(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記道路情報に基づいて前記車線変更開始地点よりも自車両の進行方向における前記案内分岐点側であって前記車線変更完了地点よりも前記自車両の進行方向における手前側に第2車線変更禁止線の始点が存在するか否かを判定する禁止線判定手段を備え、
前記禁止線判定手段を介して前記車線変更完了地点よりも前記自車両の進行方向における手前側に前記第2車線変更禁止線の始点が存在すると判定された場合には、前記開始地点設定手段は、該自車両の進行方向における前記第2車線変更禁止線の終端に該自車両の車線変更を開始する車線変更開始地点を再設定することを特徴とする請求項3に記載の自動運転支援装置。
前記制御手段は、前記他車両検出手段を介して検出した前記自車両と前記他車両との相対速度を前記車速検出手段によって検出された前記車速に加算して前記他車両の速度を取得する速度取得手段を有し、
前記完了地点設定手段は、前記自車両が前記他車両の速度で前記車線変更開始地点から所定時間走行した前方に前記車線変更完了地点を設定することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の自動運転支援装置。
制御部と、自車両が走行する道路の車線変更禁止区間の情報を含む道路情報を取得する道路情報取得手段と、を備えた自動運転支援装置で実行される自動運転支援方法であって、
前記制御部が実行する、
自動運転中において、前記自車両の前方に位置する案内分岐点で車線変更を行うか否かを判定する車線変更判定工程と、
前記道路情報に基づいて前記自車両が前記車線変更禁止区間の存在する道路を走行しているか否かを判定する道路判定工程と、
前記車線変更判定工程で前記案内分岐点で車線変更を行うと判定されると共に、前記道路判定工程で前記自車両が前記車線変更禁止区間の存在する道路を走行していると判定された場合には、該自車両の前記車線変更禁止区間内における車線変更を禁止し、且つ、該自車両が該車線変更禁止区間以外の前記案内分岐点までの区間において車線変更するように制御する制御工程と、
減速開始地点を設定する減速開始地点設定工程と、
を備え、
前記制御工程は、前記減速開始地点を通過する前に車線変更する場合には、減速せずに車線変更するように制御し、前記減速開始地点を通過した後に車線変更する場合には、減速して車線変更するように制御することを特徴とする自動運転支援方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る自動運転支援装置、自動運転支援方法及びプログラムをナビゲーション装置について具体化した一実施例に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0012】
[自車両の概略構成]
本実施例に係る自車両1の概略構成について
図1に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施例に係る自車両1は自車両1に対して設置されたナビゲーション装置2と、車両制御ECU(Electronic Control Unit)3とから基本的に構成されている。
【0013】
ここで、ナビゲーション装置2は、自車両1の室内のセンターコンソール又はパネル面に備え付けられ、車両周辺の地図や目的地までの探索経路を表示する液晶ディスプレイ(LCD)15や、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16等を備えている。そして、GPS31等によって自車両1の現在位置を特定するととともに、目的地が設定された場合においては目的地までの複数の経路の探索、並びに設定された案内経路に従った案内を液晶ディスプレイ15やスピーカ16を用いて行う。尚、ナビゲーション装置2の詳細な構成については後述する。
【0014】
車両制御ECU3は、自車両1の全体の制御を行う電子制御ユニットである。また、車両制御ECU3には、ナビゲーション装置2が備える後述のナビゲーション制御部13が接続されている。また、車両制御ECU3には、スピードメータ等を表示する車載ディスプレイ(車載LCD)5、ヒューマンインタフェース(HMI)6、前方撮影用カメラ76A、後方撮影用カメラ76B、ミリ波レーダ77、車速を検出する車速センサ51等が接続されている。
【0015】
車両制御ECU3は、演算装置及び制御装置としてのCPU71、並びにCPU71が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM72、制御用のプログラム等が記録されたROM73等の内部記憶装置を備えている。そして、CPU71は、ナビゲーション装置2のナビゲーション制御部13から受信した案内経路の経路データ、経路上の各リンクの勾配情報、リンク長さ等に基づいて、運転計画を作成する。
【0016】
ヒューマンインタフェース6には、自動運転の開始を指示する自動運転開始ボタン61等が設けられている。ドライバは、高速自動車国道、都市高速道路、一般有料道路等の有料道路において、自動運転開始ボタン61を押下してONすることによって、車両制御ECU3に対して自動運転開始を指示することができる。ここで、自動運転開始ボタン61は、ユーザが押下する度にONとOFFが切り替わる。そして、自動運転開始ボタン61は、ONされると自動運転制御が開始され、一方で自動運転制御の実行中にOFFされると自動運転制御は終了し、ドライバの操作に依る手動運転へと切り替わる。
【0017】
CPU71は、自動運転開始の指示が入力された場合には、運転計画に基づいて、案内経路上において、有料道路の出口の取付道(ランプウェイ)、料金所(インターチェンジ)等に自動運転からドライバによる手動運転に切り替える中断タイミングを設定する。例えば、CPU71は、有料道路の出口の手前側300mの位置に、中断タイミングを設定する。そして、CPU71は、不図示のエンジン装置、ブレーキ装置、電動パワーステアリング等を駆動制御して、案内経路上の中断タイミングまで自動運転を開始する。
【0018】
前方撮影用カメラ76Aは、自車両1のルームミラー付近に取り付けられ、CCDカメラ等により構成されて自車前方を撮影して、画像信号を車両制御ECU3に出力する。後方撮影用カメラ76Bは、自車両1の後端部に取り付けられ、CCDカメラ等により構成されて自車後方を撮影して、画像信号を車両制御ECU3に出力する。CPU71は、前方撮影用カメラ76Aと後方撮影用カメラ76Bから入力された画像信号を画像処理して、自車両1の周辺に存在する他車両の自車両1に対する相対位置を検出し、ナビゲーション装置2へ出力する。また、CPU71は、前方撮影用カメラ76Aと後方撮影用カメラ76Bから入力された画像信号を画像処理して、自車両1の周辺のスペースを検出し、ナビゲーション装置2へ出力する。
【0019】
