(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記地図データ記憶手段は、道路の位置を表す道路データと、複数の前記地図標識に対して、当該地図標識の位置を表す座標である標識座標と、前記地図標識の対象である前記道路の各々に対する前記第2の相対位置とを記憶し、
前記情報処理装置は、
前記車両の位置を表す座標である車両座標を測定する位置測定手段と、
測定された前記車両座標から、前記道路データに含まれるいずれの前記道路を前記車両が走行するかを推定する位置推定手段と、
前記車両が走行すると推定された前記道路が対象である前記地図標識の各々に対して、当該地図標識の前記標識座標と前記車両座標との距離が所定距離を超えないことを判定することにより、前記検出標識と前記地図標識との適合を判定する標識位置判定手段と、
を含み、
前記出力手段は、前記検出標識といずれかの前記地図標識とが適合すると判定された場合、前記検出標識が表す情報を出力する
請求項1に記載の情報処理装置。
前記標識認識手段は、前記検出標識の前記映像上の位置が、前記映像上に設定された所定の基準の右側であるか左側であるかを判定し、当該判定の結果を、前記第1の相対位置として導出し、
前記地図データ記憶手段は、前記地図標識の前記標識座標で表される位置が、前記地図標識の対象である前記道路のどちら側であるかを表す情報を、前記第2の相対位置として記憶し、
前記標識位置判定手段は、前記車両の進行方向を推定し、前記第2の相対位置から、前記地図標識が推定された進行方向に対して前記道路のどちら側にあるのかを判定し、当該判定の結果が、前記第1の相対位置と一致する場合、前記第2の相対位置と前記第1の相対位置とが適合すると判定する
請求項2又は3に記載の情報処理装置。
道路の位置を表す道路データと、複数の前記地図標識に対して、当該地図標識の位置を表す座標である標識座標と、前記地図標識の対象である前記道路の各々に対する前記第2の相対位置とを前記地図データ記憶手段に記憶し、
前記車両の位置を表す座標である車両座標を測定し、
測定された前記車両座標から、前記道路データに含まれるいずれの前記道路を前記車両が走行するかを推定し、
前記車両が走行すると推定された前記道路が対象である前記地図標識の各々に対して、当該地図標識の前記標識座標と前記車両座標との距離が所定距離を超えないことを判定することにより、前記検出標識と前記地図標識との適合を判定し
前記検出標識といずれかの前記地図標識とが適合すると判定された場合、前記検出標識が表す情報を出力する
請求項7に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の運転支援システム100の構成の例を表す図である。
【0021】
図1を参照すると、運転支援システム100は、運転支援装置1と撮影装置2と出力装置3を含む。
【0022】
撮影装置2は、車両に搭載されたカメラである。撮影装置2は、車両の前方の映像を撮影する。撮影装置2は、車両の前方の路側を含む範囲が撮影の範囲に含まれるよう、車両に取り付けられている。撮影装置2は、撮影した映像を、運転支援装置1に送信する。運転支援装置1と撮影装置2は、撮影装置2が撮影した映像の運転支援装置1への送信が可能なように、実装されている。運転支援装置1と撮影装置2は、例えばケーブルによって接続されていればよい。運転支援装置1と撮影装置2は、無線通信によって通信することが可能であってもよい。
【0023】
出力装置3は、例えば、表示装置や、音声出力装置や、スピーカを備えた表示装置である。表示装置は、画像や映像を表示するディスプレイなどである。音声出力装置は、音声を出力するスピーカなどである。スピーカを備えた表示装置は、画像や映像に加えて音声を出力する。
【0024】
運転支援装置1は、映像取得部10と、標識認識部11と、地図データ記憶部12と、標識位置判定部13と、出力部14と、位置測定部15と、位置推定部16とを含む。
【0025】
映像取得部10は、撮影装置2から、撮影装置2が撮影する映像を取得する。映像取得部10は、例えば、撮影装置2が撮影した映像のデジタルデータを、撮影装置2から取得する。
【0026】
標識認識部11は、映像取得部10から取得した映像において、標識を検出する。標識は、例えば、道路標識である。道路標識は、例えば、文字や、図形や、文字と図形の組み合わせ等で表される。標識認識部11は、検出された標識が表す情報を認識する。本発明の各実施形態の説明では、標識認識部11によって、映像において検出された標識は、検出標識とも表記される。標識が表す情報は、例えば標識の種別である。また、標識認識部11は、映像取得部10から取得した映像(すなわち、撮影装置2が撮影した映像)に基づき、撮影装置2を搭載した車両が走行する道路に対する、検出標識の相対位置を認識する。道路に対する標識の相対位置は、例えば、その道路のあらかじめ定められた方向に向かって、その標識が、その道路の右に存在するか左に存在するかを表す。本発明の各実施形態において、道路に対する検出標識の相対位置は、第1の相対位置とも表記される。標識認識部11は、検出標識が、撮影装置2が搭載されている車両の進行方向に向かって、撮影装置2を搭載した車両が走行する道路の右に存在するか左に存在するかを、第1の相対位置として認識する。従って、本実施形態では、第1の相対位置は、撮影装置2が搭載されている車両の進行方向に向かって、撮影装置2が搭載されている車両が走行する道路より、検出標識が右に存在するか左に存在するかを表す。
【0027】
地図データ記憶部12は、道路の形状や位置を含む道路データと、標識の位置と種別を含む標識データを記憶する。道路は、例えば、線分の組み合わせによって表される。線分は、2個の端点によって表される。それらの線分は方向を備えていてもよい。その場合、2個の端点のうち一方の端点は始点として記憶され、他方の端点は終点として記憶されていればよい。道路データは、例えば、各線分の始点の座標と終点の座標を含むデータである。地図データ記憶部12が記憶する道路の位置や標識の位置は、例えば緯度および経度のような、共通の座標系で表される。緯度および経度等の共通の座標系で表される位置は、絶対位置とも表記される。本発明の各実施形態の説明では、絶対位置を表す座標は、絶対座標とも表記される。標識データは、さらに、標識が対象とする道路の道路識別子と、標識とその標識が対象とする道路との間の相対位置を含む。道路識別子は、道路ID(Identifier)とも表記される。本発明の各実施形態の説明では、地図データ記憶部12が記憶する標識データによって表される標識は、地図標識とも表記される。地図標識とその地図標識が対象とする道路との間の相対位置は、例えば、標識の位置が、道路を表す線分の始点と終点で特定される道路の方向に向かって、左側であるか、右側であるかを表す。本発明の各実施形態の説明において、例えば地図データ記憶部12が記憶する標識データにおいて、道路に対する地図標識の相対位置は、第2の相対位置とも表記される。複数の道路が一つの地図標識の対象である場合、地図データ記憶部12は、その地図標識に対して、それらの複数の道路に対する第2の相対位置を記憶していればよい。
