特許第6241479号(P6241479)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6241479
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】ディーゼルエンジンの燃焼室構造
(51)【国際特許分類】
   F02B 23/06 20060101AFI20171127BHJP
   F02F 3/26 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   F02B23/06 W
   F02B23/06 S
   F02B23/06 R
   F02F3/26 C
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-527592(P2015-527592)
(86)(22)【出願日】2014年5月22日
(86)【国際出願番号】JP2014063532
(87)【国際公開番号】WO2015177897
(87)【国際公開日】20151126
【審査請求日】2015年5月28日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】上原 一将
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 学
(72)【発明者】
【氏名】辻 尚秀
【審査官】 堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−160186(JP,A)
【文献】 実開平03−032124(JP,U)
【文献】 特開2000−352316(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第02849900(FR,A1)
【文献】 実開昭63−073529(JP,U)
【文献】 独国特許出願公開第102006027338(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 1/00−23/10
F02F 1/00− 1/42、 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リエントラント型キャビティを冠面に有するピストンと、上記キャビティの中心線上に配置された多噴孔の燃料噴射ノズルと、を備えてなるディーゼルエンジンにおいて、
上記キャビティの入口部において最小径となるリップ部が開口縁よりも下方に位置し、該リップ部の上方に、ピストンの外周側に拡大した空間からなるポケット部が形成されており、
上記燃料噴射ノズルの噴霧点から延びる噴霧中心軸線が、上死点付近において、上記リップ部の僅かに下方の位置を指向しており、
上記キャビティの底部中央に設けられる凸部の頂部の高さ位置が上記リップ部の高さ位置にほぼ等しく設定されており、
上記凸部の中心線上に最も空気過剰率の高い領域が存在するように、上記凸部の円錐面が、ピストン上死点位置において上記燃料噴射ノズルの噴霧点を指向する角度に形成されており、
クランク角度430°CAにおいて上記凸部の中心線上に最も空気過剰率の高い領域が存在するように、上記頂部の高さ位置と上記凸部の円錐面の角度とが組み合わされている、ディーゼルエンジンの燃焼室構造。
【請求項2】
ピストン冠面から上記リップ部までのピストン軸方向の距離が、ピストン冠面からキャビティ底部までの高さに対し、10パーセント以上でかつ37パーセント以下である、請求項に記載のディーゼルエンジンの燃焼室構造。
【請求項3】
上記燃料噴射ノズルが、相対的に下方を指向した第1の噴孔群と、相対的に上方を指向した第2の噴孔群と、を有し、
上死点付近において、上記噴霧点から延びる上記第1の噴孔群の噴霧中心軸線が上記リップ部よりも下方の位置を指向し、上記第2の噴孔群の噴霧中心軸線が上記リップ部よりも上方の位置を指向している、請求項1または2に記載のディーゼルエンジンの燃焼室構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ピストン冠面にリエントラント型キャビティを備えるとともに、このキャビティの中心線上に多噴孔の燃料噴射ノズルが配置されてなる直噴式ディーゼルエンジンの燃焼室構造に関する。
【背景技術】
【0002】
リエントラント型キャビティを備えた直噴式ディーゼルエンジンにおいては、近年、高速高負荷域で問題となるススの低減を図るために、スキッシュエリアの空気利用率を向上させるようにキャビティの入口径を比較的大きくした所謂オープン型のリエントラント型キャビティが採用される傾向にある。
【0003】
