特許第6241374号(P6241374)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6241374
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/08 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
   E02F9/08 Z
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-130265(P2014-130265)
(22)【出願日】2014年6月25日
(65)【公開番号】特開2016-8442(P2016-8442A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2016年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100109058
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】坂田 知大
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 誠司
【審査官】 袴田 知弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−160005(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/137169(WO,A1)
【文献】 特開平10−088617(JP,A)
【文献】 特開2011−179165(JP,A)
【文献】 特開2013−050002(JP,A)
【文献】 特開2013−087423(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0026795(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、
この下部走行体上に旋回自在に搭載された上部旋回体と、
この上部旋回体に装着される作業アタッチメントを具備し、
上記上部旋回体のベースとしてのアッパーフレームは、前後方向に延びる左右一対の縦板を有し、上記両縦板の前端部に、上記作業アタッチメントのブームフットが取付けられるブームフットピン穴が設けられたセンターセクションと、このセンターセクションの左右両側に設けられたサイドデッキと、を備え、
上記サイドデッキのそれぞれは、複数の梁材を有する梁構造体であり、
上記両サイドデッキのうちの一方を構成する上記梁構造体はその上に第1の機器類及び第2の機器類が設置される特定梁構造体であり、
上記特定梁構造体が有する上記複数の梁材は、前後方向に間隔を置いて平行に配置された第1横梁及び第2横梁を含み、
上記第1横梁と上記第2横梁とで挟まれた空間には、当該第1横梁及び当該第2横梁と平行に配された第1支持梁及び第2支持梁と、上記第1横梁と上記第1支持梁とに前後方向に跨る第1の機器類取付部材と、上記第2横梁と上記第2支持梁とに前後方向に跨る第2の機器類取付部材と、がさらに設けられ、
上記第1の機器類は上記第2横梁上に設置され、
上記第2の機器類は、平面視で上記ブームフットピン穴と左右に並ぶ位置で、かつ、当該第2の機器類の設置面が上記第2横梁の上面よりも低位となる状態で、上記第1の機器類取付部材及び上記第2の機器類取付部材によって上記第1支持梁及び上記第2支持梁上に設置されることを特徴とする建設機械。
【請求項2】
上記第1横梁、上記第2横梁、上記第1支持梁及び上記第2支持梁の一端を上記縦板に取付けるとともに、上記縦板に対する上記第1横梁、上記第2横梁、上記第1支持梁及び上記第2支持梁の取付部分において、上記第1横梁、上記縦板、上記第1支持梁の三者に跨って第1の補強部材を取付け、上記第2横梁、上記縦板、上記第2支持梁の三者に跨って第2の補強部材を取付けたことを特徴とする請求項記載の建設機械。
【請求項3】
上記第1横梁上記第1支持梁の間に架け渡される一対の受け板と、この両受け板に跨って取付けられるマウントプレートによって上記第1の機器類取付部材を構成し、上記第2横梁と上記第2支持梁の間に架け渡される一対の受け板と、この両受け板に跨って取付けられるマウントプレートによって上記第2の機器類取付部材を構成したことを特徴とする請求項または記載の建設機械。
【請求項4】
上記第1横梁上記第1支持梁の間に架け渡される一対の受け板部と、この両受け板部に跨るマウントプレート部を一体に連設して上記第1の機器類取付部材を構成し、上記第2横梁と上記第2支持梁の間に架け渡される一対の受け板部と、この両受け板部に跨るマウントプレート部を一体に連設して上記第2の機器類取付部材を構成したことを特徴とする請求項または記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハイブリッドショベル等の建設機械であってハイブリッド機器その他の機器類取付けられる梁構造体を備えたものに関する。
