(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記画像形成装置は、前記端末位置判定部から入力された印刷指示に基づいて前記画像形成部によるドキュメントの印刷が実施された場合、その後、前記端末位置判定部により前記携帯情報端末が指定エリア外になったときに、前記ドキュメント取得部が取得した当該ドキュメントを消去するドキュメント消去部をさらに備える、請求項2記載の画像形成システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1が開示する技術は、携帯端末を特定することなく、印刷指示を送信した携帯端末の位置ごとに印刷許可範囲を設定することはできる。しかしながら、この構成では、印刷許可範囲は全ての印刷対象のデータに対して適用されるため、例えば、機密度の高いデータについては、別途、印刷許可あるいは印刷禁止を管理する必要がある。
【0007】
本発明は、このような従来の実情を鑑みてなされたものであり、よりセキュリティー性の高い印刷制御を実現することができる画像形成装置及び画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明は以下の技術的手段を採用している。まず、本発明は、ドキュメントを格納するドキュメント記憶装置と、ドキュメント記憶装置に格納されたドキュメントを印刷する画像形成装置とを備える画像形成システムを前提としている。そして、本発明に係る画像形成システムは、ドキュメント記憶装置が、印刷が可能なエリアを指定する印刷許可範囲情報と対応づけられたドキュメントを格納するドキュメント格納部を備える。
【0009】
また、画像形成装置が、印刷指示受付部、位置情報保持部、判定部、ドキュメント取得部及び画像形成部を備える。印刷指示受付部は、ユーザーからの印刷指示を受け付ける。位置情報保持部は、自装置の位置情報を保持する。判定部は、上記印刷指示により指定されたドキュメント記憶装置内のドキュメントに対応する印刷許可範囲情報が指定するエリア内に位置情報保持部に保持された位置情報が含まれるか否かを判定する。ドキュメント取得部は、判定部により印刷可能エリア内であると判定された場合、上記印刷指示により指定されたドキュメント記憶装置のドキュメントを取得する。画像形成部は、ドキュメント取得部により取得されたドキュメントを被転写体上に印刷する。
【0010】
この画像形成システムでは、ドキュメントごとに印刷許可範囲情報が設定されるため、ドキュメントごとに、ドキュメントの印刷を管理することができる。例えば、意図しないエリアでの印刷禁止をドキュメントごとに設定可能であり、特定のドキュメントは、特定の画像形成装置のみでしか印刷できない等の設定が可能である。その結果、従来構成に比べてセキュリティー性を高めることができる。
【0011】
この画像形成システムにおいて、画像形成装置は、端末位置情報取得部、端末位置判定部をさらに備えることができる。端末位置情報取得部は、自装置とデータの授受が可能な状態に接続された携帯情報端末の位置情報を取得する。端末位置判定部は、端末位置情報取得部により取得された携帯情報端末の位置情報が予め指定されたエリア内にあるか否かを判定する。この構成では、端末位置判定部により指定エリア内であると判定された場合、携帯情報端末から入力された印刷指示は、印刷指示受付部に入力される。
【0012】
この構成では、携帯情報端末を通じた印刷指示について、上述のように、意図しないエリアでの印刷禁止に加えて、画像形成装置から離れた位置からの印刷をも禁止することができる。すなわち、印刷物の回収までに許容できない時間を要する位置関係にあるユーザーからの印刷を禁止することができる。
【0013】
なお、この構成において、画像形成装置はドキュメント消去部をさらに備えることができる。ドキュメント消去部は、端末位置判定部から入力された印刷指示に基づいて画像形成部によるドキュメントの印刷が実施された場合、その後、端末位置判定部により携帯情報端末が指定エリア外になったときに、ドキュメント取得部が取得した当該ドキュメントを消去する。
【0014】
