特許第6241410号(P6241410)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6241410受信装置、受信方法、送信装置、及び、送信方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6241410
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】受信装置、受信方法、送信装置、及び、送信方法
(51)【国際特許分類】
   H04H 20/59 20080101AFI20171127BHJP
   H04N 21/238 20110101ALI20171127BHJP
   H04H 20/28 20080101ALI20171127BHJP
   H04H 60/42 20080101ALI20171127BHJP
   H04H 20/16 20080101ALI20171127BHJP
   H04B 1/16 20060101ALI20171127BHJP
   H04H 60/51 20080101ALI20171127BHJP
【FI】
   H04H20/59
   H04N21/238
   H04H20/28
   H04H60/42
   H04H20/16
   H04B1/16 Z
   H04H60/51
【請求項の数】20
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2014-241924(P2014-241924)
(22)【出願日】2014年11月28日
(65)【公開番号】特開2016-103781(P2016-103781A)
(43)【公開日】2016年6月2日
【審査請求日】2017年2月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 裕之
(72)【発明者】
【氏名】岡本 卓也
(72)【発明者】
【氏名】池田 保
【審査官】 前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−016993(JP,A)
【文献】 特開2013−074421(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0065377(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04H 20/59
H04B 1/16
H04H 20/16
H04H 20/28
H04H 60/42
H04H 60/51
H04N 21/238
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセグメントごとに伝送される各フレームで、n個(nは1以上の整数)の地域に対する第1の情報の配信を行う場合に、各セグメントにおいて前記第1の情報の配信を行う地域をまとめたグループであるエリアグループごとに、重複した地域が含まれるとともに、前記第1の情報の配信先の地域の順番が異なるようにして生成された前記フレームを、前記複数のセグメントごとに受信する受信部と、
前記第1の情報の配信先の地域に該当する場合に、前記フレームに含まれる前記第1の情報に基づいて、所定の処理を行う処理部と
を備える受信装置。
【請求項2】
各エリアグループにおいて、前記第1の情報の配信先の地域の順番は、他のエリアグループに対して、n個以上の地域がずらされている
請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記複数のセグメントは、3セグメントであり、
前記エリアグループごとの地域数をmとした場合に、前記第1の情報の配信先の地域の順番をずらすための地域数αを、
α=ceil(m/9)×3
により算出する(ただし、ceil[x]は、xの小数点以下を切り上げた整数の値を表している)
請求項2に記載の受信装置。
【請求項4】
前記第1の情報は、前記地域ごとの防災又は安全に関する防災安全情報であり、
前記処理部は、前記防災安全情報に基づいて、前記受信装置を起動させる
請求項3に記載の受信装置。
【請求項5】
前記3セグメントのうち、特定のセグメントでは、前記第1の情報と異なる第2の情報として、地震に関する地震動情報が配信され、
前記処理部は、前記地震動情報の配信先の地域に該当する場合、前記フレームに含まれる前記地震動情報に基づいて、前記受信装置を起動させる
請求項3に記載の受信装置。
【請求項6】
受信装置の受信方法において、
前記受信装置が、
複数のセグメントごとに伝送される各フレームで、n個(nは1以上の整数)の地域に対する第1の情報の配信を行う場合に、各セグメントにおいて前記第1の情報の配信を行う地域をまとめたグループであるエリアグループごとに、重複した地域が含まれるとともに、前記第1の情報の配信先の地域の順番が異なるようにして生成された前記フレームを、前記複数のセグメントごとに受信し、
前記第1の情報の配信先の地域に該当する場合に、前記フレームに含まれる前記第1の情報に基づいて、所定の処理を行う
ステップを含む受信方法。
【請求項7】
各エリアグループにおいて、前記第1の情報の配信先の地域の順番は、他のエリアグループに対して、n個以上の地域がずらされている
請求項6に記載の受信方法。
【請求項8】
前記複数のセグメントは、3セグメントであり、
前記エリアグループごとの地域数をmとした場合に、前記第1の情報の配信先の地域の順番をずらすための地域数αを、
α=ceil(m/9)×3
により算出する(ただし、ceil[x]は、xの小数点以下を切り上げた整数の値を表している)
請求項7に記載の受信方法。
【請求項9】
前記第1の情報は、前記地域ごとの防災又は安全に関する防災安全情報であり、
前記防災安全情報に基づいて、前記受信装置を起動させる
請求項8に記載の受信方法。
【請求項10】
前記3セグメントのうち、特定のセグメントでは、前記第1の情報と異なる第2の情報として、地震に関する地震動情報が配信され、
前記処理部は、前記地震動情報の配信先の地域に該当する場合、前記フレームに含まれる前記地震動情報に基づいて、前記受信装置を起動させる
請求項8に記載の受信方法。
【請求項11】
複数のセグメントごとに伝送される各フレームで、n個(nは1以上の整数)の地域に対する第1の情報の配信を行う場合に、各セグメントにおいて前記第1の情報の配信を行う地域をまとめたグループであるエリアグループごとに、重複した地域が含まれるとともに、前記第1の情報の配信先の地域の順番が異なるようにして、前記フレームを生成する生成部と、
前記複数のセグメントごとに、前記フレームを送信する送信部と
を備える送信装置。
【請求項12】
各エリアグループにおいて、前記第1の情報の配信先の地域の順番は、他のエリアグループに対して、n個以上の地域がずらされている
請求項11に記載の送信装置。
【請求項13】
前記複数のセグメントは、3セグメントであり、
前記エリアグループごとの地域数をmとした場合に、前記第1の情報の配信先の地域の順番をずらすための地域数αを、
α=ceil(m/9)×3
により算出する(ただし、ceil[x]は、xの小数点以下を切り上げた整数の値を表している)
請求項12に記載の送信装置。
【請求項14】
前記第1の情報は、前記地域ごとの防災又は安全に関する防災安全情報である
請求項13に記載の送信装置。
【請求項15】
前記3セグメントのうち、特定のセグメントでは、前記第1の情報と異なる第2の情報として、地震に関する地震動情報が配信される
請求項13に記載の送信装置。
【請求項16】
送信装置の送信方法において、
前記送信装置が、
複数のセグメントごとに伝送される各フレームで、n個(nは1以上の整数)の地域に対する第1の情報の配信を行う場合に、各セグメントにおいて前記第1の情報の配信を行う地域をまとめたグループであるエリアグループごとに、重複した地域が含まれるとともに、前記第1の情報の配信先の地域の順番が異なるようにして、前記フレームを生成し、
前記複数のセグメントごとに、前記フレームを送信する
ステップを含む送信方法。
【請求項17】
各エリアグループにおいて、前記第1の情報の配信先の地域の順番は、他のエリアグループに対して、n個以上の地域がずらされている
請求項16に記載の送信方法。
【請求項18】
前記複数のセグメントは、3セグメントであり、
前記エリアグループごとの地域数をmとした場合に、前記第1の情報の配信先の地域の順番をずらすための地域数αを、
α=ceil(m/9)×3
により算出する(ただし、ceil[x]は、xの小数点以下を切り上げた整数の値を表している)
請求項17に記載の送信方法。
【請求項19】
前記第1の情報は、前記地域ごとの防災又は安全に関する防災安全情報である
請求項18に記載の送信方法。
【請求項20】
前記3セグメントのうち、特定のセグメントでは、前記第1の情報と異なる第2の情報として、地震に関する地震動情報が配信される
請求項18に記載の送信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、受信装置、受信方法、送信装置、及び、送信方法に関し、特に、確実に、防災・安全情報を提供することができるようにした受信装置、受信方法、送信装置、及び、送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地上テレビジョン放送が、アナログ放送からデジタル放送に移行することに伴って発生する周波数帯(空き周波数帯)を再編して新たな用途に再配分する施策が実施され、周波数の有効活用が図られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような空き周波数帯を利用したサービスとして、VHF-Low(V-Low)マルチメディア放送がある。ここで、V-Lowマルチメディア放送とは、VHF(Very High Frequency)帯を利用したサービスであり、各地方の都道府県からなる地方ブロックごとに、地域情報や交通情報などが提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−244496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、V-Lowマルチメディア放送においては、緊急地震速報(以下、「地震動情報」ともいう)のほかに、例えば大雨や竜巻などの局地性の高い情報(以下、「防災・安全情報」という)を提供することが求められており、このような防災・安全情報を提供する場合には、地震動情報よりも細かい地域単位で提供されることが想定されている。
【0006】
しかしながら、防災・安全情報を地域単位で提供する場合における技術方式が確立されておらず、確実に防災・安全情報を提供するようにしたいという要請があった。
【0007】
本技術はこのような状況に鑑みてなされたものであり、確実に、防災・安全情報を提供することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術の第1の側面の受信装置は、複数のセグメントごとに伝送される各フレームで、n個(nは1以上の整数)の地域に対する第1の情報の配信を行う場合に、各セグメントにおいて前記第1の情報の配信を行う地域をまとめたグループであるエリアグループごとに、重複した地域が含まれるとともに、前記第1の情報の配信先の地域の順番が異なるようにして生成された前記フレームを、前記複数のセグメントごとに受信する受信部と、前記第1の情報の配信先の地域に該当する場合に、前記フレームに含まれる前記第1の情報に基づいて、所定の処理を行う処理部とを備える受信装置である。
【0009】
本技術の第1の側面の受信装置は、独立した装置であってもよいし、1つの装置を構成している内部ブロックであってもよい。また、本技術の第1の側面の受信方法は、上述した本技術の第1の側面の受信装置に対応する受信方法である。