ミリ波レーダ77は、自車両1の先端部中央位置と後端部中央位置に取り付けられ、自車前方及び自車後方の周辺に存在する他車両までの距離や周辺に存在する他車両の自車両1に対する相対速度を検出して、この検出した周辺に存在する他車両までの距離や周辺に存在する他車両の自車両1に対する相対速度のデータを車両制御ECU3に出力する。CPU71は、ミリ波レーダ77から入力された周辺に存在する他車両までの距離や周辺に存在する他車両の自車両1に対する相対速度のデータに基づいて、自車両1の周辺に存在する他車両の自車両1に対する相対位置及び相対速度を検出し、ナビゲーション装置2へ出力する。
【0020】
[ナビゲーション装置の概略構成]
続いて、ナビゲーション装置2の概略構成について説明する。
図1に示すように、本実施例に係るナビゲーション装置2は、自車の現在位置等を検出する現在地検出処理部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーション制御部13と、操作者からの操作を受け付ける操作部14と、操作者に対して地図等の情報を表示する液晶ディスプレイ(LCD)15と、経路案内等に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、不図示の道路交通情報センタや不図示の地図情報配信センタ等との間で携帯電話網等を介して通信を行う通信装置17と、液晶ディスプレイ15の表面に装着されたタッチパネル18とから構成されている。
【0021】
尚、タッチパネル18に替えて、リモコン、ジョイスティック、マウス、タッチパッド等を設けてもよい。
また、ナビゲーション制御部13には車速センサ51が接続されている。また、ナビゲーション制御部13には、車両制御ECU3が電気的に接続され、自車両1の周辺に存在する他車両の自車両1に対する相対位置関係や相対速度等を取得可能に構成されている。
【0022】
以下に、ナビゲーション装置2を構成する各構成要素について説明すると、現在地検出処理部11は、GPS31等からなり、自車両1の現在位置(以下、「自車位置」という。)、自車方位、走行距離、仰角等を検出することが可能となっている。例えば、ジャイロセンサによって3軸の旋回速度を検出し、方位(水平方向)及び仰角の進行方向をそれぞれ検出することができる。
【0023】
また、通信装置17は、不図示のプローブセンタ、道路交通情報センタ等から配信された最新の交通情報や気象情報を所定時間間隔で(例えば、5分間隔である。)受信することが可能に構成されている。また、この「交通情報」は、例えば、各リンクの旅行時間、道路の渋滞等に関する道路渋滞情報、道路工事、建築工事等による交通規制情報等の交通情報に関する詳細情報である。該詳細情報は、道路渋滞情報の場合、渋滞の実際の長さ、渋滞解消の見込まれる時刻等であり、交通規制情報の場合、道路工事、建築工事等の継続期間、通行止め、片側交互通行、車線規制等の交通規制の種類、交通規制の時間帯等である。通信装置17は、自車両1の周辺車両に搭載された通信装置と双方向通信可能に構成されている。
【0024】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記憶された地図情報データベース(地図情報DB)25及び、所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込むためのドライバ(図示せず)とを備えている。また、地図情報DB25には、ナビゲーション装置2の走行案内や経路探索に使用されるナビ地図情報26が格納されている。
【0025】
ここで、ナビ地図情報26は、経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されており、例えば、各新設道路を特定するための新設道路情報、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、道路(リンク)に関するリンクデータ、経路を探索するための探索データ、施設の一種である店舗等のPOI(Point of Interest)に関する施設データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。
【0026】
また、ノードデータとしては、実際の道路の分岐点(交差点、T字路等も含む)、各道路に曲率半径等に応じて所定の距離ごとに設定されたノードの座標(位置)、ノードの標高、ノードが交差点に対応するノードであるか等を表すノード属性、ノードに接続するリンクの識別番号であるリンクIDのリストである接続リンク番号リスト、ノードにリンクを介して隣接するノードのノード番号のリストである隣接ノード番号リスト等に関するデータ等が記録される。
【0027】
また、リンクデータとしては、道路を構成する各リンクに関してリンクを特定するリンクID、リンクの長さを示すリンク長さ、リンクの始点と終点の座標位置(例えば、緯度と経度である。)、中央分離帯の有無、リンクの勾配、リンクの属する道路の幅員、車線数、法定速度、車線変更禁止線の有無、車線変更禁止線の両端点の座標位置(例えば、緯度と経度である。)、踏切等を表すデータが、コーナに関して、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口及び出口等を表すデータが、道路種別に関して、国道、県道、細街路等の一般道路のほか、高速自動車国道、都市高速道路、一般有料道路、有料橋等の有料道路を表すデータがそれぞれ記録される。
【0028】
更に、有料道路に関して、有料道路の入口及び出口の取付道(ランプウェイ)、料金所(インターチェンジ)、走行区間毎の料金等に関するデータが記録される。尚、高速自動車国道、都市高速道路、自動車専用道路、一般有料道路の有料の道路を有料道路という。また、有料道路を除いた1桁又は2桁の国道、3桁以上の国道、主要地方道、県道、市町村道等を一般道路という。
【0029】
また、探索データとしては、設定された目的地までの経路を探索及び表示する際に使用されるデータについて記録されており、ノードを通過する際のコスト(以下、ノードコストという)や道路を構成するリンクのコスト(以下、リンクコストという)からなる探索コストを算出する為に使用するコストデータ、経路探索により選択された案内経路を液晶ディスプレイ15の地図上に表示するための経路表示データ等から構成されている。このリンクコストは、そのリンクを通過する際にかかる平均旅行時間を示すデータであって、例えば「3(min)」等になっている。
【0030】
また、施設データとしては、各地域のホテル、遊園地、宮殿、病院、ガソリンスタンド、駐車場、駅、空港、フェリー乗り場、インターチェンジ(IC)、ジャンクション(JCT)、サービスエリア、パーキングエリア(PA)等のPOIに関する名称や住所、電話番号、地図上の座標位置(例えば、中心位置、入口、出口等の緯度と経度である。)、地図上に施設の位置を表示する施設アイコンやランドマーク等のデータがPOIを特定する施設IDとともに記憶されている。また、ユーザが登録したコンビニエンスストア、ガソリンスタンド等の登録施設を特定する登録施設IDも記憶されている。
