(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
内容物を見えやすくするため、及び金属類の混入を金属探知機により検知しやすくするために、透明性に優れた材料が求められている。
【0008】
アルミナ(Al
2O
3)やシリカ(SiO
2)などを蒸着した無機蒸着フィルムを用いた包装材料は、透明で優れたガスバリア性を有している。しかしながら、フィルムに屈曲が加わると、蒸着層にクラックが発生し、著しくガスバリア性が低下するという問題がある。
【0009】
ポリ塩化ビニリデンをコートしたフィルムは、透明で良好なバリア性を発揮する。しかし、一般廃棄物として焼却される際に酸性ガス等の有機物質を発生するため、近年、環境への関心の高まりにともない他材料への移行が望まれている。
【0010】
ポリビニルアルコールをコートしたフィルムは、低湿度下においては優れたガスバリア性を有している。しかし、吸湿性が激しく、相対湿度が70%程度以上になるとガスバリア性が急激に低下する問題がある。また、ポリビニルアルコールの高湿度下でのガスバリア性の低下を防ぐ目的で、ポリビニルアルコールとポリ(メタ)アクリル酸との組成物をコートする方法があるが、エステル化の際に高温で長時間の加熱が必要となり、生産性に問題があった。
【0011】
上述した不飽和カルボン酸化合物の多価金属塩溶液を用いる方法は、活性エネルギー線による予備重合後に乾燥工程を挟み、さらに活性エネルギー線による本重合を行う必要がある。そのため、煩雑な作業となるばかりでなく、活性エネルギー線硬化には光重合開始剤が必須となっている。
【0012】
本発明の課題は、透明性及び作業性に優れ、高温での熱処理を行うことなく優れたガスバリア性を有する硬化物を得ることができる活性エネルギー線硬化性樹脂、及び該樹脂の硬化物を含むガスバリア性積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、例えば以下の通りである。
(第1の態様)
[1−1] 下記成分(A)と下記成分(B)とのマイケル付加反応及びその後のアミド基形成反応により得られる反応生成物に対して、下記成分(C)を反応させることによって得られる樹脂:
(A)炭素数2〜8の脂肪族ジアミン又は炭素数6〜8の芳香環を有するジアミン
(B)下記式(2)で表される不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体(但し、下記成分(C)を除く)
【化1】
[式(2)中、R
1およびR
2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアラルキル基又はアリール基を表す。]
(C)グリシジル基又はイソシアネート基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル酸系化合物。
[1−2] 前記成分(A)が、メタキシリレンジアミン又はパラキシリレンジアミンである[1−1]に記載の樹脂。
[1−3] 前記成分(B)が、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及び/又はそれらの誘導体である[1−1]又は[1−2]に記載の樹脂。
[1−4] 前記成分(C)が、グリシジル(メタ)アクリレート又は2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレートである[1−1]〜[1−3]のいずれかに記載の樹脂。
[1−5] 前記成分(B)における誘導体が、エステル、アミド、酸無水物及び酸塩化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である[1−1]〜[1−4]のいずれかに記載の樹脂。
[1−5−1] 前記成分(B)がカルボン酸、エステル又はアミドであり、前記成分(A)と成分(B)との反応が0〜130℃で行われる[1−1]〜[1−4]のいずれかに記載の樹脂。
[1−5−2] 前記成分(B)が酸無水物又は酸塩化物であり、前記成分(A)と成分(B)との反応が0〜150℃で行われる[1−1]〜[1−4]のいずれかに記載の樹脂。
[1−5−3] 前記成分(A)と前記成分(B)との反応モル比[(B)/(A)]が0.2〜1.0の範囲である、[1−1]〜[1−5−2]のいずれかに記載の樹脂。
[1−5−4] 前記成分(A)と前記成分(B)との反応生成物と、前記成分(C)との反応モル比[(C)/{(A)+(B)}]は、0.1〜1.0の範囲である[1−1]〜[1−5−3]のいずれかに記載の樹脂。
[1−6] 下記一般式(1)で表される構造を有する樹脂:
【化2】
[式(1)中、
Xは、炭素数2〜8の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜8の芳香環を有する炭化水素基を表し、
Yはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアラルキル基又はアリール基を表し、
Zはそれぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基を有していてもよい(メタ)アクリロキシアルキル基又は(メタ)アクリロキシアルキルアミドイル基を表し(但し、Zがすべて水素原子である場合を除く)、
nは、1〜1000の整数を示す]。
[1−7] 前記Xが、炭素数6〜8の芳香環を有する炭化水素基である[1−6]に記載の樹脂。
[1−8] 前記Yが、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜8のアラルキル基又はアリール基である[1−6]又は[1−7]に記載の樹脂。
[1−9] 下記一般式(a)で表される構造を有する樹脂:
【化3】
[式(a)中、
R
1およびR
2はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、
nは、1〜1000の整数を示す]。
[1−10] [1−1]〜[1−9]のいずれかに記載の樹脂を含む樹脂組成物。
[1−11] [1−10]に記載の樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物。
[1−12] 酸素透過係数が、2.0ml・mm/m
2・day・MPa(23℃、60%RH)以下である[1−11]に記載の硬化物。
[1−13] [1−1]〜[1−9]のいずれかに記載の樹脂を含む塗料。
[1−14] [1−1]〜[1−9]のいずれかに記載の樹脂を含む接着剤。
[1−15] 下記成分(A)と下記成分(B)とのマイケル付加反応及びその後のアミド基形成反応により得られる反応生成物に対して、下記成分(C)を反応させることを含む樹脂の製造方法:
(A)炭素数2〜8の脂肪族ジアミン又は炭素数6〜8の芳香環を有するジアミン
(B)下記式(2)で表される不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体(但し、下記成分(C)を除く。)
【化4】
[式(2)中、R
1、R
2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアラルキル基又はアリール基を表す。]
(C)グリシジル基又はイソシアネート基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル酸系化合物。
【0014】
(第2の態様)
[a] 基材層と、少なくとも1つのガスバリア層とを含むガスバリア性積層体であって、前記ガスバリア層が、上記第1の態様における[1−1]〜[1−9]のいずれかに記載の樹脂の硬化物を含むガスバリア性積層体。
[b] 前記基材層が、可撓性ポリマーフィルム層、紙層及び金属箔層からなる群から選ばれる少なくとも1種である[a]に記載のガスバリア性積層体。
[c] 前記ガスバリア層が、前記ガスバリア性積層体の少なくとも一方の積層表面に位置する[a]又は[b]に記載のガスバリア性積層体。
[d] 前記可撓性ポリマーフィルム層が、ポリオレフィン系フィルム、ポリエステル系フィルム又はポリアミド系フィルムである[a]〜[c]のいずれかに記載のガスバリア性積層体。
[e] 前記金属箔層が、アルミニウム箔である[a]〜[c]のいずれかに記載のガスバリア性積層体。
[f] 前記ガスバリア層の酸素透過係数が、2.0ml・mm/m
2・day・MPa(23℃、60%RH)以下である[a]〜[e]のいずれかに記載のガスバリア性積層体。
【0015】
[2−1] 可撓性ポリマーフィルム層(F)、紙層(P)及び金属箔層(M)から選ばれる1種の層の少なくとも1面上にガスバリア層がコートされたガスバリア性コートフィルムであって、該ガスバリア層が、下記成分(A)と成分(B)とのマイケル付加反応、及びその後のアミド基形成反応により得られる反応生成物に対して、成分(C)を反応させることによって得られる樹脂の硬化により形成されるガスバリア性コートフィルム:
(A)炭素数2〜8の脂肪族ジアミン又は炭素数6〜8の芳香環を有するジアミン
(B)下記式(2)で表される不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体(但し、下記成分(C)を除く)
【化5】
[式(2)中、R
1、R
2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアラルキル基又はアリール基を表す。]
(C)グリシジル基又はイソシアネート基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル酸系化合物。
[2−2] 前記成分(A)が、メタキシリレンジアミン又はパラキシリレンジアミンである[2−1]記載のガスバリア性コートフィルム。
[2−3] 前記成分(B)が、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及び/又はそれらの誘導体である[2−1]又は[2−2]記載のガスバリア性コートフィルム。
[2−4] 前記成分(C)が、グリシジル(メタ)アクリレート又は2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレートである[2−1]〜[2−3]のいずれかに記載のガスバリア性コートフィルム。
[2−5] 前記成分(B)における誘導体が、エステル、アミド、酸無水物及び酸塩化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である[2−1]〜[2−4]のいずれかに記載のガスバリア性コートフィルム。
[2−6] 前記樹脂が、下記一般式(1)で表される構造を有する樹脂の硬化物を含む[2−1]〜[2−5]のいずれかに記載のガスバリア性コートフィルム:
【化6】
[式(1)中、
Xは炭素数2〜8の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜8の芳香環を有する炭化水素基を表し、
Yはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアラルキル基又はアリール基を表し、
Zはそれぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基を有していてもよい(メタ)アクリロキシアルキル基又は(メタ)アクリロキシアルキルアミドイル基を表し(但し、Zがすべて水素原子である場合を除く)
nは1〜1000の整数を示す]。
[2−7] 前記Xが、炭素数6〜8の芳香環を有する炭化水素基である[2−6]記載のガスバリア性コートフィルム。
[2−8] 前記Yが、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜8のアラルキル基又はアリール基である[2−6]又は[2−7]記載のガスバリア性コートフィルム。
[2−9] 前記ガスバリア層の酸素透過係数が、2.0ml・mm/m
2・day・MPa(23℃60%RH)以下である[2−1]〜[2−8]のいずれかに記載のガスバリア性コートフィルム。
[2−10] 前記可撓性ポリマーフィルム層(F)が、ポリオレフィン系フィルム、ポリエステル系フィルム又はポリアミド系フィルムである[2−1]〜[2−9]のいずれかに記載のガスバリア性コートフィルム。
[2−11] 前記金属箔層(M)が、アルミニウム箔である[2−1]〜[2−9]のいずれかに記載のガスバリア性コートフィルム。
【0016】
(第3の態様)
[g] 前記基材層を2層以上具備し、いずれか2つの基材層の間に前記ガスバリア層が位置する、上記第2の態様の[a]又は[b]に記載のガスバリア性積層体。
[h] 前記可撓性ポリマーフィルム層が、ポリオレフィン系フィルム、ポリエステル系フィルム又はポリアミド系フィルムである[g]に記載のガスバリア性積層体。
[i] 前記金属箔層が、アルミニウム箔である[g]に記載のガスバリア性積層体。
[j] 前記ガスバリア層の酸素透過係数が、2.0ml・mm/m
2・day・MPa(23℃、60%RH)以下である[g]〜[i]のいずれかに記載のガスバリア性積層体。
【0017】
[3−1] 可撓性ポリマーフィルム層、紙層及び金属箔層からなる群から選ばれる少なくとも1種の基材層と、少なくとも1つのガスバリア層を含む積層体であって、該ガスバリア層が、下記成分(A)と成分(B)とのマイケル付加反応、及びその後のアミド基形成反応により得られる反応生成物に対して、成分(C)を反応させることによって得られる樹脂の硬化により形成されるガスバリア性積層体:
(A)炭素数2〜8の脂肪族ジアミン又は炭素数6〜8の芳香環を有するジアミン
(B)下記式(2)で表される不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体(但し、下記成分(C)を除く)
【化7】
(式(2)中、R
1、R
2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアラルキル基又はアリール基を表す。)
(C)グリシジル基又はイソシアネート基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル酸系化合物。
[3−2] 前記成分(A)が、メタキシリレンジアミン又はパラキシリレンジアミンである[3−1]記載のガスバリア性積層体。
[3−3] 前記成分(B)が、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及び/又はそれらの誘導体である[3−1]又は[3−2]記載のガスバリア性積層体。
[3−4] 前記成分(C)が、グリシジル(メタ)アクリレート又は2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレートである[3−1]〜[3−3]のいずれかに記載のガスバリア性積層体。
[3−5] 前記成分(B)における誘導体が、エステル、アミド、酸無水物及び酸塩化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である[3−1]〜[3−4]のいずれかに記載のガスバリア性積層体。
[3−6] 前記樹脂が、下記一般式(1)で表される構造を有する樹脂の硬化物を含む[3−1]〜[3−5]のいずれかに記載のガスバリア性積層体:
【化8】
[式(1)中、
Xは炭素数2〜8の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜8の芳香環を有する炭化水素基を表し、
Yはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアラルキル基又はアリール基を表し、
Zはそれぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基を有していてもよい(メタ)アクリロキシアルキル基又は(メタ)アクリロキシアルキルアミドイル基を表し(但し、Zがすべて水素原子である場合を除く)、
nは1〜1000の整数を示す]。
[3−7] 前記Xが、炭素数6〜8の芳香環を有する炭化水素基である[3−6]記載のガスバリア性積層体。
[3−8] 前記Yが、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜8のアラルキル基又はアリール基である[3−6]又は[3−7]記載のガスバリア性積層体。
[3−9] 前記ガスバリア層の酸素透過係数が、2.0ml・mm/m
2・day・MPa(23℃60%RH)以下である[3−1]〜[3−8]のいずれかに記載のガスバリア性積層体。
[3−10] 前記可撓性ポリマーフィルム層(F)が、ポリオレフィン系フィルム、ポリエステル系フィルム又はポリアミド系フィルムである[3−1]〜[3−9]のいずれかに記載のガスバリア性積層体。
[3−11] 前記金属箔層(M)が、アルミニウム箔である[3−1]〜[3−9]のいずれかに記載のガスバリア性積層体。
【0018】
(第4の態様)
[k] シリカ蒸着層、アルミナ蒸着層もしくはシリカ・アルミナ二元蒸着層をさらに含む[a]〜[j]のいずれかに記載のガスバリア性積層体。
[l] [k]に記載のガスバリア性積層体を含む多層包装材料。
[m] [l]に記載の多層包装材料を用いて製袋することによって得られる包装用袋。
【0019】
[4−1] 少なくとも基材(F)、シリカ蒸着層、アルミナ蒸着層もしくはシリカ・アルミナ二元蒸着層(V)及びコート層(G)を有するコートフィルムであって、該コート層(G)が、下記成分(A)と成分(B)とのマイケル付加反応、及びその後のアミド基形成反応により得られる反応生成物に対して、成分(C)を反応させることによって得られる樹脂の硬化により形成されるコートフィルム:
(A)炭素数2〜8の脂肪族ジアミン又は炭素数6〜8の芳香環を有するジアミン
(B)下記式(2)で表される不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体(但し、下記成分(C)を除く)
【化9】
[式(2)中、R
1、R
2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアラルキル基又はアリール基を表す。]
(C)グリシジル基又はイソシアネート基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル酸系化合物。
[4−2] 前記成分(A)が、メタキシリレンジアミン又はパラキシリレンジアミンである[4−1]記載のコートフィルム。
[4−3] 前記成分(B)が、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及び/又はそれらの誘導体である[4−1]又は[4−2]記載のコートフィルム。
[4−4] 前記成分(C)が、グリシジル(メタ)アクリレート又は2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレートである[4−1]〜[4−3]のいずれかに記載のコートフィルム。