【背景技術】
【0002】
ショベルを例にとって背景技術を説明する。
【0003】
ショベルは、図7に示すようにクローラ式の下部走行体1上に上部旋回体2が地面に対して鉛直となる軸のまわりに旋回自在に搭載され、この上部旋回体2のベースとなるアッパーフレーム3上にキャビン4等の各種設備、機器類が搭載されるとともに、アッパーフレーム3の前部に、ブーム5、アーム6、バケット7とこれらを作動させるブーム、アーム、バケット各シリンダ8,9,10から成る作業アタッチメントAが取付けられて構成される。
【0004】
なお、この明細書においては、キャビン4の位置を左側前部とし、これを基準に「前後」「左右」の方向性をいうものとする。
【0005】
アッパーフレーム3の全体構成と機器類の取付構造を図7図10によって説明する。
【0006】
なお、各図及び説明の簡素化のために本発明と直接関係のないアッパーフレーム各部の細かな図示、説明を省略する。
【0007】
アッパーフレーム3は、補強部材とアタッチメント取付部材を兼ねる左右一対の縦板11,11を備えたセンターセクションCと、このセンターセクションCの左右両側に設けられた梁構造体であるサイドデッキD1,D2によって構成され、センターセクションCの後部にエンジンをはじめとする図示しない動力系の機器類が搭載される。
【0008】
また、左サイドデッキD1上に図7中のキャビン4が搭載される一方、ハイブリッドショベルにおいては右サイドデッキD2上に、蓄電器やインバータを含む制御ユニット等のハイブリッド設備としての機器12とタンク(たとえば燃料タンク)13が前後に並んで設置される。
【0009】
詳述すると、右サイドデッキD2は、前後に間隔を置いて配置された複数の梁材(横梁)を有する梁構造体として構成され、たとえば前側二本の横梁(第1、第2横梁)14,15に跨って機器12が設置されるとともに、二番目と三番目の横梁(第2、第3横梁)15,16に跨ってタンク13が設置される。
【0010】
各横梁14〜16は、右縦板11と右サイドデッキD2の右枠17の間に架け渡され、両端が両者に溶接固定される。
【0011】
なお、図9において、上記各横梁14〜16を明示するために太線囲いで示している。
【0012】
図8,9中、18は第1及び第2両横梁14,15の各左右両側に設けられたマウント部材取付穴で、図10に示すゴム製のマウント部材19がマウント部材取付穴18に嵌め込まれ、このマウント部材19上に機器12が設置される。
【0013】
また、図8,9中、20は第2及び第3両横梁15,16に設けられたタンク取付穴で、タンク13が横梁15,16に載置された状態でその底面がこのタンク取付穴20によって両横梁15,16にボルト固定される。
【0014】
このような機器類取付構造は特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2013−28915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従来は、上記のように梁構造体の上面、つまり梁材の上面に機器類を設置する構成をとっているため、設置される機器類の位置と高さによっては、周辺の他の構造物との関係で問題が生じていた。
【0017】
図のショベルの例でいうと、センターセクションCを構成する両縦板11,11の前端部にブームフットピン穴21が設けられ、図7に示すブームフットピン22がこのブームフットピン穴21を介してブーム5の基端部(ブームフット)に挿入されることにより、ブーム5(作業アタッチメントA全体)がブームフットピン22を中心に起伏自在に装着される。
【0018】
ここで、機器12は、図示のようにブームフットピン穴21の右側に並んで右サイドデッキD2上に設置される。
【0019】
この場合、機器12は比較的嵩高いため、そのまま設置すると、図10に示すように側面から見て機器上端部がブームフットピン穴21の一部または全部に重なる状態、いいかえればブームフットピン穴21の少なくとも一部を右側方から覆い隠す状態となる。
【0020】
こうなると、アタッチメント交換等のためのブームフットピン22の抜き差し、つまりブーム5の脱着ができなくなる。あるいは、ブーム脱着の都度、機器12を取外さなければならなくなる。
【0021】
このため、このような事態を回避するために機器12の高さ寸法が制限されることになっていた。
【0022】
なお、対策として、右サイドデッキD2全体、または横梁14〜16を低位置に設けたり、その高さ寸法を小さくしたりすることによって機器12の設置面を下げることが考えられる。
【0023】
しかし、こうするとデッキ自体の強度が低下したり、高さ制限と無関係な他の機器類(タンク13)の設置に影響が及んだりする等、弊害が大きいため、得策でない。