また、地図情報DB25の内容は、不図示の地図情報配信センタから通信装置17を介して配信された更新情報をダウンロードすることによって更新される。
【0031】
また、
図1に示すように、ナビゲーション装置2を構成するナビゲーション制御部13は、ナビゲーション装置2の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラム等が記憶されたROM43等の内部記憶装置や、時間を計測するタイマ45等を備えている。また、ROM43には、後述の側方スペース検出開始地点、減速開始地点、車線変更開始地点、車線変更完了地点等を設定して、車両制御ECU3に対して車線変更指示制御を行う「車線変更支援処理」(
図2参照)等のプログラムが記憶されている。
【0032】
操作部14は、走行開始時の現在位置を修正し、案内開始地点としての出発地及び案内終了地点としての目的地を入力する際や施設に関する情報の検索を行う場合等に操作され、各種のキーや複数の操作スイッチから構成される。そして、ナビゲーション制御部13は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。
【0033】
また、液晶ディスプレイ15には、現在走行中の地図情報、目的地周辺の地図情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在地から目的地までの案内経路、案内経路に沿った案内情報、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。
【0034】
また、スピーカ16は、ナビゲーション制御部13からの指示に基づいて、案内経路に沿った走行を案内する音声ガイダンス等を出力する。ここで、案内される音声ガイダンスとしては、例えば、「200m先、○○交差点を右方向です。」等がある。
【0035】
また、タッチパネル18は、液晶ディスプレイ15の表示画面上に装着された透明なパネル状のタッチスイッチであり、液晶ディスプレイ15の画面に表示されたボタンや地図上を押下することによって各種指示コマンドの入力等をすることが可能に構成されている。尚、タッチパネル18は、液晶ディスプレイ15の画面を直接押下する光センサ液晶方式等で構成してもよい。
【0036】
[車線変更支援処理]
次に、上記のように構成された自車両1において、ナビゲーション装置2のCPU41によって実行される処理であって、側方スペース検出開始地点、減速開始地点、車線変更開始地点、車線変更完了地点等を設定して、車両制御ECU3に対して車線変更指示制御を行う「車線変更支援処理」について
図2乃至
図10に基づいて説明する。尚、
図2にフローチャートで示されるプログラムは、自動運転を開始した旨の信号が車両制御ECU3から入力された場合に、自動運転を継続している間、所定時間毎に、例えば、0.1秒毎に実行される処理である。また、車両制御ECU3は、有料道路上で自動運転開始ボタン61が押下されてONされた場合には、自動運転を開始した後、自動運転を開始した旨を表す自動運転開始信号をナビゲーション装置2に出力する。
【0037】
図2に示すように、先ず、ステップ(以下、Sと略記する)11において、ナビゲーション装置2のCPU41は、自車位置を現在地検出処理部11の検出結果に基づいて取得する。そして、CPU41は、自車両1の進行方向前方の経路情報を取得する。例えば、CPU41は、自車位置から案内経路(走行予定経路)に沿って10km以内の経路情報を取得する。続いて、CPU41は、自車前方に車線変更が必要な案内分岐点が存在するか否か、つまり、車線変更が必要か否かを判定する判定処理を実行する。そして、自車前方に車線変更が必要な案内分岐点が存在しないと判定した場合には(S11:NO)、CPU41は、当該処理を終了する。
【0038】
一方、自車前方に車線変更が必要な案内分岐点が存在すると判定した場合には(S11:YES)、CPU41は、S12の処理に移行する。S12において、CPU41は、自車位置から案内経路(走行予定経路)に沿って車線変更禁止線で区画された車線変更禁止区間を除いた、自車位置から自車前方の車線変更が必要な案内分岐点までの道なり距離を取得して、自車位置から当該案内分岐点までの距離としてRAM42に記憶する。
【0039】
例えば、
図5に示すように、CPU41は、自車両1が位置する自車位置から、案内経路81に沿って、車線変更禁止線83で区画された各車線変更禁止区間X1、X2、X3を除いた、自車位置から自車前方の車線変更が必要な案内分岐点82までの道なり距離(L1+L2)(m)をナビ地図情報26に基づいて算出し、自車位置から案内分岐点82までの距離として記憶する。
【0040】
続いて、CPU41は、自車位置から当該案内分岐点までの距離が、車線変更できるスペースの検出を開始する距離に達したか否か、つまり、自車位置が車線変更できるスペースの検出を開始する側方検出開始地点に到達したか否か、即ち、側方検出開始地点を通過したか否かを判定する判定処理を実行する。尚、CPU41は、自車位置から自車前方の車線変更が必要な案内分岐点までの距離が、例えば、3km以下になったときに、自車位置が側方検出開始地点に到達した、即ち、側方検出開始地点を通過したと判定する。
【0041】
そして、自車位置から当該案内分岐点までの距離が、車線変更できるスペースの検出を開始する距離に達していない、つまり、自車位置が側方検出開始地点に到達していないと判定した場合には(S12:NO)、CPU41は、当該処理を終了する。
一方、自車位置から当該案内分岐点までの距離が、車線変更できるスペースの検出を開始する距離に達した、つまり、自車位置が側方検出開始地点に到達した、即ち、側方検出開始地点を通過したと判定した場合には(S12:YES)、CPU41は、S13の処理に移行する。
【0042】
S13において、CPU41は、車両制御ECU3に対して、車線変更する変更車線における自車両1の周辺の側方のスペースを測定するように要求する。これにより、車両制御ECU3のCPU71は、変更車線における自車両1の側方のスペースを、前方撮影用カメラ76Aによって撮影した画像データと後方撮影用カメラ76Bによって撮影した画像データとを画像処理して、又は、ミリ波レーダ77によって測定して、ナビゲーション装置2へ出力する。
【0043】
そして、CPU41は、車線変更する変更車線における自車両1の側方のスペースの距離等のデータ、例えば、変更車線における他車両の自車両1に対する相対位置関係及び相対速度のデータ等を車両制御ECU3から受信すると、これらのデータをRAM42に記憶した後、S14の処理に移行する。
【0044】
S14において、CPU41は、自車位置を現在地検出処理部11の検出結果に基づいて取得する。そして、CPU41は、自車位置が車線変更を開始するための減速を開始する減速開始地点に到達したか否か、即ち、減速開始地点を通過したか否かを判定する判定処理を実行する。尚、CPU41は、自車位置から自車前方の車線変更が必要な案内分岐点までの距離が、例えば、2km以下になったときに、自車位置が減速開始地点に到達した、即ち、減速開始地点を通過したと判定する。そして、自車位置が減速開始地点に到達していない、つまり、減速開始地点を通過していないと判定した場合には(S14:NO)、CPU41は、S15の処理に移行する。