また、以上の画像形成システムにおいて、画像形成装置は、問い合わせ部及び制限付印刷実行部をさらに備えることもできる。問い合わせ部は、判定部により印刷可能エリア外であると判定された場合、判定部により印刷可能エリア内であると判定されたときに得られる印刷物とは異なる態様での印刷物を印刷する制限付印刷を実施するか否かをユーザーに問い合わせる。制限付印刷実行部は、ユーザーから問い合わせ部に、制限付印刷を実施する旨の指示が入力された場合、ドキュメント取得部に、印刷指示により指定されたドキュメント記憶装置のドキュメントを取得させ、画像形成部において当該ドキュメントを制限付印刷する。
【0015】
これにより、印刷許可範囲情報により指定されたエリア外での印刷を禁止はしないが、印刷許可範囲情報により指定されたエリア外で印刷されたドキュメントであることを識別可能な状態でドキュメントを印刷させることができる。
【0016】
一方、他の観点では、本発明は、画像形成装置を提供することもできる。すなわち、本発明に係る画像形成装置は、印刷指示受付部、位置情報保持部、判定部、ドキュメント取得部及び画像形成部を備える。印刷指示受付部は、ユーザーからの印刷指示を受け付ける。位置情報保持部は、自装置の位置情報を保持する。判定部は、上記印刷指示により指定されたドキュメントに対応づけられた、当該ドキュメントの印刷可能エリアを指定する印刷許可範囲情報が指定するエリア内に位置情報保持部に保持された位置情報が含まれるか否かを判定する。ドキュメント取得部は、判定部により印刷可能エリア内であると判定された場合、上記印刷指示により指定されたドキュメントを取得する。画像形成部は、ドキュメント取得部により取得されたドキュメントを被転写体上に印刷する。
【0017】
この画像形成装置は、端末位置情報取得部及び端末位置判定部をさらに備えることもできる。端末位置情報取得部は、自装置とデータの授受が可能な状態に接続された携帯情報端末の位置情報を取得する。端末位置判定部は、端末位置情報取得部により取得された携帯情報端末の位置情報が予め指定されたエリア内にあるか否かを判定する。この構成では、端末位置判定部により指定エリア内であると判定された場合、携帯情報端末から入力された印刷指示が印刷指示受付部に入力される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、比較的簡便な構成で、よりセキュリティー性の高い印刷制御を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながらより詳細に説明する。以下では、デジタル複合機、スマートフォン等の携帯情報端末、サーバー装置等のドキュメント記憶装置とを構成要素として含む画像形成システムとして本発明を具体化する。
【0021】
図1は本実施形態における画像形成システムの全体構成の一例を示す概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態では、画像形成システム10は、複合機100、携帯情報端末190及びドキュメント記憶装置200により構成されている。
【0022】
複合機100は、画像読取部120及び画像形成部140を含む本体101と、本体101の上方に取り付けられたプラテンカバー102とを備える。複合機100の前面にはユーザーが複合機100に複写開始やその他の指示を与えたり、複合機100の状態や設定を確認したりすることができる操作パネル171が設けられている。
【0023】
本体101の上部には、画像読取部120が設けられている。画像読取部120は、走査光学系121により原稿の画像を読み取りその画像のデジタルデータ(画像データ)を生成する。
【0024】
生成された画像データは、画像形成部140において被転写体である用紙に印刷することができる。また、生成された画像データは、ネットワークインターフェイス161によりネットワーク162を通じて他の機器(図示せず)へ送信することもできる。なお、
図1に示すように、ドキュメント記憶装置200は、他の機器の1つとしてネットワーク162に接続されている。
【0025】
画像形成部140は、画像読取部120が生成した画像データや、ネットワーク162に接続された他の機器から受信した画像データを用紙に印刷する。画像形成部140は、手差しトレイ151、給紙カセット152、153、154等から、トナー像を転写する転写部155へ用紙を給紙する。転写部155においてトナー像が転写された用紙は排紙トレイ149へ排紙される。
