(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電流検知部は、前記第一スイッチング素子の前記第二導通端子にカソードが接続されたツェナーダイオードと、前記ツェナーダイオードのカソードと前記第一制御部との間に接続された第四抵抗と、前記ツェナーダイオードに並列接続された第五抵抗と、一端が前記第一制御部に接続され、他端が前記ツェナーダイオードのアノードに接続された第二コンデンサーとを含み、
前記第二制御部は、前記第一ダイオードのアノードが前記ツェナーダイオードのカソードに接続され、前記第一ダイオードとは反対側の前記第一コンデンサーの端子が前記ツェナーダイオードのアノードに接続されている請求項1記載の電源装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、スイッチング素子の制御端子に接続された抵抗の抵抗値を上げると、スイッチング速度が遅くなり、スイッチング素子のターンオン時に発生する突入電流を抑制できる。
【0010】
しかしながら、この場合、抵抗値の上昇によりスイッチング損失が増大するため、通常動作モードにおいて、スイッチング素子の発熱や効率の悪化を招来する。
【0011】
また、特許文献1〜4はいずれもスイッチング素子の制御端子の抵抗値を切り替えることについての着目が全くないので、本開示とは、基本的な構成が相違する。
【0012】
本開示は、通常動作モードにおけるスイッチング損失を抑制すると同時に、間欠動作モードにおいて休止期間から連続期間に切り替わるときにスイッチング素子に過大な突入電流が発生することを抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の一態様における電源装置は、一次巻き線と二次巻き線とを備え、一次側の電力を二次側に伝送するトランスと、
前記一次巻き線に第一導通端子が接続された第一スイッチング素子と、
前記第一スイッチング素子の第二導通端子に接続され、前記第二導通端子に流れる電流を検知する電流検知部と、
前記電流検知部で検知された電流が所定の閾値より大きい場合、スイッチング動作を連続的に実行させる通常動作モードで前記第一スイッチング素子を駆動させ、前記検知された電流が前記閾値以下の場合、前記スイッチング動作を連続的に行う連続期間と前記スイッチング動作を休止させる休止期間とを繰り返す間欠動作モードで前記第一スイッチング素子を駆動させる第一制御部と、
前記第一スイッチング素子の制御端子及び前記第一制御部間に直列接続された第一、第二抵抗と、前記第二抵抗に並列接続された第二スイッチング素子とを含む抵抗値切替部と、
アノードが前記第二導通端子に接続された第一ダイオードと、一端が前記第一ダイオードのカソードに接続されると共に前記第二スイッチング素子の制御端子に接続されたベース抵抗と、前記ベース抵抗と並列接続された第一コンデンサーとを含み、前記休止期間において、前記第一コンデンサーの充電電圧を前記第二スイッチング素子のオン電圧より低下させ、前記第二スイッチング素子をオフさせる第二制御部とを備えている。
【0014】
本態様によれば、第一スイッチング素子のゲート抵抗の一部である第二抵抗をバイパスする第二スイッチング素子及び第二制御部が設けられている。これにより、間欠動作モードでは、休止期間において、第二スイッチング素子の制御端子の電圧がオン電圧を下回り、第二スイッチング素子はオフ状態となる。その結果、第一スイッチング素子の制御端子には第一抵抗及び第二抵抗が接続され、休止期間の終了後の連続期間の開始時点における第一スイッチング素子のターンオン時のスイッチング速度を遅くできる。その結果、連続期間の開始時点において過大な突入電流の発生を抑制できる。
【0015】
一方、通常動作モードでは、第二スイッチング素子は、第二制御部によりオンされるので、第二抵抗がバイパスされ、第一スイッチング素子の制御端子には第一抵抗が接続される。その結果、第一スイッチング素子のスイッチング速度が速くなるので、スイッチング損失が向上され、第一スイッチング素子の発熱や効率の悪化が防止され、トランスに振動音が発生することを防止できる。
【0016】
また、本開示の別の一態様における電源装置は、一次巻き線と二次巻き線とを備え、一次側の電力を二次側に伝送するトランスと、
前記一次巻き線に第一導通端子が接続された第一スイッチング素子と、
前記第一スイッチング素子の第二導通端子に接続され、前記第二導通端子に流れる電流を検知する電流検知部と、
前記電流検知部で検知された電流が所定の閾値より大きい場合、スイッチング動作を連続的に実行させる通常動作モードで前記第一スイッチング素子を駆動させ、前記検知された電流が前記閾値以下の場合、前記スイッチング動作を連続的に行う連続期間と前記スイッチング動作を休止させる休止期間とを繰り返す間欠動作モードで前記第一スイッチング素子を駆動させる第一制御部と、
前記第一スイッチング素子の制御端子及び前記第一制御部間に直列接続された第一、第二抵抗と、前記第二抵抗に並列接続された第二スイッチング素子とを含む抵抗値切替部とを備え、
前記第一制御部は、前記連続期間が開始されてから、前記第一スイッチング素子の1回目のオン期間が終了するまで、前記第二スイッチング素子をオフさせる。
【0017】
この態様では、第一スイッチング素子の制御端子に接続された第二抵抗をバイパスする第二スイッチング素子が設けられている。そして、間欠動作モードにおいて、連続期間が開始されてから第一スイッチング素子の1回目のオン期間が終了するまで、第一制御部により第二スイッチング素子がオフされる。これにより、第一スイッチング素子の制御端子には第一抵抗及び第二抵抗が接続され、連続期間の開始時点における第一スイッチング素子のターンオン時のスイッチング速度を遅くできる。その結果、連続期間の開始時点において過大な突入電流の発生を抑制できる。
【0018】
一方、通常動作モードでは、第一スイッチング素子は、第一制御部によりオンされるので、第二抵抗がバイパスされ、第一スイッチング素子の制御端子には第一抵抗が接続される。その結果、第一スイッチング素子のスイッチング速度が速くなるので、スイッチング損失が向上され、第一スイッチング素子の発熱や効率の悪化が防止され、トランスに振動音が発生することを防止できる。