【0045】
S15において、CPU41は、車線変更する変更車線における自車両1の側方のスペースの距離等のデータ、例えば、変更車線における他車両の自車両1に対する相対位置関係のデータをRAM42から読み出す。そして、CPU41は、自車両1の車線変更側の側方に、車線変更できるスペースが存在するか否かを判定する判定処理を実行する。そして、自車両1の車線変更側の側方に、車線変更できるスペースが存在しないと判定した場合には(S15:NO)、CPU41は、当該処理を終了する。一方、自車両1の車線変更側の側方に、車線変更できるスペースが存在すると判定した場合には(S15:YES)、CPU41は、後述のS18の処理に移行する。
【0046】
他方、S14で、自車位置が減速開始地点に到達した、つまり、減速開始地点を通過したと判定した場合には(S14:YES)、CPU41は、S16の処理に移行する。S16において、CPU41は、前記S15の処理を実行する。そして、自車両1の車線変更側の側方に、車線変更できるスペースが存在すると判定した場合には(S16:YES)、CPU41は、後述のS18の処理に移行する。一方、自車両1の車線変更側の側方に、車線変更できるスペースが存在しないと判定した場合には(S16:NO)、CPU41は、S17の処理に移行する。
【0047】
S17において、CPU41は、後述の「スペース確保減速処理」のサブ処理(
図3参照)を実行した後、S18の処理に移行する。S18において、CPU41は、自車位置を現在地検出処理部11の検出結果に基づいて取得する。続いて、CPU41は、ナビ地図情報26に基づいて、自車位置が車線変更禁止線で区画された車線変更禁止区間にいないか否か、つまり、自車両1が車線変更禁止区間を走行していないか否かを判定する判定処理を実行する。
そして、自車位置が車線変更禁止線で区画された車線変更禁止区間にいる、つまり、自車両1が車線変更禁止区間を走行していると判定した場合には(S18:NO)、CPU41は、当該処理を終了する。一方、自車位置が車線変更禁止線で区画された車線変更禁止区間にいない、つまり、自車両1が車線変更禁止区間を走行していないと判定した場合には(S18:YES)、CPU41は、S19の処理に移行する。
【0048】
S19において、CPU41は、ナビ地図情報26に基づいて、自車位置から前方一定距離以内、例えば、100m以内に車線変更禁止線の自車両1の進行方向における始点が存在しないか否かを判定する判定処理を実行する。そして、自車位置から前方一定距離以内、例えば、100m以内に車線変更禁止線の自車両1の進行方向における始点が存在すると判定した場合には(S19:NO)、CPU41は、当該処理を終了する。一方、自車位置から前方一定距離以内、例えば、100m以内に車線変更禁止線の自車両1の進行方向における始点が存在しないと判定した場合には(S19:YES)、CPU41は、S20の処理に移行する。
【0049】
S20において、CPU41は、車両制御ECU3に対して、側方の変更車線に車線変更をするように要求する。これにより、車両制御ECU3のCPU71は、不図示のエンジン装置、ブレーキ装置、電動パワーステアリング等を駆動制御して、車線変更を行う。
【0050】
ここで、自車両1が側方検出開始地点を通過した際に、自車両1の側方に車線変更することができるスペースがある場合の、具体的な車線変更の一例について
図6、
図7に基づいて説明する。
【0051】
例えば、
図6に示すように、CPU41は、自車位置が側方検出開始地点85に到達した、即ち、側方検出開始地点85を通過したと判定した場合には(S12:YES)、車両制御ECU3に対して、車線変更する変更車線における自車両1の側方のスペースを測定するように要求する。そして、CPU41は、自車両1の側方に車線変更することができるスペースがある旨のデータを車両制御ECU3から受信する(S13)。
【0052】
そして、自車両1は、減速開始地点86に到達しておらず(S14:NO)、また、自車両1の側方に車線変更することができるスペースがあって(S15:YES)、自車位置が車線変更禁止区間に位置していない(S18:YES)、更に、自車位置から前方一定距離以内に車線変更禁止線の自車両1の進行方向における始点が存在しないため(S19:YES)、CPU41は、車両制御ECU3に対して、側方の変更車線に車線変更をするように要求する。これにより、車両制御ECU3のCPU71は、不図示のエンジン装置、ブレーキ装置、電動パワーステアリング等を駆動制御して、減速制御をすることなく、通常走行のまま、左車線87から右車線88へ車線変更を行う(S20)。
【0053】
また、例えば、
図7に示すように、CPU41は、自車位置が側方検出開始地点85に到達した、即ち、側方検出開始地点85を通過したと判定した場合には(S12:YES)、車両制御ECU3に対して、車線変更する変更車線における自車両1の側方のスペースを測定するように要求する。そして、CPU41は、自車両1の側方に車線変更することができるスペースがある旨のデータを車両制御ECU3から受信する(S13)。
【0054】
そして、自車両1は、減速開始地点86に到達しておらず(S14:NO)、また、自車両1の側方に車線変更することができるスペースがあって(S15:YES)、自車位置が車線変更禁止区間に位置していない(S18:YES)が、自車位置から前方一定距離以内に車線変更禁止線83の自車両1の進行方向における始点83Aが存在するため(S19:NO)、CPU41は、車線変更の要求を車両制御ECU3へ要求しない。つまり、CPU41は、車線変更開始を遅らせる。
【0055】
その後、自車両1の進行方向における前方端部が、車線変更禁止線83の自車両1の進行方向における終点83Bに達した際に(S12:YES)、車両制御ECU3に対して、車線変更する変更車線における自車両1の側方のスペースを測定するように要求する。そして、CPU41は、自車両1の側方に車線変更することができるスペースがある旨のデータを車両制御ECU3から受信する(S13)。
【0056】
そして、自車両1は、減速開始地点86に到達しておらず(S14:NO)、また、自車両1の側方に車線変更することができるスペースがあって(S15:YES)、自車位置が車線変更禁止区間に位置していない(S18:YES)、更に、自車位置から前方一定距離以内に車線変更禁止線の自車両1の進行方向における始点が存在しないため(S19:YES)、CPU41は、車両制御ECU3に対して、側方の変更車線に車線変更をするように要求する。これにより、車両制御ECU3のCPU71は、不図示のエンジン装置、ブレーキ装置、電動パワーステアリング等を駆動制御して、減速制御をすることなく、通常走行のまま、左車線87から右車線88へ車線変更を行う(S20)。
