(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、電流共振型DCDCコンバータ(以下、「DCDCコンバータ」ともいう)の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0019】
最初に、DCDCコンバータの一例としての
図1に示すDCDCコンバータ1の構成について説明する。このDCDCコンバータ1は、一例として、一対の入力端子2a,2b(以下、特に区別しないときには「入力端子2」ともいう)、一対の入力コンデンサ3a,3b、一対の第1スイッチ5,6(一対の1次側スイッチ)で構成されるスイッチング回路4、共振回路7、トランス8、4つの整流素子9,10,11,12で構成される交直変換回路13、出力コンデンサ14、一対の出力端子15a,15b(以下、特に区別しないときには「出力端子15」ともいう)、および制御回路16を備えている。
【0020】
これにより、DCDCコンバータ1は、スイッチング回路4の回路方式がハーフブリッジ方式のLLC共振コンバータに構成されて、入力端子2に入力される入力電圧(直流電圧)Viを出力電圧(直流電圧)Voに変換して出力端子15から出力する。
【0021】
一対の入力端子2a,2b間には、
図1に示すように、入力端子2bを基準として入力端子2a側がプラスとなる入力電圧Viが入力される。また、一対の入力コンデンサ3a,3bは、互いに直列接続されると共に、入力コンデンサ3aが入力端子2aに接続され、かつ入力コンデンサ3bが入力端子2bに接続された状態で一対の入力端子2a,2b間に接続されている。
【0022】
スイッチング回路4を構成する一対の第1スイッチ5,6は、互いに直列接続された状態で一対の入力端子2a,2b間に接続されている。本例では一例として、第1スイッチ5,6は、半導体スイッチ素子であるnチャネルのMOS型電界効果トランジスタ(寄生ダイオード5a,6aおよび寄生容量5b,6bをそれぞれ有する電界効果型トランジスタ)で構成されて、一方の第1スイッチ5(一方の1次側スイッチ)のドレイン端子が入力端子2aに接続され、第1スイッチ5のソース端子が他方の第1スイッチ6(他方の1次側スイッチ)のドレイン端子に接続され、かつ第1スイッチ6のソース端子が入力端子2bに接続されている。
【0023】
これにより、第1スイッチ5が高電位側の1次側スイッチとして構成され、第1スイッチ6が低電位側の1次側スイッチとして構成されている。また、第1スイッチ5,6は、制御回路16から出力される駆動信号Sa,Sbがそれぞれのゲート端子に入力されて、交互にオン・オフ駆動される。具体的には、第1スイッチ5,6は、駆動信号Sa,Sbに従い、互いのオン期間の間に一定の長さのデッドタイム期間が設けられた状態でオン・オフ駆動される。
【0024】
共振回路7は、一例として、直列接続された共振用コンデンサ7aおよび共振用インダクタ7bを備えている。また、共振回路7は、一端が一対の入力コンデンサ3a,3bの接続点Aに接続されると共に、他端がトランス8の後述する1次巻線8aの一端Wに接続されている。また、この共振回路7の共振用コンデンサ7aおよび共振用インダクタ7bの各値は、共振回路7によるトランス8の1次側での共振周波数を一対の第1スイッチ5,6のスイッチング周波数(駆動信号Sa,Sbの周波数)と一致させて、第1スイッチ5,6をゼロボルトスイッチングさせることができるように予め規定されている。
【0025】
なお、トランス8の後述する1次側漏れインダクタンスも、共振用インダクタ7bと同様にして共振用のインダクタとして機能する。このため、共振用インダクタ7bを1次側漏れインダクタンスL1と併用する構成を採用することもできるし、共振用インダクタ7bを省いて、1次側漏れインダクタンスL1のみで共振用のインダクタを構成することもできる。また、本例の各入力コンデンサ3a,3bも、共振用コンデンサ7aと同様にして共振用のコンデンサとして機能する。このため、共振用コンデンサ7aを各入力コンデンサ3a,3bと併用する構成を採用することもできるし、共振用コンデンサ7aを省いて、各入力コンデンサ3a,3bのみで共振用のコンデンサを構成することもできる。
【0026】
トランス8は、
図1に示すように、互いに電気的に絶縁された1次巻線8aおよび2次巻線8bを有している。また、同図中の●印は、1次巻線8aおよび2次巻線8bの極性を示している。また、トランス8の1次巻線8aは、一端Wが上記したように共振回路7に接続され、他端Xが一対の第1スイッチ5,6の接続点Bに接続されている。また、トランス8は、第1スイッチ5,6のスイッチングに伴い(第1スイッチ5,6が交互にオン・オフ駆動されるのに伴い)、1次巻線8aから2次巻線8bに交流電圧Vacを誘起させる。
【0027】