【0024】
そこで本発明は、梁構造体の強度低下等の弊害を招くことなく、かつ、機器類の高さ寸法に制限を加えずに、機器類の設置高さを低くすることができる建設機械を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記課題を解決する手段として、本発明においては、複数の梁材を有する梁構造体を備え、この梁構造体上に機器類が設置される建設機械において、上記梁材上に設置される機器類を第1の機器類として、上記梁構造体に、上記第1の機器類とは別の第2の機器類が設置される支持梁を、上記梁材から離間して、かつ、機器類設置面としての上面が上記梁材の上面よりも低位となる状態で設けたものである。
【0026】
このように、梁構造体に対し、既存の梁材とは別の支持梁を、その上面が梁材上面よりも低位となる状態で設け、高さ制限の無い機器類(第1の機器類)は従来通り既存の梁材上に設置し、高さ制限を受ける機器類(第2の機器類)は低位面上に設置する構成としたから、梁材そのものを低位置に設けたりその高さ寸法を縮小したりすることによる弊害を招くことなく、第2の機器類の設置高さのみを低くすることができる。
【0027】
より具体的に、本発明に係る建設機械は、下部走行体と、この下部走行体上に旋回自在に搭載された上部旋回体と、この上部旋回体に装着される作業アタッチメントを具備し、上記上部旋回体のベースとしてのアッパーフレームは、前後方向に延びる左右一対の縦板を有し、上記両縦板の前端部に、上記作業アタッチメントのブームフットが取付けられるブームフットピン穴が設けられたセンターセクションと、このセンターセクションの左右両側に設けられたサイドデッキと、を備え、上記サイドデッキのそれぞれは、複数の梁材を有する梁構造体であり、上記両サイドデッキのうちの一方を構成する上記梁構造体はその上に第1の機器類及び第2の機器類が設置される特定梁構造体であり、上記特定梁構造体が有する上記複数の梁材は、前後方向に間隔を置いて平行に配置された第1横梁及び第2横梁を含み、上記第1横梁と上記第2横梁とで挟まれた空間には、当該第1横梁及び当該第2横梁と平行に配された第1支持梁及び第2支持梁と、上記第1横梁と上記第1支持梁とに前後方向に跨る第1の機器類取付部材と、上記第2横梁と上記第2支持梁とに前後方向に跨る第2の機器類取付部材と、がさらに設けられ、上記第1の機器類は上記第2横梁上に設置され、上記第2の機器類は、平面視で上記ブームフットピン穴と左右に並ぶ位置で、かつ、当該第2の機器類の設置面が上記第2横梁の上面よりも低位となる状態で、上記第1の機器類取付部材及び上記第2の機器類取付部材によって上記第1支持梁及び上記第2支持梁上に設置されるものである。
【0028】
この構成によれば、アッパーフレームを構成するセンターセクションの前端部にブームフットピン穴が設けられる一方、サイドデッキの前部に機器類がブームフットピン穴と左右に並んで設置されるショベルにおいて、ブームフットピン穴が機器類で隠れたり、これを回避するために機器類高さ寸法が制限されたりする問題を解決することができる。
【0029】
この発明では、上記第2の機器類が設置されるサイドデッキの上記特定梁構造体が前後方向に間隔を置いて平行に配置される第1横梁及び第2横梁を有するのに加え、上記第1横梁及び上記第2横梁で挟まれた空間に二本の支持梁である第1支持梁及び第2支持梁を上記第1及び第2横梁と平行に設けるとともに、上記第1及び第2支持梁上記第1及び第2支持梁とにそれぞれ前後方向にる第1及び第2の機器類取付部材を設け、上記第2の機器類を上記第1及び第2の機器類取付部材によって上記第1及び第2支持梁上に設置する。
【0030】
このように、梁構造体の梁材である第1及び第2横梁と、追加した第1及び第2支持梁とに前後方向に跨って第1及び第2の機器類取付部材を設けるため、いいかえれば既存の梁材を、第2の機器類を支持するための荷重支持部材として利用する構成であるため、支持梁のみで荷重を支持する場合と比較して、機器類設置構造を簡素化、コンパクト化し、コストダウンすることができる。
【0031】
また、上記のような特定梁構造体を備えた建設機械において、上記第1横梁、上記第2横梁、上記第1支持梁及び上記第2支持梁の一端を上記縦板に取付けるとともに、上記縦板に対する上記第1横梁、上記第2横梁、上記第1支持梁及び上記第2支持梁の取付部分において、上記第1横梁、上記縦板、上記第1支持梁の三者に跨って第1の補強部材を取付け、上記第2横梁、上記縦板、上記第2支持梁の三者に跨って第2の補強部材を取付けるのが望ましい。
【0032】
こうすれば、補強部材を梁(第1及び第2横梁第1及び第2支持梁)の根元部分、つまり第2の機器類によって最も荷重が作用する部分に前後と左右片面の三面が固定された状態で取付けるため、補強効果と応力逃がし効果によって荷重支持強度を高めることができる。
【0033】
