(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るプリンター100(画像形成装置)の斜視図、
図2は、プリンター100の本体カバー100Cが開放された斜視図、
図3は、プリンター100の内部構造を概略的に示す断面図である。プリンター100は、いわゆるモノクロプリンター機であるが、他の実施形態において、画像形成装置は、カラープリンター、ファクシミリ装置、これらの機能を備える複合機等であってもよい。
【0020】
プリンター100は、シートSに画像を形成するための各種の装置を収容する本体ハウジング101を備える。本体ハウジング101は、当該本体ハウジング101の上面を規定する上壁102と、その底面を規定する底壁103(
図3)と、上壁102と底壁103との間の後壁105(
図3)と、後壁105の前方に位置する前壁104とを含む。本体ハウジング101は、各種の装置が配置される内部空間107を備える。本体ハウジング101の内部空間107には、シートSが所定の搬送方向に搬送されるシート搬送路PPが備えられている。本体ハウジング101の一部は、
図2に示すように、本体カバー100Cによって開放可能である。本体カバー100Cがヒンジ軸108の軸回りに回動して上方に開放されると、内部空間107の上方が外部に開放される。この開放により露出する部分は、後述のトナーコンテナ30を収容するためのコンテナ収容部109である。
【0021】
上壁102の中央部には、排紙部102Aが配置されている。排紙部102Aには、後述の画像形成部120において画像が形成されたシートSが排出される。前壁104の上下方向の中央部には、手差しトレイ104Aが配置されている。手差しトレイ104Aは、その下端を支点として、上下に回動可能である(
図3の矢印DT)。
【0022】
図3を参照して、プリンター100は、カセット110、ピックアップローラー112、第1給紙ローラー113、第2給紙ローラー114、搬送ローラー115、レジストローラー対116、画像形成部120及び定着装置130を備えている。
【0023】
カセット110は、内部にシートSを収容する。カセット110は、シートSの先頭縁を押し上げるように傾斜するリフト板111を備える。ピックアップローラー112は、リフト板111によって押し上げられたシートSの先頭縁上に配置されている。ピックアップローラー112が回転すると、シートSはカセット110から引き出される。第1給紙ローラー113は、ピックアップローラー112の下流に配設され、シートSを更に下流に送り出す。第2給紙ローラー114は、手差しトレイ104Aの支点の内側(後側)に配設され、手差しトレイ104A上のシートSを本体ハウジング101内に引き込む。
【0024】
搬送ローラー115は、第1給紙ローラー113、第2給紙ローラー114のシート搬送方向の下流側に配置されている。搬送ローラー115は、第1給紙ローラー113、第2給紙ローラー114によって送り出されたシートSを更に下流へ搬送する。レジストローラー対116は、シートSの斜め搬送を矯正する機能を有する。また、レジストローラー対116は、画像形成部120による画像形成のタイミングに合わせて、シートSを画像形成部120に供給する。
【0025】
画像形成部120は、感光体ドラム121(像担持体)、帯電器122、露光装置123、現像装置20、トナーコンテナ30(現像剤収容容器)、転写ローラー126及びクリーニング装置127を備える。
【0026】
感光体ドラム121は、円筒状の部材であり、その周面に静電潜像及びトナー像(現像剤像)を担持する。帯電器122は、感光体ドラム121の周面を略一様に帯電させる。露光装置123は、感光体ドラム121の周面に静電潜像を形成する。露光装置123は、レーザーダイオード等の光源、偏向体、走査レンズ及び光学素子等を備え、帯電器122によって略一様に帯電された感光体ドラム121の周面に対して、画像データに応じたレーザー光を照射する。
【0027】
現像装置20は、静電潜像が形成された感光体ドラム121の周面にトナー(現像剤)を供給する。トナーコンテナ30は、トナーを収容する容器であって、現像装置20に対して前記トナーを補給する。現像装置20がトナーを感光体ドラム121に供給することにより、感光体ドラム121の周面に形成された静電潜像が現像(可視化)される。この結果、感光体ドラム121の周面に、トナー像が形成される。現像装置20及びトナーコンテナ30の詳細構造は後記で詳述する。
【0028】
転写ローラー126は、感光体ドラム121に対し下方から対向して配設され、両者で転写ニップ部を形成している。転写ローラー126には転写バイアスが与えられ、感光体ドラム121に形成されたトナー像をシートに転写させる。クリーニング装置127は、シートSへトナー画像が転写された後に、感光体ドラム121の周面に残るトナーを除去する。
【0029】
定着装置130は、ヒーターを内蔵する定着ローラー131と、該定着ローラー131に対向配置された加圧ローラー132とを備える。定着装置130は、トナー像が転写されたシートを加熱加圧することにより、トナー像をシートに定着させる。定着装置130の下流には、搬送ローラー対133と、搬送ローラー対133の下流に配設された排出ローラー対134とが配置されている。定着処理後のシートSは、搬送ローラー対133によって上方に搬送され、最終的に、排出ローラー対134によって、本体ハウジング101から排出される。本体ハウジング101から排出されたシートSは、排紙部102A上に積み重ねられる。
【0030】
以上の通り構成されたプリンター100において、本実施形態では、現像装置20にトナーコンテナ30が組み付けられており、これらが本体ハウジング101に対して一体的に着脱される。着脱の機会は種々有るが、ユーザーが前記着脱を主に行うのは、シート搬送路PPにおいてシートジャムが発生した場合である。
