(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態にかかる太陽光パネルの取付方法、屋根材の穿孔方法について
図1乃至
図6を参照して説明する。なお、各図では説明のため、適宜構成を拡大、縮小、省略して示している。図中矢印X,Y,Zは互いに直交する3方向をそれぞれ示している。
【0010】
図1は、屋根10上に太陽光パネル30を取り付けた状態を示す斜視図である。屋根10は、所定の厚みを有する波型スレートの屋根材11を有し、工場、倉庫、家屋等に設置されている。この屋根材11の表側に取付機構20を介して太陽光パネル30が取り付けられる。
図2及び
図3は屋根10への太陽光パネル30の取付方法を示す説明図である。
【0011】
屋根10への太陽光パネル30の取付方法は、まず屋根材11に電動ドリル(ドリル)で貫通孔12を形成する穿孔工程と、この貫通孔12を通して取付機構20を母屋13(支持対象)に固定し、この取付機構20に太陽光パネル30を取り付ける取付工程と、を有している。
【0012】
図1乃至
図3に示すように、取付機構20は、屋根材11上にビス留めされた支持具21と、支持具21上にねじ止めされた縦ラック22と、縦ラック22上にねじ止めされたパネル固定具23と、を備えて構成されている。
【0013】
支持具21は屋根材11の2列の畝に沿う波形状のスレート支持板24と、スレート支持板24上に重なる平板状の補強プレート25と、を重ねて構成される。
【0014】
屋根材11の所定箇所に形成される複数の貫通孔12に挿通される複数のビス14(取付具)によって、スレート支持板24及び補強プレート25で構成される支持具21を、屋根材11上から母屋13にビス留めし、畝の方向に沿って互いに一定距離離間して配される一対の支持具21上に縦ラック22をボルトBでねじ留めし、並列する2本の縦ラック22の所定箇所に、パネル固定具23がボルトBでねじ留めされる。太陽光パネル30の周縁部31をパネル固定具23で固定することにより太陽光パネル30が屋根10に取り付けられる。
【0015】
穿孔工程に用いる粉塵回収装置について
図4を参照して説明する。
図4は粉塵回収装置の側面図であって、電動ドリルのドリル刃の外周に装着され、穿孔時の粉塵を回収することで飛散を防止する。
【0016】
電動ドリル40は、回転する棒状のドリル刃41と、このドリル刃41を支持するとともに回転させるドリル本体42と、を備え、ドリル刃41を回転駆動させて屋根材11を切削穿孔加工する。
【0017】
ドリル本体42はドリル刃41を回転駆動する駆動部を内蔵し、ドリル刃41を把持するチャック42aをその先端に備える。ドリル刃41は外周面に螺旋状の切刃と逃げ溝41aが形成され、その先端部41bが円錐形状に形成されている。このドリル刃41の基端側が電動ドリル40のチャック42aに支持され、電動ドリル40に内蔵される回転駆動部によって回転駆動される。なお、ドリル本体42の先端面は穿孔時に粉塵防止装置50に当接することでドリル刃41の進入を規制する規制部の受け面として機能する。
【0018】
粉塵回収装置50は、電動ドリル40に取り付けられる治具であって、ドリル刃41の外周を囲む回収ボックス51と、回収ボックス51の先端側に設けられるパッキンカバー52及び下部パッキン53と、回収ボックス51の基端側に設けられる上部パッキン54と、上部パッキン54上に連続するブロック55と、ブロック55上に取り付けられたワッシャ56と、を軸方向に連続して一体に備えている。
【0019】
回収ボックス51は例えば軸方向両端に底部を有する有底円筒形であって両側の底部の中央にドリルが挿通される挿通孔51a,51bがそれぞれ形成されている。回収ボックス51は例えば透明な樹脂材料から構成され、回収ボックス51の外側から内部の状態が見えるようになっている。回収ボックス51内には粉塵を留めるキャッチ材が配されている。キャッチ材57は例えば吸水ポリマーに水を含ませたジェル材57であって、粉塵を吸着して回収ボックス51に留める。
【0020】
回収ボックス51の下部には、下部挿通孔51bの周縁を囲むパッキンカバー52が密着して設けられている。パッキンカバー52は例えば樹脂材料で構成され、一端に底部を有する下部開口の円筒状に構成されている。パッキンカバー52の底部が回収ボックスの下面に固定されている。パッキンカバー52の内部の凹みには、圧縮により変形可能に構成された円形状の下部パッキン53(第1パッキン)が装着されている。