【0057】
続いて、
図2に示すように、S21において、CPU41は、スペースフラグをRAM42から読み出して、このスペースフラグをOFFに設定して再度、RAM42に記憶した後、当該処理を終了する。尚、ナビゲーション装置2の起動時に、スペースフラグは、OFFに設定されてRAM42に記憶される。
【0058】
[スペース確保減速処理]
次に、S17でCPU41が実行する「スペース確保減速処理」のサブ処理について
図3、
図4、
図8乃至
図10に基づいて説明する。
図3に示すように、先ず、S111において、CPU41は、RAM42からスペースフラグを読み出し、OFFに設定されているか否かを判定する判定処理を実行する。そして、スペースフラグがONに設定されていると判定した場合には(S111:NO)、CPU41は、後述のS127の処理に移行する。
【0059】
一方、スペースフラグがOFFに設定されていると判定した場合には(S111:YES)、CPU41は、S112の処理に移行する。S112において、CPU41は、車両制御ECU3に対して、車線変更する変更車線における自車両1の後方、つまり、自車後側方Y1(m)の範囲内、例えば、自車後側方200mの範囲内における車間スペースを測定するように要求する。これにより、車両制御ECU3のCPU71は、変更車線における自車後側方Y1(m)の範囲内における車間スペースを、後方撮影用カメラ76Bによって撮影した画像データを画像処理して、又は、ミリ波レーダ77によって測定して、ナビゲーション装置2へ出力する。
【0060】
そして、CPU41は、車線変更する変更車線における自車後側方Y1(m)の範囲内における車間スペースの距離等のデータ、例えば、変更車線の自車後側方Y1(m)の範囲内における他車両の自車両1に対する相対位置関係及び相対速度のデータ等を車両制御ECU3から受信すると、これらのデータをRAM42に記憶した後、S113の処理に移行する。S113において、CPU41は、変更車線の自車後側方Y1(m)の範囲内における他車両の車間スペースのうち、最も広い車間スペースを自車両1が車線変更して進入する「車線変更対象場所」に設定してRAM42に記憶する。
【0061】
例えば、
図8に示すように、自車位置が減速開始地点86に対して自車両1の進行方向における手前側に位置している際に(
図8中、自車両1は減速開始地点86の左側に位置している。)、自車両1の側方に位置する各他車両91、92の間には、車線変更できるスペースが無い。一方、自車両1の自車後側方Y1(m)の範囲内に位置する各他車両92、93の間に、つまり、他車両92の後端部から他車両93の前端部までの間に、自車両1が車線変更して進入できる最も広い車間スペースが存在する。この場合には、CPU41は、他車両92の後端部から他車両93の前端部までの車間スペースを、自車両1が車線変更して進入する車線変更対象場所95に設定してRAM42に記憶する。
【0062】
続いて、
図3に示すように、S114において、CPU41は、変更車線の自車後側方Y1(m)の範囲内における他車両の自車両1に対する相対位置関のデータをRAM42から読み出し、自車両1の前端部から、車線変更対象場所の前端まで、つまり、車線変更対象場所の進行方向前方にいる他車両の後端部までの距離L3(m)(
図8参照)を検出して、RAM42に記憶する。
【0063】
そして、S115において、CPU41は、変更車線の自車後側方Y1(m)の範囲内における他車両の自車両1に対する相対位置関及び相対速度のデータをRAM42から読み出し、車線変更対象場所の進行方向前方にいる他車両(
図8中、他車両92である。)の自車両1に対する相対速度を検出する。そして、CPU41は、車速センサ51により自車両1の車速を取得して、この車速に相対速度を加算して、車線変更対象場所の進行方向前方にいる他車両の速度V1としてRAM42に記憶する。
【0064】
続いて、S116において、CPU41は、車線変更対象場所の進行方向前方にいる他車両の速度V1から10%〜20%減速した減速度V2、好ましくは、約10%減速した減速度V2を、自車両1の減速開始地点から走行する車速として設定し、RAM42に記憶する。例えば、
図8に示すように、他車両92の車速が速度V1の場合には、速度V1から約10%減速した減速度V2を、自車両1の減速開始地点86から走行する車速としてRAM42に記憶する。
【0065】
そして、S117において、CPU41は、自車両1が減速開始地点から減速度V2で走行して、自車両1の進行方向前端部と車線変更対象場所の前端部、つまり、車線変更対象場所の進行方向前方にいる他車両の後端部とが、ほぼ隣り合う地点の座標位置(例えば、緯度と経度である。)を車線変更を開始する車線変更開始地点の座標位置として設定し、RAM42に記憶する。
【0066】
具体的には、CPU41は、自車両1の前端部から車線変更対象場所の進行方向前方にいる他車両の後端部までの距離L3(m)を当該他車両の速度V1と減速度V2との速度差で除算した走行時間に、当該他車両の速度V1を掛け算して、減速開始地点から車線変更開始地点までの距離とする。そして、CPU41は、減速開始点からの道なり距離が、この算出した距離になる地点の座標位置をナビ地図情報26に基づいて取得し、当該座標位置を車線変更開始地点の座標位置としてRAM42に記憶する。尚、車線変更開始地点から自車前方の車線変更が必要な案内分岐点までの距離は、約1000m〜約700mに設定されるのが望ましい。
【0067】
例えば、
図8に示すように、CPU41は、自車両1が減速開始地点86から減速度V2で走行して、自車両1の前端部と他車両92の後端部である車線変更対象場所95の前端部とが、ほぼ隣り合う地点の座標位置(例えば、緯度と経度である。)を車線変更を開始する車線変更開始地点96の座標位置として設定し、RAM42に記憶する。
【0068】
続いて、S118において、CPU41は、車線変更開始地点が車線変更禁止区間内に位置していないか否かを判定する判定処理を実行する。そして、車線変更開始地点が車線変更禁止区間内に位置していないと判定した場合には(S118:YES)、CPU41は、後述のS121の処理に移行する。一方、車線変更開始地点が車線変更禁止区間内に位置していると判定した場合には(S118:NO)、CPU41は、S119の処理に移行する。
【0069】
S119において、CPU41は、ナビ地図情報26に基づいて、車線変更開始地点が位置する車線変更禁止区間を区画する車線変更禁止線の自車両1の進行方向における終点の座標位置(例えば、緯度と経度である。)を取得する。そして、S120において、CPU41は、当該車線変更禁止線の自車両1の進行方向における終点の座標位置を新たな車線変更開始地点として設定し、RAM42に記憶する。
【0070】
例えば、
