(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記改質水供給部から前記化学蓄熱器の化学蓄熱剤に所定量の水を供給した後に、前記改質水供給部から前記化学蓄熱器の化学蓄熱剤への水の供給を停止させる制御を、前記改質水供給部に対して行う制御部を有する請求項1〜請求項6のいずれかに記載の燃料電池システム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る燃料電池システム1について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態による燃料電池システム1を示す概略図である。
図2は、本発明の実施形態による燃料電池システム1のユニット部110を示す断面図である。
【0017】
図1に示すように、燃料電池システム1は、燃料電池11と、改質器12(
図2参照)、燃焼器13(
図2参照)、及び、化学蓄熱器14(
図2参照)により構成されるユニット部110と、混合器15と、燃料供給部としての流量調整部21及び燃料ガス供給部31と、改質水供給部としての流量調整部22、23、及び水貯留部32と、制御装置50とを備える。
【0018】
また、燃料電池システム1は、燃料供給ラインとしての燃料ガス供給ラインL1と、改質水流出ラインL11と、水供給ラインL2と、改質ガス供給ラインL3と、空気供給ラインL4と、アノードオフガスラインL5と、カソードオフガスラインL6と、オフガス排気ラインL7と、を備える。なお、「ライン」とは、流路、経路、管路等の総称である。
【0019】
[ラインの説明]
燃料ガス供給ラインL1においては、燃料ガス供給ラインL1の一端部は、都市ガス等の燃料ガス(燃料)G1を供給可能な燃料ガス供給部31に接続され、燃料ガス供給ラインL1の他端部はユニット部110の改質器12(
図2参照)に接続されている。燃料ガス供給ラインL1の途中には、燃料ガス供給ラインL1の一端部側から他端部側に向かって、流量調整部21と混合器15とがこの順で接続されている。燃料ガス供給ラインL1には、燃料ガスG1が、改質器12に向けて流通する。
【0020】
改質水流出ラインL11においては、改質水流出ラインL11の一端部は、ユニット部110の蒸発器容器16(
図2参照)に接続され、改質水流出ラインL11の他端部は、混合器15に接続されている。改質水流出ラインL11には、蒸発器容器16に貯留されている水(改質水)W1が、混合器15に向けて流通する。
【0021】
水供給ラインL2の一端部は、ポンプ(図示せず)を有する水貯留部32に接続されている。水供給ラインL2は、その途中の分岐部J1から、蒸発器容器側水供給ラインL21と、水和水供給ラインL22とに分岐している。蒸発器容器側水供給ラインL21は、ユニット部110の蒸発器容器16(
図2参照)に接続されている。水和水供給ラインL22は、ユニット部110の化学蓄熱器14(
図2参照)に接続されている。蒸発器容器側水供給ラインL21の途中には、流量調整部22が接続されている。水和水供給ラインL22の途中には、流量調整部23が接続されている。水供給ラインL2及び蒸発器容器側水供給ラインL21には、水貯留部32からの水W1が、蒸発器容器16に向けて流通する。また、水供給ラインL2及び水和水供給ラインL22には、水貯留部32からの水W1が、化学蓄熱器14に向けて流通する。
【0022】
改質ガス供給ラインL3においては、改質ガス供給ラインL3の一端部はユニット部110の改質器12(
図2参照)に接続され、改質ガス供給ラインL3の他端部は燃料電池11のアノード(燃料極)に接続されている。改質器12において生成される水素を含む改質ガスG2は、改質ガス供給ラインL3を流通して、燃料電池11に供給され、発電に用いられる。
【0023】
空気供給ラインL4においては、空気供給ラインL4の一端部は、酸素を含む空気A1を燃料電池11に供給するためのブロワ(図示せず)及びフィルタ(図示せず)を有する空気供給部33に接続されている。空気供給ラインL4の他端部は燃料電池11のカソード(空気極)に接続されている。空気供給ラインL4の途中には、熱交換器(図示せず)が接続されている。空気A1は、ブロワ(図示せず)からフィルタ(図示せず)を通過し、空気供給ラインL4を流通して熱交換器(図示せず)により加熱され、燃料電池11に供給される。
【0024】