【0031】
図4(A)〜(C)は、シートジャムの処理時における本体ハウジング10内の状況を経時的に示す断面図である。
図4(A)は、カセット110からシートSが未だ繰り出されていない状態を示している。現像装置20とトナーコンテナ30との組立体Uは、本体ハウジング101の内部空間107の所定位置に組み付けられている。なお、手差しトレイ104Aは、開放されている状態が示されている。
【0032】
図4(B)は、シート搬送路PPにおいてシートジャムが発生した状態を示す。ここでは、感光体ドラム121と転写ローラー126との間の転写ニップ部付近においてジャムシートJSが滞留している例が示されている。ジャムシートJSの上方の内部空間107には組立体Uが存在しているため、ユーザーはこのままでは当該ジャムシートJSを取り除くことが出来ない。従って、ジャム処理時には、組立体Uが本体ハウジング10から取り出される。
【0033】
図4(C)は、組立体Uが本体ハウジング10から取り出されている状態を示している。組立体Uの取り出しに際しては、本体カバー100Cが上方に開放される(
図2も参照)。そして、組立体Uが内部空間107から上方に取り出される。これによって、ジャムシートJSの上方は障害物が存在しない状態となるので、ユーザーはジャムシートJSを前記転写ニップ部から抜き取ることができる。ジャム処理後、ユーザーは組立体Uを内部空間107に組み付け、本体カバー100Cを閉じる。
【0034】
本体カバー100Cの開閉を検知するために、本体ハウジング101には開閉センサー40(第2センサー)が取り付けられている。開閉センサー40はスイッチ部を備え、本体カバー100Cが閉じた状態であるとき、前記スイッチ部が本体カバー100Cの一部と干渉することで開閉センサー40はON状態となる。一方、本体カバー100Cが開放されると、前記干渉が開放されることで開閉センサー40はOFF状態となる。従って、この開閉センサー40の出力をモニターすることによって、組立体U(トナーコンテナ)の本体ハウジング101に対する着脱を検知することができる。実際には、組立体Uが所定位置に組み付けられていることを検知するセンサー(図略)の出力と、開閉センサー40の出力とに基づいて、組立体Uの取り出し、その後の装着の検知、並びにプリンター100の駆動再開が可能な状態の判定等が行われる。
【0035】
続いて、現像装置20について詳述する。
図5は、現像装置20の内部構造を示す平面図である。現像装置20は、一方向(左右方向)に長尺の箱形形状を有する現像ハウジング210を備える。現像ハウジング210は、貯留空間220とトナー補給口25とを含む。貯留空間220には、現像ローラー21と、第1攪拌スクリュー23及び第2攪拌スクリュー24とが配設されている。本実施形態では、一成分現像方式が適用され、この貯留空間220には、磁性成分を含む磁性トナーが現像剤として充填されている。二成分現像方式が適用される他の実施形態では、トナーと磁性体からなるキャリアとが混合された現像剤が、貯留空間220に充填される。トナーは、貯留空間220内において攪拌搬送され、静電潜像を現像するために、逐次現像ローラー21から感光体ドラム121に供給される。現像ローラー21は、現像ハウジング210の長尺方向に延設される円筒形状を有し、外周に回転駆動されるスリーブ部分を有する。
【0036】
現像ハウジング210の貯留空間220は、不図示の天板によって覆われるとともに、左右方向に延びる仕切り板22によって、左右方向に長尺の第1搬送路221と第2搬送路222とに区画されている。仕切り板22は、現像ハウジング210の左右方向の幅よりも短く、仕切り板22の右端及び左端には、第1搬送路221と第2搬送路222とをそれぞれ連通させる第1連通路223及び第2連通路224が備えられている。これにより、貯留空間220には、第1搬送路221、第2連通路224、第2搬送路222及び第1連通路223に至る循環経路が形成されている。トナーは、
図5において矢印D1、D2で示す通り、前記循環経路内を時計回りに搬送される。
【0037】
トナー補給口25は、前記天板に穿孔された開口であり、第1搬送路221の右端付近の上方に配置されている。トナー補給口25は、上記の循環経路に対向して配置され、トナーコンテナ30から補給される補給トナーを貯留空間220に受け入れるための開口である。
【0038】
第1攪拌スクリュー23は、第1搬送路221に配設されている。第1攪拌スクリュー23は、第1回転軸23aと、この第1回転軸23aの周上にスパイラル状に突設された第1螺旋羽根23bとを含む。第1攪拌スクリュー23は、第1回転軸23a回りに回転駆動されることで、
図5の矢印D1方向にトナーを搬送する。第1攪拌スクリュー23は、トナー補給口25が第1搬送路221に対向する位置を通過するように現像剤を搬送する。これにより、第1攪拌スクリュー23は、トナー補給口25から流入する新しいトナーと、第2搬送路222側から第1搬送路221に搬入されたトナーとを混合しながら搬送する。第1攪拌スクリュー23によってD1方向の下流端まで搬送されたトナーは、第2連通路224を経て第2搬送路222に受け渡される。
【0039】
第1攪拌スクリュー23の、トナー補給口25よりもトナー搬送方向の下流側には、第1螺旋羽根23bの外径が左右方向の一定区間だけ部分的に径小とされた、小羽根部26が形成されている。この小羽根部26においては、第1螺旋羽根23bの他の部分に比べて、羽根径が小さい分だけトナーの搬送能力が低下する。すなわち、小羽根部26が形成された領域は、トナーの搬送能力を部分的に抑制する搬送能力抑制部27となる。搬送能力抑制部27は、トナー補給口25の付近においてトナーを滞留させるために設けられている。