【0028】
地図データ記憶部12は、前述のように、道路データとして、例えば、複数の線分の組み合わせで近似された道路の、各線分に対して、線分の2個の端点の座標と、その線分の識別子との組み合わせを記憶していればよい。端点の座標は、例えば、緯度と経度である。上述のように、地図データ記憶部12は、2個の端点の一方を始点として、他方を終点として記憶していればよい。線分の方向は、始点から終点に向かう方向である。線分の方向は、その線分が表す道路における車両の走行方向と、関係が無くてもよい。線分の識別子が、例えば、道路IDとも表記される、前述の道路識別子であればよい。地図データ記憶部12は、標識データとして、例えば、各標識に対して、標識の識別子と、標識が設置されている場所の座標と、標識の種別と、標識が対象とする道路の道路IDと、標識とその標識が対象とする道路の相対位置の組み合わせを記憶していればよい。標識が設置されている場所の座標は、例えば、緯度と経度で表される。上述のように、標識とその標識が対象とする道路の相対位置は、例えば、道路を表す線分の方向に向かって、標識が設置されている場所が左側であるか右側であるかを表すデータであればよい。
【0029】
位置測定部15は、例えばGPSを利用して、車両の絶対位置を測定する。前述のように絶対位置は、例えば、緯度及び経度によって表される。単に「位置」と表記される位置は、絶対位置を表す。位置測定部15による車両の位置の測定方法として、さまざまな既存の方法を使用することができる。位置測定部15は、GPSを利用しない方法で車両の位置を測定してもよい。位置測定部15は、例えば無線基地局からの電波の強度を利用して、車両の位置を測定してもよい。
【0030】
位置推定部16は、位置測定部15が測定した車両の位置と、地図データ記憶部12が記憶する道路データとに基づき、車両が走行する道路を推定する。位置推定部16は、道路上の車両が存在する場所の位置と車両の走行方向を推定する。
【0031】
標識位置判定部13は、地図データ記憶部12が標識座標を記憶する標識のうち、位置推定部16により推定された車両の位置からの距離が所定距離を超えない標識を抽出する。標識位置判定部13は、抽出された標識から、さらに、映像から検出された標識の種別と同じ種別の標識を抽出してもよい。前述のように、地図データ記憶部12が標識座標を記憶する標識が、前述の地図標識である。そして、地図標識の、道路に対する相対位置は、その地図標識の道路に対する第2の相対位置とも表記される。標識位置判定部13は、例えば、抽出された地図標識が対象とする道路に対する、その地図標識の第2の相対位置を特定する。標識位置判定部13は、例えば、地図データ記憶部12が記憶する、抽出された地図標識の第2の相対位置を読み出せばよい。前述のように、標識認識部11によって映像において検出された標識が検出標識である。そして、検出標識の、道路に対する相対位置は、第1の相対位置とも表記される。また、検出標識が検出される映像は、例えば、車両に搭載された撮影装置2によって撮影される。前述のように、検出画像が検出された映像を撮影した撮影装置2が搭載された車両が走行する道路の、その検出画像に対する第1の相対位置は、例えば、標識認識部11によって導出される。標識位置判定部13は、検出標識の第1の相対位置が、抽出された地図標識の第2の相対位置に合致するか否かを判定する。標識位置判定部13は、検出標識の第1の相対位置が、地図標識の第2の相対位置に合致する場合、その検出標識とその地図標識が適合すると判定する。
【0032】
出力部14は、検出標識に適合する地図標識が存在する場合、検出標識が表す情報を出力する。出力部14は、検出標識に適合する地図標識の設置場所から、その地図標識が対象とする道路までの距離と、検出標識の設置場所から、車両が走行する道路までの距離との差が、所定値を上回らない場合に、検出標識が表す情報を出力してもよい。その場合、例えば標識認識部11が、検出標識の設置場所から、車両が走行する道路までの距離の差を推定すればよい。そして、標識認識部11は、例えば、検出標識から撮影装置2の光軸までの距離を、検出標識の設置場所から、車両が走行する道路までの距離として算出すればよい。
【0033】
出力装置3は、出力部14から受信した標識が表す情報やその他のデータを、音声や、画像や、映像として出力する。
【0034】
図2は、運転支援装置システム100の物理的な構成の一例を表す図である。
【0035】
運転支援装置システム100は、ECU901(Electronic Control Unit)と、GPSアンテナ902と、カメラ903を含む。ECU901は、CPU904(Central Processing Unit)と、信号処理回路905と、RAM906(Random Access Memory)と、ROM907(Read Only Memory)と、電源回路908を含む。CPU904は、信号処理回路905と、RAM906と、ROM907にアクセスすることができる。
【0036】
カメラ903が、撮影装置2として動作する。信号処理回路905が、映像取得部10として動作する。GPSアンテナ902と信号処理回路905が、位置測定部15として動作する。RAM906及びROM907の少なくとも一方が、地図データ記憶部12として動作する。また、例えばROM907に格納されたプログラムを実行することにより、CPU904とRAM906と、ROM907が、標識認識部11と、標識位置判定部13と、出力部14と、位置推定部16として動作する。
【0037】
次に、本実施形態の運転支援装置1の動作について、図面を参照して詳細に説明する。
【0038】
図3は、本実施形態の運転支援装置1の動作の例を表すフローチャートである。
【0039】
まず、映像取得部10が、撮影装置2から映像を取得する(ステップS101)。
【0040】
映像取得部10は、例えば、撮影装置2が撮影した映像のデジタルデータを取得する。映像取得部10は、撮影装置2から、撮影装置2が撮影した映像のフレームを、静止画として取得してもよい。映像取得部10は、例えば、撮影装置2が撮影した映像のアナログ信号を、撮影装置2から取得してもよい。そして、映像取得部10は、映像のアナログ信号を、デジタルデータに変換してもよい。
【0041】
次に、標識認識部11は、映像取得部10が取得した映像から、標識を検出する(ステップS102)。
【0042】