また、トランス8は、同図中において符号N1,N2で表されている部分を理想トランスとしたときに、同図に示すように、この理想トランスと共に、1次側(1次巻線8a側)での漏れ磁束によって生じる1次側漏れインダクタンスL1、2次側(2次巻線8b側)での漏れ磁束によって生じる2次側の漏れインダクタンスを1次側に換算した2次側漏れインダクタンスL2、および励磁インダクタンスLmを等価的に備えている。この場合、各漏れインダクタンスL1,L2は同じ値となっている。
【0028】
交直変換回路13を構成する4つの第2スイッチ9,10,11,12は、
図1に示すように、フルブリッジ接続されて構成されている(フルブリッジ型に構成されている)。また、交直変換回路13は、トランス8の2次巻線8bと一対の出力端子15a,15bとの間に配設されて、2次巻線8bに誘起される交流電圧Vacを直流電圧としての出力電圧Voに変換して一対の出力端子15a,15b間に出力する。
【0029】
具体的には、4つの第2スイッチ9,10,11,12のうちの出力電圧Voの正電位側の一対の第2スイッチ9,10は、整流素子としてのダイオードで構成されている(以下、ダイオード9,10ともいう)。なお、第2スイッチ9,10は、制御回路16によって同期整流動作するように制御される電界効果型トランジスタ(FET)などの同期整流素子で構成することもできる。
【0030】
また、残りの第2スイッチ11,12(出力電圧Voの基準電位側の第2スイッチ11,12)は、2次側スイッチであり、半導体スイッチ素子であるnチャネルのMOS型電界効果トランジスタ(寄生ダイオード11a,12aをそれぞれ有する電界効果型トランジスタ(FET))で構成されている(以下、第2スイッチ11,12ともいう)。なお、2つの第2スイッチ11,12は、上記のような寄生ダイオードを有する電界効果型トランジスタに代えて、n型のバイポーラ型トランジスタや高電子移動度トランジスタ(HEMT)で構成することもできる。
【0031】
また、ダイオード9および第2スイッチ11(一方の2次側スイッチ)は、ダイオード9のアノード端子と第2スイッチ11を構成する電界効果型トランジスタのドレイン端子とが接続されることで、互いに直列接続されている。また、ダイオード9および第2スイッチ11の接続点Cは、トランス8の2次巻線8bの一端に接続されている。また、ダイオード9および第2スイッチ11の直列回路の一端(ダイオード9のカソード端子)は、出力電圧Voの正電位側(出力端子15a)に接続され、この直列回路の他端(第2スイッチ11を構成する電界効果型トランジスタのソース端子)は、出力電圧Voの基準電位側(出力端子15b)に接続されている。
【0032】
また、ダイオード10および第2スイッチ12(他方の2次側スイッチ)は、ダイオード10のアノード端子と第2スイッチ12を構成する電界効果型トランジスタのドレイン端子とが接続されることで、互いに直列接続されている。また、ダイオード10および第2スイッチ12の接続点Dは、トランス8の2次巻線8bの他端に接続されている。また、ダイオード10および第2スイッチ12の直列回路の一端(ダイオード10のカソード端子)は、出力電圧Voの正電位側(出力端子15a)に接続され、この直列回路の他端(第2スイッチ12を構成する電界効果型トランジスタのソース端子)は、出力電圧Voの基準電位側(出力端子15b)に接続されている。
【0033】
また、第2スイッチ11,12は、制御回路16から各ゲート端子に入力される駆動信号S1,S2によってオン・オフ駆動される。
【0034】
出力コンデンサ14は、一対の出力端子15a,15b間に接続されて、交直変換回路13から出力される脈流電圧を平滑して出力電圧(直流電圧)Voを生成し、生成した出力電圧Voを一対の出力端子15a,15bから不図示の負荷に出力する。
【0035】
制御回路16は、例えばパルスジェネレータを用いて構成されて、第1スイッチ5,6に対する駆動信号Sa,Sb、および第2スイッチ11,12に対する駆動信号S1,S2を生成して出力する。この場合、制御回路16は、駆動信号Sa,Sbについては、
図2に示すように、相互間にデッドタイム期間を設けた状態で、一定の周波数(例えば、数十kHz〜数百kHzの範囲内の周波数)で、かつ一定のデューティ比(例えば、0.48程度)で生成して出力する。これにより、制御回路16は、第1スイッチ5,6を一定のデッドタイム期間を設けた状態で、一定の周波数で、かつ一定のデューティ比で交互にオン・オフさせる。
【0036】
この構成(つまり、制御回路16が出力電圧Voの電圧値に基づいて、第1スイッチ5,6のオン・オフ周波数を制御しない構成)により、DCDCコンバータ1からの出力電圧Voは、入力電圧Viの変動に伴って変動するが、この種のDCDCコンバータ1は、例えば、フロントエンド電源、その後段に配置されるバスコンバータ、およびこの後段に配置されるPOL(Point of Load )コンバータで構成される分散電源システムにおけるこのバスコンバータとして使用される。
【0037】
一方、制御回路16は、
