(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6241475
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】電動レンチ
(51)【国際特許分類】
B25B 21/00 20060101AFI20171127BHJP
B25B 21/02 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
B25B21/00 520C
B25B21/02 B
B25B21/02 F
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-503783(P2015-503783)
(86)(22)【出願日】2013年4月3日
(65)【公表番号】特表2015-512796(P2015-512796A)
(43)【公表日】2015年4月30日
(86)【国際出願番号】EP2013000984
(87)【国際公開番号】WO2013149724
(87)【国際公開日】20131010
【審査請求日】2016年2月23日
(31)【優先権主張番号】1250332-2
(32)【優先日】2012年4月3日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】502212604
【氏名又は名称】アトラス・コプコ・インダストリアル・テクニーク・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100064388
【弁理士】
【氏名又は名称】浜野 孝雄
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【弁理士】
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】ラルス エルスマーク,カール ヨハン
【審査官】
亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−161580(JP,A)
【文献】
特開2011−31314(JP,A)
【文献】
特開2011−189413(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0099217(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 21/00 − 21/02
B25B 23/14
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジョイントを締付けたり緩めたりする電動レンチであって、
ジョイントにトルクを供給する主軸と、
主軸を二つの反対の回転方向に選択的に駆動するように設けられる電動機と、
電動機の駆動を制御する制御ユニットと、
電動機を主軸に接続する伝動装置と
を有する電動レンチにおいて、
制御ユニットが第一の駆動モードをもち、電動機が順方向に駆動される際に連続したトルクを発生するように、また逆方向に駆動される際にはトルクパルスを供給するように電動機を制御するようにされ、伝動装置が固有の遊びを含み、上記固有の遊び内でトルクパルスが発生されること
を特徴する電動レンチ。
【請求項2】
逆方向における上記トルクパルスが、まず遊びを増やすためにモータを順方向に回転し、続いて逆方向のトルクパルスを発生するようにモータを逆方向に加速することによって発生されること
を特徴する請求項1記載の電動レンチ。
【請求項3】
制御ユニットは、
逆方向にモータを加速するステップに続いて、出力軸(12)の回転に関するパラメータ(T、α、F)を記録し、
上記パラメータ(T、α、F)を閾値(Tthr、αthr、Fthr)と比較し、そして
上記比較に基いて、新たなトルクパルスが発生されるべきかしかも全てのステップが繰り返されるべきであるかを決定する
ように構成されること
を特徴する請求項2記載の電動レンチ。
【請求項4】
上記トルクパルスは、上記第一の駆動モードでモータが逆方向に駆動されている限り、間欠的に発生されること
を特徴する請求項2又は3記載の電動レンチ。
【請求項5】