前述のように、撮影装置2は、車両の前方の映像を撮影する。撮影装置2は、車両の前方の路側を含む範囲が撮影の範囲に含まれるよう、車両に取り付けられている。車両の前方の路側で撮影の範囲に含まれる場所に標識が設置されていれば、撮影装置2が撮影した映像に、標識の像が含まれる。
【0043】
映像から標識が検出されなかった場合(ステップS103においてNo)、運転支援装置1の動作はステップS101に戻る。
【0044】
映像から標識が検出された場合(ステップS103においてYes)、標識認識部11は、検出された標識の種別と、標識が表す情報を認識する(ステップS104)。
【0045】
標識認識部11による標識の認識方法として、さまざまな既存の方法が適用可能である。標識認識部11は、例えば、検出された標識の領域の形状を補正した後、テンプレートマッチングを行って、標識の種別を認識すればよい。複数の標識が検出された場合、標識認識部11は、検出された全ての標識の種別を認識する。標識の種別は、例えば、最高時速100km/h(kilometer per hour)の最高速度標識などの、速度毎の最高速度標識や、一時停止標識、駐車禁止標識などの標識の種別を表す情報である。標識の種別は、予め前述の標識の種別に対応付けられたコードによって表現されていてもよい。また、例えば地図データ記憶部12が、標識の種別毎に、最高時速が100km/hであること、一時停止が必要であること、駐車禁止であることなどの、標識が表す情報を保持していればよい。そして、標識認識部11は、認識した標識の種別に対応する、標識が表す情報を、地図データ記憶部12から読み出せばよい。標識が曜日や時間などの文字情報を含む場合、標識認識部11は、文字認識により、標識が表す情報を認識すればよい。
【0046】
標識認識部11は、例えば、特開昭62−108396号公報に記載されている、道路標識の認識方法によって、標識の認識を行ってもよい。
【0047】
図4は、道路と標識の配置の一例を表す図である。
図4の例では、道路201と道路202の分岐点の近くに、標識203が設置されている。
図4の例では、標識203は、道路201を対象とした標識である。
【0048】
例えば、車両が、
図4に示す配置において、標識203より下側の道路201又は道路202を、
図4の下方から上方に向かう向きに走行している場合、車両に搭載されている撮影装置2から映像取得部10が取得した映像に、標識203の像が含まれる。標識検出部11は、映像取得部10が取得した映像から、標識203の像の領域を検出する。標識203が、最高速度が40km/hであることを表す標識である場合、標識認識部11は、検出された領域に対して種別の認識を行うことによって、標識の種別が「最高速度40km/h」であることを認識する。
【0049】
また、標識認識部11は、映像から検出された標識の相対位置を、その映像に基づき導出する(ステップS105)。標識認識部11がステップS105で導出する相対位置は、映像を撮影する撮影装置2が搭載されている車両が走行する方向における、その車両が走行する道路に対する、その映像から検出された標識の相対位置である。ステップS105で標識認識部11が導出する上述の相対位置は、前述のように、第1の相対位置とも表記される。
【0050】
標識認識部11は、例えば、以下のように、第1の相対位置を推定する。
【0051】
標識認識部11は、例えば、標識が検出された場所が、映像内に設定された所定の基準より右側であるか、左側であるかを、相対位置として認識すればよい。この所定の基準は、例えば、あらかじめ映像内に設定された水平でない線であればよい。所定の基準は、予め映像上に設定された、撮影装置2のカメラ中心を通り、車両の正面方向に平行な鉛直面に対応する線分であってもよい。所定の基準は、例えば、標識認識部11が、既存の道路領域認識方法のいずれかを使用して認識した映像内の道路の領域であってもよい。
【0052】
図4の例で、車両が道路202を走行している場合、車両が走行する道路202の左側に標識203が存在する。この場合、標識認識部11が、例えば車両の前方方向に相当する映像内の線分を基準に、標識の相対位置を導出する場合、標識認識部11は、標識203の相対位置として「左」を導出する。車両が道路201を走行している場合、車両が走行する道路201の右側に標識203が存在する。従って、標識認識部11は、標識203の相対位置として「右」を導出する。
【0053】
次に、標識位置判定部13は、例えば位置推定部16から、車両の位置を取得する(ステップS106)。
【0054】
標識位置判定部13が取得する車両の位置は、例えば、位置測定部15がGPSを利用して測定した緯度および経度である。標識位置判定部13は、位置測定部15が測定した緯度および経路に対して、位置推定部16が補正を行った後の、緯度および経度を取得してもよい。位置推定部16による補正は、例えば、地図データ記憶部12が記憶する地図データを使用して車両が走行する道路を推定し、走行中の車両の位置を推定された道路上に変更するような、通常のナビゲーション装置が行う補正である。位置測定部15は、さらに、例えば方位センサにより、車両の方位を測定してもよい。そして、標識位置判定部13は、車両の位置として、緯度、経度、および方位を取得してもよい。
【0055】
標識位置判定部13は、取得した車両の位置に設置場所が近い標識を、地図データ記憶部12が標識データを記憶する標識から抽出する(ステップS107)。
【0056】
標識位置判定部13は、例えば、取得した車両の位置から所定距離以内に設置されている標識を抽出する。上述の所定距離は、例えば、GPSの精度や撮影装置2のカメラパラメータをもとに、あらかじめ定められた距離であればよい。
【0057】
例えば、位置測定部15が測定した緯度および経度が、それぞれ、35.75と139.74である場合、標識位置判定部13は、これらの緯度および経度で表される位置から所定距離以内に設置されている標識を抽出する。
【0058】
図5は、位置測定部15により測定された位置から所定距離以内に設置されている、地図データが記憶する標識のデータの例を表す図である。
【0059】
標識位置判定部13は、地図データ記憶部12が記憶する標識データに基づき抽出された標識から、さらに、映像において検出された標識の種別と同じ種別の標識を抽出する(ステップS108)。
【0060】
例えば、標識認識部11が認識した、検出された標識の種類が「最高速度40km/h」である場合、標識位置判定部13は、抽出された標識から、さらに、種別が「最高速度40km/h」である標識を抽出する。
【0061】
図6は、抽出された標識のデータを表す図である。ステップS107で抽出された標識のデータが
図5に示す標識の標識データである場合、標識位置判定部13は、
図5の標識データから
図6に示す標識データを抽出する。すなわち、標識位置判定部13は、
図6に示す標識データによって表される標識を抽出する。
