特許第6241343号(P6241343)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6241343
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】水洗大便器
(51)【国際特許分類】
   E03D 3/12 20060101AFI20171127BHJP
   E03D 1/28 20060101ALI20171127BHJP
   E03D 5/10 20060101ALI20171127BHJP
   E03D 11/02 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   E03D3/12
   E03D1/28
   E03D5/10
   E03D11/02 Z
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-60590(P2014-60590)
(22)【出願日】2014年3月24日
(65)【公開番号】特開2015-183431(P2015-183431A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2016年12月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(72)【発明者】
【氏名】戸次 允
(72)【発明者】
【氏名】井上 正明
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 優
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−132167(JP,A)
【文献】 特開平05−214756(JP,A)
【文献】 特開2003−013478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00− 7/00
E03D 11/00−13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体と、該便器本体を洗浄する洗浄水を貯水する貯水タンクと、該貯水タンクへの給水および排水を制御する制御手段とを備えた水洗大便器において、
前記便器本体が、前記貯水タンクから供給された洗浄水を導く導水路と、該導水路に接続された吐水口を有するボウル部とを備え、
前記貯水タンクが、該貯水タンクの底部に設けられ該貯水タンク内の洗浄水を前記導水路に供給する排水口と、該排水口を開閉する排水弁と、該排水弁を駆動する排水弁駆動機構と、前記貯水タンク内の水位を検出する水位検出機構とを備え、
前記制御手段が、前記排水弁駆動機構を所定時間駆動する前の前記貯水タンク内の第一水位と、前記排水弁駆動機構を所定時間駆動して洗浄水を排出した後に前記水位検出機構により測定された前記貯水タンク内の第二水位とに基づいた水位変化量により前記排水弁駆動機構の駆動時間または駆動態様を調整する排水弁駆動機構制御部を備えていることを特徴とする水洗大便器。
【請求項2】
前記第一水位が、前記水位検出機構により測定された水位であることを特徴とする請求項1記載の水洗大便器。
【請求項3】
前記第一水位が、通常洗浄時における初期水位であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の水洗大便器。
【請求項4】
前記貯水タンクが、給水源から前記貯水タンク内に洗浄水を供給し前記制御手段によって制御される給水機構を備え、
前記制御手段が、前記給水機構を制御する給水機構制御部をさらに備え、
前記制御手段が前記排水弁駆動機構の駆動時間または駆動態様を調整している間において、前記給水機構制御部が、前記給水機構による前記貯水タンク内への洗浄水供給を禁止することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の水洗大便器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器本体と貯水タンクとを備えた水洗大便器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、貯水タンクに貯水した洗浄水により便器本体のボウル部を洗浄し、排せつ物を排出するタンク式の水洗大便器として、貯水タンク内の洗浄水が便器本体の導水路を通過し、便器本体の吐水口からボウル部に供給されるものが知られている。
【0003】