【0040】
第2攪拌スクリュー24は、第2搬送路222に配設されている。第2攪拌スクリュー24は、第2回転軸24aと、この第2回転軸24aの周上にスパイラル状に突設された第2螺旋羽根24bとを含む。第2攪拌スクリュー24は、第2回転軸24a回りに回転駆動されることで、矢印D2方向にトナーを搬送しながら、現像ローラー21にトナーを供給する。第2攪拌スクリュー24によってD2方向の下流端まで搬送されたトナーは、第1連通路223を経て第1搬送路221に受け渡される。
【0041】
トナーコンテナ30(
図3)は、現像ハウジング210のトナー補給口25の上方に配置されている。トナーコンテナ30は、トナー排出口319(現像剤排出口)を備える。現像装置20のトナー補給口25は、トナー排出口319の下方に対応する位置において現像ハウジング210に開口されている。トナーコンテナ30に貯留されているトナーは、トナー排出口319からトナー補給口25を通して現像ハウジング210内に補給される。
【0042】
本実施形態では、現像装置20へトナーを補給する方式として、現像装置20内のトナーを検出するセンサー類に依存せず、現像装置20内のトナー量が減少するとトナーコンテナ30から自ずとトナーが補給される体積補給方式を採用している。この体積補給方式における、トナー補給口25から新たに補給されるトナーの流れについて説明する。
図6は、現像装置20のトナー補給口25とトナーコンテナ30のトナー排出口319との結合部付近を模式的に示す断面図である。
【0043】
トナー排出口319から供給された補給トナーT2は、第1搬送路221に落下して既存のトナーT1と混合され、第1攪拌スクリュー23により矢印D1方向に搬送される。この際、トナーT1、T2は攪拌され、帯電される。第1攪拌スクリュー23は、上述の通り、トナー補給口25よりトナー搬送方向下流側に、トナーの搬送性能が比較的低い搬送能力抑制部27を備える。貯留空間220に十分にトナーが存在する状態で第1攪拌スクリュー23が回転駆動されると、搬送能力抑制部27においてトナーT1が滞留し始める。トナーT1は、搬送能力抑制部27の直ぐ上流側であって、トナー補給口25が第1搬送路221に対向する位置まで滞留する。この結果、トナー補給口25の入口は滞留したトナーT1によって塞がれることになる。
【0044】
従って、貯留空間220に十分にトナーが存在する状態では、補給トナーT2はトナー排出口319から落下することができない。よって、補給トナーT2の補給は規制される。一方、貯留空間220内のトナーが消費され搬送能力抑制部27で滞留するトナーが減少すると、トナー補給口25を塞いでいたトナーも減少する。この結果、補給トナーT2はトナー補給口25から第1搬送路221(貯留空間220)に流入することが可能となり、トナーの補給が実現される。なお、現像装置20にトナーセンサーを付設し、該トナーセンサーに完全に依存してトナー補給を行わせる場合(体積補給方式を採用しない場合)は、搬送能力抑制部27を設けない構成としても良い。
【0045】
次に、本実施形態に係るトナーコンテナ30の詳細構造について説明する。
図7は、トナーコンテナ30の側面図、
図8はトナーコンテナ30の左右方向の断面図である。トナーコンテナ30は、コンテナ本体31(容器本体)、攪拌ディスク32、シャフト33(シャフト部)、移動壁34、スポンジシール36、蓋部37、回転ギア38及びカバー39を備える。
【0046】
コンテナ本体31は、筒型の形状を備えたトナーコンテナ30の本体部分である。コンテナ本体31は、内周部311と内部空間312とを備える。内周部311は、コンテナ本体31の内周面であって、トナーコンテナ30の長手方向である左右方向に沿って筒状に延びている。内部空間312は、トナーを収容することが可能な空間である。内部空間312は、筒状の胴部314(内部空間を区画する壁)と、胴部314の左端側を封止する左壁315と、胴部314の右端側を封止するフランジ部316及び蓋部37とによって区画されている。内部空間312のうち、左壁315、後記の移動壁34及び内周部311によって画定される領域が、収容空間313である。収容空間313は、トナーコンテナ30の内部において、トナーが実際に収容される空間である。
【0047】
コンテナ本体31は、シャッター部材317、第1ガイド部318及びトナー排出口319(現像剤排出口)を備える。シャッター部材317はU字型の形状を備え、コンテナ本体31の左端付近の外周上に、該コンテナ本体31に対して左右方向に移動可能に装着されている。第1ガイド部318は、左壁315の外側において、上下方向に延びる突出部である。第1ガイド部318は、後記の第2ガイド部392とともに、トナーコンテナ30の本体ハウジング101への装着をガイドする。
【0048】
トナー排出口319は、コンテナ本体31の左端(第1方向の下流端)付近の下方位置において胴部314を貫通する開口であり、内部空間312と外部とを連通させる開口である。シャッター部材317は、トナー排出口319をコンテナ本体31の外周側から封止する閉止姿勢と、トナー排出口319を開放させる開放姿勢との間で姿勢変更する部材である。収容空間313に収容されたトナーは、トナー排出口319が開口された状態であるとき、当該トナー排出口319から現像装置20(トナー補給口25)に向かって排出される。
【0049】
攪拌ディスク32は、円板形状からなる板部材である。攪拌ディスク32は、後記のシャフト33の第2シャフト端部332に固定され、シャフト33と一体回転する。攪拌ディスク32は、コンテナ本体31内の左壁315付近に配置され、トナー排出口319の上方に存在するトナーを攪拌する。なお、収容空間313に収容されるトナーの流動性が低い場合には、収容空間313に向かって右方へ突出する突起部を攪拌ディスク32に設けても良い。