【0062】
次に、標識位置判定部13は、標識データに基づき抽出された標識に、映像において検出された標識に適合する標識が含まれているか否かを判定する(ステップS109)。前述のように、標識データに基づき抽出された標識は、地図データ記憶部12に格納されている標識データによって表される地図標識から、標識位置判定部13によって抽出された地図標識である。映像において検出された標識は、標識認識部11が、撮影装置2が撮影した映像において検出した検出標識である。
【0063】
標識位置判定部13は、標識認識部11が検出した標識の、車両が走行する道路に対する相対位置と、抽出された標識の、その標識が対象とする道路に対する相対位置を比較することにより、適合の判定を行えばよい。前述のように、地図データ記憶部12が記憶する標識のデータは、道路のいずれかの方向に対する、標識の相対位置を含む。標識認識部11が映像において検出した標識の相対位置は、例えば、車両が走行する方向における、車両が走行する道路に対する検出された標識の相対位置である。以下の説明において、標識認識部11が映像において検出した標識の、車両が走行する道路に対する相対位置は、単に、「検出された標識の相対位置」とも表記される。また、標識データから抽出された標識の、その標識が対象とする道路に対する相対位置は、単に、「抽出された標識の相対位置」とも表記される。検出された標識の相対位置と抽出された標識の相対位置とが一致する場合、標識位置判定部13は、検出された標識と、抽出された標識が適合すると判定すればよい。
【0064】
前述のように、本実施形態では、地図データ記憶部12は、道路の始点の位置と終点の位置を含む道路データを記憶する。また、地図データ記憶部12は、標識が対象とする道路に対する、その道路の始点から終点に向かう方向における、標識の相対位置を、例えば標識データの少なくとも一部として記憶する。標識位置判定部13は、標識が対象とする道路の始点から終点へ向かう方向と車両の進行方向がなす角度が、90度を超えない場合、地図データ記憶部12が含む相対位置を、車両が走行する方向における相対位置にすればよい。この場合、地図データ記憶部12が記憶するある標識の相対位置が例えば「左」であるなら、その標識の車両が走行する方向における相対位置を「左」にする。標識位置判定部13は、標識が対象とする道路の始点から終点へ向かう方向と車両の進行方向がなす角度が、90度を超える場合、地図データ記憶部12が含む相対位置を逆転させた相対位置を、車両が走行する方向における相対位置にすればよい。この場合、地図データ記憶部12が記憶するある標識の相対位置が例えば「左」であるなら、その標識の車両が走行する方向における相対位置を「右」にする。
【0065】
以上のように、本実施形態の標識位置判定部13は、ステップS107およびステップS108で抽出された地図座標の、その地図座標が対象とする道路に対する相対位置を地図データ記憶部12から読み出す。そして、標識位置判定部13は、検出標識の、車両が走行する道路に対する相対位置と、相対位置が一致する地図標識が、検出標識に適合すると判定する。前述のように、ステップS107において標識検出部11によって抽出される地図標識は、測定された車両の位置から所定距離以内の場所に設置されている地図標識である。ステップS108において標識検出部11によって抽出される地図標識は、ステップS107において抽出された標識の中で、標識認識部11が検出した検出標識と同じ種別の地図標識である。さらに、標識位置判定部13は、映像を撮影する撮影装置2が搭載された車両が走行する道路に対して検出標識が存在する側と、地図標識が対象とする道路に対してその地図標識が存在する側が同じ場合に、その検出標識とその地図標識が適合すると判定する。
【0066】
標識位置判定部13は、地図データ記憶部12からデータを読み出した標識が、検出された標識に適合するか否かを判定することにより、検出された標識が、車両が走行する道路を対象とする標識であるか否かを判定する。すなわち、標識位置判定部13は、地図データ記憶部12からデータを読み出した標識が、検出された標識に適合する場合、検出された標識が、車両が走行する道路を対象とする標識であると判定する。また、標識位置判定部13は、地図データ記憶部12からデータを読み出した標識が、検出された標識に適合しない場合、検出された標識が、車両が走行する道路を対象とする標識ではないと判定する。
【0067】
検出された標識に適合する標識が存在しない場合(ステップS110においてNo)、運転支援装置1の処理は、ステップS101に戻る。
【0068】
図5および
図6の例では、標識データに含まれる相対位置は、標識データが対象とする道路に対する、車両の進行方向における相対位置を表す。
【0069】
図6に示す標識データでは、標識が対象とする道路に対する標識の相対位置は「右」である。
図6の標識データにより表される標識は、この標識が対象とする道路に対して、右側に設置されている。
【0070】
例えば、車両が
図4の道路202を、
図4の下から上に向かう方向に走行している場合、車両が走行する道路に対する標識の相対位置は「左」である。この場合、
図6の標識と、標識認識部11により検出された標識は、適合しない。
【0071】
一方、車両が
図4の道路201を、
図4の下から上に向かう方向に走行している場合、車両が走行する道路に対する標識の相対位置は「右」である。この場合、
図6の標識と、標識認識部11により検出された標識は、適合する。
【0072】
検出された標識に適合する標識が存在する場合(ステップS110においてYes)、出力部14は、検出された標識が表す情報を出力する(ステップS111)。
【0073】
出力部14は、例えば、車両に搭載されたスピーカなどの音声出力装置である出力装置3に、検出された標識の種別に対応付けられた音声データを、音声に変換して出力する。あるいは、出力部14は、例えば、車両に搭載された表示装置である出力装置3に、検出された標識の種別に対応付けられた映像あるいは画像を表示させてもよい。出力部14は、音声と、映像あるいは画像とを組み合わせて、出力装置3に出力してもよい。運転支援装置1の図示されない記憶部が、標識の種別に対応付けられた音声データや、映像あるいは画像のデータを記憶していればよい。出力部14は、検出された標識が表す情報を出力することにより、車両の運転者に検出された標識が表す情報を伝達する。出力部14は、さらに、検出された標識に適合する標識が対象とする道路の道路IDを出力してもよい。出力部14は、道路IDの代わりに、その道路IDが表す道路の地図を出力してもよい。
【0074】
以上の本実施形態の説明では、相対位置は、例えば車両の進行方向における、道路に対して「右」か「左」で表される、標識の設置位置である。しかし、相対位置は、他の方法で表される位置であってもよい。
