【0025】
例えば、
図1(2)には、7つの銘柄の石炭を配合した配合炭であって、そのうち石炭a
1〜a
3が平均反射率0.65%以上0.9%以下の低石炭化度炭、石炭b
1〜b
4が平均反射率0.9%超の高石炭化度炭である例を示している。ここで、粘結材の添加対象となり得る低石炭化度炭(0.65%≦Ro≦0.9%)はa
1〜a
3の3銘柄であるが、この例では、石炭a
1及びa
2に対してそれぞれ粘結材を添加する場合を示している(すなわち、高石炭化度炭b
1〜b
4と共に低石炭化度炭a
3が、配合炭を構成する残りの石炭である)。その際の粘結材の添加量は、石炭a
1に対して5質量%以上15質量%以下とすると共に、石炭a
2に対しても5質量%以上15質量%以下となるようにしている。また、石炭a
1〜a
3のなかから粘結材を添加するものを選択するにあたっては、配合比率が多いものを優先したり、平均反射率がより低いものを優先するようにするのが好適である。勿論、石炭a
1〜a
3のいずれか1つに粘結材を添加するようにしてもよく、石炭a
1〜a
3の全てに対して、それぞれ所定の割合で粘結材を添加するようにしてもよい。なお、本発明においては、配合炭を構成するにあたり、平均反射率が0.65%未満の石炭を含めるようにしてもよい。但し、その場合には、粘結材を添加する対象には含めず、配合炭を構成する残りの石炭として扱う。
【実施例】
【0031】
以下、実施例に基づき本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の内容に制限されるものではない。
【0032】
[コークス製造試験1(試験No.1-1〜1-5)]
平均反射率が0.76%の低石炭化度炭A(揮発分35.6%、最高流動度110ddpm)と、平均反射率が1.23%の高石炭化度炭B(揮発分24.5%、最高流動度540ddpm)とを用いて配合炭とし、次のようにして試験No.1−1〜1−5の試験用コークスを製造するコークス製造試験1を行った。
【0033】
先ず、低石炭化度炭Aをハンマー粉砕機で3mm以下が80%になるように粉砕し、コールタールから製造された硬ピッチC(軟化点85℃、揮発分54.2%)を同じくハンマー粉砕機により3mm以下となるように粉砕して、表1に示した配合炭(A+B)での低石炭化度炭Aの質量に応じて、低石炭化度炭Aに対して硬ピッチCが外数で10質量%となるように添加した(すなわちC/Aが10質量%)。次いで、これら低石炭化度炭Aと硬ピッチCとを150℃に加熱しながら、二軸混練機を用いて2分間の混練を行った。得られた混練物については、塊状になったものが認められたため、ハンマー粉砕機を用いて6mm以下になるように解砕した。
【0034】
次いで、高石炭化度炭Bをハンマー粉砕機で3mm以下が80%になるように粉砕し、表1に示した配合炭の配合割合になるようにしながら、上記で低石炭化度炭Aと硬ピッチCとを加熱・混練した混練物と配合し、硬ピッチCと配合炭(A+B)との合計82kgを嵩密度800kg/m
3で試験コークス炉に装入した。そして、加熱温度を1250℃、乾留時間を18.5時間とする条件で乾留し、試験No.1−1〜1−5に係る試験用コークスをそれぞれ製造した。
【0035】
得られた各試験用コークスについて、JIS K 2151のコークス粒度試験方法に基づきコークス平均粒度を測定した。また、コークス強度として、JIS K 2151のドラム強度指数(DI
15015)を測定した。結果を表1に示す。
【0036】
[コークス製造試験2(試験No.2-1〜2-5)]
低石炭化度炭Aと高石炭化度炭Bとをそれぞれハンマー粉砕機で3mm以下が80%になるように粉砕し、これらを表1に示した試験No.2−1〜2−5の割合になるように配合した。また、硬ピッチCをハンマー粉砕機で3mm以下になるように粉砕して、低石炭化度炭Aと高石炭化度炭Bとの配合炭(A+B)の質量に対して硬ピッチCが外数で10質量%となるように添加して(すなわちC/(A+B)が10質量%)、これらを150℃に加熱しながら、二軸混練機を用いて2分間の混練を行った。
【0037】
次いで、得られた混練物をハンマー粉砕機で6mm以下になるように解砕し、硬ピッチCと配合炭(A+B)との合計82kgを嵩密度800kg/m
3で試験コークス炉に装入して、コークス製造試験1と同様にして試験No.2−1〜2−5に係る試験用コークスを製造した。得られた試験用コークスについて、それぞれコークス製造試験1と同様にコークス平均粒度及びドラム強度指数(DI