このような水洗大便器においては、便器本体の導水路が陶器で形成されているため、製造誤差が生じてしまい、導水路の圧力損失が変動する。
よって、貯水タンクの底面の排出口から排出される洗浄水の瞬間流量について個体差が存在していた。
【0004】
貯水タンクの底面の排出口から排出される洗浄水の瞬間流量に個体差が存在していると、貯水タンクから排出される洗浄水の水量に個体差が生じてしまい、便器本体内の排せつ物を十分に洗浄できない恐れがある。
【0005】
そこで、貯水タンク内の水位が洗浄開始前の初期水位から所定水位に低下するまでの水位低下時間を計測することで導水路の圧力損失を検出し、この圧力損失から最適な排水装置の駆動時間を決定する水洗大便器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−132167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述した特許文献1に記載されている水洗大便器では、計測対象である水位低下時間の変動分が水位低下時間の基準時間に比べて遥かに小さく、便器本体の導水路の圧力損失を精度良く検出することが実質的には困難であるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、便器本体の導水路の圧力損失による水位変化量を精度良く検出し、貯水タンクから排出される洗浄水の水量を便器本体の製造誤差によらずに均一する水洗大便器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本請求項1に係る発明は、便器本体と、該便器本体を洗浄する洗浄水を貯水する貯水タンクと、該貯水タンクへの給水および排水を制御する制御手段とを備えた水洗大便器において、前記便器本体が、前記貯水タンクから供給された洗浄水を導く導水路と、該導水路に接続された吐水口を有するボウル部とを備え、前記貯水タンクが、該貯水タンクの底部に設けられ該貯水タンク内の洗浄水を前記導水路に供給する排水口と、該排水口を開閉する排水弁と、該排水弁を駆動する排水弁駆動機構と、前記貯水タンク内の水位を検出する水位検出機構とを備え、前記制御手段が、前記排水弁駆動機構を所定時間駆動する前の前記貯水タンク内の第一水位と、前記排水弁駆動機構を所定時間駆動して洗浄水を排出した後に前記水位検出機構により測定された前記貯水タンク内の第二水位とに基づいた水位変化量により前記排水弁駆動機構の駆動時間または駆動態様を調整する排水弁駆動機構制御部を少なくとも備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0010】
本請求項1に係る発明の水洗大便器によれば、水洗大便器が排水弁駆動機構を制御する制御手段を備えていることにより、貯水タンクから便器本体に供給する洗浄水の量を制御するため、洗浄水の無駄をなくすことができるばかりでなく、制御手段が、排水弁駆動機構を所定時間駆動する前の貯水タンク内の第一水位と、排水弁駆動機構を所定時間駆動して洗浄水を排出した後に水位検出機構により検出された貯水タンク内の第二水位とに基づいた水位変化量により排水弁駆動機構の駆動時間または駆動態様を調整する排水弁駆動機構制御部を少なくとも備えていることにより、基準量に対して変動量が遥かに小さい水位低下時間ではなく、基準量に対して変動量が大きい水位変化量に基づいて排水弁駆動機構制御部が排水弁駆動機構を制御するため、便器本体の導水路の圧力損失による水位変化量を精度良く検出し、貯水タンクから排出される洗浄水の水量を便器本体の製造誤差によらず均一にすることができる。
【0011】
本請求項2に係る発明は、請求項1の構成に加えて、前記第一水位が、前記水位検出機構により測定された水位であることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0012】
本請求項2に係る発明の水洗大便器によれば、請求項1に係る発明が奏する効果に加えて、測定された第一水位を用いて排水弁駆動機構制御部が排水弁駆動機構を適切に制御するため、より正確に便器本体の導水路の圧力損失による水位変化量が検出し、貯水タンクから排出される洗浄水の水量を便器本体の製造誤差によらず均一にすることができる。
【0013】
本請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2記載の構成に加えて、前記第一水位が、通常洗浄時における初期水位であることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0014】