【0075】
例えば、相対位置は、標識の設置位置の道路に対する方位であってもよい。この場合の方位は、例えば、道路から標識の設置位置に向かう道路の垂線の方向である。また、方位は、所定の角度の範囲で区分された有限個数の方位によって表されていればよい。例えば、方位は、東西南北のいずれかで表されうる。この場合、位置測定部15は、さらに、車両が走行する道路の方位として、例えば車両の前方の方位を測定する。また、標識認識部11は、さらに、車両の前方に対する、検出された標識の角度を算出する。また、標識認識部11は、例えば、検出された標識が標準的な大きさである場合の直径と、映像内の標識の直径と、撮影装置2のカメラパラメータから、撮影装置2から標識までの距離を算出する。そして、標識位置判定部13は、車両の前方の方位と、車両の前方に対する、検出された標識の角度と、撮影装置2から標識までの距離から、車両の位置に対する、検出された標識の方位を算出する。また、地図データ記憶部12は、標識が対象とする道路に対する標識の相対位置として、道路から標識の設置位置に向かう道路の垂線の方向を記憶していればよい。
【0076】
以上で説明した本実施形態には、複数の道路に近接して設置された標識への接近時に、走行中の道路を対象とする標識の情報を選択的に出力できるという効果がある。
【0077】
その理由は、標識位置判定部13が、撮影装置2が撮影した映像から検出された標識と車両が走行している道路に対する相対位置と、地図データ記憶部12が記憶する標識の、その標識が対象とする道路に対する相対位置の適合を判定するからである。標識の道路に対する相対位置は、例えば、道路を走行する車両の進行方向に対して、標識が道路の右側に設置されているか、左側に設置されているかを表す。そして、上述の2つの相対位置の適合が判定された場合、出力部14は、映像から検出された標識が表す情報を出力する。
【0078】
例えば、標識が対象とする道路の右側にその標識が設置されており、その標識の右側に隣接する道路を車両が走行している場合、車両に搭載された撮影装置2の映像に、その標識の像が含まれる。撮影装置2の映像から検出される全ての標識の情報を出力する場合、標識が撮影装置2の撮影の範囲に入れば、車両が走行する道路を対象としない標識の情報であっても、出力される。しかし、検出された標識と相対位置が適合する地図標識が存在しない場合、検出された標識の対象である道路は、車両が走行している道路ではない。本実施形態の標識位置判定部13は、検出された標識と相対位置が適合する地図標識が存在するか否かを判定する。そして、本実施形態の出力部14は、検出された標識と相対位置が適合する地図標識が存在する場合、標識が表す情報を出力する。本実施形態の出力部14は、検出された標識と相対位置が適合する地図標識が存在しない場合、検出された標識が表す情報を出力しない。このことにより、本実施形態の運転支援装置1は、車両が走行する道路が対象でない標識の情報の出力を抑制することができる。そして、本実施形態の運転支援装置1は、車両が走行する道路が対象である標識の情報を選択的に出力することができる。
【0079】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0080】
図1は、本実施形態の運転支援システム100の構成を表す図である。本実施形態の運転支援システム100の構成は、第1の実施形態の運転支援システム100の構成と同じである。以下では、主に、第1の実施形態に対する本実施形態の相違点について説明する。
【0081】
本実施形態では、相対位置は、第1の実施形態の相対位置に加えて、標識と道路との間の距離を含む。標識と道路の間の距離は、例えば、標識と道路の中心線との間の最短距離である。標識と道路の間の距離は、例えば、標識と道路の領域との間の最短距離であってもよい。標識と道路の間の距離は、他の方法によって測定された、標識と道路の間の近さを表す値であってもよい。
【0082】
図7は、道路と標識の配置の例を表す図である。
【0083】
図7に示す例では、道路602と道路603が存在する。道路603の左側の路側に、道路603を対象とする標識601が設置されている。道路603と標識601の間の距離は、距離604である。
【0084】
本実施形態の標識認識部11は、車両が走行する道路に対する、検出された標識の相対位置として、第1の実施形態における相対位置に加えて、車両が走行する道路と標識との間の距離を算出する。標識認識部11は、車両が走行する道路と標識との間の距離として、例えば、車両が走行する道路の中心線と標識の設置位置との間の距離を算出する。ただし、本実施形態では、標識認識部11は、車両が走行する道路の中心線と標識の設置位置との間の距離の近似値として、撮影装置2の光軸と、標識の設置位置との間の距離を算出する。すなわち、標識認識部11は、検出された標識の相対位置に含まれる距離、すなわち、車両が走行する道路と標識との間の距離として、撮影装置2の光軸と、標識の設置位置との間の距離を算出する。標識認識部11は、車両が走行する道路と標識との間の距離として、車両が走行する道路と標識との間の近さを表す他の値を算出してもよい。
【0085】
また、本実施形態の地図データ記憶部12は、標識が対象とする道路に対する、その標識の相対位置として、第1の実施形態の相対位置に加えて、標識が対象とする道路と標識との距離を記憶する。前述のように、道路と標識との間の距離は、例えば、道路の中心線と標識との間の距離である。標識の対象である道路が、複数の道路である場合、地図データ記憶部12は、各標識に対して、標識が対象とする各道路に対する距離を全て記憶していてもよい。
【0086】
図8は、地図データ記憶部12が記憶する標識データの例を表す図である。
図8を参照すると、本実施形態の地図データ記憶部12は、相対位置として、第1の実施形態の相対位置に相当する「方向」と、標識とその標識が対象とする道路との距離を表す「距離」を記憶する。
【0087】
本実施形態の他の構成要素は、同じ符号が付けられた第1の実施形態の構成要素と同じである。
【0088】
次に、本実施形態の運転支援装置1の動作について、図面を参照して詳細に説明する。
【0089】
図9は、本実施形態の運転支援装置1の動作を表すフローチャートである。
【0090】
本実施形態の運転支援装置1のステップS101からステップS105の動作は、それぞれ、第1の実施形態の運転支援装置1の同じ符号のステップの動作と同じである。
【0091】
ステップS105の動作の後、標識認識部11は、撮影装置2の光軸と標識の設置位置との間の距離を算出する(ステップS201)。撮影装置2の光軸と標識の設置位置との間の距離は、撮影装置2の光軸と標識の設置位置との間の最短距離である。
【0092】
図10は、標識と、道路と、道路を走行する車両の例を表す図である。