アノードオフガスラインL5においては、アノードオフガスラインL5の一端部は、燃料電池11のアノード(燃料極)に接続され、アノードオフガスラインL5の他端部は、ユニット部110の燃焼器13(
図2参照)に接続されている。アノードオフガスG3は、アノードオフガスラインL5を流通して、燃焼器13に供給される。カソードオフガスラインL6においては、カソードオフガスラインL6の一端部は、燃料電池11のカソード(空気極)に接続され、カソードオフガスラインL6の他端部は、燃焼器13に接続されている。カソードオフガスG4は、カソードオフガスラインL6を流通して、燃焼器13に供給される。
【0025】
オフガス排気ラインL7においては、オフガス排気ラインL7の一端部は、ユニット部110の燃焼器13に接続され、オフガス排気ラインL7の他端部は、屋外に開放している。オフガス排気ラインL7の途中には、熱交換器(図示せず)が接続されている。燃焼器13によって燃焼された燃焼排ガスG5は、オフガス排気ラインL7を流通して屋外に排出される。燃焼排ガスG5と、空気供給ラインL4に流通する空気A1とは、熱交換器(図示せず)において熱交換が行われる。
【0026】
[各装置の説明]
燃料電池11としては、固体酸化物形燃料電池(SOFC)が用いられる。燃料電池11は、燃料電池スタック(図示せず)を有している。燃料電池スタックにおいては、複数の発電セル(図示せず)とセパレータ(図示せず)とが交互に積層されている。
【0027】
発電セル(図示せず)は、アノード(燃料極)と、カソード(空気極)と、アノードとカソードとの間に設けられた電解質層と、を有する。アノードは、ニッケル等から形成され、還元性ガスにより還元雰囲気に保たれている。燃料電池11は、改質器12から改質ガス供給ラインL3を介してアノードに供給される改質ガスG2と、空気供給ラインL4からカソードに供給される空気A1中の酸素とを反応させることにより、発電を行なうことができる。燃料電池11による発電時の温度である運転温度は、500℃〜1000℃程度の高温である。燃料電池11によって発電された電気は、パワーコンディショナ(図示せず)に送られ、AC電圧に変換される。燃料電池11は、アノードからのオフガスであるアノードオフガスG3と、カソードからのオフガスであるカソードオフガスG4とを排気する。燃料電池11は、断熱材(図示せず)により形成された断熱空間(図示せず)内に配置されている。
【0028】
ユニット部110を構成する改質器12は、燃料ガス供給ラインL1から供給された燃料ガスG1及び水供給ラインL2(蒸発器容器側水供給ラインL21)から供給された水(改質水)W1に基づいて、ニッケル系の触媒122上で、水素を含む改質ガスG2を生成する。この際、触媒122は、500℃〜800℃程度にまで加熱されることにより、水素を含む改質ガスG2を生成する。改質器12によって生成された改質ガスG2は、改質ガス供給ラインL3を介して燃料電池11へ供給される。改質器12は、断熱材(図示せず)により形成された断熱空間(図示せず)内に配置されている。
【0029】
より具体的には、改質器12は、
図2に示すように、改質器本体121と、ニッケル系の触媒122(改質用触媒122)とを有する。改質器本体121は、金属製の容器である。改質器本体121は、それぞれ略円筒形状の内壁124及び外壁126を有しており、全体として、略円筒形状の外形を有している。内壁124と外壁126との間には、改質用触媒収容室123が形成されている。改質用触媒収容室123は、改質用触媒122を収容する。また、改質用触媒収容室123は、燃料ガス供給ラインL1から燃料ガスG1及び後述する水蒸気とされた改質水W1を改質用触媒収容室123内に流入可能に、燃料ガス供給ラインL1に連通している。また、改質用触媒収容室123は、改質用触媒収容室123内から改質ガス供給ラインL3へ改質ガスG2を流出可能に、改質ガス供給ラインL3に連通している。
【0030】
ユニット部110を構成する燃焼器13は、燃料電池11から排気されるアノードオフガスG3及びカソードオフガスG4を、白金(Pt)等の触媒132(燃焼用触媒132)上で燃焼処理する。この際、触媒は、500℃〜800℃程度にまで加熱されることにより、アノードオフガスG3及びカソードオフガスG4を燃焼する。燃焼器13により燃焼されたアノードオフガスG3及びカソードオフガスG4は、燃焼器13の下流側に接続されたオフガス排気ラインL7を通じて、燃焼排ガスG5として排出される。燃焼器13は、断熱材(図示せず)により形成された断熱空間(図示せず)内に配置されている。