しかしながら、このようなオープン型のリエントラント型キャビティにおいては、キャビティ内の中心部における空気利用率が逆に低下し、結果として、必ずしもススを十分に低減することができない。
【0004】
リエントラント型キャビティは、中心部に円錐形ないし円錐台形の凸部を備えており、入口部に形成されるリップ部と上記凸部との組み合わせにより、スワールが保存される円環状の空間を形成しているが、例えば特許文献1に見られるように、従来のリエントラント型キャビティでは、凸部の円錐面の傾斜は比較的緩い。このような緩い傾斜の円錐面は、キャビティ内の中心部における空気利用率の向上に寄与しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−527360号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明に係るディーゼルエンジンの燃焼室構造は、
リエントラント型キャビティを冠面に有するピストンと、上記キャビティの中心線上に配置された多噴孔の燃料噴射ノズルと、を備えてなるディーゼルエンジンにおいて、
上記キャビティの底部中央に設けられる凸部の円錐面が、ピストン上死点位置において燃料噴射ノズルの噴霧点を指向する角度ないしこれよりも急峻な角度に形成されている。
【0007】
このような構成によれば、キャビティ底部での燃料と空気との混合が良好となってススの初期の生成が抑制されると同時に、拡散燃焼中のキャビティ中心部での空気利用率の向上によりススの酸化が促進されるため、高速高負荷域でのススの排出が低減する。特に、円錐面に沿ってキャビティ底部から上昇したガスが、空気が多く残存するキャビティ中心部の領域に案内されるため、キャビティ中心部の空気利用率が向上し、ススが効果的に抑制される。
【0008】
好ましい一つの態様では、上記キャビティの入口部において最小径となるリップ部が開口縁よりも下方に位置し、上記凸部の頂部の高さ位置が上記リップ部の高さ位置にほぼ等しく設定されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施例の燃焼室構造を備えたディーゼルエンジンの構成説明図。
図2】キャビティの構成を示すピストン要部の断面図。
図3】「傾き到達深さZ1」および「深さZ2」についての説明図。
図4】「傾き到達深さZ1」および「深さZ2」とスス排出量との関係を示した特性図。
図5】比較例1〜4のキャビティ形状を示す説明図。
図6】サイクル中のススの量の変化を示した特性図。
図7】所定クランク角度における筒内の当量比分布を示す特性図。
図8】比較例1における筒内の乱流エネルギを示す特性図。
図9】比較例2における筒内の乱流エネルギを示す特性図。
図10】比較例3における筒内の乱流エネルギを示す特性図。
図11】比較例4における筒内の乱流エネルギを示す特性図。
図12】実施例における筒内の乱流エネルギを示す特性図。
図13】キャビティの寸法の説明図。
図14】高さの比(h2/h1)とスス排出量との関係を示した特性図。
図15】実施例のキャビティと噴霧中心軸線Fとの位置関係を示した説明図。
図16】凸部の変形例を示した説明図。
図17】凸部のさらに別の変形例を示した説明図。
図18】2つの噴孔群を備えた変形例を示した説明図。
図19】2つの噴孔群を備えたさらに別の変形例を示した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1は、この発明に係る直噴式ディーゼルエンジン1をその吸排気系とともに示した構成説明図であって、シリンダブロック2に形成されたシリンダ3に、ピストン4が摺動可能に嵌合しており、かつシリンダブロック2の上面に固定されたシリンダヘッド5がシリンダ3の上端開口を覆っている。
【0012】
上記ピストン4の頂面には、リエントラント型のキャビティ6が凹設されている。このキャビティ6は、ピストン4の中心軸線を中心とした回転体形状をなす。つまり、ピストン4の平面視において真円形をなし、かつピストン4の中心に形成されている。また上記シリンダヘッド5側には、上記キャビティ6の中心に対応するシリンダ3中心位置に、多噴孔の燃料噴射ノズル7が配置されている。この実施例では、上記燃料噴射ノズル7はシリンダ3の中心軸線に沿って、つまり垂直に配置されている。
【0013】
上記シリンダヘッド5には、一対の吸気弁8および一対の排気弁9が配置されており、それぞれ吸気ポート10および排気ポート11の先端開口部を開閉している。これらの吸気弁8および排気弁9は、各々のバルブステムがシリンダ3の中心軸線と平行となった垂直姿勢に配置されている。またシリンダヘッド5には、燃料噴射ノズル7に隣接してグロープラグ12が配設されている。
【0014】