[4−5] 前記成分(B)における誘導体が、エステル、アミド、酸無水物及び酸塩化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である[4−1]〜[4−4]のいずれかに記載のコートフィルム。
[4−6] 前記樹脂が、下記一般式(1)で表される構造を有する樹脂の硬化物を含む[4−1]〜[4−5]のいずれかに記載のコートフィルム:
【化10】
[式(1)中、
Xは炭素数2〜8の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜8の芳香環を有する炭化水素基を表し、
Yはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアラルキル基又はアリール基を表し、
Zはそれぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基を有していてもよい(メタ)アクリロキシアルキル基又は(メタ)アクリロキシアルキルアミドイル基を表し(但し、Zがすべて水素原子である場合を除く。)
nは1〜1000の整数を示す]
[4−7] 前記Xが、炭素数6〜8の芳香環を有する炭化水素基である[4−6]記載のコートフィルム。
[4−8] 前記Yが、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜8のアラルキル基又はアリール基である[4−6]又は[4−7]記載のコートフィルム。
[4−9] 前記コート層(G)の酸素透過係数が、2.0ml・mm/m
2・day・MPa(23℃60%RH)以下である[4−1]〜[4−8]のいずれかに記載のコートフィルム。
【0020】
(第5の態様)
[n] さらにシーラント層を含む、[a]〜[k]のいずれかに記載のガスバリア性積層体。
[o] [n]に記載のガスバリア性積層体を含む多層包装材料。
[p] [o]に記載の多層包装材料を用いて製袋することによって得られる包装用袋。
【0021】
[5−1] 少なくとも、基材(F)、シリカ蒸着層、アルミナ蒸着層もしくはシリカ・アルミナ二元蒸着層(V)、接着層(G)及びシーラント層(S)が積層された積層体であって、該接着層(G)が、下記成分(A)と成分(B)とのマイケル付加反応、及びその後のアミド基形成反応により得られる反応生成物に対して、成分(C)を反応させることによって得られる樹脂の硬化により形成される積層体:
(A)炭素数2〜8の脂肪族ジアミン又は炭素数6〜8の芳香環を有するジアミン
(B)下記式(2)で表される不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体(但し、下記成分(C)を除く)
【化11】
[式(2)中、R
1、R
2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアラルキル基又はアリール基を表す。]
(C)グリシジル基又はイソシアネート基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル酸系化合物。
[5−2] 前記成分(A)が、メタキシリレンジアミン又はパラキシリレンジアミンである[5−1]記載の積層体。
[5−3] 前記成分(B)が、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及び/又はそれらの誘導体である[5−1]又は[5−2]記載の積層体。
[5−4] 前記成分(C)が、グリシジル(メタ)アクリレート又は2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレートである[5−1]〜[5−3]のいずれかに記載の積層体。
[5−5] 前記成分(B)における誘導体が、エステル、アミド、酸無水物及び酸塩化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である[5−1]〜[5−4]のいずれかに記載の積層体。
[5−6] 前記樹脂が、下記一般式(1)で表される構造を有する樹脂の硬化物を含む[5−1]〜[5−5]のいずれかに記載の積層体:
【化12】
[式(1)中、
Xは炭素数2〜8の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜8の芳香環を有する炭化水素基を表し、
Yはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアラルキル基又はアリール基を表し、
Zはそれぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基を有していてもよい(メタ)アクリロキシアルキル基又は(メタ)アクリロキシアルキルアミドイル基を表し(但し、Zがすべて水素原子である場合を除く)
nは1〜1000の整数を示す]。
[5−7] 前記Xが、炭素数6〜8の芳香環を有する炭化水素基である[5−6]記載の積層体。
[5−8] 前記Yが、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜8のアラルキル基又はアリール基である[5−6]又は[5−7]記載の積層体。
[5−9] 前記接着層(G)の酸素透過係数が、2.0ml・mm/m
2・day・MPa(23℃60%RH)以下である[5−1]〜[5−8]のいずれかに記載の積層体。
[5−10] [5−1]〜[5−9]のいずれかに記載の積層体を含む多層包装材料。
[5−11] [5−10]記載の多層包装材料を用いて製袋することによって得られる包装用袋。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、透明性及び作業性に優れ、高温での熱処理を行うことなく優れたガスバリア性を有する硬化物を得ることができる活性エネルギー線硬化性樹脂、及び該樹脂の硬化物を含むガスバリア性積層体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<第1の態様>
[樹脂および樹脂の製造方法]
1つの実施形態において、本発明の樹脂は、下記成分(A)と下記成分(B)とのマイケル付加反応及びその後のアミド基形成反応により得られる反応生成物に対して、下記成分(C)を反応させることによって得ることができる。
(A)炭素数2〜8の脂肪族ジアミン又は炭素数6〜8の芳香環を有するジアミン;
(B)下記式(2)で表される不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体(但し、下記成分(C)を除く。);
【化13】
(式(2)中、R
1、R
2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアラルキル基又はアリール基を表す。)
(C)グリシジル基又はイソシアネート基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル酸系化合物。
【0024】
成分(A)としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、1,2−ジアミンノプロパン、テトラメチレンジアミン、2−メチル−1,3−プロパンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、N−イソプロピル−1,3−プロパンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3−アミノベンジルアミン、4−アミノベンジルアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどが挙げられる。ガスバリア性の観点から、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンが好ましく、メタキシリレンジアミン及びパラキシリレンジアミンがより好ましく、メタキシリレンジアミンがさらに好ましい。(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0025】
成分(B)としては、アクリル酸及び/又はその誘導体(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−ヒドロキシブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリルアミド、ジアクリル酸無水物)、並びに塩化アクリル、メタクリル酸、2−エチルアクリル酸、2−プロピルアクリル酸、α−イソプロピルアクリル酸、2−n−ブチルアクリル酸、2−t−ブチルアクリル酸、2−ペンチルアクリル酸、α−フェニルアクリル酸、α−ベンジルアクリル酸、クロトン酸、2−ペンテン酸、2−ヘキセン酸、4−メチル−2−ペンテン酸、2−ヘプテン酸、4−メチル−2−ヘキセン酸、5−メチル−2−ヘキセン酸、4,4−ジメチル−2−ペンテン酸、4−フェニル−2−ブテン酸、桂皮酸、o−メチル桂皮酸、m−メチル桂皮酸、p−メチル桂皮酸、2−オクテン酸、2−ノネン酸、2−デセン酸、2−ウンデセン酸などの不飽和カルボン酸、及び/又はこれらの誘導体が挙げられる。誘導体としては、エステル、アミド、酸無水物、酸塩化物などが挙げられる。但し、本発明において後述の成分(C)は成分(B)から除かれる。また、成分(B)はガスバリア性の観点からアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及び/又はそれらの誘導体が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸及び/又はそれらの誘導体がより好ましく、アクリル酸、メタクリル酸及び/又はそれらの炭素数1〜3のアルキルエステルがさらに好ましい。成分(B)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
成分(C)としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2−イソシアネートエチルアクリレート、2−イソシアネートエチルメタアクリレート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、2−イソシアネートエチロキシエチルメタアクリレートなどが挙げられる。アミノ基との反応においてガスバリア性に有利な水酸基を生成することから、アクリル酸グリシジル、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。成分(C)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
なお、本発明の樹脂の製造方法において、成分(A)〜(C)のほか、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに他の成分と反応させても良い。ここでいう他の成分としては、例えば、リンゴ酸、酒石酸、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸又はその誘導体、炭素数1〜8の一価カルボン酸又はその誘導体、環状カーボネート、モノエポキシ化合物などが挙げられる。但し、該「他の成分」の使用量は、樹脂を構成する反応成分の合計量の30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
【0028】
成分(A)と成分(B)とのマイケル付加反応において、成分(B)としてカルボン酸、エステル、又はアミドを使用する場合には、0〜130℃、より好ましくは0〜110℃の条件下で成分(A)と成分(B)とを混合する。そして、マイケル付加反応後のアミド基形成反応(アミド結合生成反応)は、100〜300℃、好ましくは130〜250℃の条件下で、脱水、脱アルコール、及び脱アミンにより行う。
【0029】
この場合、アミド基形成反応の際には、反応を完結させるために、必要に応じて反応の最終段階において反応装置内を減圧処理することもできる。また、必要に応じて非反応性の溶剤を使用して希釈することもできる。更に脱水剤、脱アルコール剤として、亜リン酸エステル類などの触媒を添加することもできる。
【0030】
一方、成分(B)として酸無水物又は酸塩化物を使用する場合には、樹脂の製造は、0〜150℃、好ましくは0〜100℃の条件下で成分(A)と成分(B)とを混合してマイケル付加反応を行い、その後アミド基形成反応を行うことにより行われる。この場合、アミド基形成反応の際には、反応を完結させるために、必要に応じて反応の最終段階において反応装置内を減圧処理することもできる。また、必要に応じて非反応性の溶剤を使用して希釈することもできる。更にピリジン、ピコリン、ルチジン、トリアルキルアミンなどの3級アミンを添加することもできる。
【0031】
上記反応により導入されるアミド基を含む部位は、高い凝集力を有している。樹脂中に高い割合でアミド基を含む部位が存在することにより、より高い酸素バリア性や金属やコンクリート、プラスチックなどの基材への良好な接着強度が得られる。
【0032】
また、成分(A)と成分(B)との反応比は、反応モル比[(B)/(A)]が0.3〜1.0の範囲であることが好ましい。0.3以上であれば、得られる樹脂中に十分な量のアミド基が生成し、高いレベルのガスバリア性及び接着性が発現する。一方、1.0以下の範囲であれば、後述する成分(A)と成分(B)との反応生成物におけるアミノ基の量が成分(C)との反応に十分であるため、優れた耐熱性や耐衝撃性が発現し、また各種有機溶剤あるいは水に対する溶解性にも優れる。
得られる樹脂の高いガスバリア性、優れた塗膜性能を特に考慮する場合には、成分(A)と成分(B)の反応モル比[(B)/(A)]が0.5〜1.0の範囲であることがより好ましい。
【0033】
成分(A)と成分(B)との反応生成物と、成分(C)との反応は、10〜100℃の条件下で成分(A)と成分(B)との反応生成物に対して成分(C)を加え、20〜100℃の条件下でそれらを反応させることにより行われる。上記温度条件とすることにより、アクリル基の熱重合を避けることができ、安定して樹脂を得ることができる。また、必要に応じて、ラジカル重合禁止剤を添加することもできる。ラジカル重合禁止剤としては特に限定されるものではないが、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、モノ−t−ブチル−p−ベンゾキノン等が挙げられる。ラジカル重合禁止剤の添加量は、成分(A)と成分(B)との反応生成物と、成分(C)の合計量100質量部に対して、0.0005〜2重量部が好ましく、0.0005〜1質量部がさらに好ましい。
【0034】
成分(A)と成分(B)との反応生成物と、成分(C)との反応において、反応モル比 [(C)/{(A)+(B)} ] は、0.1〜1.0の範囲であることが好ましく、0.2〜0.9の範囲であることがより好ましい。0.1以上であれば、硬化に必要なアクリル基が十分であり、高いレベルのガスバリア性及び接着性が発現する。一方、1.0以下の範囲であれば、硬化収縮も小さく、良好な接着性が発現する。
【0035】
1つの実施形態において、本発明の樹脂は、下記一般式(1)で表される構造を有する。
【0036】
【化14】
[式(1)中、
Xは炭素数2〜8の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜8の芳香環を有する炭化水素基を表し、
Yはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアラルキル基又はアリール基を表し、
Zはそれぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基を有していてもよい(メタ)アクリロキシアルキル基又は(メタ)アクリロキシアルキルアミドイル基を表し(但し、Zがすべて水素原子である場合を除く)、
nは1〜1000の整数を示す。]
【0037】
本発明の樹脂は、上記一般式(1)で表されるように、分子中にアミド基とアミノ基を有する構造をもつことが好ましい。本発明の樹脂は、各種の(メタ)アクリル基を有していれば良いというものではなく、例えば上記一般式(1)によって示されるような特定の(メタ)アクリル基を有していることが、優れたガスバリア性を有し、かつ優れた密着性を有する活性エネルギー線硬化性樹脂とする上で重要である。
【0038】
式(1)におけるXとしては、エチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、m−キシリレン基、p−キシリレン基、ヘキサヒドロ−m−キシリレン基、ヘキサヒドロ−p−キシリレン基等が挙げられる。Xは、炭素数6〜8の芳香環を有する炭化水素であることが好ましく、m−キシリレン基、p−キシリレン基がより好ましく、m−キシリレン基が特に好ましい。
【0039】
式(1)におけるYとしては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニル基等が挙げられる。Yは、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜8のアラルキル基又はアリール基であることが好ましく、水素原子、メチル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0040】
式(1)におけるZとしては、水酸基を有していてもよい(メタ)アクリロキシプロピル基、水酸基を有していてもよい(メタ)アクリロキシブチル基、水酸基を有していてもよい(メタ)アクリロキシ4−ヒドロキシブチル基、(メタ)アクリロキシエチルアミドイル基等が挙げられる。Zは、水酸基を有していてもよい(メタ)アクリロキシプロピル基、(メタ)アクリロキシエチルアミドイル基であることが好ましく、水酸基を有する(メタ)アクリロキシプロピル基、(メタ)アクリロキシエチルアミドイル基がより好ましく、水酸基を有する(メタ)アクリロキシプロピル基が特に好ましい。
【0041】
式(1)における繰り返し数nは、1〜1000の範囲の整数であり、好ましくは1〜800の範囲の整数、より好ましくは1〜600の範囲の整数、特に好ましくは1〜400の範囲の整数である。
【0042】
nを上記範囲とすることにより、ガスバリア性及び接着性に有利に働くアミド基及びヒドロキシル基が十分な量となる。さらに、溶剤等の希釈剤で容易に希釈することも可能となり、塗布適性が良好となる。
【0043】
1つの実施形態において、本発明の樹脂は、下記一般式(a)で表される構造を有する:
【化15】
[式(a)中、
R
1およびR
2はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、
nは、1〜1000の整数を示す]。
【0044】
[樹脂組成物]