さらに、上第1横梁上記第1支持梁の間に架け渡される一対の受け板と、この両受け板に跨って取付けられるマウントプレートによって上記第1の機器類取付部材を構成し、上記第2横梁と上記第2支持梁の間に架け渡される一対の受け板と、この両受け板に跨って取付けられるマウントプレートによって上記第2の機器類取付部材を構成するのが望ましい。
【0034】
こうすれば、機器類をマウント部材によって取付ける場合に、受け板に対するマウントプレートの前後、左右、上下の取付位置や水平度を調節することによってマウント部材の各方向の位置調節が可能となる。
【0035】
あるいは、上記第1横梁上記第1支持梁の間に架け渡される一対の受け板部と、この両受け板部に跨るマウントプレート部を一体に連設して上記第1の機器類取付部材を構成し、上記第2横梁と上記第2支持梁の間に架け渡される一対の受け板部と、この両受け板部に跨るマウントプレート部を一体に連設して上記第2の機器類取付部材を構成してもよい。
【0036】
こうすれば、部品点数の削減によるコストダウンと組立性の改善が可能となる。また、機器類取付部材について溶接個所が無くなるため、溶接に起因する不具合の発生を防止できる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によると、梁構造体の強度低下等の弊害を招くことなく、かつ、機器類の高さ寸法に制限を加えずに、機器類の設置高さを低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の実施形態にかかる機器類取付装置を含むショベルのアッパーフレームの概略斜視図である。
図2図1の一部を拡大し、かつ、分解した図である。
図3図1の一部拡大平面図である。
図4図3のIV−IV線断面図である。
図5図4の破線囲い部分イの拡大図である。
図6】本発明の別の実施形態を示す図2相当図である。
図7】本発明の適用対象例であるショベルの概略側面図である。
図8】従来の機器類取付装置を含むショベルのアッパーフレームの概略斜視図である。
図9図8の一部拡大平面図である。
図10図9のX−X線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の実施形態を図1図6によって説明する。
【0040】
実施形態は、背景技術の説明に合わせて、ショベルのアッパーフレーム30を構成する右サイドデッキD2´上に、制御ユニット等のハイブリッド設備であって特許請求の範囲でいう「第2の機器類」としての機器12と、同じく第1の機器類としてのタンク13を設置する場合を例にとっている。
【0041】
実施形態において、次の点は図7図10に示す従来技術と同じである。
【0042】
(i) アッパーフレーム30は、補強部材とアタッチメント取付部材を兼ねる左右一対の縦板31,31を備えたセンターセクションC´と、このセンターセクションC´の左右両側に設けられた梁構造体であるサイドデッキD1´,D2´によって構成され、センターセクションC´の後部にエンジンをはじめとする図示しない動力系の機器類が搭載されるとともに、左サイドデッキD1´上に図7中のキャビン4が搭載される点。
【0043】
(ii) センターセクションC´を構成する両縦板31,31の前端部に、図7中の作業アタッチメントA(ブーム5)の基端部を取付けるためのブームフットピン穴32が設けられる点。
【0044】
(iii) 右サイドデッキD2´は、前後に間隔を置いて配置された三本の梁材(横梁。図3において太線囲いで示す)33,34,35を有する梁構造体として構成される点。
【0045】
(iii)ハイブリッドショベルにおいては、右サイドデッキD2´の前部に機器12が設置され、その後方にタンク13が設置される点。
【0046】
(iv) 機器12は、平面視でブームフットピン穴32の右側に位置し、前側二本の横梁(第1、第2横梁)33,34に跨ってその上面に直接設置すると、側面から見て機器上端部がブームフットピン穴21の一部または全部に重なる状態(ブームフットピン穴21の少なくとも一部を右側方から覆い隠す状態)となる点。
【0047】
実施形態においては、上記(iv)の事態を回避するために次の構成がとられている。
【0048】
右サイドデッキD2´における第1横梁33の後方、及び第2横梁34の前方にそれぞれ支持梁36,37が、横梁33,34と間隔を置いて平行に設けられている。
【0049】
この両支持梁36,37は、図示のように細長い板状に形成され、各横梁33〜35と同様に、水平姿勢で右縦板31の右側面と、右サイドデッキD2´の右枠38の間に架け渡されてそれぞれ両者に溶接固定される。
【0050】
そして、第1横梁33と前部支持梁36の間、及び第2横梁34と後部支持梁37の間において各左右両側に機器類取付部材39が設けられている。
【0051】
この機器類取付部材39は、左右一対の受け板40,40と、この両受け板40,40の上面に跨って水平に取付けられたマウントプレート41(いずれも図2のみに符号を付している)によって構成される。
