特許第6241408号(P6241408)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6241408
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】歩行者用エアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/36 20110101AFI20171127BHJP
【FI】
   B60R21/36
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-239296(P2014-239296)
(22)【出願日】2014年11月26日
(65)【公開番号】特開2016-97946(P2016-97946A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2016年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】尾関 誠
【審査官】 神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−298150(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第10353447(DE,A1)
【文献】 特開2005−096686(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0119644(US,A1)
【文献】 特開2002−283939(JP,A)
【文献】 特開2003−306100(JP,A)
【文献】 特開2006−335173(JP,A)
【文献】 特開2000−219094(JP,A)
【文献】 特開平07−125606(JP,A)
【文献】 特開昭49−126037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/36
B60R 21/215
B60R 21/205
B60R 21/2334
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両におけるフロントピラーの外表面側を覆うアウタガーニッシュの内側に折り畳まれて収納されて、内部に膨張用ガスを流入させて膨張可能なエアバッグを、備える構成とされて、
前記エアバッグが、内部に前記膨張用ガスを流入させて、前記フロントピラーの本体側に連結される前記アウタガーニッシュを持ち上げるように膨張する構成とされるとともに、膨張完了形状を、前記フロントピラーに略沿うように上下に延びる略棒状として、構成される歩行者用エアバッグ装置であって、
前記エアバッグが、膨張完了時に、前面側を凹ませて構成される凹部と、該凹部の車幅方向の両側で隆起するように配置される隆起部と、を、長手方向に沿って配置させて構成され、
前記アウタガーニッシュが、前記エアバッグの膨張完了時に、前記凹部をまたいで配置されるように、構成されていることを特徴とする歩行者用エアバッグ装置。
【請求項2】
前記エアバッグが、前記凹部付近の領域に、前記アウタガーニッシュを前記フロントピラーの本体側に連結させる連結部材を挿通可能な挿通部を、備えていることを特徴とする請求項1に記載の歩行者用エアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロントピラーの前面側を覆うように膨張するエアバッグを備える歩行者用エアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フロントピラーの部位に折り畳まれて収納されて、フロントピラーの前面側を覆うように膨張するエアバッグを備える構成の歩行者用エアバッグ装置としては、膨張するエアバッグによってフロントピラーの外表面側を覆うアウタガーニッシュを押し上げ、アウタガーニッシュと膨張を完了させたエアバッグとによって、歩行者を受け止める構成のものがあった(例えば、特許文献1参照)。この歩行者用エアバッグ装置では、フロントピラーとアウタガーニッシュとの間に折り畳んだエアバッグを収納させ、アウタガーニッシュを押し上げつつ押し開くようにして、エアバッグを膨張させる構成であり、アウタガーニッシュは、エアバッグの膨張完了時に、エアバッグの左右方向の内方側の面を覆うように配置される構成であった。そして、この歩行者用エアバッグでは、歩行者を受け止めたアウタガーニッシュにより、エアバッグを押圧して、歩行者を保護させる構成であり、歩行者を受け止めたアウタガーニッシュにより、エアバッグを広い範囲で押圧できることから、容積を小さく設定されるエアバッグでも、歩行者を、衝撃エネルギーを吸収して、円滑に保護できる構成であった。