図2に示すように、駆動信号S1については駆動信号Saに同期させて出力し、駆動信号S2については駆動信号Sbに同期させて出力する。これにより、制御回路16は、第2スイッチ11,12のうちの一方の第2スイッチ11を第1スイッチ5,6のうちの一方の第1スイッチ5に同期させてオン・オフさせ、かつ第2スイッチ11,12のうちの他方の第2スイッチ12を第1スイッチ5,6のうちの他方の第1スイッチ6に同期させてオン・オフさせる。
【0038】
具体的には、制御回路16は、
図2に示すように、駆動信号S1については、同期させる駆動信号Saの出力期間の直前に設けられたデッドタイム期間の始期よりも若干早く出力を開始すると共に、少なくともこの駆動信号Saの出力期間の直後に設けられたデッドタイム期間の終期までの一定期間に亘って出力する。また、制御回路16は、駆動信号S2については、同期させる駆動信号Sbの出力期間の直前に設けられたデッドタイム期間の始期よりも若干早く出力を開始すると共に、少なくともこの駆動信号Sbの出力期間の直後に設けられたデッドタイム期間の終期までの一定期間に亘って出力する。
【0039】
制御回路16は、このように各駆動信号S1,S2を出力することにより、一方の第2スイッチ11については、一方の第1スイッチ5のオン期間の直前に設けられたデッドタイム期間の始期よりも若干早くオン状態に移行させると共に、少なくともこの第1スイッチ5のオン期間の直後に設けられたデッドタイム期間の終期までの一定期間に亘ってオン状態を維持させる。また、制御回路16は、他方の第2スイッチ12については、他方の第1スイッチ6のオン期間の直前に設けられたデッドタイム期間の始期よりも若干早くオン状態に移行させると共に、少なくともこの第1スイッチ6のオン期間の直後に設けられたデッドタイム期間の終期までの一定期間に亘ってオン状態を維持させる。
【0040】
これにより、第2スイッチ11,12は、
図2に示すように、第1スイッチ5,6のデッドタイム期間の始期よりも若干早い時点から、このデッドタイム期間の終期までの期間に亘って同時にオン状態に維持される。
【0041】
次いで、DCDCコンバータ1の動作について図面を参照して説明する。なお、一例として、
図1に示す共振回路7を省くと共に、共振用のインダクタとしてトランス8の漏れインダクタンスL1を使用し、共振用のコンデンサとして各入力コンデンサ3a,3bを使用する例を挙げて説明する。
【0042】
このDCDCコンバータ1では、制御回路16は、
図2に示すように、駆動信号Sa,Sb(駆動信号Saについては破線で示し、駆動信号Sbについては実線で示している)を、一定の周波数で、かつ一定のデューティ比で生成して出力する。また、制御回路16は、駆動信号S1については、破線で示すように、同期させる駆動信号Saの出力期間の直前に設けられたデッドタイム期間の始期よりも若干早く出力を開始すると共に、少なくとも駆動信号Saの出力期間の直後に設けられたデッドタイム期間の終期(本例では一例として、このデッドタイム期間の終期と同じ時期)までの一定期間に亘って出力する。また、制御回路16は、駆動信号S2については、実線で示すように、同期させる駆動信号Sbの出力期間の直前に設けられたデッドタイム期間の始期よりも若干早く出力を開始すると共に、少なくとも駆動信号Sbの出力期間の直後に設けられたデッドタイム期間の終期(本例では一例として、このデッドタイム期間の終期と同じ時期)までの一定時間に亘って出力する。
【0043】
このため、DCDCコンバータ1は、
図2に示すように、駆動信号Sa,Sbおよび駆動信号S1,S2の出力状態、つまり、第1スイッチ5,6および第2スイッチ11,12の動作状態(オン状態・オフ状態)に応じて区別される第1動作状態st1、第2動作状態st2、第3動作状態st3、第4動作状態st4、第5動作状態st5、および第6動作状態st6の6つの動作状態を、この順で繰り返す。以下、DCDCコンバータ1の動作について、動作状態st1〜st6毎に説明する。なお、
図2に示す各電流について、第1スイッチ5,6および第2スイッチ9,10,11,12に流れる電流に関しては順方向で流れる場合を正極性で表し、第1スイッチ5,6の寄生容量5b,6bおよびトランス8の各インダクタンスL1,L2,Lmに流れる電流に関しては
図3,4,5,6,7,8中の矢印の向きで流れる場合を正極性で表すものとする。
【0044】
まず、第1動作状態st1でのDCDCコンバータ1の動作について
図2,3を参照して説明する。この第1動作状態st1では、
図3に示すように、第1スイッチ5がオン状態(駆動信号Saが出力状態)になり、第1スイッチ6がオフ状態(駆動信号Sbが停止状態)になり、第2スイッチ11がオン状態(駆動信号S1が出力状態)になり、かつ第2スイッチ12がオフ状態(駆動信号S2が停止状態)になっている。なお、
図3〜
図8において、第1スイッチ5,6および第2スイッチ9〜12のうちのオン状態のスイッチについては実線で示し、オフ状態のスイッチについては破線で示している。以下、他の動作状態においても同様である。
【0045】
これにより、第1スイッチ5のソース端子とドレイン端子との間の電圧Vds1は、