第一か第二の結合位置(G1;G2)に選択的に位置決めされ得るギヤ(13)を有し、第一の結合位置(G1)が、入力軸(11)の回転を出力軸(12)に連続して伝達し、第二の結合位置(G2)が、少なくとも逆方向において出力軸(12)と係合する前に、出力軸(12)に影響を及ぼすことなく入力軸(11)を回転し得る限定した自由度の動き(18)を含む伝動を行い、第一の駆動モードにおいて、第一の結合位置(G1)が順方向において用いられ、第二の結合位置(G2)が逆方向において用いられるように制御ユニットが電動機を制御するように構成されること
を特徴する請求項1〜4のいずれか一項記載の電動レンチ。
【請求項6】
ギヤ(13)が、第一の結合位置(G1)と第二の結合位置(G2)との間で変換され得るスリーブであること
を特徴する請求項5記載の電動レンチ。
【請求項7】
ギヤ(13)の位置を記録し、いずれの結合位置(G1;G2)にギヤ(13)が位置決めされるかを制御ユニットに信号を発する電子センサーが設けられること
を特徴する請求項5又は6記載の電動レンチ。
【請求項8】
ギヤ(13)の現在の位置をモニターするディスプレイが設けられること
を特徴する請求項7記載の電動レンチ。
【請求項9】
制御ユニットは、
ギヤ(13)が第二の結合位置(G2)に位置決めされるとギヤ(13)の位置の記録されることに応じて、モータを逆方向に回転させて入力軸(11)と出力軸(12)との間の上記自由度の動き(18)をもたらすように制御し、また
入力軸と出力軸とが係合される際に、入力軸(11)の回転運動がインパルスとして出力軸(12)に伝達されるように上記自由度の動き(18)において順方向に入力軸(11)を加速させるように
構成されること
を特徴する請求項7又は8記載の電動レンチ。
【請求項10】
電動機が両方向に連続して駆動される第二の駆動モード、及び電動機が両方向に間欠的に駆動される第三の駆動モードを動力レンチがもつこと
を特徴する請求項1〜9のいずれか一項記載の電動レンチ。
【請求項11】
ジョイントを締付けたり緩めたりする電動レンチにおける電動機を制御する方法であって、電動レンチが、
ジョイントにトルクを供給する主軸と、
主軸を二つの反対の回転方向に選択的に駆動するように設けられる電動機と、
電動機の駆動を制御する制御ユニットと、
電動機を主軸に接続し、固有の遊びをもつ伝動装置と
を有して成る制御方法において、
第一の駆動モードをもち、第一の駆動モードでは、電動機が順方向に連続したトルクを発生し、また反対の逆方向ではトルクパルスを発生し、伝動装置は固有の遊びをもち、上記固有の遊び内でトルクパルスが発生されること
を特徴とする制御方法。
【請求項12】
逆方向におけるトルクパルスは、下記のステップすなわち
(a)遊びを増やすためにモータを順方向に回転すること、及び
(b)続いてトルクパルスを発生するようにモータを逆方向に加速すること
によって発生されること
を特徴とする請求項11記載の制御方法。
【請求項13】
さらに、
(c)発生したトルクインパルスの結果として主軸の回転に関するパラメータ(T、α、F)を記録し、
(d)上記パラメータ(T、α、F)を閾値(Tthr、αthr、Fthr)と比較し、そして
(e)上記比較に基いて、全てのステップ(a)〜(d)が繰り返されるべきであるかを決定すること
を含むこと
を特徴とする請求項12記載の制御方法。
【請求項14】
ステップ(c)で記録したパラメータが加えられたトルク(T)であり、記録したトルク(T)が閾値(Tthr)を越える場合には全てのステップ(a)〜(e)が繰り返されること
を特徴とする請求項13記載の制御方法。
【請求項15】
記録したトルク(T)が閾値(Tthr)の下側を通る場合に動作が終了されること
を特徴とする請求項14記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二つの反対の回転方向においてトルクを発生する電動レンチに関するものである。特に、本発明は、電動機及び制御ユニットによって脈動動力レンチとして駆動され得る動力レンチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばナットランナーのような従来の動力レンチは、モータから主軸へトルクを供給する伝動装置を有している。
【0003】
普通、モータは、主軸を二つの反対方向すなわち第一の順方向及び第二の逆方向に回転駆動させるように設けられる。従って、伝動装置は、順方向及び逆方向の両方向に回転駆動するようにされる必要がある。
【0004】
多くの応用において、逆転駆動は、例えばジョイントを緩める際に単に例外的に用いられる。このことは、モータ及び伝動装置の主眼が順方向駆動にあることを意味している。
【0005】