【0003】
しかしながら、この特許文献1に記載の歩行者用エアバッグ装置では、膨張を完了させたエアバッグは、アウタガーニッシュを単に裏面側から長手方向に沿った一本の線状の部位で支持するのみであることから、歩行者をアウタガーニッシュによって受け止めた際に、アウタガーニッシュを衝撃緩和のために的確に変形させ難かった。
【0004】
また、歩行者用エアバッグ装置として、アウタガーニッシュとエアバッグとを連結させて構成されて、膨張するエアバッグによってアウタガーニッシュを押し上げ、アウタガーニッシュと膨張を完了させたエアバッグとによって、歩行者を受け止める構成のものもあった(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−96686公報
【特許文献2】特開2006−298150公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献2に記載の歩行者用エアバッグ装置では、複数のエアバッグを、フロントピラーの長手方向に沿って一部を重ねるようにずらしつつ、配置させて、各エアバッグをアウタガーニッシュに連結させ、アウタガーニッシュを押し上げるように、各エアバッグを膨張させる構成であった。
【0007】
しかし、この特許文献2に記載の歩行者用エアバッグ装置では、複数のエアバッグを、一部を重ねるようにずらしつつ相互に連結させた状態で配置させることにより、エアバッグを、アウタガーニッシュの下面側において厚く膨張させる構成であることから、構成が簡便ではなかった。また、この特許文献2に記載の歩行者用エアバッグ装置においても、膨張を完了させたエアバッグは、アウタガーニッシュの裏面側において、車幅方向側の中央付近の部位のみを支持していることから、歩行者をアウタガーニッシュによって受け止めた際に、アウタガーニッシュを衝撃緩和のために的確に変形させ難かった。
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、膨張するエアバッグにより押し上げられたアウタガーニッシュによって、効率的に衝撃を緩和できて、アウタガーニッシュとエアバッグとによって歩行者を的確に保護可能な歩行者用エアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る歩行者用エアバッグ装置は、車両におけるフロントピラーの外表面側を覆うアウタガーニッシュの内側に折り畳まれて収納されて、内部に膨張用ガスを流入させて膨張可能なエアバッグを、備える構成とされて、
エアバッグが、内部に膨張用ガスを流入させて、フロントピラーの本体側に連結されるアウタガーニッシュを持ち上げるように膨張する構成とされるとともに、膨張完了形状を、フロントピラーに略沿うように上下に延びる略棒状として、構成される歩行者用エアバッグ装置であって、
エアバッグが、膨張完了時に、前面側を凹ませて構成される凹部と、凹部の車幅方向の両側で隆起するように配置される隆起部と、を、長手方向に沿って配置させて構成され、
アウタガーニッシュが、エアバッグの膨張完了時に、凹部をまたいで配置されるように、構成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の歩行者用エアバッグ装置では、エアバッグの膨張完了時に、膨張するエアバッグによって押し上げられたアウタガーニッシュが、エアバッグの前面側を凹ませて構成される凹部をまたぐように配置されることとなる。そのため、本発明の歩行者用エアバッグ装置では、エアバッグの膨張完了時において歩行者をアウタガーニッシュによって受け止めた際に、凹部をまたぐように配置されるアウタガーニッシュが、車幅方向側の両縁、換言すれば、車幅方向側で離れた二点を、エアバッグにおいて凹部の車幅方向の両側で隆起している隆起部に、支持されることとなる。その結果、エアバッグの膨張完了時において、歩行者をアウタガーニッシュによって受け止めた際に、アウタガーニッシュをエアバッグによって安定して支持させることができて、アウタガーニッシュを、歩行者の衝撃エネルギーを吸収するように、的確に変形させることができる。また、アウタガーニッシュは、膨張を完了させたエアバッグにおいて隆起部間に配置される凹部の前面側を覆うように、配置されることとなることから、歩行者が、膨張を完了させたエアバッグにおいて、相対的に厚さの薄い凹部の部位と干渉することを、抑制できる。そして、アウタガーニッシュから外れた領域では、エアバッグは、隆起部として、厚く膨張していることから、アウタガーニッシュから外れた領域で歩行者を受け止めることとなっても、厚く膨張している隆起部によって、歩行者を的確に受け止めることができる。