【0021】
下部パッキン53は、例えばエラストマー含有樹脂からなるクッション材で弾性変形可能に構成され、パッキンカバー52の下縁よりも下方に突出している。下部パッキン53は穿孔時に加工対象となる屋根材11に圧接される。
【0022】
パッキンカバー52及び下部パッキン53にはドリル貫通孔52a,53aがそれぞれ形成されている。パッキンカバー52及び下部パッキン53によってドリル刃41の外周を被覆するとともに、回収ボックス51の挿通孔51aを塞ぎ、孔周りに密着することで、穿孔時の粉塵の飛散を防止し、粉塵が逃げ溝41aに沿って螺旋状に移動して回収ボックス51内に進入するように案内する機能を果たす。
【0023】
上部パッキン54は、中央にドリル貫通孔54aを有する円盤形状であって、ドリル刃41の外周を被覆するとともに、回収ボックス51の挿通孔51aを塞ぐことにより、回収した粉塵を外部に飛散しないように防止している。
【0024】
ブロック55は例えば樹脂材料から中央にドリル貫通孔55aを有する円形ブロック状に構成され、軸方向に所定寸法を有している。このブロック55の上面にワッシャ56が支持される。
【0025】
ワッシャ56は例えば金属材で円環状に構成されている。ワッシャ56は予め設定される所望の穿孔深さD1に対応して決定される所定位置に固定されている。すなわち、ドリル刃41の先端41bと粉塵回収装置50の先端となるパッキンカバー52の先端面とが同位置に配された初期状態におけるワッシャ56とドリル本体42との距離L1が、基礎穴12aの穿孔深さD1に対応するように、ワッシャ56の上面56aが固定される。
【0026】
ワッシャ56の上面56aはドリル本体42の先端面(受け面)に当接することで、ドリル刃41の屋根材11への進入を規制して穿孔深さを規定する規制部として機能する。すなわち、粉塵回収装置50では、ワッシャ56の位置を調整することで穿孔深さD1を容易に設定できるようになっている。
【0027】
図4に示す装着状態において、ワッシャ56、ブロック56、上部パッキン54、回収ボックス51、パッキンカバー52、下部パッキン53、を軸方向に貫通した状態となる。穿孔時にドリル刃41が回転して屋根材11に孔が形成されると、発生する粉塵が螺旋状の逃げ溝41aに沿って上方の回収ボックス51内に案内され、回収ボックス51にてキャッチ材57に捕捉されるようになっている。
【0028】
次に、本実施形態に係る穿孔方法について、
図5,6を参照して説明する。穿孔方法は、屋根材11の厚みより小さい所定の穿孔深さD1の基礎穴12aを形成する基礎穴工程(ST1〜ST3)と、基礎穴12aに湿潤材Pを供給する湿潤化工程(ST4,ST5)と、湿潤材P供給後に屋根材11の残り厚を貫通させる貫通工程(ST6、ST7)と、を備える。
【0029】
図5のST1〜ST3に示す基礎穴工程は、上述した粉塵回収装置50及び電動ドリル40を用いて、切削穿孔加工を行う。ここでは、ドリル刃41を粉塵回収装置50に挿入してドリル刃41の周りに粉塵回収装置50を装着した状態(ST1)で、ドリル刃41を屋根材11上の所定位置に位置決めし、回収ボックス51を下方に抑えて屋根材11に押し付けながら(ST2)、電動ドリル40を駆動してドリル刃41を回転させる。
【0030】
ドリル刃41の回転に伴い、ドリル刃41が屋根材11に孔を形成しながら進入する(ST3)。すると、屋根材11に押し付けられた粉塵回収装置50と、屋根材11に進入していくドリル刃41との相対位置が変化することにより、粉塵回収装置50側のワッシャ56がドリル本体42側に近づいていく。
【0031】
穴の深さが予め設定された穿孔深さD1に至る時点で、穿孔深さD1に応じて設定されていた距離L1がゼロになり、ワッシャ56がドリル本体42の先端面に当接する。すると、粉塵回収装置50によってドリル刃41がそれ以上進入しないように位置規制される。
【0032】
図6のST4に示すように、屋根材11に形成された基礎穴12aの穿孔深さD1は、屋根材11の全厚Z1よりも小さく、例えば屋根材11の厚さの1/2以上であって、残り厚が0〜3mm程度となる範囲で設定する。例えば残り厚が0.5〜1.5mmの範囲が好ましい。本実施形態においては6mm厚のスレート材を用いているので、穿孔深さD1は4.5〜5.5mmの範囲に設定する。
【0033】