【0019】
また、上記態様において、前記抵抗値切替部は、
前記第一スイッチング素子の制御端子に接続された前記第一抵抗と、アノードが前記第一抵抗に接続され、カソードが前記第一制御部に接続された第二ダイオードとを含む第一直列回路と、
前記第二ダイオードのアノードに接続された第三抵抗と、一端が前記第三抵抗に接続され、他端が前記第一制御部に接続された前記第二抵抗とを含む第二直列回路とを含んでもよい。
【0020】
この態様によれば、抵抗値切替部は、第一スイッチング素子の制御端子に接続された第一抵抗及びアノードが第一抵抗に接続され、カソードが第一制御部に接続された第二ダイオードを含む第一直列回路と、第二ダイオードのアノードに接続された第三抵抗及び一端が第三抵抗に接続され、他端が第一制御部に接続された第二抵抗を含む第二直列回路とを備えている。
【0021】
そのため、第一スイッチング素子がターンオフするときは、第二直列回路ではなく第一直列回路を介して第一スイッチング素子のゲート容量から電荷が引き抜かれるので、第一スイッチング素子のターンオフ時のスイッチング速度をターンオン時のスイッチング速度よりも大きくでき、スイッチング損失の低下を図ることができる。
【0022】
また、上記態様において、前記電流検知部は、前記第一スイッチング素子の前記第二導通端子にカソードが接続されたツェナーダイオードと、前記ツェナーダイオードのカソードと前記第一制御部との間に接続された第四抵抗と、前記ツェナーダイオードに並列接続された第五抵抗と、一端が前記第一制御部に接続され、他端が前記ツェナーダイオードのアノードに接続された第二コンデンサーとを含み、
前記第二制御部は、前記第一ダイオードのアノードが前記ツェナーダイオードのカソードに接続され、前記第一ダイオードとは反対側の前記第一コンデンサーの端子が前記ツェナーダイオードのアノードに接続されていてもよい。
【0023】
この態様によれば、第一スイッチング素子がオンすると、第一スイッチング素子の第二導通端子に流れる電流により第二コンデンサーが充電され、第二コンデンサーの充電電圧が第一制御部に入力され、第一制御部はこの充電電圧により第二導通端子の電流を測定することができる。そして、第二コンデンサーの一端には第四抵抗を介してツェナーダイオードのカソードが接続され、第二コンデンサーの他端にはツェナーダイオードのアノードが接続され、ツェナーダイオードには第五抵抗が並列接続されている。そのため、第二導通端子に流れる電流の増加により第五抵抗の電圧がツェナーダイオードの降伏電圧を超えると、ツェナーダイオードがオンし、第五抵抗間の電圧上昇が抑制される。これにより、第二コンデンサーの充電電圧がツェナーダイオードの降伏電圧以上になることが防止され、過大な電圧の入力により第一制御部が破損されることを防止できる。
【0024】
更に、第二制御部はツェナーダイオードと並列接続されているので、第二制御部の回路素子に過大な電圧が印加され、第二制御部を構成する回路素子の破損の防止を図ることができる。
【0025】
また、本態様の更に別の画像形成装置は、上記の電源装置を備える。
【0026】
この態様によれば、通常動作モードにおけるスイッチング損失を抑制すると同時に、間欠動作モードにおいて休止期間から連続期間に切り替わるときにスイッチング素子に突入電流が発生することを抑制する画像形成装置を提供できる。
【発明の効果】
【0027】
本開示によれば、通常動作モードにおけるスイッチング損失を抑制すると同時に、間欠動作モードにおいて休止期間から連続期間に切り替わるときにスイッチング素子に過大な突入電流が発生することを抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(実施の形態1)
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本開示の実施の形態1に係る電源装置が適用された画像形成装置1の内部構造の概略を示す図である。画像形成装置1は例えば、コピー、プリンター、スキャナー及びファクシミリの機能を有するデジタル複合機に適用することができる。画像形成装置1は装置本体100、装置本体100の上に配置された原稿読取部200、原稿読取部200の上に配置された原稿給送部300及び装置本体100の上部前面に配置された操作部400を備える。
【0030】
原稿給送部300は自動原稿送り装置として機能し、原稿載置部301に置かれた複数枚の原稿を、原稿読取部200が連続的に読み取るように原稿読取部200に搬送する。
【0031】
原稿読取部200は露光ランプ等を搭載したキャリッジ201、ガラス等の透明部材により構成された原稿台203、不図示のCCD(Charge Coupled Device)センサー及び原稿読取スリット205を備える。原稿台203に載置された原稿を読み取る場合、キャリッジ201を原稿台203の長手方向に移動させながらCCDセンサーにより原稿を読み取る。これに対して、原稿給送部300から給送された原稿を読み取る場合、キャリッジ201を原稿読取スリット205と対向する位置に移動させて、原稿給送部300から送られてきた原稿を、原稿読取スリット205を通してCCDセンサーにより読み取る。CCDセンサーは読み取った原稿を画像データとして出力する。
【0032】
装置本体100は用紙貯留部101、画像形成部103、及び定着部105を備える。用紙貯留部101は装置本体100の最下部に配置されており、用紙の束を貯留する用紙トレイ107を備える。用紙トレイ107に貯留された用紙の束において、最上位の用紙は、ピックアップローラー109により、用紙搬送路111へ向けて送出される。用紙は用紙搬送路111を通って、画像形成部103へ搬送される。
【0033】
画像形成部103は搬送された用紙にトナー画像を形成する。画像形成部103は感光体ドラム113、露光部115、現像部117、及び転写部119を備える。露光部115は画像データ(原稿読取部200から出力された画像データ、パソコンから送信された画像データ、ファクシミリ受信の画像データ等)に対応して変調された光を生成し、一様に帯電された感光体ドラム113の周面に照射する。これにより、感光体ドラム113の周面には画像データに対応する静電潜像が形成される。この状態で感光体ドラム113の周面に対して現像部117からトナーが供給され、周面には画像データに対応するトナー画像が形成される。このトナー画像は転写部119によって用紙貯留部101から搬送された用紙に転写される。