【0093】
図10の例では、車両700は道路603を走行している。また、道路603から分岐する道路602の左側に、標識601が設置されている。標識601と道路602の間の距離は、距離604である。また、車両700が搭載する撮影装置2の光軸701と、標識601の間の距離が、距離702である。
【0094】
図11は、標識601と撮影装置2の関係の例を表す図である。
【0095】
図11の例では、標識601を通り撮影装置2の光軸701と垂直な平面と、カメラ中心704の距離が、距離705である。また、撮影装置2の光軸701と、カメラ中心704と標識601を通る直線との間の角度が、角度706である。撮影装置2の画像面703上には、標識601の像が存在する。
【0096】
本実施形態の撮影装置2は、内部パラメータが既知のステレオカメラを含んで構成されていてもよい。撮影装置2がステレオカメラを構成に含む場合、標識認識部11は、立体視の原理に基づく既存のいずれかの方法により、ステレオカメラの映像から、カメラ座標系における標識の三次元位置を算出する。カメラ座標系における標識の三次元位置を算出する方法として、既存のさまざまな方法が適用可能である。標識認識部11は、算出された、カメラ座標系における標識の位置から、カメラの光軸から標識までの距離を算出する。この場合、カメラ座標系は、ステレオカメラを構成するいずれのカメラに基づく座標系であってもよい。カメラの光軸は、ステレオカメラを構成するいずれのカメラの光軸であってもよい。
【0097】
撮影装置2は、カメラの内部パラメータが既知の1台のカメラを含んで構成されていてもよい。撮影装置2が1台のカメラを構成に含む場合、標識認識部11は、検出された標識の標準的なサイズと、検出された標識の映像上におけるサイズと、撮影装置2のカメラの内部パラメータから、カメラの光軸と標識との間の距離を算出する。標識認識部11による、カメラの光軸と標識との間の距離の算出の方法は、例えば図形の相似の原理に基づいた、既存のいずれかの方法であればよい。
図11の例の場合、標識認識部11は、検出された標識の標準的なサイズと、検出された標識の映像上におけるサイズと、撮影装置2のカメラの内部パラメータから、カメラから道路標識までの距離705を推定する。また、標識認識部11は、検出された標識の画像上での水平位置から角度706の正接を算出する。そして、標識認識部11は、角度706の正接と距離705を掛け合わせて、光軸701から標識601までの距離702を推定する。
【0098】
本実施形態の運転支援装置1のステップS106からステップS110の動作は、それぞれ、第1の実施形態の運転支援装置1の同じ符号のステップの動作と同じである。
【0099】
検出された標識に適合する標識が存在する場合(ステップS110においてYes)、出力部14は、検出された標識と撮影装置2の光軸の距離と、検出された標識に適合する標識からその標識が対象とする道路までの距離を比較する。
【0100】
検出された標識と撮影装置2の光軸の距離と、検出された標識に適合する標識からその標識が対象とする道路までの距離との差が、所定値以上である場合(ステップS202においてNo)、運転支援装置1の動作はステップS101に戻る。
【0101】
検出された標識と撮影装置2の光軸の距離と、検出された標識に適合する標識からその標識が対象とする道路までの距離との差が、所定値より小さい場合(ステップS202においてYes)、出力部14は、検出された標識が表す情報を出力する(ステップS111)。
【0102】
上述の所定値は、検出された標識と撮影装置2の光軸の距離と、検出された標識に適合する標識からその標識が対象とする道路までの距離との差に対する閾値である。上述の所定値すなわち閾値は、一定値でなくてもよい。例えば、地図データ記憶部12は、各標識に対して、標識が対象とする道路で標識に最も近い道路に対する距離と、閾値を記憶していてもよい。この閾値は、例えば、標識が対象とする道路のうち、標識に最も近い道路と標識の距離と、標識から最も遠い道路と標識の距離との差以上の値であればよい。そして、出力部14は、ステップS202において上述の2つの距離の比較を行う際、標識に対応する閾値を、地図データ記憶部12から読み出せばよい。
【0103】
以上で説明した本実施形態には、第1の実施形態と同じ効果がある。その理由は、第1の実施形態の効果の理由と同じである。
【0104】
また、本実施形態には、複数の道路に近接して設置された標識への接近時に、走行中の道路を対象とする標識の情報を出力する際、走行中の道路を対象としない標識の情報の出力をさらに精度よく抑制することができるという効果がある。
【0105】
その理由は、出力部14が、前述の2つの相対位置が適合する場合、さらに、検出された標識と撮影装置2の光軸の距離と、検出された標識に適合する標識からその標識が対象とする道路までの距離を比較するからである。そして、出力部14は、比較が行われた2つの距離の差が、所定値より小さい場合、検出された標識が表す情報を出力するからである。
【0106】
例えば
図10の例で、設置されている標識601の対象である道路が、道路602だけである場合、道路603は標識601の対象ではない。しかし、標識601が、道路603を走行する車両が搭載する撮影装置2の撮影の範囲に含まれる場合、運転支援装置1は撮影装置2の映像から標識601を検出することがある。また、標識601は、標識601の対象である道路602の左側に設置されている。さらに、標識601は、車両が走行する道路603の左側に設置されている。従って、このような場合、第1の実施の形態の運転支援装置1は、車両が、標識601の対象でない道路603を走行していても、標識601の情報を出力する。
【0107】
しかし、車両が道路603を走行する場合、車両に搭載される撮影装置2の光軸と標識601の距離と、標識601が対象とする道路602と標識601の距離との差は、車両が道路602を走行する場合と比較すると、大きい。従って、出力部14が、比較が行われた2つの距離の差が、所定値より小さい場合、検出された標識が表す情報を出力することにより、本実施形態の運転支援装置1は、走行中の道路を対象としない標識の情報の出力をさらに精度よく抑制することができる。この所定値は、前述の2つの距離の差と、車両が標識の対象である道路を走行している場合とそれ以外の場合の判別が可能なように、予め設定されていればよい。地図データ記憶部12が、それぞれの標識に対して、前述の閾値として、この所定値を記憶していてもよい。
【0108】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0109】
図1は、本実施形態の運転支援システム100の構成を表す図である。本実施形態の運転支援システム100の構成は、第1の実施形態の運転支援システム100の構成と同じである。以下では、主に、第1の実施形態に対する本実施形態の相違点について説明する。