本請求項3に係る発明の水洗大便器によれば、請求項1または請求項2に係る発明が奏する効果に加えて、変動の少ない通常洗浄時における初期水位を用いて排水弁駆動機構制御部が排水弁駆動機構を適切に制御するため、より正確に便器本体の導水路の圧力損失による水位変化量を検出し、貯水タンクから排出される洗浄水の水量を便器本体の製造誤差によらず均一にすることができる。
【0015】
本請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された構成に加えて、前記貯水タンクが、給水源から前記貯水タンク内に洗浄水を供給し前記制御手段によって制御される給水機構を備え、前記制御手段が、前記給水機構を制御する給水機構制御部をさらに備え、前記制御手段が前記排水弁駆動機構の駆動時間または駆動態様を調整している間において、前記給水機構制御部が、前記給水機構による前記貯水タンク内への洗浄水供給を禁止することにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0016】
本請求項4に係る発明の水洗大便器によれば、請求項1乃至請求項3のいずれかに係る発明が奏する効果に加えて、水位変化量を測定する際の貯水タンクの水位変化量の要因を便器本体への排水のみにするため、より正確に便器本体の導水路の圧力損失による水位変化量が検出でき、貯水タンクから排出される洗浄水の水量を便器本体の製造誤差によらず均一にすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、洗浄水の無駄をなくすばかりでなく、便器本体の導水路の圧力損失による水位変化量を精度良く検出し、貯水タンクから排出される洗浄水の水量を便器本体の製造誤差によらず均一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態である水洗大便器の概略図。
図2】本発明の第1実施形態である水洗大便器の通常洗浄時のタイムチャート。
図3】本発明の第1実施形態である水洗大便器の排水弁開弁時間設定動作における水洗大便器の概略図。
図4】本発明の第1実施形態である水洗大便器における排水弁開弁時間設定動作フローチャート。
図5】本発明の第1実施形態である水洗大便器における排水弁開弁時間設定動作において、基準となる水洗大便器の水位変化量と排水弁開弁設定時間との関係図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図1に基づいて、本発明の第1実施形態である水洗大便器100について説明する。
【0020】
図1は本発明の第1実施形態である水洗大便器100の概略図であり、本発明の本発明の第1実施形態である水洗大便器100は、便器本体110と便器本体110に載置された貯水タンク120と、貯水タンク120への貯水および排水を制御する制御手段130とから構成されている。
水洗大便器100が貯水タンク120への貯水および排水を制御する制御手段130を備えていることにより、貯水タンク120から便器本体110に供給する洗浄水の水量を制御する。
【0021】
便器本体110は、便器本体110の前方に排せつ物を受けるボウル部111を有している。ボウル部111の上縁部には、リム111aと貯水タンク120から供給された洗浄水を便器洗浄水Wcとして吐水する吐水口111bとが形成されている。
さらに、便器本体110は、便器本体110の後方に貯水タンク120から供給された洗浄水を吐水口111bへと導水する導水路112が形成されている。
【0022】
貯水タンク120は、図示されない給水源から貯水タンク120内に洗浄水を供給する給水機構125と、底面に貯水タンク120内に貯留された洗浄水を便器本体110へ供給する排水口121と、この排水口121を開閉する排水弁122と、この排水弁122の駆動する排水弁駆動機構123と、貯水タンク120内の水位を検出する水位検出機構である水位センサー124とから構成されている。
【0023】
水位センサー124は、貯水タンク120内に貯水された洗浄水の水面に連動して上下に動くため、貯水タンク120内の貯水量に応じた水位を測定することができる。
【0024】
制御手段130は、給水機構125を制御する給水機構制御部131と、水位センサー124により検知した貯水タンク120内の水位に基づいた水位変化量により排水弁駆動機構123を制御する排水弁駆動機構制御部132とから少なくとも構成されている。
【0025】
続いて、図1および図2に基づいて、本発明の実施形態である水洗大便器100の動作について説明する。
【0026】
図2は、本発明の第1実施形態である水洗大便器100の通常洗浄時のタイムチャートである。