【0011】
したがって、本発明の歩行者用エアバッグ装置では、膨張するエアバッグにより押し上げられたアウタガーニッシュによって、効率的に衝撃を緩和できて、アウタガーニッシュとエアバッグとによって歩行者を的確に保護することができる。
【0012】
また、本発明の歩行者用エアバッグ装置において、エアバッグにおける凹部付近の領域に、アウタガーニッシュをフロントピラーの本体側に連結させる連結部材を挿通可能な挿通部を配設させる構成とすれば、アウタガーニッシュをフロントピラーの本体側に連結させる連結部材が、エアバッグを貫通するように配置されることから、連結部材がエアバッグに対して位置ずれすることを抑制できる。そのため、アウタガーニッシュのエアバッグに対する位置ずれも抑制できて、歩行者を受け止めた際に、アウタガーニッシュを、一層的確に変形させることが可能となり、歩行者の衝撃エネルギーを安定して吸収することができて、好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態である歩行者用エアバッグ装置を搭載させた車両の部分拡大平面図である。
図2】実施形態の歩行者用エアバッグ装置を搭載させた車両の部分拡大横断面図であり、図1のII−II部位に対応する。
図3図3の部分拡大断面図である。
図4】実施形態の歩行者用エアバッグ装置に使用されるエアバッグを単体で膨張させて前面側から見た状態の概略斜視図である。
図5図4のエアバッグを後面側から見た状態の概略斜視図である。
図6図4のエアバッグの縦断面図であり、図4のVI−VI部位に対応する。
図7図4のエアバッグの縦断面図であり、図6のVII−VII部位に対応する。
図8図4のエアバッグの横断面図であり、図6のVIII−VIII部位に対応する。
図9図4のエアバッグを構成する基材を示す平面図である。ある。
図10】実施形態の歩行者用エアバッグ装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態を示す部分拡大斜視図である。
図11】実施形態の歩行者用エアバッグ装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態を示す部分拡大横断面図である。
図12】実施形態の歩行者用エアバッグ装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態を示す部分拡大横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態の歩行者用エアバッグ装置(以下「エアバッグ装置」と省略する)Mは、図1〜3に示すように、車両Vの左右のフロントピラー1の部位に折り畳まれて収納されるエアバッグ25と、各エアバッグ25に膨張用ガスを供給するインフレーター20と、インフレーター20と各エアバッグ25とを接続させる接続パイプ21と、折り畳まれたエアバッグ25を収納するケース23と、フロントピラー1の外表面側を覆うアウタガーニッシュ7と、アウタガーニッシュ7をフロントピラー本体2側(後述するアウタパネル3側)に連結させる連結部材53と、を備える構成とされている。
【0015】
なお、実施形態では、特に断らない限り、車両Vの左右方向を左右方向とし、フロントピラー1の軸方向に沿った方向側を上下方向とし、フロントピラー1の軸直交方向に沿った前後方向側を前後方向として、説明する。
【0016】
フロントピラー1は、図2,3に示すように、フロントピラー本体2と、フロントピラー1の外表面側を覆うアウタガーニッシュ7と、を備えている。フロントピラー本体2は、鋼板等からなるアウタパネル3、インナパネル4、及び、アウタパネル3とインナパネル4との間に配置されるリインホースメント5を、備えて構成されるもので、車両Vの構造体として高い剛性を具備している。アウタガーニッシュ7は、実施形態の場合、アウタパネル3の外表面側(前面側)を覆うように、配置されている。フロントピラー1の車幅方向(左右方向)に沿った車内外方向の内側(図2,3におけるフロントピラー1の右側)には、フロントガラス9が隣接されている。図2,3において、符号12で示す部材は、ドアフレームであり、符号13で示す部材は、ドアフレーム12とフロントピラー1との間に介在されるドアウェザストリップである。また、図2,3において、符号14で示す部材は、サイドウィンドであり、符号15で示す部材は、サイドウィンド14とドアフレーム12との間に介在されるガラスランである。さらに、図2,3において、符号10で示す部材は、フロントガラス9をフロントピラー1に固着させる接着剤である。