ここでは、屋根材11を貫通させることなく手前で停止させるため、基礎穴12aの形成工程での粉塵は屋根材11の裏側に落ちることなく、上側の回収ボックス51に案内されて捕捉される。
【0034】
次に
図6のST5に示すように基礎穴12aに湿潤材Pを供給し、屋根材の残り厚み11a部分に浸透させる。湿潤材Pは、湿潤性、浸透性及び粘性を兼ね備える材料が好ましく、本実施形態では水ガラス(珪酸ナトリウムの水溶液)を用いた。
【0035】
湿潤材Pの供給後、ST6に示すように、錐62等の工具を用いて残り厚11aに追加孔12bをあけ、屋根材11を貫通する(貫通工程)。この貫通工程により基礎穴12aを裏面に連通させることで湿潤材Pを屋根材11の裏面にまで染み渡らせるようにする。この貫通工程で形成する追加孔12bは基礎穴12aより小径であって、湿潤材Pを行き渡らせることができ、かつ、粉塵を出し難い範囲(例えば1.5mm以下)で、なるべく小さい孔とする。例えば基礎穴形成工程で使用したドリル刃41よりも小径の錐62で、基礎穴形成よりも低速で慎重に手動で作業を行い、貫通した感触ですぐに止めるようにする。
【0036】
このとき、追加孔12bは小径であるとともに、すでに湿潤材Pによって孔周りが湿って粘着性になっているため、残り厚11aの貫通の際にも粉塵が周囲や下方に飛散することはなく、わずかな破断が発生したとしても湿潤材Pによって孔周りに保持される。以上により穿孔作業が終了し、貫通孔12が形成される。
【0037】
そして、湿潤材Pにより貫通孔12の孔周りが湿っている状態で、
図1乃至
図3に示すように、貫通孔12を通じて支持具21を母屋13にビス止めし、屋根材11に取付機構20を取り付ける。ビス14を挿入する際には、貫通孔12の孔周りが湿っているため、粉塵が落下することがなく、屋根材11の粉塵は湿潤材Pによって孔周りに保持される。
【0038】
本実施形態にかかる穿孔方法、太陽パネル取付方法、及び粉塵回収装置50によれば、スレートの屋根材11に貫通孔12を形成する際の粉塵を確実に防止でき、高い安全性及び作業性を確保できる。すなわち、貫通する前に穴あけを一旦停止し、湿潤材Pにより屋根材11の孔周りに粘着性を付与してから完全に貫通させるという段階的な処理によって、粉塵が孔裏へ落下するのを防止できる。したがって、例えば屋根材11の材料に石綿が含まれている場合であっても施工時及び施工場所における粉塵飛散を確実に防止することで、高い安全性を確保できる。湿潤化後には小径の錐などを用いて基礎穴12aよりも小さい追加孔12bを低速で加工して形成することで、より確実に粉塵防止ができる。
【0039】
単純構成の粉塵回収装置50をドリル刃41の周りに装着するだけで、粉塵を効率的に回収することが可能となる。例えば従前の石綿含有の屋根材の加工方法としての粉塵を防止するための流水を行いながらの作業や掃除機で吸引しながらの作業では、作業が大がかりとなるうえに確実な粉塵回収が困難であるが、本実施形態に係る粉塵回収装置50によれば、単純な作業工程で確実に粉塵飛散を防止できる。
【0040】
さらにこの粉塵回収装置50に位置を規制する規制部を備えることで基礎穴の穿孔深さを確実に規定でき、施工性が向上する。
【0041】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態にかかる穿孔方法、太陽光パネルの取付方法及び粉塵回収装置150について
図7乃至
図9を参照して説明する。
図7は第2実施形態に係る粉塵回収装置150の側面図であり、
図8及び
図9は穿孔方法の説明図である。なお、各図では説明のため、適宜構成を拡大、縮小、省略して示している。図中矢印X,Y,Zは互いに直交する3方向をそれぞれ示している
図7に示す粉塵回収装置150では、粉塵回収装置50のブロック55に代えて、上部パッキン154とワッシャ156との間にコイルばね158を用いたが、その他の構成については上記第1実施形態に係る粉塵回収装置150と同様であるため、関連する符号を付し、共通する説明を省略する。この粉塵回収装置150において、上部パッキン154、コイルばね158及びワッシャ156によって規制部を構成する。
【0042】
粉塵回収装置150のドリル刃41の外周にはドリル本体42と回収ボックス151との間に、上部パッキン154、コイルばね158(付勢部材)、及びワッシャ156が装着されている。
【0043】