【0031】
より具体的には、燃焼器13は、
図2に示すように、燃焼室131と燃焼用触媒収容室133とを有している。燃焼室131は、改質器12及び蒸発器容器16の内壁124、164の内周面125、165により形成される空間に配置され、この空間により構成されている。従って、燃焼室131は、改質器12及び蒸発器163に隣接して配置されている。燃焼室131の周囲は、改質器12及び蒸発器容器16によって取囲まれるように配置されている。燃料電池11からのアノードオフガスG3は、燃焼用触媒132上で反応して燃焼室131内で燃焼する。
【0032】
燃焼用触媒収容室133は、化学蓄熱器14の内壁144の内周面145により形成される空間により構成されている。燃焼用触媒収容室133は、燃焼用触媒132を収容する。燃焼用触媒収容室133は、上下方向において3つの部屋に区画されており、それぞれの部屋に燃焼用触媒132が配置されている。従って、化学蓄熱器14は、燃焼用触媒収容室133に隣接して配置され、燃焼用触媒収容室133の周囲を取囲むように配置されている。また、燃焼室131は、燃焼用触媒収容室133の上方に位置している。
【0033】
燃焼用触媒収容室133のそれぞれの部屋は互いに気体が通過可能に連通している。燃焼用触媒収容室133の最も下の部屋は、アノードオフガスラインL5からのアノードオフガスG3と、カソードオフガスラインL6からのカソードオフガスG4とが最も下の部屋に流入可能に、アノードオフガスラインL5及びカソードオフガスラインL6に連通している。最も上の部屋は、燃焼用触媒132によって燃焼反応が行われるアノードオフガスG3及びカソードオフガスG4が最も上の部屋から燃焼室131へ流出可能に、燃焼室131に連通している。
【0034】
ユニット部110を構成する化学蓄熱器14は、蓄熱剤容器としての収容容器141と化学蓄熱剤142とを有している。化学蓄熱剤142は、吸熱により脱水反応するか又は水和反応により発熱する性質を有する化学物質である。化学蓄熱剤142は、水貯留部32から水和水供給ラインL22を介して供給された水W1により水和反応を生じる。化学蓄熱器14は、断熱材(図示せず)により形成された断熱空間(図示せず)内に配置されている。
【0035】
化学蓄熱剤142の例としては、酸化カルシウム及び酸化マグネシウム等を挙げることができる。これらの化学蓄熱剤142は、2種以上のものを適宜に併用することもできる。化学蓄熱剤142として、例えば、本実施形態では、酸化カルシウムが用いられる。酸化カルシウムは、水貯留部32から水和水供給ラインL22を介して供給された水W1により水和反応を生じて発熱し、水酸化カルシウムを生成し、最終的には、炭酸カルシウムを生成する。
【0036】
収容容器141は、化学蓄熱剤142を収容する金属製の容器である。収容容器141は、それぞれ略円筒形状の内壁144及び外壁146を有しており、全体として、略円筒形状の外形を有している。内壁144と外壁146との間には、蓄熱剤収容空間143が形成されている。蓄熱剤収容空間143は、化学蓄熱剤142を収容する。収容容器141は、改質器12及び燃焼器13に隣接して配置されている。より具体的には、化学蓄熱器14は、燃焼用触媒収容室133の周囲を取囲むように配置されている。従って、化学蓄熱器14の収容容器141は、改質器12及び燃焼器13との間で熱伝導可能に配置されている。また、蓄熱剤収容空間143は、水和水供給ラインL22から水W1を蓄熱剤収容空間143内に流入可能に、水和水供給ラインL22に連通している。
【0037】
収容容器141の下端部は、アノードオフガスラインL5及びカソードオフガスラインL6に対して、ライン固定部材(図示せず)により着脱可能である。従って、収容容器141をアノードオフガスラインL5及びカソードオフガスラインL6から取り外し、後述のように、収容容器141を蒸発器本体161から取り外すことにより、収容容器141内の化学蓄熱剤142を交換可能である。
【0038】
混合器15は、いわゆるエゼクタ等により構成されている。混合器15は、改質水流出ラインL11を流通した水(改質水)W1を気化させて水蒸気とし、当該水蒸気を、燃料ガス供給ラインL1に流通する燃料ガスG1と混合する。混合器15は、断熱材(図示せず)により形成された断熱空間(図示せず)内に配置されている。
【0039】