【0010】
本技術の第1の側面の受信装置、及び、受信方法においては、複数のセグメントごとに伝送される各フレームで、n個(nは1以上の整数)の地域に対する第1の情報の配信を行う場合に、各セグメントにおいて前記第1の情報の配信を行う地域をまとめたグループであるエリアグループごとに、重複した地域が含まれるとともに、前記第1の情報の配信先の地域の順番が異なるようにして生成された前記フレームが、前記複数のセグメントごとに受信され、前記第1の情報の配信先の地域に該当する場合に、前記フレームに含まれる前記第1の情報に基づいて、所定の処理が行われる。
【0011】
本技術の第2の側面の送信装置は、複数のセグメントごとに伝送される各フレームで、n個(nは1以上の整数)の地域に対する第1の情報の配信を行う場合に、各セグメントにおいて前記第1の情報の配信を行う地域をまとめたグループであるエリアグループごとに、重複した地域が含まれるとともに、前記第1の情報の配信先の地域の順番が異なるようにして、前記フレームを生成する生成部と、前記複数のセグメントごとに、前記フレームを送信する送信部とを備える送信装置である。
【0012】
本技術の第2の側面の送信装置は、独立した装置であってもよいし、1つの装置を構成している内部ブロックであってもよい。本技術の第2の側面の送信方法は、上述した本技術の第2の側面の送信装置に対応する送信方法である。
【0013】
本技術の第2の側面の送信装置、及び、送信方法においては、複数のセグメントごとに伝送される各フレームで、n個(nは1以上の整数)の地域に対する第1の情報の配信を行う場合に、各セグメントにおいて前記第1の情報の配信を行う地域をまとめたグループであるエリアグループごとに、重複した地域が含まれるとともに、前記第1の情報の配信先の地域の順番が異なるようにして、前記フレームが生成され、前記複数のセグメントごとに、前記フレームが送信される。
【発明の効果】
【0014】
本技術の第1の側面、及び、第2の側面によれば、確実に、防災・安全情報を提供することができる。
【0015】
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本技術を適用した伝送システムの一実施の形態の構成を示す図である。
図2】V-Lowマルチメディア放送における周波数の割り当てを示す図である。
図3】セグメント構造の例を示す図である。
図4】緊急時における防災・安全情報の配信の例を示す図である。
図5】防災・安全情報に応じた自動起動の例を示す図である。
図6】配信方式1を用いた場合の配信方法を説明する図である。
図7】配信方式1を用いた場合における各地域での受信装置の受信状況を示す図である。
図8】配信方式2を用いた場合の配信方法を説明する図である。
図9】配信方式2を用いた場合における各地域での受信装置の受信状況を示す図である。
図10】配信方式2の問題点を説明する図である。
図11】配信方式2を用いた場合における各地域での受信装置の受信状況を示す図である。
図12】配信方式2の問題点を説明する図である。
図13】配信方式2を用いた場合における各地域での受信装置の受信状況を示す図である。
図14】配信方式3を用いた場合の配信方法を説明する図である。
図15】配信方式3を用いた場合における各地域での受信装置の受信状況を示す図である。
図16】エリアグループに属する地域群の例を示す図である。
図17】配信方式3の改良を用いた場合の配信方法を説明する図である。
図18】配信方式3の改良の具体的な運用例を説明する図である。
図19】配信方式3の改良の具体的な運用例を説明する図である。
図20】配信方式3の改良の具体的な運用例を説明する図である。
図21】基本的な送信装置の構成例を示す図である。
図22】配信方式3の改良に対応した送信装置の構成例を示す図である。
図23】配信方式3の改良に対応した受信装置の構成例を示す図である。
図24】送信処理を説明するフローチャートである。
図25】受信処理を説明するフローチャートである。
図26】セグメント0を特別に処理する場合の自動起動処理を説明するフローチャートである。
図27】地域判定処理を説明するフローチャートである。
図28】自動起動処理を説明するフローチャートである。
図29】コンピュータの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本技術の実施の形態について説明する。なお、説明は以下の順序で行うものとする。
【0018】
1.システムの構成
2.V-Lowマルチメディア放送の概要
3.運用例
4.各装置の構成
5.各装置で実行される処理の流れ
6.コンピュータの構成
【0019】
<1.システムの構成>
【0020】
図1は、本技術を適用した伝送システムの一実施の形態の構成を示す図である。なお、システムとは、複数の装置が論理的に集合した物をいい、各構成の装置が同一筐体中にあるか、否かは問わない。
【0021】
図1において、伝送システム1は、送信装置10と受信装置20から構成される。
【0022】
送信装置10は、例えば、コンテンツの送信(デジタル放送やデータ伝送)を行う。すなわち、送信装置10は、例えばコンテンツとしてのビデオデータやオーディオデータ、データ放送などの送信の対象である対象データのストリームを、デジタル放送信号として、伝送路30を介して送信(伝送)する。
【0023】
受信装置20は、送信装置10から伝送路30を介して送信されてくるデジタル放送信号を受信し、元のストリームに復元して出力する。例えば、受信装置20は、コンテンツとしてのビデオデータやオーディオデータ、データ放送を出力する。
【0024】
<2.V-Lowマルチメディア放送の概要>
【0025】
V-Lowマルチメディア放送は、VHF帯を利用したサービスであり、各地方の都道府県からなる地方ブロックごとに、地域情報や交通情報などが提供される。図2に示すように、V-Lowマルチメディア放送では、99MHz〜108MHzのうち、99MHz〜103.5MHzと103.5MHz〜108MHzの各々9セグメントを地方ブロック単位で割り当てている。具体的には、99MHz〜103.5MHzの9セグメントは、東北地域、東海・北陸地域、及び、中国・四国地域に割り当てられている。また、103.5MHz〜108MHzの9セグメントは、北海道地域、関東・甲信越地域、近畿地域、及び、九州・沖縄地域に割り当てられている。
【0026】
なお、9セグメントは、3セグメント形式のOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)フレームと、1セグメント形式のOFDMフレームを組み合わせたものから構成され、ISDB-TSB(Integrated Services Digital Broadcasting - Terrestrial for Sound Broadcasting)方式により伝送される。
【0027】
図3は、セグメント構造の例を示す図である。図3Aにおいては、2つの3セグメント形式のOFDMフレームと、3つの1セグメント形式のOFDMフレームとが組み合わされた構造を示している。また、図3Bにおいては、3つの3セグメント形式のOFDMフレームが組み合わされた構造を示している。
【0028】
ここで、図4に示すように、V-Lowマルチメディア放送では、平時は、各コンテンツプロバイダにより提供される交通情報や音楽番組等のコンテンツが放送されるが、緊急時の場合には、自治体等から要請のある、大雨・洪水情報や竜巻情報等の防災・安全情報を優先して放送する。その場合、ソフトウェア事業者やハードウェア事業者は、自治体等からの要請に応じて、防災・安全情報の配信を行う。
【0029】
ここでは、送信装置10が、AC(Auxiliary Channel)信号により自動起動信号を伝送する。受信装置20は、中継局40を介して送信装置10から送信されてくるAC信号を受信することで、自動起動される。また、送信装置10によって、防災・安全情報の詳細がコンテンツとして配信されるので、受信装置20は、例えば、スピーカから音声を出力したり、表示部に文字列を表示したり、点灯部を光らせることで、防災・安全情報を受信したことをユーザに知らせることができる。
【0030】
また、受信装置20において、受信している地域(例えば市町村単位等の地域)をあらかじめプリセット(登録)しておくことで、特定の地域に限定して、受信装置20を自動起動させることができる。例えば、図5に示すように、受信装置20Aに対してA市で受信していることをプリセットし、受信装置20Bに対してB市で受信していることをプリセットし、受信装置20Cに対してC市で受信していることをプリセットした場合を想定する。
【0031】
この場合において、送信装置10によって、A市向けの防災・安全情報とB市向けの防災・安全情報が送信されたとき、受信装置20Aは、中継局40を介して送信装置10からのA市向けの防災・安全情報を受信して自動起動する。同様に、受信装置20Bは、中継局40を介して送信装置10からのB市向けの防災・安全情報を受信して自動起動する。一方、受信装置20Cは、送信装置10からC市向けの防災・安全情報が送信されていないため、自動起動しないことになる。
【0032】
このように、V-Lowマルチメディア放送では、大雨・洪水情報や竜巻情報等の防災・安全情報を伝送するために、緊急地震速報(地震動情報)の対象地域よりも細かい地域分割が行われるようにしている。
【0033】
なお、3セグメント形式のOFDMフレームの各セグメントで伝送されるAC信号を用いて、受信装置20を自動起動させることが可能であって、3つの3セグメント形式のOFDMフレームを用いることで、一度に最大で9つのセグメントでAC信号を伝送することが可能となる。また、受信装置20が、スマートフォンや携帯電話機等のモバイル端末である場合や、車両に搭載される端末である場合には、GPS(Global Positioning System)により位置情報を取得することにより、受信装置20が位置する地域において、防災・安全情報が発令(送信)されたときに、自動起動されるようにしてもよい。
【0034】
<3.運用例>
【0035】
ところで、防災・安全情報は、セグメント0,1,2の3セグメントに、それぞれ異なる情報をのせて伝送することが可能であることが規定されている。また、緊急地震速報(地震動情報)は、セグメント0のみで伝送されることが規定されている。以下、これらの規定を考慮した防災・安全情報の配信方式について説明する。
【0036】
(配信方式1)
図6は、配信方式1を用いた場合の配信方法を説明する図である。
【0037】
図6において、横軸は、周波数を表している。また、図中の四角は、各セグメントのOFDMフレーム(以下、単に「フレーム」とも称する)を表しており、フレームの中に記述された「A」、「B」、「C」のアルファベットは、防災・安全情報の配信先の地域(都市)を表している。また、図6においては、説明の便宜上、3つのセグメントのうち、左側のセグメントを「左セグメント」と称し、中央のセグメントを「中央セグメント」と称し、右側のセグメントを「右セグメント」と称して説明する。なお、これらの関係は後述する他の図でも同様とされる。
【0038】
図6において、送信装置10は、左セグメントを利用してA市向けの防災・安全情報を配信し、中央セグメントを利用してB市向けの防災・安全情報を配信し、右セグメントを利用してC市向けの防災・安全情報を配信している。
【0039】
この場合、図7に示すように、A市で受信していることをプリセット(登録)された受信装置20Aと、B市で受信していることをプリセットされた受信装置20Bと、C市で受信していることをプリセットされた受信装置20Cは、送信装置10から送信されてくる防災・安全情報を、中継局40を介して受信することができる。したがって、受信装置20A乃至受信装置20Cは、防災・安全情報に従い、自動起動することになる。
【0040】
