(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電極棒は、ステンレス鋼の表面に、前記高温プラズマ原料に対して不活性な導電性材料である窒化チタンコーティングが施されていることを特徴とする請求項3に記載の液面レベル検出装置。
前記電極棒の表面の材質は、前記高温プラズマ原料に対して不活性な導電性材料であるタングステン、及びモリブデンのいずれか一方であることを特徴とする請求項3に記載の液面レベル検出装置。
前記温度センサの表面を構成する前記高温プラズマ原料に対して不活性な材料は、窒化チタン、酸化スズ、酸化アルミニウム、ダイアモンド、タングステン、モリブデンのいずれかであることを特徴とする請求項10に記載の液面レベル検出装置。
容器内に収容された、高温プラズマを発生させるための液体状の高温プラズマ原料を、前記高温プラズマを発生させる高温プラズマ発生部へ供給する高温プラズマ原料供給装置であって、
前記請求項1〜11のいずれか1項に記載の液面レベル検出装置と、
前記液面レベル検出装置で検出された前記高温プラズマ原料の液面レベルに基づいて、前記容器内に前記高温プラズマ原料を充填する高温プラズマ充填制御部と、を備えることを特徴とする高温プラズマ原料供給装置。
前記充填開始部で前記容器内への前記高温プラズマ原料の充填を開始してから、前記充填停止部で前記容器内への前記高温プラズマ原料の充填を停止するまでの間に、前記容器内へ充填した前記高温プラズマ原料の量である実測充填量を測定する充填量測定部と、
前記充填量測定部で測定した実測充填量と、前記容器内の前記高温プラズマ原料の液面レベルが前記再充填レベルから前記上限レベルとなるまでの間に前記容器内に充填可能な標準充填量とを比較し、両者の差分が予め設定した許容値を超えているとき、エラー情報を出力するエラー情報出力部と、を備えることを特徴とする請求項15に記載の高温プラズマ原料供給装置。
前記第二の液面レベル検出部と同一構成を有し、前記高温プラズマ原料の液面レベルが下降して、前記容器内に前記高温プラズマ原料の収容が最低限必要とされる下限レベルである第三の液面レベルに到達したことを検出する第三の液面レベル検出部と、
前記第三の液面レベル検出部で、前記容器内の前記高温プラズマ原料の液面レベルが前記下限レベルに到達したことを検出したとき、前記容器から前記高温プラズマ発生部への前記高温プラズマ原料の供給を停止する高温プラズマ原料供給停止部と、を備えることを特徴とする請求項14〜16のいずれか1項に記載の高温プラズマ原料供給装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
リザーバー内に収容されるスズの液面には、徐々に導電性である不純物の膜が浮遊する。当該不純物は、リザーバーに固定スズを補充する構成である場合、当該リザーバーに供給する固体スズの表面を覆うスズ酸化膜であったり、リザーバー等を構成している金属の一部とスズとが反応したものであったり、真空雰囲気中の残留ガスとスズとが化合したものであったりする。これらの不純物は、液体スズよりも比重が軽いものが多いので、液体スズの液面に浮遊する。
【0010】
上記特許文献1に記載の技術にあっては、
図11に示すように、液体状のスズ911を収容するリザーバー912内部に、センシング部である金属棒901を設置し、金属棒901のセンシング端部とは反対側の端部を電流計等の検出部902を介してバッテリー903の一端に接続する。また、バッテリー903の他端は、リザーバー912の外部壁面に接続する。
この
図11に示す構成の液面レベルセンサによって、スズ911の液面レベルを検出する場合、通常であればスズ911の液面レベルが金属棒901のセンシング端部の高さよりも下回ると両者は電気的に開状態となるので、スズ911の液面レベルが所定の液面レベルより下回ったことが電気的に検出される。
【0011】
ところが、上記した不純物の膜Xが存在すると、
図11に示すように、この不純物の膜Xの一部が金属棒901にまとわりつく。すると、スズ911の液面レベルがセンシング端部の高さを下回ったとしても、この不純物の膜Xが金属棒901とスズ911の液面とを接続する。この不純物の膜Xは導電性であるので、結果的に、この不純物の膜Xは、金属棒901の先端とスズ911の液面とを電気的に短絡してしまい、スズ911の液面レベルがセンシング端部の高さを下回ったことを検出できなくなったり、検出タイミングが遅れたりする。リザーバー912へのスズ911の補充は液面レベルが所定のレベルを下回った場合に行われるが、当該レベルの検出がされなかったり遅れたりすると、リザーバー912内に収容するスズ911が枯渇したり、補充タイミングが送れたりしてしまう。また、必要なスズ911の補充量も不明確になる。
【0012】
また、上記特許文献2に記載の技術にあっては、熱電対等の温度センサを用いて液面レベルを検出する構成であるため、応答速度が遅い。リザーバーに高温プラズマ原料であるスズを充填する際は、リザーバー内に収容されるスズの液面レベルの上限値を設定し、液面レベルが当該上限レベルに到達したのを検知して充填を停止する必要がある。
しかしながら、温度センサのような応答速度の遅い液面レベルセンサの場合、上限レベルへ液面レベルが到達したのを検出するタイミングが遅れ、場合によっては、リザーバーの容量を超えてスズが供給され、スズが外部に漏出するといった不具合が発生するおそれがある。
【0013】
さらに、液面レベルセンサとしてレーザ変位計を用いた場合には、レーザ観測窓部をリザーバーに設ける必要があり構造が複雑になる。また、気化したスズがレーザ観測窓部に到達して固体化すると、スズの液面レベルを観測することが困難になる。
そこで、本発明は、溶融スズ等の液体状の高温プラズマ原料を収容するリザーバーにおいて、当該高温プラズマ原料の液面レベル(収容量)を適切に検出することができる液面レベル検出装置、液面レベル検出方法、また、上記リザーバーから安定して高温プラズマ原料を供給することができる高温プラズマ原料供給装置、及びその高温プラズマ原料供給装置を備えた極端紫外光光源装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明に係る液面レベル検出装置の一態様は、容器内に収容された、高温プラズマを発生させるための液体状の高温プラズマ原料の液面レベルを検出する液面レベル検出装置であって、前記高温プラズマ原料の液面レベルが上昇して第一の液面レベルに到達したことを検出する第一の液面レベル検出部と、前記高温プラズマ原料の液面レベルが下降して前記第一の液面レベルよりも低い第二の液面レベルに到達したことを検出する、前記第一の液面レベル検出部とは異なる構成を有する第二の液面レベル検出部と、を備え、前記第一の液面レベルは、前記容器内に前記高温プラズマ原料の収容が許容される上限レベルであり、前記第一の液面レベル検出部の液面レベルの検出応答性は、前記第二の液面レベル検出部の液面レベルの検出応答性よりも高く、前記第二の液面レベル検出部の液面レベルの検出能は、前記第一の液面レベル検出部の液面レベルの検出能よりも高い。
【0015】
このように、上限レベルを検出する第一の液面レベル検出部を検出応答性の高い液面レベル検出部とするので、高温プラズマ原料の液面レベルが上昇して上限レベルに到達したことを素早く検出することができる。また、第二の液面レベル検出部を検出能(検出精度)の高い液面レベル検出部とするので、容器内の液面に不純物の膜が浮遊していても、高温プラズマ原料の液面レベルが下降して第二のレベルに到達したことを確実に検出することができる。
上限レベルの検出に際しては液面レベルの検出タイミングの遅れを抑制し、上限レベルよりも低い液面レベルの検出に際しては、正確に液面レベルを検出することができるので、収容される高温プラズマ原料が容器外に溢れそうになったり、所定量を下回りそうになったりするといった状況を適切に検出することができる。
【0016】
また、上記の液面レベル検出装置において、前記第一の液面レベル検出部は、前記容器内に配置され、先端部が前記第一の液面レベルと同一又は略同一の高さに位置する電極棒と、前記電極棒の先端部が前記高温プラズマ原料の液面と接触することをもって導通状態となる導通回路と、を備えていてもよい。
このように、電気的に液面レベルを検出する構成とすることで、応答速度を速くすることができる。また、液面レベルが上限レベルに到達しない限り、電極棒と液面とは非接触であるため、液面に浮遊する不純物の膜が電極棒にまとわりつくといった不具合も殆ど発生しない。そのため、電気棒と液面との接触により液面レベルを検出する構成であっても、適切に液面レベルを検出することができる。
【0017】
さらに、上記の液面レベル検出装置において、前記電極棒の表面は、前記高温プラズマ原料に対して不活性な導電性材料により構成されていてもよい。
これにより、電極棒と高温プラズマ原料との化学反応を抑制し、電極棒の腐食や破損を抑制することができる。したがって、安定して液面レベルを検出することができる。
また、上記の液面レベル検出装置において、前記電極棒は、ステンレス鋼の表面に、前記高温プラズマ原料に対して不活性な導電性材料である窒化チタンコーティングが施されていてもよい。
これにより、ステンレス鋼と高温プラズマ原料である、例えばスズ(Sn)との化学反応を抑制し、電極棒の表面に例えばSnFeやSnFe
2などの鉄化合物が形成されるのを抑制することができる。このように、液面を浮遊する不純物に対して濡れ性が良好な化合物の形成を抑制するので、金属棒に不純物がまとわりつき易くなるのを抑制することができる。
【0018】
また、上記の液面レベル検出装置において、前記電極棒の表面の材質は、前記高温プラズマ原料に対して不活性な導電性材料であるタングステン、及びモリブデンのいずれか一方であってもよい。