図9に示すように、自車両1の車線変更開始地点96が、車線変更禁止区間X4内に位置している場合には(S118:NO)、CPU41は、車線変更禁止区間X4を区画している車線変更禁止線83において、自車両1の進行方向における終点83Bの座標位置をナビ地図情報26に基づいて取得する(S119)。そして、CPU41は、車線変更開始地点96に替えて、車線変更禁止線83の自車両1の進行方向における終点83Bの座標位置を、新たな車線変更開始地点97として設定し、この座標位置を新たな車線変更開始地点97としてRAM42に記憶する(S120)。
【0071】
その後、
図3に示すように、S121において、CPU41は、車線変更開始地点から所定距離前方に、例えば、自車両1が他車両の速度V1で10秒程度走行する200m〜300m前方に、車線変更を完了する地点である車線変更完了地点を設定する。そして、CPU41は、この車線変更完了地点の座標位置をナビ地図情報26に基づいて取得し、RAM42に記憶する。
【0072】
例えば、
図10に示すよう、CPU41は、自車両1が車線変更開始地点96から他車両の速度V1で10秒程度走行する200m〜300m前方の位置に車線変更完了地点98を設定する。そして、CPU41は、この車線変更完了地点98の座標位置をナビ地図情報26に基づいて取得し、RAM42に記憶する。
【0073】
続いて、
図4に示すように、S122において、CPU41は、車線変更完了地点から手前側に車線変更禁止線(第2車線変更禁止線)の自車両1の進行方向における始点が存在しないか否かを判定する判定処理を実行する。つまり、CPU41は、ナビ地図情報26に基づいて、車線変更完了地点が車線変更禁止区間内に位置しているか否かを判定する判定処理を実行する。そして、車線変更完了地点から手前側に車線変更禁止線(第2車線変更禁止線)の自車両1の進行方向における始点が存在しない、つまり、車線変更完了地点が車線変更禁止区間内に位置しないと判定した場合には(S122:YES)、CPU41は、後述のS126の処理に移行する。
【0074】
一方、車線変更完了地点から手前側に車線変更禁止線(第2車線変更禁止線)の自車両1の進行方向における始点が存在する、つまり、車線変更完了地点が車線変更禁止区間内に位置すると判定した場合には(S122:NO)、CPU41は、S123の処理に移行する。S123において、CPU41は、ナビ地図情報26に基づいて、車線変更完了地点が位置する車線変更禁止区間を区画する車線変更禁止線(第2車線変更禁止線)の自車両1の進行方向における終点の座標位置(例えば、緯度と経度である。)を取得する。
【0075】
そして、S124において、CPU41は、当該車線変更禁止線(第2車線変更禁止線)の自車両1の進行方向における終点の座標位置を新たな車線変更開始地点として設定し、RAM42に記憶する。続いて、S125において、CPU41は、当該車線変更禁止線(第2車線変更禁止線)の自車両1の進行方向における終点から所定距離前方に、例えば、自車両1が他車両の速度V1で10秒程度走行する200m〜300m前方に、新たな車線変更完了地点を設定する。そして、CPU41は、この新たな車線変更完了地点の座標位置をナビ地図情報26に基づいて取得し、RAM42に記憶する。
【0076】
例えば、
図10に示すように、CPU41は、車線変更完了地点98から手前側に車線変更禁止線99(第2車線変更禁止線)の自車両1の進行方向における始点99Aが存在する、つまり、車線変更完了地点98が車線変更禁止区間X5内に位置すると判定した場合には(S122:NO)、ナビ地図情報26に基づいて、車線変更禁止線99の自車両1の進行方向における終点99Bの座標位置を取得する(S123)。
【0077】
そして、CPU41は、車線変更開始地点96に替えて、車線変更禁止線99の自車両1の進行方向における終点99Bの座標位置を新たな車線変更開始地点101として設定し、車線変更開始地点101の座標位置をRAM42に記憶する(S124)。続いて、CPU41は、車線変更禁止線99の自車両1の進行方向における終点99Bから所定距離前方に、例えば、自車両1が他車両の速度V1で10秒程度走行する200m〜300m前方に、新たな車線変更完了地点102を設定する。そして、CPU41は、この新たな車線変更完了地点102の座標位置をナビ地図情報26に基づいて取得し、RAM42に記憶する。
【0078】
その後、
図4に示すように、S126において、CPU41は、スペースフラグをRAM42から読み出して、このスペースフラグをONに設定して再度、RAM42に記憶する。続いて、S127において、CPU41は、S116で設定した減速度V2、及び、他車両の速度V1と、S121、又は、S121及びS125で設定した車線変更完了地点の座標位置とをRAM42から読み出し、車両制御ECU3へ送信する。そして、CPU41は、減速開始地点から車線変更開始地点まで減速度V2で走行して、車線変更できる車間スペースを確保するように車両制御ECU3に指示した後、当該「スペース確保減速処理」のサブ処理を終了して、メインフローチャートに戻り、S18の処理に移行する。
【0079】
ここで、自車両1が減速開始地点から車線変更開始地点まで減速した後、車線変更開始地点で車線変更する具体的な一例について
図8乃至
図10に基づいて説明する。
例えば、
図8に示すように、車線変更開始地点96が車線変更禁止区間内にない場合には、CPU41は、減速開始地点86から車線変更開始地点96まで減速度V2で走行するように、車両制御ECU3に対して指示する(S127)。これにより、車両制御ECU3のCPU71は、減速開始地点86から車線変更開始地点96まで減速度V2で走行するように、不図示のエンジン装置、ブレーキ装置、電動パワーステアリング等を駆動制御する。
【0080】
そして、CPU41は、現在地検出処理部11の検出結果に基づいて自車位置を取得し、自車両1の進行方向における前方端部1Aが、車線変更開始地点96に到達したと判定した場合には、他車両92の速度V1と同じ速度V1で側方の変更車線に車線変更をするように、車両制御ECU3に対して指示する。これにより、車両制御ECU3のCPU71は、不図示のエンジン装置、ブレーキ装置、電動パワーステアリング等を駆動制御して、速度V1で左車線87から右車線88へ車線変更して、車線変更完了地点に到達するまでに車線変更対象場所95に進入する(S20)。
【0081】
また例えば、
図9に示すように、車線変更開始地点96が車線変更禁止区間内にある場合には、CPU41は、減速開始地点86から元の車線変更開始地点96まで減速度V2で走行した後、元の車線変更開始地点96から新たな車線変更開始地点97まで他車両92の速度V1と同じ速度V1で走行するように、車両制御ECU3に対して指示する(S127)。これにより、車両制御ECU3のCPU71は、減速開始地点86から元の車線変更開始地点96まで減速度V2で走行した後、元の車線変更開始地点96から新たな車線変更開始地点97まで他車両92の速度V1と同じ速度V1で走行するように、不図示のエンジン装置、ブレーキ装置、電動パワーステアリング等を駆動制御する。
【0082】