一方、D市乃至L市で受信していることをプリセットされた受信装置20D乃至受信装置20Lは、送信装置10からの防災・安全情報を受信することができないため、自動起動することができない。
【0041】
このように、配信方式1を用いた場合、セグメント数に対応して、最大で3つの地域(都市)には、防災・安全情報を配信することができるが、セグメント数を超える4以上の地域(都市)に対して防災・安全情報を配信することができない。
【0042】
(配信方式2)
図8は、配信方式2を用いた場合の配信方法を説明する図である。
【0043】
図8においては、セグメントごとに、複数のフレームが図示されているが、各セグメントでは、フレームが順次送信されていることを表している。
【0044】
また、図8においては、各セグメントが防災・安全情報の配信を行う地域をまとめて、エリアグループとして定義している。すなわち、左セグメントにより防災・安全情報が配信される地域を、「エリアグループ1」とし、中央セグメントにより防災・安全情報が配信される地域を、「エリアグループ2」とし、右セグメントにより防災・安全情報が配信される地域を、「エリアグループ3」としている。なお、図8や以降の図では、エリアグループを識別するための数字を円で囲って、他の数字と区別できるように表している。
【0045】
送信装置10は、左セグメントを利用して、エリアグループ1に属する地域に対し、フレームごとに配信先の地域を変更しながら、防災・安全情報を配信する。図8の例では、左セグメントでは、エリアグループ1に属する地域1−1乃至1−4に対して、異なるフレームにより、防災・安全情報を配信している。また、中央セグメントでは、エリアグループ2に属する地域2−1乃至2−4に対して、異なるフレームにより、防災・安全情報を配信している。さらに、右セグメントでは、エリアグループ3に属する地域3−1乃至3−4に対して、異なるフレームにより、防災・安全情報を配信している。
【0046】
この場合、図9に示すように、エリアグループ1に属する地域1−1乃至1−4で受信していることをプリセット(登録)された受信装置20−11乃至20−14は、送信装置10から送信されてくる防災・安全情報を、中継局40を介して受信することができる。したがって、受信装置20−11乃至20−14は、防災・安全情報に従い、自動起動することになる。
【0047】
また、エリアグループ2に属する地域2−1乃至2−4で受信していることをプリセットされた受信装置20−21乃至20−24は、送信装置10から送信されてくる防災・安全情報を、中継局40を介して受信することができる。したがって、受信装置20−21乃至20−24は、防災・安全情報に従い、自動起動することになる。
【0048】
また、エリアグループ3に属する地域3−1乃至3−4で受信していることをプリセットされた受信装置20−31乃至20−34は、送信装置10から送信されてくる防災・安全情報を、中継局40を介して受信することができる。したがって、受信装置20−31乃至20−34は、防災・安全情報に従い、自動起動することになる。
【0049】
このように、配信方式2を用いた場合、エリアグループを定義することで、各エリアグループに属する地域に対し、エリアグループに対応したセグメントを利用して、フレームごとに配信先の地域を変更しながら、防災・安全情報を配信することが可能となるので、全ての地域(都市)に対して防災・安全情報を配信することができる。
【0050】
(配信方式2の問題点)
しかしながら、配信方式2を用いた場合、次の問題点が想定される。すなわち、図10に示すように、ワンセグメント放送に対応した受信装置20において、例えば左セグメントのみを受信している場合、中央セグメントと右セグメントは受信していないため、エリアグループ2とエリアグループ3に属する地域に対して配信される防災・安全情報を受信することができない。
【0051】
この場合、図11に示すように、エリアグループ1に属する地域1−1乃至1−4で受信していることがプリセット(登録)され、かつ、左セグメントのみを受信している受信装置20−11乃至20−14は、送信装置10から送信されてくる防災・安全情報を、中継局40を介して受信することができる。したがって、受信装置20−11乃至20−14は、防災・安全情報に従い、自動起動することになる。
【0052】
また、エリアグループ2に属する地域2−1乃至2−4で受信していることがプリセットされ、かつ、左セグメントのみを受信している受信装置20−21乃至20−24は、送信装置10から送信されてくる防災・安全情報を、中継局40を介して受信することができないため、自動起動することができない。同様に、エリアグループ3に属する地域3−1乃至3−4で受信していることがプリセットされ、かつ、左セグメントのみを受信している受信装置20−31乃至20−34は、送信装置10から送信されてくる防災・安全情報を、中継局40を介して受信することができないため、自動起動することができない。
【0053】
このように、配信方式2を用いた場合、ワンセグメント放送に対応した受信装置20においては、防災・安全情報を受信することができない場合がある。
【0054】
また、図12に示すように、受信装置20において、防災・安全情報を受信中に、地震動情報(緊急地震速報)が割り込んだ場合、例えば中央セグメントが地震動情報により占有されるため、エリアグループ2に属する地域に対して、防災・安全情報を配信することができない。
【0055】
この場合、図13に示すように、エリアグループ1に属する地域1−1乃至1−4で受信していることがプリセット(登録)されている、受信装置20−11乃至20−14は、送信装置10から送信されてくる防災・安全情報を、中継局40を介して受信することができる。したがって、受信装置20−11乃至20−14は、防災・安全情報に従い、自動起動することになる。
【0056】
また、エリアグループ2に属する地域2−1乃至2−4で受信していることがプリセットされている、受信装置20−21乃至20−24は、送信装置10から送信されてくる防災・安全情報を、中継局40を介して受信することができないため、自動起動することができない。
【0057】
また、エリアグループ3に属する地域3−1乃至3−4で受信していることがプリセットされている、受信装置20−31乃至20−34は、送信装置10から送信されてくる防災・安全情報を、中継局40を介して受信することができる。したがって、受信装置20−31乃至20−34は、防災・安全情報に従い、自動起動することになる。
【0058】
このように、配信方式2を用いた場合、受信装置20において、防災・安全情報を受信中に、地震動情報(緊急地震速報)が割り込んでしまうと、防災・安全情報を受信することができない場合がある。
【0059】
(配信方式3)
図14は、配信方式3を用いた場合の配信方法を説明する図である。
【0060】
配信方式3は、上述した配信方式2の問題点を解決することができる配信方法である。図14においては、各セグメントにおいて、フレームごとに配信先の地域を変化させながら、全ての地域に対し、防災・安全情報を配信している。
【0061】
ここでは、例えば、配信対象となる地域が、A市乃至L市の12地域(都市)である場合を想定する。送信装置10は、左セグメントを利用して、フレームごとに、A市から順に、B市、C市、D市のように配信先の地域(都市)を変化させながら、J市、K市、L市まで、全ての地域(都市)に対して繰り返し、防災・安全情報を配信する。
【0062】
また、送信装置10は、中央セグメントを利用して、フレームごとに、B市から順に、C市、D市、E市のように配信先の地域(都市)を変化させならが、K市、L市、A市まで、全ての地域(都市)に対して繰り返し、防災・安全情報を配信する。さらに、送信装置10は、右セグメントを利用して、フレームごとに、C市から順に、D市、E市、F市のように配信先の地域(都市)を変化させながら、L市、A市、B市まで、全ての地域(都市)に対して繰り返し、防災・安全情報を配信する。
【0063】
この場合、図15に示すように、A市で受信していることをプリセット(登録)された受信装置20Aは、左セグメント、中央セグメント、及び、右セグメントの3セグメントのうち、いずれかのセグメントによって、送信装置10から送信されてくる防災・安全情報を、中継局40を介して受信することができる。したがって、受信装置20Aは、防災・安全情報に従い、自動起動することになる。
【0064】
同様に、B市乃至F市で受信していることをプリセットされた受信装置20B乃至受信装置20Fは、3セグメントのうち、いずれかのセグメントによって、送信装置10から送信されてくる防災・安全情報を、中継局40を介して受信することができる。したがって、受信装置20B乃至受信装置20Fは、防災・安全情報に従い、自動起動することになる。
【0065】
このように、配信方式3を用いた場合、各セグメントでは、配信対象となる地域群(例えばA市乃至L市)は同一となるが、その配信の順番が異なることになるので、全ての地域(都市)に対して防災・安全情報を配信することができる。
【0066】
また、配信方式3を用いた場合には、各セグメントごとに全ての地域(都市)に対し、防災・安全情報を配信することになるので、例えば、ワンセグメント放送に対応した受信装置20において、左セグメントのみを受信している場合でも、左セグメントによって、送信装置10から送信されてくる防災・安全情報を受信することができる。また、例えば、防災・安全情報を受信中に、地震動情報(緊急地震速報)が割り込んで、3セグメントのうちのいずれかのセグメント(例えば中央セグメント)が地震動情報により占有された場合でも、他のセグメント(例えば、左セグメントや右セグメント)によって、送信装置10から送信されてくる防災・安全情報を受信することができる。
【0067】
(配信方式3の改良)
ところで、上述した配信方式2では、各セグメントが配信を行う地域をまとめて、エリアグループとして定義したが、このエリアグループの概念を配信方式3に取り入れることができる。この配信方式3の改良では、各エリアグループに全ての地域(都市)が属するようにして、エリアグループごとに、フレームごとに配信先の地域(都市)を変化させながら、全ての地域に対し、防災・安全情報が配信されるようにする。ただし、配信方式3の改良では、各エリアグループに属している地域群(都市群)は同一となるが(重複するが)、その配信先の地域の順番が異なることになる。
【0068】
図16は、エリアグループに属する地域群(都市群)の例を示す図である。
【0069】
図16において、エリアグループ1には、A市、B市、C市、D市、E市、F市、G市、H市、I市、J市、K市、L市が属しており、その並び順が防災・安全情報の配信を行う順番とされる。また、エリアグループ2には、D市、E市、F市、G市、H市、I市、J市、K市、L市、A市、B市、C市が属しており、その並び順が防災・安全情報の配信を行う順番とされる。さらに、エリアグループ3には、G市、H市、I市、J市、K市、L市、A市、B市、C市、D市、E市、F市が属しており、その並び順が防災・安全情報の配信を行う順番とされる。
【0070】
ここで、例えば、1セグメントの1フレーム当たりに配信可能な地域数が3地域であるとすると、図16に示したように、各エリアグループにおける地域を、3地域以上ずらして、同一の地域群が属するようにする。これにより、各セグメントにおける、防災・安全情報の配信先の地域をずらすことができる。
【0071】
図17は、配信方式3の改良を用いた場合の配信方法を説明する図である。
【0072】
図17においては、図16のエリアグループ1に属する地域群(都市群)に防災・安全情報の配信を行うセグメントを、「セグメント0」とし、図16のエリアグループ2に属する地域群(都市群)に防災・安全情報の配信を行うセグメントを、「セグメント1」とし、図16のエリアグループ3に属する地域群(都市群)に防災・安全情報の配信を行うセグメントを、「セグメント2」としている。
【0073】