図2において破線で示すように、ほぼゼロボルトに維持され、一方、第1スイッチ6のソース端子とドレイン端子との間の電圧Vds2は、同図において実線で示すように、入力電圧Viとほぼ同じ電圧に維持されている。したがって、この第1動作状態st1では、
図2に示すように、第1スイッチ5の寄生容量5bに流出入する電流Ic1は発生せず(電流Ic1はゼロアンペアに維持され)、また第1スイッチ6の寄生容量6bに流出入する電流Ic2についても発生しない(電流Ic2はゼロアンペアに維持されている)。
【0046】
また、トランス8の1次側には、
図3において一点鎖線で示すように、入力端子2aからオン状態の第1スイッチ5および接続点Bを経由して1次巻線8aに流れ込み、さらに1次巻線8aを経由して接続点Aに達した後に、入力コンデンサ3a,3bのそれぞれに分かれて流れる電流が発生している。
【0047】
この場合、DCDCコンバータ1は電流共振型に構成されていることから、第1スイッチ5に流れる電流Iq1(つまり、接続点Bを経由して1次巻線8aに流れ込む電流)は、
図2において破線で示すように、電流値がゼロアンペアから次第に増加し、第1動作状態st1のほぼ中間の時点で電流値が最大となり、その後に電流値が次第に減少してゼロアンペアに至る弧状波形で流れる。なお、オフ状態の第1スイッチ6に流れる電流Iq2はゼロアンペアに維持されている。また、接続点Bを経由して1次巻線8aに流れ込む電流は、1次側漏れインダクタンスL1に流れる電流I1でもあることから、この電流I1は、
図2において破線で示すように、電流Iq1と同じ弧状波形で流れる。
【0048】
一方、トランス8の励磁インダクタンスLmの接続点B側の端部には、オン状態の第1スイッチ5を介して入力電圧Viが印加され、励磁インダクタンスLmの接続点A側の端部には、1次側漏れインダクタンスL1を介して接続点Aの電圧(入力コンデンサ3a,3bで分圧された入力電圧Vi、つまり入力電圧Viのほぼ1/2の電圧)が印加される。これにより、励磁インダクタンスLmには、入力電圧Viのほぼ1/2の電圧が印加されることから、
図2において細破線で示すように、この印加される電圧の電圧値と励磁インダクタンスLmのインダクタンス値とで規定される傾きで増加する電流Imが流れる。
【0049】
なお、励磁インダクタンスLmには、第1スイッチ5がオフ状態(駆動信号Saが停止状態)になり、第1スイッチ6がオン状態(駆動信号Sbが出力状態)になる第4動作状態st4において、後述するように、入力電圧Viのほぼ1/2の電圧が逆の極性で印加されることから、第1動作状態st1のときとは逆に、第1動作状態st1のときの傾きとほぼ同じ傾きで減少する電流Imが流れる。したがって、励磁インダクタンスLmに流れる電流Imは、
図2における各インダクタンスL1,L2,Lmに流れる電流I1,I2,Imについての波形図において細破線で示すように、ゼロアンペアを中心として電流値がほぼ三角波形状で変化する電流になる。
【0050】
また、トランス8の2次側漏れインダクタンスL2に流れる電流I2は、1次側漏れインダクタンスL1に流れる電流I1から励磁インダクタンスLmに流れる電流Imを減算した電流となることから、
図2において太実線で示すような電流波形で流れる。
【0051】
また、このようにして接続点Bを経由して1次巻線8aに電流Iq1が流れ込んでいる状態において、トランス8の2次巻線8bには、接続点C側の端部に対して接続点D側の端部が高電位となる状態で交流電圧Vacが誘起されている。このため、トランス8の2次側には、
図3において一点鎖線で示すように、2次巻線8bから接続点Dおよびダイオード10を介して出力端子15aに至り、出力端子15a,15b間に接続されている不図示の負荷を経由して、出力端子15bからオン状態の第2スイッチ11および接続点Cを介して2次巻線8bに戻る経路に電流が流れる。
【0052】
したがって、この電流の経路を構成するダイオード10および第2スイッチ11にそれぞれ流れる電流Id2,Iq3は、同じ電流波形で流れると共に、その電流波形は1次巻線8aに流れ込む電流I1の電流波形に対応した弧状波形となる。なお、ダイオード9および第2スイッチ12は共にオフ状態のため、それぞれに流れる電流Id1,Iq4は、ゼロアンペアに維持されている。また、負荷には、
図3において一点鎖線で示すように、出力コンデンサ14からも電流が供給される。
【0053】
次いで、第2動作状態st2でのDCDCコンバータ1の動作について
図2,4を参照して説明する。この第2動作状態st2では、
図4に示すように、第1スイッチ5が引き続きオン状態(駆動信号Saの出力状態)に維持され、第1スイッチ6も引き続きオフ状態(駆動信号Sbの停止状態)に維持され、かつ第2スイッチ11が引き続きオン状態(駆動信号S1の出力状態)に維持されている状態において、第2スイッチ12がオン状態(駆動信号S2の出力状態)に移行される。
【0054】
これにより、トランス8の2次巻線8bは、共にオン状態になっている第2スイッチ11,12によって両端が短絡された状態になる。また、第1スイッチ5がオン状態に維持されているため、2次巻線8bには、接続点C側の端部に対して接続点D側の端部が高電位となる状態で交流電圧Vacが引き続き誘起されている。したがって、