このように、電気棒をタングステンやモリブデンによって形成するので、高温プラズマ原料との化学反応を抑制し、安定して液面レベルを検出することができる。また、電極棒自体を高温プラズマ原料に対して不活性な導電性材料で形成するため、当該材料によるコーティング処理等が必要なく、電極棒の製造工程を削減することができる。
【0019】
さらに、上記の液面レベル検出装置において、前記第一の液面レベル検出部は、前記電極棒に外嵌され、前記高温プラズマ原料に対して耐腐食性を有すると共に電気絶縁性を有する材料で構成された管状部材をさらに有し、前記電極棒の先端部が前記管状部材から前記高温プラズマ原料の液面に向けて露出していてもよい。
このように、電極棒を高温プラズマ原料に対して耐腐食性を有すると共に電気絶縁性を有する管状部材に挿入した構造とすることで、仮に液面に浮遊する不純物の膜がまとわりついたとしても液面レベルの誤検出とはならない。したがって、より安定して液面レベルを検出することができる。
【0020】
また、上記の液面レベル検出装置において、前記管状部材の材質は、酸化アルミニウムであってもよい。これにより、比較的安価な構成で安定して液面レベルを検出することができる。
さらにまた、上記の液面レベル検出装置において、前記電極棒は、その長手方向が鉛直方向に一致または略一致するように配置されていてもよい。これにより、仮に液面に浮遊する不純物の膜が電極棒にまとわりついたとしても、当該不純物の膜が重力により離脱し易くすることができる。
【0021】
また、上記の液面レベル検出装置において、前記第二の液面レベル検出部は、前記容器内に配置され、前記第二の液面レベルと同一又は略同一の高さに位置する温度センサを備えていてもよい。
これにより、センシング部が液体状の高温プラズマ原料に浸漬している状態から、センシング部が液面から露出している状態に変化したときの検出温度変化(温度低下)をもとに、液面レベルが下降して第二の液面レベルに到達したことを検出することができる。このように温度変化を用いた液面レベル検出の場合、液面に浮遊する不純物の膜がセンシング部にまとわりついたとしても検出精度に影響はない。そのため、信頼性の高い液面レベル検出を実現することができる。
【0022】
さらに、上記の液面レベル検出装置において、前記温度センサの表面は、前記高温プラズマ原料に対して不活性な材料により構成されていてもよい。
これにより、温度センサと高温プラズマ原料との化学反応を抑制し、温度センサの腐食や破損を抑制することができる。したがって、安定して液面レベルを検出することができる。
さらにまた、上記の液面レベル検出装置において、前記温度センサの表面を構成する前記高温プラズマ原料に対して不活性な材料は、窒化チタン、酸化スズ、酸化アルミニウム、ダイアモンド、タングステン、モリブデンのいずれかであってもよい。
このように、温度センサの表面を高温プラズマ原料に対して不活性な材料で覆ったり、温度センサの表面部を高温プラズマ原料に対して不活性な材料で形成したりすることで、安定して液面レベルを検出することができる。
【0023】
また、本発明に係る液面レベル検出装置の一態様は、容器内に収容された、高温プラズマを発生させるための液体状の高温プラズマ原料の液面レベルを検出する液面レベル検出装置であって、前記容器内に、その先端部が所定の液面レベルと同一又は略同一の高さに位置するように配置され、表面が前記高温プラズマ原料に対して不活性な導電性材料により構成された電極棒と、前記電極棒の先端部が前記高温プラズマ原料の液面に向けて露出するように当該電極棒に外嵌され、前記高温プラズマ原料に対して耐腐食性を有すると共に電気絶縁性を有する材料で構成される管状部材と、前記電極棒の先端部が前記高温プラズマ原料の液面と接触することをもって導通状態となる導通回路と、を備え、前記電極棒は、ステンレス鋼の表面に窒化チタンコーティングが施されたものであり、前記管状部材の材質は、酸化アルミニウムである。
【0024】
このように、電気的に液面レベルを検出する構成とすることで、応答速度を速くすることができる。また、電極棒を、ステンレス鋼の表面に窒化チタンコーティングが施された構成とすることで、電極棒と高温プラズマ原料との化学反応を抑制し、液面に浮遊する不純物に対して濡れ性が良好な化合物が電極棒の表面に形成されるのを抑制することができる。これにより、電極棒に当該不純物がまとわりつくのを抑制することができる。さらに、その電極棒を酸化アルミニウムで形成された管状部材に挿入した構成とすることで、仮に当該不純物がまとわりついたとしても、液面レベルの誤検出が生じないようにすることができる。すなわち、検出応答性と検出精度との確保を両立することができ、液面レベルを適切に検出することができる。
【0025】
さらに、本発明に係る液面レベル検出方法の一態様は、容器内に収容された、高温プラズマを発生させるための液体状の高温プラズマ原料の液面レベルを検出する液面レベル検出方法であって、前記高温プラズマ原料の液面レベルが上昇して、前記容器内に前記高温プラズマ原料の収容が許容される上限レベルである第一の液面レベルに到達したことを第一の液面レベルセンサを用いて検出し、前記高温プラズマ原料の液面レベルが下降して前記第一の液面レベルよりも低い第二の液面レベルに到達したことを第二の液面レベルセンサを用いて検出するに際し、前記第一の液面レベルセンサとして、液面レベルの検出応答性が、前記第二の液面レベルセンサの液面レベルの検出応答性よりも高い液面レベルセンサを用いると共に、前記第二の液面レベルセンサとして、液面レベルの検出能が、前記第一の液面レベルセンサの液面レベルの検出能よりも高い液面レベルセンサを用いる。
これにより、上限レベルの検出に際しては液面レベルの検出タイミングの遅れを抑制し、上限レベルよりも低い液面レベルの検出に際しては、正確に液面レベルを検出することができる。したがって、収容される高温プラズマ原料が容器外に溢れそうになったり、所定量を下回りそうになったりするといった状況を適切に検出することができる。
【0026】
また、本発明に係る高温プラズマ原料供給装置の一態様は、容器内に収容された、高温プラズマを発生させるための液体状の高温プラズマ原料を、前記高温プラズマを発生させる高温プラズマ発生部へ供給する高温プラズマ原料供給装置であって、上記のいずれかの液面レベル検出装置と、前記液面レベル検出装置で検出された前記高温プラズマ原料の液面レベルに基づいて、前記容器内に前記高温プラズマ原料を充填する高温プラズマ充填制御部と、を備える。
これにより、容器内に収容される高温プラズマ原料が常に適正量となるように制御することができる。したがって、安定して高温プラズマ発生部へ高温プラズマ原料を供給することができる。
【0027】
また、上記の高温プラズマ原料供給装置において、前記第二の液面レベルは、前記容器内に前記高温プラズマ原料の充填が必要となる要充填レベルであり、前記高温プラズマ充填制御部は、前記第二の液面レベル検出部で、前記容器内の前記高温プラズマ原料の液面レベルが前記要充填レベルに到達したことを検出したとき、前記容器内への前記高温プラズマ原料の充填を開始する充填開始部と、前記充填開始部で前記高温プラズマ原料の充填を開始した後、前記第一の液面レベル検出部で、前記容器内の前記高温プラズマ原料の液面レベルが前記上限レベルに到達したことを検出したとき、前記容器内への前記高温プラズマ原料の充填を停止する充填停止部と、を備えてもよい。
【0028】
このように、容器内の高温プラズマ原料が減少して要充填レベルに到達したときに当該容器への高温プラズマ原料の充填を開始し、その後、容器内の高温プラズマ原料が増加して上限レベルに到達したときに当該容器への高温プラズマ原料の充填を停止する。したがって、容器における高温プラズマ原料の収容量を、常に要充填レベルから上限レベルまでの間に制御することができる。
【0029】
さらに、上記の高温プラズマ原料供給装置において、前記充填開始部で前記容器内への前記高温プラズマ原料の充填を開始してから、前記充填停止部で前記容器内への前記高温プラズマ原料の充填を停止するまでの間に、前記容器内へ充填した前記高温プラズマ原料の量である実測充填量を測定する充填量測定部と、前記充填量測定部で測定した実測充填量と、前記容器内の前記高温プラズマ原料の液面レベルが前記再充填レベルから前記上限レベルとなるまでの間に前記容器内に充填可能な標準充填量とを比較し、両者の差分が予め設定した許容値を超えているとき、エラー情報を出力するエラー情報出力部と、を備えてもよい。
【0030】
このように、液面レベル検出装置による液面レベル検出結果に基づいて容器に充填した高温プラズマ原料の量(実測充填量)と、液面レベルが再充填レベルにある状態から上限レベルに達するまでに容器内に収容可能な高温プラズマ原料の量(標準充填量)とを比較することで、液面レベル検出装置による液面レベル検出結果の正否を判断することができる。このとき、実測充填量と標準充填量の差分が許容値を超えている場合には、液面レベル検出装置による液面レベル検出結果が適正ではないと判断してエラー情報を出力するので、オペレータにこれを報知したり充填制御を停止したりするなどの処置を施すことができる。
【0031】
また、上記の高温プラズマ原料供給装置において、前記第二の液面レベル検出部と同一構成を有し、前記高温プラズマ原料の液面レベルが下降して、前記容器内に前記高温プラズマ原料の収容が最低限必要とされる下限レベルである第三の液面レベルに到達したことを検出する第三の液面レベル検出部と、前記第三の液面レベル検出部で、前記容器内の前記高温プラズマ原料の液面レベルが前記下限レベルに到達したことを検出したとき、前記容器から前記高温プラズマ発生部への前記高温プラズマ原料の供給を停止する高温プラズマ原料供給停止部と、を備えてもよい。
【0032】