【0017】
インフレーター20は、実施形態の場合、図1に示すように、車両Vのエンジンルームの上方を覆うように配置されるフードパネル17の後端17a側における左右方向の中央より左方となる位置の下方において、車両Vのボディ側に、図示しないブラケット等を利用して取り付けられている。インフレーター20は、接続パイプ21と連結されており、インフレーター20から延びて二股に分岐して左右両側に延びる接続パイプ21を、各エアバッグ25の後述する接続口部38に、図示しないクランプを用いて接続させることにより、各エアバッグ25の内部に膨張用ガスを供給可能に、各エアバッグ25と連結されている。実施形態の場合、接続パイプ21は、図1に示すように、フードパネル17の後端17a側の部位に配置されるワイパ18と、ワイパ18を駆動させるための図示しない装置と、を迂回するように、配置されている。
【0018】
折り畳まれた各エアバッグ25を収納させるケース23は、実施形態の場合、それぞれ、各フロントピラー1に沿って配置される長尺状とされるもので、長さ寸法を、車幅方向(左右方向)側の幅寸法を縮められるように折り畳まれるエアバッグ25を収納可能な寸法に、設定されている。具体的には、各ケース23は、フロントピラー1の上端側を除いた略全域にわたって、配置されている。このケース23は、実施形態の場合、板金製として、内部に膨張用ガスを流入させて膨張するエアバッグ25を突出可能に、車両前方側を開口させた略箱形状として構成されて、底壁部23aと、底壁部23aから延びて前端側を開口させた略四角筒状の周壁部23bと、を備えている。また、ケース23は、実施形態の場合、アウタパネル3に支持されるようにして、フロントピラー1におけるアウタパネル3とアウタガーニッシュ7との間の隙間の領域に配置されるもので、前面側を、全面にわたって、アウタガーニッシュ7により覆われている。
【0019】
フロントピラー1の外表面(前面)側を覆うアウタガーニッシュ7は、長手方向を上下方向に沿わせた長尺状として構成されるもので、実施形態の場合、フロントピラー1におけるアウタパネル3の外表面側を、エアバッグ25を収納させたケース23の前面側も含めて、サイドウィンド14からフロントガラス9にかけて略全面にわたって覆い可能なように、車幅方向(左右方向)に沿った断面形状を、湾曲した略L字形状とされている(図2,3参照)。このアウタガーニッシュ7は、エアバッグ25の膨張完了時において、エアバッグ25に押し上げられた状態で歩行者を受け止めた際に、衝撃エネルギーを吸収して変形可能とされている。具体的には、アウタガーニッシュ7は、合成樹脂製の板材や、アルミニウムやアルミニウム合金等からなる板金素材から、形成されている。実施形態の場合、アウタガーニッシュ7は、歩行者を受け止めた際に塑性変形して衝撃エネルギーを吸収可能なアルミニウム製の板金素材から形成されている。また、アウタガーニッシュ7は、ケース23から外れた領域で、クリップ等の図示しない取付手段を利用して、アウタパネル3に取り付けられている構成である。この取付手段のアウタパネル3への取付強度は、車両搭載状態においては容易に外れがたく、かつ、エアバッグ25の展開膨張時においてエアバッグ25に押し上げられた際には、容易に外れ可能に、設定されている。また、実施形態のアウタガーニッシュ7は、後述するごとく、連結部材53を使用して、上下方向に沿った複数個所で、フロントピラー本体2を構成しているアウタパネル3に連結されている。そして、アウタガーニッシュ7は、エアバッグ25の膨張完了時に、エアバッグ25の前面側を凹ませて構成される凹部26aをまたいで、車幅方向側の縁部7a,7bを凹部26aの両側に配置される隆起部26b,26bに当接させて、配置されるように、構成されている(図11参照)。
【0020】
エアバッグ25は、内部に膨張用ガスを流入可能な可撓性を有した袋状とされるもので、実施形態の場合、ポリエステル糸やポリアミド糸等からなる織布から形成されている。実施形態の場合、エアバッグ25は、図4〜8に示すように、内部に膨張用ガスを流入させて膨張するバッグ本体26と、インフレーター20から延びる接続パイプ21に接続される接続口部38と、バッグ本体26をケース23に取り付ける取付片部41と、を備えている。実施形態では、左側のフロントピラー1に配置されるエアバッグ25を例に採り、詳細に説明をする。右側に配置されるエアバッグ25は、左側に配置されるエアバッグ25と左右対称形とされることから、詳細な説明を省略する。