【0110】
本実施形態の相対位置は、第1の実施形態と同じである。
【0111】
本実施形態の標識認識部11は、さらに、検出された標識と撮影装置2の間の距離を算出する。
【0112】
本実施形態の地図データ記憶部12は、標識が対象とする道路に、標識からの距離が所定距離以内である分岐点が存在する各標識に対して、さらに、標識が対象とする道路の分岐点とその標識との間の距離を記憶する。標識が対象とする道路に複数の分岐点が存在する場合、地図データ記憶部12は、それらの分岐点のうち標識に最も近い分岐点までの距離を記憶していればよい。地図データ記憶部12は、分岐点と標識との間の距離に加えて、分岐点の座標を記憶していてもよい。標識が対象とする道路に複数の分岐点が存在する場合、地図データ記憶部12は、その標識に対して、標識を中心とした道路のそれぞれの方向で、標識に最も近い分岐点の座標とその分岐点から標識までの距離を記憶していてもよい。地図データ記憶部12が、一方通行でない道路に対して車両の走行方向毎に別の道路として道路データを記憶している場合、地図データ記憶部12は、車両が標識に接近する方向に存在する分岐点と標識の間の距離や、その分岐点の座標を記憶していればよい。
【0113】
図12は、道路と標識の配置の例を表す図である。
【0114】
図12に示す例では、道路201と道路202は、分岐点1102で分岐している。また、分岐点1102から標識203までの距離は、距離1103である。
【0115】
本実施形態の他の構成要素は、同じ符号が付された第1の実施形態の構成要素と同じである。
【0116】
次に、本実施形態の動作について、図面を参照して詳細に説明する。
【0117】
図13は、本実施形態の運転支援装置1の動作を表すフローチャートである。
【0118】
本実施形態の運転支援装置1のステップS101からステップS105の動作は、それぞれ、第1の実施形態の運転支援装置1の同じ符号のステップの動作と同じである。
【0119】
ステップS105の動作の後、標識認識部11は、撮影装置2と標識の設置位置との間の距離を算出する(ステップS301)。
【0120】
標識認識部11は、撮影装置2と標識の設置位置との間の距離として、撮影装置2のカメラ中心と標識の設置位置との間の距離を算出すればよい。標識認識部11は、第2の実施形態のステップS201の動作と同様の方法で、撮影装置2と標識の設置位置との間の距離を算出する。
【0121】
本実施形態の運転支援装置1のステップS106からステップS110の動作は、それぞれ、第1の実施形態の運転支援装置1の同じ符号のステップの動作と同じである。
【0122】
検出された標識に適合する標識が存在する場合(ステップS110においてYes)、出力部14は、検出された標識に適合する標識が対象とする道路における分岐点の有無を判定する(ステップS302)。
【0123】
出力部14は、地図データ記憶部12が、検出された標識に適合する標識に対して、分岐点までの距離を記憶している場合、検出された標識に適合する標識が対象とする道路に分岐点があると判定すればよい。出力部14は、地図データ記憶部12が、検出された標識に適合する標識に対して、分岐点までの距離を記憶していない場合、検出された標識に適合する標識が対象とする道路に分岐点が無いと判定すればよい。
【0124】
出力部14は、検出された標識に適合する標識の位置と、分岐点の位置と、位置測定部15が測定した車両の位置から、分岐点が標識より、車両の位置を基準として遠い場所にあるか否かを判定してもよい。この場合、出力部14は、分岐点が標識より、車両の位置を基準として近い場合に、分岐点が存在すると判定すればよい。
【0125】
検出された標識に適合する標識が対象とする道路における分岐点がない場合(ステップS302においてNo)、運転支援装置1の動作はステップS111に進む。
【0126】
検出された標識に適合する標識が対象とする道路における分岐点がない場合(ステップS302においてYes)、運転支援装置1の動作はステップS303に進む。
【0127】
出力部14は、検出された標識と撮影装置2の距離と、検出された標識に適合する標識とその標識が対象とする道路の分岐点との距離を比較する(ステップS303)。
【0128】
検出された標識と撮影装置2の距離が、検出された標識に適合する標識とその標識が対象とする道路の分岐点との距離より大きい場合(ステップS303においてNo)、運転支援装置1の動作はステップS101に戻る。
【0129】
検出された標識と撮影装置2の距離が、検出された標識に適合する標識とその標識が対象とする道路の分岐点との距離以下である場合(ステップS303においてYes)、出力部14は、検出された標識が表す情報を出力する(ステップS111)。
【0130】
本実施形態では、相対位置は、第2の実施形態と同様に、さらに、標識と道路との間の距離を含んでいてもよい。標識と道路の間の距離は、例えば、標識と道路の中心線との間の最短距離である。
【0131】
本実施形態の標識認識部11は、第2の実施形態の標識認識部11と同様に、車両が走行する道路に対する、検出された標識の相対位置として、第1の実施形態の相対位置に加えて、車両が走行する道路の中心線と標識の設置位置との間の距離を算出してもよい。
【0132】
また、本実施形態の地図データ記憶部12は、第2の実施形態の地図データ記憶部12と同様に、標識が対象とする道路に対する、その標識の相対位置として、第1の実施形態の相対位置に加えて、標識が対象とする道路の中心線と標識との距離を記憶してもよい。
【0133】
そして、標識認識部11は、
図13のステップS301の代わりに、ステップS301の動作を含む、
図9のステップS201の動作を行ってもよい。
【0134】
また、本実施形態の出力部14は、出力部14は、
図13のステップS110とステップS302の間に、
図9のステップS202の動作を行ってもよい。
【0135】
以上で説明した本実施形態には、第1の実施形態と同じ効果がある。その理由は、第1の実施形態の効果の理由と同じである。
【0136】
また、本実施形態には、複数の道路に近接して設置された標識への接近時に、走行中の道路を対象とする標識の情報を出力する際、走行中の道路を対象としない標識の情報の出力をさらに精度よく抑制することができるという効果がある。
【0137】
その理由は、検出された標識と撮影装置2の距離が、検出された標識に適合する標識とその標識が対象とする道路の分岐点との距離以下である場合、出力部14が、検出された標識が表す情報を出力するからである。
【0138】