このように、第二の液面レベル検出部と同一構成を有する高精度な第三の液面レベル検出部によって、液面レベルが下降して下限レベルに到達したことを検出するので、当該下限レベルを確実に検出することができる。また、高温プラズマ原料の液面レベルが下降して下限レベルに到達したことを検出したときに、容器から高温プラズマ発生部への高温プラズマ原料の供給を停止するので、容器内の高温プラズマ原料が枯渇したまま高温プラズマ原料の供給処理が継続されるのを防止することができる。
【0033】
さらに、本発明に係る極端紫外光光源装置の一態様は、極端紫外光を放射する極端紫外光光源装置であって、上記のいずれかの高温プラズマ原料供給装置と、前記高温プラズマ原料供給装置から供給される前記高温プラズマ原料を加熱して励起し高温プラズマを発生させる高温プラズマ発生部と、を備える。
これにより、安定して極端紫外光(EUV光)を放射することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の液面レベル検出装置では、容器内に収容される液体状の高温プラズマ原料の液面レベル(収容量)を適切に検出することができる。
したがって、当該液面レベル検出装置を備える高温プラズマ原料供給装置は、安定して高温プラズマ発生部へ高温プラズマ原料を供給することができ、極端紫外光光源装置は安定して極端紫外光(EUV光)を放射することができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の極端紫外光光源装置を示す概略構成図である。
極端紫外光光源装置(EUV光源装置)100は、半導体露光用光源として使用可能な、例えば波長13.5nmの極端紫外光(EUV光)を放出する装置である。
本実施形態のEUV光源装置100は、DPP方式のEUV光源装置であり、より具体的には、放電を発生させる電極表面に供給された高温プラズマ原料に対してレーザビーム等のエネルギービームを照射して当該高温プラズマ原料を気化し、その後、放電によって高温プラズマを発生するLDP方式のEUV光源装置である。
【0037】
EUV光源装置100は、
図1に示すように、放電容器であるチャンバ11を有する。チャンバ11は、開口を有する隔壁11aによって、大きく2つの空間に分割されている。一方の空間は放電空間11bであり、他方の空間は集光空間11cである。
放電空間11bには、各々独立して回転可能な一対の放電電極21a,21bが互いに離間して対向配置されている。放電電極21a,21bは、EUV放射種を含む高温プラズマ原料を加熱して励起するためのものである。
放電空間11bの圧力は、高温プラズマ原料を加熱励起するための放電が良好に発生するように、真空雰囲気に維持されている。
【0038】
集光空間11cには、EUV集光鏡(集光ミラー)12と、デブリトラップ13とが配置されている。
EUV集光鏡12は、高温プラズマ原料が加熱励起されることで放出されるEUV光を集光し、チャンバ11に設けられたEUV取出部11dから、例えば露光装置の照射光学系(不図示)へ導くものである。
EUV集光鏡12は、例えば、斜入射型の集光鏡であり、複数枚の薄い凹面ミラーを入れ子状に高精度に配置した構造を有する。各凹面ミラーの反射面の形状は、例えば、回転楕円面形状、回転放物面形状、ウォルター型形状であり、各凹面ミラーは回転体形状である。ここで、ウォルター型形状とは、光入射面が、光入射側から順に回転双曲面と回転楕円面、もしくは、回転双曲面と回転放物面からなる凹面形状である。
【0039】
EUV集光鏡12は、反射面形状が回転楕円面形状、ウォルター型形状等いずれかの形状であって、径が互いに異なる回転体形状の凹面ミラーを複数枚備える。EUV集光鏡を構成するこれらの凹面ミラーは、同一軸上に、焦点位置が略一致するように回転中心軸を重ねて配置される。このように凹面ミラーを入れ子状に高精度に配置することにより、EUV集光鏡12は、0°〜25°の斜入射角度のEUV光を良好に反射し、且つ一点に集光することが可能となる。
【0040】
また、上記した各凹面ミラーの基体材料は、例えば、ニッケル(Ni)等である。波長が非常に短いEUV光を反射させるため、凹面ミラーの反射面は、非常に良好な平滑面として構成される。この平滑面に施される反射材は、例えば、ルテニウム(Ru)、モリブデン(Mo)、およびロジウム(Rh)などの金属膜である。各凹面ミラーの反射面には、このような金属膜が緻密にコーティングされている。
デブリトラップ13は、放電によるプラズマ生成の結果生じるデブリを捕捉し、当該デブリがEUV光の集光部へ移動するのを抑制する。
【0041】
放電空間11bに配置された一対の放電電極21a,21bは、金属製の円盤状部材である。放電電極21a,21bは、例えば、タングステン、モリブデン、タンタル等の高融点金属からなる。ここで、2つの放電電極21a,21bのうち、一方の放電電極21aがカソードであり、他方の放電電極21bがアノードである。
放電電極21aは、その一部が高温プラズマ原料22aを収容するコンテナ23aの中に浸されるように配置される。放電電極21aの略中心部には、モータ24aの回転軸25aが取り付けられている。すなわち、モータ24aが回転軸25aを回転させることにより、放電電極21aは回転する。モータ24aは、制御部50によって駆動制御される。
【0042】
また、回転軸25aは、例えば、メカニカルシール26aを介してチャンバ11内に導入される。メカニカルシール26aは、チャンバ11内の減圧雰囲気を維持しつつ、回転軸25aの回転を許容する。
放電電極21bも、放電電極21aと同様に、その一部が高温プラズマ原料22bを収容するコンテナ23bの中に浸されるように配置される。放電電極21bの略中心部には、モータ24bの回転軸25bが取り付けられている。すなわち、モータ24bが回転軸25bを回転させることにより、放電電極21bは回転する。モータ24bは、制御部50によって駆動制御される。
【0043】
また、回転軸25bは、例えば、メカニカルシール26bを介してチャンバ11内に導入される。メカニカルシール26bは、チャンバ11内の減圧雰囲気を維持しつつ、回転軸25bの回転を許容する。
放電電極21a,21bの表面上に乗った液体状の高温プラズマ原料22a,22bは、放電電極21a,21bが回転することで放電領域に輸送される。
ここで、放電領域とは、両電極21a,21b間の放電が発生する空間であり、両電極21a,21bの周縁部のエッジ部分間距離が最も短い部分である。
【0044】
高温プラズマ原料22a,22bとしては、溶融金属、例えば液体状のスズ(Sn)を用いる。この高温プラズマ原料22a,22bは、放電電極21a,21bに電力を供給する給電用の金属としても働く。
コンテナ23a,23bは、チャンバ11内の減圧雰囲気を維持可能な絶縁性の電力導入部11f,11gを介して、パルス電力供給部27に接続されている。コンテナ23a及び23b、並びにスズ22a及び22bは導電性である。放電電極21aの一部及び放電電極21bの一部はそれぞれスズ22a,22bに浸漬しているので、コンテナ23a,23b間にパルス電力供給部27からパルス電力を印加することで、放電電極21a,21b間にパルス電力を印加することができる。
なお、特に図示しないが、コンテナ23a及び23bには、スズ22a,22bを溶融状態に維持する温度調節機構が設けられている。
【0045】
パルス電力供給部27は、コンテナ23a及び23b間、すなわち放電電極21a及び21b間にパルス幅の短いパルス電力を印加する。パルス電力供給部27は、制御部50によって駆動制御される。
レーザ源28は、放電領域に輸送された放電電極21a上のスズ22aに対してレーザ光(エネルギービーム)を照射するエネルギービーム照射部である。レーザ源28は、例えばNd:YVO
4レーザ装置(Neodymium-doped Yttrium Orthovanadate レーザ装置)である。
このレーザ源28が放出するレーザ光Lは、レーザ光集光部等を介してチャンバ11の窓部11gに入射し、放電電極21a上に導かれる。レーザ源28によるレーザ光の照射タイミングは、制御部50が制御する。
【0046】
パルス電力供給部27により放電電極21a,21bにパルス電力を印加した状態で、放電領域に輸送された高温プラズマ原料に対してレーザ光が照射されると、当該高温プラズマ原料が気化し、両電極21a,21b間でパルス放電が開始される。その結果、高温プラズマ原料によるプラズマPが形成される。そして、放電時に流れる大電流によりプラズマPが加熱励起され高温化すると、この高温プラズマPからEUV光が放射される。
なお、上述したように放電電極21a,21b間にはパルス電力を印加するため、上記放電はパルス放電となり、放射されるEUV光はパルス状に放射されるパルス光となる。
【0047】
コンテナ23a,23bには、スズ22a,22bを供給するスズ供給機構(高温プラズマ原料供給装置)が接続されている。
以下、スズ供給機構について説明する。
図2は、コンテナ23aにスズ22aを供給するスズ供給機構30の構成例を示す図である。なお、コンテナ23bにスズ22bを供給するスズ供給機構についても、
図2に示すスズ供給機構30と同様の構成を有するため、以下、コンテナ23aにスズ22aを供給するスズ供給機構30についてのみ説明する。
スズ供給機構30は、スズ22aを収容するリザーバー(容器)31を備える。リザーバー31は、コンテナ23aよりも容量が大きく設計されている。
【0048】
リザーバー31には、その側壁下部(後述する下限レベルLcよりも下方)にスズ排出口32が形成されており、当該スズ排出口32とコンテナ23aに形成されたスズ供給口33とは、スズ供給管34によって接続されている。スズ供給管34にはポンプ35が設けられており、当該ポンプ35の駆動によってリザーバー31内のスズ22aがコンテナ23aへ供給される。また、スズ供給管34には、スズ22aを所定の設定温度にするための冷却手段36が設けられている。
