを含むコマンド群を構成する場合、コマンド受信部27aは、コマンド群に含まれる複数のコマンドを順に受信バッファー27eに記憶させる。コマンド解析部27bは、受信バッファー27eのコマンドを順に解析し(ステップSB12)、ユーザー補正値50bの設定コマンドがある場合には、コマンドを画像処理部27dに渡す。画像処理部27dは、コマンドにより指定されたユーザー補正値50bを取得し(ステップSB13)、プリンター記憶部50に記憶させる(ステップSB14)。なお、受信バッファー27eにユーザー補正値50bの設定コマンドがない場合はステップSB13、SB14をスキップする。
【0043】
コマンド解析部27bは、受信バッファー27eに印刷指示に関するコマンドがある場合には、コマンドを印刷制御部27cに渡す。印刷制御部27cは、印刷指示に関するコマンド及び印刷するバーコードのデータを取得する(ステップSB15)。次に、画像処理部27dは、取得されたコマンド及び印刷データに基づき、バーコードフォントを取得して、プリントバッファー27fにバーコードを含む画像データを展開する(ステップSB16)。
画像処理部27dは、プリンター記憶部50に記憶された固定値50a及びユーザー補正値50bを取得する(ステップSB17)。画像処理部27dは、プリントバッファー27fに展開したバーコードの画像に対し、固定値とユーザー補正値とに基づく補正を行う(ステップSB18)。
印刷制御部27cは、プリントバッファー27fに展開された画像データを、LUTに基づきラインインクジェットヘッド12のインク量に変換し、ラインインクジェットヘッド12及びモーター36を駆動して印刷する(ステップSB19)。
【0044】
印刷完了後、プリンター制御部27は印刷が完了したことを示す応答コマンドをホストコンピューター1に送信する(ステップSB20)。プリントモニター部45cは、プリンター5から送信された応答コマンドを受信する(ステップSA17)。この応答コマンドはアプリケーション実行部45a、または、アプリケーション実行部45aとプリンタードライバー実行部45bとが生成した設定コマンドへの応答である。プリントモニター部45cは、アプリケーション実行部45a及び/またはプリンタードライバー実行部45bに設定が完了したことを通知してもよい。
【0045】
以上説明したように、本実施形態に係るプリンター5は、バーコードを印刷するラインインクジェットヘッド12と、ラインインクジェットヘッド12のバーコードの印刷態様を調整する固定値を記憶するプリンター記憶部50と、を備える。また、プリンター5は、プリンター制御部27を有し、プリンター制御部27は、コマンド受信部27a、コマンド解析部27b、印刷制御部27c、及び画像処理部27dを備える。コマンド受信部27aはコマンドを受信し、コマンド解析部27bはコマンド受信部27aにより受信されたコマンドを解析する。画像処理部27dは、コマンド解析部27bにより解析されたコマンドがユーザー補正値50bを指定するコマンドであった場合に、指定されたユーザー補正値50bを取得して設定する。印刷制御部27cは、コマンド解析部27bにより解析されたコマンドがバーコードの印刷を指示するコマンドであった場合に、固定値50aとユーザー補正値50bとを反映した印刷態様でバーコードを印刷させる。
これにより、プリンター5に対してコマンドを送信することで、固定値50aとユーザー補正値50bとを反映した、所望の印刷態様でバーコードを印刷させることができる。従って、バーコードの印刷態様を容易に調整でき、プリンター5が記憶する固定値50aが印刷媒体に適する場合、及び、適していない場合のいずれであっても、バーコードを良好な印刷態様で印刷できる。
【0046】
また、プリンター5は、コマンド受信部27aにより受信されたコマンドを蓄積する受信バッファー27eを備える。コマンド解析部27bは受信バッファー27eに蓄積されたコマンドを順に解析する。バーコードの印刷に係るコマンドとユーザー補正値50bを指定するコマンドとが記憶されている場合、画像処理部27dにユーザー補正値50bを取得させ、印刷制御部27cにユーザー補正値50bを反映した印刷態様でバーコードの印刷を実行させる。これにより、予めユーザー補正値50bを指定するコマンドを送信しておかなくても、バーコードの印刷を指示するときにユーザー補正値50bを設定できる。従って、ユーザー補正値50bを指定する場合の操作がより簡単になる。