本発明の樹脂は、他の成分と混合した樹脂組成物として使用することもできる。樹脂には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレア系樹脂などの熱硬化性樹脂、及び単官能又は多官能(メタ)アクリル系モノマーに代表される反応性希釈剤を混合してもよい。また、本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、成分(A)と成分(B)との反応における未反応の成分(A)と、成分(C)との反応生成物が含まれていてもよい。
【0045】
本発明の樹脂組成物を金属やコンクリート、プラスチックなど一般的な基材に塗布する場合においては、各種基材の表面の湿潤を助けるために、樹脂組成物中に、シリコーンあるいはアクリル系化合物といった湿潤剤を添加してもよい。適切な湿潤剤としては、ビックケミー社から入手し得るBYK331、BYK333、BYK340、BYK347、BYK348、BYK378、BYK380、BYK381などがある。これらを添加する場合には、樹脂組成物の全質量を基準として0.01〜2.0質量%の範囲が好ましい。
【0046】
また、各種材料に対する粘着性を向上させるために、樹脂組成物中に、必要に応じてキシレン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂などの粘着付与剤を添加してもよい。これらを添加する場合には、樹脂組成物の全質量を基準として0.01〜2.0質量%の範囲が好ましい。
【0047】
各種材料に対する接着性を向上させるために、樹脂組成物中にシランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤を添加してもよい。これらを添加する場合には、樹脂組成物の全質量を基準として0.01〜5.0質量%の範囲が好ましい。
【0048】
また、耐衝撃性などの諸性能を向上させるために、樹脂組成物中にシリカ、アルミナ、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどの無機フィラーを添加してもよい。これらを添加する場合には、樹脂組成物の全質量を基準として0.01〜10.0質量%の範囲が好ましい。
【0049】
さらに、本発明の樹脂組成物を金属やコンクリート、プラスチックなど一般的な基材に塗布する場合においては、撹拌混合や塗布時に発生する泡の消失を助けるため、樹脂組成物中に、シリコーン系あるいはアクリル系化合物からなる消泡剤を添加してもよい。適切な消泡剤としては、ビックケミー社から入手し得るBYK019、BYK052、BYK065、BYK066N、BYK067N、BYK070、BYK080などが挙げられるが、特にBYK065が好ましい。これらを添加する場合には、樹脂組成物の全質量を基準として0.01〜3.0質量%の範囲が好ましい。
【0050】
本発明の樹脂組成物には、必要に応じてベンジルアルコールなどの有機溶剤、リン酸亜鉛、リン酸鉄、モリブデン酸カルシウム、酸化バナジウム、水分散シリカ、ヒュームドシリカなどの防錆添加剤、フタロシアニン系有機顔料、縮合多環系有機顔料などの有機顔料、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、カーボンブラックなどの無機顔料などの各成分を必要量添加してもよい。
【0051】
また、本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、酸素捕捉機能を有する化合物などを添加してもよい。酸素捕捉機能を有する化合物としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ビタミンC、ビタミンE、有機燐化合物、没食子酸、ピロガロールなどの酸素と反応する低分子有機化合物や、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅などの遷移金属化合物などが挙げられる。
【0052】
[硬化物]
1つの実施形態によると、上記樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物が提供される。
本発明の樹脂組成物を活性エネルギー線により硬化させる場合、光重合開始剤は必ずしも必要でない。しかし、光重合開始剤を添加する場合、例えば、 Ciba社から入手可能なIrgacure(登録商標)2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、Irgacure(登録商標)184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、Irgacure(登録商標)500(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン)、Irgacure(登録商標)651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、Irgacure(登録商標)369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1)、Irgacure(登録商標)907(2−メチル−1[4−メチルチオフェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、Irgacure(登録商標)819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、Irgacure(登録商標)1800(ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド,1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)、Irgacure(登録商標)1800(ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド,2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン)、Irgacure(登録商標)OXE01(1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)、Darocur(登録商標)1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン)、Darocur(登録商標)1116、1398、1174及び1020、CGI242(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、BASF社から入手可能なLucirinTPO(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド)、Lucirin TPO−L(2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキサイド)、日本シイベルヘグナー社から入手可能なESACURE1001M(1−[4−ベンゾイルフェニルスルファニル]フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルホニル)プロパン−1−オン、旭電化社から入手可能なアデカオプトマー(登録商標)N−1414(カルバゾール・フェノン系)、アデカオプトマー(登録商標)N−1717(アクリジン系)、アデカオプトマー(登録商標)N−1606(トリアジン系)、三和ケミカル製のTFE−トリアジン(2−[2−(フラン−2−イル)ビニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン)、三和ケミカル製のTME−トリアジン(2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)ビニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン)、三和ケミカル製のMP−トリアジン(2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン)、ミドリ化学製TAZ−113(2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン)、ミドリ化学製TAZ−108(2−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン)、ベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、メチル−2−ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、4−フェニルベンゾフェノン、エチルミヒラーズケトン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−メチルチオキサントン、チオキサントンアンモニウム塩、ベンゾイン、4,4’−ジメトキシベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1,1,1−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノンおよびジベンゾスベロン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイル ジフェニルエーテル、1,4−ベンゾイルベンゼン、ベンジル、10−ブチル−2−クロロアクリドン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタン)、2−エチルアントラキノン、2,2−ビス(2−クロロフェニル)4,5,4’,5’−テトラキス(3,4,5−トリメトキシフェニル)1,2’−ビイミダゾール、2,2−ビス(o−クロロフェニル)4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)メタン、エチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、ブトキシエチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、等が挙げられる。これらの光重合開始剤は単独で使用してもよいし、2種以上組み合せて用いてもよい。また、これらの光重合開始剤の添加量は、樹脂組成物中、0.01質量%〜15質量%、好ましくは0.1質量%〜10質量%の範囲である。
【0053】
本発明の樹脂又は樹脂組成物を各種基材上に塗布する際の塗装形式としては、例えば、バーコーター塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、マイクログラビア塗工、マイクロリバースグラビアコーター塗工、ダイコーター塗工、スロットダイコーター塗工、バキュームダイコーター塗工、ディップ塗工、スピンコート塗工、スプレー塗工、はけ塗りなどの一般的に使用される塗装形式のいずれも使用され得る。ロール塗布又はスプレー塗布が好ましい。
【0054】
本発明の樹脂又は樹脂組成物は可視光線、紫外線、電子線などの活性エネルギー線の照射により硬化するものであり、硬化するに当たっては、電子線照射や紫外線照射など種々選択できる。中でも紫外線照射が利便性の点で好ましい。
【0055】
紫外線照射により硬化する場合、150〜450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ等を用いて、50〜2000mJ/cm
2、好ましくは100〜1000mJ/cm
2照射すれば良好な硬化物が得られる。本発明の樹脂又は樹脂組成物を硬化させる際の活性エネルギー線照射は、空気中で行ってもよいし、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。
【0056】
また、本発明の樹脂組成物が揮発性成分(代表的には溶媒)を含んでいる場合、各種基材に塗装後に揮発性成分を乾燥した上で、活性エネルギー線を照射することが望ましい。乾燥条件としては、10〜220℃の温度で3〜20秒、好ましくは20〜180℃の温度で3〜20秒、より好ましくは25〜150℃の温度で3〜20秒である。
【0057】
得られる硬化物の酸素透過係数は、2.0ml・mm/m
2・day・MPa(23℃、60%RH)以下であることが好ましい。より好ましくは1.9以下、特に好ましくは1.8以下である。
なお、本発明において酸素透過係数の測定は、後述する実施例Aの方法によって行われる。
【0058】
[塗料]
本発明の樹脂又は樹脂組成物は、プラスチック容器、金属、コンクリートなど、従来の塗料が使用されている被塗材料に対する塗料(コーティング剤)としても使用できる。また、従来の塗料ではそのガスバリア性の低さから適用されていなかった高ガスバリア性が要求される各種ガス透過性基材、例えば、食品や医薬品などの包装材料用途に使用されているポリオレフィンやポリエステル、ポリアミドなどのプラスチックフィルム、あるいはプラスチック容器などへの塗布も可能である。
【0059】
[接着剤]
本発明の樹脂は、該樹脂をそのまま又は必要に応じて上記以外の溶剤や着色顔料、体質顔料などの各種顔料をさらに混合し、接着剤として使用することができる。
本発明の樹脂を含む接着剤は、金属やコンクリートなどの従来の接着剤が使用されている接着材料に同様に使用され得る。さらに、従来の接着剤ではそのガスバリア性の低さから適用されていなかった、高ガスバリア性が要求されている医薬品などの包装材料用途に使用されているポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドなどのプラスチックフィルムの接着剤としても用いられる。
【0060】
〔実施例A〕
次に実施例により上記第1の態様を具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
【0061】
樹脂組成物(塗料又は接着剤)の性能評価の方法は以下の通りである。
<酸素透過係数(ml・mm/m
2・day・MPa)>
実施例及び比較例に記載の方法で樹脂組成物を基材に塗布し、樹脂組成物を硬化させて作製したコートフィルム、及び基材そのものの酸素透過率を測定した。測定は、酸素透過率測定装置(モダンコントロール社製、OX−TRAN2/21)を使用して、23℃、相対湿度60%の条件下で行った。樹脂組成物の硬化物の酸素透過係数を、以下の式を用いて計算した。
1/R
1 = 1/R
2 + DFT/P
ここで、
R
1 :コートフィルムの酸素透過率(ml/m
2・day・MPa)
R
2 :基材の酸素透過率(ml/m
2・day・MPa)
DFT:樹脂組成物の硬化物の厚み(mm)
P:樹脂組成物の硬化物の酸素透過係数
【0062】
<接着性>
クロスカット試験:JIS K−5600−5−6に指定されている方法を用いた。塗膜にすきま間隔2mmでます目の数25個の碁盤目状の傷を付け、この碁盤目上にセロハンテープを貼り、一気に剥がした後の塗膜の残存数により評価した。
ラミネート強度(g/15mm):JIS K−6854に指定されている方法を用いた。実施例に記載の方法で作製したラミネートフィルムのラミネート強度を、T型剥離試験により300mm/minの剥離速度で測定した。
【0063】
<鉛筆硬度>
鉛筆引っかき試験機を用いて、JIS K−5600に指定されている方法に従って行った。コートフィルム上に、鉛筆を45度の角度でセットし、上から750gの荷重をかけて5mm程度引っかき、5回中4回以上傷の付かなかった鉛筆の硬さで表した。
【0064】
<カール>
100×100mmサイズに切り取ったシートを凸面が上になるように、平坦なステージの上に置き、中心部がステージから浮いている距離を測定し、下記の通り判定した。なお、測定は温度23℃、湿度50%RHの環境にて行った。
A:浮いている距離が10mm以内
B:浮いている距離が10mm以上
【0065】
<透明性>
色差・濁度測定器 COH−400(日本電色工業(株)製)を用いて、コートフィルムについてJIS K 7136に準じてヘイズの測定を行った。
【0066】
下記実施例A1〜A9で用いる樹脂組成物A〜Hは以下の方法で調製した。
【0067】
(樹脂組成物A)
反応容器に1molのメタキシリレンジアミン(MXDA)を仕込んだ。窒素気流下60℃に昇温し、0.88molのアクリル酸メチル(MA)を1時間かけて滴下した。生成するメタノールを留去しながら165℃に昇温し、2.5時間165℃を保持した。固形分濃度が65%になるように、相当量のメタノールを1.5時間かけて滴下し、30℃まで冷却した。その後、1.15molのグリシジルメタクリレート及び固形分濃度が65%となるように、相当量のメタノールを仕込み、60℃にて5時間反応させて樹脂組成物Aを得た。
得られた樹脂の
1H-NMR分析及びGPC測定により、樹脂構造を確認した。
【0068】
(樹脂組成物B)
反応容器に1molのメタキシリレンジアミンを仕込んだ。窒素気流下60℃に昇温し、0.90molのアクリル酸メチルを1時間かけて滴下した。生成するメタノールを留去しながら165℃に昇温し、2.5時間165℃を保持した。固形分濃度が65%になるように、相当量のメタノールを1.5時間かけて滴下し、30℃まで冷却した。その後、1.15molのグリシジルメタクリレート及び固形分濃度が65%となるように、相当量のメタノールを仕込み、60℃にて5時間反応させて樹脂組成物Bを得た。
得られた樹脂の
1H-NMR分析及びGPC測定により、樹脂構造を確認した。
【0069】
(樹脂組成物C)
反応容器に1molのメタキシリレンジアミンを仕込んだ。窒素気流下60℃に昇温し、0.93molのアクリル酸メチルを1時間かけて滴下した。生成するメタノールを留去しながら165℃に昇温し、2.5時間165℃を保持した。固形分濃度が65%になるように、相当量のメタノールを1.5時間かけて滴下し、30℃まで冷却した。その後、1.15molのグリシジルメタクリレート及び固形分濃度が65%となるように、相当量のメタノールを仕込み、60℃にて5時間反応させて樹脂組成物Cを得た。
得られた樹脂の
1H-NMR分析及びGPC測定により、樹脂構造を確認した。
【0070】
(樹脂組成物D)
反応容器に1molのメタキシリレンジアミンを仕込んだ。窒素気流下60℃に昇温し、0.90molのアクリル酸メチルを1時間かけて滴下した。生成するメタノールを留去しながら165℃に昇温し、2.5時間165℃を保持した。固形分濃度が65%になるように、相当量のメタノールを1.5時間かけて滴下し、30℃まで冷却した。その後、0.57molのグリシジルメタクリレート及び固形分濃度が65%となるように、相当量のメタノールを仕込み、60℃にて5時間反応させて樹脂組成物Dを得た。
得られた樹脂の
1H-NMR分析及びGPC測定により、樹脂構造を確認した。
【0071】
(樹脂組成物E)
反応容器に1molのメタキシリレンジアミンを仕込んだ。窒素気流下60℃に昇温し、0.88molのアクリル酸メチルを1時間かけて滴下した。生成するメタノールを留去しながら165℃に昇温し、2.5時間165℃を保持した。固形分濃度が65%になるように、相当量のメタノールを1.5時間かけて滴下し、30℃まで冷却した。その後、0.57molのグリシジルメタクリレート及び固形分濃度が65%となるように、相当量のメタノールを仕込み、60℃にて5時間反応させて樹脂組成物Eを得た。