【0026】
また、複合機100は、装置側無線通信部181を備える。装置側無線通信部181は、無線通信可能範囲内に携帯情報端末190の端末側無線通信部191が存在する場合、装置側無線通信部181と端末側無線通信部191との間でデータの授受が可能な無線回線を確立する。
【0027】
当該無線回線を確立するための通信方式は特に限定されないが、例えば、ブルートゥース(登録商標)等のいわゆる近距離無線通信を使用することができる。また、装置側無線通信部181がアクセスポイント(無線基地局)機能を有する構成として無線LANを使用することもできる。なお、本実施形態では、無線回線を確立するために接続の相手先を特定するための設定(例えば、ペアリング等)は予め実施されており、装置側無線通信部181及び端末側無線通信部191が無線通信可能範囲内に属するときは、装置側無線通信部181と端末側無線通信部191との間の無線回線は自動的に確立される構成になっている。
【0028】
図2は、複合機における制御系のハードウェア構成図である。本実施形態の複合機100は、CPU(Central Processing Unit)201、RAM(Random Access Memory)202、ROM(Read Only Memory)203、HDD(Hard Disk Drive)204及び画像読取部120、画像形成部140における各駆動部に対応するドライバー205が内部バス206を介して接続されている。ROM203やHDD204等はプログラムを格納しており、CPU201はその制御プログラムの指令にしたがって複合機100を制御する。例えば、CPU201はRAM202を作業領域として利用し、ドライバー205とデータや命令を授受することにより上記各駆動部の動作を制御する。また、HDD204は、画像読取部120により得られた画像データや、他の機器からネットワークインターフェイス161を通じて受信した画像データや装置側無線通信部181を通じて受信したデータの蓄積にも用いられる。
【0029】
内部バス206には、操作パネル171や各種のセンサー207も接続されている。操作パネル171は、ユーザーの操作を受け付け、その操作に基づく信号をCPU201に供給する。また、操作パネル171は、CPU201からの制御信号にしたがって自身が備えるディスプレイに操作画面を表示する。センサー207は、プラテンカバー102の開閉検知センサーや原稿台上の原稿検知センサー、定着器の温度センサー、搬送される用紙又は原稿の検知センサーなど各種のセンサーを含む。
【0030】
CPU201は、例えばROM203に格納されたプログラムを実行することで、以下の各手段(機能ブロック)を実現するとともに、これらセンサーからの信号に応じて各手段の動作を制御する。
【0031】
図3は、本実施形態の画像処理システムを示す機能ブロック図である。
図3に示すように、本実施形態の画像処理システム10は、複合機100、携帯情報端末190、ドキュメント記憶装置200を備える。複合機100とドキュメント記憶装置200とはネットワーク162を介してデータ授受可能な状態で接続されている。また、複合機100と携帯情報端末190は、複合機100が備える装置側無線通信部181と、携帯情報端末190が備える端末側無線通信部191との間で確立される無線回線により、データ授受可能な状態で接続される。
【0032】
まず、ドキュメント記憶装置200について説明する。ドキュメント記憶装置200はサーバー装置により構成され、ネットワークインターフェイス211を介してネットワーク162と接続されている。ドキュメント記憶装置200は、ドキュメント格納部301を備える。ドキュメント格納部301は、印刷が可能なエリア(以下、印刷可能エリアという。)を指定する印刷許可範囲情報と対応づけられたドキュメントを格納する。
【0033】