【0049】
さらに、コンテナ23aには、スズ22aが排出されるスズ排出口37が形成されており、当該スズ排出口37とリザーバー31に形成されたスズ還流口38が、スズ排出管39によって接続されている。
ここで、スズ供給口33は、コンテナ23aにおける放電電極21aが放電領域に到達する直前に通過する領域近傍に形成されている。また、スズ排出口37は、コンテナ23aにおける放電電極21aのレーザ光が照射された部分がコンテナ23a中のスズ22aに再び浸漬する領域近傍に形成されている。
【0050】
このように構成することにより、レーザ光が照射される前、且つ放電が発生する前の放電電極21aに、所定の設定温度のスズ22aが供給されて放電領域に輸送される。また、放電発生により加熱された放電電極21aがコンテナ23a内のスズ22aと接触し、当該スズ22aが所望の温度以上に加熱されても、この加熱されたスズ22aはコンテナ23aから排出されるので、次の放電時に輸送されるスズ22aには影響を与えない。
【0051】
スズ排出管39を通ってリザーバー31に還流してきた加熱されたスズ22aは、リザーバー31内のスズ22aと混合され、リザーバー31内のスズ22aの全体の温度を上昇させる。しかしながら、リザーバー31の容量は、上述したようにコンテナ23aの容量よりも大きいので、リザーバー31に収容されるスズ22aの量も多く、このスズ22aの温度上昇は緩やかとなる。したがって、冷却手段36によってスズ供給管34を流れるスズ22aの温度を所望の設定温度にする際の、当該冷却手段36の負荷は小さくなる。
このように、リザーバー31に収容されるスズ22aは、コンテナ23aに対して循環供給される。
EUV光源装置100におけるEUV放射の発生中は、高温プラズマ原料であるスズが消費されるため、リザーバー31におけるスズ22aの貯蔵量(収容量)は徐々に減少する。そのため、リザーバー31には、スズ22aの貯蔵量をモニタリングし、スズ22aの貯蔵量が適正量となるようリザーバー31にスズ22aを補充するスズ貯蔵機構が設けられている。
【0052】
以下、スズ貯蔵機構について説明する。
図3は、スズ貯蔵機構の具体的構成を示す図である。
この
図3に示すように、リザーバー31には、当該リザーバー31に収容されているスズ22aの液面レベルを検出するための3つの液面レベルセンサ41〜43が設けられている。
液面レベルセンサ41は、スズ22aの上限レベルLaを検出する上限レベルセンサであり、液面レベルセンサ42は、スズ22aの再充填レベルLbを検出する再充填レベルセンサであり、液面レベルセンサ43は、スズ22aの下限レベルLcを検出する下限レベルセンサである。
【0053】
より具体的には、上限レベルセンサ41は、リザーバー31におけるスズ22aの液面レベルが上昇し、上限レベルLaに到達したことを検出するセンサである。また、再充填レベルセンサ42は、リザーバー31におけるスズ22aの液面レベルが下降し、再充填レベルLbに到達した(下回った)ことを検出するセンサである。さらに、下限レベルセンサ43は、リザーバー31におけるスズ22aの液面レベルが下降し、下限レベルLcに到達した(下回った)ことを検出するセンサである。
【0054】
ここで、上限レベルLaは、スズ充填機構60からリザーバー31に充填されるスズ22aの量の上限量を検知するために設定される。すなわち、上限レベルLaは、リザーバー31内にスズ22aの収容が許容される上限の液面レベルである。リザーバー31内の許容スズ収容量をスズ充填機構60からのスズ充填量が超えると、場合によってはリザーバー31から不所望なスズ22aの漏出が発生し得る。そこで、上限レベルLaは、スズ22aの漏出が発生する液面レベルに対して所定のマージンをとって設定することが好ましい。
【0055】
再充填レベルLbは、スズ充填機構60からリザーバー31へのスズ22aの充填を開始するタイミングを検知するために設定される。すなわち、再充填レベルLbは、リザーバー31内にスズ22aの充填が必要となる液面レベルである。
ここで、リザーバー31が柱状形状である場合、リザーバー31の内容積において、高さ方向(
図3の上下方向)の断面積をSとし、上限レベルLaと再充填レベルLbとの間の高さ方向(
図3の上下方向)の距離をHとするとき、スズ22aの液面レベルが再充填レベルLbから上限レベルLaとなるまでの間に、リザーバー31内に充填可能なスズ22aの量Vsは、Vs=S×Hとなる。この充填量Vsは、スズ充填機構60からリザーバー31内に充填される標準充填量(標準供給量)である。
【0056】
また、下限レベルLcは、リザーバー31内に収容されるスズ22aの量がEUV光源装置100の運転に支障をきたす下限量まで減少したことを検知するために設定される。すなわち、下限レベルLcは、リザーバー31内にスズ22aの収容が最低限必要とされる液面レベルである。この下限量よりスズ22aの量が減少すると、
図2に示すポンプ35によって、リザーバー31からコンテナ23aへのスズ22aの循環供給が困難となる。すると、結果として、放電領域にスズ22aが供給されないままレーザ光が照射されて放電が発生し、放電電極21aが磨耗し、電極由来のデブリが増加するという不具合が発生する。
【0057】
このように、リザーバー31内において、鉛直方向上側から上限レベルLa、再充填レベルLb、下限レベルLcの順に設定する。なお、再充填レベルLbの検知が正常に行われ、リザーバー31内へのスズ22aの充填が正常に行われる限り、下限レベルLcの検出は行われることはないはずである。
上限レベルセンサ41は、センサ応答が比較的速いセンサであり、本実施形態では、電気的にスズ22aの液面レベルを検知する電極式の液面レベルセンサを用いる。具体的には、上限レベルセンサ41は、棒状の金属部材(電極棒)を含んで構成されるセンシング部411と、検出部(電流計)412と、バッテリー413とを備える。
【0058】
センシング部411は、リザーバー31内に、その長手方向が鉛直方向(
図3の上下方向)に一致するよう設置する。このとき、センシング部411は、その下端部(センシング端部)がスズ22aの上限レベルLaに位置するように設置する。センシング部411の上端部(センシング端部とは反対側の端部)は、電流計412を介してバッテリー413の一端に接続される。
【0059】
また、バッテリー413の他端は、導電性材料からなるリザーバー31の外部壁面と接続される。
スズ22a及びリザーバー31は導電性であるため、リザーバー31内に収容されるスズ22aの液面が、上限レベルLaに相当する位置に配置されたセンシング部411と接触すると、センシング部411、スズ22a、リザーバー31、バッテリー413からなる導通回路が電気的に接続されて、電流計412により上記回路が閉回路であること(電流が流れていること)が直ちに検出される。一方、スズ22aの液面レベルがセンシング部411の下端部よりも下側となると、上記導通回路は開回路となり、電流計412は電流が0であることを検出する。
【0060】
電流計412は、検出した電流値を制御部50へ出力する。制御部50は、電流計412から入力した電流値をもとに、スズ22aの液面レベルが上限レベルLaに到達しているか否かを判断する。
ここで、センシング部411は、
図4に示すように、導電性材料からなる金属棒411aを備える。ここで、金属棒411aは、例えばステンレス鋼であってもよい。金属棒411の表面には、スズ22aに対して不活性な導電性材料によるコーティング411bが施されている。コーティング411bは、例えば窒化チタン(TiN)コーティングであってもよい。
【0061】
また、センシング部411は、TiNコーティング411bがなされた金属棒411aが挿入される管状部材411cを備える。ここで、管状部材411cは、スズ22aに対して良好な耐腐食性を有し、且つ電気絶縁性を有する材料からなる。管状部材411は、例えば、酸化アルミニウム(Al
2O
3)からなってもよい。金属棒411aは、その先端部がAl
2O
3管411cからスズ22aの液面に向けて露出するように、Al
2O
3管411c内に挿入される。
なお、ここでは、ステンレス鋼からなる金属棒411aにTiNコーティング411bを施す場合について説明したが、金属棒411a自体をスズ22aに対して不活性な導電性材料で形成してもよい。この場合、金属棒411aの材質としては、例えば、タングステンやモリブデンを採用することができる。
【0062】
再充填レベルセンサ42及び下限レベルセンサ43は、液面レベルの検出能(検出精度や検出信頼性)が比較的高いセンサであり、本実施形態では、液体状のスズ22aの温度を検出可能な温度センサを用いる。再充填レベルセンサ42及び下限レベルセンサ43は、そのセンシング部がスズ22aの再充填レベルLb及び下限レベルLcにそれぞれ位置するように設置する。
【0063】
そして、再充填レベルセンサ42及び下限レベルセンサ43は、検出した温度値を制御部50へ出力する。制御部50は、これらセンサ42及び43から入力した検出温度をもとに、スズ22aの液面レベルが再充填レベルLb又は下限レベルLcに到達しているか否かを判断する。
スズ22aの液面レベルが、再充填レベルLb、下限レベルLcを上回っている場合、再充填レベルセンサ42、下限レベルセンサ43は液体状のスズ22aに浸漬された状態となる。そのため、この場合には、温度センサである再充填レベルセンサ42、下限レベルセンサ43は、スズ22aの融点(約232℃)以上の温度を検出する。すなわち、センサの検出温度がスズ22aの融点以上である場合、制御部50は、スズ22aの液面レベルが、再充填レベルLb、下限レベルLcより上回っている状態であると判断することができる。
【0064】
