【実施例1】
【0034】
図1は、連続処理式の場合の実施例1を示す全体のシステム構成図で、PP、PE、PSなどが混在した原料である廃プラスチックは、破砕機1による破砕、洗浄脱水機2による洗浄と脱水、温熱式減容機3による減容、水洗冷却装置4による冷却の各処理を経たのち、搬送コンベア5にて投入ホッパ6に搬入され、ここに粉砕状態にして一次的に貯溜される。ここまでが前処理工程で、これから先が本発明に係る処理となる。
【0035】
投入ホッパ6に一次貯溜された粉砕廃プラスチック(以下、粉砕原料と記す。)は、横軸コンベア7及びこれに連接された縦軸コンベア8を駆動させるとともに、この縦軸コンベア8の先端の投入バルブ9を開くことにより、廃プラスチック分解装置10の溶解蒸発槽11内へ、その天井部11aの投入口11bから投入される。
図1では、この廃プラスチック分解装置10を模式図にして示しているが、
図3にその構造の具体例を示す。そこで、廃プラスチック分解装置10の構造を
図3により明らかにしたうえで、これによる処理(第一処理工程)を追って説明することとする。
【0036】
廃プラスチック分解装置10の溶解蒸発槽11は断熱ケーシング11B内に収容され、またこれらの間の空室13の下部にはバーナ14が設置されている。溶解蒸発槽11の下部は先細となる漏斗状で、その下部を含めて溶解蒸発槽11の周壁は、内壁11cと外壁11dとによる二重壁構造で、その内外の壁の間に周壁空洞12が形成され、ここに熱媒体15が封入されている。熱媒体15としては、常温では蝋のように固まっているが、ある温度以上、例えば190℃以上に加熱されると溶けて周壁空洞12中を流動する相転移性材質のものが好ましい。
【0037】
溶解蒸発槽11の外壁11bと断熱ケーシング11Bとの間には、隔壁16が螺旋状に設けられているとともに、断熱ケーシング11Bには、空室13の上部において排気口17が形成されているため、バーナ14から排気口17までの空室13は螺旋状の煙道となる。従って、バーナ14からの熱は上昇する渦流となって周壁空洞12内の熱媒体15を加熱する。
【0038】
溶解蒸発槽11内には撹拌機18が組み込まれている。撹拌機18は、溶解蒸発槽11の天井部11aの外側に設置の可逆回転形モータ19を駆動源とし、このモータ19にて回転される回転軸20に、螺旋状撹拌羽根21の支持枠である回転枠22を装着するとともに、この回転軸20を同軸とする送りスクリュウ23を設けたものである。撹拌羽根21は上へ向かって徐々に大きくなる螺旋状であるのに対し、送りスクリュウ23は、撹拌羽根21の螺旋より小さく、その中央部において溶解蒸発槽11の底部下端の残渣排出口24まで延び、撹拌羽根21と一体回転する。
【0039】
溶解蒸発槽11の天井部11aには、触媒を投入するための触媒投入口25も設けてあるとともに、返流される分解油を流し込むための分解油返流配管26が分解油注入バルブ27を介して接続され、さらに外部ガス冷却装置であるコンデンサ28へのガス配管29が接続され、また周壁空洞12中の熱媒体15の温度を測定する温度センサ30が設置されている。一方、断熱ケーシング11Bの外部下側には、残渣排出口バルブ31を介して残渣ホッパ32が配置されている。
【0040】
第一処理工程は、このような構造の廃プラスチック分解装置10により次のように行われる。
図4に、実施例1におけるその手順のタイミングチャートを示す。
溶解蒸発槽11内へ触媒投入口25から所要量の触媒を先に投入する(
図4(1)参照)。その触媒には、シリカとアルミナを主成分とするFCC廃触媒を使用する。
【0041】
触媒投入後、投入バルブ9を閉じてから(
図4(2)参照)、バーナ14による加熱を行う(
図4(3)参照)。溶解蒸発槽11の周壁空洞12中に封入されている熱媒体15は190℃程度で溶けて周壁空洞12中を流動し、溶解蒸発槽11の周壁の全域から槽内を加熱するので、温度センサ30による熱媒体15の測定温度は槽内の加熱温度と同一視できる。