得られた樹脂の
1H-NMR分析及びGPC測定により、樹脂構造を確認した。
【0072】
(樹脂組成物F)
反応容器に1molのメタキシリレンジアミンを仕込んだ。窒素気流下60℃に昇温し、0.88molのメタクリル酸メチルを1時間かけて滴下した。生成するメタノールを留去しながら165℃に昇温し、2.5時間165℃を保持した。固形分濃度が65%になるように、相当量のメタノールを1.5時間かけて滴下し、30℃まで冷却した。その後、1.15molのグリシジルメタクリレート及び固形分濃度が65%となるように、相当量のメタノールを仕込み、60℃にて5時間反応させて樹脂組成物Fを得た。
得られた樹脂の
1H-NMR分析及びGPC測定により、樹脂構造を確認した。
【0073】
(樹脂組成物G)
反応容器に1molのメタキシリレンジアミンを仕込んだ。窒素気流下60℃に昇温し、0.88molのクロトン酸メチルを1時間かけて滴下した。生成するメタノールを留去しながら165℃に昇温し、2.5時間165℃を保持した。固形分濃度が65%になるように、相当量のメタノールを1.5時間かけて滴下し、30℃まで冷却した。その後、1.15molのグリシジルメタクリレート及び固形分濃度が65%となるように、相当量のメタノールを仕込み、60℃にて5時間反応させて樹脂組成物Gを得た。
得られた樹脂の
1H-NMR分析及びGPC測定により、樹脂構造を確認した。
【0074】
(樹脂組成物H)
反応容器に1molのメタキシリレンジアミンを仕込んだ。窒素気流下60℃に昇温し、0.70molのアクリル酸メチルを1時間かけて滴下した。生成するメタノールを留去しながら165℃に昇温し、2.5時間165℃を保持した後、60℃まで冷却した。その後、1molの2−イソシアネートエチルメタアクリレートを仕込み、60℃にて2時間反応させた。さらに、固形分濃度が65%になるように、相当量のメタノールを加えて希釈し、樹脂組成物Hを得た。
得られた樹脂の
1H-NMR分析及びGPC測定により、樹脂構造を確認した。
【0076】
実施例A1
<樹脂溶液Aの調製>
上記で調製した樹脂組成物Aを153.8質量部及びメタノールを68.42質量部含む溶液を調製した。そこにシリコーン系消泡剤(ビック・ケミー社製;BYK065)を0.2質量部加え、よく攪拌することにより、樹脂溶液Aを得た。
【0077】
<酸素透過係数の測定>
基材である厚み12μmのエステルフィルム(東洋紡績(株)製;E5100)に、上記で調製した樹脂溶液AをバーコーターNo.8を使用して塗布し(塗布量:5.0g/m
2(固形分))、85℃で30秒乾燥させた。その後、540mJ/cm
2の紫外線照射量となるように設定したコンベアタイプの紫外線照射装置U−0303(GSユアサ(株)製、高圧水銀ランプ使用、ランプ出力80W/cm、コンベアスピード3m/min)を用いて、樹脂組成物Aを硬化させることでサンプルを得た。
作製したコートフィルムを用い、上述した方法で樹脂組成物Aの硬化物の酸素透過係数を求めた。結果を表1に示す。
【0078】
<接着性、鉛筆硬度、カール、ヘイズ>
基材である厚み250μmのエステルフィルム(東洋紡績(株)製;E5101)に、樹脂溶液AをバーコーターNo.24を使用して塗布し(塗布量:10.0g/m
2(固形分))、85℃で30秒乾燥させた。その後、540mJ/cm
2の紫外線照射量となるように設定したコンベアタイプの紫外線照射装置U−0303(GSユアサ(株)製、高圧水銀ランプ使用、ランプ出力80W/cm、コンベアスピード3m/min)を用いて、樹脂組成物Aを硬化させることでサンプルを得た。
作製したコートフィルムを用い、上述した方法で樹脂組成物Aの接着性(クロスカット試験)、鉛筆硬度、カール、ヘイズを測定した。結果を表1に示す。
【0079】
<ラミネート強度の測定>
厚み12μmの延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製;E5101)に、樹脂溶液AをバーコーターNo.8を使用して塗布し(塗布量:5.0g/m
2(固形分))、85℃で30秒乾燥させた。その後、厚み40μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(三井化学東セロ(株)製;TUX−MCS)をニップロールにより貼り合わせた。すぐさま、540mJ/cm
2の紫外線照射量となるように設定したコンベアタイプの紫外線照射装置U−0303(GSユアサ(株)製、高圧水銀ランプ使用、ランプ出力80W/cm、コンベアスピード3m/min)を用いて紫外線を照射し、ラミネートフィルムを得た。作製したラミネートフィルムを用い、上述した方法でラミネート強度を測定した。結果を表2に示す。
【0080】
実施例A2
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Bを用いたこと以外は実施例A1と同様にして樹脂溶液Bを調製し、実施例A1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表2に示した。
【0081】
実施例A3
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Cを用いたこと以外は実施例A1と同様にして樹脂溶液Cを調製し、実施例A1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表2に示した。
【0082】
実施例A4
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Dを用いたこと以外は実施例A1と同様にして樹脂溶液Dを調製し、実施例A1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表2に示した。
【0083】
実施例A5
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Eを用いたこと以外は実施例A1と同様にして樹脂溶液Eを調製し、実施例A1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表2に示した。
【0084】
実施例A6
樹脂組成物Eを100.0質量部及び、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂(三菱ガス化学(株)製;TETRAD−X)を17.4質量部、及びメタノールを65.71質量部含む溶液を調製した。そこにシリコーン系消泡剤(ビック・ケミー社製;BYK065)を0.2質量部加え、よく攪拌することにより樹脂溶液Fを得た。
樹脂溶液Aの代わりに上記樹脂溶液Fを用いたこと以外は、実施例A1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表2に示す。
【0085】
実施例A7
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Fを用いたこと以外は実施例A1と同様にして樹脂溶液Gを調製し、実施例A1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表2に示した。
【0086】
実施例A8
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Gを用いたこと以外は実施例A1と同様にして樹脂溶液Hを調製し、実施例A1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表2に示した。
【0087】
実施例A9
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Hを用いたこと以外は実施例A1と同様にして樹脂溶液Iを調製し、実施例A1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表2に示した。
【0088】
比較例A1
UV−7600B(日本合成化学工業(株)製紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂、光重合開始剤4phr含有品)を100重量部、酢酸エチルを100質量部含む溶液を調製し、樹脂溶液Jを得た。
樹脂溶液Aの代わりに樹脂溶液Jを用いたこと以外は、実施例A1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表2に示す。
【0090】
上記で説明した樹脂は、高温での熱処理が不要な、透明性及び作業性に優れる活性エネルギー線硬化性樹脂である。上記で説明した樹脂又は樹脂組成物は、硬化により優れたガスバリア性を発現する。そのため、防食、美粧を目的とする塗料や、高いガスバリア性が要求される食品や医薬品等の包装材料、電子部品などの広い産業分野に利用される。特に、各種ガス透過性基材、例えば食品や医薬品などの包装材料用途に使用されているポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドなどのプラスチックフィルムやシートへのコート材料及びそれらの接着剤として好適に用いることができる。
【0091】
<第2の態様>
[ガスバリア性積層体]
1つの実施形態において、本発明のガスバリア性積層体(以下、ラミネートフィルム又はコートフィルムということがある。)は、基材層と、少なくとも1つのガスバリア層とを含み、ガスバリア層が、上記第1の態様に記載した樹脂の硬化により形成される。
【0092】
[積層体の層構成]
基材層は、1層であってもよいし、2層以上であってもよい。基材層の各層それぞれの少なくとも一面は、ガスバリア層(G)と直接に接していることが好ましい。
また、本発明のガスバリア性積層体は、そのまま使用してもよいし、あるいはさらに他の層を積層して使用してもよい。
【0093】
まず、上記第1の態様に記載の樹脂の硬化物を含むガスバリア層が、積層体の最も外側に位置するコート層として用いられる場合について説明する(以下、この態様に係るガスバリア性積層体を、ガスバリア性コートフィルムとも称する)。
1つの実施形態において、本発明のガスバリア性積層体は、ガスバリア層が、ガスバリア性積層体の少なくとも一方の積層表面に位置する。「少なくとも一方の積層表面に位置する」とは、積層体の表面及び裏面の両方に位置する場合、ならびに表面及び裏面のいずれか一方に位置する場合を含む。
【0094】
[ガスバリア性コートフィルムの層構成]
基材層は、可撓性ポリマーフィルム層(F)、紙層(P)及び金属箔層(M)から選択される1種以上の層である。可撓性ポリマーフィルム層(F)、紙層(P)、金属箔層(M)から選ばれる少なくとも1種の層の少なくとも一面は、ガスバリア層(G)と直接に接していることが好ましい。可撓性ポリマーフィルム層(F)、紙層(P)、及び金属箔層(M)は、用途に応じて任意に選択でき、これらを組み合わせることもできる。例えば、本発明のガスバリア性コートフィルムの構成としては、(G)/(F)、(G)/(F)/(G)、(G)/(P)、(G)/(P)/(G)、(G)/(M)、(G)/(M)/(G)、(G)/(F)/(M)、(G)/(F)/(P)、(G)/(P)/(F)、(G)/(P)/(M)、(G)/(M)/(F)、(G)/(M)/(P)等があるが、これらの構成に限定されない。さらに、酸素吸収層、接着剤層、アンカーコート層等を含んでもよい。
【0095】
[可撓性ポリマーフィルム層(F)]
可撓性ポリマーフィルムとしては、ガスバリア層を保持し得るものであればいずれのものでも使用することができる。例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系フィルム、ナイロン6、ナイロン6,6、メタキシレンアジパミド(N−MXD6)などのポリアミド系フィルム、ポリ乳酸などの生分解性フィルム、ポリアクリロニトリル系フィルム、ポリ(メタ)アクリル系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH)系フィルム、ポリビニルアルコール系フィルム等が挙げられる。これらの中でも、ポリオレフィン系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリアミド系フィルムが好ましい。
【0096】
また、これらの材料にポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物系樹脂、アクリル系樹脂などの各種ポリマーによるコーティングを施したフィルム、シリカ、アルミナ、アルミなどの各種無機化合物あるいは金属を蒸着させたフィルム、無機フィラーなどを分散させたフィルム、酸素捕捉機能を付与したフィルムなどが使用できる。
【0097】
さらに、コーティングする各種ポリマーにも無機フィラーを分散させることができる。無機フィラーとしては、シリカ、アルミナ、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどが挙げられるが、モンモリロナイトなどの層状珪酸塩が好ましい。その分散方法としては、例えば、押出混錬法や樹脂溶液への混合分散法など従来公知の方法が使用できる。酸素捕捉機能を付与させる方法としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ビタミンC、ビタミンE、有機燐化合物、没食子酸、ピロガロール等の酸素と反応する低分子有機化合物や、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅等の遷移金属化合物等を含む組成物を少なくとも一部に使用する方法等が挙げられる。
【0098】
上記フィルム材料の厚さとしては、実用的観点から、好ましくは10μm〜300μm、より好ましくは10μm〜100μm、特に好ましくは10μm〜50μmである。また、上記フィルムは一軸ないし二軸方向に延伸されているものでもよい。
【0099】
これらのフィルム材料の表面には、膜切れやはじきなどの欠陥のないガスバリア層が形成されるように、必要に応じて火炎処理やコロナ放電処理などの各種表面処理が実施されることが望ましい。このような処理は各種フィルム材料に対するガスバリア層の良好な接着を促進する。また、フィルム材料の表面に適切な表面処理がなされた後で、必要に応じて印刷層を設けることもできる。印刷層を設ける際には、グラビア印刷機、フレキソ印刷機、オフセット印刷機等の従来のポリマーフィルムへの印刷に用いられてきた一般的な印刷設備が同様に適用され得る。また、印刷層を形成するインキについても、アゾ系、フタロシアニン系などの顔料、ロジン、ポリアミド樹脂、ポリウレタンなどの樹脂、メタノール、酢酸エチル、メチルエチルケトンなどの溶剤等から形成される、従来ポリマーフィルムの印刷層に用いられてきたインキが同様に適用され得る。
【0100】
[紙層(P)]
紙層(P)としては、これが紙容器を構成する基本素材となり得ることから、賦型性、耐屈曲性、剛性、腰、強度等を有するものを使用することができる。例えば、晒又は未晒の紙基材、あるいは、純白ロ−ル紙、クラフト紙、板紙、加工紙等及びこれらのリサイクル紙、炭酸カルシウム紙、水酸化アルミ紙等の各種紙基材を使用することができる。
【0101】
上記の紙基材としては、坪量約40〜600g/m
2 のもの、好ましくは、坪量約50〜500g/m
2 のものを使用することができる。なお、上記の紙基材には、例えば、文字、図形、絵柄、記号、その他等の所望の印刷絵柄を通常の印刷方式にて任意に形成することができる。
【0102】
[金属箔層(M)]
金属箔層(M)は、金、銀、銅、亜鉛、鉄、鉛、錫及びこれらの合金、スチール、ステンレス、アルミニウム等の展延性に優れた金属の箔であれば特に限定されないが、工業的に特に好適な金属箔はアルミニウム箔である。これらの金属箔の厚みは、一般的には4〜50μmであることが好ましい。
【0103】
基材層とガスバリア層との間にプライマー(メジウム)層を形成してもよい。その場合、基材との密着性を有している限り、1液系、2液系ともに様々な化学構造のプライマーが使用可能である。接着剤の主溶剤として好適に用いられる、メタノールなどのアルコールの浸透性が低いポリエステル系プライマーが実用的であるため好ましい。
また、プライマー層の厚さは実用的観点から0.01μm〜20μmであることが好ましい。より好ましくは、0.05μm〜5μm、特に好ましくは0.1μm〜3.0μmである。この範囲であれば、十分な密着性が発揮しやすく、かつ均一な厚みのプライマー層を形成することが容易となる。
【0104】
[ガスバリア層(G)]
ガスバリア層(G)は、上記第1の態様に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化により形成される。
【0105】
[活性エネルギー線硬化性樹脂及びその製造方法]
使用する活性エネルギー線硬化性樹脂およびその製造方法は、上記第1の態様において説明した通りである。
【0106】
活性エネルギー線硬化性樹脂は、樹脂組成物として使用してもよい。樹脂組成物に含まれる成分及びその含量等は、上記第1の態様に記載した通りである。
【0107】
[活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化]
活性エネルギー線硬化性樹脂を活性エネルギー線により硬化させる際の方法は、上記第1の態様に記載した通りである。
【0108】
得られるガスバリア層の酸素透過係数は、2.0ml・mm/m
2・day・MPa(23℃、60%RH)以下であることが好ましい。より好ましくは1.9以下、特に好ましくは1.8以下である。
なお、酸素透過係数の測定は、後述する実施例Bに記載の方法によって行われる。
【0109】
〔実施例B〕
次に実施例により上記第2の態様を具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
【0110】
ガスバリア性コートフィルムの性能評価(酸素透過係数、接着性(クロスカット試験)、鉛筆硬度、カール及び透明性)の評価方法は、上記第1の態様の実施例Aに記載した通りである。
【0111】
下記実施例B1〜B9で用いる樹脂組成物A〜Hは、上記第1の態様の実施例Aに記載の通り調製した。
【0113】
実施例B1
<コートフィルムの作製(酸素透過係数測定用)>
樹脂組成物Aを153.8質量部及びメタノールを68.42質量部含む溶液を調製した。そこにシリコーン系消泡剤(ビック・ケミー社製;BYK065)を0.2質量部加え、よく攪拌することにより、樹脂溶液Aを得た。
基材である厚み12μmのポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製;E5100)に、樹脂溶液AをバーコーターNo.8を使用して塗布し(塗布量:5.0g/m
2(固形分))、85℃で30秒乾燥させた。その後、540mJ/cm