【0047】
また、プリンター5は、プリンター記憶部50に、画像処理部27dにより取得されたユーザー補正値50bを記憶する。印刷制御部27cは、ラインインクジェットヘッド12により、プリンター記憶部50に記憶された固定値50aとユーザー補正値50bとを反映した印刷態様でバーコードを印刷させる。このため、ユーザー補正値50bを変更する必要のない場合には、印刷を指示するだけでユーザー補正値50bを反映して印刷させることができ、作業負担を軽減できる。
【0048】
また、プリンター5において、ユーザー補正値50bを指定するコマンドは、予め定義された範囲内の数値でユーザー補正値50bを示すパラメーターを伴うコマンドであるから、ユーザー補正値50bを数値で指定することができる。
また、プリンター5において、固定値50a及びユーザー補正値50bは、ラインインクジェットヘッド12が印刷するバーコードを構成するバーの幅の補正量を示す値である。この場合、バーコードを印刷する場合のバー幅を、固定値及びユーザー補正値50bにより補正して、好適な印刷結果を得ることができる。
【0049】
[第2の実施形態]
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態における印刷システム8の構成は、図1に示した第1の実施形態の印刷システム8と同様であるため、機能ブロック図を省略する。
【0050】
第2の実施形態では、プリンター記憶部50に、テーブル形式の固定値テーブル50c及びユーザー補正値テーブル50dが記憶される。
図4は、プリンター記憶部50に記憶される固定値及びユーザー補正値の構成例を示す図である。図4(A)は固定値テーブル50cの構成例を示し、図4(B)はユーザー補正値テーブル50dの構成例を示す。
【0051】
上述したように、プリンター5で使用する印刷媒体であるラベル用紙及びロール紙には複数の種類がある。例えば、普通紙、ファイン紙、普通紙ラベル、ファイン紙ラベル、合成紙ラベル、及び光沢紙ラベルが挙げられる。固定値テーブル50cは、印刷媒体の種類ごとに、固定値が設定されたテーブルである。また、ユーザー補正値テーブル50dは、印刷媒体の種類ごとに、ユーザー補正値が設定されたテーブルである。
【0052】
固定値テーブル50cは、例えばプリンター5の工場出荷時、ファームウェアの書き込みの際、或いはファームウェアアップデートの際に、プリンター記憶部50に記憶される。
固定値テーブル50cにより固定値が定められるメディア種類は、プリンター5で使用可能な印刷媒体の種類に対応する。また、プリンター5で使用される全ての印刷媒体のうち、典型的な一部の印刷媒体の種類に対応して固定値が記憶されてもよい。
ホストコンピューター1では、プリンタードライバー実行部45bが実行するデバイスドライバーにより、印刷媒体の種類を設定できる。このプリンタードライバー実行部45bにおける印刷媒体の種類の設定項目と、固定値テーブル50cで固定値が設定されるメディア種類とが対応していると、好ましい。本実施形態では、印刷媒体の種類として普通紙/普通紙ラベル、ファイン紙/ファイン紙ラベル、合成紙ラベル、及び光沢紙ラベルの4つの種類が設定され、それぞれに対応して固定値が記憶されている。
【0053】
また、ユーザー補正値テーブル50dは、ホストコンピューター1においてプリンタードライバー実行部45bが表示するユーザーインターフェイスを利用して入力される。この場合、プリンタードライバー実行部45bが提供するユーザーインターフェイスには、例えば印刷媒体の種類、及び、印刷媒体に対応するユーザー補正値を入力する入力欄や選択ボタン等が配置される。
【0054】
固定値テーブル50cに設定される固定値、及びユーザー補正値テーブル50dに設定されるユーザー補正値は、バーコードのバーの幅をドット数単位で増減させる値である。これは上述した固定値50a、及びユーザー補正値50bと同様である。