【0052】
マウントプレート41には、マウント部材取付穴42が設けられ、このマウント部材取付穴42に嵌め込まれたゴム製のマウント部材43(図4参照)上に機器12が設置される。
【0053】
すなわち、機器12は、横梁33,34ではなく、前後の支持梁36,37間にマウント部材43及び機器類取付部材39を介して設置される。
【0054】
一方、タンク13は、従来同様、第2及び第3両横梁34,35の各上面に跨って設置される。
【0055】
図1図3中、44は第2及び第3両横梁34,35に設けられたタンク取付穴である。
【0056】
ここで、図5に示すように、右サイドデッキD2´において機器12が設置される面(具体的にはマウントプレート41の上面)が横梁上面よりも低位に位置する(機器設置状態で機器12の下面がタンク13の下面よりも低位置となる)ように、支持梁36,37及び受け板40の高さ寸法等が設定されている。
【0057】
図5中のαは機器設置面(マウントプレート上面)とタンク設置面(横梁上面)の高さ方向のずれ量を示す。
【0058】
このずれ量αは、たとえば図示のように横梁34の高さ寸法のほぼ半分程度に設定され、このずれ量αだけ、機器12の設置高さを低くすることができる。
【0059】
いいかえれば、機器12の高さ寸法にことさら制限を加えなくても、図4に示すように機器設置状態で機器12の上面をブームフットピン穴32よりも下位に位置させる(ブームフットピンの脱着の邪魔にならない状態とする)ことが可能となる。
【0060】
しかも、右サイドデッキD2´の横梁33,34と、追加した支持梁36,37とに跨って機器類取付部材39を設けるため、いいかえれば既存の横梁33,34を、機器12を支持するための荷重支持部材として利用する構成であるため、支持梁36,37のみで荷重を支持する場合と比較して、機器設置構造を簡素化、コンパクト化し、コストダウンすることができる。
【0061】
さらに、機器12をマウント部材43によって取付けるこの実施形態において、受け板40,40に対するマウントプレート41の前後、左右、上下の取付位置や水平度を調節することによってマウント部材43の各方向の位置調節が可能となる。
【0062】
一方、実施形態においては、右縦板31に対する第1、第2両横梁33,34及び前部、後部両支持梁36,37の取付部分にそれぞれ前部、後部両補強部材45,45が水平に取付けられている。
【0063】
この両補強部材45は、平面視において円弧状の凹部を備えた凹形の板状に形成され、その前後と左の各面が横梁33,34、右縦板31、支持梁36,37の三者にそれぞれ溶接されている。
【0064】
このように、補強部材45を横梁33,34及び支持梁36,37の根元部分、つまり機器12によって最も荷重が作用する部分に三面が固定された状態で取付けるため、この補強部材45による補強効果と応力逃がし効果によって荷重支持強度を高めることができる。
【0065】
他の実施形態
(1) 機器類取付部材のバリエーションとして、図6に示すように、横梁33,34と支持梁36,37の間に架け渡される一対の受け板部40´,40´と、この両受け板部40´,40´に跨るマウントプレート部41´を一体に連設して機器類取付部材39´を構成してもよい。
【0066】
こうすれば、部品点数の削減によるコストダウンと組立性の改善が可能となる。また、機器類取付部材39´について溶接個所が無くなるため、溶接に起因する不具合の発生を防止できる。
【0067】
(2) 上記実施形態では、既存の横梁33,34と平行に支持梁36,37を設け、この横梁33,34と支持梁36,37の間に機器類取付部材39を取付ける構成をとったが、前後の横梁33,34間の左右両側において左右一対の支持梁を横梁33,34と直交して取付け、支持梁間に機器類取付部材39を取付ける構成をとってもよい。
【0068】
(3) 上記実施形態では、ショベルの右サイドデッキ上に機器12とタンク13を設置する場合を例にとったが、左サイドデッキ上に機器類を設置する場合にも、またショベル以外の建設機械における梁構造体上に機器類を設置する場合にも上記実施形態と同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 下部走行体
2 上部旋回体
C´ センターセクション
D1´ 左サイドデッキ
D2´ 右サイドデッキ
12 機器
13 タンク
30 アッパーフレーム
31 縦板
32 ブームフットピン穴
33〜35 横梁
36,37 支持梁
39 機器類取付部材
40 受け板
40´ 受け板部
41 マウントプレート
41´ マウントプレート部
42 マウント部材取付穴
43 マウント部材
45 補強部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10