【0027】
時刻t1において、使用者が水洗大便器100の図示しないリモコン等を操作して便器洗浄開始信号を水洗大便器100に送信する。
水洗大便器100が便器洗浄開始信号を受信すると、排水弁駆動機構制御部132が排水弁駆動機構123を制御することによって、排水弁122が開弁する。
【0028】
そして、時刻t1から排水弁開弁時間T経過した時刻t2(t1+T)まで、排水口121から貯水タンク120内の洗浄水を便器本体110に供給する。
【0029】
便器本体110に供給された洗浄水は、導水路112を通り、吐水口111bから便器洗浄水Wcとしてリム111aに吐水される。
【0030】
リム111aに供給された便器洗浄水Wcは、ボウル部111内を旋回しながら下降することにより、ボウル部111内を洗浄する。
【0031】
ボウル部111内洗浄後も吐水口111bからの吐水は継続され、便器洗浄水Wcがボウル部111内に溜水Wとして貯留される。
【0032】
さらに、時刻t2(t1+T)において、排水弁駆動機構制御部132が排水弁駆動機構123を制御することによって、排水弁122が閉弁する。
なお、このときの貯水タンク120内の水位を止水水位EWLとする。
【0033】
その後、時刻t3において、給水機構制御部131が給水機構125を制御することによって、貯水タンク120への洗浄水の供給を開始し、貯水タンク120内の水位が初期水位SWLになった時刻t4において、貯水タンク120への洗浄水の供給を停止する。
【0034】
なお、本発明の第一実施形態である水洗大便器100の通常洗浄時において、貯水タンク120への給水は排水弁122の閉弁後に限定されるものではなく、便器洗浄開始信号を水洗大便器100が受信した後であれば如何なる時でもよい。
【0035】
続いて、図3乃至図5に基づいて、本発明の第一実施形態による水洗大便器100の制御手段130による排水弁開弁時間設定動作について説明する。
【0036】
図3は、本発明の第1実施形態である水洗大便器100の排水弁開弁時間設定動作における水洗大便器100の概略図であり、図4は、本発明の第1実施形態である水洗大便器100における排水弁開弁時間設定動作フローチャートである。
【0037】
まず、水洗大便器100が所定の場所に設置され、施工が完了すると、使用者が水洗大便器100の図示しないリモコン等を操作して排水弁開弁時間設定信号を水洗大便器100に送信する。
水洗大便器100が排水弁開弁時間設定信号を受信すると、排水弁開弁時間設定動作を開始する。
【0038】
排水弁開弁時間設定動作を開始すると、ステップS1において、水位センサー124を用いて、貯水タンク120内の第一水位L1を測定する。
【0039】
次いで、ステップS2において、排水弁駆動機構制御部132が排水弁駆動機構123を制御し、排水弁122を引き上げる。排水弁122が開弁されることで、排水口121を開き、貯水タンク120内の洗浄水を排出する。
なお、排水弁122を引き上げたときから排水弁開弁経過時間Tmを計時開始する。
【0040】
次いで、ステップS3において、排水弁開弁経過時間Tmが予め定められた排水弁開弁設定時間T0を経過したか否かを判断する。
排水弁開弁経過時間Tmが排水弁開弁測定時間T0以上経過した場合、ステップS4に進み、排水弁開弁経過時間Tmが排水弁開弁測定時間T0以上経過していない場合、排水弁開弁経過時間Tmが排水弁開弁測定時間T0以上経過するまで排水弁122の状態を保つ。
なお、排水弁開弁測定時間T0は圧損の小さい水洗大便器を考慮して、通常洗浄時の排水弁開弁時間Tより短くする。
【0041】
次いで、ステップS4において、排水弁駆動機構制御部132が排水弁駆動機構123を制御し、排水弁122を下げる。排水弁122が閉弁されることにより、排水口121を閉じる。
【0042】
次いで、ステップS5において、水位センサー124を用いて、排水弁122の閉弁時の貯水タンク120内の第二水位L2を測定する。
【0043】
次いで、ステップS6において、第一水位L1と第二水位L2との差をとり、水位変化量ΔLを算出する。
【0044】
次いで、ステップS7において、図5に示すような事前に準備しておいた水洗大便器の水位変化量ΔLと排水弁開弁時間Tとの関係より、今回の得られたΔLに対応する排水弁開弁時間Tを設定する。
【0045】
たとえば、水位変化量ΔLが基準となる水洗大便器の水位変化量ΔLsより大きいΔL2の場合、基準となる水洗大便器に比べて圧力損失が大きいと判断され、排水弁開弁時間Tは基準となる水洗大便器の排水弁開弁時間Tsより短いT2となる。