画像処理部27dは、印刷制御部27cにより印刷が指示された場合に、プリントバッファー27fに展開したバーコードの画像を固定値テーブル50cに設定される固定値、及びユーザー補正値テーブル50dに設定されるユーザー補正値に従って補正する。ここで、画像処理部27dは、印刷する印刷媒体の種類を判定し、印刷媒体の種類に対応する固定値及びユーザー補正値を固定値テーブル50c及びユーザー補正値テーブル50dから取得する。そして、固定値とユーザー補正値との和に基づきバーコードの画像を補正する。これにより、印刷媒体の種類毎の特性に合わせて、事前にプリンター記憶部50に記憶された固定値とユーザー補正値とに基づき、バーコードの印刷態様を調整できる。
【0055】
図5は、ユーザー補正値の設定に係る印刷システム8の動作を示すフローチャートであり、(A)はホストコンピューター1の動作を示し、(B)はプリンター5の動作を示す。
ホストコンピューター1は、ホスト入力部47に接続された入力デバイスの操作に応じて、プリンタードライバー実行部45bの機能によりユーザー補正値を入力する画面を表示する(ステップSA21)。この画面に対する操作により、上述のように印刷媒体の種類が指定され、指定された印刷媒体に対応するユーザー補正値が入力される(ステップSA22)。プリンタードライバー実行部45bは、入力された印刷媒体の種類とユーザー補正値とを指定するコマンドを生成して出力する(ステップSA23)。ホストコンピューター1のプリントモニター部45cは、プリンタードライバー実行部45bが出力するコマンドをプリンター5に送信する(ステップSA24)。
【0056】
コマンド受信部27aは、ホストコンピューター1が送信したコマンドを受信し、受信バッファー27eに記憶させる(ステップSB21)。その後、コマンド解析部27bは受信バッファー27eのコマンドを解析し(ステップSB22)、ユーザー補正値50bを設定するコマンドであると判定した場合に、コマンドを画像処理部27dに渡す。画像処理部27dは、コマンドにより指定された印刷媒体の種類とユーザー補正値50bとを取得する(ステップSB23)。画像処理部27dは、取得したユーザー補正値を、印刷媒体の種類に対応付けてプリンター記憶部50に記憶されたユーザー補正値テーブル50dに設定する(ステップSB24)。ユーザー補正値テーブル50dに既にユーザー補正値50bが設定されている場合、画像処理部27dはユーザー補正値50bを上書き更新する。
【0057】
設定の後、プリンター制御部27は、コマンドで指示された処理が完了したことを示す応答コマンドをホストコンピューター1に送信する(ステップSB25)。プリントモニター部45cは、プリンター5から送信された応答コマンドを受信する(ステップSA25)。この応答コマンドはプリンタードライバー実行部45bが生成した設定コマンドへの応答である。プリントモニター部45cは、プリンタードライバー実行部45bのコマンドに対する応答であることを識別して、プリンタードライバー実行部45bに設定が完了したことを通知してもよい。
【0058】
なお、ステップSA22では、印刷媒体の種類を指定しなくてもよい。この場合、ステップSA23で生成されるコマンドのパラメーターには、印刷媒体の種類を指定するパラメーターが含まれない。プリンター5は、予め使用する印刷媒体の種類を設定できる。このため、ホストコンピューター1がコマンドによって印刷媒体の種類を指定しなくても、プリンター5は、使用中の印刷媒体の種類に対応するユーザー補正値として、取得したユーザー補正値をユーザー補正値テーブル50dに設定できる。
【0059】
図6は、ユーザー補正値の設定に係る印刷システム8の動作を示すフローチャートであり、(A)はホストコンピューター1の動作を示し、(B)はプリンター5の動作を示す。図6に示す動作を、図5に示す動作と続けて実行することも勿論可能である。
アプリケーション実行部45aは、バーコードを含む画像を印刷するためのデータと印刷指示をプリンタードライバー実行部45bに出力する(ステップSA31)。プリンタードライバー実行部45bは、アプリケーション実行部45aから入力されたデータ及び印刷指示を取得する(ステップSA32)。ここで、プリンタードライバー実行部45bは、印刷とともにユーザー補正値の設定を指示するか否かを判定する(ステップSA33)。例えば、ホストコンピューター1で印刷が指示されるときにプリンタードライバー実行部45bのユーザーインターフェイスが表示される構成とすることができる。このユーザーインターフェイスで印刷媒体の種類の指定、ユーザー補正値の入力、及び印刷実行の指示が可能であれば、印刷実行の指示とユーザー補正値の設定の指示とを一括して行うことができる。