2の紫外線照射量となるように設定したコンベアタイプの紫外線照射装置U−0303(GSユアサ(株)製、高圧水銀ランプ使用、ランプ出力80W/cm、コンベアスピード3m/min)を用いて、樹脂組成物Aを硬化させることでサンプルを得た。
作製したコートフィルムを用い、上述した方法で樹脂組成物Aの硬化物の酸素透過係数を求めた。結果を表4に示す。
【0114】
<コートフィルムの作製(接着性、鉛筆硬度及びカール測定用)>
基材である厚み250μmのポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製;E5101)に、上記で調製した樹脂溶液AをバーコーターNo.24を使用して塗布し(塗布量:10.0g/m
2(固形分))、85℃で30秒乾燥させた。その後、540mJ/cm
2の紫外線照射量となるように設定したコンベアタイプの紫外線照射装置U−0303(GSユアサ(株)製、高圧水銀ランプ使用、ランプ出力80W/cm、コンベアスピード3m/min)を用いて、樹脂組成物Aを硬化させることでサンプルを得た。
作製したコートフィルムを用い、上述した方法で樹脂組成物Aの接着性(クロスカット試験)、鉛筆硬度、カールを測定した。結果を表4に示す。
【0115】
実施例B2
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Bを用いたこと以外は実施例B1と同様にして樹脂溶液Bを調製し、実施例B1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表4に示した。
【0116】
実施例B3
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Cを用いたこと以外は実施例B1と同様にして樹脂溶液Cを調製し、実施例B1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表4に示した。
【0117】
実施例B4
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Dを用いたこと以外は実施例B1と同様にして樹脂溶液Dを調製し、実施例B1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表4に示した。
【0118】
実施例B5
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Eを用いたこと以外は実施例B1と同様にして樹脂溶液Eを調製し、実施例B1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表4に示した。
【0119】
実施例B6
樹脂組成物Eを100.0質量部及び、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂(三菱ガス化学(株)製;TETRAD−X)を17.4質量部、メタノールを65.71質量部含む溶液を調製した。そこにシリコーン系消泡剤(ビック・ケミー社製;BYK065)を0.2質量部加え、よく攪拌することにより樹脂溶液Fを得た。
樹脂溶液Aの代わりに上記樹脂溶液Fを用いたこと以外は、実施例B1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表4に示す。
【0120】
実施例B7
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Fを用いたこと以外は実施例B1と同様にして樹脂溶液Gを調製し、実施例B1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表4に示した。
【0121】
実施例B8
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Gを用いたこと以外は実施例B1と同様にして樹脂溶液Hを調製し、実施例B1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表4に示した。
【0122】
実施例B9
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Hを用いたこと以外は実施例B1と同様にして樹脂溶液Iを調製し、実施例B1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表4に示した。
【0123】
実施例B10
<コートフィルムの作製(酸素透過係数測定用)>
厚み12μmのポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製;E5100)に、ウレタン接着剤(東洋モートン製TM−319/CAT−19B)をバーコーターNo.8を使用して塗布し(塗布量:3.0g/m
2(固形分))、85℃で30秒乾燥させた。その後、厚み7μmのアルミニウム箔(三菱アルミニウム(株)製;1N30)をニップロールにより貼り合わせた。作製した基材のアルミニウム箔面に、樹脂溶液AをバーコーターNo.8を使用して塗布し(塗布量:3.0g/m
2(固形分))、85℃で30秒乾燥させた後、540mJ/cm
2の紫外線照射量となるように設定したコンベアタイプの紫外線照射装置U−0303(GSユアサ(株)製、高圧水銀ランプ使用、ランプ出力80W/cm、コンベアスピード3m/min)を用いて、樹脂組成物Aを硬化させることでサンプルを得た。
作製したコートフィルムを用い、上述した方法で樹脂組成物Aの硬化物の酸素透過係数を求めた。結果を表4に示す。
【0124】
<コートフィルムの作製(接着性、鉛筆硬度及びカール測定用)>
厚み250μmのポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製;E5101)に、ウレタン接着剤(東洋モートン製TM−319/CAT−19B)をバーコーターNo.8を使用して塗布し(塗布量:3.0g/m
2(固形分))、85℃で30秒乾燥させた。その後、厚み7μmのアルミニウム箔(三菱アルミニウム(株)製;1N30)をニップロールにより貼り合わせた。作製した基材のアルミニウム箔面に樹脂溶液AをバーコーターNo.24を使用して塗布し(塗布量:10.0g/m
2(固形分))、85℃で30秒乾燥させた。その後、540mJ/cm
2の紫外線照射量となるように設定したコンベアタイプの紫外線照射装置U−0303(GSユアサ(株)製、高圧水銀ランプ使用、ランプ出力80W/cm、コンベアスピード3m/min)を用いて、樹脂組成物Aを硬化させることでサンプルを得た。
作製したコートフィルムを用い、上述した方法で樹脂組成物Aの接着性(クロスカット試験)、鉛筆硬度、カールを測定した。結果を表4に示す。
【0125】
比較例B1
UV−7600B(日本合成化学工業(株)製紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂、光重合開始剤4phr含有品)を100重量部、酢酸エチルを100質量部含む溶液を調製し、樹脂溶液Jを得た。
樹脂溶液Aの代わりに樹脂溶液Jを用いたこと以外は、実施例B1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表4に示す。
【0127】
上記で説明したガスバリア性コートフィルムは、高温での熱処理が不要な、透明性及び作業性に優れる活性エネルギー線硬化性樹脂を用いたフィルムである。上記で説明したガスバリア性コートフィルムは、樹脂の硬化により優れたガスバリア性を発現する。そのため、高いガスバリア性が要求される食品や医薬品等の包装材料、電子部品などの広い産業分野に利用される。特に、各種ガス透過性基材、例えば、食品や医薬品などの包装材料用途に使用されているポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドなどのプラスチックフィルムやシートへのコート材料等として好適に用いることができる。
【0128】
<第3の態様>
次に、上記第1の態様に記載の樹脂の硬化物を含むガスバリア層を、2つ以上の基材層を接着するために使用する場合について説明する。
1つの実施形態において、本発明のガスバリア性積層体は、基材層を2層以上具備し、いずれか2つの基材層の間にガスバリア層が位置する(以下、この態様におけるガスバリア性積層体を、ラミネートフィルムとも称する)。すなわち、ガスバリア層を接着剤として使用することができる(以下、この態様におけるガスバリア層を接着層とも称する)。ガスバリア層と基材層との間には、さらなる層が存在してもよい。
【0129】
ガスバリア性積層体を構成する基材層は、用途に応じて任意に選択できる。例えば、可撓性ポリマーフィルム層(F)、紙層(P)及び金属箔層(M)が挙げられ、これらを組み合わせることもできる。ガスバリア性積層体を構成する各層を積層するに際し、少なくとも1層が、上記第1の態様で説明した活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化により形成される接着層(ガスバリア層;G)である。該活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化により形成される接着層以外の接着層については、ポリウレタン系接着剤等、他の接着剤を使用してもよいし、樹脂同士を溶着させてもよい。また、該活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化により形成されるガスバリア層は、さらにコート層(すなわち、積層体の表面に位置する層)として用いてもよい。例えば、ガスバリア性積層体の構成としては、(F)/(G)/(F)、(F)/(G)/(F)/(G)/(F)、(F)/(G)/(P)/(G)/(F)、(F)/(G)/(P)、(F)/(G)/(M)/(G)/(P)、(P)/(G)/(M)、(P)/(G)/(F)/(G)/(M)、(G)/(F)/(G)/(P)、(G)/(F)/(G)/(F)/(G)等があるが、これらの構成に限定されない。さらに、酸素吸収層、接着剤層、アンカーコート層等を含んでもよい。
【0130】
上述のように、ガスバリア性積層体は、活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化物からなる接着層(ガスバリア層)を少なくとも1層含むものであればよく、他の層は基材層として使用される各種材料から適宜選択することができる。例えば、ポリエステル層/活性エネルギー線硬化性樹脂層(ガスバリア層)/ポリオレフィン層や、ポリアミド層/活性エネルギー線硬化性樹脂層(ガスバリア層)/ポリオレフィン層からなる3層構成、あるいは、ポリエステル層/活性エネルギー線硬化性樹脂層(ガスバリア層)/ポリウレタン系接着剤層/ポリオレフィン層や、ポリアミド層/活性エネルギー線硬化性樹脂層(ガスバリア層)/ポリウレタン系接着剤層/ポリオレフィン層からなる4層構成などが挙げられるが、これらに限定されない。以下、各基材層につき、詳述する。
【0131】
[可撓性ポリマーフィルム層(F)]
本発明のガスバリア性積層体を構成する可撓性ポリマーフィルム層は、ガスバリア層を保持する基材フィルム層、包装材料を形成する際にヒートシール部位となるシーラント層などの役割に分類することができる。これらのフィルム層は、その役割に応じて強度や融点などの要求性能が異なる。
【0132】
基材フィルム層となる可撓性ポリマーフィルムとしては、上記第2の態様で説明したものと同様のものを使用することができる。
【0133】
シーラント層となる可撓性ポリマーフィルムについても、基材フィルム層となる可撓性ポリマーフィルムについての上記説明において挙げられたフィルム材料から同様に選択し得る。しかし、良好なヒートシール性の発現を考慮し、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系フィルムを選択することが好ましい。これらのフィルムの厚さは、実用的観点から好ましくは10μm〜300μm、より好ましくは12μm〜250μm、特に好ましくは15μm〜200μmである。また該フィルムの表面には火炎処理やコロナ放電処理などの各種表面処理が実施されていてもよい。
【0134】
[紙層(P)]
紙層(P)としては、上記第2の態様で説明したものと同様のものを使用することができる。
【0135】
[金属箔層(M)]
金属箔層(M)としては、上記第2の態様で説明したものと同様のものを使用することができる。また、樹脂の塗布面にプライマー層を形成してよいことも同様である。
【0136】
[ガスバリア層(G)]
ガスバリア層(G)は、上記第1の態様に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化により形成される。
【0137】
[活性エネルギー線硬化性樹脂及びその製造方法]
使用する活性エネルギー線硬化性樹脂及びその製造方法は、以下に特に記載する事項を除き、上記第1の態様において説明した通りである。樹脂の硬化方法についても同様である。
【0138】
得られるガスバリア層の酸素透過係数は、2.0ml・mm/m
2・day・MPa(23℃、60%RH)以下であることが好ましい。より好ましくは1.9以下、特に好ましくは1.8以下である。
なお、酸素透過係数の測定は、後述する実施例Cに記載の方法によって行われる。
【0139】
[積層体の製造]
活性エネルギー線硬化性樹脂を使用して、各種フィルム材料をラミネートする場合には、ドライラミネート、ノンソルベントラミネート、押出しラミネート等公知のラミネート法を用いることが可能である。本発明においてはドライラミネートもしくは押出しラミネートが好ましい。
【0140】
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を各種材料に塗布し、ラミネートする場合には、ガスバリア層となる硬化物を得るのに十分な樹脂組成物の濃度及び温度で実施されるが、これは原料及びラミネート方法の選択により変化し得る。すなわち、樹脂組成物の濃度は、選択した材料の種類及びモル比、ラミネート方法などにより、溶剤を用いない場合から、ある種の適切な有機溶剤及び/又は水を用いて約5重量%程度の組成物濃度に希釈して塗布液(接着剤溶液)を調製する場合までの様々な状態をとり得る。有機溶剤としては、樹脂組成物が溶解するあらゆる溶剤が使用できる。
【0141】
上記溶剤で希釈した塗布液(接着剤溶液)は、そのザーンカップ(No.3)粘度が5秒〜30秒(25℃)の範囲となるような濃度であってよい。ザーンカップ(No.3)粘度が5秒未満では樹脂組成物が被塗物に十分塗布されず、ロールの汚染などの原因となる。またザーンカップ(No.3)粘度が30秒を超えると、樹脂組成物がロールに十分移行せず、均一なガスバリア層を形成するのは困難となる。例えば、ドライラミネートでは、ザーンカップ(No.3)粘度はその使用中に10秒〜45秒(25℃)であることが好ましく、10〜30秒であることがさらに好ましい。
【0142】
また、溶剤を使用した場合には、塗布後の溶剤乾燥温度は20℃から140℃までの様々なものであってよいが、溶剤の沸点に近く、被塗物への影響が及ばない温度が望ましい。乾燥温度が20℃未満ではラミネートフィルム中に溶剤が残存し、接着不良や臭気の原因となる。また乾燥温度が140℃を超えると、ポリマーフィルムの軟化などにより、良好な外観のラミネートフィルムを得るのが困難となる。例えば、樹脂組成物を延伸ポリプロピレンフィルムに塗布する際は、40℃〜120℃が望ましい。
【0143】
塗布する際の塗装形式としては、ロール塗布、スプレー塗布、エアナイフ塗布、浸漬、はけ塗りなどの一般的に使用される塗装形式のいずれも使用され得る。ロール塗布又はスプレー塗布が好ましい。例えば、ポリウレタン系接着剤成分をポリマーフィルムに塗布し、ラミネートする場合と同様のロールコートあるいはスプレー技術及び設備が適用され得る。
【0144】
続いて、各ラミネート方法での具体的な操作について説明する。ドライラミネート法の場合には、フィルム材料に塗布液(接着剤溶液)をグラビアロールなどのロール法により塗布する。その後、溶剤を乾燥させ直ちにその表面に新たなフィルム材料をニップロールにより貼り合わせることによりラミネートフィルムを得ることができる。
【0145】
塗布液(接着剤溶液)を調製する際の溶剤としては、特に限定されないが、溶解性が良く、比較的沸点が低い、炭素数3以下のアルコールを含む溶剤であることが好ましい。例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びn−プロパノールからなる群より選ばれる1種以上を主成分とする溶剤が例示される。
【0146】
ドライラミネート法において、塗布液(接着剤溶液)はシーラント層に塗布することも可能であり、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系フィルムに塗布、乾燥後、延伸ポリプロピレン、ポリアミド系フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどの基材をニップロールにより貼り合わせることにより、ラミネートフィルムを製造することができる。
【0147】
また、ノンソルベントラミネート法の場合には、フィルム材料に塗布液をグラビアロールなどのロールにより塗布後、直ちにその表面に新たなフィルム材料を貼り合わせることによりラミネートフィルムを得ることができる。
【0148】
押出しラミネート法の場合には、フィルム材料に、接着補助剤(アンカーコート剤)として塗布液の希釈溶液をグラビアロールなどのロールにより塗布し、20℃〜140℃で乾燥させて、硬化反応を行う。その後、押出し機を用いて、溶融させたポリマー材料をラミネートすることによりラミネートフィルムを得ることができる。溶融させるポリマー材料としては、低密度ポリエチレン樹脂、直線状低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂などのポリオレフィン系樹脂が好ましい。
これらのラミネート法及びその他の一般的に使用されうるラミネート法は必要に応じて組み合わせることも可能であり、用途や形態に応じてラミネートフィルムの層構成は変化し得る。
【0149】
塗布液(接着剤溶液)を各種材料等に塗布、乾燥、貼り合わせ、及び硬化処理した後のガスバリア層の厚さは、実用性の観点から0.1〜100μmの範囲が好ましい。この範囲であれば、十分なガスバリア性及び接着性が確保でき、かつ均一な厚みのガスバリア層を形成することができる。より好ましくは0.3μm〜20μmの範囲、さらに好ましくは0.5μm〜10μmの範囲である。
【0150】
[多層包装材料]