コイルはばね158は、上部パッキン154とワッシャ156の間に設けられ、ドリル刃41の先端側に向けて上部パッキン154を付勢するとともに、ドリル本体42に向けてワッシャ156を付勢する。規制部の位置関係及び寸法は穿孔深さD2に対応して設定される。すなわち、コイルばね158を収縮させながらドリル刃41が進み、所定の穿孔深さD2に至った時点で、コイルばね158が完全に収縮してワッシャ156がドリル側の受け面に圧接されることでドリル刃41の進入が停止される所定の条件に、寸法設定される。
【0044】
図8及び
図9に示すように、屋根110は、垂木116上に設けられた野地板115の上にルーフィング114が敷設され、このルーフィング114上に、所定の厚みを有する平板スレートの屋根材111を複数枚重ねて組み付け固定した構造であり、この屋根材111の上面側に取付機構20を介して太陽光パネル30が取り付けられる。
【0045】
なお、平板スレートの屋根材111は互いに所定距離ずらしながら積層されており、屋根材111の最外面からルーフィング114までの厚さ寸法は位置によって変化することとなる。
【0046】
図10に示すように、太陽光パネルの取付方法は、屋根材111に電動ドリルで挿入孔112を形成する穿孔工程と、粉塵の吸引工程と、コーキング工程と、挿入孔112を通して取付機構120を固定し取付機構120に太陽光パネル30を取り付ける取付工程と、を順に行う。
【0047】
図8及び
図9に示すように、穿孔工程では、上述した粉塵回収装置150及び電動ドリル40を用いて、切削穿孔加工を行う。まずドリル刃41を粉塵回収装置150に挿入してドリル刃41の周りに装着した状態で、ドリル刃41を屋根材111上の所定位置に位置決めする(ST11)。このとき、コイルばね158によって回収ボックス151が下方に抑えられ、下部パッキン153が圧縮されて屋根材111に押し付けられる。
【0048】
電動ドリル40を駆動してドリル刃41を回転させると、ドリル刃41の回転に伴い、ドリル刃41が屋根材111に孔112を形成しながら進入する(ST12)。すると、屋根材111に押し付けられた粉塵回収装置150と、屋根材111に進入していくドリル刃41との相対位置が変化することにより、コイルばね158を圧縮しながら、回収ボックス151がドリル本体42に近接していく。
【0049】
穴の深さがあらかじめ設定された穿孔深さD2に至る時点で、コイルばね158が完全に圧縮されることでドリル刃41がそれ以上進入しないように規制される。以上により穿孔作業が終了し、挿入孔112が形成される(ST13)。
【0050】
なお、挿入孔112の穿孔深さD2は、積層された屋根材111及びルーフィング114を貫通して野地板115に至る深さに対応して設定する。ここで複数の平板スレートを積層する構造では、スレート材の積層状態と穿孔位置との関係によって屋根材111の最外面からルーフィング114までの厚さ寸法が異なることとなり、
図8の穿孔位置では
図9に示す穿孔位置に比べてルーフィング114までの距離が短い。したがって、ルーフィング114までの位置が最も長い穿孔位置を基準としてルーフィング114を貫通し野地板115に至り、かつルーフィングまでの位置が最も短い穿孔位置においても野地板115を貫通しない範囲で穿孔深さD2を設定する。
【0051】
図8に示す穿孔位置では野地板115の1/3程度に至り、
図9に示す穿孔位置では野地板115の上面よりわずかに下側に至る位置関係となっている。
【0052】
図10に示すように、穿孔工程の後、孔の粉塵Qを掃除機等の吸引装置63で吸引する吸引工程(ST14)と、挿入孔112の周りにおいて、ルーフィング114と野地板115の間及びルーフィング114と屋根材111の間にシーリング材Rを充填するコーキング工程(ST15)と、を行った後、取付部周辺部分において複数の屋根材111の間に防水シート117を敷設し、取付機構120を設置する。
【0053】
取付機構120は、屋根材111上にビス留めされるショートラック122と、ショートラック122上にねじ止めされるパネル固定具123と、を備えて構成されている。
【0054】
屋根材111の所定箇所に形成される複数の挿入孔112を通るビス14(取付具)によって、屋根材111の表側に配されるショートラック122を、屋根材111の裏側に配される野地板115(支持対象)に固定することで、ショートラック122を屋根110に固定する。さらに互いに一定距離離間して配される複数のショートラック122にパネル固定具123をボルトBでねじ留めする。そして、太陽光パネル30の周縁部をパネル固定具123で固定することにより太陽光パネル30を屋根110に取り付ける(ST16)。