そして、CPU41は、現在地検出処理部11の検出結果に基づいて自車位置を取得し、自車両1の進行方向における前方端部1Aが、新たな車線変更開始地点97に到達したと判定した場合には、他車両92の速度V1と同じ速度V1で側方の変更車線に車線変更をするように、車両制御ECU3に対して指示する。これにより、車両制御ECU3のCPU71は、不図示のエンジン装置、ブレーキ装置、電動パワーステアリング等を駆動制御して、速度V1で左車線87から右車線88へ車線変更して、車線変更完了地点に到達するまでに車線変更対象場所95に進入する(S20)。
【0083】
また例えば、
図10に示すように、車線変更完了地点98が車線変更禁止区間X5内にある場合には、CPU41は、減速開始地点86から元の車線変更開始地点96まで減速度V2で走行した後、元の車線変更開始地点96から新たな車線変更開始地点101まで他車両92の速度V1と同じ速度V1で走行するように、車両制御ECU3に対して指示する(S127)。これにより、車両制御ECU3のCPU71は、減速開始地点86から元の車線変更開始地点96まで減速度V2で走行した後、元の車線変更開始地点96から新たな車線変更開始地点101まで他車両92の速度V1と同じ速度V1で走行するように、不図示のエンジン装置、ブレーキ装置、電動パワーステアリング等を駆動制御する。
【0084】
そして、CPU41は、現在地検出処理部11の検出結果に基づいて自車位置を取得し、自車両1の進行方向における前方端部1Aが、新たな車線変更開始地点101に到達したと判定した場合には、他車両92の速度V1と同じ速度V1で側方の変更車線に車線変更をするように、車両制御ECU3に対して指示する。これにより、車両制御ECU3のCPU71は、不図示のエンジン装置、ブレーキ装置、電動パワーステアリング等を駆動制御して、速度V1で左車線87から右車線88へ車線変更して、車線変更完了地点102に到達するまでに車線変更対象場所95に進入する(S20)。
【0085】
以上詳細に説明した通り、本実施例に係る自車両1では、ナビゲーション装置2のCPU41は、減速度V2を設定した後、車線変更開始地点を設定した際に、車線変更開始地点が車線変更禁止区間内にある場合には、当該車線変更禁止区間を区画する車線変更禁止線の自車両1の進行方向における終点に車線変更開始地点を再設定する。これにより、車線変更禁止線が存在する道路において、自動運転により車線変更禁止線が途切れるタイミングで車線変更することが可能となる。従って、車線変更が必要な案内分岐点までの車線変更禁止区間の区間外において、自動運転により車線変更することが可能となる。
【0086】
また、CPU41は、車線変更開始地点から所定距離前方に、例えば、自車両1が他車両の速度V1で10秒程度走行する200m〜300m前方に、車線変更を完了する地点である車線変更完了地点を設定する。これにより、CPU41は、車線変更開始地点において、車速を減速することなく車線変更を行うように車両制御ECU3に指示することが可能となる。
【0087】
また、CPU41は、車線変更完了地点を設定した場合に、車線変更完了地点から手前側に車線変更禁止線の自車両1の進行方向における始点が存在する場合には、当該車線変更禁止線の終点に車線変更開始地点を再設定する。そして、CPU41は、新たな車線変更開始地点から所定距離前方に新たな車線変更完了地点を設定する。これにより、車線変更禁止線が存在する道路において、自動運転により車線変更開始後、車線変更禁止線を横切って変更車線に進入することを確実に防止することができる。また、車線変更禁止線が存在する道路において、自動運転により車線変更禁止線が途切れるタイミングで車線変更することが可能となる。
【0088】
また、自車後側方Y1(m)の範囲内に車線変更可能な車間スペースがある場合には、CPU41は、他車両の自車両1に対する相対位置関及び相対速度に基づいて、車線変更対象場所の進行方向前方にいる他車両の速度V1から10%〜20%減速した減速度V2を設定する。そして、CPU41は、この減速度V2で走行して自車両1の前方端部と車線変更対象場所の前端部とがほぼ隣り合う地点に車線変更開始地点を設定する。これにより、車両制御ECU3は、減速開始地点を通過した場合に、減速度V2で走行するように制御することによって、車線変更開始地点に到達した際に、自車両の前端部と車線変更対象場所の前端部とが隣り合うため、車線変更を開始して車線変更対象場所に進入して、自動運転により車線変更を行うことが可能となる。
【0089】
また、CPU41は、自車前方の車線変更が必要な案内分岐点までの距離が、例えば、3km以下になったときに、自車位置が側方検出開始地点に到達したと判定する。そして、CPU41は、自車両1の側方のスペースを測定して、側方に車線変更できるスペースが存在する場合には、車両制御ECU3に対して、側方の変更車線に車線変更をするように要求する。また、この場合に、自車位置から前方一定距離以内に車線変更禁止線の自車両1の進行方向における始点が存在し、減速開始地点に到達していない場合には、この車線変更禁止線の終点において、車両制御ECU3に対して、側方の変更車線に車線変更をするように要求する。これにより、自動運転中において、自車両1は減速することなく車線変更をすることができる。
【0090】
尚、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。本発明の前記実施例においては、車両の操作のうち、車両の挙動に関する操作である、アクセル操作、ブレーキ操作およびハンドル操作のすべての操作を車両制御ECU3が制御することをドライバの操作に依らない自動運転として説明してきた。しかし、ドライバの操作に依らない自動運転とは車両の操作のうち、車両の挙動に関する操作である、アクセル操作、ブレーキ操作およびハンドル操作の少なくとも一の操作を車両制御ECU3が制御するようにしてもよい。一方、ドライバの操作に依る手動運転とは車両の操作のうち、車両の挙動に関する操作である、アクセル操作、ブレーキ操作およびハンドル操作をドライバが行うこととして説明してきた。
【0091】
また、本発明に係る自動運転支援装置を具体化した実施例について上記に説明したが、自動運転支援装置は以下の構成を有することも可能であり、その場合には以下の効果を奏する。
【0092】
例えば、第1の構成は以下の通りである。
前記制御手段は、前記自車両から前記案内分岐点までの区間において、前記車線変更禁止区間以外の区間の距離が車線変更できる距離以上であるか否かを判定する距離判定手段と、前記距離判定手段を介して前記車線変更禁止区間以外の区間の距離が車線変更できる距離以上であると判定された場合には、該車線変更禁止区間以外の区間に対して、前記自車両の進行方向において手前側に位置する前記
車線変更禁止区間を示す車線変更禁止線の該自車両の進行方向における終端に、該自車両の車線変更を開始する車線変更開始地点を設定する開始地点設定手段と、を有することを特徴とする。