【0050】
シャフト33は、内部空間312において左右方向(本実施形態では右から左に向かう方向が「第1方向」であり、右側が「上流側」、左側が「下流側」である)に延びるように配置され、コンテナ本体31および後記の蓋部37によって回転可能に支持されている。シャフト33は、その軸回りにモーターMによって回転駆動される。シャフト33は、第1シャフト端部331、第2シャフト端部332、雄螺旋部333及び移動壁停止部334を備えている。
【0051】
第1シャフト端部331は、シャフト33の右端であって、蓋部37の蓋軸穴部37Jに軸支されている。第2シャフト端部332は、シャフト33の左端であって、コンテナ本体31の左壁315に設けられた軸受部31Jに軸支されている。雄螺旋部333は、シャフト33の外周面に所定のピッチで形成された螺旋状のねじ部である。本実施形態の雄螺旋部333は、シャフト33のうち、フランジ部316と対向する位置からトナー排出口319に近い位置までの領域に形成されている。移動壁停止部334は、雄螺旋部333の左端に隣接して配置され、雄螺旋部333のような凸部分が存在しない軸部分のみの領域である。移動壁停止部334は、トナー排出口319の上方及びこれの右隣の領域に位置する。
【0052】
移動壁34は、内部空間312内に配置され、この内部空間312においてシャフト33に沿って右方(第1方向の上流側)から左方(下流側)に移動する。移動壁34は、トナーが現に収容される収容空間313の右端面を画定する壁である。移動壁34は、トナーコンテナ30の使用開始時から使用終了時までの間、予め設定された初期位置から内部空間312内をトナー排出口319に対向する最終位置まで移動する。この際、移動壁34は、収容空間313のトナーをトナー排出口319に向けて搬送する。移動壁34はシャフト33の雄螺旋部333に係合しており、モーターMの駆動によりシャフト33が回転されることによって、矢印DA方向に移動する。
【0053】
移動壁34は、壁本体部340、移動壁軸穴部34J、外周壁部341、内壁シール342、シャフトシール343及び外周部344を備えている。壁本体部340は、収容空間313を画定する壁部の一部であって、シャフト33に垂直な搬送面340Sを備える。搬送面340Sは、移動壁34の左側の面(下流側に向かう面)に備えられ、移動壁34の移動に伴って、収容空間313内のトナーを押圧しながら搬送する。壁本体部340の中心には、シャフトシール343を保持すると共に、シャフト33を貫通させる円筒孔が形成されている。移動壁軸穴部34Jは、壁本体部340の右面中央から右方に突出した筒状部分である。移動壁軸穴部34Jの内周面には、シャフト33の雄螺旋部333と係合する雌螺旋部345が設けられている。
【0054】
外周壁部341は壁本体部340の側周壁であり、コンテナ本体31の内周部311と所定のギャップを置いて対向している。内壁シール342は、外周壁部341の周囲を覆うように配置されるシール部材であって、内周部311と外周壁部341との間で圧縮変形している。移動壁34の矢印DA方向へ移動時、内壁シール342によって、収容空間313のトナーが内周部311と移動壁34との間から、移動壁34よりも移動方向上流側に流出することが防止される。
【0055】
シャフトシール343は、シャフト33の雄螺旋部333と接触するように配置され、移動壁34の移動に伴って、雄螺旋部333に付着したトナーを清掃する。シャフトシール343は、移動壁軸穴部34Jよりも移動壁34の移動方向下流側に配置されている。従って、シャフトシール343は、雌螺旋部345よりも先に雄螺旋部333に接触することになり、トナーが雄螺旋部333からほぼ除去された状態で、雄螺旋部333上を雌螺旋部345が進行することができる。また、シャフトシール343のシール機能によって、収容空間313のトナーが、シャフト33と移動壁34との間の隙間を通って移動方向上流側に流出することが防止される。
【0056】
蓋部37は、コンテナ本体31のフランジ部316に固定され、コンテナ本体31の右面の開口部を封止している。蓋部37は、蓋軸穴部37Jを備える。蓋軸穴部37Jは、シャフト33の第1シャフト端部331側を回転可能に軸支する。スポンジシール36は、移動壁軸穴部34Jと蓋部37との間に配置されている。スポンジシール36は、蓋部37がコンテナ本体31に固定された状態で、蓋部37の蓋軸穴部37Jからトナーが漏れ出すことを防止する。
【0057】
回転ギア38は、シャフト33の第1シャフト端部331に固定され、シャフト33と一体回転する。回転ギア38は、図略の伝達ギア機構を介して本体ハウジング101に配置されたモーターMに連結されている。モーターMから回転駆動力が入力されると、回転ギア38はシャフト33に前記回転駆動力を伝達し、移動壁34を移動させる。
【0058】
カバー39は、コンテナ本体31の右端面に取り付けられるカバー部材である。カバー39は、回転ギア38の一部を露出させた状態で、コンテナ本体31の右端面を覆っている。カバー39は、軸カバー部391と、第2ガイド部392とを備える。軸カバー部391は、回転ギア38から突出した第1シャフト端部331の端部を覆っている。第2ガイド部392は、上下方向に延びる突起部である。この第2ガイド部392と、コンテナ本体31の左端面側の第1ガイド部318とによって、トナーコンテナ30がプリンター100に装着される際にガイドされる。
【0059】