【0034】
トナー画像が転写された用紙は定着部105に送られる。定着部105において、トナー画像及び用紙に熱及び圧力が加えられ、トナー画像は用紙に定着される。用紙はスタックトレイ121又は排紙トレイ123に排紙される。以上のようにして、画像形成装置1はモノクロ画像を印刷する。
【0035】
操作部400は操作キー部401と表示部403とを備える。表示部403はタッチパネル機能を有しており、ソフトキーを含む画面を表示する。ユーザーは画面を見ながらソフトキーを操作することによって、コピー等の機能の実行に必要な設定等をする。
【0036】
操作キー部401にはハードキーからなる操作キーが設けられている。具体的には、操作キー部401には、スタートキー405、テンキー407、ストップキー409、リセットキー411、並びにコピー、プリンター、スキャナー及びファクシミリを切り換えるための機能切換キー413等が設けられている。
【0037】
スタートキー405はコピー、ファクシミリ送信等の動作を開始させるキーである。テンキー407はコピー部数、ファクシミリ番号等の数字を入力するキーである。ストップキー409はコピー動作等を途中で中止させるキーである。リセットキー411は設定された内容を初期設定状態に戻すキーである。
【0038】
機能切換キー413はコピーキー及び送信キー等を備えており、コピー機能、送信機能等を相互に切り替えるキーである。コピーキーを操作すれば、コピーの初期画面が表示部403に表示される。送信キーを操作すれば、ファクシミリ送信及びメール送信の初期画面が表示部403に表示される。
【0039】
図2は、画像形成装置1の構成を示すブロック図である。画像形成装置1は装置本体100、原稿読取部200、原稿給送部300、操作部400、全体制御部500、及び電源装置700がバスによって相互に接続された構成を有する。装置本体100、原稿読取部200、原稿給送部300及び操作部400に関しては既に説明したので、説明を省略する。
【0040】
電源装置700は、例えば、DC/DCコンバータで構成され、系統電源から供給される交流電力を直流電力に変換し、画像形成装置1の各部に供給する。電源装置700の詳細は後述する。
【0041】
全体制御部500はCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び画像メモリー等を備える。CPUは画像形成装置1を動作させるために必要な制御を、装置本体100等の画像形成装置1の上記構成要素に対して実行する。ROMは画像形成装置1の動作の制御に必要なソフトウェアを記憶している。RAMはソフトウェアの実行時に発生するデータの一時的な記憶及びアプリケーションソフトの記憶等に利用される。画像メモリーは画像データ(原稿読取部200から出力された画像データ、パソコンから送信された画像データ、ファクシミリ受信の画像データ等)を一時的に記憶する。
【0042】
図3は、本開示の実施の形態1における電源装置700の回路構成の一例を示す図である。
図3の例では、電源装置700として、フライバック方式のDC/DCコンバータがが示されているが、本開示はこれに限定されず、フォワード方式のDC/DCコンバータが採用されてもよい。
【0043】
フライバック方式は、スイッチング素子Q11のオン期間中にトランスTに電力を蓄積し、スイッチング素子Q11がオフに切り替わると、トランスTの逆起電力を利用して、トランスTで蓄積されていた電力を二次側に出力する方式である。フォワード方式は、スイッチング素子Q11のオン期間中に、トランスTを介して、電力を一次側から二次側へ送る方式である。
【0044】
トランスTは、一次側回路7Aに設けられた一次巻き線L1及び三次巻き線L3と、二次側回路7Bに設けられた二次巻き線L2とを備える。
【0045】
一次巻き線L1の端子T2は第一電位線Ln1を介して整流回路12の端子T5に接続されている。一次巻き線L1の端子T1は、スイッチング素子Q11のドレインに接続されている。三次巻き線L3は、端子T3が第一制御部71に接続され、端子T4が第二電位線Ln2と接続されている。第一電位線Ln1は第一電位を与える線路であり、第二電位線Ln2は第二電位を与える線路である。第二電位線Ln2は例えば、接地されており、第一電位は第二電位よりも高い。
【0046】
電源装置700は、整流回路12、一次側回路7A、二次側回路7B、及び検出部72を備える。整流回路12は、端子T5が第一電位線Ln1に接続され、端子T6が第二電位線Ln2に接続されている。整流回路12は、例えば、4つのダイオードを含む全波整流回路で構成され、系統電源11から供給される交流電力を全波整流し、コンデンサーCAに出力する。
【0047】
系統電源11は、例えば、電力会社から提供される、周波数が50Hz、60Hzの交流電力を供給する。但し、これは一例であり、画像形成装置1が使用される地域に応じた交流電力を供給する電源が系統電源11として採用される。
【0048】
一次側回路7Aと二次側回路7BとはトランスTを介して磁気的に接続されている。一次側回路7Aは、スイッチング素子Q11(第一スイッチング素子の一例)、一次巻き線L1、三次巻き線L3、コンデンサーCA、抵抗値切替部13、電流検知部14、第一制御部71、第二制御部15、及びコンデンサーCB等を備える。
【0049】
コンデンサーCAは、一端が第一電位線Ln1に接続され、他端が第二電位線Ln2に接続されている。コンデンサーCAは、例えば、電解コンデンサーで構成され、整流回路12で全波整流された交流電力を平滑化する。これにより、第一電位線Ln1に第一電位が与えられる。
【0050】
スイッチング素子Q11は、例えば、電界効果型のMOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor−Field−Efect−Transistor)で構成され、第一制御部71の制御の下、スイッチング動作を行う。