【0021】
バッグ本体26は、アウタガーニッシュ7を持ち上げるように膨張する構成とされるとともに、膨張完了形状をフロントピラー1に略沿うように上下に延びる略棒状として構成されている。バッグ本体26は、長さ寸法を、膨張完了時に、フロントピラー本体2の前面側を、上下の略全域にわたって覆い可能とするとともに、アウタガーニッシュ7を上下の略全域にわたって支持可能な寸法に、設定されている。また、実施形態の場合、バッグ本体26は、車幅方向側(左右方向側)で並設される2つの内側縦膨張部27,外側縦膨張部28を、備える構成とされている。各内側縦膨張部27,外側縦膨張部28は、図6〜8に示すように、バッグ本体26内に上下の全域にわたって配置される隔壁部30によって、相互に区画されるとともに、隔壁部30に形成される連通部35によって、相互に連通される構成である。隔壁部30は、内側縦膨張部27と外側縦膨張部28とを上下の全域にわたって区画するように、配置されている。また、バッグ本体26は、図5に示すように、膨張完了時に、隔壁部30の前側と後側となる前面側と後面側とを、隔壁部30に沿って前後の全域にわたって凹ませて構成されている。そして、バッグ本体26において、この凹部26aの車幅方向(左右方向)の両側における内側縦膨張部27,外側縦膨張部28の部位が、凹部26aから前方側に向って隆起するように配置される隆起部26b,26bを構成している。すなわち、実施形態のバッグ本体26は、車幅方向(左右方向)の略中央に配置される凹部26aと、凹部26aの左右両側に配置される隆起部26b,26bと、を長手方向に沿って連続的に、上下の全域にわたって、配置させて構成されている。そして、凹部26aの左右両側に配置される隆起部26b,26b(内側縦膨張部27,外側縦膨張部28)は、図11に示すように、実施形態の場合、エアバッグ25の膨張完了時に、アウタガーニッシュ7の車幅方向側の縁部7a,7bを支持可能に、構成されている。具体的には、実施形態のバッグ本体26では、隆起部26b,26bは、凹部26aから隆起している領域(換言すれば、頂部26c,26cよりも左右方向の内方側であって、凹部26a側となる領域)において、アウタガーニッシュ7の縁部7a,7bを支持させるように、構成されている(図11参照)。実施形態の場合、バッグ本体26は、車幅方向側(左右方向側)の断面において、外形形状を略左右対称形とされている。
【0022】
隔壁部30は、図6〜8に示すように、2つの内側縦膨張部27,外側縦膨張部28を上下の全域にわたって区画するように、形成されるもので、実施形態の場合、バッグ本体26の膨張完了時に、前後方向に略沿って配置されることとなる。実施形態の場合、隔壁部30は、バッグ本体26を構成する後述する内側基材43と外側基材48との中央付近となる中央側部位44,49を相互に重ねた2枚重ね状として、構成されている。具体的には、実施形態の場合、隔壁部30は、バッグ本体26を構成する後述する内側基材43,外側基材48の中央側部位44,49を、長手方向側(上下方向側)で並設される3個の略長方形状の縫合部位31,32,33を形成するように、縫合糸を用いて縫着させることにより、この縫合部位31,32,33と縫合部位31,32,33の周囲の部位とから構成されている(図7,8参照)。すなわち、実施形態では、隔壁部30は、部分的に結合されている外側縦膨張部28側の外側壁30bと内側縦膨張部27側の内側壁30aと、の二枚重ね状とされている。そして、隔壁部30には、アウタガーニッシュ7をフロントピラー本体2側に連結させる連結部材53を挿通可能な挿通部34と、外側縦膨張部28と内側縦膨張部27とを連通させる連通部35と、が、形成されている。隔壁部30に形成される各縫合部位31,32,33は、上下に幅広として、前後方向側の幅寸法を略同一に設定されており、それぞれ、間に隙間を設けるようにして、配置されている。そして、実施形態では、各縫合部位31,32,33間の隙間の領域が、挿通部34を、構成している。すなわち、挿通部34は、実施形態の場合、凹部26a付近の領域において、バッグ本体26の長手方向(上下方向)側で、離隔した2箇所に、形成されるもので、それぞれ、内側壁30aと外側壁30bとを前後の全域にわたって分離させることにより、バッグ本体26を、凹部26a付近の領域で、前後の全域にわたって貫通するように配置されて、連結部材53を挿通可能に、構成されている(図6〜8参照)。