各気筒の燃料噴射ノズル7は、模式的に示すコモンレール13にそれぞれ接続されており、図示せぬエンジンコントロールユニットからの駆動信号により燃料噴射ノズル7のニードル(図示せず)がリフトすると、高圧燃料ポンプ14によりコモンレール13内に供給された高圧の燃料が噴射される構成となっている。コモンレール13内の燃料圧力は、調圧弁15を介して、エンジンコントロールユニットにより運転条件に応じた所定の圧力に調圧される。
【0015】
この実施例のディーゼルエンジン1は、ターボ過給機18を備えており、該ターボ過給機18のタービン19が排気通路21の通路中に配置され、コンプレッサ20が吸気通路22の通路中に配置されている。排気通路21のタービン19よりも下流側には、プリ触媒コンバータ23およびメイン触媒コンバータ24が直列に配置されている。吸気通路22のコンプレッサ20よりも上流側には、エアフロメータ25およびエアクリーナ26が設けられており、コンプレッサ20よりも下流側となるコレクタ部28との間にはインタークーラ27が配設されている。さらに、排気還流装置として、排気通路21のタービン19よりも上流側の位置と吸気コレクタ部28とを連通する排気還流通路29と、排気還流率を機関運転条件に応じた所定の排気還流率に制御するために設けられた排気還流制御弁30と、を備えている。
【0016】
図2は、上記キャビティ6のより具体的な断面形状を示している。このキャビティ6は、リエントラント型として、底面中央に山型に膨出した凸部41を有するとともに、中間付近の高さ位置における最大径に比べて入口部分の径が相対的に小さなものとなっている。特に、この入口部において最も小径となるリップ部42は、円環状に残存するピストン冠面43からピストン軸方向に下がった位置にあり、リップ部42よりも上方に、ピストン4の外周側に拡大ないし後退した空間からなるポケット部44が形成されている。つまり、ピストン冠面43におけるポケット部44の開口縁44aの径は、リップ部42の径よりも大径であり、所謂オープン型のリエントラント型キャビティとしてスキッシュエリア(冠面43上方の領域)の空気利用率の向上を図っている。
【0017】
リップ部42よりも下方の部分は、断面において円弧に近似した湾曲面45となっており、凸部41に滑らかに連続している。凸部41は、円錐面41aと頂面41bとを有する略円錐台形をなし、頂面41bは、完全な平坦面ではなく緩く湾曲した形状をなしている。
【0018】
ここで、図3の説明図に示すように、円錐面41aの傾斜角度を示す指標として、円錐面41aの延長線がピストン4の中心線CLと交わる点O1のピストン冠面43からの距離Z1を、「傾き到達深さZ1」と定義する。本実施例では、この傾き到達深さZ1は、ピストン4が上死点位置にあるときの燃料噴射ノズル7の噴霧点FPの高さ位置に対応している。なお、「噴霧点FP」は、燃料噴射ノズル7の各噴孔の噴霧中心軸線が該燃料噴射ノズル7の中心線と交わる点として定義される。すなわち、本実施例では、円錐面41aは、ピストン上死点位置において燃料噴射ノズル7の噴霧点FPを指向する角度を有している。
【0019】
また、図3に示すように、最も高い部位となる頂面41b中央部のピストン冠面43からの距離Z2を、凸部41の「深さZ2」と定義する。本実施例では、この深さZ2は、ピストン冠面43からリップ部42までのピストン4軸方向の距離にほぼ等しい。つまり、凸部41の頂部の高さ位置がリップ部42の高さ位置にほぼ等しく設定されている。
【0020】
図4は、上記の「傾き到達深さZ1」を横軸とし「深さZ2」を縦軸として、高速高負荷域でのススの排出量をシミュレーションにより求めたものである。つまり、リップ部42を含めキャビティ6の外周縁部分の形状は変更せずに、凸部41の形状を変更した種々の燃焼室構造についてススの排出量をシミュレーションした結果を示している。図4には、スス排出量を等高線状に示してあるが、全体的な傾向としては、「傾き到達深さZ1」が小さいほどスス排出量が少なくなり、「深さZ2」については、「深さZ2」がリップ部42の高さ位置(図中にZ02として示す)にあるときに、スス排出量が少なくなる。そして、図4のシミュレーション結果から明らかなように、「傾き到達深さZ1」がピストン上死点での噴霧点FPの高さ位置(図中にZ01として示す)にあり、かつ「深さZ2」がリップ部42の高さ位置Z02にあれば、スス排出量が最小レベルとなる。なお、「傾き到達深さZ1」については、噴霧点FPの高さ位置Z01よりも小さければスス排出量が最小レベルとなるが、ピストン上死点での燃料噴射ノズル7との干渉回避などの制約から、上記実施例では「傾き到達深さZ1」が噴霧点FPの高さ位置Z01に等しく設定されている。
【0021】