手持ち型動力レンチにおいて取り扱う必要のある課題は、工具によって供給されるトルクが、工具によって供給される各トルクに対して反力を供給するように補償される必要があることにある。脈動動力レンチでは、これら反力のほとんどは工具自体の機能構造によって補償される。このことはまた、精巧な連続して駆動される工具すなわち非脈動工具においてもそうであり得る。その他の工具では、反力は、工具を保持している作業者が提供しなければならない。
【0006】
しばしば、モータの回転速度は、順方向に供給されるトルクを平滑にするようにされ得る。これは、トルクが最初の段階では相対的に低いので可能であり、動作の終了に向かってトルクが増大するので、トルクの一部を平滑にするように慣性力が発生されるようにされる。しかし、逆転方向においては、状態は通常異なり、逆転方向は、通常、相対的に高い締付け力で締め付けられしかも単に相応して高いトルクで解放され得るジョイントを緩めるのに用いられる。従って、しばしば、機械において慣性力が発生するのを可能でないように、高いトルクを直ちに供給する必要がある。
【0007】
従って、順方向において十分に機能ししかも逆転方向において従来の動力レンチより良好に機能するようにされ得る工具が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、反転方向の駆動時における機能性の改善した動力レンチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的は、独立請求項に記載の本発明によって達成される。
【0010】
本発明の第一の特徴によれば、本発明は、ジョイントを締付けたり緩めたりする電動レンチに関するものであり、かかるレンチは、
ジョイントにトルクを供給する主軸と、
主軸を二つの反対の回転方向に選択的に駆動するように設けられる電動機と、
電動機の駆動を制御する制御ユニットと、
電動機を主軸に接続する伝動装置と
を有する。
制御ユニットは第一の駆動モードをもち、第一の駆動モードでは、電動機が順方向に連続したトルクを発生するように、また反対の逆方向ではトルクパルスを供給するように電動機を制御するようにされ、伝動装置は固有の遊びをもち、上記固有の遊び内でトルクパルスが発生される。
【0011】
特定の実施形態では、上記トルクパルスは、まず遊びを増やすためにモータを順方向に回転し、続いて逆方向のトルクパルスを発生するようにモータを逆方向に加速することによって発生される。
【0012】
別の実施形態では、制御ユニットは、
逆方向にモータを加速するステップに続いて、出力軸の回転に関するパラメータを記録し、
上記パラメータを閾値と比較し、そして
上記比較に基いて、新たなトルクパルスが発生されるべきかしかも全てのステップが繰り返されるべきであるかを決定する
ように構成される。
【0013】
さらに別の実施形態では、上記トルクパルスは、上記第一のモードでモータが逆方向に駆動されている限り、間欠的に発生される。
【0014】
特定の実施形態において、動力レンチは、第一か第二の結合位置に選択的に位置決めされ得るギヤを有し、第一の結合位置は、入力軸の回転を出力軸に連続して伝達し、第二の結合位置は、少なくとも逆方向において出力軸と係合する前に、出力軸に影響を及ぼすことなく入力軸を回転し得る限定した自由度の動きを含む伝動を行い、制御ユニットは、第一の駆動モードにおいて、第一の結合位置が順方向において用いられ、第二の結合位置が逆方向において用いられるようにモータを制御する構成される。
【0015】
ギヤは、第一の結合位置と第二の結合位置との間で変換され得るスリーブであり得る。
【0016】
ギヤの位置を記録し、いずれの結合位置にギヤが位置決めされるかを制御ユニットに信号を発する電子センサーが設けられ得る。
【0017】
特定の実施形態において、動力レンチには、ギヤの現在の位置をモニターするディスプレイが設けられる。
【0018】
さらに別の実施形態では、制御ユニットは次のステップを制御するように設けられる。すなわち
ギヤが第二の結合位置に位置決めされると記録されることに応じて、モータを逆方向に回転することにより入力軸と出力軸との間の上記自由度の動きをもたらすこと、及び
入力軸と出力軸とが係合される際に、入力軸の回転運動がインパルスとして出力軸に伝達されるように上記自由度の動きにおいて順方向に入力軸を加速すること。
【0019】
動力レンチは、電動機が両方向に連続して駆動される第二の駆動モード、及び電動機が両方向に間欠的に駆動される第三の駆動モードをもち得る。