図4において一点鎖線で示すように、2次巻線8bから第2スイッチ12および第2スイッチ11を介して2次巻線8bに戻る経路に電流が発生する。この場合、この電流(つまり、第2スイッチ11,12に流れる電流Iq3,Iq4)は、ゼロアンペアから、交流電圧Vacの電圧値と2次巻線8bのインダクタンス値とで規定される傾きで徐々に増加する。なお、この状態では、2つのダイオード9,10が共にオフ状態に移行することで、2次巻線8bから出力端子15a,15b側(負荷)への電流の供給は行われないが、負荷に対しては、同図において一点鎖線で示すように出力コンデンサ14から電流が継続して供給される。
【0055】
また、トランス8の1次側では、2次巻線8bに上記のような電流が発生することに起因して、2次側漏れインダクタンスL2にも、電流値がゼロアンペアから一定の傾きで徐々に増加する電流I2が発生する。また、トランス8の1次側には、
図4において一点鎖線で示すように、入力端子2aからオン状態の第1スイッチ5および接続点Bを経由して1次巻線8aに至り、さらに1次巻線8aを経由して接続点Aに達した後に、入力コンデンサ3a,3bのそれぞれに分かれる経路に電流が発生している。
【0056】
このトランス8の1次側の電流は、オン状態の第1スイッチ5を流れる電流Iq1であると共に、1次側漏れインダクタンスL1に流れる電流I1であり、この電流L1は2次側漏れインダクタンスL2に流れる電流I2に励磁インダクタンスLmに流れる電流Imが加算された電流であることから、上記の経路に流れる電流(すなわち、電流Iq1,I1)は、電流値がゼロアンペアから一定の傾きで徐々に増加する電流I2に電流Imが加算された電流である。このため、第2動作状態st2のときに上記の経路に流れる電流(すなわち、電流Iq1,I1)は、その電流値が、第1動作状態st1の終了時点での電流Imの電流値を初期値として次第に増加し、第2動作状態st2の終了時点では、この時点での電流Imの電流値に、増加した電流I2の電流値を加算した電流値まで増加する。つまり、この第2動作状態st2を設けない構成よりも、増加した電流I2の電流値分だけ、上記の経路に流れる電流(すなわち、電流Iq1,I1)の電流値を増加させることが可能になっている。
【0057】
なお、第1スイッチ5が引き続きオン状態に維持されているため、電圧Vds1はゼロボルトに維持されている。また、第1スイッチ6も引き続きオフ状態に維持されているため、電圧Vds2は入力電圧Viとほぼ同じ電圧に維持されていると共に、電流Iq2の電流値はゼロアンペアに維持されている。また、ダイオード9,10は、引き続きオフ状態のため、それぞれに流れる電流Id1,Id2の電流値は共にゼロアンペアである。
【0058】
続いて、第3動作状態st3でのDCDCコンバータ1の動作について
図2,5を参照して説明する。この第3動作状態st3では、
図5に示すように、第1スイッチ6が引き続きオフ状態(駆動信号Sbの停止状態)に維持され、かつ第2スイッチ11,12が引き続きオン状態(駆動信号S1,S2の出力状態)に維持されている状態において、第1スイッチ5がオフ状態(駆動信号Saの停止状態)に移行される。
【0059】
これにより、第3動作状態st3では、トランス8の1次側の第1スイッチ5,6が共にオフ状態になることから(つまり、第3動作状態st3の期間は、第1スイッチ5,6についてのデッドタイム期間であるから)、トランス8の1次巻線8aから2次巻線8bへのエネルギーの供給が停止される。
【0060】
この場合、トランス8の2次側では、トランス8の2次巻線8bが、第3動作状態st3に移行する直前までに蓄積したエネルギーを放出する。これにより、トランス8の2次側には、
図5において一点鎖線で示すように、直前の第2動作状態st2のときと同じ経路に、同じ向きの電流が発生する。この第3動作状態st3の期間の長さは、この期間の終了時点において、2次巻線8bに蓄積されていたエネルギーの放出が完了して、この電流(つまり、第2スイッチ11,12に流れる電流Iq3,Iq4)がゼロアンペアになるように予め規定されている。なお、この第3動作状態st3では、ダイオード9,10は、引き続きオフ状態のため、それぞれに流れる電流Id1,Id2の電流値は共にゼロアンペアになっている。また、負荷に対しては、同図において一点鎖線で示すように出力コンデンサ14から電流が継続して供給される。
【0061】
一方、トランス8の1次側でも、トランス8の1次巻線8aが、第3動作状態st3に移行する直前までに蓄積したエネルギーを放出する。これにより、トランス8の1次巻線8aには、
図5において一点鎖線で示すように、直前の第2動作状態st2のときと同じ経路(接続点Bから1次巻線8aを経由して接続点Aに至る経路)に、同じ向きの電流が発生する。
【0062】