本体ハウジング101のコンテナ収容部109には、トナーセンサー31T(第1センサー)が配置されている。トナーセンサー31Tは、コンテナ本体31のトナー排出口319の近傍の外壁面に対向している、本体ハウジング101側のフレーム(図略)に取り付けられている。トナーセンサー31Tは、検知対象の磁性を検知して電気的な出力を発生するセンサーであって、コンテナ本体31内において、トナー排出口319の付近にトナーが存在しているか否かを検知するセンサーである。好ましいトナーセンサー31Tの一つとして、差動トランスを使用した磁気ブリッジ型の透磁率センサーを例示することができる。なお、トナーセンサー31Tは、コンテナ本体31のトナー排出口319の近傍の外壁面に取り付けるようにしても良い。
【0060】
図9(A)〜(C)は、移動壁34がコンテナ本体31内を移動する様子を示す断面図であり、
図9(A)は移動壁34が初期位置(最上流位置)にある状態を、
図9(B)は移動壁34が初期位置から左方に半分程度移動された状態を、
図9(C)は、移動壁34がトナー排出口319に近接した最終位置(最下流位置)にある状態を各々示している。これらの図では、シャッター部材317の記載は省いている。
【0061】
図9(A)の状態が、トナーを収容する収容空間313が最も広い状態であり、コンテナ本体31の内部空間312のほとんどを収容空間313が占有している。かかる状態が、トナーが満量収容された状態であって、トナーコンテナ30の使用前の状態である。このとき移動壁34は、蓋部37に隣接した位置にある。
【0062】
図9(B)は、トナーが半分程度消費された状態である。
図9(A)の初期位置から移動壁34は、トナーの消費に応じて左方(第1方向)へ移動している。収容空間313の容積は、内部空間312の半分程度に減少している。このとき、壁本体部340の搬送面340Sが、収容空間313内のトナーを押すことによって、トナー排出口319に向かうようにトナーを搬送する。なお、移動壁34の移動態様には特に限定はない。例えば、トナーの減少に応じて逐次細かいピッチで移動壁34を移動させることができる。或いは、シャフト33を長手方向に3区分〜6区分程度に大まかに区分し、トナーの減少に応じて前記区分単位で移動壁34を移動させても良い。
【0063】
図9(C)は、コンテナ内のトナーが実質的に用い尽された状態(エンプティ)を示している。移動壁34は、シャフト33の左端付近(トナー排出口319の近傍)まで移動し、収容空間313は非常に狭くなっている。この結果、収容空間の容積が変化しないトナーコンテナと比較して、使用終了時に、コンテナ本体31の収容空間313に残留するトナー量が少なくなる。
図9(C)の状態では、移動壁34の移動壁軸穴部34Jは移動壁停止部334に至る。このため、左方へ推進力がもはや移動壁34に与えられることはない。なお、雄螺旋部333の左端側を左方にさらに延長し、移動壁34がトナー排出口319を塞ぐ位置まで左方に移動できるようにしても良い。
【0064】
図10は、本実施形態に係るトナー補給装置300の構成を概略的に示すブロック図である。トナー補給装置300は、現像装置20へトナーを補給するための装置であって、上述のトナーコンテナ30、トナーセンサー31T及び開閉センサー40に加え、モーターMと、制御部50とを備えている。
【0065】
モーターMは、シャフト33を介して移動壁34を移動させる駆動源である。モーターMの出力軸は、シャフト33に固定された回転ギア38(
図8)に、図略の伝達ギア機構を介して連結されている。
【0066】
制御部50は、マイクロコンピューターからなり、所定のプログラムが実行されることによりトナー補給装置300(プリンター100)の動作を制御する。制御部50は、機能的にエンジン駆動部51、移動壁制御部52(制御部)、判定部53及び状態記憶部54を備える。
【0067】
エンジン駆動部51は、画像形成部120、定着装置130及び各種ローラー等、プリンター100による画像形成動作に必要な画像形成エンジンの駆動を制御する。この他、エンジン駆動部51は、ジャム処理等の際に現像装置20とトナーコンテナ30との組立体Uが本体ハウジング101から取り出され、その後に再装着された後に安定駆動をプリンター100に実行させる。上述の通り、本体カバー100Cが開放されると開閉センサー40がOFFとなる。そうすると、プリンター100の副電源(安全スイッチ)がOFF状態(機械停止状態)となり、組立体Uが安全に取り出せる状態となる。ユーザーがジャム処理を終え、組立体Uを本体ハウジング101内に再装着して本体カバー100Cを閉じると、開閉センサー40がONとなる。このとき、副電源がONとなる。しかる後、エンジン駆動部51は安定駆動を実行する。前記安定駆動は、電源ON後にプリンター100が画像形成を行える状態(機械立ち上がり状態)とするために、一定期間だけ画像形成エンジンを予備的に動作させる駆動である。
【0068】
移動壁制御部52は、移動壁34の移動を制御する。具体的には移動壁制御部52は、モーターMを予め定められた条件で動作させてシャフト33を回転させ、移動壁34のシャフト33上における移動位置を制御する。移動壁34は、プリンター100による画像形成動作中、或いは上記安定駆動の際に、必要に応じて移動される。
【0069】
判定部53は、トナーセンサー31Tの出力に基づいて、トナーコンテナ30中における補給トナーTZの収容状態を判定する。既述の通りトナーセンサー31Tは、コンテナ本体31のトナー排出口319の近傍に配置されている。従って、判定部53は、トナーセンサー31Tの出力を受領することで、コンテナ本体31内においてトナー排出口319の周辺に補給トナーTZが規定量だけ存在している第1状態と、補給トナーTZが実質的に存在しない第2状態とを判定する。
【0070】
状態記憶部54は、プリンター100の各種設定情報や動作状態に関する情報が格納されるメモリーである。本実施形態では特に、上記の機械停止状態の直前に判定部53が前記第1状態又は前記第2状態のいずれと判定していたかの情報、及び、開閉センサー40による本体カバー100Cの開閉状態の検知結果も、状態記憶部54に格納される。