【0020】
本発明の第二の特徴によれば、本発明は、
ジョイントを締付けたり緩めたりする電動レンチにおける電動機を制御する方法に関するものであり、かかるレンチは、
ジョイントにトルクを供給する主軸と、
主軸を二つの反対の回転方向に選択的に駆動するように設けられる電動機と、
電動機の駆動を制御する制御ユニットと、
電動機を主軸に接続する伝動装置と
を有し、伝動装置は本来の動作をする。
本方法は、第一の駆動モードをもち、第一の駆動モードでは、電動機が順方向に連続したトルクを発生し、また反対の逆方向ではトルクパルスを発生することを含み、伝動装置は固有の遊びをもち、上記固有の遊び内でトルクパルスが発生される。
【0021】
本方法の特定の実施形態では、逆方向におけるトルクパルスは、下記のステップすなわち
(a)遊びを増やすためにモータを順方向に回転すること、及び
(b)続いてトルクパルスを発生するようにモータを逆方向に加速すること
によって発生される。
【0022】
別の実施形態では、本方法はさらに、下記のステップすなわち
(c)発生したトルクインパルスの結果として主軸の回転に関するパラメータを記録すること、
(d)上記パラメータを閾値と比較すること、及び
(e)上記比較に基いて、全てのステップ(a)〜(d)が繰り返されるべきであるかを決定すること
を含む。
【0023】
本方法の特定の実施形態では、ステップ(c)で記録したパラメータは加えられたトルクであり、上記トルクパルスは、記録したトルクが閾値を越える場合には全てのステップ(a)〜(e)が繰り返される。
【0024】
本方法の別の実施形態において、動作は、記録したトルクが閾値の下側を通る場合には終了される。
【0025】
本発明の利点は、第二の回転方向に動作している際の工具の性能が、第一の回転方向に動作しいている時の工具の性能に影響せずに改善されることにある。
【0026】
特定の実施形態において、本発明はナットランナーに関する。
【0027】
本発明のその他の好ましい実施形態及び利点は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の特定の実施形態による動力レンチの一部を示す概略図であり、ギヤは第一の結合位置に透して示されている。
【
図2】
図1に示す部分の概略図であり、ギヤは第二の結合位置に示されている。
【
図3】
図1における線III−IIIに沿った断面図を示す。
【
図4】
図1における線IV−IVに沿った断面図を示す。
【
図5】トルク伝達状態における
図4の断面図を示す。
【
図6】本発明による方法における時間の関数としてトルクを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面に概略的に示す実施形態を参照して本発明を説明する。
【0030】
しかし、本発明は図面に示す実施形態に限定されるものではない。実際に、
図1〜
図5に示す実施形態は、本発明の一部を成す特定の実施形態に過ぎない。
【0031】
本発明の主要概念は図示されていない。本発明の主要概念は、ジョイントを締付けたり緩めたりするための電動レンチから成る。かかる電動レンチは、トルクをジョイントへ伝達する主軸と、主軸を二つの反対の回転方向に選択的に駆動するように設けられる電動機と、電動機の駆動を制御する制御ユニットとを有している。
【0032】
電動機を主軸に接続する伝動装置が設けられる。この伝動装置は固有の遊びを備え、トルクパルスは上記遊びにおいて生じられる。動力工具におけるほとんどの伝動装置は固有の遊びを備えており、この固有の遊びは通常、主軸の完全回転の丁度一部分の量である。本発明の要点は、工具を保持している作業者にとって耐え難い大きな反力を生じることなしに例えばジョイントを緩めることを可能にさせるトルクパルスを発生するために、この遊びを利用することにある。
【0033】
これは、電動機が逆方向にトルクパルスを供給することによって達成され、これのトルクパルスは上記遊びにおいて生じられる。特定の実施形態では、上記トルクパルスは、まず遊びを増すために順方向に電動機を回転させ、そして続いて逆方向にトルクパルスを発生するように逆方向に電動機を加速させることによって生じられる。これらのパルスは、ジョイントが十分に緩められない限り、生じられ得る。
【0034】
図1及び
図2において、本発明の特定の実施形態による動力レンチにおけるギヤユニット10は、二つの異なる結合状態で概略的に示されている。