この1次巻線8aに発生する電流は、1次側漏れインダクタンスL1に流れる電流I1であり、電流I2(2次側漏れインダクタンスL2に流れる電流)に電流Im(励磁インダクタンスLmに流れる電流)が加算された電流であって、1次巻線8a、入力コンデンサ3a,3bおよび寄生容量5b,6bで構成される部分共振回路に流れる共振電流である。また、この1次巻線8aに発生する電流は、接続点Bに向かう向き(
図5中の向きと同じ向き)で第1スイッチ5の寄生容量5bに流れる電流(共振電流)Ic1と、接続点Bに向かう向き(
図5中の向きとは逆の向き)で第1スイッチ6の寄生容量6bに流れる電流(共振電流)Ic2とが加算された電流でもある。したがって、電流I1の発生期間において、第1スイッチ5の寄生容量5bは、そこに流れる電流Ic1によって充電される。これにより、第3動作状態st3のときに流れる電流Ic1の電流量(総電荷量)が十分に大きいときには、寄生容量5bの両端間電圧(つまり、第1スイッチ5のソース端子とドレイン端子との間の電圧Vds1)は、ゼロボルトから入力電圧Viと同じ電圧まで上昇する。
【0063】
また、この電流I1の発生期間において、第1スイッチ6の寄生容量6bは、そこに流れる電流Ic2によって放電される。このため、第3動作状態st3のときに流れる電流Ic2の電流量(総電荷量)が、寄生容量6bに充電されている電荷量以上のときには、寄生容量6bの両端間電圧(つまり、第1スイッチ6のソース端子とドレイン端子との間の電圧Vds2)は、入力電圧Viとほぼ同じ電圧からゼロボルトまで低下する。これにより、第1スイッチ6についてのゼロボルトスイッチングの準備が正常に完了する。
【0064】
この場合、第3動作状態st3での各電流Ic1,Ic2の初期値は、第3動作状態st3に移行する直前に流れていた電流I1の電流値に応じて変化し、電流I1の電流値が大きいときには大きくなり、小さいときには小さくなる。また、第3動作状態st3のときに流れる電流Ic1,Ic2の各総電荷量は、それぞれの初期値が大きくなるに従って多くなる。本例のDCDCコンバータ1では、上記した第2動作状態st2を経て第3動作状態st3に移行する構成を採用し、第2動作状態st2において、電流I1の電流値が、上記したようにトランス8の2次巻線8bに発生する電流に起因して増加させられているため、第3動作状態st3のときに流れる電流Ic1,Ic2の各総電荷量も多くなっている。したがって、本例のDCDCコンバータ1では、第3動作状態st3のときに、寄生容量5bの両端間電圧(第1スイッチ5についての電圧Vds1)は、ゼロボルトから入力電圧Viとほぼ同じ電圧まで確実に上昇する。また、寄生容量6bの両端間電圧(第1スイッチ6についての電圧Vds2)は、入力電圧Viとほぼ同じ電圧からゼロボルトまで確実に低下する。これにより、第1スイッチ6についてのゼロボルトスイッチングの準備を常に正常に完了させることが可能になっている。
【0065】
次いで、第4動作状態st4、第5動作状態st5および第6動作状態st6でのDCDCコンバータ1の動作について
図2および
図6,7,8を参照して説明する。
【0066】
最初に、第4動作状態st4でのDCDCコンバータ1の動作について
図2,6を参照して説明する。この第4動作状態st4では、
図6に示すように、第1スイッチ5,6についてのオン・オフ状態、ダイオード9,10についてのオン・オフ状態、および第2スイッチ11,12についてのオン・オフ状態が第1動作状態st1のときとは逆になり、これに伴い、
図2に示すように、各電圧Vds1,Vds2の状態、各電流Iq1,Iq2の状態、各電流I1,I2,Imの極性、各電流Iq3,Iq4の状態、および各電流Id1,Id2の状態が逆になるものの、基本的な動作は第1動作状態st1のときと同じである。
【0067】
したがって、この第4動作状態st4では、
図6に示すように、トランス8の1次側において、接続点Aから1次巻線8aおよび接続点Bを経由してオン状態の第1スイッチ6に至る経路に電流Iq2が流れている状態において、トランス8の2次巻線8bには、接続点D側の端部に対して接続点C側の端部が高電位となる状態で交流電圧Vacが誘起される。このため、トランス8の2次側には、
図6において一点鎖線で示すように、2次巻線8bから接続点Cおよびダイオード9を介して出力端子15aに至り、出力端子15a,15b間に接続されている不図示の負荷を経由して、出力端子15bからオン状態の第2スイッチ12および接続点Dを介して2次巻線8bに戻る経路に電流が流れる。また、負荷には、
図6において一点鎖線で示すように、出力コンデンサ14からも電流が供給される。
【0068】
次いで、第5動作状態st5でのDCDCコンバータ1の動作について
図2,7を参照して説明する。この第5動作状態st5では、
図7に示すように、第1スイッチ5,6についてのオン・オフ状態が第2動作状態st2のときと逆になり、ダイオード9,10についてのオン・オフ状態および第2スイッチ11,12についてのオン・オフ状態は第2動作状態st2のときと同じになる。これに伴い、