【0071】
移動壁制御部52は、画像形成部120により画像形成動作が行われる通常動作時において判定部53の判定結果に依拠して移動壁34の移動制御を行う第1制御と、上記安定駆動時等の非通常動作時において、判定部53の判定結果に必ずしも依存せずに移動壁34の移動制御を行う第2制御とを行う。前記第2制御の実行に際しては、開閉センサー40の出力が参照される。
【0072】
具体的には、前記第1制御において移動壁制御部52は、判定部53が前記第1状態(トナー有)と判定している時には移動壁34を移動させず、前記第2状態(トナー無)と判定しているときには移動壁34を所定長だけ左方側(第1方向下流側)へ移動させる。すなわち、前記第1状態ではトナー排出口319の周辺に十分な補給トナーTZが存在しているため、仮に移動壁34を左方に移動させてしまうと、補給トナーTZが移動壁34によって過度に圧縮されることになる。このことは、トナー排出口319からの補給トナーTZの排出圧力を過剰とする、若しくは補給トナーTZを押し固めてしまうといった不具合を惹起する。よって、前記第1状態では、移動壁34は移動されない。これに対し、前記第2状態では、トナー排出口319の周辺に補給トナーTZが十分に存在していない。このため、移動壁34を左方に移動させることによって、補給トナーTZをトナー排出口319に向けて搬送し、該トナー排出口319の周辺を補給トナーTZで満たした状態とするものである。
【0073】
移動壁制御部52が前記第2制御を行う前提は、判定部53が前記第1状態と判定している状態において、開閉センサー40によって組立体U(トナーコンテナ30)の本体ハウジング101に対する着脱に相当する動作が検知され、その直後に判定部53が前記第2状態と判定した場合である。つまり、トナーコンテナ30の着脱の前後で、判定部53の判定結果が「トナー有」から「トナー無」に変化してしまった場合である。この場合、移動壁制御部52は、前記第1制御のように直ちに移動壁34を左方に移動させるのではなく、該移動壁34の左方への移動を一時的に禁止する。
【0074】
上記第2制御の意義について、
図11に基づき説明する。
図11(A)〜(C)は、移動壁34の移動制御の比較例を示す断面図である。
図11(A)は、移動壁34が、コンテナ本体31の右端からシャフト33の1/4長さ程度だけ左方に移動した位置P1に存在している状態である。補給トナーTZは、収容空間313において片寄りなく貯留されており、トナーセンサー31Tが配置されているトナー排出口319の近傍は、補給トナーTZで満たされている。補給トナーTZは移動壁34から圧縮力を受けておらず、コンテナ本体31の上方には空間が存在している。この状態では、トナーセンサー31Tはトナーの存在を検知し、判定部53は「トナー有」との判定を下す。
【0075】
このような状態から、トナーコンテナ30が本体ハウジング101から取り外されることがある。典型的には、シートジャムの発生時である。本実施形態では、シート搬送路PPを現像装置20が上方から覆っているレイアウトであるので、前記転写ニップ部の周辺でシートジャムが発生すると、本体ハウジング101の上面の本体カバー100Cを開放し、現像装置20を取り出す必要がある。そして、トナーコンテナ30は、現像装置20に一体的に組み付けられた組立体Uの形態で本体ハウジング101内に収容されている。従って、ジャム処理時に、トナーコンテナ30は本体ハウジング101内から機外へ取り出されることとなる。勿論、ジャム処理後には、トナーコンテナ30に再装着される。上記以外にも、何らかの理由で組立体Uが取り外されたり、或いは、トナーエンプティになる前にトナーコンテナ30が現像装置20から取り外されたりする場合が起こり得る。
【0076】
上記のようなトナーコンテナ30の取り出し及び再装着の過程において、振動が付加されたり組立体Uが傾けられたりすることで、補給トナーTZの本体ハウジング101内における収容状態が変化することがある。
図11(B)は、その変化の一例を示す図である。ここでは、補給トナーTZが収容空間313の右方に片寄り、左方が空間となるに至った状態を示している。すなわち、トナーセンサー31Tの配置位置の周辺には補給トナーTZが存在しない状態である。
【0077】
この場合においては、判定部53は「トナー無」との判定を下すことになるので、移動壁制御部52が前記第1制御をそのまま実行すると、移動壁34を左方に移動させることになる。
図11(C)は、移動壁34が、
図11(B)の位置P1から所定長だけ左方へ移動した位置P2へ移動された状態を示している。
図11(A)から
図11(B)への状態遷移において、補給トナーTZの収容状態は変化したものの、その収容量は変わらない。従って、本来は移動壁34の移動は不必要なのであるが、トナーセンサー31Tの検知領域にたまたま補給トナーTZが存在しなくなったことで、
図11(C)に示す如く移動壁34が移動されてしまうことになる。この場合、補給トナーTZは移動壁34によって圧縮される。
【0078】
図6に基づき先述した通り、本実施形態では体積補給方式によってトナーが現像装置20へ補給される。体積補給方式では、トナー排出口319からトナー補給口25への補給トナーTZの流入の許容と堰き止めとのバランスで、適量の補給トナーTZが現像ハウジング210内に供給され、現像装置20内のトナーが一定に保たれる。このため、もしトナー排出口319におけるトナー圧が規定値より高くなると、過剰な量の補給トナーTZが現像ハウジング210へ供給される。逆にトナー圧が規定値より低くなると、補給トナーTZの補給量が不足することになる。前者の場合、現像装置20内のトナーが必要量以上となってトナーが帯電不足となり、形成される画像の濃度低下やグレー画像ムラなどの画像欠陥が発生する。従って、トナー排出口319におけるトナー圧のコントロールが肝要となるのであるが、