【0035】
ギヤユニット10は、入力軸11と、出力軸12と、ギヤ13とを含んでいる。入力軸11及び出力軸12はギャップ19で分離されており、このギャップ19はギヤ13内に収容されている。
図1及び
図2において、ギヤ13は、ギヤ13の一体部分である二つのリブ14、15を除いて、透明であるとして示されている。
【0036】
入力軸11を回転駆動する駆動力を発生する電動機(図示していない)が設けられる。電動機は、入力軸11を二つの反対方向R
in−1、R
in−2に駆動するように構成される。ギヤ13は、入力軸11の回転を出力軸12へ伝達するように構成されて、それにより出力軸12は相応した方向R
out−1、R
out−2に回転する。
【0037】
出力軸12は、工具バイトを保持するソケットを備える主軸(図示していない)に接続される。一実施形態では、出力軸12は主軸を構成する。また、別の実施形態では、入力軸11は実際に電動機の出力軸であり得る。可能であるが、ギヤ伝動装置は別のギヤ接続部を備え得る。例えば、電動機の出力軸の回転速度は、通常、主軸が電動機の出力軸より低い回転速度で回転するように、主軸に対してギヤダウンされる。
【0038】
図1において、ギヤ13は第一の結合位置G
1に位置決めされ、第一の結合位置G
1は、入力軸11の回転方向R
in−1の回転を出力軸12(回転方向R
in−2)に連続して伝達する。
図2において、ギヤ13は第二の結合位置G
2に位置決めされ、第二の結合位置G
2は、出力軸12に対して入力軸11の少なくとも一方の回転方向における動きの自由度を含む伝達を行う。
【0039】
図示した特定の実施形態では、ギヤはスリーブであり、第一の結合位置G
1と第二の結合位置G
2との間で変換され得る。
【0040】
ギヤ13は、長手方向溝及びウエッジを備えるスプライン型の内部カップリングを備え、長手方向溝及びウエッジは、入力軸11及び出力軸12の両方における相応した溝及びウエッジと係合するようにされる。
【0041】
図1〜
図5に示す実施形態において、入力軸11は、少なくとも一つの長手方向トング16を備え、長手方向トング16は、入力軸11の周囲方向に約90度にわたってのびている。出力軸12は少なくとも一つの相応した長手方向トング20を備えている。那賀で
図1及び
図3に示す第一の結合位置G
1において、両トング16、20は、第一対のリブ14と第二対のリブ15との間に形成した部分空洞17に密に嵌合される。第一対のリブ14及び第二対のリブ15は、ギヤの一体部品であり、入力軸11のトング16及び出力軸12のトング20と相互作用するように配列される。
【0042】
第一の結合位置G
1において、入力軸11とギヤ13との間の遊びすなわち動きの自由度はでき来るだけ小さくして、トング16とリブ14、15との間の接続ができるだけ密にしっかりとなるようにすべきである。伝動を完全に連続するようにするために、動きの自由度はこの結合位置においては無くすか又は最少にすべきである。入力軸11のトング16と対のリブ14、15との間の係合は、出力軸12のトング20と対のリブ14、15との間の接続に一致し得る。しかし、出力軸12に対するギヤ13の連続した接続と違って、入力軸11に対するギヤ13の接続は変動し得る。ギヤ13が第二の結合位置G
2に移る際には、入力軸11とギヤ13とのカップリングは変わる。
図2及び
図4〜
図5に示す第二の結合位置G
2では、ギヤ13は、入力軸11とギヤ13との間に非連続カップリングが達成されるように変換される。
【0043】
図1及び
図2に示すように、第二対のリブ15はギヤ13の全長にわたってのびていない。従って、ギヤ13の変換運動の結果として、ギヤ13が第二の結合位置G
2にある際には、二つの相対した長手方向トング16はもはや第二対のリブ15と係合しない。代わりに、トング16は、第一対のリブ14の各側の間に形成した二つの相対した部分空洞18内で約90度自由に回転し得る。従って、この第二の結合位置G
2においては、入力軸11は、ギヤ13及び出力軸12に対して限定された範囲内で自由に回転し得る。
【0044】
本発明によれば、第一の結合位置G
1は、二つの反対方向の第一の方向において用いられるようにされ、第二の結合位置G
2は、二つの反対方向の第二の方向において用いられるようにされる。
【0045】
これにより、作業者が対抗する必要のない瞬時的に高まったトルクを発生するために、出力軸12に衝撃を与える前に、入力軸11の回転速度の形で慣性力を形成する可能性が得られる。