図2に示すように、各電圧Vds1,Vds2の状態、各電流Iq1,Iq2の状態、各電流I1,I2,Imの極性(電流の向き)および各電流Iq3,Iq4の状態が逆になるものの、基本的な動作は第2動作状態st2のときと同じである。
【0069】
したがって、この第5動作状態st5では、第1スイッチ6がオン状態に維持されているため、2次巻線8bには、接続点D側の端部に対して接続点C側の端部が高電位となる状態で交流電圧Vacが誘起されている。これにより、トランス8の2次側では、
図7において一点鎖線で示すように、2次巻線8bから第2スイッチ11および第2スイッチ12を介して2次巻線8bに戻る経路に電流が発生する。この場合、この電流(つまり、第2スイッチ11,12に流れる電流Iq3,Iq4)は、
図2に示すように、ゼロアンペアから、交流電圧Vacの電圧値と2次巻線8bのインダクタンス値とで規定される傾きで徐々に増加する。
【0070】
また、トランス8の1次側では、2次巻線8bに上記のような電流が発生することに起因して、2次側漏れインダクタンスL2にも、電流値がゼロアンペアから一定の傾きで徐々にマイナスの向きで増加する電流I2が発生する。また、トランス8の1次側には、
図7において一点鎖線で示すように、入力コンデンサ3a,3bの接続点Aから1次巻線8aに至り、さらに1次巻線8aを経由して接続点Bに達した後に、オン状態の第1スイッチ6を経由して入力端子2bに至る経路に電流が流れる。
【0071】
この電流は、オン状態の第1スイッチ6を流れる電流Iq2であると共に、1次側漏れインダクタンスL1に流れる電流I1であり、この電流L1は2次側漏れインダクタンスL2に流れる電流I2に励磁インダクタンスLmに流れる電流Imが加算された電流である。このことから、上記の経路に流れる電流(すなわち、電流Iq2,I1)は、電流値がゼロアンペアから一定の傾きで徐々に増加する電流I2に電流Imが加算された電流である。このため、第5動作状態st5のときに上記の経路に流れる電流(すなわち、電流Iq2,I1)は、その電流値が、第4動作状態st4の終了時点での電流Imの電流値を初期値として次第に増加し、第5動作状態st5の終了時点では、この時点での電流Imの電流値に、増加した電流I2の電流値を加算した電流値まで増加する。つまり、この第5動作状態st5を設けない構成よりも、増加した電流I2の電流値分だけ、上記の経路に流れる電流(すなわち、電流Iq2,I1)の電流値を増加させることが可能になっている。
【0072】
続いて、第6動作状態st6でのDCDCコンバータ1の動作について
図2,8を参照して説明する。この第6動作状態st6では、
図8に示すように、トランス8の1次巻線8aおよび2次巻線8bに流れる電流の向きが逆になるものの、第1スイッチ5,6についてのオン・オフ状態、ダイオード9,10についてのオン・オフ状態および第2スイッチ11,12についてのオン・オフ状態は第3動作状態st3のときと同じになるため、基本的な動作は第3動作状態st3のときと同じである。この第6動作状態st6の期間も、第3動作状態st3のときと同様に、第1スイッチ5,6が共にオフ状態となるため、デッドタイム期間である。
【0073】
本例のDCDCコンバータ1では、上記した第5動作状態st5を経て第6動作状態st6に移行する構成を採用し、第5動作状態st5において、電流I1の電流値が、上記したようにトランス8の2次巻線8bに発生する電流に起因して増加させられているため、第6動作状態st6のときに流れる電流Ic1,Ic2のそれぞれの総電荷量も多くなっている。したがって、第6動作状態st6において、寄生容量6bの両端間電圧(第1スイッチ6についての電圧Vds2)は、ゼロボルトから入力電圧Viとほぼ同じ電圧まで確実に上昇する。また、寄生容量5bの両端間電圧(第1スイッチ5についての電圧Vds1)は、入力電圧Viとほぼ同じ電圧からゼロボルトまで確実に低下する。これにより、第1スイッチ5についてのゼロボルトスイッチングの準備を常に正常に完了させることが可能になっている。
【0074】
このように、このDCDCコンバータ1では、制御回路16が、一対の第1スイッチ5,6のうちの一方の第1スイッチ5のオン期間(オン状態となる第1動作状態st1および第2動作状態st2の全体の期間)の直前に設けられたデッドタイム期間(第6動作状態st6の期間)の始期よりも若干早く一方の第2スイッチ11をオン状態に移行させると共に、一方の第1スイッチ5のオン期間の直後に設けられたデッドタイム期間(第3動作状態st3の期間)の終期までの一定時間に亘ってオン状態を維持させる。また、制御回路16は、一対の第1スイッチ5,6のうちの他方の第1スイッチ6のオン期間(オン状態となる第4動作状態st4および第5動作状態st5の全体の期間)の直前に設けられたデッドタイム期間(第3動作状態st3の期間)の始期よりも若干早く他方の第2スイッチ12をオン状態に移行させると共に、他方の第1スイッチ6のオン期間の直後に設けられたデッドタイム期間(第6動作状態st6の期間)の終期までの一定時間に亘ってオン状態を維持させる。
【0075】