【0060】
印刷と合わせてユーザー補正値の設定を行う場合(ステップSA33;Yes)、プリンタードライバー実行部45bは、ユーザー補正値の設定コマンドと印刷指示に関するコマンドとをフォーマットコマンドで生成する(ステップSA34)。ここで生成される複数のコマンドはコマンド群を構成する。一方、ユーザー補正値の設定をしない場合(ステップSA33;No)、プリンタードライバー実行部45bは、印刷指示に関するコマンドを生成する(ステップSA35)。印刷指示に関するコマンドは、例えば、上述したバーコードの印刷位置(フィールド)の位置を指定するコマンド、バーコードを指定するコマンド、印刷位置の終端を指定するコマンド等を含むフォーマットコマンドである。
ここで、ユーザー補正値を指定するコマンドには、印刷媒体の種類を指定するパラメーターを含めてもよいが、含めなくてもよい。印刷媒体の種類は、印刷実行の指示に係るコマンドに付加されるパラメーターで指定することができ、プリンター5において使用する印刷媒体の種類が既に設定されていることもある。つまり、図6の動作では、印刷媒体の種類をプリンタードライバー実行部45bで指定しなくても、プリンター5は対象の印刷媒体の種類を特定できる。
プリンタードライバー実行部45bは、ステップSA34,SA35で生成したコマンドをプリントモニター部45cに出力し、プリントモニター部45cはコマンドをプリンター5に送信する(ステップSA36)。
【0061】
コマンド受信部27aはホストコンピューター1が送信したコマンドを受信し、受信バッファー27eに記憶させる(ステップSB31)。ホストコンピューター1が送信したコマンドが複数のフォーマットコマンドを含むコマンド群を構成する場合、コマンド受信部27aは、コマンド群に含まれる複数のコマンドを順に受信バッファー27eに記憶させる。コマンド解析部27bは、受信バッファー27eのコマンドを順に解析し(ステップSB32)、ユーザー補正値の設定コマンドがある場合には、コマンドを画像処理部27dに渡す。画像処理部27dは、コマンドにより指定されたユーザー補正値を取得し(ステップSB33)、プリンター記憶部50に記憶させる(ステップSB34)。ステップSB33でユーザー補正値に対応する印刷媒体の種類を取得できた場合、画像処理部27dは、ステップSB34で、取得した印刷媒体の種類に対応付けてユーザー補正値テーブル50dにユーザー補正値を設定する。また、ステップS33でユーザー補正値に対応する印刷媒体の種類を取得できなかった場合、画像処理部27dは、ステップSB34で、印刷対象の印刷媒体の種類に対応付けてユーザー補正値テーブル50dにユーザー補正値を設定する。印刷対象の印刷媒体の種類は、印刷指示に関するコマンドで指定され、或いは、予めプリンター5に設定されている。例えば、プリンター5は、印刷媒体がセットされた後、セットされた印刷媒体の種類を自動的にまたは手動で設定できる構成としてよい。なお、受信バッファー27eにユーザー補正値の設定コマンドがない場合はステップSB33、SB34をスキップする。
【0062】
コマンド解析部27bは、受信バッファー27eに印刷指示に関するコマンドがある場合には、コマンドを印刷制御部27cに渡す。印刷制御部27cは、印刷指示に関するコマンド及び印刷するバーコードのデータを取得する(ステップSB35)。次に、画像処理部27dは、取得されたコマンド及び印刷データに基づき、バーコードフォントを取得して、プリントバッファー27fにバーコードを含む画像データを展開する(ステップSB36)。
画像処理部27dは、印刷する印刷媒体の種類に対応する固定値及びユーザー補正値をプリンター記憶部50から取得する(ステップSB37)。画像処理部27dは、プリントバッファー27fに展開したバーコードの画像に対し、固定値とユーザー補正値とに基づく補正を行う(ステップSB38)。
印刷制御部27cは、プリントバッファー27fに展開された画像データを、LUTに基づきラインインクジェットヘッド12のインク量に変換し、ラインインクジェットヘッド12及びモーター36を駆動して印刷する(ステップSB39)。