図17において、送信装置10は、セグメント0乃至セグメント2を利用して、フレームごとに、3地域単位で、防災・安全情報の配信先の地域を変化させながら、全ての地域に対して繰り返し、防災・安全情報を配信する。なお、ここでは、説明の便宜上、A市、B市、及びC市の3地域(都市)のグループを「サブグループ1」、D市、E市、及びF市の3地域(都市)のグループを「サブグループ2」、G市、H市、及びI市の3地域(都市)のグループを「サブグループ3」、J市、K市、及びL市の3地域(都市)のグループを「サブグループ4」と称して説明する。
【0074】
具体的には、セグメント0において、1番目のフレームの配信先の地域をサブグループ1(A市、B市、C市)とし、2番目のフレームの配信先の地域をサブグループ2(D市、E市、F市)とし、3番目のフレームの配信先の地域をサブグループ3(G市、H市、I市)とし、4番目のフレームの配信先の地域をサブグループ4(J市、K市、L市)として、防災・安全情報が配信先に順次配信されるようにする。また、これらの4つのフレームを伝送することで、全ての地域に対する防災・安全情報の配信が完了すると、先頭のサブグループ1に戻り、その後、サブグループ1乃至サブグループ4に対する防災・安全情報の配信が繰り返される。
【0075】
また、セグメント1において、1番目のフレームの配信先の地域をサブグループ2(D市、E市、F市)とし、2番目のフレームの配信先の地域をサブグループ3(G市、H市、I市)とし、3番目のフレームの配信先の地域をサブグループ4(J市、K市、L市)とし、4番目のフレームの配信先の地域をサブグループ1(A市、B市、C市)として、防災・安全情報が配信先に順次配信されるようにする。また、これらの4つのフレームを伝送することで、全ての地域に対する防災・安全情報の配信が完了すると、先頭のサブグループ2に戻り、その後、サブグループ2乃至サブグループ1に対する防災・安全情報の配信が繰り返される。
【0076】
さらに、セグメント2において、1番目のフレームの配信先の地域をサブグループ3(G市、H市、I市)とし、2番目のフレームの配信先の地域をサブグループ4(J市、K市、L市)とし、3番目のフレームの配信先の地域をサブグループ1(A市、B市、C市)とし、4番目のフレームの配信先の地域をサブグループ2(D市、E市、F市)として、防災・安全情報が配信先に順次配信されるようにする。また、これらの4つのフレームを伝送することで、全ての地域に対する防災・安全情報の配信が完了すると、先頭のサブグループ3に戻り、その後、サブグループ3乃至サブグループ2に対する防災・安全情報の配信が繰り返される。
【0077】
このように、配信方式3の改良を用いた場合、各セグメントでは、配信対象となる地域は重複しているが、その配信先の地域の順番が異なることになるので、全ての地域(都市)に対して防災・安全情報を配信することができる。
【0078】
また、配信方式3の改良を用いた場合には、各セグメントごとに全ての地域(都市)に対し、防災・安全情報を配信することになるので、例えば、ワンセグメント放送に対応した受信装置20において、セグメント1のみを受信している場合でも、セグメント1によって、送信装置10から送信されてくる防災・安全情報を受信することができる。また、例えば、防災・安全情報を受信中に、地震動情報(緊急地震速報)が割り込んで、3セグメントのうちのいずれかのセグメント(例えばセグメント0)が地震動情報により占有された場合でも、他のセグメント(例えば、セグメント1やセグメント2)によって、送信装置10から送信されてくる防災・安全情報を受信することができる。
【0079】
なお、上述した配信方式3の改良において、1セグメントの1フレーム当たりに配信可能な地域数が3地域である場合を例示したが、1セグメントの1フレーム当たりに配信可能な地域数は3地域に限定されず、n個(nは1以上の整数)の地域とすることができる。すなわち、1セグメントの1フレーム当たりに配信可能な地域数が、n個(nは1以上の整数)の地域である場合には、エリアグループごとに同一の地域群(重複した地域)が属するようにするとともに、各エリアグループに属する地域群における地域の順番をn以上ずらして配置されるようにすればよい。
【0080】
また、上述した配信方式3の改良においては、エリアグループごとに、同一のサブグループがずらして配置される場合を説明したが、各エリアグループでは、例えば、サブグループに属する地域をランダムに入れ替えるなどして配置されるようにしてもよい。要は、エリアグループごとに、重複した地域(同一の地域群)が含まれるとともに、防災・安全情報の配信先の地域の順番が異なるようにされていればよい。
【0081】
例えば、A市乃至I市に対して防災・安全情報の配信を行う場合に、セグメント0においては、サブグループ1−1(A市、B市、C市)と、サブグループ2−1(D市、E市、F市)と、サブグループ3−1(G市、H市、I市)に対する防災・安全情報の配信が繰り返されるようにする。また、セグメント1においては、サブグループ1−2(A市、E市、I市)と、サブグループ2−2(B市、F市、G市)と、サブグループ3−2(C市、D市、H市)に対する防災・安全情報の配信が繰り返されるようにする。さらに、セグメント2においては、サブグループ1−3(A市、F市、H市)と、サブグループ2−3(B市、D市、I市)と、サブグループ3−3(C市、E市、G市)に対する防災・安全情報の配信が繰り返されるようにする。
【0082】
この場合、エリアグループ1におけるサブグループ1−1乃至サブグループ3−1と、エリアグループ2におけるサブグループ1−2乃至サブグループ3−2と、エリアグループ3におけるサブグループ1−3乃至サブグループ3−3では、各サブグループに属する地域がランダムに入れ替えられているが、各エリアグループには重複した地域(同一の地域群)が含まれている。そのため、ワンセグメント放送に対応した受信装置20が用いられる場合や、地震動情報により特定のセグメントが占有された場合にも対応することができる。
【0083】
(配信方式3の改良の具体的な運用例)
次に、配信方式3の改良の具体的な運用例を説明する。
【0084】
ここで、エリアグループごとの地域数をmとした場合、防災・安全情報の配信先の地域の順番をずらすための地域数αは、次の式(1)により算出することができる。ただし、式(1)において、ceil[x]は、xの小数点以下を切り上げた整数の値を表している。
【0085】
α=ceil(m/9)×3 ・・・(1)
【0086】
そして、例えば、3セグメント形式のOFDMフレームで、m個の地域に対する防災・安全情報の配信を行う場合、セグメント0乃至セグメント2に対応するエリアグループ1乃至エリアグループ3に対して、m個の地域を、式(1)により算出されたα地域ずつ順番をずらして割り当てるようにする。
【0087】
例えば、A市乃至X市の24都市(m=24)に対して防災・安全情報の配信を行う場合、上述した式(1)を用いることで、地域の順番をずらすための地域数αは、ceil(24/9)×3=9(地域)であると算出される。
【0088】
図18に示すように、エリアグループ1として、A市、B市、C市、D市、E市、F市、G市、H市、I市、J市、K市、L市、M市、N市、O市、P市、Q市、R市、S市、T市、U市、V市、W市、X市が属しており、セグメント0において、その順番で防災・安全情報の配信が行われる場合には、エリアグループ2における同一の地域群は、その順番が9地域(都市)ずれて配置されることになる。具体的には、エリアグループ2には、J市、K市、L市、M市、N市、O市、P市、Q市、R市、S市、T市、U市、V市、W市、X市、A市、B市、C市、D市、E市、F市、G市、H市、I市が属しており、その並び順が防災・安全情報の配信を行う順番とされる。
【0089】
また、エリアグループ3における同一の地域群は、その順番が、エリアグループ2に配置された地域群から9地域(都市)ずれて配置されることになる。具体的には、エリアグループ3には、S市、T市、U市、V市、W市、X市、A市、B市、C市、D市、E市、F市、G市、H市、I市、J市、K市、L市、M市、N市、O市、P市、Q市、R市が属しており、その並び順が防災・安全情報の配信を行う順番とされる。
【0090】
この場合において、送信装置10は、セグメント0乃至セグメント2を利用して、フレームごとに、3地域単位で、防災・安全情報の配信先の地域を変化させながら、全ての地域に対して繰り返し、防災・安全情報を配信する。
【0091】
なお、ここでは、説明の便宜上、上述のサブグループ1(A市、B市、C市)、サブグループ2(D市、E市、F市)、サブグループ3(G市、H市、I市)、及び、サブグループ4(J市、K市、L市)に加えて、M市、N市、及びO市の3地域(都市)のグループを「サブグループ5」、P市、Q市、及びR市の3地域(都市)のグループを「サブグループ6」、S市、T市、及びU市の3地域(都市)のグループを「サブグループ7」、V市、W市、及びX市の3地域(都市)のグループを「サブグループ8」として説明する。
【0092】
図19に示すように、セグメント0においては、1番目のフレームの配信先の地域がサブグループ1(A市、B市、C市)とされ、2番目のフレームの配信先の地域がサブグループ2(D市、E市、F市)とされ、3番目のフレームの配信先の地域がサブグループ3(G市、H市、I市)とされ、4番目のフレームの配信先の地域がサブグループ4(J市、K市、L市)とされ、防災・安全情報が配信先に順次配信されることになる。
【0093】
また、セグメント0においては、5番目のフレームの配信先の地域がサブグループ5(M市、N市、O市)とされ、6番目のフレームの配信先の地域がサブグループ6(P市、Q市、R市)とされ、7番目のフレームの配信先の地域がサブグループ7(S市、T市、U市)とされ、8番目のフレームの配信先の地域がサブグループ8(V市、W市、X市)とされ、防災・安全情報が配信先に順次配信されることになる。そして、セグメント0において、これらの8つのフレームを伝送することで、全ての地域に対する防災・安全情報の配信が完了すると、先頭のサブグループ1に戻り、その後、サブグループ1乃至サブグループ8に対する防災・安全情報の配信が繰り返される。
【0094】
セグメント1において、エリアグループ2における地域群は、エリアグループ1における地域群に対してその順番が9地域ずらして配置されているので、1番目のフレームの配信先の地域がサブグループ4(J市、K市、L市)とされる。そして、セグメント1においては、2番目のフレームの配信先の地域がサブグループ5(M市、N市、O市)とされ、3番目のフレームの配信先の地域がサブグループ6(P市、Q市、R市)とされ、4番目のフレームの配信先の地域がサブグループ7(S市、T市、U市)とされ、防災・安全情報が配信先に順次配信されることになる。
【0095】
また、セグメント1においては、5番目のフレームの配信先の地域がサブグループ8(V市、W市、X市)とされ、6番目のフレームの配信先の地域がサブグループ1(A市、B市、C市)とされ、7番目のフレームの配信先の地域がサブグループ2(D市、E市、F市)とされ、8番目のフレームの配信先の地域がサブグループ3(G市、H市、I市)とされ、防災・安全情報が配信先に順次配信されることになる。そして、セグメント1において、これらの8つのフレームを伝送することで、全ての地域に対する防災・安全情報の配信が完了すると、先頭のサブグループ4に戻り、その後、サブグループ4乃至サブグループ3に対する防災・安全情報の配信が繰り返される。
【0096】
セグメント2において、エリアグループ3における地域群は、エリアグループ2における地域群に対してその順番が9地域ずらして配置(エリアグループ1における地域群に対してその順番が18地域ずらして配置)されているので、1番目のフレームの配信先の地域がサブグループ7(S市、T市、U市)とされる。そして、セグメント2においては、2番目のフレームの配信先の地域がサブグループ8(V市、W市、X市)とされ、3番目のフレームの配信先の地域がサブグループ1(A市、B市、C市)とされ、4番目のフレームの配信先の地域がサブグループ2(D市、E市、F市)とされ、防災・安全情報が配信先に順次配信されることになる。