印刷許可範囲情報はドキュメントごとに指定される。印刷許可範囲情報は、特定のエリアを規定できればよく、その形式は特に限定されない。例えば、印刷許可範囲情報として、緯度情報及び経度情報を使用することができる。矩形エリアの場合、矩形を規定する4点を示す緯度情報及び経度情報を印刷許可範囲情報をして使用することができる。円形エリアの場合、中心の一点を示す緯度情報及び経度情報とその中心からの距離とを印刷許可範囲情報をして使用することができる。また、印刷許可範囲情報に高度情報(海抜)が含まれてもよい。
【0034】
また、ドキュメントと印刷許可範囲情報とは対応づけられていればよく、その形式は特に限定されない。すなわち、ドキュメントと印刷許可範囲情報とは一体のデータとして格納されていてもよく、個別のデータとして格納されていてもよい。本実施形態では、印刷許可情報はドキュメントのファイル内に含まれている。
【0035】
なお、ドキュメント記憶装置200は、複合機100と同様に、CPU、RAM、ROM及びHDDを備える。CPUは、例えばROMやHDDに格納されたプログラムを、RAMを作業領域として実行することで、サーバー装置としての各種機能を実現する。
【0036】
また、複合機100は、
図3に示すように、印刷指示受付部302、位置情報保持部303、判定部304、ドキュメント取得部305、端末位置情報取得部306及び端末位置判定部307を備える。
【0037】
印刷指示受付部302は、ユーザーからの印刷指示を受け付ける。ユーザーによる印刷指示は、例えば、操作パネル171の操作を通じて入力される。あるいは、ネットワーク162に接続された情報処理端末から、ネットワークインターフェイス161を通じて入力される。さらには、装置側無線通信部181に接続された携帯情報端末190から、装置側無線通信部181を通じて入力される。
【0038】
位置情報保持部303は自装置が設置されている位置情報を保持する。位置情報は印刷許可範囲情報と対比が可能な情報である。例えば、印刷許可範囲情報が緯度情報及び経度情報で表現されている場合、位置情報も緯度情報及び経度情報で表現されていることが好ましい。また、この場合、位置情報は、住所等の緯度情報及び経度情報に変換可能な情報であってもよい。このような変換は、例えば、ネットワーク162に接続された地図データベース等を利用して実行可能である。特に限定されないが、本実施形態では、位置情報保持部303には、複合機100の設置場所を示す緯度情報及び経度情報が予め登録されている。
【0039】
判定部304は、印刷指示により指定されたドキュメントに対応する印刷許可範囲情報が指定するエリア(印刷可能エリア)内に、位置情報保持部303に保持された位置情報が含まれるか否かを判定する。本実施形態では、判定部304は、印刷可能エリアをドキュメント記憶装置200から取得し、位置情報保持部303に保持された位置情報が含まれるか否かを判定する。
【0040】
ドキュメント取得部305は、判定部304により印刷可能エリア内であると判定された場合、印刷指示により指定されたドキュメントをドキュメント記憶装置200から取得する。ドキュメント取得部305により取得されたドキュメントは、画像形成部140において被転写体である用紙上に印刷される。
【0041】
端末位置情報取得部306は、自装置とデータの授受が可能な状態に接続された携帯情報端末190の位置情報を取得する。当該位置情報は、携帯情報端末190の現在位置を示す情報であり、携帯情報端末190が保持している。
【0042】
端末位置判定部307は、端末位置情報取得部306により取得された携帯情報端末190の位置情報が予め指定されたエリア(以下、指定エリアという。)内にあるか否かを判定する。指定エリアは、特定のエリアを識別可能であればよく、その形式は特に限定されない。例えば、指定エリアは緯度情報及び経度情報により規定することができる。指定エリアが矩形である場合、矩形を規定する4点を示す緯度情報及び経度情報により指定エリアを規定することができる。また、指定エリアが円形エリアである場合、中心の一点を示す緯度情報及び経度情報とその中心からの距離とにより指定エリアをク呈することができる。また、指定エリアを規定する情報に高度情報(海抜)が含まれてもよい。本実施形態では、指定エリア内であると判定した端末位置判定部307は、携帯情報端末190から入力された印刷指示を印刷指示受付部302に入力する。
【0043】
また、