従って、実施例の凸部41の構成は、図4上において点P0で示す位置にある。これに対し、図5の(a)〜(d)は、比較例1〜4の構成を示しており、これらは、図4上でそれぞれ点P1〜P4で示す位置となり、スス排出量が相対的に大きい。図5(a)の比較例1は、「傾き到達深さZ1」および「深さZ2」の双方が上記実施例よりも大きい構成である。図5(b)の比較例2は、「傾き到達深さZ1」が上記実施例と同等で、「深さZ2」がより小さい構成を示し、図5(c)の比較例3は、「傾き到達深さZ1」が上記実施例と同等で、「深さZ2」がより大きい構成を示す。図5(d)の比較例4は、「傾き到達深さZ1」および「深さZ2」の双方が上記実施例よりも小さい構成である。
【0022】
図6は、上記の実施例および比較例1〜4について、サイクル中のススの量の変化を示した特性図である。ススは、拡散燃焼中に生成された後、酸化反応によって部分的に減少し、残った部分が最終的に燃焼室から排出される。図示するように、実施例の燃焼室構造では、ススの生成そのものが抑制されることに加えて、酸化反応によってススが大きく減少し、最終的に排出されるススの量が比較例1〜4に比べて最も少なくなる。
【0023】
図7は、上記のような酸化反応が進行しているクランク角度(430°CA)における筒内の当量比ないし空気過剰率の分布を示している。同図の(a)〜(d)は、比較例1〜4の特性を示し、(e)は実施例の特性を示す。図7に示すように、図(e)の実施例では、凸部41の中心線上に、最も空気過剰率の高い領域(符号Hで示す)が広く存在する。これに対し、図(a)〜(c)の比較例1〜3では空気過剰率の高い領域Hは小さくなり、図(d)の比較例4では領域Hは殆ど存在しない。本実施例では、このような中心部の空気を利用して酸化反応が進行し、ススが低減する。
【0024】
図8図12は、同じく430°CAにおける筒内の乱流エネルギを図示したものであり、図8図11は、それぞれ比較例1〜4の特性を示し、図12は、実施例の特性を示す。また、最も乱流エネルギの大きな領域を符号Tでもって図示してある。図示するように図8の比較例1では、乱流エネルギの大きな領域Tは存在しない。図9図11の比較例2〜4では、乱流エネルギの大きな領域Tがキャビティ6の外周上方付近に発生する。これに対し、図12に示す実施例では、乱流エネルギの大きな領域Tがキャビティ6の中心寄りに発生する。従って、キャビティ6中心付近での混合促進による酸化促進が図れるものと考えられる。
【0025】
さらに、凸部41の「深さZ2」が対応するリップ部42の高さ位置(ピストン軸方向の位置)としては、図13に示すように、ピストン冠面43からリップ部42までのピストン軸方向の距離h2が、ピストン冠面43からキャビティ6底部までの高さh1に対し、10パーセント以上でかつ37パーセント以下であることが望ましい。
【0026】
図14は、上記の高さの比(h2/h1)とスス排出量との関係を種々のエンジンについて実測した結果をまとめたものである。図示するように、高さの比(h2/h1)が10パーセントから37パーセントの範囲内にないと、ススの悪化が見られた。
【0027】
図15は、上記実施例のキャビティ6と燃料噴射ノズル7からの噴霧との位置関係を示したものであり、燃料噴射ノズル7の噴霧点FPから延びる噴霧中心軸線Fがリップ部42の僅かに下方の位置を指向している。
【0028】
図16は、凸部41を頂面41bが平坦な円錐台形とした変形例を示している。「傾き到達深さZ1」および「深さZ2」は、前述した実施例と同様である。
【0029】
図17は、所定の「傾き到達深さZ1」を有する円錐面41aが凸部41の上半部にのみ存在するようにした変形例を示している。凸部41の下側部分はより急峻な傾斜面となっているが、キャビティ6の中心部へ向かうガスが最終的に円錐面41aに沿って案内されるため、上記実施例と同様の作用効果が得られる。
【0030】
図18および図19は、燃料噴射ノズル7が上下2段に噴射する変形例を示している。すなわち、図15図16の実施例では、燃料噴射ノズル7の複数の噴孔からの噴霧が同一の高さ位置(シリンダ軸方向の位置)を指向しているが、図18,19の例は、燃料噴射ノズル7が、噴霧中心軸線F1が相対的に上側の位置を指向した第1の噴孔群と、噴霧中心軸線F2が相対的に下側の位置を指向した第2の噴孔群と、を有している。換言すれば、第1の噴孔群と第2の噴孔群とは、シリンダ中心軸線に対する傾斜角(いわゆる傘角)が異なるものとなっている。なお、上方の噴霧中心軸線F1および下方の噴霧中心軸線F2の双方とも、共通の噴霧点FPを始点とする。そして、第1の噴孔群の噴霧中心軸線F1は、リップ部42よりも僅かに上方の位置を指向し、第2の噴孔群の噴霧中心軸線F2は、リップ部42よりも僅かに下方の位置を指向する。図18の凸部41の構成は図15のものと同一であり、図19の凸部41の構成は図16のものと同一である。
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