一方、スズ22aの液面レベルが、再充填レベルLb、下限レベルLcを下回ると、再充填レベルセンサ42、下限レベルセンサ43は、リザーバー31内の液体状のスズ22aから露出した状態(温度センサのセンシング部がスズ22aと非接触の状態)となる。そのため、この場合には、温度センサである再充填レベルセンサ42、下限レベルセンサ43は、リザーバー31内のスズ22aの液面より上部の空間雰囲気温度を測定することになる。この雰囲気温度は、スズ22aの融点よりも低いので、再充填レベルセンサ42、下限レベルセンサ43の検出温度は、各センサ42,43がスズ22aに浸漬された状態と比較して低下する。すなわち、再充填レベルセンサ42、下限レベルセンサ43の検出温度の温度低下をもって、制御部50は、スズ22aの液面レベルが下降して、再充填レベルLb、下限レベルLcを下回ったと判断することができる。
【0065】
再充填レベルセンサ42及び下限レベルセンサ43は、例えばシース測温抵抗体により構成されており、その表面はスズ22aに対して不活性な材料からなるスリーブで覆われている。これにより、シース(例えば、ステンレス製)とスズ22aとの間で化学反応が発生するのを抑制する。当該化学反応が発生すると、当該シースが腐食し、シース内部のセンサやケーブル部分が露出してしまい、結果として正しくスズ温度(すなわち、スズの液面)を測定することが困難となるためである。
【0066】
上記スリーブの材質は、例えば、酸化チタン(TiN),酸化スズ(SnO
2),酸化アルミニウム(Al
2O
3),ダイアモンド、タングステン、モリブデン等、スズ22aに対して耐腐食性を持つ材料とすることが好ましい。なお、表面をスリーブで覆う代わりに、センサの表面を、上記のスズ22aに対して耐腐食性を持つ材料で構成してもよい。
制御部50は、上限レベルセンサ41、再充填レベルセンサ42及び下限レベルセンサ43からの検出信号をもとに、リザーバー31におけるスズ22aの収容量(貯蔵量)を検出し、当該収容量(貯蔵量)が適正量(ここでは、液面レベルが再充填レベルLbと上限レベルLaとの間)となるように充填制御する。当該充填制御では、制御部50は、スズ充填機構60を駆動制御し、スズ充填機構60からリザーバー31へスズ22aを充填する。
【0067】
図5は、制御部50で実行する充填制御処理手順を示すフローチャートである。
この充填制御処理は、例えば、EUV光源装置100の駆動開始のタイミングで開始し、所定時間毎に繰り返し実行する。なお、上記充填制御処理の開始のタイミングは上記のタイミングに限らない。
先ずステップS1で、制御部50は、上限レベルセンサ41、再充填レベルセンサ42及び下限レベルセンサ43からそれぞれ検出信号を取得し、ステップS2に移行する。
ステップS2では、制御部50は、リザーバー31内のスズ22aの液面レベルが下降して下限レベルLcに到達したか否かを判定する。ここでは、下限レベルセンサ43で検出された温度が、予め設定した閾値温度を下回っているか否かを判定する。
【0068】
具体的には、下限レベルセンサ43による検出温度の移動平均値を常時求め、この移動平均値が上記閾値温度を所定時間(例えば、10分〜20分)下回ったことを確認したとき、スズ22aの液面レベルが下限レベルLcに到達したと判断する。ここで、上記閾値温度としては、スズ22aの融点である232℃と同等、またはこれを若干上回る温度(例えば、250℃)に設定する。
なお、下限レベルセンサ43の設定にセンサ応答の遅延時間分を考慮したマージンを加味しておいてもよい。
【0069】
そして、このステップS2で、液面レベルが下限レベルLcに到達したと判断した場合にはステップS3に移行し、下限レベルLcに到達していないと判断した場合には後述するステップS4に移行する。
ステップS3では、制御部50は、エラー信号を、例えば外部の警報装置に対して出力すると共に、EUV光源装置100の駆動(ポンプ35によるリザーバー31からコンテナ23aへのスズ22aの供給)を停止し、充填制御を終了する。このとき、当該警報装置は、アラームを発したり警告灯を点灯させたりすることで、オペレータに対してエラーが発生していることを報知する。
なお、このステップS3では、制御部50は、エラー信号を図示しない上位制御部に送信するようにしてもよい。この場合には、上位制御部が警報装置を作動したり、EUV光源装置100の駆動を制御したりする。
【0070】
ステップS4では、制御部50は、リザーバー31内のスズ22aの液面レベルが下降して再充填レベルLbに到達したか否かを判定する。ここでは、再充填レベルセンサ42で検出された温度が、予め設定した閾値温度を下回っているか否かを判定する。
具体的には、上記のステップS2の処理と同様に、再充填レベルセンサ43による検出温度の移動平均値を常時求め、この移動平均値が上記閾値温度を所定時間(例えば、10分〜20分)下回ったことを確認したとき、スズ22aの液面レベルが再充填レベルLbに到達したと判断する。ここで、上記閾値温度としては、スズ22aの融点である232℃と同等、またはこれを若干上回る温度(例えば、250℃)に設定する。
【0071】
そして、このステップS4で、液面レベルが再充填レベルLbに到達したと判断した場合にはステップS5に移行し、再充填レベルLbに到達していないと判断した場合には後述するステップS6に移行する。
ステップS5では、制御部50は、スズ充填機構60からリザーバー31へのスズ22aの充填を開始するための充填開始信号S
onを、スズ充填機構60に対して出力し、ステップS6に移行する。このとき、充填開始信号S
onを受けたスズ充填機構60は、リザーバー31へ一定の充填速度でスズ22aを充填する。
【0072】
ステップS6では、制御部50は、リザーバー31内のスズ22aの液面レベルが上昇して上限レベルLaに到達したか否かを判定する。ここでは、上限レベルセンサ41を構成する電流計412で検出された電流値をもとに、センシング部411、スズ22a、リザーバー31、バッテリー413からなる導通回路が開回路から閉回路に変化したか否か(電流が流れていない状態から電流が流れ始めたか否か)を判定する。そして、制御部50は、上記導通回路が閉回路に変化したことを確認したとき、スズ22aの液面レベルが上限レベルLaに到達したと判断する。
このステップS6で、液面レベルが上限レベルLaに到達したと判断した場合にはステップS7に移行し、上限レベルLaに到達していないと判断した場合には後述するステップS9に移行する。
【0073】
ステップS7では、制御部50は、充填停止信号S
offをスズ充填機構60に対して出力し、ステップS8に移行する。
ステップS8では、制御部50は、スズ充填機構60からリザーバー31へスズ22aを充填中であるか否か、すなわち、制御部50から出力された充填停止信号S
offを受信したスズ充填機構60が、リザーバー31へのスズ22aの充填を停止したか否かを判定する。そして、制御部50がスズ充填機構60の後述する充填動作検出手段をモニタしてスズ充填が停止していることを検出した場合(ステップS8でNoの場合)には、ステップS9に移行する。
【0074】
一方、上記のステップS8で、制御部50がスズ充填機構60の充填動作検出手段をモニタしてスズ充填が継続していることを検出した場合(ステップS8でYesの場合)には、上記のステップS3に移行する。
ステップS9では、制御部50は、充填制御を終了するか否かを判定する。例えば、オペレータによってEUV光源装置100の駆動停止ボタンが押されたことをもって、充填制御を終了すると判断してもよい。このステップS9で、制御部50が充填制御を終了しないと判断した場合には、上記のステップS1に移行する。
【0075】
次に、第1の実施形態の動作について説明する。
ここでは、リザーバー31に必要十分量の液体状スズ22aが充填されており、
図2に示すように、リザーバー31からコンテナ23aへスズ22aの循環供給がなされている状態で、EUV光源装置100によるEUV放射を継続して行った場合について説明する。
この場合、原料(スズ22a)は徐々に消費され、
図2に示す循環経路内のスズ22aが減少する。すなわち、リザーバー31におけるスズ22aの貯蔵量が徐々に減少する。
このように、リザーバー31内のスズ22aの液面レベルが適正レベル(再充填レベルLbと上限レベルLaとの間)にある状態から、リザーバー31内のスズ22aが減少し、スズ22aの液面レベルが再充填レベルLbを下回ると、温度センサである再充填レベルセンサ42がスズ22aの液面と非接触となる。すると、再充填レベルセンサ42による検出温度が、スズ22aの液面レベルが再充填レベルLbを上回っているときと比較して低下し、制御部50は、当該温度変化をもってスズ22aの液面レベルが再充填レベルLbに到達したと判断する(ステップS4でYes)。
【0076】
このとき、制御部50は、スズ充填機構60に対して充填開始信号S
onを送信し(ステップS5)、充填開始信号S
onを受けたスズ充填機構60は、リザーバー31に対し、スズ22aの供給を開始する。これにより、リザーバー31におけるスズ22aの液面レベルが上昇する。
その後、リザーバー31内のスズ22aの液面レベルが上限レベルLaに到達すると、電極式レベルセンサである上限レベルセンサ41のセンシング部411(金属棒411a)がスズ22aの液面に接触する。すると、上限レベルセンサ41の電流計412によって電流値を検出し、制御部50は、当該電流値を確認することでスズ22aの液面レベルが上限レベルLaに到達したと判断する(ステップS6でYes)。
【0077】
制御部50は、液面レベルが上限レベルLaに到達したと判断した時点でスズ充填機構60に対して充填停止信号S
offを送信する(ステップS7)。充填停止信号S
offを受けたスズ充填機構60は、リザーバー31に対するスズ22aの供給を停止する。これにより、リザーバー31におけるスズ22aの液面レベルの上昇は、上限レベルLaに達したところで停止する。