【0042】
測定温度(加熱温度)が300℃以上になったら投入バルブ9を開き(
図4(4)参照)、投入ポッパ6内の粉砕原料を横軸コンベア7及び縦軸コンベア8にて溶解蒸発槽11内へ投入する(
図4(5)参照)。そして、撹拌機18を正転駆動し(
図4(6)参照)、粉砕原料とFCC廃触媒とを撹拌しながら加熱する。
この撹拌作用は、送りスクリュウ23が溶解蒸発槽11内の中央部において、その収斂した底部から粉砕原料とFCC廃触媒とを上方へ移送すると同時に、撹拌羽根21がその周りで巻き上げるように掻き回すので、粉砕原料とFCC廃触媒とは矢印Sで示すような上下の循環と渦流とを繰り返しながら満遍なく撹拌される。
加熱については、上記のようにバーナ14からの熱が上昇する渦流となって周壁空洞12内の熱媒体15を加熱し、加熱された熱媒体15は周壁空洞12中を流動するので、溶解蒸発槽11内はその周壁の全域から均等に加熱される。
【0043】
粉砕原料とFCC廃触媒とは、溶解蒸発槽11内でこのように撹拌されながらバーナ14からの熱により間接的に加熱されるが、その加熱温度は温度センサ30で監視して350℃〜450℃の範囲内とする。この温度範囲内でFCC廃触媒は廃プラスチックである粉砕原料に反応して熱分解を起こす。FCC廃触媒は、バージンの触媒に比べてPP、PE、PSなどのプラスチックに対する反応が劣るため、熱分解は炭素数C1〜C40の広い範囲で生じ、熱分解により生じたガスはこのような炭素数範囲で溶解蒸発槽11からガス配管29を通じて排出され、コンデンサ28にて冷却されて分解油が生成される(
図4(7)参照)。この分解油は
図1に示す二次蒸留装置33の蒸留槽34へ送入され、この二次蒸留装置33で次の処理(第二処理工程)が行われる。
なお、FCC廃触媒は、処理対象の原料がPP、PE、PSなどの廃プラスチックであることから、前述したように経済上の観点などから有利であるが、本発明はバージンのFCC触媒の使用を制限するものではない。
【0044】
二次蒸留装置33は、廃プラスチック分解装置10で生成された分解油を蒸留槽34内で加熱して蒸留することで、その炭素数の範囲の高域を低くすることを意図しており、蒸留槽34にヒータ35を内蔵するとともに、これによる加熱温度を測定する温度センサ36を蒸留槽34に付設している。また、蒸留槽34から蒸発してきたガス分を冷却して油化するコンデンサ37と、その油分を沈殿分離して二次分解油とする沈殿分離装置38を備えている。蒸留槽34の底部は漏斗状で、その下端外側には蒸留残油排出バルブ39が配置されている。なお、蒸留槽34にヒータ35を内蔵することに代えて、蒸留槽34の外側にバーナを設置してもよい。
【0045】
図5に、二次蒸留装置33において行われる二次処理工程の手順を示す。
蒸留残油排出バルブ39を開くと、蒸留槽34内の蒸留残油が残油返送路40を通って溶解分解槽11側へ返送される(
図5(1)参照)。返送されてきた蒸留残油は、
図3に示した前記縦軸コンベア8へその分解油注入口41から注入され(
図4(8)参照)、縦軸コンベア8から溶解分解槽11へ投入されて行く粉砕原料の静電気防止と、流れの潤滑のために供される。
【0046】
蒸留槽34内に入った分解油はヒータ35にて加熱することにより蒸留されるが(
図5(2)参照)、その加熱温度は温度センサ36にて監視して190℃〜300℃の範囲とする。この温度での蒸留により、蒸発分の炭層数はほぼC20以下となり、C20を越えるものは蒸留残油として蒸留槽39に残る。その蒸留残油は、縦軸コンベア8へ注入して上記のように活用できるとともに、溶解分解槽11内で再処理されることになるが、必要に応じ、
図3に示した前記分解油返流配管26から溶解分解槽11内へ随時戻す(
