(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2めっき層は、前記端子部において、前記第1めっき層の酸化防止機能を果たすために、0.3μm以下の厚さに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気テスト用コンタクト。
【背景技術】
【0002】
ICは高集積化および大容量化(以下、これらを総称して高密度化ともいう)および高機能化および多機能化(以下、これらを総称して高性能化ともいう)が急速に進んでおり、各種の電子機器あるいは自動車等の電子部品に広く搭載されてきている。このような電子部品では、その高い信頼性が強く要求され、初期故障あるいは固有欠陥のある製品をスクリーニングするために、高温下において高電圧を印加するバーンインテストがなされる。あるいは、ICの長期信頼性を評価するために、例えばBT(Bias Temperature)試験やTDDB(Time Dependent Dielectric Breakdown)試験等、高温・高電圧への製品の曝露を伴う加速ストレスによる各種の信頼性試験が行われる。
【0003】
ICパッケージに用いられるリード端子(以下、IC端子という)は、ICの高密度化あるいは高性能化に伴って益々多ピン化あるいは狭ピッチしている。このようなIC端子では、その端子表面に錫(Sn)めっきや半田めっきが施される。また、例えばCSP(Chip Size Package)におけるBGA(Ball Grid Array)の端子,ウエーハレベルCSPの端子,フリップチップ接続するベアチップの端子などの端子には、半田ボールあるいは半田バンプが多用されるようになってきている。ここで、一般に使用される半田は鉛フリー半田であるSn合金等から成る。
【0004】
上記バーンインテストでは、被検体となるICが封入されているICパッケージは例えばプリント回路基板のようなテストボードに取り付けられたICソケットに装着される。そして、そのテストボードが加熱装置に収納され、例えば125℃以上の高温において通電を行うことでICが検査される。ここで、IC端子とテストボードの回路配線あるいはランド(以下、ランド等という)は、例えばコンタクトピンを介して電気的に接続される。
【0005】
あるいは、ウエーハレベルCSPのいわゆるウエーハレベルバーンインでは、ウエーハに複数配列されている被検体のICに対しては、通電検査装置(以下、プローバともいう)を用い、上記と同様な高温下で通電を伴う検査が一括して行われる。ここで、各ICチップの端子は、いわゆるプローブヘッドに取り付けられたコンタクトプローブを介してプローブカードのランド等と電気的に接続される。以下、上記コンタクトピン、コンタクトプローブ等はまとめて電気テスト用コンタクトと呼称する。
【0006】
従来の電気テスト用コンタクトでは、その基材として低抵抗になる銅(Cu)、Cu合金等の金属材料が用いられる。そして、その表面に化学的に安定した金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)の貴金属あるいはそれらの合金等からなる表層めっき皮膜が形成される(例えば、特許文献1,2参照)。ここで、基材と表層めっき皮膜の間に生じ易い固相反応を抑制する反応抑制層(反応バリア層)として、特許文献2に示されるように、ニッケル(Ni)、Ni−リン(P)合金等からなる下地めっき層の介装が一般的に行われる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の好適な実施形態について
図1ないし
図6を参照して説明する。ここで、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なる。これ等の図では、互いに同一または類似の部分には共通の参照符号が付され、重複説明は一部省略される。
【0017】
図1に示すように、ICソケット用のコンタクトピンである電気テスト用コンタクト10は、金属材料から成る金属薄板の基材11の打ち抜き加工およびめっき加工により形成されている。そして、
図1における電気テスト用コンタクト10の上端がIC端子に接触する接触部10aになり、電気テスト用コンタクト10の下端がテストボードに半田付けされる端子部10bになる。更にその具体的な外形の詳細はICソケットの説明で後述されるが、接触部10aと端子部10bの間に、バネ部10c、支持部10dおよび固定部10eを有する構造になっている。
【0018】
ここで、バネ部10cは、接触部10aの下部に連続し、さらにそこから側方に延在する部分と、当該部分に連続したU字型の湾曲部分とを有することで、ICパッケージ23のリード(後述)との接触に応じて接触部10aに作用する荷重を弾性的に支持する機能を果たす。なお、所望の弾性支持機能を果たすためにバネ部10cの断面寸法および長さ等は適宜定め得るのは勿論である。
【0019】
支持部10dは、バネ部10cの湾曲部分からバネ部10cの延在部分に平行に延在する。支持部10dの途中からは下方に分岐するように固定部10eが設けられ、さらにその固定部10eに連続して端子部10bが延設されている。なお、支持部10dがバネ部10cの一部として形成されていてもよい。
【0020】
本実施形態の電気テスト用コンタクト10では、その全体すなわち上記各部位の全てが打ち抜き加工された金属薄板の基材11表面にNiあるいはNi基合金から成る第1めっき層12と、薄いAuあるいはAu合金から成る第2めっき層13とが順次形成された構造になっている(
図2A)。そして、IC端子に接触する接触部10aにおいては、
図2Bに示すように、例えばIC端子に対する接点となる上端面から側部にかけての部位にのみ、第2めっき層13の上に更にPdから成る第3めっき層14およびAgから成る第4めっき層15が順次に積層して形成されている。なお、電気テスト用コンタクト10の全体および必要部位の表面に周知の変色防止処理がなされてもよい。
【0021】