以上の処理により、リザーバー31におけるスズ22aの液面レベルは、適正レベルに制御される。
仮に、EUV光源装置100の作動中に、再充填レベルセンサ42に不具合が発生すると、スズ22aの液面レベルが再充填レベルLbを下回っても再充填レベルセンサ42がこれを検知できず、制御部50はスズ充填機構60に対して充填開始信号S
onを送信できない。すなわち、スズ充填機構60からリザーバー31へのスズ22aの充填は行われない。そのため、当該液面レベルは、そのまま徐々に下降し、下限レベルLcに到達する。
【0078】
そして、スズ22aの液面レベルが下限レベルLcを下回ると、温度センサである下限レベルセンサ43がスズ22aの液面と非接触となる。すると、下限レベルセンサ43による検出温度が、スズ22aの液面レベルが下限レベルLcを上回っているときと比較して低下し、制御部50は、当該温度変化をもってスズ22aの液面レベルが下限レベルLcに到達したと判断する(ステップS2でYes)。
このとき、制御部50は、エラー信号を出力し、オペレータに対してエラーが発生していることを報知する。このように、制御部50は、オペレータによる再充填レベルセンサ42の状態確認作業を促す。
【0079】
なお、本実施形態では、エラー発生時にアラームを発したり警告灯を点灯させたりする場合について説明したが、エラー内容をディスプレイに表示してもよい。例えば、上記のようにスズ22aの液面レベルが下限レベルLcに到達するのは、再充填レベルセンサ42に不具合が発生して、制御部50がスズ22aの液面レベルが再充填レベルLbに到達したことを検知できなかった場合と、制御部50がスズ22aの液面レベルが再充填レベルLbに到達したことを検知し、スズ充填機構60に対して充填開始信号S
onを送信したにもかかわらず、スズ充填機構60の不具合により充填が開始されなかった場合とが考えられる。
【0080】
したがって、この場合には、再充填レベルセンサ42またはスズ充填機構60に不具合が発生していることを示す内容を表示する。さらに、この場合、制御部50からスズ充填機構60に対して充填開始信号S
onを出力していなければ再充填レベルセンサ42の不具合、充填開始信号S
onを出力していればスズ充填機構60の不具合であると判断することができる。そこで、充填開始信号S
onの出力の有無に応じて、エラー表示内容を変更するようにしてもよい。このように、エラー内容を提示することで、オペレータによる不具合箇所の確認作業が容易になる。
【0081】
以上のように、本実施形態では、コンテナ23aに高温プラズマ原料であるスズ22aを供給するリザーバー31に、当該リザーバー31内のスズ22aの液面レベルを検出する液面レベルセンサを設ける。このとき、液面レベルセンサとしては、下方から上昇してくる液面を検出する上限レベルセンサ41と、上方から下降してくる液面を検出する再充填レベルセンサ42及び下限レベルセンサ43とを備える。
【0082】
そして、上限レベルセンサ41は、再充填レベルセンサ42及び下限レベルセンサ43よりも応答速度の速いセンサとし、再充填レベルセンサ42及び下限レベルセンサ43は、上限レベルセンサ41よりも検出能(検出精度)の高いセンサとする。
具体的には、上限レベルセンサ41は、電気的に液面レベルを検出する電極式の液面レベルセンサとし、再充填レベルセンサ42及び下限レベルセンサ43は、温度変化により液面レベルを検出する温度センサとする。
【0083】
スズ充填機構60からリザーバー31にスズ22aが充填され、リザーバー31内の許容スズ収容量をスズ充填機構60からのスズ充填量が超過すると、リザーバー31から不所望なスズ22aの漏出が発生してしまう。そのため、スズ22aの液面レベルが上限レベルLaに到達した状況は、速やかに検知しなければならない。
本実施形態では、スズ22aの液面レベルが上限レベルLaに到達したことを検出する上限レベルセンサ41として、電気的に液面レベルを検出するといった、応答性の高いセンサを用いる。そのため、液面レベルが上限レベルLaに到達したことを検出するタイミングが遅れたり、リザーバー31から不所望なスズ22aの漏出が発生したりするといった不具合を抑制することができる。
【0084】
ところで、リザーバー内に収容されるスズの液面には、徐々に導電性である不純物の膜が浮遊する。ここで、上記不純物とは、スズ充填機構60からリザーバー31に固体スズを供給する構成である場合には、当該固体スズの表面を覆うスズ酸化膜であったり、リザーバー31や放電電極21aを構成している金属の一部とスズとが反応したものであったり、真空雰囲気中の残留ガスとスズとが化合したものであったりする。これら不純物は徐々に生成され、リザーバー31内に収容されるスズ22aの液面に導電性の膜となって浮遊する。当該不純物は、液体スズよりも比重が軽いものが多いため、液体スズの液面に浮遊する。
【0085】
図11に示すように、この不純物の膜Xの一部が金属棒901にまとわりつくと、スズ911の液面レベルがセンシングレベルを下回っている状態で、この不純物の膜Xが金属棒901とスズ911の液面とを接続する。この不純物の膜Xは導電性であるので、結果的に、この不純物の膜Xは、金属棒901の先端とスズ911の液面とを電気的に短絡してしまい、スズ911の液面レベルがセンシングレベルに到達していると誤検出してしまう。
【0086】
本実施形態においては、上限レベルセンサ41のセンシング部である金属棒411aは、リザーバー31内に充填されるスズ22aの液面レベルが上限レベルLaに到達しない限り、スズ22aの液面とは非接触となる。そのため、スズ22aの液面に生じる不純物の膜の一部が金属棒411aにまとわりつくといった不具合も殆ど発生しない。すなわち、液面レベルが上昇して上限レベルに到達したことを検出する上限レベルセンサ41として、上記の電気的に液面レベルを検出するセンサを用いても、誤検出は殆ど発生しない。
【0087】
仮に、上限レベルセンサ41の金属棒411aに不純物がまとわりつき、スズ22aの液面レベルが上限レベルLaに到達する前に、上限レベルLaに到達したと誤検出したとしても、リザーバー31内の許容スズ収容量をスズ充填機構60から充填されるスズの量が超過し、リザーバー31から不所望なスズの漏出が発生するという不具合は回避することができるため(安全側に制御されるため)、大きな問題はない。
【0088】
また、本実施形態では、上限レベルセンサ41のセンシング部411を、
図4に示すように、表面にTiNコーティング411bがなされた金属棒411aを、Al
2O
3管411cに挿入した構成とする。
このように、金属棒411aの表面にTiNコーティング411bを施すので、金属棒411aとスズ22aとの化学反応を防ぎ、スズ22aの液面レベルを正確に測定することができる。当該化学反応が起こると、金属棒411aが腐食、破損し、正しく液面レベルを測定できなくなる。例えば、金属棒411aがステンレス棒から構成される場合、表面にTiNコーティング411bがないと、ステンレス棒の表面はスズ(Sn)によって腐食し、当該表面に例えばSnFe,SnFe
2などの鉄化合物が形成される。これらの化合物は、スズ22aの液面を浮遊する不純物(スラグ)に対して濡れ性が良好であるので、金属棒411aに不純物がまとわりつきやすくなり、スズ22aの液面レベルを正確に測定できなくなるという不具合が発生してしまう。
【0089】
さらに、本実施形態では、TiNコーティング411bがなされた金属棒411aを、Al
2O
3管411cに挿入する。Al
2O
3は比較的撥水性の高い材料であるので、Al
2O
3管411cには上記不純物が付着しにくい。
図4に示すように、センシング部411は、このAl
2O
3管411cが大部分を占めるので、金属棒411aへの不純物のまとわりつきを効果的に抑制することができる。また、Al
2O
3は電気絶縁性を有するので、仮にこの部分に導電性の不純物(スラグ)が付着したとしても、電気的な検出はなされない。したがって、仮にセンシング部411に不純物がまとわりついたとしても、スズ22aの液面レベルの誤検出の確率を低くすることができる。
【0090】
また、センシング部411は、その長手方向が、スズ22aの液面に対して鉛直方向(重力方向)に一致または略一致するように配置する。仮に、
図6に示すように、センシング部411を、その長手方向がスズ22aの液面に対して傾斜するように配置した場合、センシング部411に不純物の膜Xがまとわりつきやすくなってしまう。本実施形態では、センシング部411を、その長手方向がスズ22aの液面に対して垂直となるように配置するので、
図7に示すように、センシング部411に付着した不純物の膜Xが、重力によりセンシング部411から離脱しやすくなる。
【0091】
一方、上方から下降する液面レベルを検出する再充填レベルセンサ42及び下限レベルセンサ43は、リザーバー31からコンテナ23aへのスズ22aの循環供給が正常に行われている場合、リザーバー31内において常に液体状のスズ22aに浸漬された状態となる。
そのため、再充填レベルLbや下限レベルLcにスズ22aの液面レベルが到達する際には、スズ22aの液面に浮遊する導電性の不純物の膜が再充填レベルセンサ42や下限レベルセンサ43の表面に付着する可能性が高い。
したがって、仮に、再充填レベルセンサ42、下限レベルセンサ43として、上限レベルセンサ41のように、金属棒を用いて電気的にスズ22aの液面レベルを検知するセンサを用いると、スズ22aの液面レベルが再充填レベルLb、下限レベルLcを下回ったことを検出するタイミングが遅れるといった不具合が発生する可能性が高い。
そこで、本実施形態では、上方から下降する液面レベルを検出する再充填レベルセンサ42及び下限レベルセンサ43として、温度変化により液面レベルを検出する温度センサを用いる。