図3の例では、スイッチング素子Q11は、n型のMOSFETが採用され、ドレインが一次巻き線L1の端子T1に接続され、ゲートが抵抗値切替部13を介して第一制御部71に接続され、ソースが電流検知部14に接続されている。ここで、スイッチング素子Q11において、ドレインが第一導通端子の一例であり、ソースが第二導通端子の一例であり、ゲートが制御端子の一例である。
【0051】
なお、
図3の例では、スイッチング素子Q11としてn型のMOSFETを採用したが、p型のMOSFETが採用されてもよいし、バイポーラトランジスタが採用されてもよいし、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)が採用されてもよい。
【0052】
抵抗値切替部13は、第一直列回路13A、第二直列回路13B、及びスイッチング素子Tr11(第二スイッチング素子の一例)を備える。第一直列回路13Aは、スイッチング素子Q11のゲートに接続された抵抗R13(第一抵抗の一例)と、アノードが抵抗R13に接続され、カソードが第一制御部71に接続されたダイオードD2(第二ダイオードの一例)とを備える。
【0053】
第二直列回路13Bは、ダイオードD2のアノードに接続された抵抗R12(第三抵抗の一例)と、一端が抵抗R12に接続され、他端が第一制御部71に接続された抵抗R11(第二抵抗の一例)とを備える。
【0054】
スイッチング素子Tr11は、例えば、n型のバイポーラトランジスタで構成され、ベースがベース抵抗Rbを介して第二電位線Ln2に接続され、コレクタ及びエミッタが抵抗R11と並列接続されている。なお、スイッチング素子Tr11としては、p型のバイポーラトランジスタが採用されてもよいし、MOSFETが採用されてもよい。なお、スイッチング素子Tr11のベースは制御端子の一例である。
【0055】
スイッチング素子Q11がターンオンする際、ダイオードD2があるため、第一直列回路13Aではなく、第二直列回路13Bからスイッチング素子Q11のゲートに電荷が供給され、ゲート容量が充電される。一方、スイッチング素子Q11がターンオフする際、第一直列回路13Aからゲート容量に蓄積された電荷が引き抜かれる。
【0056】
スイッチング素子Tr11がターンオンすると、抵抗R11がバイパスされるため、スイッチング素子Q11のゲートに接続された抵抗(以下、「ゲート抵抗」と呼ぶ。)は抵抗R13,R12の2つとなる。一方、スイッチング素子Tr11がターンオフすると、抵抗R11が第二直列回路13Bに組み込まれるため、スイッチング素子Q11のゲート抵抗は、抵抗R13,R12,R11の3つとなる。よって、スイッチング素子Tr11がオンしている場合、オフしている場合に比べてゲート抵抗が小さくなるので、スイッチング速度が速くなる。一方、スイッチング素子Tr11がオフしている場合、オンしている場合に比べてゲート抵抗が大きくなるので、スイッチング素子Q11のターンオン時に発生する突入電流が抑制される。
【0057】
なお、抵抗R11,R12,R13の抵抗値の比は、例えば、2:3:1が採用できるが、これは一例である。また、抵抗R12は省かれてもよい。
【0058】
電流検知部14は、スイッチング素子Q11のソースに流れる電流を検知する。具体的には、電流検知部14は、ツェナーダイオードZD、抵抗R21,R22、及びコンデンサーC2を備える。
【0059】
ツェナーダイオードZDはカソードがスイッチング素子Q11のソースに接続され、アノードが第二電位線Ln2に接続されている。抵抗R21(第四抵抗の一例)は、ツェナーダイオードZDのカソードと第一制御部71との間に接続されている。コンデンサーC2(第二コンデンサーの一例)は、一端が第一制御部71に接続され、他端がツェナーダイオードZDのアノードに接続されている。抵抗R22(第五抵抗の一例)はツェナーダイオードZDと並列接続されている。
【0060】
スイッチング素子Q11がオンされると、ドレインソース間を流れる電流(以下、「ドレイン電流I」と呼ぶ。)の一部が抵抗R21を介してコンデンサーC2に供給され、コンデンサーC2が充電される。このコンデンサーC2の充電電圧は、ドレイン電流Iの測定値として第一制御部71に供給される。
【0061】
一方、ドレイン電流Iの増加により抵抗R22間の電圧が、抵抗R22に並列に接続されたツェナーダイオードZDの降伏電圧を超えるとツェナーダイオードZDがオンし、抵抗R22間の電圧上昇が抑制される。これにより、コンデンサーC2の充電電圧がツェナーダイオードZDの降伏電圧を超えることが防止され、過大な電圧が第一制御部71に供給されることが防止されている。
【0062】
検出部72は、一端が端子T7に接続され、他端が第一制御部71に接続され、二次側回路7Bから出力される電圧Voutを検出し、電圧Voutが所定の基準電圧より小さい場合、スイッチング素子Q11のゲートに供給するPWM信号のデューティー比を上昇させるデューティー上昇指令を第一制御部71に出力する。また、検出部72は、電圧Voutが基準電圧より大きい場合、デューティー比を低下させるデューティー低下指令を第一制御部71に出力する。また、検出部72は、電圧Voutが基準電圧と同じである場合、デューティー比を維持させるデューティー維持指令を第一制御部71に出力する。
【0063】
ここで、二次側回路7Bに接続された負荷Zが駆動しており、負荷Zの電力需要が高い場合、電圧Voutが低下するので、検出部72は、デューティー上昇指令を第一制御部71に出力する。一方、負荷Zが駆動しておらず、負荷Zの電力需要が低い場合、電圧Voutは上昇する或いは一定電圧を維持するので、検出部72はデューティー低下指令或いはデューティー維持指令を第一制御部71に出力する。
【0064】