道路を走行する車両の前方で、道路が分岐している場合、車両が分岐点を過ぎるまで、運転支援装置1は、分岐している道路のいずれに車両が進むか判断することはできない。車両が分岐点を過ぎる前に、検出された標識が表す情報を出力する場合、車両が進まない道路が対象である標識の情報を出力することがある。
【0139】
例えば、
図12に示す例では、車両1101が分岐点1102を過ぎるまで、運転支援装置1は、車両1101が道路201と道路202のどちらに進むか判断できない。標識203の対象である道路が道路202だけである場合、道路202から道路201に進む車両は標識203により規制されない。一方、車両1101が分岐点1102を過ぎる前に、車両1101に搭載された撮影装置2の映像から標識203が検出されることがある。出力部14が、車両1101が分岐点1102を過ぎる前に検出された標識203の情報を出力した場合、出力部14は、標識203の対象でない道路201に進む車両1101に対して、標識203の情報を出力する可能性がある。
【0140】
しかし、上述のように、本実施形態では、検出された標識と撮影装置2の距離が、検出された標識に適合する標識とその標識が対象とする道路の分岐点との距離以下である場合、出力部14が、検出された標識が表す情報を出力する。従って、出力部14は、標識203の対象でない道路201に進む車両1101に対して、標識203の情報を出力しない。よって、本実施形態の運転支援装置1は、複数の道路に近接して設置された標識への接近時に、走行中の道路を対象とする標識の情報を出力する際、走行中の道路を対象としない標識の情報の出力をさらに精度よく抑制することができる。
【0141】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0142】
図14は、本実施形態の運転支援装置1の構成を表す図である。
【0143】
図14を参照すると、本実施形態の運転支援装置1は、映像取得部10と、標識認識部11と、地図データ記憶部12と、標識位置判定部13と、出力部14とを含む。映像取得部10は、道路を走行する車両に搭載された撮影装置2から映像を取得する。標識認識部11は、前記映像から、標識を検出し、検出された前記標識である検出標識が表す情報と、前記道路に対する前記検出標識の相対位置である第1の相対位置を認識する。地図データ記憶部12は、前記道路に対する前記標識の相対位置である第2の相対位置を記憶する。標識位置判定部13は、前記第2の相対位置と前記第1の相対位置とが適合することを判定することにより、前記検出標識と、前記地図データ記憶部12が前記第2の相対位置を記憶する前記標識である地図標識との適合を判定する。出力部14は、前記検出標識と前記地図標識が適合すると判定された場合、前記検出標識が表す情報を出力する。
【0144】
以上で説明した本実施形態には、第1の実施形態の効果と同じ効果がある。その理由は、第1の実施形態の効果の理由と同じである。
【0145】
運転支援装置1、運転支援装置1Aは、それぞれ、コンピュータ及びコンピュータを制御するプログラム、専用のハードウェア、又は、コンピュータ及びコンピュータを制御するプログラムと専用のハードウェアの組合せにより実現することができる。
【0146】
図15は、運転支援装置1、運転支援装置1Aを実現するために使用される、コンピュータ1000の構成の一例を表す図である。
図15を参照すると、コンピュータ1000は、プロセッサ1001と、メモリ1002と、記憶装置1003と、I/O(Input/Output)インタフェース1004とを含む。また、コンピュータ1000は、記録媒体1005にアクセスすることができる。メモリ1002と記憶装置1003は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクなどの記憶装置である。記録媒体1005は、例えば、RAM、ハードディスクなどの記憶装置、ROM(Read Only Memory)、可搬記録媒体である。記憶装置1003が記録媒体1005であってもよい。プロセッサ1001は、メモリ1002と、記憶装置1003に対して、データやプログラムの読み出しと書き込みを行うことができる。プロセッサ1001は、I/Oインタフェース1004を介して、例えば、撮影装置2及び出力装置3にアクセスすることができる。プロセッサ1001は、記録媒体1005にアクセスすることができる。記録媒体1005には、コンピュータ1000を、運転支援装置1、又は運転支援装置1Aとして動作させるプログラムが格納されている。
【0147】
プロセッサ1001は、記録媒体1005に格納されている、コンピュータ1000を、運転支援装置1、又は運転支援装置1Aとして動作させるプログラムを、メモリ1002にロードする。そして、プロセッサ1001が、メモリ1002にロードされたプログラムを実行することにより、コンピュータ1000は、運転支援装置1、又は運転支援装置1Aとして動作する。
【0148】
映像取得部10は、例えば、プログラムを記憶する記録媒体からメモリに読み込まれた、各部の機能を実現するための専用のプログラムと、そのプログラムを実行するプロセッサにより実現することができる。標識認識部11は、例えば、プログラムを記憶する記録媒体からメモリに読み込まれた、各部の機能を実現するための専用のプログラムと、そのプログラムを実行するプロセッサにより実現することができる。標識位置判定部13は、例えば、プログラムを記憶する記録媒体からメモリに読み込まれた、各部の機能を実現するための専用のプログラムと、そのプログラムを実行するプロセッサにより実現することができる。出力部14は、例えば、プログラムを記憶する記録媒体からメモリに読み込まれた、各部の機能を実現するための専用のプログラムと、そのプログラムを実行するプロセッサにより実現することができる。位置測定部15は、例えば、プログラムを記憶する記録媒体からメモリに読み込まれた、各部の機能を実現するための専用のプログラムと、そのプログラムを実行するプロセッサにより実現することができる。位置推定部16は、例えば、プログラムを記憶する記録媒体からメモリに読み込まれた、各部の機能を実現するための専用のプログラムと、そのプログラムを実行するプロセッサにより実現することができる。また、地図データ記憶部12は、コンピュータが含むメモリやハードディスク装置により実現することができる。あるいは、映像取得部10、標識認識部11、地図データ記憶部12、標識位置判定部13、出力部14、位置測定部15、位置推定部16の一部又は全部を、各部の機能を実現する専用の回路によって実現することもできる。
【0149】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0150】
この出願は、2013年1月28日に出願された日本出願特願2013−013312を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。