上記塗布液(接着剤溶液)を使用して製造したラミネートフィルムは、食品や医薬品などの保護を目的とする多層包装材料として使用することができる。該多層包装材料は、ラミネートフィルムを含むものである。多層包装材料として使用する場合には、内容物、使用環境、使用形態等に応じてその層構成は変化し得る。すなわち、本発明のラミネートフィルム(ガスバリア性積層体)をそのまま多層包装材料として使用することもできるし、必要に応じて酸素吸収層などをラミネートフィルムにさらに積層することもできる。この際、上記塗布液を用いて積層しても良いし、他の接着剤やアンカーコート剤を用いて積層しても良い。
【0151】
[包装用袋]
多層包装材料を使用して製造する軟包装用袋等からなる包装用袋について説明する。かかる軟包装用袋等からなる包装用袋は、多層包装材料を使用し、そのヒートシール性樹脂層の面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺端部をヒートシールすることによりシール部を形成して製造することができる。その製袋方法としては、例えば、多層包装材料を折り曲げるか、あるいは重ね合わせて、その内層の面を対向させ、更にその周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型等のヒートシール形態によりヒートシールする方法が挙げられる。
【0152】
包装用袋は、内容物や使用環境、使用形態に応じて種々の形態をとり得る。その他、例えば、自立性包装用袋(スタンディングパウチ)等とすることも可能である。ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法が挙げられる。
【0153】
包装用袋にその開口部から内容物を充填し、しかる後、その開口部をヒートシールすることで、上記包装用袋を使用した包装製品を製造することができる。充填できる内容物としては、米菓、豆菓子、ナッツ類、ビスケット・クッキー、ウェハース菓子、マシュマロ、パイ、半生ケーキ、キャンディ、スナック菓子などの菓子類、パン、スナックめん、即席めん、乾めん、パスタ、無菌包装米飯、ぞうすい、おかゆ、包装もち、シリアルフーズなどのステープル類、漬物、煮豆、納豆、味噌、凍豆腐、豆腐、なめ茸、こんにゃく、山菜加工品、ジャム類、ピーナッツクリーム、サラダ類、冷凍野菜、ポテト加工品などの農産加工品、ハム類、ベーコン、ソーセージ類、チキン加工品、コンビーフ類などの畜産加工品、魚肉ハム・ソーセージ、水産練製品、かまぼこ、のり、佃煮、かつおぶし、塩辛、スモークサーモン、辛子明太子などの水産加工品、桃、みかん、パイナップル、りんご、洋ナシ、さくらんぼなどの果肉類、コーン、アスパラガス、マッシュルーム、玉ねぎ、人参、大根、じゃがいもなどの野菜類、ハンバーグ、ミートボール、水産フライ、ギョーザ、コロッケなどを代表とする冷凍惣菜、チルド惣菜などの調理済食品、バター、マーガリン、チーズ、クリーム、インスタントクリーミーパウダー、育児用調整粉乳などの乳製品、液体調味料、レトルトカレー、ペットフードなどの食品類が挙げられる。また、タバコ、使い捨てカイロ、医薬品、化粧品などの包装材料としても使用され得る。
【0154】
〔実施例C〕
次に実施例により上記第3の態様を具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
【0155】
ガスバリア性積層体の性能評価の方法は以下の通りである。
<酸素透過係数(ml・mm/m
2・day・MPa)>
酸素透過率測定装置(モダンコントロール社製、OX−TRAN2/21)を使用して、実施例及び比較例に記載の方法で樹脂組成物を基材に塗布し、シーラントフィルムを貼り合わせた後に樹脂組成物を硬化させて作製した積層体(ラミネートフィルム)、基材、シーラントフィルムそのものの酸素透過率を23℃、相対湿度60%の条件下で測定し、樹脂組成物の硬化物(ガスバリア層)の酸素透過係数を以下の式を用いて計算した。
1/R
1 = 1/R
2 + DFT/P + 1/R
3
ここで、
R
1 :積層体(ラミネートフィルム)の酸素透過率(ml/m
2・day・MPa)
R
2 :基材の酸素透過率(ml/m
2・day・MPa)(但し、実施例C8においては、ポリエステルフィルム層/ウレタン接着剤層/アルミニウム箔層の3層から構成される基材の酸素透過率)
R
3:シーラントフィルムの酸素透過率(ml/m
2・day・MPa)
DFT:樹脂組成物の硬化物(ガスバリア層)の厚み(mm)
P:樹脂組成物の硬化物(ガスバリア層)の酸素透過係数
なお、実施例C7においては、樹脂組成物の硬化物(ガスバリア層)の酸素透過係数を以下の式を用いて計算した。
1/R
1 = 1/R
2 + DFT/P + 1/R
3+ 1/R
4
ここで、
R
1 :積層体(ラミネートフィルム)の酸素透過率(ml/m
2・day・MPa)
R
2 :基材の酸素透過率(ml/m
2・day・MPa)
R
3 :シーラントフィルムの酸素透過率(ml/m
2・day・MPa)
R
4 :ウレタン接着剤層の酸素透過率(ml/m
2・day・MPa)
DFT:樹脂組成物の硬化物(ガスバリア層)の厚み(mm)
P:樹脂組成物の硬化物(ガスバリア層)の酸素透過係数
【0156】
<ラミネート強度>
JIS K−6854に指定されている方法を用い、実施例に記載の方法で作製したラミネートフィルムのラミネート強度(g/15mm)を、T型剥離試験により300mm/minの剥離速度で測定した。
【0157】
下記実施例C1〜C8では、上記第1の態様の実施例Aにおける樹脂組成物AおよびE〜Hを使用した。
【0159】
実施例C1
<接着剤溶液aの調製>
樹脂組成物Aを153.8質量部及びメタノールを68.42質量部含む溶液を調製し、そこにシリコーン系消泡剤(ビック・ケミー社製;BYK065)を0.2質量部加え、よく攪拌することにより、接着剤溶液aを得た。
【0160】
<ラミネートフィルムの作製>
厚み12μmの延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製;E5101)に、接着剤溶液aをバーコーターNo.8を使用して塗布し(塗布量:5.0g/m
2(固形分))、85℃で30秒乾燥させた。その後、厚み40μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(三井化学東セロ(株)製;TUX−MCS)をニップロールにより貼り合わせた。すぐさま、540mJ/cm
2の紫外線照射量となるように設定したコンベアタイプの紫外線照射装置U−0303(GSユアサ(株)製、高圧水銀ランプ使用、ランプ出力80W/cm、コンベアスピード3m/min)を用いて紫外線を照射し、ラミネートフィルムを得た。
【0161】
同様の方法で、厚み12μmの延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製;E5101)の代わりに厚み15μmの延伸ナイロンフィルム(東洋紡績(株)製;N1102)を用いて、ナイロンフィルムを基材とするラミネートフィルムを得た。
また、同様の方法で、厚み12μmの延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製;E5101)の代わりに厚み20μmの延伸プロピレンフィルム(東洋紡績(株)製;P2161)を用いて、ポリプロピレンフィルムを基材とするラミネートフィルムを得た。
作製したラミネートフィルムを用い、上述した方法でガスバリア性及びラミネート強度を測定した。結果を表6に示す。
【0162】
実施例C2
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Eを用いたこと以外は実施例C1と同様にして接着剤溶液bを調製し、実施例C1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表6に示す。
【0163】
実施例C3
樹脂組成物Eを100.0質量部及び、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂(三菱ガス化学(株)製;TETRAD−X)を17.4質量部、メタノールを65.71質量部含む溶液を調製した。そこにシリコーン系消泡剤(ビック・ケミー社製;BYK065)を0.2質量部加え、よく攪拌することにより接着剤溶液cを調製し、実施例C1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表6に示す。
【0164】
実施例C4
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Fを用いたこと以外は実施例C1と同様にして接着剤溶液dを調製し、実施例C1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表6に示す。
【0165】
実施例C5
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Gを用いたこと以外は実施例C1と同様にして接着剤溶液eを調製し、実施例C1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表6に示す。
【0166】
実施例C6
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Hを用いたこと以外は実施例C1と同様にして接着剤溶液fを調製し、実施例C1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表6に示す。
【0167】
実施例C7
厚み12μmの延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製;E5101)に、接着剤溶液aをバーコーターNo.8を使用して塗布し(塗布量:5.0g/m
2(固形分))、85℃で30秒乾燥させた。その後、540mJ/cm
2の紫外線照射量となるように設定したコンベアタイプの紫外線照射装置U−0303(GSユアサ(株)製、高圧水銀ランプ使用、ランプ出力80W/cm、コンベアスピード3m/min)を用いて、樹脂組成物Aを硬化させることでコートフィルムを得た。
得られたコートフィルムの樹脂組成物Aを硬化させたコート層側に、ポリエーテル成分(東洋モートン(株)製;TM−319)を50質量部、ポリイソシアネート成分(東洋モートン(株)製;CAT−19B)を50質量部含む酢酸エチル溶液(固形分濃度;30質量%)をバーコーターNo.8を使用して塗布し(塗布量:3.5g/m
2(固形分))、85℃で10秒乾燥させた。その後、厚み40μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(三井化学東セロ(株)製;TUX−MCS)をニップロールにより貼り合わせ、40℃で2日間エージングすることによりポリエステルを基材とするラミネートフィルムを得た。
【0168】
同様の方法で、厚み12μmの延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製;E5101)の代わりに厚み15μmの延伸ナイロンフィルム(東洋紡績(株)製;N1102)を用いて、ナイロンフィルムを基材とするラミネートフィルムを得た。
また、同様の方法で、厚み12μmの延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製;E5101)の代わりに厚み20μmの延伸プロピレンフィルム(東洋紡績(株)製;P2161)を用いて、ポリプロピレンフィルムを基材とするラミネートフィルムを得た。
作製したラミネートフィルムを用い、上述した方法でガスバリア性及びラミネート強度を測定した。結果を表6に示す。
【0169】
実施例C8
厚み12μmのポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製;E5100)に、ウレタン接着剤(東洋モートン製TM−319/CAT−19B)をバーコーターNo.8を使用して塗布し(塗布量:3.0g/m
2(固形分))、85℃で30秒乾燥させた。その後、厚み7μmのアルミニウム箔(三菱アルミニウム(株)製;1N30)をニップロールにより貼り合わせた。作製した基材のアルミニウム箔面に、接着剤溶液aをバーコーターNo.8を使用して塗布し(塗布量:3.0g/m
2(固形分))、85℃で30秒乾燥させた。その後、厚み40μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(三井化学東セロ(株)製;TUX−MCS)をニップロールにより貼り合わせた。すぐさま、540mJ/cm
2の紫外線照射量となるように設定したコンベアタイプの紫外線照射装置U−0303(GSユアサ(株)製、高圧水銀ランプ使用、ランプ出力80W/cm、コンベアスピード3m/min)を用いて、樹脂組成物Aを硬化させることでラミネートフィルムを得た。
作製したラミネートフィルムを用い、上述した方法でガスバリア性及びラミネート強度を測定した。結果を表6に示す。
【0170】
比較例C1
UV−7600B(日本合成化学工業(株)製紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂、光重合開始剤4phr含有品)を100重量部、酢酸エチルを100質量部含む溶液を調製し、接着剤溶液gを得た。
接着剤溶液aの代わりに接着剤溶液gを用いたこと以外は、実施例C1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表6に示す。
【0171】
比較例C2
比較例C1と同様にして接着剤溶液gを調製し、実施例C7と同様の方法で各種測定を行った。結果を表6に示す。
【0173】
上記で説明したガスバリア性積層体は、優れたガスバリア性と良好な接着性を同時に発現することが可能である。そのため、防食、美粧を目的とする塗料や、高いガスバリア性が要求される食品や医薬品等の包装材料、電子部品などの広い産業分野に利用される。特に、食品や医薬品などの包装材料用途に使用されているポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドなどのプラスチックフィルムを含むガスバリア性積層体として好適に用いることができる。
【0174】
<第4の態様>
[ガスバリア性積層体の層構成]
1つの実施形態において、本発明のガスバリア性積層体(以下、耐屈曲性積層体とも称する)は、少なくとも基材層(F)、シリカ蒸着層、アルミナ蒸着層もしくはシリカ・アルミナ二元蒸着層(V)、及びガスバリア層(G)を有する。
【0175】
[基材層(F)]
基材としてのフィルム材料は、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系フィルム、ナイロン6、ナイロン6,6、ポリメタキシリレンアジパミド(N−MXD6)などのポリアミド系フィルム、ポリ乳酸などの生分解性フィルム、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系フィルム、ポリアクリロニトリル系フィルム、ポリ(メタ)アクリル系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)系フィルム、ポリビニルアルコール系フィルム、カートンなどの紙類、及びアルミや銅などの金属箔であってよい。また、これらの基材として用いられる各種材料に、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物系樹脂、アクリル系樹脂などの各種ポリマーによるコーティングを施したフィルム、アルミなどの金属を蒸着させたフィルム、無機フィラーなどを分散させたフィルム、酸素捕捉機能を付与したフィルムなども使用できる。
【0176】
さらに、コーティングする各種ポリマーにも無機フィラーを分散させることができる。無機フィラーとしては、シリカ、アルミナ、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどが挙げられるが、モンモリロナイトなどの層状珪酸塩が好ましい。その分散方法としては、例えば、押出混錬法や樹脂溶液への混合分散法など従来公知の方法が使用できる。フィルムに酸素捕捉機能を付与する方法としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ビタミンC、ビタミンE、有機燐化合物、没食子酸、ピロガロール等の酸素と反応する低分子有機化合物や、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅等の遷移金属化合物等を含む組成物を少なくとも一部に使用する方法等が挙げられる。
【0177】
上記フィルム材料の厚さとしては、実用的観点から、好ましくは10μm〜300μm、より好ましくは10μm〜100μm、特に好ましくは10μm〜50μmである。また、上記フィルムは一軸ないし二軸方向に延伸されているものでもよい。
【0178】
[蒸着層(V)]
蒸着層(V)は、シリカ蒸着層、アルミナ蒸着層又はシリカ・アルミナ二元蒸着層である。これらの蒸着層は、上記基材層にシリカ及び/又はアルミナを蒸着させることにより形成される。蒸着方法としては、物理蒸着法でも化学蒸着法でもよい。
【0179】
上記蒸着層の厚さとしては、特に限定されず、適宜設定することが出来るが、実用的観点から、好ましくは0.1nm〜500nm、より好ましくは0.3nm〜100nm、特に好ましくは0.5nm〜50nmである。厚みが0.1nm〜500nmであれば、蒸着フィルムの耐屈曲性が高められる傾向にある。
【0180】
[ガスバリア層(G)]
ガスバリア層(G)は、上記第1の態様に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化により形成される。
【0181】
[活性エネルギー線硬化性樹脂及びその製造方法]
使用する活性エネルギー線硬化性樹脂及びその製造方法は、以下に特に記載する事項を除き、上記第1の態様において説明した通りである。
【0182】
本発明に用いられる活性エネルギー線硬化性樹脂は、分子中にアミド基とアミノ基を有する構造を含むことが好ましい。本発明においては、ガスバリア層の形成に用いる該樹脂は各種の(メタ)アクリル基を有していればよいというものではなく、例えば第1の態様における一般式(1)によって表される特定の(メタ)アクリル基を有していることが、優れたガスバリア性及び耐屈曲性を有し、かつ優れた密着性を有するガスバリア層とする上で好ましい。
【0183】
本発明の樹脂組成物を蒸着層に塗布する場合においては、各種基材の表面の湿潤を助けるために、樹脂組成物中に、シリコーンあるいはアクリル系化合物といった湿潤剤を添加してもよい。適切な湿潤剤としては、ビックケミー社から入手し得るBYK331、BYK333、BYK340、BYK347、BYK348、BYK378、BYK380、BYK381などがある。これらを添加する場合には、樹脂組成物の全質量を基準として0.01〜2.0質量%の範囲が好ましい。
【0184】
また、蒸着層に対する粘着性を向上させるために、樹脂組成物中に、必要に応じてキシレン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂などの粘着付与剤を添加してもよい。これらを添加する場合には、樹脂組成物の全質量を基準として0.01〜2.0質量%の範囲が好ましい。