第一制御部71は、例えば、ASICやFPGA等のハードウェア回路で構成されている。そして、第一制御部71は、検出部72からデューティー上昇指令が出力された場合、スイッチング素子Q11のゲートに供給するPWM信号のデューティー比を所定ステップ増大させる。また、第一制御部71は、検出部72からデューティー低下指令が出力された場合、スイッチング素子Q11のゲートに供給するPWM信号のデューティー比を所定ステップ低下させる。また、第一制御部71は、検出部72からデューティー維持指令が出力された場合、スイッチング素子Q11のゲートに供給するPWM信号のデューティー比を維持させる。これにより、検出部72からデューティー上昇指令が出力されている間、スイッチング素子Q11のPWM信号のデューティー比が所定ステップずつ増大されていき、電圧Voutが基準電圧に近づいていく。また、検出部72からデューティー低下指令が出力されている間、PWM信号のデューティー比が所定ステップずつ減少されていき、電圧Voutが基準電圧に近づいていく。また、検出部72からデューティー維持指令が出力されている間、PWM信号のデューティー比が維持される。以上の動作により電圧Voutが基準電圧に維持され、負荷Zに一定の電圧が供給される。
【0065】
また、第一制御部71は、電流検知部14で検知されたドレイン電流Iが所定の閾値より大きい場合、スイッチング動作を連続的に実行させる通常動作モードでスイッチング素子Q11を駆動させる。一方、第一制御部71は、電流検知部14で検知されたドレイン電流Iが閾値以下の場合、スイッチング動作を連続的に行う連続期間とスイッチング動作を休止させる休止期間とを繰り返す間欠動作モードでスイッチング素子Q11を駆動させる。
【0066】
負荷Zが駆動している場合、電圧Voutの低下に伴って、スイッチング素子Q11のPWM信号のデューティー比が増大されるので、ドレイン電流Iが増大する。一方、二次側回路7Bに接続された負荷Zが駆動していない場合、スイッチング素子Q11のPWM信号のデューティー比が低下或いは維持されるので、ドレイン電流Iが増大しない。
【0067】
そこで、第一制御部71は、ドレイン電流Iが閾値より大きければ、負荷Zが駆動されていると判断して、スイッチング素子Q11を通常動作モードで駆動させる。一方、第一制御部71は、ドレイン電流Iが閾値以下であれば、負荷Zが駆動されていないと判断し、スイッチング素子Q11を間欠動作モードで駆動させる。これにより、負荷Zが駆動されていない場合は、スイッチング素子Q11が間欠的に駆動されるので、消費電力の低下を図ることができる。なお、閾値としては、負荷Zが駆動されているとみなせる予め定められた値が採用されている。
【0068】
第二制御部15は、スイッチング素子Q11が間欠動作モードで動作されている場合、休止期間において、コンデンサーC1の充電電圧をスイッチング素子Tr11のオン電圧より低下させ、スイッチング素子Tr11をオフさせる。
【0069】
具体的には、第二制御部15は、ダイオードD1、ベース抵抗Rb、及びコンデンサーC1を備える。ダイオードD1(第一ダイオードの一例)は、アノードがスイッチング素子Q11のソースに接続されている。ベース抵抗Rbは一端がダイオードD1のカソードに接続されると共にスイッチング素子Tr11のベースに接続され、他端がツェナーダイオードZDのアノードに接続されている。コンデンサーC1は、ベース抵抗Rbと並列接続されている。
【0070】
スイッチング素子Q11がターンオンすると、ドレイン電流Iの一部がダイオードD1を介してコンデンサーC1を充電する。そして、コンデンサーC1の充電電圧が、スイッチング素子Tr11のオン電圧より大きくなると、スイッチング素子Tr11がオンする。これにより、抵抗R11がバイパスされ、スイッチング素子Q11のゲート抵抗は、抵抗R13,R12の2つとなり、スイッチング素子Tr11がオフしている場合に比べて低下する。
【0071】
また、間欠動作モードにおいて休止期間が開始されると、スイッチング素子Q11がスイッチング動作をしないので、コンデンサーC1へのドレイン電流Iの供給が停止され、コンデンサーC1の充電電圧は徐々に低下していく。そして、コンデンサーC1の充電電圧がスイッチング素子Tr11のオン電圧以下になると、スイッチング素子Tr11がオフする。これにより、抵抗R11が第二直列回路13Bに組み込まれ、休止期間では、スイッチング素子Q11のゲート抵抗は、抵抗R13,R12,R11の3つとなる。
【0072】
そして、休止期間が終了して連続期間が開始されると、スイッチング素子のスイッチング動作が再開され、ドレイン電流IによりコンデンサーC1が充電される。そして、コンデンサーC1の充電電圧がスイッチング素子Tr11のオン電圧より大きくなると、スイッチング素子Tr11がオンする。ここで、連続期間が開始されても、コンデンサーC1の充電電圧は、徐々に増大していくため、直ぐにスイッチング素子Tr11のオン電圧を超えることはできない。そのため、連続期間の開始時点においては、スイッチング素子Tr11がオフ状態となり、スイッチング素子Q11のゲート抵抗は、抵抗R13,R12,R11の3つで構成される。これにより、連続期間の開始時において過大な突入電流が発生することが抑制される。
【0073】
三次巻き線L3は、二次巻き線L2と磁気的に接続されている。また、三次巻き線L3は端子T3が第一制御部71に接続され、端子T4が第二電位線Ln2に接続されている。コンデンサーCBは、三次巻き線L3と並列接続されている。
【0074】
二次巻き線L2で発生した電圧は、3次巻き線L3に伝達され、コンデンサーCBで平滑化され、第一制御部71に供給される。これにより、三次巻き線L3及びコンデンサーCBにより第一制御部71に電力が補助的に供給される。
【0075】
二次側回路7Bは、二次巻き線L2、ダイオードD4、及びコンデンサーCCを備える。二次巻き線L2は一端がダイオードD4を介して端子T7に接続され、他端が端子T8と接続されている。ダイオードD4は、アノードが二次巻き線L2の一端と接続され、カソードが端子T7と接続されている。負荷Zは端子T7,T8に接続されている。
【0076】
二次巻き線L2で発生した電圧は、ダイオードD4で整流され、コンデンサーCCで平滑化され、電圧Voutとして負荷Zに供給される。
【0077】
負荷Zとしては、画像形成装置1を構成する電気機器が採用され、
図2に示す定着部105、画像形成部103、全体制御部500、原稿読取部200、原稿給送部300、操作キー部401、及び表示部403が採用できる。
【0078】
端子T2には、コンデンサー及び抵抗の並列回路からなるノイズ除去用のスナバ回路18が接続されている。また、スナバ回路18及び端子T1間には、アノードが端子T1に接続されカソードがスナバ回路18に接続されたダイオードD3が接続されている。ダイオードD3は、スナバ回路18から端子T1に向けて電流が流れることを阻止する。