したがって、このDCDCコンバータ1によれば、オフ状態の一方の第1スイッチ5をオン状態にする第1動作状態st1の直前のデッドタイム期間(第6動作状態st6の期間)の開始(始期)の直前に、トランス8の2次側に配設された一対の第2スイッチ11,12を同時にオン状態に移行させて2次巻線8bの両端を第2スイッチ11,12で短絡させることで、電流値が増加する電流(第2スイッチ11,12に流れて、電流値が増加する電流Iq3,Iq4)を2次巻線8bに発生させる第5動作状態st5の期間を設けることができる。
【0076】
このため、このDCDCコンバータ1では、この第5動作状態st5のときにトランス8の1次側に等価的に形成される2次側漏れインダクタンスL2に流れる電流I2についても、2次巻線8bに発生させる電流の電流値に応じて電流値を増加させることができ、結果として、1次巻線8aに流れる電流(オン状態の他の第1スイッチ6に流れる電流Iq2、つまり1次側漏れインダクタンスL1に流れる電流I1)を増加させることができる。したがって、この第5動作状態st5の直後のデッドタイム期間(第6動作状態st6の期間)において、1次側漏れインダクタンスL1に継続して流れる電流I1を構成する第1スイッチ5,6の各寄生容量5b,6bに流れる電流Ic1,Ic2の電流量についても増加させることができる。これにより、この電流量の増加した電流Ic1によって寄生容量5bを確実に放電して、寄生容量5bの両端間電圧、つまり一方の第1スイッチ5のソース端子とドレイン端子との間の電圧Vds1をゼロボルトに低下させることができ、この結果、第1スイッチ5についてのゼロボルトスイッチングの準備を常に正常に完了させることができる。
【0077】
また、このDCDCコンバータ1によれば、オフ状態の他方の第1スイッチ6をオン状態にする第4動作状態st4の直前のデッドタイム期間(第3動作状態st3の期間)の開始(始期)の直前にも、トランス8の2次側に配設された一対の第2スイッチ11,12を同時にオン状態に移行させて2次巻線8bの両端を第2スイッチ11,12で短絡させることで、電流値が増加する電流(第2スイッチ11,12に流れて、電流値が増加する電流Iq3,Iq4)を2次巻線8bに発生させる第2動作状態st2の期間を設けることができる。
【0078】
これにより、このDCDCコンバータ1では、この第2動作状態st2のときにも2次側漏れインダクタンスL2に流れる電流I2の電流量を、2次巻線8bに発生させる電流の電流値に応じて増加させることができ、結果として、1次巻線8aに流れる電流(オン状態の一方の第1スイッチ5に流れる電流Iq1、つまり1次側漏れインダクタンスL1に流れる電流I1)を増加させることができる。したがって、この第2動作状態st2の直後のデッドタイム期間(第3動作状態st3の期間)において、1次側漏れインダクタンスL1に継続して流れる電流I1を構成する第1スイッチ5,6の各寄生容量5b,6bに流れる電流Ic1,Ic2の電流量についても増加させることができる。これにより、この電流量の増加した電流Ic2によって寄生容量6bを確実に放電して、寄生容量6bの両端間電圧、つまり他方の第1スイッチ6のソース端子とドレイン端子との間の電圧Vds2をゼロボルトに低下させることができ、この結果、第1スイッチ6についてのゼロボルトスイッチングの準備を常に正常に完了させることができる。
【0079】
したがって、このDCDCコンバータ1によれば、第1スイッチ5がオン状態になる第1動作状態st1の期間、および第1スイッチ6がオン状態になる第4動作状態st4の期間に2次側漏れインダクタンスL2に流れる電流I2(伝送電流)の電流値の大きさに拘わらず、かつ励磁インダクタンスLmに流れる電流Im(励磁電流)を大きくすることもなく、トランス8の1次側の第1スイッチ5,6を確実にゼロボルトスイッチングさせることができる。
【0080】
なお、上記のDCDCコンバータ1では、一例として、トランス8の1次側の一方の第1スイッチ5に同期させてオン・オフさせるトランス8の2次側の一方の第2スイッチ11のオフ状態への移行のタイミングを、第1スイッチ5をオフ状態に移行させた後の他方の第1スイッチ6をオン状態に移行させるタイミングに一致させ、かつトランス8の1次側の他方の第1スイッチ6に同期させてオン・オフさせるトランス8の2次側の他方の第2スイッチ12のオフ状態への移行のタイミングを、第1スイッチ6をオフ状態に移行させた後の一方の第1スイッチ5をオン状態に移行させるタイミングに一致させる構成を採用しているが、これに限定されるものではない。例えば、第1スイッチ5に同期させてオン・オフさせる第2スイッチ11のオフ状態への移行のタイミングを、第1スイッチ5をオフ状態に移行させた後の第1スイッチ6をオン状態に移行させるタイミングよりも若干遅らせ、かつ第1スイッチ6に同期させてオン・オフさせる第2スイッチ12のオフ状態への移行のタイミングを、第1スイッチ6をオフ状態に移行させた後の第1スイッチ5をオン状態に移行させるタイミングよりも若干遅らせる構成を採用してもよいのは勿論である。