図3に示すように、本実施形態の複合機100は、ドキュメント消去部308、問い合わせ部309及び制限付印刷実行部310をさらに備えている。
【0044】
ドキュメント消去部308は、端末位置判定部307から入力された印刷指示に基づいて画像形成部140によるドキュメントの印刷が実施された場合、その後、端末位置判定部307により携帯情報端末190が指定エリア外になったときに、ドキュメント取得部305が取得した当該ドキュメントを消去する。
【0045】
問い合わせ部309は、判定部304により印刷可能エリア外であると判定された場合、判定部304により印刷可能エリア内であると判定されたときに得られる印刷物とは異なる態様での印刷物を印刷する制限付印刷を実施するか否かをユーザーに問い合わせる。当該問い合わせは、印刷指示が入力された経路に応じて実施される。例えば、印刷指示が操作パネル171を通じて入力された場合、当該問い合わせは、操作パネル171が備えるディスプレイを通じて実施される。また、印刷指示がネットワーク161に接続された情報処理端末を通じて入力された場合、当該問い合わせは、その情報処理端末が備えるディスプレイを通じて実施される。さらに、印刷指示が携帯情報端末190を通じて入力された場合、当該問い合わせは、携帯情報端末190が備えるディスプレイを通じて実施される。
【0046】
制限付印刷実行部310は、ユーザーから問い合わせ部309に制限付印刷を実施する旨の指示が入力された場合、ドキュメント取得部305に、印刷指示により指定されたドキュメントをドキュメント記憶装置200から取得させる、そして、制限付印刷実行部310は、画像形成部140において当該ドキュメントを制限付印刷する。上述のように、制限付印刷は、印刷可能エリア内であると判定されたときに得られる印刷物とは異なる態様での印刷であり、例えば、集約印刷やウォーターマーク付印刷等が含まれる。このような制限付印刷は、例えば、正式の印刷物は特定の複合機のみでの印刷を許可し、他の複合機では参照用の印刷物の印刷のみを許可する状況下において、参照用の印刷物を、正式の印刷物と区別して明確に認識できる状態にすることができる。
【0047】
一方、携帯情報端末190は位置情報検知部321を備える。位置情報検知部321は携帯情報端末190の現在の位置情報を検知する。位置情報の検知方法は特に限定されない。本実施形態では、位置情報検知部321は、いわゆるGPS(Global Positioning System)を利用して、携帯情報端末190の現在位置の緯度情報及び経度情報を取得する。なお、携帯情報端末190は、複合機100と同様に、CPU、RAM、ROM及びHDDを備える。CPUは、例えばROMやHDDに格納されたプログラムを、RAMを作業領域として実行することで携帯情報端末190の各機能を実現する。
【0048】
続いて、画像形成システム10が実行する処理について説明する。
図4は、本発明の一実施形態における画像形成システムが実施する印刷管理手順の一例を示すフロー図である。当該手順は、例えば、ユーザーが携帯情報端末190を通じて、ドキュメント記憶装置200に格納されているドキュメントの印刷指示を入力したことをトリガーとして開始する。なお、当該印刷指示には、ドキュメントを特定するための情報が含まれている。
【0049】
ユーザーによる印刷指示は、例えば、端末位置判定部307に一旦保持される。このとき、端末位置判定部307は、端末位置情報取得部306に、携帯情報端末190の位置情報を取得を指示する。当該指示に応じて、端末位置情報取得部306は、携帯情報端末190に対して端末位置情報を要求する(ステップS401)。当該要求に応じて携帯情報端末190は、位置情報検知部321により検知された位置情報を端末位置情報取得部306に送信する(ステップS401Yes、S402)。このとき、位置情報検知部321が位置検知をできない状態である場合、携帯情報端末190は、端末位置情報取得部306に位置情報を送信できない旨を通知する(ステップS401No)。当該通知を受けた場合、手順が終了する。なお、この場合、端末位置情報取得部306は、携帯情報端末190に対して、位置検知機能(GPS機能)が有効な状態で再度印刷指示を送信する旨を通知してもよい。
【0050】