【0097】
また、セグメント2においては、5番目のフレームの配信先の地域がサブグループ3(G市、H市、I市)とされ、6番目のフレームの配信先の地域がサブグループ4(J市、K市、L市)とされ、7番目のフレームの配信先の地域がサブグループ5(M市、N市、O市)とされ、8番目のフレームの配信先の地域がサブグループ6(P市、Q市、R市)とされ、防災・安全情報が配信先に順次配信されることになる。そして、セグメント2において、これらの8つのフレームを伝送することで、全ての地域に対する防災・安全情報の配信が完了すると、先頭のサブグループ7に戻り、その後、サブグループ7乃至サブグループ6に対する防災・安全情報の配信が繰り返される。
【0098】
このように、配信方式3の改良においては、エリアグループごとに、上述の式(1)を適用して得られる9地域ずつ順番をずらして、防災・安全情報の配信が行われるようにすることで、3セグメントを受信可能な受信装置20では、セグメント0乃至セグメント2の3セグメントで伝送されるフレームをそれぞれ、3フレーム分ずつ取得できれば、送信装置10から送信されてくる、全ての地域に対する防災・安全情報を受信することができる。すなわち、3セグメントを受信可能な受信装置20において、A市乃至X市のうち、いずれかの地域で受信していることがプリセット(登録)されている場合、セグメント0乃至セグメント2で伝送されるフレームをそれぞれ、3フレーム分取得するまでの間に、自身にプリセットされた地域に対して配信された防災・安全情報を取得することができる。
【0099】
また、ワンセグメント放送に対応した(1セグメントを受信可能な)受信装置20においては、セグメント0乃至セグメント2の3セグメントのうち、いずれかのセグメントで伝送されるフレームを、8フレーム分取得できれば、送信装置10から送信されてくる、全ての地域に対する防災・安全情報を受信することができる。すなわち、1セグメントを受信可能な受信装置20において、A市乃至X市のうち、いずれかの地域で受信していることがプリセット(登録)されている場合、セグメント0乃至セグメント2のいずれかのセグメントで伝送されるフレームを、8フレーム分取得するまでの間に、自身にプリセットされた地域に対して配信された防災・安全情報を取得することができる。
【0100】
さらに、図20に示すように、3セグメントを受信可能な受信装置20では、防災・安全情報を受信中に、地震動情報(緊急地震速報)が割り込んで、セグメント0乃至セグメント2の3セグメントのうちのいずれかのセグメント(例えばセグメント0)が地震動情報により占有された場合でも、他のセグメント(例えば、セグメント1やセグメント2)で伝送されるフレームを、5フレーム分取得できれば、送信装置10から送信されてくる、全ての地域に対する防災・安全情報を受信することができる。すなわち、3セグメントを受信可能な受信装置20において、A市乃至X市のうち、いずれかの地域で受信していることがプリセット(登録)されている場合、3セグメントのうち、地震動情報により占有されていない2つのセグメントで伝送されるフレームをそれぞれ5フレーム分取得するまでの間に、自身にプリセットされた地域に対して配信された防災・安全情報を取得することができる。これにより、受信装置20では、地震動情報と防災・安全情報の両方を受信することができる。
【0101】
なお、上述した配信方式3の改良においては、3セグメントでフレームを伝送する場合を例示したが、セグメント数は、3セグメントに限らず、2以上の任意のセグメント数を利用した放送に適用することができる。ただし、その場合であっても、セグメント数に応じたエリアグループが定義されることになる。
【0102】
<4.各装置の構成>
【0103】
(基本的な送信装置の構成例)
図21は、図1の送信装置10の構成例を示す図である。なお、ここでは、まず、基本的な送信装置10A(図21)の構成例を説明してから、配信方式3の改良に対応した送信装置10B(図22)の構成例を説明する。
【0104】
図21において、送信装置10Aは、TS再多重部111、符号化部112、階層分割部113、エネルギー拡散部114、遅延補正部115、バイトインターリーバ116、畳込み符号化部117、キャリア変調部118、階層合成部119、時間インターリーバ120、周波数インターリーバ121、OFDMフレーム構成部122、選択部123、セグメント合成部124、IFFT部125、及び、GI付加部126から構成される。
【0105】
なお、送信装置10Aにおいて、エネルギー拡散部114乃至キャリア変調部118は、エネルギー拡散部114−1乃至キャリア変調部118−1と、エネルギー拡散部114−2乃至キャリア変調部118−2の2系統が用意されているが、3セグメント形式を採用した場合に、エネルギー拡散部114−2乃至キャリア変調部118−2を使用することになる。
【0106】
TS再多重部111は、入力されるトランスポートストリーム(TS:Transport Stream)の再多重化を行うことで、放送用のトランスポートストリームに変換し、符号化部112に供給する。符号化部112は、リードソロモン符号(Reed Solomon Coding)により、TS再多重部111からのトランスポートストリームの符号化処理を行い、階層分割部113に供給する。
【0107】
階層分割部113は、符号化部112からのトランスポートストリームを複数のストリームに階層分離し、分離されたストリームを、エネルギー拡散部114−1(とエネルギー拡散部114−2)に供給する。エネルギー拡散部114−1は、階層分割部113により分離された各ストリームについて、エネルギー拡散処理を行う。エネルギー拡散部114−1により処理されたデータは、遅延補正部115−1により遅延補正処理が施された後、バイトインターリーバ116−1に供給される。
【0108】
バイトインターリーバ116−1は、遅延補正部115−1から供給されるデータに対して、所定の規則に従い、バイト単位でのインターリーブ処理を行い、畳込み符号化部117−1に供給する。畳込み符号化部117−1は、バイトインターリーバ116−1から供給されるデータに対して、畳み込み符号化の処理を行い、キャリア変調部118−1に供給する。
【0109】
キャリア変調部118−1は、畳込み符号化部117−1から供給されるデータに対して、所定のデジタル変調方式に従い、変調処理を行う。ここで、キャリア変調部118−1は、ビットインターリーバ141−1及びマッピング部142−1から構成される。ビットインターリーバ141−1は、畳込み符号化部117−1から供給されるデータに対して、ビットインターリーブ処理を行う。ビットインターリーバ141−1により処理されたデータは、マッピング部142−1によりマッピング処理が施されることでキャリア変調され、階層合成部119に供給される。
【0110】
なお、3セグメント形式を採用した場合には、エネルギー拡散部114−2乃至キャリア変調部118−2において、エネルギー拡散部114−1乃至キャリア変調部118−1と同様の処理が行われる。階層合成部119は、キャリア変調部118−1とキャリア変調部118−2によりキャリア変調された複数の信号を合成し、時間インターリーバ120に供給する。
【0111】
時間インターリーバ120は、階層合成部119から供給される信号に対して、時間インターリーブ処理を行い、周波数インターリーバ121に供給する。周波数インターリーバ121は、時間インターリーバ120から供給される信号に対して、周波数インターリーブ処理を行い、OFDMフレーム構成部122に供給する。また、OFDMフレーム構成部122には、パイロット信号(SP(Scattered Pilot)信号、CP(Continual Pilot)信号)と制御信号(TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)信号)が供給される。
【0112】
選択部123には、セグメント0で伝送される地震動情報と、防災・安全情報が入力される。選択部123は、通常、防災・安全情報を選択して、セグメント合成部124に供給するが、地震動情報(緊急地震速報)が入力された場合には、地震動情報を選択して、セグメント合成部124に供給する。
【0113】
セグメント合成部124には、選択部123から供給される、セグメント0で伝送される防災・安全情報又は地震動情報のほか、セグメント1で伝送される防災・安全情報と、セグメント2で伝送される防災・安全情報が入力される。セグメント合成部124は、セグメント0で伝送される防災・安全情報又は地震動情報、セグメント1で伝送される防災・安全情報、及び、セグメント2で伝送される防災・安全情報を合成し、付加情報(AC(Auxiliary Channel)信号)として、OFDMフレーム構成部122に供給する。
【0114】
OFDMフレーム構成部122は、周波数インターリーバ121から供給される信号からOFDMフレームを構成(生成)する。このとき、OFDMフレーム構成部122は、パイロット信号(SP信号、CP信号)、制御信号(TMCC信号)、及び、付加情報(AC信号)を付加する。OFDMフレーム構成部122により構成(生成)されたOFDMフレームは、IFFT部125に供給される。
【0115】
IFFT部125は、OFDMフレーム構成部122から供給されるOFDMフレームを、逆高速フーリエ変換し、GI付加部126に供給する。GI付加部126は、IFFT部125から供給される信号にガードインターバル(GI:Guard interval)を付加する。
【0116】
送信装置10Aは、以上の手順で生成されたOFDM信号を、デジタル放送信号として、伝送路30を介して送信(伝送)する。
【0117】
(配信方式3の改良に対応した送信装置の構成)
図22は、図1の送信装置10の構成例を示す図である。なお、図22の送信装置10Bは、配信方式3の改良に対応している。
【0118】
図22の送信装置10Bにおいては、図21の送信装置10Aと対応する部分については同様の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。すなわち、図22の送信装置10Bにおいては、図21の送信装置10Aと比べて、エリアグループ順番変更部151−1と、エリアグループ順番変更部151−2が新たに設けられている。
【0119】
図22においては、防災・安全情報が、選択部123に入力されるほか、エリアグループ順番変更部151−1と、エリアグループ順番変更部151−2に入力される。
【0120】
選択部123には、セグメント0で伝送される防災・安全情報のほか、地震動情報が入力される。選択部123は、通常、防災・安全情報を選択して、セグメント合成部124に供給するが、地震動情報(緊急地震速報)が入力された場合には、地震動情報を選択して、セグメント合成部124に供給する。
【0121】
エリアグループ順番変更部151−1には、セグメント1で伝送される防災・安全情報が入力される。エリアグループ順番変更部151−1は、セグメント1で伝送される防災・安全情報の配信先の地域の順番を変更し、セグメント合成部124に供給する。
【0122】
エリアグループ順番変更部151−2には、セグメント2で伝送される防災・安全情報が入力される。エリアグループ順番変更部151−2は、セグメント2で伝送される防災・安全情報の配信先の地域の順番を変更し、セグメント合成部124に供給する。
【0123】
セグメント合成部124には、選択部123から供給される、セグメント0で伝送される防災・安全情報又は地震動情報と、エリアグループ順番変更部151−1から供給される、セグメント1で伝送される防災・安全情報と、エリアグループ順番変更部151−2から供給される、セグメント2で伝送される防災・安全情報が入力される。セグメント合成部124は、セグメント0で伝送される防災・安全情報又は地震動情報、セグメント1で伝送される防災・安全情報、及び、セグメント2で伝送される防災・安全情報を合成し、付加情報(AC信号)として、OFDMフレーム構成部122に供給する。