【0055】
本実施形態においても上記第1実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、単純構成の粉塵回収装置150をドリル刃41の周りに装着するだけで、粉塵を効率的に回収することが可能となる。さらにこの粉塵回収装置150に規制部を備えることで挿入孔112の穿孔深さD2を確実に規定でき、施工性が向上する。
【0056】
したがって、例えば屋根材111の材料に石綿が含まれている場合であっても単純な作業工程で確実に粉塵飛散を確実に防止することで、高い安全性を確保できる。
【0057】
なお、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0058】
例えば上記実施形態において回収ボックス51,151内にキャッチ材57,157を配した例を示したが、これに限られるものではなく、回収ボックス51,151内を空間とし、その空間に粉塵を溜めることも可能である。また、キャッチ材57や湿潤材Pの材料や各部材の材質も上記実施形態に限られるものではなく、適宜変更して実施可能である。
【0059】
例えば上記実施形態では湿潤性に加え粘性と浸透性に優れた水ガラスを用いたが、これに限られるものではなく、水など、他の材料も適用でき、この場合にも粉塵防止効果を得られる。
【0060】
また、位置を規制する手段としては、上記実施形態のように回収装置の一部をドリル本体の先端面に突き当てる構造に限られず、ドリルの種類や構造に応じて種々の構造を適用できる。例えばドリル刃の軸周りに形成されるフランジや大径部がある場合に、このフランジや大径部に突き当てて停止させる構造としてもよい。
【0061】
さらに、例えば基礎穴工程後の残り厚が1.5mm以下の範囲で薄い場合には、湿潤材Pを供給すると浸透して裏面にまで染み渡るため、追加孔12bを省略することもできる。この場合には、ビス14を挿通する際に初めて屋根材11が貫通するためビス14の挿通工程が貫通工程となる。基本工程としては基礎穴形成、湿潤化工程、貫通工程となり、上記実施形態と同様の効果を得られる。
【0062】
第1実施形態に係る粉塵回収装置に第2実施形態に係るコイルばねを適用して付勢力を付与することも可能であるし、第1実施形態の方法においてコーキング工程や吸引工程を追加してもよい。
【0063】
なお、太陽光パネル30を支持する取付機構20についても上記実施形態の構造に限られるものではなく各種の取付機構を適用可能である。
【0064】
この他、上記実施形態に例示された各構成要素を削除してもよく、各構成要素の形状、構造、材質等を変更してもよい。上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(1)
屋根材に孔を形成する穿孔方法であって、
前記屋根材の厚みより小さい所定深さの基礎穴を形成し、
前記基礎穴に湿潤材を供給し、
前記湿潤材の供給後に前記屋根材の残り厚を貫通させる、ことを特徴とする穿孔方法。
(2)
回転する棒状のドリル刃と前記ドリル刃を支持するドリル本体とを有し屋根材を穿孔加工するドリルに取り付けられ、
ドリル刃の外周を囲む回収ボックスと、
前記ドリルとの相対位置関係を規制することで前記ドリル刃の進入を停止して穿孔深さを規制する規制部と、
を備えることを特徴とする粉塵回収装置。
(3)
前記回収ボックスと前記ドリル本体との間に装着され前記回収ボックスを先端に向けて付勢する付勢部材が設けられたことを特徴とする(2)記載の粉塵回収装置。
(4)
(2)または(3)に記載の粉塵回収装置を装着したドリルで前記基礎穴を形成し、
前記湿潤材の供給後に残り厚を貫通させて形成される追加孔は前記基礎穴よりも小径であることを特徴とする請求項1記載の穿孔方法。
(5)
スレート屋根に太陽光パネルを取り付ける太陽光パネルの取付方法であって、
(1)または(4)に記載の穿孔方法により前記屋根材に貫通孔を形成し、
前記貫通孔を通る取付具により、前記屋根材の表側にて太陽光パネルを支持する取付機構と前記屋根材の裏側に配される支持対象とを固定し、
前記屋根材の表側において前記取付機構に前記太陽光パネルを取り付けることを特徴とする太陽光パネルの取付方法。