【0185】
蒸着層に対する接着性を向上させるために、樹脂組成物中にシランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤を添加してもよい。これらを添加する場合には、樹脂組成物の全質量を基準として0.01〜5.0質量%の範囲が好ましい。
【0186】
さらに、活性エネルギー線硬化性樹脂を蒸着層に塗布する場合においては、撹拌混合や塗布時に発生する泡の消失を助けるため、樹脂中に、シリコーン系あるいはアクリル系化合物からなる消泡剤を添加してもよい。適切な消泡剤としては、ビックケミー社から入手し得るBYK019、BYK052、BYK065、BYK066N、BYK067N、BYK070、BYK080などが挙げられるが、特にBYK065が好ましい。これらを添加する場合には、樹脂組成物の全質量を基準として0.01〜3.0質量%の範囲が好ましい。
【0187】
本発明においては、ガスバリア層(G)と蒸着層(V)との間にさらに樹脂層(R)が存在してもよい。この樹脂層(R)として用いる樹脂としては、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンウレア樹脂、アクリル変性ウレタン樹脂、アクリル変性ウレタンウレア樹脂等のポリウレタン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂;ロジン変性マレイン酸樹脂等のロジン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリエステル系樹脂;塩素化ポリプロピレン樹脂等の塩素化オレフィン系樹脂、ポリエチレンイミン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、有機チタン系樹脂等が挙げられる。
【0188】
上記樹脂層(R)の形成は、これらの樹脂を水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン等の溶剤に溶解させて、グラビア法、ロールコート法などで塗布することによって行うことができる。また、該樹脂層(R)の形成にはグラビア印刷機、フレキソ印刷機、オフセット印刷機等の従来のポリマーフィルムへの印刷に用いられてきた一般的な印刷設備が同様に適用され得る。
【0189】
上記樹脂層(R)を形成する場合、その厚さは0.005〜5μm、好ましくは0.01〜3μmが実用的である。0.005μm未満では十分な密着性が生じ難く、一方、5μmを超えると均一な厚みの樹脂層を形成することが困難になる。
【0190】
上記樹脂層(R)として硬化性のものを使用する場合は、1液タイプでも2液タイプでも良いが、耐水性や耐熱性を付与させたい場合は2液タイプを使用したほうが実用的である。
【0191】
また、上記樹脂層(R)に他の機能性を付与するために、上記の樹脂類に添加剤を含ませてもよい。例えば、耐摩擦性の向上、ブロッキング防止、スリップ性、耐熱性向上、帯電防止などのために、ワックス、分散剤、静電防止剤、表面改質剤などを添加することができ、適宜選定して使用できる。
【0192】
[活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化]
活性エネルギー線硬化性樹脂を活性エネルギー線により硬化させる際の方法は、以下に特に記載する事項を除き、上記第1の態様に記載した通りである。
【0193】
活性エネルギー線硬化性樹脂を蒸着層上に塗布する際の塗装形式としては、例えば、バーコーター塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、マイクログラビア塗工、マイクロリバースグラビアコーター塗工、ダイコーター塗工、スロットダイコーター塗工、バキュームダイコーター塗工、ディップ塗工、スピンコート塗工、スプレー塗工、はけ塗りなどの一般的に使用される塗装形式のいずれも使用され得る。ロール塗布又はスプレー塗布が好ましい。
【0194】
活性エネルギー線硬化性樹脂が揮発性成分(代表的には溶媒)を含んでいる場合、蒸着層上に塗装した後に揮発性成分を乾燥した上で、活性エネルギー線を照射することが望ましい。乾燥条件としては、10〜220℃の温度で3〜20秒、好ましくは20〜180℃の温度で3〜20秒、より好ましくは25〜150℃の温度で3〜20秒である。
【0195】
上記活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化により形成されるガスバリア層(G)の酸素透過係数は、2.0ml・mm/m
2・day・MPa(23℃60%RH)以下であることが好ましい。より好ましくは1.9以下、特に好ましくは1.8以下である。
なお、酸素透過係数の測定は、後述する実施例Dに記載の方法によって行われる。
【0196】
また、上記ガスバリア層(G)と蒸着層(V)の密着性については、後述する実施例に記載の方法で作製したラミネートフィルムのラミネート強度が、100g/15mm以上であることが実用上好ましい。より好ましくは120g/15mm以上、特に好ましくは150g/15mm以上である。
【0197】
〔実施例D〕
次に実施例により上記第4の態様を具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
【0198】
得られた樹脂の分析は、
1H−NMR及びGPCにより行った。測定条件等はつぎのとおりである。
【0199】
<
1H−NMR>
装置:BRUKAER製 Ascend
TM500
溶媒:CD3OD
サンプル濃度:2.5mg/mL
積算回数:16回
【0200】
<GPC>
装置:昭和電工製 Shodex GPC−2001
移動相溶媒:トリフルオロ酢酸ナトリウム(TFA−Na)2mM含有HFIP
温度:40℃
流速:1.0mL/min
試料濃度:0.05%
検出器:RI
注入量:100μL
【0201】
実施例及び比較例におけるガスバリア性積層体の性能評価の方法は、以下の通りである。
<屈曲処理前の酸素透過率(ml/m
2・day・MPa)>
実施例及び比較例に記載の方法で後述の樹脂溶液を基材に塗布し、樹脂を硬化させて作製したコートフィルムの酸素透過率を測定した。測定は、酸素透過率測定装置(モダンコントロール社製、OX−TRAN2/21)を使用して、23℃、相対湿度60%の条件下で行った。
【0202】
<ガスバリア層の酸素透過係数(ml・mm/m
2・day・MPa)>
実施例及び比較例に記載の方法で後述の樹脂溶液を基材に塗布し、樹脂を硬化させて作製したコートフィルム、及び基材そのものの酸素透過率を測定した。測定は、酸素透過率測定装置(モダンコントロール社製、OX−TRAN2/21)を使用して、23℃、相対湿度60%の条件下で行った。ガスバリア層の酸素透過係数を、以下の式を用いて計算した。
1/R
1 = 1/R
2 + DFT/P
ここで、
R
1 :コートフィルムの酸素透過率(ml/m
2・day・MPa)
R
2 :基材の酸素透過率(ml/m
2・day・MPa)
DFT:ガスバリア層の厚み(mm)
P:ガスバリア層の酸素透過係数
【0203】
<屈曲処理後の酸素透過率(ml/m
2・day・MPa)>
ゲルボーフレックステスター(理学工業社製)を用いて360度のひねりを50回加えたコートフィルムの酸素透過率を、屈曲処理前の酸素透過率測定方法と同様の方法で測定した。
【0204】
<ガスバリア層の密着性>
蒸着層とガスバリア層の密着性を、JIS K−6854に指定されている方法を用いて評価した。実施例に記載の方法で作製したラミネートフィルムのラミネート強度(g/15mm)を、T型剥離試験により300mm/minの剥離速度で測定した。
【0205】
下記実施例D1〜D9で用いる樹脂組成物A〜Hは、上記第1の態様の実施例Aに記載の通り調製した。以下に、樹脂組成物A〜Hについて、メタキシリレンジアミン(MXDA)/アクリル酸メチル(MA)付加体及び得られた樹脂の
1H-NMR分析結果及びGPC測定結果を示す。
(樹脂組成物A)
(MXDA/MA付加体の
1H−NMRスペクトルデータ)
2.3−2.5ppm(3.5H)、2.8ppm(3.5H)、3.3ppm(2H)、3.7ppm(2H)、4.3ppm(4H)、7.1−7.3ppm(8H)
(得られた樹脂の
1H−NMR)
2.0ppm(6.9H)、2.3−2.8ppm(11.6H)、3.3−3.6ppm(6H)、4.1−4.4ppm(8.9H)、5.7ppm(2.3H)、6.1ppm(2.3H)、7.3−7.6ppm(8H)
(MXDA/MA付加体のGPC分析結果)
Mn:15,000、Mw:36,000、Mw/Mn:2.4
(得られた樹脂のGPC分析結果)
Mn:17,000、Mw:59,500、Mw/Mn:3.5
【0206】
(樹脂組成物B)
(MXDA/MA付加体の
1H−NMRスペクトルデータ)
2.3−2.5ppm(3.6H)、2.8ppm(3.6H)、3.3ppm(2H)、3.7ppm(2H)、4.3ppm(4H)、7.3−7.6ppm(8H)
(得られた樹脂の
1H−NMRスペクトルデータ)
2.0ppm(6.9H)、2.3−2.8ppm(11.8H)、3.3−3.6ppm(6H)、4.1−4.4ppm(8.9H)、5.7ppm(2.3H)、6.1ppm(2.3H)、7.3−7.6ppm(8H)
(MXDA/MA付加体のGPC分析結果)
Mn:18,000、Mw:43,000、Mw/Mn:2.4
(得られた樹脂のGPC分析結果)
Mn:20,000、Mw:70,000、Mw/Mn:3.5
【0207】
(樹脂組成物C)
(MXDA/MA付加体の
1H−NMRスペクトルデータ)
2.3−2.5ppm(3.7H)、2.8ppm(3.7H)、3.3ppm(2H)、3.7ppm(2H)、4.3ppm(4H)、7.3−7.6ppm(8H)
(得られた樹脂の
1H−NMRスペクトルデータ)
2.0ppm(6.9H)、2.3−2.8ppm(12H)、3.3−3.6ppm(6H)、4.1−4.4ppm(8.9H)、5.7ppm(2.3H)、6.1ppm(2.3H)、7.3−7.6ppm(8H)
(MXDA/MA付加体のGPC分析結果)
Mn:35,000、Mw:84,000、Mw/Mn:2.4
(得られた樹脂のGPC分析結果)
Mn:36,000、Mw:86,500、Mw/Mn:3.5
【0208】
(樹脂組成物D)
(MXDA/MA付加体の
1H−NMRスペクトルデータ)
2.3−2.5ppm(3.6H)、2.8ppm(3.6H)、3.3ppm(2H)、3.7ppm(2H)、4.3ppm(4H)、7.3−7.6ppm(8H)
(得られた樹脂の
1H−NMRスペクトルデータ)
2.0ppm(3.4H)、2.3−2.7ppm(5.9H)、2.8ppm(3.6H)、3.3ppm(4H)、3.8ppm(2H)、4.1−4.4ppm(5.4H)、5.7ppm(1.1H)、6.1ppm(1.1H)、7.3−7.6ppm(8H)
(MXDA/MA付加体のGPC分析結果)
Mn:18,000、Mw:43,000、Mw/Mn:2.4
(得られた樹脂のGPC分析結果)
Mn:19,000、Mw:61,000、Mw/Mn:3.2
【0209】
(樹脂組成物E)
(MXDA/MA付加体の
1H−NMRスペクトルデータ)
2.3−2.5ppm(3.5H)、2.8ppm(3.5H)、3.3ppm(2H)、3.7ppm(2H)、4.3ppm(4H)、7.3−7.6ppm(8H)
(得られた樹脂の
1H−NMRスペクトルデータ)
2.0ppm(3.4H)、2.3−2.ppm(5.8H)、2.8ppm(3.5H)、3.3ppm(4H)、3.8ppm(2H)、4.1−4.4ppm(5.4H)、5.7ppm(1.1H)、6.1ppm(1.1H)、7.3−7.6ppm(8H)
(MXDA/MA付加体のGPC分析結果)
Mn:15,000、Mw:36,000、Mw/Mn:2.4
(得られた樹脂のGPC分析結果)
Mn:16,000、Mw:49,500、Mw/Mn:3.1
【0210】
(樹脂組成物F)
(MXDA/MMA付加体の
1H−NMRスペクトルデータ)
1.2ppm(5.3H)、2.3−2.5ppm(1.8H)、2.6−2.8ppm(3.5H)、3.3ppm(2H)、3.8ppm(2H)、4.4ppm(4H)、7.3−7.6ppm(8H)
(得られた樹脂の
1H−NMRスペクトルデータ)
1.2ppm(5.3H)、2.0ppm(6.9H)、2.4−2.7ppm(6.4H)、2.8−2.9ppm(3.5H)3.3ppm(4H)、3.8ppm(2H)、4.1−4.4ppm(8.9H)、5.7ppm(2.3H)、6.1ppm(2.3H)、7.3−7.6ppm(8H)
(MXDA/MMA付加体のGPC分析結果)
Mn:11,000、Mw:17,500、Mw/Mn:1.6
(得られた樹脂のGPC分析結果)
Mn:13,000、Mw:32,500、Mw/Mn:2.5
【0211】
(樹脂組成物G)
(MXDA/MC付加体の
1H−NMRスペクトルデータ)
1.1ppm(5.3H)、2.1−2.4ppm(3.5H)、3.0ppm(1.8H)、3.3ppm(2H)、4.2ppm(2H)、4.3ppm(4H)、7.3−7.6ppm(8H)
(得られた樹脂の
1H−NMRスペクトルデータ)
1.1ppm(5.3H)、2.0ppm(6.9H)、2.1−2.3ppm(3.5H)、2.4−2.7ppm(4.6H)、3.0ppm(1.8H)、3.3ppm(4H)、3.8ppm(2H)、4.1−4.4ppm(8.9H)、5.7ppm(2.3H)、6.1ppm(2.3H)、7.3−7.6ppm(8H)
(MXDA/MC付加体のGPC分析結果)
Mn:11,500、Mw:18,500、Mw/Mn:1.6
(得られた樹脂のGPC分析結果)
Mn:14,000、Mw:35,000、Mw/Mn:2.5
【0212】
(樹脂組成物H)
(MXDA/MA付加体の
1H−NMRスペクトルデータ)
2.3−2.5ppm(2.8H)、2.8ppm(2.8H)、3.3ppm(2H)、3.7ppm(2H)、4.3ppm(4H)、7.3−7.6ppm(8H)
(得られた樹脂の
1H−NMRスペクトルデータ)
2.0ppm(6H)、2.3−2.5ppm(2.8H)、2.8ppm(2.8H)、3.4ppm(4H)、3.8ppm(2H)、4.2ppm(2H)、4.5ppm(4H)、4.6ppm(4H)、5.7ppm(2H)、6.1ppm(2H)、7.3−7.6ppm(8H)
(MXDA/MA付加体のGPC分析結果)
Mn:10,000、Mw:21,100、Mw/Mn:2.1
(得られた樹脂のGPC分析結果)
Mn:11,000、Mw:31,000、Mw/Mn:2.8
【0214】
実施例D1
<コートフィルムの酸素透過率測定用サンプルの作製>
樹脂組成物Aを153.8質量部及びメタノール68.42を質量部含む溶液を調製した。そこにシリコーン系消泡剤(ビック・ケミー社製;BYK065)を0.2質量部、シランカップリング剤(信越化学工業(株)製;KBM−503)を3.0質量部、光重合開始剤(Ciba社製;Irgacure2959)を2.0質量部加え、よく攪拌することにより、樹脂溶液aを得た。
基材である厚み12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムにシリカ蒸着が施されたフィルム(三菱樹脂(株)製テックバリアL)の蒸着面に、樹脂溶液aをバーコーターNo.3を使用して塗布し(塗布量:1.0g/m
2(固形分))、85℃で30秒乾燥させた。その後、540mJ/cm
2の紫外線照射量となるように設定したコンベアタイプの紫外線照射装置U−0303(GSユアサ(株)製、高圧水銀ランプ使用、ランプ出力80W/cm、コンベアスピード3m/min)を用いて、樹脂組成物Aを硬化させることでコートフィルムを得た。
作製したコートフィルムを用い、上述した方法で屈曲処理前後の酸素透過率を求めた。結果を表8に示す。
【0215】
<ガスバリア層の酸素透過係数測定用サンプルの作製>
基材である厚み12μmのポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製;E5100)に、樹脂溶液aをバーコーターNo.8を使用して塗布し(塗布量:5.0g/m
2(固形分))、85℃で30秒乾燥させた。その後、540mJ/cm
2の紫外線照射量となるように設定したコンベアタイプの紫外線照射装置U−0303(GSユアサ(株)製、高圧水銀ランプ使用、ランプ出力80W/cm、コンベアスピード3m/min)を用いて、樹脂組成物Aを硬化させることでサンプルを得た。
作製したコートフィルムを用い、上述した方法でコート層の酸素透過係数を求めた。結果を表8に示す。
【0216】
<ラミネート強度測定用サンプル作製>
基材である厚み12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムにシリカ蒸着が施されたフィルム(三菱樹脂(株)製テックバリアL)の蒸着面に、樹脂溶液aをバーコーターNo.3を使用して塗布し(塗布量:1.0g/m
2(固形分))、85℃で30秒乾燥させた。その後、540mJ/cm
2の紫外線照射量となるように設定したコンベアタイプの紫外線照射装置U−0303(GSユアサ(株)製、高圧水銀ランプ使用、ランプ出力80W/cm、コンベアスピード3m/min)を用いて、樹脂組成物Aを硬化させることで、コートフィルムを作製した。続いて、樹脂組成物Aを含むガスバリア層の面に、ポリウレタン系接着剤として、ポリエーテル成分(東洋モートン(株)製;TM−319)を50質量部、ポリイソシアネート成分(東洋モートン(株)製;CAT−19B)を50質量部含む酢酸エチル溶液(固形分濃度;30質量%)を塗布し(塗布量:3.5g/m
2(固形分))、85℃で10秒乾燥させた。その後、厚み40μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(三井化学東セロ(株)製;TUX−MCS)をニップロールにより貼り合わせ、40℃で2日間エージングすることによりラミネートフィルムを得た。
ラミネートフィルムのラミネート強度を上述した方法で測定することで、蒸着層とガスバリア層の密着性の評価を行った。結果を表8に示す。
【0217】
実施例D2
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Bを用いたこと以外は実施例D1と同様にして樹脂溶液bを調製し、実施例D1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表8に示す。
【0218】
実施例D3
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Cを用いたこと以外は実施例D1と同様にして樹脂溶液cを調製し、実施例D1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表8に示す。