ユニット部110を構成する蒸発器容器16は、蒸発器163を有している。蒸発器163には、改質器12へ供給される水W1が一時的に貯留される。蒸発器容器16は、貯留した水W1と化学蓄熱器14との間で熱伝導可能に配置されている。蒸発器163は、燃焼室131、化学蓄熱器14、及び、改質用触媒収容室123に隣接して配置されている。また、蒸発器163は、化学蓄熱器14の上方に位置する。改質用触媒収容室123は、蒸発器163の上方に位置する。
【0040】
より具体的には、蒸発器容器16は、金属製の容器である蒸発器本体161を有している。
図2に示すように、蒸発器本体161は、それぞれ略円筒形状の内壁164及び外壁166を有しており、全体として、略円筒形状を有している。蒸発器本体161は、改質器本体121及び収容容器141と同軸的な位置関係で、且つ、鉛直方向において改質器本体121と収容容器141とに挟まれる位置関係で、改質器本体121、収容容器141それぞれに対して、着脱可能に固定されている。即ち、蒸発器本体161は、固定具(図示せず)により、その上部において改質器本体121の下部に固定されており、また、その下部において、収容容器141の上部に固定されている。
【0041】
蒸発器本体161を構成する内壁164と外壁166との間の空間は、蒸発器163を構成する。蒸発器163は、蒸発器容器側水供給ラインL21からの水W1を蒸発器163内に流入可能に、蒸発器容器側水供給ラインL21に連通している。また、蒸発器163は、蒸発器163内から水W1を改質水流出ラインL11へ流出可能に、改質水流出ラインL11に連通している。蒸発器容器16は、改質器12、燃焼器13、及び、化学蓄熱器14と共に、断熱材(図示せず)により形成された断熱空間(図示せず)内に配置されている。
【0042】
流量調整部21は、電磁弁により構成された二方弁により構成されている。流量調整部21は、制御装置50に電気的に接続されている。制御装置50による流量調整部21に対する制御により、流量調整部21の弁の開度を調整可能であり、これにより、燃料ガス供給ラインL1に流通する燃料ガスG1の量が調整される。また、流量調整部21により、燃料ガス供給部31からの燃料ガスG1の、改質器12(
図2参照)への流通/遮断を切換え可能である。流量調整部21は、断熱材(図示せず)により形成された断熱空間(図示せず)外に配置されている。
【0043】
流量調整部22は、電磁弁により構成された二方弁により構成されている。流量調整部22は、制御装置50に電気的に接続されている。制御装置50による流量調整部22に対する制御により、流量調整部22の弁の開度を調整可能であり、これにより、蒸発器容器側水供給ラインL21に流通する水W1の量が調整される。また、流量調整部22により、水貯留部32からの水W1の、蒸発器容器16への流通/遮断を切換え可能である。流量調整部22は、断熱材(図示せず)により形成された断熱空間(図示せず)外に配置されている。
【0044】
流量調整部23は、電磁弁により構成された二方弁により構成されている。流量調整部23は、制御装置50に電気的に接続されている。制御装置50による流量調整部23に対する制御により、流量調整部23の弁の開度を調整可能であり、これにより、水和水供給ラインL22に流通する水W1の量が調整される。また、流量調整部23により、水貯留部32からの水W1の、化学蓄熱器14への流通/遮断を切換え可能である。流量調整部23は、断熱材(図示せず)により形成された断熱空間(図示せず)外に配置されている。
【0045】
制御装置50は、流量調整部21,22、23を制御することを目的としたものであり、各種演算処理を行う制御部51や各種情報を記憶する記憶部に加え、キーボードやタッチパネル等により実現される入力部及びディスプレイによる表示部を備えた汎用パーソナルコンピュータやシーケンサーである。
【0046】
制御装置50は、
図1に示すように、流量調整部21,22、23と、有線又は無線で接続されており、各種信号を入出力することができるように構成されている。具体的には、制御装置50は、流量調整部21,22、23に対して命令信号を出力して、各種の制御を行う。
【0047】
制御装置50は、タイマー52として用いられるクロックを有しており、所定の時間を計測可能である。具体的には、水貯留部32から水W1を化学蓄熱器14へ供給するように、流量調整部23に対して制御を行った後の第1所定時間と、第1所定時間が経過した後に、改質器12及び燃焼器13の温度が300℃以上になるまでに要する第2所定時間と、が経過したことを、タイマー52は検出可能である。