図11(C)のように補給トナーTZが圧縮されてしまうと、前記トナー圧が高くなってしまう。
【0079】
そこで、本実施形態では、
図11(A)から
図11(B)への遷移のように、トナーコンテナ30の着脱の前後で、判定部53の判定結果が「トナー有」から「トナー無」に変化した場合には、移動壁制御部52は前記第2制御を適用し、移動壁34の左方に向けた移動を一時的に禁止する。さらに本実施形態では、移動壁制御部52は、この一時的な禁止の期間中に移動壁34を右方側(第1方向上流側)に移動させる。しかる後、移動壁制御部52は、前記一時的な禁止を解除して、移動壁34を左方側(第1方向下流側)へ移動させる。
【0080】
このような第2制御について、
図12に基づき説明する。
図12(A)〜(C)は、移動壁34が前記第2制御によって移動制御される例を示す断面図である。
図12(A)は、
図11(B)と同様に、トナーコンテナ30の着脱によって収容空間313内において補給トナーTZが偏在し、前記着脱の前後で判定部53の判定結果が「トナー有」から「トナー無」に変化した状態を示している。第2制御において移動壁制御部52は、
図12(A)の状態に至った場合に、移動壁34の左方への移動を一時的に禁止する。
【0081】
続いて、移動壁制御部52は、この一時的な禁止の期間中に移動壁34を右方に向けて移動させ、
図12(B)に示すように、コンテナ本体31内の右端である位置P0(基本位置)に位置させる。移動壁34の位置P0への移動によって、収容空間313は右方に拡張することになる。そして、偏在状態であった補給トナーTZの塊状体の右方部分が、移動壁34の支持を失って右方へ崩れ落ち、前記塊状体は山型の形状に変形する。なお、移動壁34は必ずしも位置P0まで戻す設定にせずとも、前記偏在状態を解消できる程度に右方へ移動させる設定とすることもできる。
【0082】
その後、移動壁制御部52は、前記一時的な禁止を解除して、位置P0から移動壁34を左方へ移動させる。これにより、山型の補給トナーTZの塊状体には移動壁34から押圧力並びに振動が与えられ、これらは前記塊状体の高く突出した部分を崩して平坦に戻す力として作用する。移動壁制御部52は、移動壁34の左方への移動を、少なくとも判定部53が「トナー有」と判定するまで継続させる。
図12(C)は、移動壁34が位置P1まで復帰したときに、収容空間313内の補給トナーTZが平坦化され、トナーセンサー31Tの検知領域が補給トナーTZで満たされた状態を示している。
【0083】
以上の通りの第2制御によれば、トナーコンテナ30が本体ハウジング101に対して着脱されたことによって、コンテナ本体31内における補給トナーTZの収容状態が変化したことに伴いトナーセンサー31Tの検知結果が変化した場合には、移動壁34はトナー排出口319に近づく方向には移動されない。従って、移動壁34が補給トナーTZを圧縮し、トナー排出口319におけるトナー圧を必要以上に高めてしまう不具合を未然に防止することができる。また、移動壁34を一旦、移動方向の上流端の位置P0(基本位置)に戻すことで偏在状態にある補給トナーTZを解し、その後に移動方向の下流側へ移動壁34が移動される。該移動は、トナー排出口319の周辺がトナーリッチになるまで継続される。従って、補給トナーTZの貯留状態に応じて移動壁34を適切な位置で停止させることができる。
【0084】
続いて、本実施形態のプリンター100の動作について説明する。
図13は、プリンター100の概略動作を示すフローチャートである。プリンター100の電源が投入され、制御部のエンジン駆動部51(
図10)により所定の安定駆動が実行されると、プリンター100は印字可能状態となる(ステップS1)。その後、パーソナルコンピューター等の外部機器からプリント指示がプリンター100に与えられると、プリンター100はシートに対して印字処理を行う(ステップS2)。
【0085】
印字処理を実行しながら、移動壁制御部52は、移動壁34の移動制御ルーチン(
図14)を実行する(ステップS3)。このステップS1〜S3は、シートジャム等の機械停止要因の発生が検知されず(ステップS4でNO)、プリンター100の動作終了のために終了指示が与えられない場合(ステップS8でNO)に継続される。
【0086】
シートジャムが検知された場合(ステップS4でYES)、印字処理は停止される。そして、ジャム処理のためにユーザーが本体カバー100Cを開放したことが開閉センサー40により検知されると、安全スイッチがOFFとなり、機械停止状態となる(ステップS5)。この後、ユーザーはトナーコンテナ30と現像装置20との組立体Uを本体ハウジング101から取り出し、ジャム処理を行う。ジャム処理後、組立体Uの本体ハウジング101へのセットが確認され、ユーザーが本体カバー100Cを閉じることで安全スイッチがONとなり、これを契機にジャムリカバリー処理(
図15)が実行される(ステップS6)。
【0087】
このジャムリカバリー処理が終了するまで、プリンター100は待機状態となる(ステップS7)。ジャムリカバリー処理が終了すると(ステップS7)、終了指示が与えられていない場合には(ステップS8でNO)、ステップS1に戻って処理が繰り返される。
【0088】
図14は、
図13のステップS3の、移動壁制御部52による移動壁34の移動制御ルーチンを示すフローチャートである。このルーチンは、移動壁制御部52が上述の「第1制御」によって移動壁34の移動制御を行う場合のルーチンである。なお、デフォルトでは、移動壁34の左方側(移動壁34の移動方向下流側)への移動が禁止されている状態である。