【0063】
印刷完了後、プリンター制御部27は印刷が完了したことを示す応答コマンドをホストコンピューター1に送信する(ステップSB40)。プリントモニター部45cは、プリンター5から送信された応答コマンドを受信する(ステップSA37)。この応答コマンドはアプリケーション実行部45a、または、アプリケーション実行部45aとプリンタードライバー実行部45bとが生成した設定コマンドへの応答である。プリントモニター部45cは、アプリケーション実行部45a及び/またはプリンタードライバー実行部45bに設定が完了したことを通知してもよい。
【0064】
このように、第2の実施形態によれば、プリンター記憶部50は、印刷媒体の種類に対応付けて固定値を設定した固定値テーブル50cを記憶する。コマンド解析部27bが解析したコマンドが印刷媒体の種類とユーザー補正値とを指定するコマンドである場合に、画像処理部27dは、印刷媒体の種類に対応付けてユーザー補正値を設定する。すなわち、画像処理部27dは、ユーザー補正値を取得して、指定された印刷媒体の種類に対応付けてユーザー補正値テーブル50dに設定する。画像処理部27dは、印刷する印刷媒体の種類に対応する固定値およびユーザー補正値をプリンター記憶部50から読み出して、読み出した固定値とユーザー補正値とを反映した印刷態様に調整する。そして、調整後のバーコードがラインインクジェットヘッド12によって印刷される。これにより、プリンター5に対して印刷媒体の種類を指定して印刷を指示すれば、印刷媒体の種類に適した固定値と付加調整とを反映した印刷態様でバーコードを印刷できる。
【0065】
なお、上述した各実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、上記の各実施形態では、バーコードのバーの幅をドット単位で変更させる固定値及びユーザー補正値を用いる例について説明した。本発明はこれに限定されず、例えば、バーコードのバーを印刷する際のインクの使用量、インクの着弾位置、インク滴のサイズ等を変更する値であってもよい。また、上記実施形態ではJANコード、EAN、UPCコード、ITFコード、CODE39、CODE128、NW−7等の規格に準じた、バーとスペースとからなる1次元のバーコードの印刷に係る例を挙げて説明した。本発明はこれに限定されず、例えば、QR(登録商標)コード等の二次元バーコードの印刷時に、本発明を適用することも可能である。この場合、有色の印刷部と白色または無色の空白部とを印刷により形成する際に、インクの滲みを考慮して、有色の印刷部の印刷サイズ等を調整する固定値及びユーザー補正値を用いることができる。
また、上記実施形態ではシアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの4色のインクを利用するインクジェット式プリンターを例に挙げて説明したが、ブラックインクのみを用いるプリンターやレッドとブラックの2色のインクを用いるプリンターにも適用できる。
また、図1に示す各機能ブロックはハードウェアとソフトウェアの協働により任意に実現可能であり、特定のハードウェア構成を示唆するものではない。また、ホストコンピューター1、プリンター5の各機能を、これら装置に外部接続される別の装置に持たせるようにしてもよい。また、ホストコンピューター1、プリンター5は、外部接続される記憶媒体に記憶させたプログラムを実行することにより、各種動作を実行してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…ホストコンピューター(印刷制御装置)、5…プリンター(印刷装置)、8…印刷システム、12…ラインインクジェットヘッド(印刷部)、14…ラベル用紙(印刷媒体)、27…プリンター制御部、27a…コマンド受信部(受信部)、27b…コマンド解析部(解析部)、27c…印刷制御部、27d…画像処理部(取得部)、27e…受信バッファー、27f…プリントバッファー、41…通信インターフェース、45…ホスト制御部、50…プリンター記憶部(記憶部、調整値記憶部)、50a…固定値、50b…ユーザー補正値(付加調整値)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6