【0048】
以下、燃料電池システム1の起動時における制御部51による制御について、
図3〜
図6に基づき説明する。
図3は、本発明の実施形態による燃料電池システム1において、化学蓄熱器14へ水W1の供給が行われている様子を示す概略図である。
図4は、本発明の実施形態による燃料電池システム1において、発電が行われる前に、化学蓄熱器14へ水W1の供給が停止されている様子を示す概略図である。
図5は、本発明の実施形態による燃料電池システム1において、発電が行われている様子を示す概略図である。
図6は、本発明の実施形態による燃料電池システム1の制御部51による制御を示すフローチャートである。なお、
図3〜
図5においては、水W1の流れを示す矢印については、各状態において実際に流れているラインにのみ図示している。
【0049】
燃料電池システム1の起動時(スタートアップ時)には、先ず、改質水供給部を構成する水貯留部32から、化学蓄熱器14の化学蓄熱剤142に所定量の水を供給する。
具体的には、
図3に示すように、制御部51は、流量調整部21及び流量調整部22に対して、これらの弁を閉じるように、制御を行う。また、制御部51は、流量調整部23に対して弁を開くように、制御を行う(
図6のステップS11)。これにより、水貯留部32から水和水供給ラインL22を介して水W1が化学蓄熱器14の化学蓄熱剤142へ供給される。
【0050】
次に制御部51による処理は、ステップS12(
図6参照)へと進み、制御部51は、所定量の水W1が化学蓄熱器14へ供給されたか否かの判断を行う。より具体的には、制御部51におけるクロックによるタイマー52により、流量調整部23の弁が開かれてから、第1所定時間が経過したか否かの判断をすることにより、所定量の水W1が化学蓄熱器14へ供給されたか否かの判断が、間接的に行われる。所定量の水W1が化学蓄熱器14へ供給されていれば(YES)、制御部51による処理は、ステップS13(
図6参照)へと進む。所定量の水W1が化学蓄熱器14へ供給されていなければ(NO)、制御部51による処理は、ステップS11(
図6参照)へ戻る。そして、ステップS13において、制御部51は、改質水供給部を構成する水貯留部32から化学蓄熱器14の化学蓄熱剤142への水の供給を停止させる制御を、改質水供給部を構成する流量調整部23に対して行う。具体的には、制御部51は、
図4に示すように、流量調整部23に対して、弁を閉じるように制御を行う。また、制御部51は、流量調整部21、22に対して、弁を閉じた状態を維持するように制御を行う(
図6のステップS13)。
【0051】
これにより、水貯留部32から化学蓄熱剤142に供給された水W1により、化学蓄熱剤142としての酸化カルシウムは、水和反応を生じて水酸化カルシウムを生成する。この水和反応により、熱が発生し、化学蓄熱器14の温度は上昇する。これに伴い、化学蓄熱器14からの熱伝導により、改質器12及び燃焼器13の温度も上昇する。酸化カルシウムは、水和反応を生じて水酸化カルシウムを生成した後に更に反応が進み、炭酸カルシウムを生成する。そして、制御部51の処理は、ステップS14へと進む。
【0052】
次に、制御部51は、改質器12及び燃焼器13の温度が300℃以上になっていることを、制御部51のクロックによるタイマー52により、間接的に検出する。より具体的には、例えば、制御部51は、第1所定時間が経過した後に、制御部51のクロックによるタイマー52によって検出された時間が,第2所定時間である15分を超えているか否かを判断することにより、改質器12及び燃焼器13の温度が300℃以上になっているか否かの判断を、間接的に行う。
【0053】
タイマー52により第2所定時間が経過したことを検出することにより、
図6のステップS14において、これにより改質器12及び燃焼器13の温度が300℃以上になっていることを、制御部51が検出できた場合には(YES)、制御部51の処理は、ステップS15へと進む。所定の時間が経過したことを検出できない場合には(NO)、制御部51の処理は、ステップS14へと戻る。
【0054】
次に、制御部51は、改質器12へ水W1を供給するように、水供給部としての流量調整部22に対して制御を行う。また、制御部51は、改質器12へ燃料ガスG1を供給するように、燃料供給部としての流量調整部21に対して制御を行う。