【0089】
移動壁制御部52は、判定部53が第1状態(トナー有)と判定しているか否かを確認する(ステップS11)。判定部53が第2状態(トナー無)と判定している場合(ステップS11でNO)、移動壁制御部52は、移動壁34の左方側への移動禁止を解除する(ステップS12)。そして、移動壁制御部52は、モーターMを駆動して、予め定められた距離だけ移動壁34を左方に移動させる(ステップS13)。なお、ステップS11における判定部53の判定結果は、状態記憶部54に記憶される。
【0090】
しかる後、移動壁制御部52は、判定部53が「トナー有」を出力しているか否かを確認する(ステップS14)。ステップS13の移動壁34の移動で補給トナーTZの左方への搬送が不十分であると、トナー排出口319の周辺は補給トナーTZで満たされない。このような場合、判定部53は「トナー無」を出力するので(ステップS14でNO)、ステップS13に戻って、移動壁制御部52は、さらに移動壁34を所定距離だけ左方へ移動させる。
【0091】
一方、判定部53が「トナー有」を出力している場合(ステップS14でYES)、移動壁制御部52は、さらに移動壁34を予め定められた僅かな距離だけ左方へ移動させる(ステップS15)。これは、判定部53の判定が「トナー無」から「トナー有」に変化したボーダーに近い状態では、トナー排出口319の周辺に十分に補給トナーTZで満たされていないことが有り得るからである。ステップS15の追加の移動を実施することで、補給トナーTZの塊状体がより多くトナー排出口319に覆い被さる状態を形成することができる。なお、トナーセンサー31Tの配置位置を厳密に決定することで、このステップS15を省くようにしても良い。
【0092】
ステップS15の移動壁34の移動を終えると、移動壁制御部52は、移動壁34を移動禁止に設定する(ステップS16)。ステップS11において、判定部53が「トナー有」を出力している場合(ステップS11でYES)も同様である。その後、処理はステップS11に戻される。
【0093】
図15は、
図13のステップS6の、ジャムリカバリー処理時における移動壁34の移動制御ルーチンを示すフローチャートである。このルーチンは、移動壁制御部52が上述の「第2制御」によって移動壁34の移動制御を行う場合のルーチンである。当該ジャムリカバリー処理ルーチン実行の前提要件は、本体カバー100Cが閉とされたことが開閉センサー40にて検知されていること、つまり前記安全スイッチがONの状態であることである(ステップS21)。
【0094】
移動壁制御部52は、状態記憶部54を参照し、機械停止(ステップS5)の時点における判定部53の判定結果が「トナー有」であったか否かを確認する(ステップS22)。「トナー有」であった場合(ステップS22でYES)、エンジン駆動部51が画像形成エンジンの安定駆動を開始する(ステップS23)。なお、判定結果が「トナー無」である場合(ステップS22でNO)、本来的に移動壁34の移動が必要なケースであるので、
図14に示した通常動作時の移動制御に準じて移動壁34を移動させつつ、別ルーチンの安定駆動が実行される(ステップS32)。
【0095】
ステップS23の安定駆動が開始されると、移動壁制御部52は、機械停止後、再び機械が立ち上がって最初にトナーセンサー31Tがセンシングした結果に基づく判定部53の判定結果が「トナー有」であるか否かを確認する(ステップS24)。ステップS24において「トナー無」である場合(ステップS24でYES)は、トナーコンテナ30の着脱の前後で、判定部53の判定結果が「トナー有」から「トナー無」に変化してしまったケースである。このケースは、移動壁制御部52による「第2制御」開始の端緒となる。この場合に移動壁制御部52は、移動壁34の移動禁止設定(ステップS16)の状態から、下流側(左方側)への移動壁34の移動を一時的に禁止する一方、上流側(右方側)への移動禁止は解除された状態に変更する(ステップS25)。
【0096】
次いで、移動壁制御部52は、移動壁34を予め定められた基本位置(例えば
図12(B)の位置P0)に向かうよう、上流側へ移動させる(ステップS26)。その後、移動壁制御部52は、前記基本位置への移動壁34の移動完了後に行われた判定部53の判定結果が「トナー有」であるか否かを確認する(ステップS27)。ステップS27において「トナー無」である場合(ステップS24でNO)、移動壁制御部52はステップS25で設定した移動壁34の下流側への移動禁止設定を解除し(ステップS28)、移動壁34を下流側へ移動させる(ステップS29)。
【0097】
その後、処理はステップS27に戻り、判定部53の判定結果が「トナー無」である間、移動壁34の下流側への移動が継続される。そして、判定部53の判定結果が「トナー有」となると(ステップS27でYES)、移動壁制御部52は移動壁34の上流側及び下流側双方の移動を禁止するよう設定する(ステップS30)。なお、
図14のステップS15と同様に、ステップS30の前に、若干だけ移動壁34を下流側へ移動させても良い。その後、所定のタイミングでエンジン駆動部51が安定駆動を終了し(ステップS31)、ジャムリカバリー処理が完了する。
【0098】
以上、本発明の実施形態に係るトナーコンテナ30及びこれを備えたプリンター100について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、
図12(B)に示したように、移動壁34の下流側への移動が一時的に禁止される一方で、上流側への移動を行う例を示した。これは偏在した補給トナーTZを解すためであるが、トナーコンテナ30に振動手段を付加する等、トナーを解す手段を適用した場合は、移動壁34を一旦上流側に戻すステップを省くことが可能である。