【0124】
ここで、セグメント合成部124により合成される防災・安全情報であるが、セグメント0で伝送される防災・安全情報は、配信先の地域の順番が変更されておらず、セグメント1で伝送される防災・安全情報は、エリアグループ順番変更部151−1により配信先の地域の順番が変更され、セグメント2で伝送される防災・安全情報は、エリアグループ順番変更部151−2により配信先の地域の順番が変更されている。
【0125】
すなわち、エリアグループ順番変更部151−1とエリアグループ順番変更部151−2が防災・安全情報の配信先の地域の順番を変更することで、図17の配信方式3の改良を用いた場合の配信方法に例示したように、各セグメントでは、配信対象となる地域群は同一となるが、その配信の順番が異なることになる。その結果、全ての地域(都市)に対して、確実に、防災・安全情報を配信することができる。
【0126】
OFDMフレーム構成部122は、周波数インターリーバ121から供給される信号からOFDMフレームを構成(生成)する。このとき、OFDMフレーム構成部122は、パイロット信号(SP信号、CP信号)、制御信号(TMCC信号)、及び、付加情報(AC信号)を付加することになる。
【0127】
送信装置10Bは、以上の手順で生成されたOFDM信号を、デジタル放送信号として、伝送路30を介して送信(伝送)する。
【0128】
(配信方式3の改良に対応した受信装置の構成例)
図23は、図1の受信装置20の構成例を示す図である。なお、図23の受信装置20は、配信方式3の改良に対応している。
【0129】
図23において、受信装置20は、アンテナ211、乗算部212、局部発振部213、IF回路214、乗算部215、局部発振部216、A/D部217、直交復調部218、FFT部219、同期再生部220、フレーム抽出部221、TMCC復号部222、AC復号部223、情報受信処理部224、キャリア復調部225、周波数デインターリーバ226、時間デインターリーバ227、デマッピング部228、階層分割部229、ビットデインターリーバ230、デパンクチャ231、階層合成部232、ビタビ復号部233、階層分割部234、バイトデインターリーバ235、エネルギー逆拡散部236、TS再生部237、及び、復号部238から構成される。
【0130】
なお、受信装置20において、ビットデインターリーバ230、デパンクチャ231、バイトデインターリーバ235、及び、エネルギー逆拡散部236は、ビットデインターリーバ230−1、デパンクチャ231−1、バイトデインターリーバ235−1、及び、エネルギー逆拡散部236−1と、ビットデインターリーバ230−2、デパンクチャ231−2、バイトデインターリーバ235−2、及び、エネルギー逆拡散部236−2の2系統が用意されている。これは、3セグメント形式を採用した場合に、ビットデインターリーバ230−2、デパンクチャ231−2、バイトデインターリーバ235−2、及び、エネルギー逆拡散部236−2を使用することになる。
【0131】
アンテナ211により受信されたデジタル放送信号(RF信号)は、乗算部212乃至局部発振部216によりIF信号に周波数変換され、A/D部217に供給される。なお、局部発振部213から発振される受信キャリア信号の発振周波数は、参照チャンネル選択信号に応じて切り替えられる。
【0132】
A/D部217は、IF信号をデジタル信号に変換し、直交復調部218に供給する。直交復調部218は、所定の周波数(キャリア周波数)のキャリア信号を用い、デジタル化されたIF信号を直交復調し、それにより得られるベースバンドのOFDM信号を、FFT部219及び同期再生部220に供給する。
【0133】
FFT部219は、直交復調部218から供給されるベースバンドのOFDM信号に対して、高速フーリエ変換を行い、各サブキャリアに直交変調されている信号を抽出して、フレーム抽出部221、AC復号部223、及び、キャリア復調部225に供給する。フレーム抽出部221は、FFT部219により復調された信号の所定のサブキャリアからTMCC信号を抽出し、そのTMCC信号から同期信号を検出してOFDMフレームの境界を検出し、その境界位置を同期再生部220等に供給する。
【0134】
同期再生部220は、ベースバンドのOFDM信号、FFT部219による復調後の各サブキャリアに変調されていた信号、OFDMシンボルの境界等を用い、FFT部219に対して、高速フーリエ変換における演算範囲やそのタイミング等の同期処理を行う。
【0135】
TMCC復号部222には、フレーム抽出部221により同期が取られた後のTMCC信号が入力される。TMCC復号部222は、このTMCC信号から制御信号を復号し、キャリア変調部225、周波数デインターリーバ226、時間デインターリーバ227、デマッピング部228、階層分割部229、ビットデインターリーバ230、デパンクチャ231、階層合成部232、階層分割部234、及び、TS再生部237に供給することで、各部の復調や再生等の制御を行う。
【0136】
AC復号部223は、FFT部219により復調された信号の所定のサブキャリアからAC信号を抽出し、このAC信号から付加情報を復号する。AC復号部223は、付加情報から得られる防災・安全情報又は地震動情報を、情報受信処理部224に供給する。
【0137】
情報受信処理部224は、AC復号部223から供給される防災・安全情報又は地震動情報に基づいて、所定の処理を行う。情報受信処理部224は、地震動情報処理部251及び防災・安全情報処理部252から構成される。地震動情報処理部251は、受信装置20にプリセット(登録)されている地域が、地震動情報の配信先の地域に該当する場合、当該地震動情報に基づいて、受信装置20を自動起動させる。防災・安全情報処理部252は、受信装置20にプリセット(登録)されている地域が、防災・安全情報の配信先の地域に該当する場合、当該防災・安全情報に基づいて、受信装置20を自動起動させる。
【0138】
キャリア復調部225には、FFT部219からの出力信号、すなわち、各サブキャリア復調された後の信号が供給される。キャリア復調部225は、FFT部219からの信号に対し、差動復調処理や等化処理等のキャリア復調処理を行い、周波数デインターリーバ226に供給する。
【0139】
周波数デインターリーバ226は、キャリア復調部225から供給される信号に対して、周波数デインターリーブ処理を行い、時間デインターリーバ227に供給する。時間デインターリーバ227は、周波数デインターリーバ226から供給される信号に対して、時間デインターリーブ処理を行い、デマッピング部228に供給する。
【0140】
デマッピング部228は、時間デインターリーバ227から供給される信号に対して、デマッピング処理を施してデータを復元する。階層分割部229は、デマッピング部228により復元されたデータを、複数のデータに階層分離し、分離されたデータを、ビットデインターリーバ230−1(とビットデインターリーバ230−2)に供給する。
【0141】
ビットデインターリーバ230−1は、階層分割部229から供給されるデータに対して、ビットデインターリーブ処理を行い、デパンクチャ231−1に供給する。デパンクチャ231−1は、ビットデインターリーバ230−1から供給されるデータに対し、デパンクチャ処理を行い、階層合成部232に供給する。
【0142】
なお、3セグメント形式を採用した場合には、ビットデインターリーバ230−2とデパンクチャ231−2において、ビットデインターリーバ230−1とデパンクチャ231−1と同様の処理が行われる。階層合成部232は、デパンクチャ231−1とデパンクチャ231−2から供給されるデータを合成し、ビタビ復号部233に供給する。
【0143】
ビタビ復号部233は、階層合成部232から供給されるデータに対し、ビタビ復号処理を施し、階層分割部234に供給する。階層分割部234は、ビタビ復号部233から供給されるデータを、複数のデータに階層分離し、分離されたデータを、バイトデインターリーバ235−1(とバイトデインターリーバ235−2)に供給する。
【0144】
バイトデインターリーバ235−1は、階層分割部234から供給されるデータに対し、所定の規則に従い、バイト単位でのバイトデインターリーブ処理を行い、エネルギー逆拡散部236−1に供給する。エネルギー逆拡散部236−1は、バイトデインターリーバ235−1から供給されるデータに対して、エネルギー逆拡散処理を行い、TS再生部237に供給する。
【0145】
なお、3セグメント形式を採用した場合には、バイトデインターリーバ235−2とエネルギー逆拡散部236−2においては、バイトデインターリーバ235−1とエネルギー逆拡散部236−1と同様の処理が行われる。TS再生部237は、エネルギー逆拡散部236−1とエネルギー逆拡散部236−2からのデータに基づいて、トランスポートストリームを生成し、復号部238に供給する。
【0146】
復号部238は、TS再生部237から供給されるトランスポートストリームに対して、リードソロモン復号処理を施して出力する。
【0147】
受信装置20は、以上の手順で生成されたトランスポートストリームに基づいて、例えば、コンテンツとしてのビデオデータやオーディオデータを再生する。
【0148】
<5.各装置で実行される処理の流れ>
【0149】
(送信処理)
まず、図24のフローチャートを参照して、図22の送信装置10Bにより実行される送信処理について説明する。
【0150】
ステップS101において、選択部123、セグメント合成部124、並びにエリアグループ順番変更部151−1及びエリアグループ順番変更部151−2は、地震動情報又は防災・安全情報を処理する。
【0151】
具体的には、選択部123には、セグメント0で伝送される防災・安全情報が入力されるので、選択部123は、防災・安全情報を選択して、セグメント合成部124に供給するが、地震動情報(緊急地震速報)が入力された場合には、地震動情報を選択して、セグメント合成部124に供給する。
【0152】
エリアグループ順番変更部151−1には、セグメント1で伝送される防災・安全情報が入力されるので、エリアグループ順番変更部151−1は、防災・安全情報の配信先の地域の順番を変更し、セグメント合成部124に供給する。また、エリアグループ順番変更部151−2には、セグメント2で伝送される防災・安全情報が入力されるので、エリアグループ順番変更部151−2は、防災・安全情報の配信先の地域の順番を変更し、セグメント合成部124に供給する。
【0153】
セグメント合成部124は、選択部123からのセグメント0で伝送される防災・安全情報又は地震動情報、エリアグループ順番変更部151−1からのセグメント1で伝送される防災・安全情報、及び、エリアグループ順番変更部151−2からのセグメント2で伝送される防災・安全情報を合成し、付加情報(AC信号)として、OFDMフレーム構成部122に供給する。
【0154】
ここで、セグメント合成部124により合成される防災・安全情報であるが、セグメント0で伝送される防災・安全情報は、配信先の地域の順番が変更されておらず、セグメント1で伝送される防災・安全情報は、エリアグループ順番変更部151−1により配信先の地域の順番が変更され、セグメント2で伝送される防災・安全情報は、エリアグループ順番変更部151−2により配信先の地域の順番が変更されている。
【0155】
すなわち、エリアグループ順番変更部151−1とエリアグループ順番変更部151−2が防災・安全情報の配信先の地域の順番を変更することで、図17の配信方式3の改良を用いた場合の配信方法に例示したように、各セグメントでは、配信対象となる地域群は同一となるが、その配信の順番が異なることになる。その結果、全ての地域(都市)に対して、確実に、防災・安全情報を配信することができる。