また、水位変化量ΔLが基準となる水洗大便器の水位変化量ΔLsより小さいΔL1の場合、基準となる水洗大便器に比べて圧力損失が小さいと判断され、排水弁開弁時間Tは基準となる水洗大便器の排水弁開弁時間Tsより長いT1となる。
【0046】
また、図5に示すような事前に準備しておいた水洗大便器の水位変化量ΔLと排水弁開弁時間Tとの関係は次のように作成する。
まず、製造上許容される圧損が最大の水洗大便器である圧損最大大便器Mと、製造上許容される圧損が最小の水洗大便器である圧損最小大便器mとを用意する。
そして、圧損最大大便器Mと圧損最小大便器mとについて、排水弁開弁測定時間T0における、水位変化量ΔLmax、ΔLminを測定する。
次に、圧損最大大便器Mと圧損最小大便器mとについて、狙いの洗浄水量まで水位が低下するまでの排水弁開弁時間Tmax、Tminを測定する。
得られたΔLmaxとTmax、ΔLminとTminより、図5に示すような水洗大便器の水位変化量ΔLと排水弁開弁時間Tとの関係が得られる。
【0047】
次いで、ステップS8において、給水機構制御部131が給水機構125を制御することによって、貯水タンク120への洗浄水の供給を開始し、貯水タンク120内の水位が初期水位SWLになったことを水位センサー124が検出した後、貯水タンク120への洗浄水の供給を停止し、排水弁開弁時間設定動作を終了する。
【0048】
以上によって、制御手段130が、排水弁駆動機構123を所定時間駆動する前の貯水タンク120内の第一水位と、排水弁駆動機構123を所定時間駆動して洗浄水を排出した後に水位センサー124により測定された貯水タンク120内の第二水位L2とに基づいた水位変化量ΔLにより排水弁駆動機構123の駆動時間または駆動態様を調整する排水弁駆動機構制御部132を備えていることにより、基準量に対して変動量が遥かに小さい水位低下時間ではなく、基準量に対して変動量が大きい水位変化量ΔLに基づいて排水弁駆動機構制御部132が排水弁駆動機構123を制御する。
【0049】
なお、第一水位L1として、水位センサー124により測定された水位を用いる。第一水位L1が、水位センサー124により測定された水位であることにより、測定された第一水位L1を用いて排水弁駆動機構制御部132が排水弁駆動機構123を適切に制御する。
【0050】
さらに、第一水位L1として、通常洗浄時における初期水位SWLを用いる。第一水位L1が通常洗浄時における初期水位SWLであることより、変動の少ない初期水位SWLを用いて排水弁駆動機構制御部132が排水弁駆動機構123を適切に制御する。
【0051】
また、第二水位L2として、通常使用時における止水水位EWLよりも高い水位を用いる。
第二水位L2が止水水位EWLよりも高いことにより、圧力損失が小さい水洗大便器100においても第二水位L2が止水水位EWL以下にならないため、より正確に便器本体110の導水路112の圧力損失による水位変化量ΔLが検出でき、貯水タンク120から排出される洗浄水の水量を便器本体110の製造誤差によらず均一にすることができる。
【0052】
さらに、制御手段130が排水弁駆動機構123の駆動時間を調整している間において、給水機構制御部131が給水機構125による貯水タンク120内への洗浄水供給を禁止している。
これにより、水位変化量を測定する際の貯水タンク120の水位変化量の要因を便器本体110への排水のみにする。
【0053】
しかし、給水機構125から貯水タンク120内へ供給される洗浄水の流量のバラつきは少ないことから、制御手段130が排水弁駆動機構123の駆動時間を調整している間において、給水機構制御部131が給水機構125による貯水タンク120内への洗浄水を供給してもよい。
【0054】
また、本発明の第一実施形態である水洗大便器100の排水弁開弁時間設定動作においては、排水弁開弁経過時間Tmが排水弁開弁測定時間T0以上経過したことを判定した後に、排水弁122を閉弁して第二水位L2を測定しているが、排水弁122を閉弁せずに第二水位L2を測定してもよい。
【0055】
このようにして得られた本発明の第1実施形態である水洗大便器100は、排水弁駆動機構123を制御する制御手段130を備えていることにより、洗浄水の無駄をなくすことができるばかりでなく、制御手段130が、排水弁駆動機構123を所定時間駆動する前の貯水タンク120内の第一水位と、排水弁駆動機構123を所定時間駆動して洗浄水を排出した後に水位検出機構である水位センサー124により測定された貯水タンク120内の第二水位L2とに基づいた水位変化量ΔLにより排水弁駆動機構123の駆動時間または駆動態様を調整する排水弁駆動機構制御部132を少なくとも備えていることにより、便器本体110の導水路112の圧力損失による水位変化量ΔLを精度良く検出し、貯水タンク120から排出される洗浄水の水量を便器本体110の製造誤差によらず均一にすることができる。