【0079】
スイッチング素子Q11のドレインソース間には、コンデンサー及び抵抗の直列回路からなるノイズ除去用のスナバ回路17が接続されている。
【0080】
図4は、通常動作モードにおける電源装置700の波形の一例を示す図である。
図4において、一行目はスイッチング素子Q11のドレイン電流Iの波形図を示し、二行目はスイッチング素子Q11のゲートに供給されるPWM信号の波形図を示し、三行目はスイッチング素子Tr11のベースに供給されるベース電圧の波形図を示している。
【0081】
通常動作モードでは、第一制御部71は、スイッチング素子Q11を連続的にスイッチング動作させる。そのため、休止期間を設けることなくPWM信号がスイッチング素子Q11のゲートに供給される。PWM信号が立ち上がり、スイッチング素子Q11がターンオンされると、スイッチング素子Q11がオフされている期間に寄生容量に蓄積された電荷が一気に放電される。これにより、PWM信号の立ち上がり時にドレイン電流Iに突入電流Ipが発生する。その後、ドレイン電流IはPWM信号が立ち下がるまで、徐々に増大する。
【0082】
PWM信号がローレベルの期間では、コンデンサーC1にドレイン電流Iが供給されないので、コンデンサーC1の充電電圧の低下に伴ってベース電圧も徐々に減少する。通常動作モードでは、PWM信号がローレベルの期間が間欠動作モードにおける休止期間に比べて大幅に短い。また、コンデンサーC1の充電電圧は、PWM信号の立ち下がり時に瞬時に低下することはできず、徐々に低下していく。そのため、コンデンサーC1の充電電圧がスイッチング素子Tr11のオン電圧を下回る前に、PWM信号が立ち上げられ、コンデンサーC1にドレイン電流Iの供給が開始される。その結果、通常動作モードでは、ベース電圧は、スイッチング素子Tr11のオン電圧を下回らず、スイッチング素子Q11はオン状態を維持する。これにより、通常動作モードでは、ターンオン時における、スイッチング素子Q11のゲート抵抗が抵抗R13,R12の2つとなり、スイッチング損失の低下が図られている。
【0083】
図5は、間欠動作モードにおける電源装置700の波形の一例を示す図である。
図5において、一行目はスイッチング素子Q11のドレイン電流Iの波形図を示し、二行目はスイッチング素子Q11のゲートに供給されるPWM信号の波形図を示し、三行目はスイッチング素子Tr11のベースに供給されるベース電圧の波形図を示している。
【0084】
間欠動作モードでは、スイッチング素子Q11のスイッチング動作を連続的に実行させる連続期間TAと、スイッチング動作を休止させる休止期間TBとが繰り返される。ここで、連続期間TAと休止期間TBとの時間は予め定められた値が採用される。以下の説明において、連続期間TAと休止期間TBとを区別する場合、連続期間TAと休止期間TBとの後に「_1」、「_2」・・・の符号を付す。
【0085】
連続期間TA_1では、PWM信号が通常動作モードと同じようにスイッチング素子Q11に供給されている。連続期間TA_1の開始時点では、寄生容量に蓄積された電荷が一気に放電されて突入電流Ipが発生するため、ベース電圧は瞬時に増大し、その後、ドレイン電流IによりコンデンサーC1が充電され、コンデンサーC1の充電電流が徐々に増大していく。そして、時刻t1において、ベース電圧がスイッチング素子Tr11のオン電圧を超え、スイッチング素子Tr11がターンオンする。
【0086】
時刻t1以降の連続期間TA_1では、PWM信号のローレベルの期間が短いので、ベース電圧は、通常動作モードと同様、多少上下するが、スイッチング素子Tr11のオン電圧を下回らない。そのため、スイッチング素子Tr11は時刻t1以降の連続期間TA_1においてオン状態を維持する。そのため、ゲート抵抗が抵抗R13,R12の2つとなり、スイッチング損失の低下が図られている。
【0087】
連続期間TA_1が終了し、休止期間TB_1が開始されると、コンデンサーC1にドレイン電流Iが供給されなくなるため、コンデンサーC1は放電を開始し、コンデンサーC1の充電電圧が徐々に低下していく。また、これに伴って、スイッチング素子Tr11のベース電圧も徐々に低下していく。
【0088】
時刻t2では、コンデンサーC1の充電電圧がスイッチング素子Tr11のオン電圧を下回り、スイッチング素子Tr11がオフする。以降、休止期間TB_1では、ベース電圧は上昇しないため、スイッチング素子Tr11はオフ状態を維持する。
【0089】
休止期間TB_1が終了して、連続期間TA_2が開始されると、コンデンサーC1へのドレイン電流Iの供給が開始され、スイッチング素子Tr11のベース電圧が上昇していく。時刻t3では、時刻t1と同様、スイッチング素子Tr11がオンする。このように、間欠動作モードでは、連続期間TAと休止期間TBとが繰り返され、電源装置700は上記の動作を繰り返す。
【0090】
連続期間TAの開始時点では、PWM信号はハイレベルに立ち上げられるが、ベース電圧は、瞬時にスイッチング素子Tr11のオン電圧を超えることができないため、スイッチング素子Tr11は休止期間TBに引き続いてオフ状態を維持する。したがって、連続期間TAの開始時点では、ゲート抵抗は、抵抗R13,R12,R11の3つとなる。これにより、連続期間TAにおけるPWM信号の1パルス目の突入電流Ip_1は2パルス目以降の突入電流Ip_Xよりも小さくなっている。一方、連続期間TAにおいて2パルス目以降では、スイッチング素子Tr11がターンオンしているため、ゲート抵抗は、抵抗R13,R12の2つとなり、突入電流Ip_Xは突入電流Ip_1よりも大きくなっている。
【0091】
図6は、本開示の比較例における電源装置700Xの回路構成の一例を示す図である。なお、電源装置700Xにおいて電源装置700と同一の部材には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0092】