携帯情報端末190から位置情報を取得した端末位置情報取得部306は、取得した位置情報を端末位置判定部307に入力する。このとき、端末位置判定部307は、上述のように、複合機100に予め登録された指定エリア内に携帯情報端末190があるか否かを判定する(ステップS403)。
【0051】
携帯情報端末190の位置が指定エリア外であった場合、手順が終了する(ステップS403No)。なお、この場合、端末位置判定部307は、携帯情報端末190に対して、複合機100の指定エリア外であるため印刷指示を受け付けられない旨を通知してもよい。
【0052】
携帯情報端末190の位置が指定エリア内であった場合、端末位置判定部307は保持している携帯情報端末190からの印刷指示を印刷指示受付部302に入力する。印刷指示受付部302への印刷指示の入力に応じて、判定部304は、ドキュメント取得部305に、印刷指示により特定されるドキュメントの印刷許可範囲情報の取得を指示する。当該指示に応じて、ドキュメント取得部305は、ドキュメント記憶装置200のドキュメント格納部301から、当該ドキュメントの印刷許可範囲情報を取得する。そして、ドキュメント取得部305は、取得した印刷許可範囲情報を判定部304に入力する。
【0053】
このとき、判定部304は、上述の手法により、入力された印刷許可範囲情報により特定される印刷可能エリア内に複合機100があるか否かを判定する(ステップS404)。また、この例では、印刷指示が携帯情報端末190から入力されているため、判定部304は、印刷可能エリア内に携帯情報端末190があるか否かも判定する。特に限定されないが、ここでは、判定部304は、端末位置判定部307から携帯情報端末190の位置情報を取得する構成になっている。
【0054】
複合機100の位置及び携帯情報端末190の位置が印刷可能エリア内であった場合、判定部304は、ドキュメント取得部305に、印刷指示により特定されるドキュメントの印刷を指示する。当該指示に応じて、ドキュメント取得部305は、ドキュメント記憶装置200のドキュメント格納部301から、当該ドキュメントを取得する(ステップS404Yes、S405)。そして、ドキュメント取得部305は、取得したドキュメントを画像形成部140において印刷する(ステップS406)。
【0055】
一方、複合機100の位置又は携帯情報端末190の位置が印刷可能エリア外であった場合、判定部304は、問い合わせ部309にその旨を通知する(ステップS404No)。当該通知に応じて、問い合わせ部309は、制限付印刷を実行するか否かをユーザーに問い合わせる(ステップS409)。この例では、印刷指示は携帯情報端末190から入力されているため、問い合わせ部309は、装置側無線通信部181及び端末側無線通信部191を介して、携帯情報端末190が備えるディスプレイに、ユーザーの選択を入力するための選択ボタン等を含む問い合わせ画面を表示する。
【0056】
当該問い合わせ画面においてユーザーが制限付印刷を実行することを選択すると、問い合わせ部309は制限付印刷実行部310に制限付印刷の実行を指示する(ステップS409Yes)。当該指示に応じて、制限付印刷実行部310は、ドキュメント取得部305に、印刷指示により特定されるドキュメントの取得を指示する。ドキュメント取得部305は、ドキュメント記憶装置200のドキュメント格納部301から当該ドキュメントを取得する(ステップS410)。そして、制限付印刷実行部310は、ドキュメント取得部305により取得されたドキュメントを画像形成部140において制限付印刷する(ステップS411)。
【0057】
なお、問い合わせ画面においてユーザーが制限付印刷を実行しないことを選択すると、手順が終了する(ステップS409No)。
【0058】
本実施形態では、ドキュメント記憶装置200からドキュメントが取得された場合、印刷指示を入力した携帯情報端末190が、印刷指示が入力された複合機100の指定エリア内にある間は、ドキュメント取得部305でそのドキュメントを保持する構成になっている(ステップS407No)。これにより、ユーザーによる再度の印刷指示が入力された場合に速やかな印刷を可能になる。このような構成は、端末位置判定部307が上述の判定を継続的に実施することで実現することができる。
【0059】