上記構成を有する自動運転支援装置によれば、車線変更禁止区間以外の区間の距離が車線変更できる距離以上である場合には、該車線変更禁止区間以外の区間に対して、自車両の進行方向において手前側に位置する車線変更禁止線の該自車両の進行方向における終端に、車線変更開始地点を設定する。これにより、車線変更禁止線が途切れるタイミングで、確実に車線変更を開始することができ、車線変更禁止区間以外の区間内で車線変更することが可能となる。
【0093】
また、第2の構成は以下の通りである。
前記自車両の走行中の車速を検出する車速検出手段を備え、前記制御手段は、前記車線変更開始地点の前記自車両の進行方向における前方に車線変更を完了する車線変更完了地点を前記車速検出手段によって検出された前記車速に基づいて設定する完了地点設定手段を有することを特徴とする。
上記構成を有する自動運転支援装置によれば、車線変更を完了する車線変更完了地点を車速に基づいて、車線変更開始地点の自車両の進行方向における前方に設定するため、車線変更開始地点において、車速を減速することなく車線変更を行うことが可能となる。
【0094】
また、第3の構成は以下の通りである。
前記道路情報に基づいて
前記車線変更開始地点よりも自車両の進行方向における前記案内分岐点側であって前記車線変更完了地点よりも前記自車両の進行方向における手前側に第2車線変更禁止線の始点が存在するか否かを判定する禁止線判定手段を備え、前記禁止線判定手段を介して前記車線変更完了地点よりも前記自車両の進行方向における手前側に前記第2車線変更禁止線の始点が存在すると判定された場合には、前記開始地点設定手段は、該自車両の進行方向における前記第2車線変更禁止線の終端に該自車両の車線変更を開始する車線変更開始地点を再設定することを特徴とする。
上記構成を有する自動運転支援装置によれば、
車線変更開始地点よりも自車両の進行方向における案内分岐点側であって、車線変更完了地点よりも自車両の進行方向における手前側に第2車線変更禁止線の始点が存在する場合には、第2車線変更禁止線の終端に自車両の車線変更を開始する車線変更開始地点を再設定する。これにより、自車両の進行方向における車線変更禁止線の終端から第2車線変更禁止線の始点までの距離が短い場合にも、第2車線変更禁止線の終点に車線変更開始地点を再設定して、自動運転により車線変更禁止線が途切れるタイミングで車線変更することが可能となる。
【0095】
また、第4の構成は以下の通りである。
前記自車両と該自車両が車線変更する変更車線を走行する他車両との位置関係及び相対速度を検出する他車両検出手段と、前記他車両検出手段を介して検出した前記自車両と前記他車両との位置関係及び相対速度に基づいて、前記車線変更開始地点に到達するまでに減速する必要があるか否かを判定する減速判定手段と、
を備え、前記減速開始地点設定手段は、前記減速判定手段を介して前記車線変更開始地点に到達するまでに減速する必要があると判定された場合には、前記車線変更開始地点よりも前記自車両の進行方向における手前側に減速を開始する
前記減速開始地点を設定
し、前記制御手段は、前記減速開始地点を通過した場合に、減速を開始するように制御することを特徴とする。
上記構成を有する自動運転支援装置によれば、自車両と該自車両が車線変更する変更車線を走行する他車両との位置関係及び相対速度に基づいて、車線変更開始地点に到達するまでに減速する必要があると判定された場合には、車線変更開始地点よりも自車両の進行方向における手前側に減速開始地点を設定する。そして、自車両が減速開始地点を通過した場合に、減速を開始するように制御する。これにより、車線変更開始地点よりも自車両の進行方向における手前側に減速開始地点を設定し、自車両が減速開始地点を通過した場合に、減速を開始するように制御するため、車線変更開始地点に到達した際に、他車両との位置関係を変更して、車線変更することが可能となる。
【0096】
また、第5の構成は以下の通りである。
前記自車両の走行中の車速を検出する車速検出手段を備え、前記減速判定手段は、前記車速検出手段によって検出した車速で前記自車両が前記車線変更開始地点に達した場合に、前記変更車線における前記他車両の位置に対して該自車両が車線変更できるスペースが存在するか否かを判定するスペース判定手段を有し、該減速判定手段は、前記スペース判定手段を介して前記自車両が車線変更できるスペースが存在すると判定された場合には、前記車線変更開始地点に到達するまでに減速する必要はないと判定し、前記スペース判定手段を介して前記自車両が車線変更できるスペースが存在しないと判定された場合には、前記車線変更開始地点に到達するまでに減速する必要があると判定することを特徴とする。
上記構成を有する自動運転支援装置によれば、自車両が車線変更開始地点に達した場合に、変更車線における他車両の位置に対して該自車両が車線変更できるスペースが存在する場合には、車線変更開始地点に到達するまで減速しないため、減速することなく車線変更することができる。一方、自車両が車線変更開始地点に達した場合に、変更車線における他車両の位置に対して該自車両が車線変更できるスペースが存在しない場合には、車線変更開始地点よりも自車両の進行方向における手前側に減速開始地点が設定される。これにより、自車両が減速開始地点を通過した場合に、減速を開始するように制御されるため、車線変更開始地点に到達した際に、変更車線における他車両の位置に対して該自車両が車線変更できるスペースを形成して、車線変更することが可能となる。
また、第6の構成は以下の通りである。
前記制御手段は、前記他車両検出手段を介して検出した前記自車両と前記他車両との相対速度を前記車速検出手段によって検出された前記車速に加算して前記他車両の速度を取得する速度取得手段を有し、前記完了地点設定手段は、前記自車両が前記他車両の速度で前記車線変更開始地点から所定時間走行した前方に前記車線変更完了地点を設定することを特徴とする。
上記構成を有する自動運転支援装置によれば、自車両と他車両との相対速度を自車両の車速に加算して他車両の速度を取得し、自車両が他車両の速度で車線変更開始地点から所定時間走行した前方に車線変更完了地点を設定するため、車線変更完了地点を迅速に設定することが可能となる。
更に、第7の構成は以下の通りである。
前記制御手段は、前記速度取得手段を介して取得した前記他車両の速度から所定の速度を減速した減速度を設定する減速度設定手段を有し、前記開始地点設定手段は、前記減速開始地点設定手段によって設定された前記減速開始地点から前記減速度で走行して、前記自車両の進行方向前端部と前記自車両が車線変更できる前記スペースの前端部とが、ほぼ隣り合う地点に前記車線変更開始地点を設定することを特徴とする。
上記構成を有する自動運転支援装置によれば、自車両は、他車両の速度から所定の速度を減速した減速度で減速開始地点から車線変更開始地点まで走行した場合には、自車両の進行方向前端部と自車両が車線変更できるスペースの前端部とが、ほぼ隣り合う。この結果、自車両が車線変更開始地点に到達した際に、車線変更を開始することによってスムーズにスペースに進入して、自動運転により車線変更を行うことが可能となる。