電源装置700Xは、第二制御部15を備えていない。また、電源装置700Xは、抵抗値切替部13に代えて、スイッチング素子Q21のゲートと制御部71Xの間に抵抗R23X及びダイオードD2が設けられている。具体的には、抵抗R23Xは、一端がスイッチング素子Q21のゲートに接続され、他端がダイオードD2のアノードに接続されている。ダイオードD2のカソードは制御部71Xに接続されている。抵抗R21XはダイオードD2と並列接続されている。
【0093】
制御部71Xは、第一制御部71と同様、電流検知部14が検知した電流を用いて、間欠動作モードと通常動作モードとを切り替える。
【0094】
スイッチング素子Q21がターンオンする場合、ダイオードD2があるため、ダイオードD2及び抵抗R23Xの経路ではなく、抵抗R21X,R23Xの経路で制御部71Xからゲート容量に電荷が注入される。一方、スイッチング素子Q21がターンオフする場合、ゲート容量に蓄積された電荷が抵抗R23X及びダイオードD2を介して引き抜かれる。そのため、電源装置700と同様、スイッチング素子Q21がターンオフする場合の方がターンオンする場合よりもゲート抵抗が低くされる。
【0095】
図7は、通常動作モードにおける電源装置700Xの波形の一例を示す図である。
図7のセクション(a)において、一行目はスイッチング素子Q21のドレイン電流Iの波形図を示し、二行目はスイッチング素子Q21のゲートに供給されるPWM信号の波形図を示している。
【0096】
図7のセクション(b)において、一行目はセクション(a)のPWM信号の1パルスの波形の拡大図であり、二行目はセクション(a)のドレイン電流Iの1パルスの波形の拡大図である。
【0097】
通常動作モードでは、電源装置700Xは電源装置700と同様、スイッチング素子Q21及び制御部71X間のゲート抵抗が抵抗R23X,R21Xの2つである。そのため、
図7のセクション(a)の一行目、二行目の電源装置700Xの波形図は、
図4の一行目、二行目の電源装置700の波形図と同じような波形を描いている。
【0098】
図7のセクション(b)の一行目の左側では抵抗R21Xが小さい場合のPWM信号の1パルス分の波形が示され、二行目の右側では抵抗R21Xの抵抗値を大きくした場合のPWM信号の1パルス分の波形が示されている。
【0099】
図7のセクション(b)の一行目の右側に示されるように、スイッチング素子Q21のゲートに印加されるPWM信号は、抵抗R21Xの値が増大するにつれて、スイッチング素子Q21のゲート抵抗の抵抗値が増大するため、立ち上がり時の傾きが緩やかになっている。
【0100】
これに伴い、
図7のセクション(b)の二行目に示されるように、抵抗R21Xの抵抗値が増大するにつれて、ドレイン電流Iの立ち上がり時に発生する突入電流Ipが小さくなっている。以上より、スイッチング素子Q21のゲート抵抗を増大させると、突入電流Ipが小さくできる。
【0101】
図8は、間欠動作モードにおける電源装置700Xの波形の一例を示す図である。
図8において、一行目はスイッチング素子Q21のドレイン電流Iの波形図を示し、二行目はスイッチング素子Q21のゲートに供給されるPWM信号の波形図を示している。
【0102】
図8に示されるように、間欠動作モードにおいて、電源装置700は電源装置700Xと同様、連続期間TAと休止期間TBとを繰り返す。
【0103】
そして、連続期間TAにおいて1パルス目に発生する突入電流Ip_1は2パルス目以降に発生する突入電流Ip_Xよりも大きくなっている。これは、休止期間TBの終了時点では、スイッチング素子Q11の寄生容量に大きな電荷が蓄積されており、この大きな電荷が連続期間TAの1パルス目において一気に放電されるからである。
【0104】
このように電源装置700Xでは、スイッチング素子Q21のターンオン時のゲート抵抗が常に抵抗R23X,R21Xの2つで構成されているため、連続期間TAの1パルス目において過大な突入電流Ipが発生するという問題がある。
【0105】
これに対し、電源装置700では、
図5に示されるように、連続期間TAの開始時点では、スイッチング素子Tr11がオフされているため、スイッチング素子Q11のゲート抵抗は、抵抗R13,R12,R11の3つで構成される。これにより、連続期間TAの1パルス目では、スイッチング素子Q11がターンオンする際のスイッチング速度が遅くなり、寄生容量に蓄積されている電荷が緩やかに放電される。そのため、
図5に示す突入電流Ip_1は
図8に示す突入電流Ip_1に比べて大幅に低下する。その結果、電源装置700は、連続期間TAの1パルス目で過大な突入電流Ip_1が発生することを防止できる。
【0106】
(実施の形態1の効果)
(1)
図7のセクション(b)の右図に示されるように、突入電流Ipを抑制するためには、抵抗R21Xの値を大きくしてスイッチング素子Q11のスイッチング速度を遅延させることも考えられる。しかしながら、これでは、通常動作モードにおいてもスイッチング素子Q11のスイッチング速度が遅くなるため、スイッチング損失が大きくなり、スイッチング素子Q11の発熱や効率の悪化を招来する。
【0107】
そこで、実施の形態1の電源装置700では、スイッチング素子Q11のゲート抵抗の一部である抵抗R11をバイパスするスイッチング素子Tr11と第二制御部15とが設けられている。これにより、間欠動作モードでは、休止期間TBにおいて、スイッチング素子Tr11のベース電圧がオン電圧を下回り、スイッチング素子Tr11はオフ状態となる。その結果、スイッチング素子Q11のベース抵抗は抵抗R11,R12,R13の3つとなり、休止期間TBの終了後の連続期間TAの開始時点におけるスイッチング素子Q11のターンオン時のスイッチング速度を遅くできる。その結果、連続期間TAの開始時点において過大な突入電流Ipの発生を抑制できる。
【0108】
一方、通常動作モードでは、スイッチング素子Tr11は、第二制御部15によりオンされるので、抵抗R11がバイパスされ、スイッチング素子Q11のゲート抵抗は抵抗R13,R12の2つで構成される。その結果、スイッチング素子Q11のスイッチング速度が速くなるので、スイッチング損失が向上され、スイッチング素子Q11の発熱や効率の悪化が防止され、トランスTに振動音が発生することを防止できる。
【0109】