【0156】
ステップS102において、OFDMフレーム構成部122は、前段から供給される信号に、パイロット信号(SP信号、CP信号)、制御信号(TMCC信号)、及び、付加情報(AC信号)を付加することで、OFDMフレームを生成(構成)する。そして、送信装置10Bにおいては、ステップS102の処理で得られるOFDM信号が、デジタル放送信号として、伝送路30を介して送信される(S103)。
【0157】
以上、送信処理について説明した。
【0158】
(受信処理)
次に、図25のフローチャートを参照して、図23の受信装置20により実行される受信処理について説明する。
【0159】
ステップS201においては、受信装置20(図23)の各部が動作することで、送信装置10Bから伝送路30を介して送信されてくるデジタル放送信号を受信するための受信処理が行われる。
【0160】
ステップS202において、情報受信処理部224は、地震動情報又は防災・安全情報に対応した自動起動処理を行う。この自動起動処理では、受信装置20において、該当地域向けの地震動情報又は防災・安全情報が受信された場合には、自動起動されることになる。なお、自動起動処理の詳細な内容は、図26又は図28のフローチャートを参照して後述する。
【0161】
以上、受信処理について説明した。
【0162】
(セグメント0を特別に処理する場合の自動起動処理)
次に、図26のフローチャートを参照して、図25のステップS202の処理に対応する自動起動処理の詳細な処理の内容について説明する。なお、図26の自動起動処理を実行する前提として、受信装置20は、未起動状態(例えば電源オフ状態やスリープ状態)であるものとする。また、受信装置20においては、その受信している地域が、あらかじめプリセット(登録)され、メモリ部(不図示)に記録されているものとする。
【0163】
ステップS231においては、最初のフレームが選択される。また、ステップS232においては、ステップS231の処理で選択された最初のフレームにおける最初のセグメントが選択される。
【0164】
ステップS233において、地震動情報処理部251は、ステップS232の処理で選択されたセグメントが、セグメント0であるかどうかを判定する。ステップS233において、セグメント0であると判定された場合、処理は、ステップS234に進められる。
【0165】
ステップS234において、地震動情報処理部251は、ステップS232の処理で選択されたセグメントで、地震動情報が配信されているかどうかを判定する。ステップS234において、地震動情報が配信されていると判定された場合、処理は、ステップS235に進められる。
【0166】
ステップS235において、地震動情報処理部251は、地震動情報の配信先の地域が、あらかじめプリセット(登録)された地域と一致するかどうかを判定する。ステップS235において、地震動情報の該当地域であると判定された場合、処理は、ステップS236に進められる。ステップS236において、地震動情報処理部251は、地震動情報に従い、受信装置20を自動起動させる。これにより、受信装置20は、ユーザに対して、地震の発生を知らせることができる。なお、ステップS236の処理が終了すると、処理は、図25のステップS202の処理に戻される。
【0167】
また、ステップS233においてセグメント0ではないと判定された場合(S233の「No」)、ステップS234において地震動情報が配信されていないと判定された場合(S234の「No」)、又は、ステップS235において地震動情報の該当地域ではないと判定された場合(S235の「No」)、処理は、ステップS237に進められる。
【0168】
ステップS237において、防災・安全情報処理部252は、ステップS232の処理で選択されたセグメントで、防災・安全情報が配信されているかどうかを判定する。ステップS237において、防災・安全情報が配信されていないと判定された場合、処理は、ステップS238に進められる。ステップS238においては、次のセグメントが選択され、処理はステップS233に戻り、それ以降の処理が実行される。一方、ステップS237において、防災・安全情報が配信されていると判定された場合、処理は、ステップS239に進められる。
【0169】
ステップS239において、防災・安全情報処理部252は、防災・安全情報の配信先の地域が、あらかじめプリセット(登録)された地域と一致するかどうかを判定する。なお、1セグメントの1フレーム当たりに配信可能な地域が複数存在する場合には、それらの全ての地域と、プリセットされた地域とが比較され、該当地域であるかどうかが判定される。なお、このような、1セグメントの1フレーム当たりに配信可能な地域が複数存在する場合の地域判定処理の詳細な内容は、図27のフローチャートを参照して後述する。
【0170】
ステップS239において、防災・安全情報の該当地域であると判定された場合、処理は、ステップS240に進められる。ステップS240において、防災・安全情報処理部252は、防災・安全情報に従い、受信装置20を自動起動させる。これにより、受信装置20は、ユーザに対して、例えば大雨や洪水、竜巻などが発生したことを知らせることができる。なお、ステップS240の処理が終了すると、処理は、図25のステップS202に戻される。
【0171】
ステップS239において、防災・安全情報の該当地域ではないと判定された場合、処理は、ステップS241に進められる。ステップS241においては、全てのセグメントが選択されたかどうかが判定される。ステップS241において、全てのセグメントが選択されていないと判定された場合、処理は、ステップS242に進められる。ステップS242においては、次のセグメントが選択された後に、処理は、ステップS233に戻り、セグメントループの処理が実行される。
【0172】
一方、ステップS241において、全てのセグメントが選択されたと判定された場合、処理は、ステップS243に進められる。ステップS243においては、処理を終了するかどうかが判定される。ステップS243において、処理を継続すると判定された場合、処理は、ステップS244に進められる。ステップS244においては、次のフレームが選択された後に、処理は、ステップS232に戻り、フレームループの処理が実行される。
【0173】
そして、フレームループの処理とセグメントループの処理が繰り返されることで、該当地域の地震動情報又は防災・安全情報が取得されることになる。なお、ステップS243において、処理を終了すると判定された場合、処理は、図25のステップS202の処理に戻される。
【0174】
以上、セグメント0を特別に処理する場合の自動起動処理について説明した。この自動起動処理では、配信方式3の改良を用いているため、各セグメントごとに全ての地域(都市)に対し、防災・安全情報が配信されることになるので、確実に、防災・安全情報を取得することができる。
【0175】
また、例えば、ワンセグメント放送に対応した受信装置20において、セグメント1のみを受信している場合でも、セグメント1によって、送信装置10から送信されてくる防災・安全情報を受信することができる。さらに、例えば、防災・安全情報を受信中に、地震動情報(緊急地震速報)が割り込んで、3セグメントのうちのいずれかのセグメント(例えばセグメント0)が地震動情報により占有された場合でも、他のセグメント(例えば、セグメント1やセグメント2)によって、送信装置10から送信されてくる防災・安全情報を受信することができる。
【0176】
なお、図26の自動起動処理では、地震動情報が伝送されるセグメント0を特別に処理する場合を例示した。また、地震動情報については、即時性の観点から判定処理を最優先で行うことが望ましい。
【0177】
(地域判定処理)
ここで、図27のフローチャートを参照して、図26のステップS239の処理に対応する地域判定処理の詳細な処理の内容について説明する。
【0178】
ステップS251において、防災・安全情報処理部252は、1セグメントの1フレーム当たりに配信可能な地域が複数存在する場合における最初の地域を選択する。
【0179】
ステップS252において、防災・安全情報処理部252は、ステップS251の処理で選択された地域が、あらかじめプリセット(登録)された地域と一致するかどうかを判定する。ステップS252において、防災・安全情報の該当地域であると判定された場合、処理は、図26のステップS240に進められる。図26のステップS240においては、防災・安全情報に従い、受信装置20が自動起動される。
【0180】
また、ステップS252において、防災・安全情報の該当地域ではないと判定された場合、処理は、ステップS253に進められる。ステップS253において、防災・安全情報処理部252は、1セグメントの1フレームにおける複数の配信可能な地域が全て選択されたかどうかを判定される。ステップS253において、全ての地域が選択されていないと判定された場合、処理は、ステップS254に進められる。
【0181】
ステップS254において、防災・安全情報処理部252は、1セグメントの1フレームにおける複数の配信可能な地域のうち、未だ選択されていない地域を、次の地域として選択する。ステップS254の処理で次の地域が選択されると、処理は、ステップS252に戻される。そして、2回目のステップS252の処理では、ステップS254の処理で選択された地域(次の地域)が、あらかじめプリセット(登録)された地域と一致するかどうかが判定され、該当地域である場合には、受信装置20は自動起動されることになる。
【0182】
そして、ステップS252乃至S254の地域ループの処理が繰り返されることで、1セグメントの1フレームにおける複数の配信可能な地域が全て選択されて、ステップS253において、全ての地域が選択されたと判定された場合、図27の地域判定処理は終了され、処理は、図26ステップS239の処理に戻される。
【0183】
以上、地域判定処理について説明した。
【0184】
(自動起動処理)
最後に、図28のフローチャートを参照して、図25のステップS202の処理に対応する自動起動処理の詳細な処理の内容について説明する。図28の自動起動処理では、セグメント0に対して特別な処理は行われないものとする。なお、図28の自動起動処理を実行する前提として、受信装置20は、未起動状態(例えば電源オフ状態やスリープ状態)であるものとする。また、受信装置20においては、その受信している地域が、あらかじめプリセット(登録)され、メモリ部(不図示)に記録されているものとする。
【0185】
ステップS261乃至S262においては、図26のステップS231乃至S232と同様に、最初のフレームにおける最初のセグメントが選択されて、当該セグメントに対する処理が行われる。ステップS261乃至S262の処理が終了すると、処理は、ステップS263に進められる。
【0186】
ステップS263において、地震動情報処理部251は、ステップS262の処理で選択されたセグメントで、地震動情報が配信されているかどうかを判定する。ステップS263において、地震動情報が配信されていると判定された場合、処理は、ステップS264に進められる。
【0187】
ステップS264において、地震動情報処理部251は、地震動情報の配信先の地域が、あらかじめプリセット(登録)された地域と一致するかどうかを判定する。ステップS264において、地震動情報の該当地域であると判定された場合、処理は、ステップS265に進められる。ステップS265において、地震動情報処理部251は、地震動情報に従い、受信装置20を自動起動させる。これにより、受信装置20は、ユーザに対して、地震の発生を知らせることができる。
【0188】
ステップS263において地震動情報が配信されていないと判定された場合(S263の「No」)、又は、ステップS264において地震動情報の該当地域ではないと判定された場合(S264の「No」)、処理は、ステップS266に進められる。
【0189】