図5(3)参照)ことによっても、再処理することができる。
【0047】
蒸留槽34で蒸発したガス分はコンデンサ37にて冷却されて油化し、その油分は沈殿分離装置38にて沈殿分離され(
図5(4)参照)、分離したものが炭素数ほぼC20以下の二次分解油として生成される(
図5(5)参照)。この二次分解油は、
図1においてバルブ42を開くことにより引火点調整装置43の定温加熱槽44へ送入される、
【0048】
引火点調整装置43は、二次分解油を引火点調整の観点から加熱するもので、定温加熱槽44にヒータ45を内蔵するとともに、これによる加熱温度を測定する温度センサ46を定温加熱槽44に付設している。また、定温加熱槽44から石油由来のガスが蒸発してくるので、それを例えば活性炭吸着により捕集するガスホルダ47を備えている。
【0049】
この引火点調整装置43による処理(第三処理工程)は次のように行われる。
図6にその手順を示す。
定温加熱槽44内に入った二次分解油は、ヒータ45による加熱温度を温度センサ46にて監視することにより、温度を120℃〜130℃の範囲内の定温に維持したまま加熱される(
図6(1)参照)。このような温度を維持しての定温加熱により、炭素数がC9未満の引火点が低いものは蒸発し、炭素数がC9〜C20の範囲内のものが定温加熱槽44に残る。
【0050】
ガスホルダ47にて捕集されたガスは前記廃プラスチック分解装置10のバーナ14の燃焼に利用され(
図6(2)参照)、捕集できなかったものは大気放出される。一方、定温加熱槽44内の生成油の一部は、同バーナ14の燃料として供される(
図6(3)参照)。また、定温加熱槽44内の生成油はバルブ48を開くことにより、製品タンク49へ適時に送入されてこれに貯溜される(
図6(4)参照)。その貯溜された生成油は、炭素数がC9〜C20の範囲内の市場性の高い石油製品となる。
なお、この生成油の一部を廃プラスチック分解装置10のバーナ14の燃料として利用することができる。
【0051】
上述した第一処理工程、第2処理工程及び第三処理工程は連続して一連に行われるが、それを例えば一日単位の稼働とするなどの定期的稼働とする場合には、廃プラスチック分解装置10において次のように残渣処理を行う。
図7に残渣処理の手順を示す。
【0052】
前記投入バルブ7を閉じたまま(
図7(1)参照)、バーナ14による溶解蒸発槽11内の加熱温度を、第一処理工程での加熱温度(350℃〜450℃)より高い500℃程度に所要時間だけ昇温する(
図7(2)参照)。このような高温加熱により、溶解蒸発槽11内の廃プラスチック残渣が急速に熱分解されるとともに、FCC廃触媒に捕捉されていた油分が強制的に蒸発される。この後、バーナ14による加熱を停止する(
図7(3)参照)。
溶解蒸発槽11内の温度が安全な温度まで低下してから、撹拌機18を逆転させるとともに(
図7(4)参照)、残渣排出バルブ30を開いてFCC廃触媒を含む残渣を溶解蒸発槽11から排出し(
図7(5)参照)、残渣ホッパ31に回収する。
【0053】
撹拌機18が逆転すると、その撹拌羽根21によって残渣が溶解蒸発槽11内の中央部の下端へ収斂して行くように掻き集められ、その掻き集められてくる残渣は、送りスクリュウ23によって溶解蒸発槽11から強制的に落下排出される。残渣ホッパ31に回収されたFCC廃触媒を含む残渣は、FCC廃触媒からも油分が蒸発除去されているので、廃棄処分が容易である。
【実施例2】
【0054】
次に、
図2はバッチ処理式の場合の実施例2を示す全体のシステム構成図で、実施例1における前記二次蒸留装置33は省略され、実施例1ではこの二次蒸留装置33によって行っていた第二次処理工程を、実施例2では廃プラスチック分解装置10及びコンデンサ28を再使用することで代替するようになっている。そのため実施例2では、第一処理工程で得られた一次分解油を廃プラスチック分解装置10に戻すが、その際に一次分解油を沈殿分離して貯溜する分解油沈殿貯溜タンク50が備えられている。