(2)抵抗値切替部13は、スイッチング素子Q11のゲートに接続された抵抗R13及びアノードが抵抗R13に接続され、カソードが第一制御部71に接続されたダイオードD2を含む第一直列回路13Aと、ダイオードD2のアノードに接続された抵抗R12及び一端が抵抗R12に接続され、他端が第一制御部71に接続された第二直列回路13Bとを備えている。
【0110】
そのため、スイッチング素子Q11がターンオフするときは、第二直列回路13Bではなく第一直列回路13Aを介してスイッチング素子Q11のゲート容量から電荷が引き抜かれるので、スイッチング素子Q11のターンオフ時のスイッチング速度をターンオン時のスイッチング速度よりも速くでき、スイッチング損失の低下を図ることができる。
【0111】
(3)スイッチング素子Q11がオンすると、ドレイン電流IによりコンデンサーC2が充電され、コンデンサーC2の充電電圧が第一制御部71に入力され、第一制御部71はこの充電電圧によりドレイン電流Iを測定することができる。そして、コンデンサーC2の一端には抵抗R21を介してツェナーダイオードZDのカソードが接続され、コンデンサーC2の他端にはツェナーダイオードZDのアノードが接続されている。そのため、コンデンサーC2の充電電圧がツェナーダイオードZDの降伏電圧以上になることが防止され、過大な電圧の入力により第一制御部71の破損を防止できる。
【0112】
更に、第二制御部15はツェナーダイオードZDと並列接続されているので、第二制御部15の回路素子に過大な電圧が印加され、第二制御部15を構成する回路素子の破損を防止できる。
【0113】
(実施の形態2)
図9は、本開示の実施の形態2における電源装置700の回路構成の一例を示す図である。実施の形態2の電源装置700は、第二制御部15に代えて第一制御部701がスイッチング素子Tr11のオンオフを制御することを特徴とする。なお、本実施の形態において、実施の形態1と同じ部材には同一の符号を付して、説明を省略する。
【0114】
第一制御部701は、第一制御部71と同様、スイッチング素子Q11のスイッチング動作を制御する機能及び電流検知部14が検知した電流を用いて通常動作モードと間欠動作モードとを切り替える機能に加えて、更に、スイッチング素子Tr11のオンオフを制御する機能を備えている。そのため、実施の形態1では、スイッチング素子Tr11のベースは第二制御部15のベース抵抗Rbに接続されていたが、実施の形態2では、スイッチング素子Tr11のベースはベース抵抗R31を介して第一制御部701と接続されている。それ以外の構成は、実施の形態2の電源装置700は実施の形態1の電源装置700と同じである。
【0115】
第一制御部701は、連続期間TAが開始されてから、スイッチング素子Q11の1回目のオン期間が終了するまで、スイッチング素子Tr11をオンさせ、それ以外の期間、スイッチング素子Tr11をオフさせる。
【0116】
図10は、本開示の実施の形態2の電源装置700における間欠動作モードの波形の一例を示す図である。
図10において、一行目はスイッチング素子Q11のドレイン電流Iの波形図を示し、二行目はスイッチング素子Q11のゲートに供給されるPWM信号の波形図を示している。
【0117】
図10の二行目に示されるように、第一制御部701は、連続期間TAの開始時点からPWM信号の1パルス目がハイレベルの期間TMにおいて、スイッチング素子Tr11をオフする。これにより、第二直列回路13Bに抵抗R11が組み込まれ、スイッチング素子Q11のターンオン時のゲート抵抗は、R13,R12,R11の3つで構成される。そのため、期間TMにおいてスイッチング速度が低下され、連続期間TAの開始時点でスイッチング素子Q11の寄生容量に蓄積されている電荷が緩やかに放電される。その結果、
図10の一行目に示されるように、連続期間TAの1パルス目における突入電流Ip_1が
図8の一行目に示される、突入電流Ip_1より大幅に小さくなっている。
【0118】
期間TMが終了すると、第一制御部701は、スイッチング素子Tr11をオンする。これにより、抵抗R11がバイパスされ、スイッチング素子Q11のターンオン時のゲート抵抗は、抵抗R13,R12の2つで構成され、スイッチング損失の低下が図られている。また、連続期間TAの2パルス目以降では、PWM信号がローレベルになっている期間が短いので、スイッチング素子Q11の寄生容量に蓄積される電荷量は、連続期間TAの開始時ほど大きくないので、突入電流Ip_Xは突入電流Ip_1に比べて小さくなっている。そのため、スイッチング素子のゲート抵抗を抵抗R13,R12,R11の3つで構成しても、突入電流Ipは抑制されている。
【0119】
以後、次の連続期間TAが開始されるまで、スイッチング素子Tr11はオンされ、スイッチング損失の低下が図られている。そして、再度、連続期間TAが開始されると、期間TMにおいて、スイッチング素子Tr11がオフされ、スイッチング素子Q11のゲート抵抗が抵抗R13,R12,R11の3つで構成され、連続期間TAの1パルス目において過大な突入電流Ipが発生することが抑制されている。
【0120】
(実施の形態2の効果)
実施の形態1の(2),(3)の効果に加えて更に下記の効果が得られる。実施の形態2の電源装置700では、スイッチング素子Q11のゲート抵抗の一部である抵抗R11をバイパスするスイッチング素子Tr11が設けられている。そして、間欠動作モードにおいて、連続期間TAが開始されてからスイッチング素子Q11の1回目のオン期間が終了するまで、第一制御部71によりスイッチング素子Tr11がオフされる。これにより、スイッチング素子Q11のゲート抵抗は抵抗R11,R12,R13の3つとなり、連続期間TAの開始時点におけるスイッチング素子Q11のターンオン時のスイッチング速度を遅くできる。その結果、連続期間TAの開始時点において過大な突入電流Ipの発生を抑制できる。
【0121】
一方、通常動作モードでは、スイッチング素子Tr11は、第一制御部701によりオンされるので、抵抗R11がバイパスされ、スイッチング素子Q11のゲート抵抗は抵抗R13,R12の2つで構成される。その結果、スイッチング素子Q11のスイッチング速度が速くなるので、スイッチング損失が向上され、スイッチング素子Q11の発熱や効率の悪化が防止され、トランスTに振動音が発生することを防止できる。