【0046】
このことは、図面において矢印で概略的に示されている。
図1及び
図3において、入力軸の主入力回転運動R
in−1はギヤ13を介して直接出力軸12へ主出力回転運動R
out−1として伝達される。
【0047】
図2及び
図4〜
図5において、入力軸の第二の入力回転運動R
in−2はギヤ13を介して出力軸12へパルスP
out及び続く第二の出力回転運動R
out−2として伝達される。パルスP
outの回転運動は、ギヤ13及び出力軸12に影響を及ぼすことなしに入力軸11が回転する際に形成され、それによりトング16と第一対のリブ14との間の衝撃は、ギヤ13を介して入力軸11から出力軸12へ瞬時的に高まったトルクをもつパルスを供給する。
【0048】
本発明の一実施形態において、脈動運動は、動力工具のトリガーが作動されている限り、又は反転動作を続けるのに必要なトルクが例えば8Nmのような予定の閾値より低くなるまで、繰り返される。
【0049】
典型的な例において、ナットランナーは例えばボルトとナットの間のジョイントを締付けるのに利用される。締付けは第一の方向において行われる。ジョイントを緩める必要がある場合に、ナットをボルトから緩めるためには、瞬間的な高いトルクが要求される。これは、本発明の装置によって達成され得る。
【0050】
上述し、かつ
図4及び
図5にギヤ13の横断面図で示すように、第二の結合位置は、部分空洞18の形における動きの回転自由度を備え、入力軸11のトング16は、ギヤ13及び出力軸12に影響を及ばすことなしに、逆転方向に回転し得る。
【0051】
本発明におけるギヤ13によって、第二の結合位置(
図2及び
図4〜
図5)は、出力軸12への衝撃伝達前に、入力軸11の一回転以上の半分までの間に瞬間的に高いトルクを発生する。回転遊びは当然応用に必要なトルクに適合され得る。
【0052】
トング16の回転し得る部分空洞18内の回転遊びの利用可能性を保証するために、ギヤ13は、第二の結合位置G
2にある時に予め応力が加えられ得る。予め応力を加えることにより、入力軸11と出力軸12との間の回転遊びは、例えば
図4に示す状態まで高められる。実際に、入力軸11自体は例えばコイルばねによって予め応力が加えられ得る。入力軸11に予め応力が加えられることは、動力工具が使用されることになる場合及び出力軸が主軸とジョイントとの間の相互作用によって固定される場合でも回転遊びを保証するので、有利である。
【0053】
機械的ギヤの代わりに、第一の結合位置G
1と第二の結合位置G
2との間の再位置決めは、好ましくは電動機の回転方向が反転されると同時に、電気的な仕方で達成され得る。
【0054】
代わりの実施形態では、カップリングは、工具の外側に設けたスリーブを手動操作することで達成される。かかる実施形態では、電子センサーを設けてギヤ13の位置を記録しギヤの位置決めされるカップリング位置の信号を発生するようにされ得る。
【0055】
さらに、動力レンチには、ギヤ13の現在の位置を表示するディスプレイが設けられ得る。
【0056】
本発明の別の実施形態では、動力レンチは、入力軸11を出力軸12から完全に分離するクラッチを備える。本発明の一実施形態では、これは、第一の結合位置G
1及び第二の結合位置G
2に加えて、第三の位置すなわちクラッチ位置にギヤ13を位置決めすることによって達成される。クラッチ位置は、ギヤ13をクラッチ位置に位置決めした際に出力軸12に全く影響を及ぼさずに入力軸11が回転され得るように、動きの限定されない自由度をもつように構成される。
【0057】
図6には、本発明による動力レンチにおける電動機の制御方法について示している。第一のステップ(1)では、例えばねじとボルトとの間のジョイントは連続した仕方で締め付けられる。ほとんどの場合、例えばナットランナーによってジョイントが完成すると、目標トルクT
targetは設定される。目標トルクT
targetは、ジョイントの品質を変えるために達成されるべきである。図示実施形態においては、目標トルクT
targetは、第一のステップ(1)では達成されない。すなわちこのことは、作業者に一つの仕方又は別の仕方で例えば工具のディスプレイに表示される。
【0058】
上記の表示に応じて、作業者はジョイントを修正しようと試みる。連続して作動する動力レンチでは、失っているトルクに相応した正のトルクを加えることではジョイントを完成することはできないかもしれない。これは、ジョイントを完成するのに必要なトルクが作業者に取って必要な反力をもたらし得ないほどに高いことによる。従って、ジョイントは再び締め付けられ得る前に緩んでしまうことになる。