【0055】
具体的には、
図5に示すように、制御部51は、流量調整部21及び流量調整部22に対して、これらの弁が開くように、制御を行う。これにより、混合器15により水蒸気とされた水W1と、燃料ガスG1とが混合され、改質器12に供給される。そして、混合された水(水蒸気)W1及び燃料ガスG1は、改質器12により改質ガスG2に改質され、改質ガス供給ラインL3を通して燃料電池11のアノードへ供給される。また、空気供給部33からの空気A1が、空気供給ラインL4を通して燃料電池11のカソードへ供給される。
【0056】
これにより、燃料電池11において発電が行われる。そして、燃料電池11からのアノードオフガスG3は、アノードオフガスラインL5を介して燃焼器13へ供給される。また、燃料電池11からのカソードオフガスG4は、カソードオフガスラインL6を介して燃焼器13へ供給される。燃焼器13では、アノードオフガスG3及びカソードオフガスG4が、燃焼用触媒132上で燃焼される。これにより、燃焼器13において熱が発生する。以上の制御部51による処理により、燃料電池11において、安定した発電が開始される。
【0057】
本実施形態の燃料電池システム1によれば、例えば、以下の効果が奏される。
本実施形態の燃料電池システム1は、燃料電池11と、改質用触媒122を収容する改質用触媒収容室123を有し、改質用触媒122上で燃料ガスG1と水W1とを反応させて、燃料電池11に供給される改質ガスG2を生成する改質器12と、燃焼用触媒132を収容する燃焼用触媒収容室133と燃焼用触媒収容室133に連通する燃焼室131とを有し、燃料電池11からのアノードオフガスG3を燃焼用触媒132上で燃焼する燃焼器13と、燃焼器13との間で熱伝導可能に配置される化学蓄熱器14であって、水和反応により発熱する化学蓄熱剤142を収容する蓄熱剤収容空間143を有する化学蓄熱器14と、改質器12へ供給する水を一時的に貯留し、貯留した水W1と化学蓄熱器14との間で熱伝導可能に配置される蒸発器163と、蒸発器163及び化学蓄熱器14の化学蓄熱剤142へ水を供給可能な改質水供給部としての流量調整部22、23、及び水貯留部32と、を備える。化学蓄熱器14は、燃焼用触媒収容室133に隣接して配置される。改質器12は、燃焼室131に隣接して配置される。蒸発器163は、燃焼室131、化学蓄熱器14、及び、改質用触媒収容室123に隣接して配置される。
【0058】
この構成により、燃料電池システム1の起動時に、化学蓄熱剤142の水和反応による発熱により、改質器12において燃料ガスG1を改質ガスG2へ改質可能な程度に、改質器12を加熱することができ、且つ、燃焼器13においてアノードオフガスG3を燃焼可能な程度に、燃焼器13を加熱することができる。従って、燃料電池システム1を、改質器12及び燃焼器13を加熱するためのバーナを有していない構成として、燃料電池システム1の起動時(スタートアップ時)に、改質器12及び燃焼器13を加熱することができる。この結果、燃料電池システム1を、より低コストで構成することができる。
【0059】
また、燃焼室131は、燃焼用触媒収容室133の上方に位置し、蒸発器163は、化学蓄熱器14の上方に位置し、改質用触媒収容室123は、蒸発器163の上方に位置する。この構成により、燃焼用触媒収容室133において燃焼用触媒132上で反応したアノードオフガスG3を容易に燃焼室131へ移動させることができる。また、蓄熱剤収容空間143で発生した熱を、蒸発器163中の水W1に対して容易に熱交換することができ、蒸発器163中の水W1を容易に加熱することができる。また、熱交換により高温になった蒸発器163中の水W1から、改質用触媒収容室123中の改質用触媒122へ熱交換を容易に行うことができ、改質用触媒収容室123中の改質用触媒122を容易に加熱することができる。
【0060】
また、化学蓄熱器14は、燃焼用触媒収容室133の周囲を取囲むように配置され、改質器12は、燃焼室131の周囲を取囲むように配置される。この構成により、化学蓄熱剤142の水和反応による発熱により、燃焼用触媒収容室133内の燃焼用触媒132を、その周囲から加熱することができる。
【0061】
また、化学蓄熱器14及び改質器12は、円筒状の外形を有し、化学蓄熱器14の内周面により形成される空間に、燃焼用触媒収容室133が配置され、改質器12の内周面により形成される空間に、燃焼室131が配置され、化学蓄熱器14は、燃焼用触媒収容室133に対して着脱可能である。