15015)を測定した。結果を表1に示す。
【0038】
[コークス製造試験3(試験No.3-1〜3-5)]
コークス製造試験2と同様に低石炭化度炭Aと高石炭化度炭Bとを配合して配合炭とし、配合炭(A+B)に対して硬ピッチCを添加するが、このコークス製造試験3では、粘結材の添加量をコークス製造試験1の場合と同じになるようにした。すなわち、配合炭(A+B)に対して硬ピッチCを添加する際、配合炭中の低石炭化度炭Aの質量に対して外数で10質量%となるように硬ピッチCを添加した(C/Aが10質量%)。それ以外はコークス製造試験2と同様にして混練物を得てハンマー粉砕機で解砕し、硬ピッチCと配合炭(A+B)との合計82kgを嵩密度800kg/m
3で試験コークス炉に装入して、試験No.3−1〜3−5に係る試験用コークスを製造した。得られた各試験用コークスについて、コークス製造試験1と同様にしてコークス平均粒度及びドラム強度指数(DI
15015)を測定した。結果を表1に示す。
【0039】
[コークス製造試験4(試験No.4-1〜4-5)]
コークス製造試験2と同様に低石炭化度炭Aと高石炭化度炭Bとを配合して配合炭(A+B)としたのち、硬ピッチCを添加せずに、配合炭82kgを嵩密度800kg/m
3で試験コークス炉に装入して、コークス製造試験1と同様にして試験No.4−1〜4−5に係る試験用コークスを製造した。得られた各試験用コークスについて、コークス製造試験1と同様にしてコークス平均粒度及びドラム強度指数(DI
15015)を測定した。結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
上記コークス製造試験1〜4で得られた各試験用コークスについて、配合炭(A+B)における低石炭化度炭Aの配合率(%)とコークス平均粒度(mm)との関係をグラフにしたものが
図3である。また、同じく低石炭化度炭Aの配合率(%)とドラム強度指数(−)との関係をグラフにしたものが
図4である。これらのグラフから分かるように、低石炭化度炭Aに対して選択的に硬ピッチC(粘結材)を添加して加熱・混練したうえで、配合炭を構成する残りの高石炭化度炭Bと配合して、コークス炉に装入してコークスを製造するコークス製造試験1で得られたコークスは、配合炭(A+B)に対して硬ピッチCを添加し、加熱・混練してコークスを製造したコークス製造試験2及び3に比べて、コークス平均粒度及びドラム強度指数のいずれもが高い結果を示した。
【0042】
すなわち、コークス製造試験1の場合よりも試験コークス炉に装入した装入炭として硬ピッチCの添加量が多いコークス製造試験2では、コークス製造試験3やコークス製造試験4の場合よりもコークス平均粒度が大きくなり、コークス製造試験1に近い結果を示すが(
図3)、ドラム強度指数は逆に低下してしまうことが分かる(
図4)。一方、ドラム強度指数については、装入炭として硬ピッチCの添加量がコークス製造試験1の場合と等しいコークス製造試験3の場合が、コークス製造試験1に次いで高い結果を示しているが(
図4)、このコークス製造試験3でのコークス平均粒度は、添加材を含まないコークス製造試験4に比べて拡大してはいるものの、その効果は小さい。
【0043】
これに対して、本発明の高炉用コークスの製造方法に係るコークス製造試験1では、コークス平均粒度及びドラム強度指数ともに最も高い結果を示した。これは、低石炭化度炭に対して選択的に粘結材を添加して、加熱・混練して粘結材を付着させることで、その低石炭化度炭の再固化後の収縮率を低下させて、亀裂の発生を抑制したことにより、装入炭として硬ピッチCの添加量が多いコークス製造試験2の場合よりもコークス粒度を拡大させることができたものと考えられる。
また、コークス製造試験1では、粘結材を低石炭化度炭に選択的に添加することで、気孔率上昇に伴うコークス強度指数の低下を防ぐことができ(コークス製造試験2では硬ピッチCの添加量が多く、粘結材由来の揮発分が増してコークス強度は低下している)、装入炭として硬ピッチCの添加量が同じコークス製造試験3と同等以上のドラム強度指数を得ることができたものと考えられる。ここで、コークス製造試験3に比べて、コークス製造試験1でのドラム強度指数が若干高くなっているのは、粘結材を低石炭化度炭に選択的に添加することで、高石炭化度炭よりも脆弱な構造のコークスになり易い低石炭化度炭の粘結性が改善されて、より良好な構造のコークスになったことがひとつの理由として考えられる。
【0044】