連通部35は、隔壁部30を構成する内側壁30a,外側壁30bにおいて、各縫合部位31,32,33に囲まれる領域内に、開口35a,35bを設けることにより、構成されている。実施形態では、外側壁30bに、連通部35を構成する開口35a,35bが、形成されている。具体的には、実施形態の場合、下側に配置される縫合部位31の領域内に形成される開口35aは、外形形状を略長方形状として形成され、上側の2つの縫合部位32,33の領域内に形成される開口35bは、長手方向を前後方向に沿わせた略長円状として、上下に2つ並設されている。実施形態では、内側壁30aにおける各縫合部位31,32,33に囲まれる領域は、略全面にわたって切り欠かれている(図7,8参照)。この内側壁30aに形成される切欠は、エアバッグ25を軽量化して、かつ、コンパクトに折り畳み可能とするために、形成されている。
【0023】
バッグ本体26をインフレーター20から延びる接続パイプ21に接続させる接続口部38は、実施形態の場合、外側縦膨張部28の下端側における後面側から延びるように、形成されるもので、外側縦膨張部28の下面側に設けられる開口28aの周縁から延びるように形成されて、先端側を、接続パイプ21と、連結されている。実施形態の場合、外側縦膨張部28の下面側に設けられる開口28aは、隔壁部30の領域内となる、縫合部位31で囲まれる領域内まで連なるように形成されており(図7,9参照)、接続口部38は、縫合部位31の領域内にも延びるように、配置されている。詳細には、開口28aは、内側壁30aにおける縫合部位31に囲まれる領域に形成される切欠まで延びるように形成されており、この開口28aの部位でも、内側縦膨張部27と外側縦膨張部28とは連通されている。実施形態の場合、接続口部38は、バッグ本体26を構成する内側基材43及び外側基材48と別体とされる2枚の接続口部用基材39,39を、周縁相互を縫着させることにより、筒状として、形成されている。バッグ本体26をケース23に取り付ける取付片部41は、外側縦膨張部28の後面側において、上下方向に沿って複数個(実施形態の場合、5個)形成されている。これらの取付片部41は、取付手段としてのボルト及びナット(図符号省略)を利用して、図12に示すように、ケース23の底壁部23aを介してフロントピラー本体2のアウタパネル3に取り付けられている。
【0024】
実施形態のエアバッグ25では、バッグ本体26は、図11に示すように、膨張完了時に、外側縦膨張部28によってフロントピラー本体2の前面側を覆い、外側縦膨張部28の左右方向の内方側(図11における右側)に配置される内側縦膨張部27によって、フロントガラス9の左右方向の端縁(図11における左縁)側の前面側を覆うように、配置されることとなる。
【0025】
実施形態のバッグ本体26は、図9に示すように、外形形状を略同一に形成される内側基材43と外側基材48と、を縫合糸を用いて縫着させて、袋状に形成されている。内側基材43と外側基材48とは、外形形状を、長円を短軸側で2個並設させたような形状とされており、実施形態の場合、それぞれ、略左右対称形とされている。内側基材43は、隔壁部30の内側壁30aを構成する中央側部位44と、内側縦膨張部27の外周面側の部位を構成する前側部位45及び後側部位46と、を備えている。外側基材48は、隔壁部30の外側壁30bを構成する中央側部位49と、外側縦膨張部28の外周面側の部位を構成する前側部位50及び後側部位51と、を備えている。そして、実施形態のバッグ本体26では、内側基材43と外側基材48との中央側部位44,49相互を縫合部位31,32,33を形成するように縫合糸を用いて縫着させて、隔壁部30を構成し、内側基材43の前側部位45及び後側部位46の外周縁45a,46a相互を縫合糸を用いて縫着させることにより、内側縦膨張部27を構成し、外側基材48の前側部位50及び後側部位51の外周縁50a,51a相互を縫合糸を用いて縫着させることにより、外側縦膨張部28を構成している(図6参照)。実施形態の場合、バッグ本体26を構成する内側基材43,外側基材48、接続口部38を構成する接続口部用基材39,39、及び、取付片部41は、ポリエステル糸やポリアミド糸からなる織布から形成されている。
【0026】