【0062】
この構成により、化学蓄熱器14の化学蓄熱剤142の水和反応による発熱により、燃焼用触媒収容室133内の燃焼用触媒132を周囲から均等に加熱することができる。また、燃焼室131における燃焼による熱が周囲へ均等に広がるように、改質器12の改質用触媒122を加熱することができる。
【0063】
また、蓄熱剤収容空間143は、化学蓄熱剤142を収容可能な蓄熱剤容器としての収容容器141の内部空間により構成されている。この構成により、蓄熱剤収容空間143に収容された化学蓄熱剤142を収容容器141ごと燃料電池システム1から取り外して、化学蓄熱剤142を交換することができる。例えば、化学蓄熱剤142を1回のみ利用可能な使い捨てとする場合において、燃料電池システム1による発電を停止し、次回、燃料電池システム1を起動(スタートアップ)する際に、新たな化学蓄熱剤142を収容容器141の蓄熱剤収容空間143に収容して、使用することを容易とする。
【0064】
また、改質器12へ向けて燃料が流通する燃料供給ラインとしての燃料ガス供給ラインL1と、燃料ガス供給ラインL1に接続され、改質水W1を気化させて水蒸気とし燃料ガス供給ラインL1に流通する燃料ガスG1と混合する混合器15と、蒸発器163に貯留されている改質水W1が、混合器15へ向けて流通する改質水流出ラインL11と、を備える。この構成により、蒸発器163に貯留され、加熱されて高温とされた改質水W1が混合器15へ供給されるため、混合器15において改質水W1を容易に水蒸気とすることができる。
【0065】
また、改質水供給部としての水貯留部32から化学蓄熱器14の化学蓄熱剤142に所定量の水を供給した後に、水貯留部32から化学蓄熱器14の化学蓄熱剤142への水の供給を停止させる制御を、流量調整部23に対して行う制御部51を有する。この構成により、燃料電池システム1の起動時(スタートアップ時)に、化学蓄熱器14の化学蓄熱剤142の水和反応による発熱により、十分に改質器12及び燃焼器13を加熱した状態で、燃料電池11による発電を開始することができる。
【0066】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されることなく、請求の範囲から逸脱しない範囲内で、種々の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態においては、化学蓄熱器14の化学蓄熱剤142に供給される水W1の量は、タイマー52により検出されたが、タイマー52に限定されない。例えば、水和水供給ラインL22に流通する水W1の流量を測定する流量計により、検出を行ってもよい。
【0067】
また、本実施形態では、収容容器141は、金属製の容器であり、それぞれ略円筒形状の内壁144及び外壁146を有し、全体として、略円筒形状の外形を有していたが、この形状、材質、及び構成に限定されない。例えば、収容容器141を、全体として略円筒形状として、その軸方向に沿って半割可能な構成としてもよい。このような構成とすることにより、半割の状態とされた収容容器141の蓄熱剤収容空間143に収容された化学蓄熱剤142を、容易に交換することができる。同様に、改質器、燃焼器、蒸発器容器の形状や材質や構成は、本実施形態におけるこれらの形状や材質や構成に限定されない。
【0068】
また、燃料電池システムの各部の構成は、本実施形態の構成に限定されない。例えば、本実施形態では、改質器12及び燃焼器13の温度が300℃以上になったことの検出を、タイマー52により行ったが、これに限定されない。例えば、温度センサ、圧力センサ、及び、タイマー52のうちの少なくとも1つにより、検出を行ってもよく、これらとは別の手段や別の温度により検出を行ってもよい。
【0069】
燃焼器13は、燃料電池11から排気されるアノードオフガスG3及びカソードオフガスG4を、燃焼用触媒132上で燃焼処理したが、これに限定されない。例えば、燃焼器13においては、アノードオフガスG3のみを燃焼処理してもよい。この場合には、カソードオフガスG4は、燃焼されずにそのまま屋外に排出されてもよい。このように、カソードオフガスG4が燃焼されない場合には、例えば、空気供給ラインL4から分岐された燃焼器13へのラインにより空気を供給したり、大気から燃焼器13へ空気を供給したりすればよい。