【0055】
図8に実施例2の場合の第一処理工程の手順を示す。
溶解蒸発槽11内へ、シリカとアルミナを主成分とするFCC廃触媒を投入し(
図8(1)参照)、投入バルブ9を閉じてから(
図8(2)参照)、バーナ14による加熱を行う(
図4(3)参照)。測定温度(加熱温度)が300℃以上になったら投入バルブ9を開き(
図8(4)参照)、投入ポッパ6内の粉砕原料を横軸コンベア7及び縦軸コンベア8にて溶解蒸発槽11内へ投入する(
図8(5)参照)。そして、撹拌機18を正転駆動し(
図8(6)参照)、粉砕原料とFCC廃触媒とを撹拌しながら加熱する。
その加熱温度は温度センサ30で監視して350℃〜450℃の範囲内とする。この温度範囲内でFCC廃触媒は廃プラスチックである粉砕原料に反応して熱分解を起こす。熱分解は炭素数C1〜C40の広い範囲で生じ、熱分解により生じたガスはこのような炭素数範囲で溶解蒸発槽11からガス配管29を通じて排出され、コンデンサ28にて冷却されて一次分解油が生成される(
図8(7)参照)。
【0056】
ここまでの処理とそれによる前述したような作用は実施例1の場合と同様であるが、この後が実施例1とは異なり、コンデンサ28からの一次分解油は分解油沈殿貯溜タンク50に貯溜される。ここに貯溜された炭素数の多い分解油は、溶解蒸発槽11への粉砕原料の投入路、つまり投入コンベアである前記縦軸コンベア8へ注入され(
図8(8)参照)、実施例1の場合と同様に粉砕原料の静電気防止と潤滑に使用されるとともに、溶解蒸発槽11内で再処理される。
【0057】
処理対象量の粉砕原料を溶解蒸発槽11に投入して熱分解したら投入バルブ7を閉じ(
図8(9)参照)、バーナ14による溶解蒸発槽11内の加熱温度を500℃程度まで所要時間だけ昇温する(
図8(10)参照)。このような高温加熱により、溶解蒸発槽11内の廃プラスチック残渣が急速に熱分解されるとともに、FCC廃触媒に捕捉されていた油分が強制的に蒸発される。この後、バーナ14による加熱を停止する(
図8(11)参照)。
その後、撹拌機18を逆転させるとともに(
図8(12)参照)、残渣排出バルブ30を開き、FCC廃触媒を含む残渣を溶解蒸発槽11から排出して(
図8(13)参照)、残渣ホッパ31に回収し、溶解蒸発槽11の温度が低下するまで待機して次の第二処理工程へ移行する(
図8(14)参照)。
【0058】
図9に実施例2の場合の第二処理工程の手順を示す。
温度センサ30の温度を監視することにより溶解蒸発槽11の温度が250℃程度まで低下したことを確認したら(
図9(1)参照)、分解油沈殿貯溜タンク50に貯溜されている一次分解油を縦軸コンベア8又は前記分解油返流配管26を通じて溶解蒸発槽11へ返送する(
図9(2)参照)。そして、バーナ14を再び点火して溶解蒸発槽11内の一次分解油を触媒を用いずに加熱する(
図9(3)参照)。このときの加熱温度は第一処理工程での加熱温度より低い190℃〜300℃の範囲とする。この加熱により一次分解油は蒸留され、蒸発分はコンデンサ28で再び冷却されて二次分解油が生成される(
図9(4)参照)。蒸留の加熱温度が190℃〜300℃の範囲であるので、生成される二次分解油の炭層数はほぼC20以下となり、蒸発しなかったものは炭素数がC20を越える蒸留残油として溶解蒸発槽11内に残る。
【0059】
溶解蒸発槽11では蒸留残油をそのままにして前述した第一処理工程を再開することができるが、コンデンサ28で生成された二次分解油については、これを実施例1と同様の引火点調整装置43の定温加熱槽44へ送入し、引火点調整装置43による実施例1と同様の第三処理工程に移行する。その手順は
図6に示した実施例1の場合と同様なので、説明を省略する。