印刷指示を入力した携帯情報端末190が、印刷指示が入力された複合機100の指定エリア外に移動すると、その旨が端末位置判定部307からドキュメント消去部308に通知される。当該通知に応じてドキュメント消去部308は、ドキュメント取得部305で保持されているドキュメントを消去する(ステップS407Yes、S408)。
【0060】
以上説明したように、この画像形成システム10では、ドキュメントごとに印刷許可範囲情報が設定されるため、ドキュメントごとに、ドキュメントの印刷を管理することができる。そのため、例えば、意図しないエリアでの印刷禁止をドキュメントごとに設定可能であり、特定のドキュメントは、特定の画像形成装置のみでしか印刷できない等の設定が可能である。その結果、従来構成に比べてセキュリティー性を高めることができる。
【0061】
また、画像形成システム10では、携帯情報端末190を通じた印刷指示について、上述のように、意図しないエリアでの印刷禁止に加えて、複合機100から離れた位置からの印刷をも禁止することができる。すなわち、印刷物の回収までに許容できない時間を要する位置関係にあるユーザーからの印刷を禁止することができる。
【0062】
さらに、画像形成システム10では、制限付印刷実行部310を備えるため、印刷可能エリア外での印刷を禁止はしないが、印刷可能エリア外で印刷されたドキュメントであることを識別可能な状態でドキュメントを印刷させることができる。
【0063】
なお、上記実施形態では、携帯情報端末190から印刷指示が入力される事例に基づいて説明したが、ネットワーク162に接続された情報処理端末から印刷指示が入力される場合にも同様に適用可能である。この場合、情報処理端末と複合機100との間の距離を示す情報を複合機100に入力し、上述の携帯情報端末190の場合と同様に、複合機100の指定エリア内にその情報処理端末が含まれているか否かを判定することが好ましい。また、操作パネル171から印刷指示が入力される場合でも適用可能である。この場合、操作パネル171からの印刷指示は印刷指示受付部302に直接入力される。
【0064】
また、上記実施形態では、制限付印刷実行部310は予め指定された制限付印刷を実施する構成としたが、制限付印刷の態様はユーザーが選択できる構成であってもよい。例えば、ユーザーが制限付印刷の実行を選択したときに、集約印刷とウォーターマーク付印刷とのいずれで印刷するかを選択できる構成を採用することができる。
【0065】
さらに、上記実施形態では、複合機100とドキュメント記憶装置200を個別の装置として構成したが、複合機がドキュメント格納部を備える構成を排除するものではない。
【0066】
なお、上述した実施形態は本発明の技術的範囲を制限するものではなく、既に記載したもの以外でも、本発明の範囲内で種々の変形や応用が可能である。例えば、上記実施形態では、特に好ましい形態として、携帯情報端末190からの印刷指示に対応可能な構成を例示したが、携帯情報端末190の使用が不要である場合、装置側無線通信部181、端末位置情報取得部306及び端末位置判定部307は不要である。また、制限付印刷が実行可能である必要がなく、印刷可能エリア外での印刷を一切禁止する場合、問い合わせ部309及び制限付印刷実行部310は不要である。また、ドキュメント消去部308も選択的な構成要素であり、本発明に必須の構成要素ではない。当該構成要素を備えない構成であっても、ドキュメントごとに、ドキュメントの印刷を管理することができる。
【0067】
また、
図4に示したフローチャートは、等価な作用を奏する範囲において、各ステップの順序を適宜変更可能である。例えば、
図4の例では、携帯情報端末190が複合機100の指定エリア内である場合に、携帯情報端末190及び複合機100がドキュメントの印刷可能エリア内であるか否かを判定する構成としたが、携帯情報端末190及び複合機100がドキュメントの印刷可能エリア内である場合に、携帯情報端末190が複合機100の指定エリア内にあるか否かを判定する構成であってもよい。。
【0068】
加えて、上述の実施形態では、デジタル複合機として本発明を具体化したが、デジタル複合機に限らず、プリンタ、複写機等の任意の画像形成装置に本発明を適用することも可能である。