【0219】
実施例D4
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Dを用いたこと以外は実施例D1と同様にして樹脂溶液dを調製し、実施例D1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表8に示す。
【0220】
実施例D5
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Eを用いたこと以外は実施例D1と同様にして樹脂溶液eを調製し、実施例D1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表8に示す。
【0221】
実施例D6
樹脂組成物Eを100.0質量部及び、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂(三菱ガス化学(株)製;TETRAD−X)を17.4質量部、メタノールを65.71質量部含む溶液を調製した。そこにシリコーン系消泡剤(ビック・ケミー社製;BYK065)を0.2質量部、シランカップリング剤(信越化学工業(株)製;KBM−503)を3.0質量部、光重合開始剤(Ciba社製;Irgacure2959)を2質量加え、よく攪拌することにより樹脂溶液fを得た。
樹脂溶液aの代わりに上記樹脂溶液fを用いたこと以外は、実施例D1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表8に示す。
【0222】
実施例D7
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Fを用いたこと以外は実施例D1と同様にして樹脂溶液gを調製し、実施例D1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表8に示す。
【0223】
実施例D8
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Gを用いたこと以外は実施例D1と同様にして樹脂溶液hを調製し、実施例D1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表8に示す。
【0224】
実施例D9
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Hを用いたこと以外は実施例D1と同様にして樹脂溶液iを調製し、実施例D1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表8に示す。
【0225】
比較例D1
UV−7600B(日本合成化学工業(株)製紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂、光重合開始剤4phr含有品)を100重量部、酢酸エチル100を質量部含む溶液を調製し、樹脂溶液jを得た。
樹脂溶液aの代わりに樹脂溶液jを用いたこと以外は、実施例D1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表8に示す。
【0227】
上記で説明した耐屈曲性積層体は、高温での熱処理が不要な、透明性及び作業性に優れる活性エネルギー線硬化性樹脂を用いた積層体である。本発明の耐屈曲性積層体は、樹脂の硬化により良好な密着性、優れたガスバリア性及び耐屈曲性を発現する。このため、蒸着フィルムの蒸着層側にコートすることにより、蒸着フィルムへ耐屈曲性を付与することが可能となる。従って、食品や医薬品等の高いガスバリア性及び耐屈曲性が要求される包装材料や電子部品等の用途に好適に用いることができる。
【0228】
<第5の態様>
[ガスバリア性積層体]
1つの実施形態において、本発明のガスバリア性積層体(以下、耐屈曲性積層体又はラミネートフィルムということがある。)は、少なくとも、基材層(F)、シリカ蒸着層、アルミナ蒸着層もしくはシリカ・アルミナ二元蒸着層(V)、ガスバリア層(G)(以下、接着層とも称する)及びシーラント層(S)を含む。接着層(G)は、上記第1の態様に記載した樹脂の硬化により形成される。
【0229】
[積層体の層構成]
1つの実施形態において、ガスバリア性積層体は、少なくとも、基材層(F)、シリカ蒸着層、アルミナ蒸着層もしくはシリカ・アルミナ二元蒸着層(V)、接着層(G)及びシーラント層(S)が積層されたものである。得られたラミネートフィルムを製袋する際には、基材層は袋外面、シーラント層は袋内面に用いられる。
【0230】
[基材層(F)]
基材としては、上記第4の態様に記載したものと同様のものを使用することができる。
【0231】
尚、本発明においては、上記基材層(F)、シリカ蒸着層、アルミナ蒸着層もしくはシリカ・アルミナ二元蒸着層(V)、接着層(G)及びシーラント層(S)以外の層として、ポリオレフィン、ポリエステルなどのフィルム材料を積層してもよい(例えば、接着層とシーラント層の間など)。その際に、さらなるフィルム材料は、シリカ蒸着もしくはアルミナ蒸着されたものであってもよい。各種材料を積層するに際して、接着層を複数としてもよい。接着層を複数とする場合、蒸着層と接する接着層は、本発明における接着剤を用いて形成する必要がある。蒸着層と接していない接着層は、ラミネートフィルムとして十分なラミネート強度を発現する接着剤を用いれば、制限はない。そのため、本発明における接着剤以外の接着剤(例えば、ポリウレタン系接着剤等)を併用してもよい。
【0232】
[蒸着層(V)]
蒸着層としては、上記第4の態様に記載したものと同様のものを使用することができる。
【0233】
[シーラント層(S)]
シーラント層としては、可撓性ポリマーフィルムを使用することが好ましい。良好なヒートシール性の発現を考慮し、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系フィルムを選択することが好ましい。これらのフィルムの厚さは、10〜300μm程度、好ましくは10〜100μm程度が実用的である。フィルムの表面には、火炎処理やコロナ放電処理などの各種表面処理が施されていてもよい。
【0234】
[接着層(G)]
接着層(G)は、上記第1の態様に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化により形成される。
【0235】
[活性エネルギー線硬化性樹脂及びその製造方法]
使用する活性エネルギー線硬化性樹脂及びその製造方法は、以下に特に記載する事項を除き、上記第4の態様において説明した通りである。
【0236】
本発明に用いられる活性エネルギー線硬化性樹脂は、分子中にアミド基とアミノ基を有する構造を含むことが好ましい。本発明においては、接着層の形成に用いる該樹脂は各種の(メタ)アクリル基を有していればよいというものではなく、例えば第1の態様における一般式(1)によって表されるような特定の(メタ)アクリル基を有していることが、優れたガスバリア性及び耐屈曲性を有し、かつ優れた密着性を有する接着層とする上で好ましい。
【0237】
本発明においては、接着層(G)と蒸着層(V)との間にさらに樹脂層(R)が存在してもよい。この樹脂層(R)として用いる樹脂としては、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンウレア樹脂、アクリル変性ウレタン樹脂、アクリル変性ウレタンウレア樹脂等のポリウレタン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂;ロジン変性マレイン酸樹脂等のロジン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリエステル系樹脂;塩素化ポリプロピレン樹脂等の塩素化オレフィン系樹脂、ポリエチレンイミン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、有機チタン系樹脂等が挙げられる。
【0238】
[活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化]
本発明に用いられる活性エネルギー線硬化性樹脂を活性エネルギー線により硬化させる際の方法は、以下に特に記載する事項を除き、上記第4の態様と同様である。
【0239】
活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化により形成される接着層(G)の酸素透過係数は、2.0ml・mm/m
2・day・MPa(23℃、60%RH)以下であることが好ましい。より好ましくは1.9以下、特に好ましくは1.8以下である。
なお、本発明において酸素透過係数の測定は、後述する実施例Eに記載の方法によって行われる。
【0240】
また、接着層(G)と蒸着層(V)の密着性については、後述する実施例Eに記載の方法で作製したラミネートフィルムのラミネート強度が、100g/15mm以上であることが実用上好ましい。より好ましくは120g/15mm以上、特に好ましくは150g/15mm以上である。
【0241】
[積層体の製造]
積層体は、上記第3の態様に記載したのと同様の方法で製造することができる。
【0242】
[多層包装材料]
上記塗布液(接着剤溶液)を使用して製造したラミネートフィルムは、食品や医薬品などの保護を目的とする多層包装材料として使用することができる。具体的には、上記第3の態様において説明した通りである。
【0243】
[包装用袋]
多層包装材料を使用して製造する軟包装用袋等からなる包装用袋については、上記第3の態様において説明した通りである。
【0244】
〔実施例E〕
次に実施例により上記第5の態様を具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
【0245】
得られた樹脂の分析は、
1H−NMR及びGPCにより、上記第4の態様と同様に行った。
【0246】
実施例及び比較例における積層体の性能評価の方法は、以下の通りである。
<屈曲処理前の酸素透過率(ml/m
2・day・MPa)>
実施例及び比較例に記載の方法で後述の樹脂溶液を基材に塗布し、樹脂を硬化させて作製した積層体の酸素透過率を測定した。測定は、酸素透過率測定装置(モダンコントロール社製、OX−TRAN2/21)を使用して、23℃、相対湿度60%の条件下で行った。
【0247】
<接着層の酸素透過係数(ml・mm/m
2・day・MPa)>
実施例及び比較例に記載の方法で後述の樹脂溶液を基材に塗布し、樹脂を硬化させて作製した積層体、基材及びシーラント層の酸素透過率を測定した。測定は、酸素透過率測定装置(モダンコントロール社製、OX−TRAN2/21)を使用して、23℃、相対湿度60%の条件下で行った。接着層の酸素透過係数を、以下の式を用いて計算した。
1/R
1 = 1/R
2 + DFT/P +1/R
3
ここで、
R
1 :積層体(ラミネートフィルム)の酸素透過率(ml/m
2・day・MPa)
R
2 :基材の酸素透過率(ml/m
2・day・MPa)
R
3 :シーラント層の酸素透過率(ml/m
2・day・MPa)
DFT:接着層の厚み(mm)
P:接着層の酸素透過係数
【0248】
<屈曲処理後の酸素透過率(ml/m
2・day・MPa)>
ゲルボーフレックステスター(理学工業社製)を用いて360度のひねりを50回加えた積層体の酸素透過率を、屈曲処理前の酸素透過率測定方法と同様の方法で測定した。
【0249】
<ラミネート強度>
実施例に記載の方法で作製したラミネートフィルムのラミネート強度(g/15mm)を、T型剥離試験により測定した。測定は、JIS K−6854に指定されている方法を用い、300mm/minの剥離速度で行った。
【0250】
下記実施例E1〜E9で用いる樹脂組成物A〜Hは、上記第1の態様の実施例Aに記載の通り調製した。メタキシリレンジアミン(MXDA)/アクリル酸メチル(MA)付加体及び得られた樹脂の
1H-NMR分析結果及びGPC測定結果は、上記第4の態様の実施例Dに示した通りである。
【0252】
実施例E1
<積層体のラミネート強度及び酸素透過率測定用サンプルの作製>
樹脂組成物Aを153.8質量部及びメタノールを68.42質量部含む溶液を調製した。そこにシリコーン系消泡剤(ビック・ケミー社製;BYK065)を0.2質量部、シランカップリング剤(信越化学工業(株)製;KBM−503)を3.0質量部、光重合開始剤(Ciba社製;Irgacure2959)を2.0質量加え、よく攪拌することにより、樹脂溶液aを得た。
基材である厚み12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムにシリカ蒸着が施されたフィルム(三菱樹脂(株)製テックバリアL)の蒸着面に、樹脂溶液aをバーコーターNo.8を使用して塗布し(塗布量:5.0g/m
2(固形分))、85℃で30秒乾燥させた。その後、厚み40μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(三井化学東セロ(株)製;TUX−MCS)をニップロールにより貼り合わせた。すぐさま、540mJ/cm
2の紫外線照射量となるように設定したコンベアタイプの紫外線照射装置U−0303(GSユアサ(株)製、高圧水銀ランプ使用、ランプ出力80W/cm、コンベアスピード3m/min)を用いて、樹脂組成物Aを硬化させることで積層体を得た。
作製した積層体を用い、上述した方法でラミネート強度、屈曲処理前後の酸素透過率を求めた。結果を表10に示す。
【0253】
<接着層の酸素透過係数測定用サンプルの作製>
基材である厚み12μmのポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製;E5100)に、樹脂溶液aをバーコーターNo.8を使用して塗布し(塗布量:5.0g/m
2(固形分))、85℃で30秒乾燥させた。その後、厚み40μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(三井化学東セロ(株)製;TUX−MCS)をニップロールにより貼り合わせた。すぐさま、540mJ/cm
2の紫外線照射量となるように設定したコンベアタイプの紫外線照射装置U−0303(GSユアサ(株)製、高圧水銀ランプ使用、ランプ出力80W/cm、コンベアスピード3m/min)を用いて、樹脂組成物Aを硬化させることで積層体を得た。
作製した積層体を用い、上述した方法で接着層の酸素透過係数を求めた。結果を表10に示す。
【0254】
実施例E2
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Bを用いたこと以外は実施例E1と同様にして樹脂溶液bを調製し、実施例E1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表10に示す。
【0255】
実施例E3
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Cを用いたこと以外は実施例E1と同様にして樹脂溶液cを調製し、実施例E1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表10に示す。
【0256】
実施例E4
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Dを用いたこと以外は実施例E1と同様にして樹脂溶液dを調製し、実施例E1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表10に示す。
【0257】
実施例E5
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Eを用いたこと以外は実施例E1と同様にして樹脂溶液eを調製し、実施例E1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表10に示す。
【0258】
実施例E6
樹脂組成物Eを100.0質量部及び、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂(三菱ガス化学(株)製;TETRAD−X)を17.4質量部、メタノールを65.71質量部含む溶液を調製した。そこにシリコーン系消泡剤(ビック・ケミー社製;BYK065)を0.2質量部、シランカップリング剤(信越化学工業(株)製;KBM−503)を3.0質量部、光重合開始剤(Ciba社製;Irgacure2959)を2質量加え、よく攪拌することにより樹脂溶液fを得た。
樹脂溶液aの代わりに上記樹脂溶液fを用いたこと以外は、実施例E1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表10に示す。
【0259】
実施例E7
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Fを用いたこと以外は実施例E1と同様にして樹脂溶液gを調製し、実施例E1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表10に示す。
【0260】
実施例E8
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Gを用いたこと以外は実施例E1と同様にして樹脂溶液hを調製し、実施例E1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表10に示す。
【0261】
実施例E9
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Hを用いたこと以外は実施例E1と同様にして樹脂溶液iを調製し、実施例E1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表10に示す。
【0262】
比較例E1
UV−7600B(日本合成化学工業(株)製紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂、光重合開始剤4phr含有品)を100重量部、酢酸エチルを100質量部含む溶液を調製し、樹脂溶液jを得た。
樹脂溶液aの代わりに樹脂溶液jを用いたこと以外は、実施例E1と同様の方法で各種測定を行った。結果を表10に示す。
【0264】
上記で説明した耐屈曲性積層体(耐屈曲性ラミネートフィルム)は、高温での熱処理が不要な、透明性及び作業性に優れる活性エネルギー線硬化性樹脂を用いたフィルムである。上記で説明した耐屈曲性積層体は、樹脂の硬化により良好な密着性、優れたガスバリア性及び耐屈曲性を発現する。このため、蒸着フィルムの蒸着層側に、上記で説明した樹脂を接着剤として用いて積層体を作製することにより、蒸着フィルムへ耐屈曲性を付与することが可能となる。従って、食品や医薬品等の高いガスバリア性及び耐屈曲性が要求される包装材料や電子部品等の用途に好適に用いることができる。