アウタガーニッシュ7をフロントピラー本体2側に連結させる連結部材53は、可撓性を有した帯状体から形成されるもので、実施形態の場合、バッグ本体26と同様に、ポリエステル糸やポリアミド糸等からなる織布から形成されている。この連結部材53は、アウタガーニッシュ7の長手方向(上下方向)に沿って3箇所に、されるもので、下側に配置される2つは、バッグ本体26の隔壁部30を貫通するように形成される2つの挿通部34,34に、挿通可能に構成されている。上側に配置される連結部材53は、バッグ本体26の上端側において、内側縦膨張部27と外側縦膨張部28との境界部位に、下方に向かって凹むように形成される凹部26d内に挿入されるように、配置されている(図8参照)。各連結部材53は、バッグ本体26の挿通部34に挿通された状態で、一方の端部53a側を、アウタガーニッシュ7の裏面側に、ボルト等の取付手段(図符号省略)を利用して連結され、他方の端部53b側を、ケース23の底壁部23aに、ボルト等の取付手段(図符号省略)を利用して連結されることにより、アウタガーニッシュ7をフロントピラー本体2側となるアウタパネル3側に連結させる構成である(図3,11参照)。この連結部材53は、実施形態の場合、長さ寸法を、エアバッグ25の膨張完了時において、アウタガーニッシュ7の車幅方向側の両側の縁部7a,7bを、隆起部26b,26b(内側縦膨張部27,外側縦膨張部28)によって支持可能とし、かつ、エアバッグ25の円滑な膨張を阻害しない長さ寸法に、設定されている。なお、連結部材53は、挿通部34内に挿通された状態で、バッグ本体26とともに折り畳まれて、ケース23内に収納されることとなる(図3参照)。
【0027】
実施形態のエアバッグ装置Mでは、車両Vへの搭載後、インフレーター20が作動されれば、インフレーター20から吐出される膨張用ガスが、接続パイプ21を経て、各エアバッグ25のバッグ本体26内に流入することとなり、膨張するバッグ本体26が、アウタガーニッシュ7を押し上げるようにして、図1,2の二点鎖線及び図10,11に示すように、膨張を完了させることとなる。
【0028】
そして、実施形態のエアバッグ装置Mでは、エアバッグ25の膨張完了時に、膨張するエアバッグ25によって押し上げられたアウタガーニッシュ7が、エアバッグ25の前面側を凹ませて構成される凹部26aをまたぐように配置されることとなる。そのため、実施形態のエアバッグ装置Mでは、エアバッグ25の膨張完了時において歩行者をアウタガーニッシュ7によって受け止めた際に、凹部26aをまたぐように配置されるアウタガーニッシュ7が、車幅方向の両側の縁部7a,7b、換言すれば、車幅方向側(左右方向側)で離れた二点を、エアバッグ25において凹部26aの車幅方向の両側で隆起している隆起部26b,26bに、支持されることとなる。その結果、エアバッグ25の膨張完了時において、歩行者をアウタガーニッシュ7によって受け止めた際に、アウタガーニッシュ7をエアバッグ25によって安定して支持させることができて、アウタガーニッシュ7を、歩行者の衝撃エネルギーを吸収するように、的確に変形させることができる。また、アウタガーニッシュ7は、膨張を完了させたエアバッグ25において隆起部26b,26b間に配置される凹部26aの前面側を覆うように、配置されることとなることから、歩行者が、膨張を完了させたエアバッグ25において、相対的に厚さの薄い凹部26aの部位と干渉することを、抑制できる。そして、アウタガーニッシュ7から外れた領域では、エアバッグ25は、隆起部26b,26bとして、厚く膨張していることから、アウタガーニッシュ7から外れた領域で歩行者を受け止めることとなっても、厚く膨張している隆起部26b,26bによって、歩行者を的確に受け止めることができる。
【0029】
したがって、実施形態のエアバッグ装置Mでは、膨張するエアバッグ25により押し上げられたアウタガーニッシュ7によって、効率的に衝撃を緩和できて、アウタガーニッシュ7とエアバッグ25とによって歩行者を的確に保護することができる。
【0030】
また、実施形態のエアバッグ装置Mでは、膨張完了時のバッグ本体26に凹部26aを設け、この凹部26aを、アウタガーニッシュ7によって覆うことにより、バッグ本体26とアウタガーニッシュ7とによって歩行者を保護する構成であることから、凹部を設けず、断面略円形状に膨張する構成のエアバッグと略同等の保護性能を確保しつつ、凹部を設けない構成のエアバッグよりも容積を小さくすることができる。
【0031】
さらに、実施形態のエアバッグ装置Mでは、エアバッグ25の膨張完了時において、アウタガーニッシュ7車幅方向側の縁部7a,7bを、エアバッグ25の隆起部26b,26bにおいて、凹部26aから隆起している領域(換言すれば、各隆起部26bにおける頂部26c,26cよりも凹部26a側となる左右の内方側の領域)に、支持させる構成であることから、アウタガーニッシュ7が歩行者を受け止めて、バッグ本体26が変形する際にも、縁部7a,7bを、隆起部26b,26bによって、的確に安定して支持させることができる。なお、このような点を考慮しなければ、アウタガーニッシュの両縁を、隆起部において、頂部よりも左右の外方側となる領域で、支持させる構成としてもよい。