[コークス製造試験1(試験No.1-6〜1-9)]
表2に示した配合炭(A+B)での低石炭化度炭Aの量に応じて、低石炭化度炭Aに対して硬ピッチCを外数で15質量%添加した場合(試験No.1-6)、低石炭化度炭Aに対して硬ピッチCを外数で5質量%添加した場合(試験No.1-7)、低石炭化度炭Aに対して硬ピッチCを外数で20質量%添加した場合(試験No.1-8)、及び、低石炭化度炭Aに対して硬ピッチCを外数で3質量%添加した場合(試験No.1-9)について、それ以外は上記試験No.1−1〜1−5のコークス製造試験1と同様にして試験用コークスを製造した。得られた試験用コークスのコークス平均粒度及びドラム強度指数(DI
15015)をコークス製造試験1と同様に測定した。結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
表2に示したように、低石炭化度炭Aに対して硬ピッチCを20質量%(外数)添加した試験No.1−8では、コークスの平均粒度は向上するものの、ドラム強度指数は最も低い値であった。また、低石炭化度炭Aに対して硬ピッチCを3質量%(外数)添加した試験No.1−9では、コークスの平均粒度が最も低い値であった。それに対して、試験No.1−6及び試験No.1−7で得られたコークスは、コークス平均粒度及びドラム強度指数ともに比較的高い値を示し、これらの両立が図られていた。
【0047】
[コークス製造試験5、6]
平均反射率が0.77%の低石炭化度炭D(揮発分34.8%、最高流動度92ddpm)、平均反射率が0.86%の低石炭化度炭E(揮発分35.1%、最高流動度8250ddpm)、及び、平均反射率が1.38%の高石炭化度炭F(揮発分21.3%、最高流動度180ddpm)を用いて配合炭とし、次のようにして試験用コークスを製造するコークス製造試験5、6を行った。
【0048】
先ず、低石炭化度炭Dをハンマー粉砕機で3mm以下が80%になるように粉砕して、表3に示した配合炭(D+E+F)での低石炭化度炭Dの質量に対して、軟ピッチG(軟化点36.8℃、揮発分72.0%)を外数で8質量%となるように添加した(G/Dが8質量%)。次いで、これら低石炭化度炭Dと軟ピッチGとを90℃に加熱しながら、二軸混練機を用いて3分間の混練を行った。得られた混練物については、塊状になったものが認められたため、ハンマー粉砕機を用いて6mm以下になるように解砕した。
【0049】
次いで、低石炭化度炭Eをハンマー粉砕機で3mm以下が80%になるように粉砕すると共に、高石炭化度炭Fをハンマー粉砕機で3mm以下が80%になるように粉砕し、表3に示した配合炭(D+E+F)の配合割合になるようにしながら、上記で低石炭化度炭Dと軟ピッチGとを加熱・混練した混練物と配合し、軟ピッチGと配合炭(D+E+F)との合計82kgを嵩密度800kg/m
3で試験コークス炉に装入した。そして、加熱温度を1250℃、乾留時間を18.5時間とする条件で乾留し、コークス製造試験5に係る試験用コークスを製造した。
【0050】
一方で、低石炭化度炭D、低石炭化度炭E、及び高石炭化度炭Fをそれぞれハンマー粉砕機で3mm以下が80%になるように粉砕し、これらを表3に示した配合炭(D+E+F)の割合になるように配合した。そして、配合炭(D+E+F)の質量に対して軟ピッチGが外数で3.2質量%となるように添加して(G/(D+E+F)が8質量%)、これらを90℃に加熱しながら、二軸混練機を用いて3分間の混練を行った。次いで、得られた混練物をハンマー粉砕機で6mm以下になるように解砕し、軟ピッチGと配合炭(D+E+F)との合計82kgを嵩密度800kg/m
3で試験コークス炉に装入して、コークス製造試験5と同様の乾留条件にてコークス製造試験6に係る試験用コークスを製造した。
コークス製造試験5及び6で得られた各試験用コークスについて、コークス製造試験1と同様にしてコークス平均粒度及びドラム強度指数(DI
15015)を測定した。結果を表3に示す。
【0051】
【表3】
【0052】
表3に示した結果から明らかなように、ドラム強度指数はコークス製造試験5とコークス製造試験6とで大きな差はなかったが、コークス平均粒度については、低石炭化度の一部に対して軟ピッチG(粘結材)を選択的に添加したコークス製造試験5の方が優れることが分かった。すなわち、本発明に係る高炉用コークスの製造方法によれば、コークス平均粒度とドラム強度指数がともに良好なコークスの製造が可能であり、粘結材の働きを従来に比べて効率良く得ることができる。