【0092】
液面レベルが再充填レベルLb、下限レベルLcを下回ったとき、再充填レベルセンサ42、下限レベルセンサ43に不純物の膜が付着し、この付着した膜がスズ22aの液面と接続されていたとしても、液体状のスズ22aからは再充填レベルセンサ42、下限レベルセンサ43のセンシング部は露出する。そして、両センサの温度計測に影響を及ぼす付着不純物の量は小さく、熱容量も小さいので、結局、両センサの検知温度はスズ22aの融点より低くなる。すなわち、再充填レベルセンサ42、下限レベルセンサ43に不純物の膜が付着したとしても、再充填レベルセンサ42、下限レベルセンサ43の検知温度の温度低下は検出され、スズ22aの液面レベルが、再充填レベルLb、下限レベルLcを下回ったことを検知することが可能となる。
このように、温度センサを用いた液体レベルセンサは、不純物の膜の影響を受けずに精度良く液面レベルを検出することができる。
【0093】
なお、温度センサは、電気的に液面レベルを検出するセンサ機構と比較すると、応答性は低い。しかしながら、スズ22aの液面レベルが再充填レベルLbに到達したタイミングの検知がセンサ応答の遅延時間分遅れたとしても、スズ22aの液面レベルは、下限レベルLcよりは上回っているため、リザーバー31からコンテナ23aへの循環供給は正常に行われる。
【0094】
以上のように、本実施形態では、高温プラズマ原料である溶融スズを収容するリザーバー31において、リザーバー31に収容されるスズ22aの液面に浮遊する導電性の不純物の膜の影響を排除し、適切にリザーバー31内のスズ22aの貯蔵量(液面レベル)を検出することができる。したがって、安定してEUV光源装置100の放電電極に高温プラズマ原料を供給することができる。
【0095】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態は、スズ充填機構60からリザーバー31へ実際に供給したスズの量(実測供給量)をカウントし、その結果をもとに上限レベルセンサ41や再充填レベルセンサ42の不具合発生を検出するようにしたものである。
第2の実施形態におけるスズ貯蔵機構は、
図3に示すスズ貯蔵機構において、スズ充填機構60が、リザーバー31へのスズ供給量をカウントする機能を有する点で上述した第1の実施形態とは異なる。また、第2の実施形態における制御部50は、上述した第1の実施形態における制御部50とは異なる処理を実行する。
【0096】
図8は、第2の実施形態における制御部50で実行する充填制御処理手順を示すフローチャートである。この
図8に示す充填制御処理において、
図5に示す充填制御処理と同一処理を行う部分には同一ステップ番号を付し、ここでは処理の異なる部分を中心に説明する。
制御部50は、上記のステップS5でスズ充填機構60に対して充填開始信号S
onを出力した後、ステップS11に移行する。
ステップS11では、制御部50は、スズ充填機構60に対して、リザーバー31へのスズ供給量のカウント開始を指示するためのカウント開始信号CNT
onを出力し、上記のステップS6に移行する。
【0097】
また、制御部50は、上記のステップS8でスズ充填機構60の充填動作検出手段をモニタしてスズ充填が停止していることを検出した場合、ステップS12に移行する。
ステップS12では、制御部50は、スズ充填機構60に対して、リザーバー31へのスズ供給量のカウント停止を指示するためのカウント停止信号CNT
offを出力し、ステップS13に移行する。
ステップS13では、制御部50は、スズ充填機構60がカウント開始信号CNT
onを受けてからカウント停止信号CNT
offを受けるまでの間にカウントしたスズ供給量(実測供給量)Vを取得し、ステップS14に移行する。
ステップS14では、制御部50は、ステップS13で取得した実測供給量Vと、リザーバー31の形状、上限レベルLaの位置及び再充填レベルLbの位置に基づいて決定される標準供給量Vsとを比較し、両者の差分の絶対値|Vs−V|が許容ばらつき量α以下であるか否かを判定する。
【0098】
ここで、標準供給量Vsは、上述したように、リザーバー31が柱状形状であり、リザーバー31の高さ方向(
図3の上下方向)の断面積をS、上限レベルLaと再充填レベルLbとの間の高さ方向(
図3の上下方向)の距離をHとしたときの、リザーバー31内の液面レベルが再充填レベルLbから上限レベルLaに到達するまでにスズ充填機構60から供給されるスズ22aの量であり、Vs=S×Hである。この標準供給量Vsは、予めメモリ等に記憶しておく。また、上記許容ばらつき量αは、センサのセンシングタイミングのばらつきやスズ充填機構60の充填ばらつきに起因する充填量のばらつきを考慮して設定する。
そして、|Vs−V|≦αである場合には、実測供給量Vと標準供給量Vsとの差分が許容範囲内であると判断して上記のステップS9に移行し、|Vs−V|>αである場合には、実測供給量Vと標準供給量Vsとの差分が許容範囲外であると判断して上記のステップS3に移行する。
【0099】
次に、第2の実施形態の動作について説明する。
上限レベルセンサ41と再充填レベルセンサ42とが共に正常に動作しているものとする。この場合、再充填レベルセンサ42は、リザーバー31内の液面レベルが再充填レベルLbを下回ったことを正確に検出し、制御部50は、リザーバー31内の液面レベルが再充填レベルLbを下回ったタイミングで適切にスズ充填機構60に対して充填開始信号S
onを出力することができる。
【0100】
また、上限レベルセンサ41は、スズ充填機構60によるスズ22aの供給によってリザーバー31内の液面レベルが上限レベルLaに到達したことを正確に検出し、制御部50は、リザーバー31内の液面レベルが上限レベルLaに到達したタイミングで適切にスズ充填機構60に対して充填停止信号S
offを出力することができる。
そのため、この場合には、スズ充填機構60が充填開始信号S
onを受けてから充填停止信号S
offを受けるまでの間にリザーバー31へ供給したスズ22aの量(実測供給量)Vは、標準供給量Vsと一致する。すなわち|Vs−V|=0となる(ステップS14でYes)。したがって、制御部50は、上限レベルセンサ41及び再充填レベルセンサ42が正常であり、正確にスズ22aが充填されたと判断し、正常充填完了とする。
【0101】
これに対して、仮に上限レベルセンサ41、再充填レベルセンサ42の少なくとも一方に不具合が発生し、液面レベルの検出タイミングが適正タイミングに対して大幅にずれると、制御部50からスズ充填機構60に充填開始信号S
onや充填停止信号S
offを送信するタイミングも大幅にずれる。
例えば、再充填レベルセンサ42に不具合が発生し、再充填レベルLbの検出タイミングが遅れると、実測供給量Vは標準供給量Vsよりも多くなる。また、上限レベルセンサ41に不具合が発生し、上限レベルLaの検出タイミングが早まると、実測供給量Vは標準供給量Vsよりも少なくなる。すなわち、いずれの場合も、|Vs−V|>αとなる(ステップS14でYes)。
【0102】
したがって、制御部50は、上限レベルセンサ41、再充填レベルセンサ42の少なくとも一方に異常が発生しており、正確にスズ22aが充填されていないと判断し、エラー信号を出力してオペレータに対してエラーが発生していることを報知する。このように、制御部50は、オペレータによる上限レベルセンサ41の状態確認作業を促す。
このように、スズ充填機構60にリザーバー31へのスズ供給量をカウントする機能を設けることで、制御部50による充填開始及び充填停止の指示をもとに、スズ充填機構60からリザーバー31に対して実際に供給したスズ22aの量を把握することができる。したがって、上限レベルセンサ41や再充填レベルセンサ42に不具合が発生した場合には、実測供給量Vと標準供給量Vsとの差分が許容ばらつき量αを超えることをもって、当該不具合を検出することができる。したがって、不適切な検出信号により充填制御が継続されることを防止することができる。
【0103】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
この第3の実施形態は、スズ充填機構60によるスズ供給量のカウントを容易且つ適切に行えるようにしたものである。
図9は、スズ充填機構60の具体的構成を示す図である。
スズ充填機構60は、スズカートリッジ貯蔵室(tin cartridge)61を備える。このスズカートリッジ貯蔵室61には、固体のスズ原料が貯蔵されている。固体スズ原料の形状は、例えば、球状である。なお、固体スズ原料の形状は、棒状や回転楕円体形状、その他ブロック形状など、任意の形状であってよい。この固体スズ原料(以下、「スズ球B」という。)は、事前に酸洗浄されており、スズカートリッジ貯蔵室61に複数個保管されている。
【0104】
スズカートリッジ貯蔵室61の下方には、スズ球Bを外部に供給するための出口部62が設けられている。
出口部62の下部には、スズ球Bを輸送するためのスズ原料輸送機構63が配置されている。このスズ原料輸送機構63は、回転ディスク63aによってスズ球Bを輸送する回転ディスク型のスズ原料輸送機構(rotating disk)である。回転ディスク63aには、スズ球1つ1つを個別に保持して輸送する輸送孔63aが形成されている。
【0105】
回転ディスク63aは、鉛直方向(
図9の上下方向)の軸を中心軸として回転可能に構成されており、出口部62を通って輸送孔63bに供給されたスズ球Bは、回転ディスク63aの回転によって入口部64まで輸送され、当該入口部64から原料供給管65に供給される。
この回転ディスク63aの回転数をモニタリングすることで、原料供給管65に供給するスズ球Bの数、すなわちリザーバー31に供給するスズ球Bの数をカウントすることができる。また、当該回転数情報から回転ディスク63aを制御することで、スズ球Bの供給量を制御することができる。