【0059】
しかし、ジョイントをさらに締め付けることに関してジョイントを緩めることはまさに難しい。本発明によれば、ジョイントを緩めることは、衝撃工具として機能し、工具の内部に慣性力が形成され、この慣性力が一つ又は幾つかの衝撃力の形で出力軸に伝達される。従って、ある意味においては、本発明の工具は、第一(時計回り)の方向においては連続した動力工具として機能し、第二(反時計回り)の方向においては衝撃工具として機能する。
【0060】
第一のステップにおいて、電動機は、電動機と主軸との間の伝動において遊びが利用できることを保証して、順方向に回転される。特定の実施形態では、遊びは、入力軸11と出力軸12との間で利用できる。これは、レンチにおける方向ピンが逆に設定されそして動力レンチにおけるトリガーが押されることに応じて達成され得る。
【0061】
図6における曲線の第二のステップ(2)は、入力軸11と出力軸12との間の動きの自由度の用意と共に、動きの自由度内の電動機の回転に対応している。従って、ステップ(2)に対応した水平線の第一の部分においては、電動機は順方向に回転され得、また、ステップ(2)の第二の部分においては、遊びがなくなるまで逆方向に加速され、その段階でトルクパルスが発生され、そしてステップ(3)が開始される。ステップ(3)において、主軸は逆方向に回転されて典型的には反時計回りにジョイントを緩めるようにされ、それによりジョイントにおけるトルクTは減少する。
【0062】
ステップ(3)の後には水平ステップ(4)が続き、この水平ステップ(4)は再び、入力軸11と出力軸12との間の動きの自由度の用意と共に、動きの自由度内の電動機の回転に対応している。ステップ(5)〜(7)はその後の衝撃に対応し、主軸に対して電動機を再位置決めする間欠ステップは数字では示されていない。
【0063】
後続のステップ(8)では、ジョイントは再び締付けられ、この時、目標トルクT
targetは十分に制御された仕方で適合される。
【0064】
図6には、時間に対して直線的に変動するようにトルクが例示されている。しかし、これは実際の動作の単一化であり、常にそうであるとは限らない。
図6は、本発明による例示方法を概略的に例示するものである。
【0065】
さらに、本方法は、入力軸11から出力軸12への衝撃の結果として出力軸12の回転に関するパラメータを記録するステップ、上記パラメータを閾値と比較するステップ、及び上記比較に基いて、上記ステップを繰り返すべきかどうかを決定するステップを含み得る。
【0066】
図6に示す例では、記録したパラメータは印加したトルクであり、上記のステップは、記録したトルクが閾値T
thrを越える場合に、繰り返される。記録したトルクTが閾値T
thrの下方である場合には、動作は終了され得る。
図6に示す例では、記録したトルクTはステップ(7)において閾値T
thrの下方であり、これは第四の連続した衝撃に対応している。
【0067】
トルクを記録する代わりに、出力軸12すなわち主軸の角度位置αを記録してもよい。かかる場合には、記録した角度位置αは目標角度位置α
thrと比較され得、特定の目標角度位置α
thrに一致した時に、反転は終了され得る。さらに、例えば印加したトルクに基いて超音波又は概算でジョイントに作用する締付け力Fを記録することは可能であり得る。かかる場合に、実際の締付け力Fは、相応した仕方で閾値T
thrと比較される。
【0068】
しかし、パラメータを記録するステップは任意である。本発明の別の実施形態では、電動機を順転及び逆転させる連続したステップは、作業者がトリガーを解放するまで、繰り返される。これに関して、ジョイントを緩める際に用いられる動力レンチの反転モードの機能は、衝撃工具の機能に対応している。
【0069】
以上、特定の実施形態を参照して本発明について説明してきたが、本発明はこれら実施形態のいずれにも限定されない。代わりに、本発明の範囲は特許請求の範囲によって定義される。言い換えれば、カップリングの図示した実施形態は、本発明の範囲内で当業者によって容易に達成され得る多数の構造的な解決法の一つである。
【符号の説明】
【0070】
10 ギヤユニット
11 入力軸
12 出力軸
13 ギヤ
14、15 リブ
16 長手方向トング
17 部分空洞
18 部分空洞
19 ギャップ
20 長手方向トング
G
1 第一の結合位置
G
2 第二の結合位置