ステップS266乃至S273においては、図26のステップS237乃至S244と同様に、防災・安全情報が配信されている場合であって、防災・安全情報の該当地域となるときには、当該防災・安全情報に従い、受信装置20が自動起動される。なお、ステップS268においては、図26のステップS239と同様に、1セグメントの1フレーム当たりに配信可能な地域が複数存在する場合には、それらの全ての地域と、プリセットされた地域とが比較され、該当地域であるかどうかが判定される(図27の地域判定処理)。
【0190】
そして、フレームループの処理とセグメントループの処理が繰り返されることで、該当地域の地震動情報又は防災・安全情報が取得されることになる。
【0191】
以上、自動起動処理について説明した。この自動起動処理では、配信方式3の改良を用いているため、各セグメントごとに全ての地域(都市)に対し、防災・安全情報が配信されることになるので、確実に、防災・安全情報を取得することができる。
【0192】
なお、図1の伝送システム1は、ISDB(Integrated Services Digital Broadcasting)規格に準拠したデータ伝送のほか、例えば、ATSC(Advanced Television Systems Committee standards)やDVB(Digital Video Broadcasting)等の規格に準拠したデータ伝送、その他のデータ伝送に適用することができる。また、伝送路30としては、地上波のほか、衛星回線やケーブルテレビジョン網等を採用することができる。
【0193】
<6.コンピュータの構成>
【0194】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。図29は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示す図である。
【0195】
コンピュータ900において、CPU(Central Processing Unit)901,ROM(Read Only Memory)902,RAM(Random Access Memory)903は、バス904により相互に接続されている。バス904には、さらに、入出力インターフェース905が接続されている。入出力インターフェース905には、入力部906、出力部907、記録部908、通信部909、及び、ドライブ910が接続されている。
【0196】
入力部906は、キーボード、マウス、マイクロフォンなどよりなる。出力部907は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記録部908は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部909は、ネットワークインターフェースなどよりなる。ドライブ910は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブルメディア911を駆動する。
【0197】
以上のように構成されるコンピュータ900では、CPU901が、ROM902や記録部908に記憶されているプログラムを、入出力インターフェース905及びバス904を介して、RAM903にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0198】
コンピュータ900(CPU901)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア911に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線又は無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0199】
コンピュータ900では、プログラムは、リムーバブルメディア911をドライブ910に装着することにより、入出力インターフェース905を介して、記録部908にインストールすることができる。また、プログラムは、有線又は無線の伝送媒体を介して、通信部909で受信し、記録部908にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM902や記録部908に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0200】
ここで、本明細書において、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に行われる必要はない。すなわち、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含む。また、プログラムは、1のコンピュータ(プロセッサ)により処理されるものであってもよいし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであってもよい。
【0201】
なお、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0202】
また、本技術は、以下のような構成をとることができる。
【0203】
(1)
複数のセグメントごとに伝送される各フレームで、n個(nは1以上の整数)の地域に対する第1の情報の配信を行う場合に、各セグメントにおいて前記第1の情報の配信を行う地域をまとめたグループであるエリアグループごとに、重複した地域が含まれるとともに、前記第1の情報の配信先の地域の順番が異なるようにして生成された前記フレームを、前記複数のセグメントごとに受信する受信部と、
前記第1の情報の配信先の地域に該当する場合に、前記フレームに含まれる前記第1の情報に基づいて、所定の処理を行う処理部と
を備える受信装置。
(2)
各エリアグループにおいて、前記第1の情報の配信先の地域の順番は、他のエリアグループに対して、n個以上の地域がずらされている
(1)に記載の受信装置。
(3)
前記複数のセグメントは、3セグメントであり、
前記エリアグループごとの地域数をmとした場合に、前記第1の情報の配信先の地域の順番をずらすための地域数αを、
α=ceil(m/9)×3
により算出する(ただし、ceil[x]は、xの小数点以下を切り上げた整数の値を表している)
(2)に記載の受信装置。
(4)
前記第1の情報は、前記地域ごとの防災又は安全に関する防災安全情報であり、
前記処理部は、前記防災安全情報に基づいて、前記受信装置を起動させる
(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の受信装置。
(5)
前記3セグメントのうち、特定のセグメントでは、前記第1の情報と異なる第2の情報として、地震に関する地震動情報が配信され、
前記処理部は、前記地震動情報の配信先の地域に該当する場合、前記フレームに含まれる前記地震動情報に基づいて、前記受信装置を起動させる
(3)又は(4)に記載の受信装置。
(6)
受信装置の受信方法において、
前記受信装置が、
複数のセグメントごとに伝送される各フレームで、n個(nは1以上の整数)の地域に対する第1の情報の配信を行う場合に、各セグメントにおいて前記第1の情報の配信を行う地域をまとめたグループであるエリアグループごとに、重複した地域が含まれるとともに、前記第1の情報の配信先の地域の順番が異なるようにして生成された前記フレームを、前記複数のセグメントごとに受信し、
前記第1の情報の配信先の地域に該当する場合に、前記フレームに含まれる前記第1の情報に基づいて、所定の処理を行う
ステップを含む受信方法。
(7)
各エリアグループにおいて、前記第1の情報の配信先の地域の順番は、他のエリアグループに対して、n個以上の地域がずらされている
(6)に記載の受信方法。
(8)
前記複数のセグメントは、3セグメントであり、
前記エリアグループごとの地域数をmとした場合に、前記第1の情報の配信先の地域の順番をずらすための地域数αを、
α=ceil(m/9)×3
により算出する(ただし、ceil[x]は、xの小数点以下を切り上げた整数の値を表している)
(7)に記載の受信方法。
(9)
前記第1の情報は、前記地域ごとの防災又は安全に関する防災安全情報であり、
前記防災安全情報に基づいて、前記受信装置を起動させる
(6)乃至(8)のいずれか一項に記載の受信方法。
(10)
前記3セグメントのうち、特定のセグメントでは、前記第1の情報と異なる第2の情報として、地震に関する地震動情報が配信され、
前記処理部は、前記地震動情報の配信先の地域に該当する場合、前記フレームに含まれる前記地震動情報に基づいて、前記受信装置を起動させる
(8)又は(9)に記載の受信方法。
(11)
複数のセグメントごとに伝送される各フレームで、n個(nは1以上の整数)の地域に対する第1の情報の配信を行う場合に、各セグメントにおいて前記第1の情報の配信を行う地域をまとめたグループであるエリアグループごとに、重複した地域が含まれるとともに、前記第1の情報の配信先の地域の順番が異なるようにして、前記フレームを生成する生成部と、
前記複数のセグメントごとに、前記フレームを送信する送信部と
を備える送信装置。
(12)
各エリアグループにおいて、前記第1の情報の配信先の地域の順番は、他のエリアグループに対して、n個以上の地域がずらされている
(11)に記載の送信装置。
(13)
前記複数のセグメントは、3セグメントであり、
前記エリアグループごとの地域数をmとした場合に、前記第1の情報の配信先の地域の順番をずらすための地域数αを、
α=ceil(m/9)×3
により算出する(ただし、ceil[x]は、xの小数点以下を切り上げた整数の値を表している)
(12)に記載の送信装置。
(14)
前記第1の情報は、前記地域ごとの防災又は安全に関する防災安全情報である
(11)乃至(13)のいずれか一項に記載の送信装置。
(15)
前記3セグメントのうち、特定のセグメントでは、前記第1の情報と異なる第2の情報として、地震に関する地震動情報が配信される
(13)又は(14)に記載の送信装置。
(16)
送信装置の送信方法において、
前記送信装置が、
複数のセグメントごとに伝送される各フレームで、n個(nは1以上の整数)の地域に対する第1の情報の配信を行う場合に、各セグメントにおいて前記第1の情報の配信を行う地域をまとめたグループであるエリアグループごとに、重複した地域が含まれるとともに、前記第1の情報の配信先の地域の順番が異なるようにして、前記フレームを生成し、
前記複数のセグメントごとに、前記フレームを送信する
ステップを含む送信方法。
(17)
各エリアグループにおいて、前記第1の情報の配信先の地域の順番は、他のエリアグループに対して、n個以上の地域がずらされている
(16)に記載の送信方法。
(18)
前記複数のセグメントは、3セグメントであり、
前記エリアグループごとの地域数をmとした場合に、前記第1の情報の配信先の地域の順番をずらすための地域数αを、
α=ceil(m/9)×3
により算出する(ただし、ceil[x]は、xの小数点以下を切り上げた整数の値を表している)
(17)に記載の送信方法。
(19)
前記第1の情報は、前記地域ごとの防災又は安全に関する防災安全情報である
(16)乃至(18)のいずれか一項に記載の送信方法。
(20)
前記3セグメントのうち、特定のセグメントでは、前記第1の情報と異なる第2の情報として、地震に関する地震動情報が配信される
(18)に記載の送信方法。
【符号の説明】
【0204】
1 伝送システム, 10,10B 送信装置, 20 受信装置, 30 伝送路, 122 OFDMフレーム構成部, 123 選択部, 124 セグメント合成部, 151−1,151−2 エリアグループ順番変更部, 224 情報受信処理部, 251 地震動情報処理部, 252 防災・安全情報処理部, 900 コンピュータ, 901 CPU
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