【0106】
原料供給管65は、ロードロック機構を有するロードロック部66を備える。ロードドック部66は、第一のゲートバルブ66aと、第二のゲートバルブ66bとによって区画されている。この区画されたロードロック空間には、圧力計66c、真空引き用管路66d、パージガス供給用管路66eが設けられている。
スズ原料輸送機構63により輸送されるスズ球Bは、入口部64から原料供給管65を介して、ロードロック部66に一旦供給される。具体的には、スズ球Bは、第一のゲートバルブ66aが開状態で、第二のゲートバルブ66bが閉状態であるロードロック部66に供給される。
【0107】
スズ原料輸送機構63は、予め設定した所定量だけスズ球Bをロードロック部66に供給した時点で、輸送を停止する。
その後、ロードロック部66上部の第一のゲートバルブ66aが閉じられ、真空引き用管路66dからロードドック部66の真空引きが開始される。そして、ロードドック部66内において十分な真空が得られた後、ロードロック部66下部の第二のゲートバルブ66bが開き、スズ原料供給用絶縁路(insulation tube)67を介して、スズ球Bがリザーバー31に注入される。ここで、スズ原料供給用絶縁路67の端部には、スズ球Bがリザーバー31に確実に供給されるようなテーパー形状(taper shape)のテーパー部68が形成されている。
なお、第二のゲートバルブ66b及びスズ原料供給用絶縁路67は、真空容器であるEUV光源装置100のチャンバ11内に設置され、リザーバー31に連結されている。EUV光源装置100のチャンバ11内は、放電電極等の高電圧部分11hが存在するので、スズ原料供給用絶縁路67は絶縁性部材から構成される。
【0108】
そして、錫原料供給用絶縁路67の内側の真空度pと、高電圧部と接地電位部との間隔dとの積である“pd値”は、パッシェン曲線(Paschen curve)の左側に来るように設計され、リザーバー31とスズ充填機構60との間は絶縁が保たれている。
スズ球Bをリザーバー31に注入した後は、ロードロック部66下部の第二のゲートバルブ66bを閉じ、ロードロック部66内部は、パージガス供給用管路66eによってパージガス(例えば、Arガス)でパージされる。その後、ロードロック部66のパージが完了したら、上部の第一のゲートバルブ66aを開き、次のスズ球補充の開始準備がなされる。
【0109】
上記のスズ補充プロセスは、制御部50からの充填開始信号S
onを受けてから充填停止信号S
offを受けるまでの間、すなわち、リザーバー31内のスズ液面レベルが再充填レベルLbを下回ってから上限レベルLaに到達するまでの間、繰り返される。
このように、スズ充填機構60に、リボルバー型の回転ディスク63aを設けることで、リザーバー31へのスズ供給量のカウントを容易且つ適切に行うことができる。
例えば、上述した第2の実施形態のように、制御部50からカウント開始信号CNT
on、カウント停止信号CNT
offが送信される場合には、これら信号の受信タイミングでそれぞれスズ供給量のカウント開始、カウント停止を行う。そして、スズ充填機構60は、開始信号CNTon受けてからカウント停止信号CNT
offを受けるまでの間にリザーバー31に供給した実測供給量Vを制御部50へ送信すればよい。
【0110】
また、上記した圧力計66cは、スズ充填機構60の充填動作検出手段として使用することも可能である。
図5のステップS7において制御部50から出力された充填停止信号S
offを受信したスズ充填機構60は、リザーバー31へのスズ球Bの注入を停止し、ロードロック部66下部の第二のゲートバルブ66bを閉じる。次いでスズ充填機構60は、ロードロック部66内部をパージガス供給用管路66eによってパージガス(例えば、Arガス)でパージする。その後、ロードロック部66のパージが完了したら、スズ充填機構60は、上部の第一のゲートバルブ66aを開き、次に充填開始信号S
onを受信した際におけるスズ球補充の開始準備がなす。すなわち、制御部50から充填停止信号S
offが送信されると、上記ロードロックブ66内部は大気圧となる。そして、次に制御部50から充填開始信号S
onを受信した時点以降、リザーバー31へスズ球Bの注入する時点でロードロック部66は真空状態となる。
【0111】
一方、制御部50から出力された充填停止信号S
offを受信したにもかかわらず、スズ充填機構60がリザーバー31へのスズ球Bの注入を停止しないというエラーが発生した場合(
図5のステップS8でYesの場合)を考える。この場合スズ充填機構60は、充填停止信号S
offを受信した後も、リザーバー31へのスズ球Bの注入を継続する。すなわち、スズ球Bの注入を継続するために、スズ充填機構60は、充填停止信号S
offを受信後もロードロック部66の内部は、パージ状態と真空状態を繰り返す。
上記をまとめると、スズ充填機構60が正常に動作している場合(
図5のステップS8でNoの場合)は、上記ロードロック部66の圧力は充填停止信号S
offを受信後に大気圧となり、その後、少なくとも再び充填開始信号S
onを受信する時点までは大気圧が維持される。
【0112】
一方、スズ充填機構60が充填停止信号S
offを受信後もスズ充填動作を継続するという異常動作が発生している場合(
図5のステップS8でYesの場合)は、スズ充填機構60は、再び充填開始信号S
onを受信する前にスズ充填動作が発生する。よって、上記ロードロック部66の圧力は、充填停止信号S
offを受信後に大気圧となり、再び充填開始信号S
onを受信する前に真空状態と大気圧状態とが繰り返されることになる。すなわち、充填停止信号S
offを受信後から再び充填開始信号S
onを受信するまでの時間、ロードロック部66の圧力は、充填停止信号S
offを受信後1回目の大気圧状態となり、その後少なくとも1回は真空状態となって、次いで少なくとも2回目の大気圧状態となる。
よって、圧力計66cでロードロック部66の圧力を測定し、圧力情報を制御部50に送信するようにすれば、制御部50はスズ充填機構60の充填動作を検出することが可能となる。すなわち、圧力計66cをスズ充填機構60の充填動作検出手段として機能させることが可能となる。
【0113】
(応用例)
上記各実施形態においては、高温プラズマ原料に照射するエネルギービームとしてレーザを用いる場合について説明したが、レーザに代えてイオンビームや電子ビーム等を用いることもできる。
また、上記各実施形態においては、DPP方式のEUV光源装置に適用する場合について説明したが、LPP方式のEUV光源装置にも適用可能である。LPP方式とは、プラズマ生成用ドライバレーザをターゲット材料に照射し、当該ターゲット材料を励起させてプラズマを生成する方式である。
図10は、LPP方式のEUV光源装置200を示す概略構成図である。
この
図10に示すように、EUV光源装置200は、光源チャンバ211を有する。光源チャンバ211の内部は、真空ポンプ等により真空状態に維持されている。
光源チャンバ211には、EUV放射種である原料(高温プラズマ原料)212を供給するための原料供給ノズル213が設けられている。原料供給ノズル213は、原料供給ユニット214から供給される原料212(例えば、液滴状のスズ)を所定のターゲットエリアに供給する。
【0114】
また、EUV光源装置200は、レーザ光Lを放出する励起用レーザ光発生装置(エネルギービーム照射部)215を備える。励起用レーザ光発生装置215からのレーザ光Lは、レーザ光集光部216により集光され、チャンバ211に形成されたレーザ光入射窓部217を介してチャンバ211内部へ入射する。チャンバ211内部へ入射したレーザ光Lは、EUV集光鏡(集光ミラー)218の略中央部に設けられたレーザ光通過穴を通って、原料供給ノズル213から放出される原料212に照射される。
励起用レーザ光発生装置215は、例えば、繰り返し周波数が数kHzであるパルスレーザ装置であり、炭酸ガス(CO
2)レーザ、YAGレーザなどが使用される。
【0115】
原料供給ノズル213からターゲットエリアに供給された原料は、レーザ光Lの照射により加熱・励起されて高温プラズマPとなり、この高温プラズマPからEUV光が放射される。放射されたEUV光は、EUV集光鏡218によりチャンバ211に形成されたEUV光取出部219に向けて反射され、EUV集光鏡218の集光点(中間集光点)に集光されてEUV光取出部219から出射する。EUV光取出部219から出射したEUV光は、EUV光源装置200に接続された図示しない露光装置の照射光学系等に入射する。また、高温プラズマPとEUV集光鏡218との間には、高温プラズマPから発生するデブリを捕捉し、EUV光のみを通過させるデブリトラップ220が配置される。
なお、上記原料212は、パルスレーザの照射により加熱・励起されて高温プラズマPとなるので、EUV光の発光はパルス発光となる。
ここで、EUV集光鏡218は、例えばモリブデンとシリコンの多層膜でコーティングされた球面形状の反射鏡であり、励起用レーザ光発生装置215およびレーザ光入射窓部217の配置によっては、レーザ光通過穴を必要としない場合もある。
【0116】
また、高温プラズマ生成用のレーザ光Lは、迷光としてEUV光取出部219に到達することもある。よって、EUV光取出部219の前方(高温プラズマP側)にEUV光を透過して、レーザ光Lを透過させない不図示のスペクトル純度フィルタを配置することもある。
さらに、上記各実施形態においては、EUV光源装置を半導体露光用光源として用いる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、露光用マスクの検査装置等の光源として用いることもできる。