【0056】
さらに、第一水位L1が、水位センサー124により測定された水位であることにより、より正確に便器本体110の導水路112の圧力損失による水位変化量ΔLを検出し、貯水タンク120から排出される洗浄水の水量を便器本体110の製造誤差によらず均一にすることができる。
【0057】
さらに、第一水位L1が通常洗浄時における初期水位SWLであることにより、より正確に便器本体110の導水路112の圧力損失による水位変化量ΔLを検出し、貯水タンク120から排出される洗浄水の水量を便器本体110の製造誤差によらず均一にすることができる。
【0058】
さらに、貯水タンク120が、図示されない給水源から貯水タンク120内に洗浄水を供給し制御手段130によって制御される給水機構125を備え、制御手段130が、給水機構125を制御する給水機構制御部131をさらに備え、制御手段130が排水弁駆動機構123の駆動時間または駆動態様を調整している間において、給水機構制御部131が、給水機構125による貯水タンク120内への洗浄水供給を禁止することにより、より正確に便器本体110の導水路112の圧力損失による水位変化量ΔLが検出でき、貯水タンク120から排出される洗浄水の水量を便器本体110の製造誤差によらず均一にすることができる。
【0059】
本発明は、便器本体と、該便器本体を洗浄する洗浄水を貯水する貯水タンクと、該貯水タンクへの給水および排水を制御する制御手段とを備えた水洗大便器において、前記便器本体が、前記貯水タンクから供給された洗浄水を導く導水路と、該導水路に接続された吐水口を有するボウル部とを備え、前記貯水タンクが、該貯水タンクの底部に設けられ該貯水タンク内の洗浄水を前記導水路に供給する排水口と、該排水口を開閉する排水弁と、該排水弁を駆動する排水弁駆動機構と、前記貯水タンク内の水位を検出する水位検出機構とを備え、前記制御手段が、前記排水弁駆動機構を所定時間駆動する前の前記貯水タンク内の第一水位と、前記排水弁駆動機構を所定時間駆動して洗浄水を排出した後に前記水位検出機構により検出された前記貯水タンク内の第二水位とに基づいた水位変化量により前記排水弁駆動機構の駆動時間または駆動態様を調整する排水弁駆動機構制御部を備えており、洗浄水の無駄をなくすばかりでなく、便器本体の導水路の圧力損失による水位変化量を精度良く検出し、貯水タンクから排出される洗浄水の水量を便器本体の製造誤差によらず均一にすることができるものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0060】
例えば、水洗大便器の洗浄方式は、洗い落とし式であってもよいし、サイホンゼット式であってもよい。
また、水位検出機構は、貯水タンク内の貯水量に応じた水位を検出できればよく、圧力センサーで貯水圧を計測することによって水位を検出してもよいし、水位面を超音波またはレーザーで検出してもよい。
また、排水弁開放時間設定動作は、設置時に限定されるものでなく、使用時において定期的におこなってもよいし、使用者が指示をしてもよい。
また、排水弁駆動機構は、排水弁の駆動時間のみならず、排水弁の開度を制御してもよい。
また、第一水位は予め定められた水位であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
100 ・・・ 水洗大便器
110 ・・・ 便器本体
111 ・・・ ボウル部
111a ・・・ リム
111b ・・・ 吐水口
112 ・・・ 導水路
120 ・・・ 貯水タンク
121 ・・・ 排水口
122 ・・・ 排水弁
123 ・・・ 排水弁駆動機構
124 ・・・ 水位センサー(水位検出機構)
125 ・・・ 給水機構
130 ・・・ 制御手段
131 ・・・ 給水機構制御部
132 ・・・ 排水弁駆動機構制御部
L1 ・・・ 第一水位
L2 ・・・ 第二水位
M ・・・ 圧損最大大便器
m ・・・ 圧損最小大便器
SWL ・・・ 初期水位
EWL ・・・ 止水水位
T ・・・ 排水弁開弁時間
Tm ・・・ 排水弁開弁経過時間
T0 ・・・ 排水弁開弁測定時間
W ・・・ 溜水
Wc ・・・ 便器洗浄水
ΔL ・・・ 水位変化量
ΔLs ・・・ 基準となる水洗大便器の水位変化量
ΔTs ・・・ 基準となる水洗大便器の排水弁開弁時間
図1
図2
図3
図4
図5