【0032】
また、実施形態のエアバッグ装置Mでは、エアバッグ25における凹部26a付近の領域に、アウタガーニッシュ7をフロントピラー本体2側に連結させる連結部材53を挿通可能な挿通部34が、形成されている。そのため、実施形態のエアバッグ装置Mでは、アウタガーニッシュ7をフロントピラー本体2側に連結させる連結部材53が、エアバッグ25貫通するように配置されることから、連結部材53がエアバッグ25に対して位置ずれすることを抑制できる。また、実施形態の場合、連結部材53は、エアバッグ25の長手方向(上下方向)に沿って複数個(実施形態の場合、3個)形成されるとともに、長さ寸法を、エアバッグ25の膨張完了時において、歩行者を受け止め前の状態において、アウタガーニッシュ7を、隆起部26bによって支持可能な寸法に、設定されている。そのため、長尺状のアウタガーニッシュ7を、長手方向の略全域にわたって、エアバッグ25に対してずれることなく、配置させることができる。そして、アウタガーニッシュ7が、車幅方向の両側の縁部7a,7b側を、長手方向(上下方向)の全域にわたって、エアバッグ25の各隆起部26b,26bに支持されることとなることから、歩行者を受け止めた際に、全域にわたってエアバッグ25に支持されるアウタガーニッシュ7を、一層的確に変形させることができ、歩行者の衝撃エネルギーを安定して吸収することができる。なお、このような点を考慮しなければ、エアバッグに、連結部材を挿通させる挿通部を設けなくともよく、アウタガーニッシュの車幅方向側の両縁をエアバッグの隆起部によって支持可能であれば、連結部材を、アウタガーニッシュの長手方向の両端側、若しくは、短手方向の縁部側において、エアバッグの膨張完了時に、エアバッグの膨張部位を迂回させるようにして、配置させる構成としてもよい。
【0033】
また、実施形態のエアバッグ装置Mでは、バッグ本体26は、内側縦膨張部27と外側縦膨張部28とを車幅方向側(左右方向側)で並設させた構成とされており、換言すれば、凹部と凹部の車幅方向の両側で隆起する隆起部と、を、膨張完了時の前面側のみならず、車両のボディ側となる後面側にも、配置させている構成である。そのため、実施形態のエアバッグ装置Mでは、バッグ本体26が、膨張完了時に、後面側を、車幅方向(左右方向)側で離れた2点において、フロントピラー1とフロントガラス9とによって支持されることとなり、バッグ本体26やアウタガーニッシュ7が歩行者を受け止めた際に、バッグ本体26を車体側の部材によって安定して支持させることができ、歩行者を一層的確に保護することができる。なお、このような点を考慮しなければ、凹部と隆起部とを、膨張完了時の前面側の部位のみに、配置させるように、エアバッグを構成してもよい。
【0034】
なお、実施形態では、エアバッグ25の膨張完了時に、アウタガーニッシュ7の縁部7a,7bが、エアバッグ25の隆起部26b,26bに支持される構成であるが、歩行者の受け止め時にアウタガーニッシュ7の縁部7a,7bを隆起部26b,26bに支持させる構成であれば、エアバッグ25の膨張完了時には、アウタガーニッシュ7の縁部7a,7bは、隆起部26b,26bと当接せず、隆起部26b,26bから僅かに浮いていてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1…フロントピラー、2…フロントピラー本体、7…アウタガーニッシュ、7a,7b…縁部、20…インフレーター、23…ケース、25…エアバッグ、26…バッグ本体、26a…凹部、26b…隆起部、27…内側縦膨張部、28…外側縦膨張部、30…隔壁部、30a…内側壁、30b…外側壁、31,32,33…縫合部位、34…挿通部、35…連通部、53…連結部材、V…車両、M…歩行者用エアバッグ装置。
図1
図2
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図4
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図7
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図10
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図12