この電気テスト用コンタクト10の金属めっきに際しては、はじめに基材11の全体に対して、電着により第1めっき層12および第2めっき層13が形成される。そして、その後に接触部10aに関してはさらに、部分的に第3めっき層14および第4めっき層15が形成される。このように、本実施形態に係る電気テスト用コンタクト10では、その製造工程数が余り増えないために製造が簡便なものとなる。
【0022】
ここで、上記基材11は、銅(Cu)又はCu合金例えばCu−ベリリウム(Be)系合金、Cu−チタン(Ti)系合金、Cu−Sn系合金(例えば、リン青銅)、Cu−亜鉛(Zn)系合金(例えば、黄銅)等である。
【0023】
第1めっき層12は、基材11とその表層めっき皮膜となる第2めっき層13、第3めっき層14および第4めっき層15の間に生じ易い固相反応を抑制するバリア層であり、Ni、Ni−P合金から成る。その厚さは例えば0.3μm〜2μmの範囲で適宜に設定される。
【0024】
第2めっき層13は、例えばフラッシュAuめっきのような電解めっき法により電析されるAuまたはAu基合金から成る。Au基合金としては例えば微量のコバルト(Co)を含むAu−Co合金、Au−Ni合金、Au−Pd合金、Au−Ag合金、Au−Sn合金が挙げられる。第2めっき層13を電解めっき法により形成することにより、第1めっき層12および第3めっき層14との密着性が無電解めっき法を採用した場合より向上する。そして、その厚さは例えば0.05μm〜0.30μmの範囲で適宜に設定される。この厚さの範囲は、特許文献1におけるAuあるいはAu基合金から成る表層めっき皮膜の厚さの範囲(0.2〜1μm)に比べて大きく低減されたものであり、電気テスト用コンタクト10の低コスト化を容易にする。
【0025】
ここで、第2めっき層13は、その厚さが0.05μm未満になると、第1めっき層12と第3めっき層14の間での剥がれを生じ易くする。また、その厚さが0.30μm超となると、テストボードのランド等との端子部10bの半田接合の信頼性が低下するようになる。従って、本実施形態のように第2めっき層13の厚さを0.05μm〜0.30μmの範囲で設定することは望ましいものとなる。
【0026】
第3めっき層14は例えば、純PdやPdを基合金としたPd−Ni合金、Pd―In合金の電解めっき、あるいは無電解めっきにより形成される。ここで、Pdめっき層にはその他に不可避不純物が微量に含まれるようになっていてもよい。不可避不純物は上述した電解めっきなどで混入する微量の水素元素、酸素元素、金属元素等である。第3めっき層14の厚さは例えば1μm〜2μmの範囲で適宜に設定される。
【0027】
第4めっき層15は純AgやAgを基合金としたAg−Sb合金、Ag−Se合金、Ag−Au合金、Ag−Sn合金等の電解めっきあるいは無電解めっきにより形成される。ここで、第4めっき層にはその他に上述したような不可避不純物が微量に含まれるようになっていてもよい。第4めっき層15の厚さは例えば1μm〜2μmの範囲で適宜に設定される。第3および第4めっき層は被検体のリードと直接接触するコンタクト頂部にのみ設けるものとしてもよいが、バネ部10cにいたる側部にまで延在させて第2めっき層との積層面積を広くすることで、剥がれの可能性を防ぐことが好ましい。
【0028】
上記電気テスト用コンタクト10は、
図3および
図4に示すようなICソケットに必要個数が組込まれて取り付けられる。以下、ICソケットについてその要部を説明する。
図3および
図4に示すICソケットでは、表面実装型になる例えばQFP(Quad Flat Package)の形態のICパッケージが装着される。ICパッケージのリード表面には錫(Sn)系半田が形成されている。このICソケットは、その外形が概略直方体をなし、ソケット基板21、カバー22および多数の電気テスト用コンタクト10等を備える。
【0029】
ソケット基板21は、その中央部にQFPとして組立てられたICパッケージ23が載置される位置決め台24、ソケット基板21に対し着脱自在な台座25等を備える。ICパッケージ23では、多数のガルウィング形リード23aがその4辺から延出する。そして、位置決め台24には、その外周にICパッケージ23の本体を収容するように外周壁24aが設けられている。ここで、多数のガルウィング形リード23aは、外周壁24aを乗り越え、その先端が後述するように電気テスト用コンタクト10の接触部10aに弾性接触できるようになっている。
【0030】
そして、多数の電気テスト用コンタクト10は、その接触部10aが外周壁24aを取り囲むように位置決め台24の外周に沿い配列されている。ここで、電気テスト用コンタクト10は、その固定部10eがソケット基板21の内底面26aから外底面26bに貫通する貫通孔26に嵌合することで固定され、支持部10dがその内底面26aに支持される。また、隣接する電気テスト用コンタクト10同士の接触を防止するために、隣接する電気テスト用コンタクト10間のギャップにはコンタクト分離隔壁27が設けられている。本実施形態においては、コンタクト分離隔壁27は、
図3に示されるように、隣接するバネ部10cの湾曲部分が互いに接触しないように配設されている。そして、各バネ部10cはその隔壁間のギャップである溝内で、ICパッケージ23のリード(後述)から加えられる荷重の方向すなわち
図3の上下方向に弾性変形するようになる。
【0031】
各端子部10bは、テスト基板への実装が行いやすいようソケット基板21の外底面26bから配列が変換され複数列に延出する。ここで、本実施形態では、多数の電気テスト用コンタクト10では、その端子部10bが複数列に二次元配列できるように、その支持部10dから分岐する固定部10eの分岐位置が異なるものが使用されている。そして、この複数列に二次元配列された端子部10bが後述するテストボードの配線端子にそれぞれ半田付けされる。
【0032】
カバー22は、ソケット基板21の一端に回動自在に枢着され、ソケット基板21を上方向から閉蓋するようになっている。また、カバー22には、その下面適所にICパッケージ23のガルウィング形リード23aを上方向から押える4個のリード押え壁28が設けられている。そして、カバー22の一端領域、好ましくはカバー22の被枢着端と対向する一端の領域にラッチ機構29が設けられ、ソケット基板21の強固な閉蓋、特にリード押え壁28による電気テスト用コンタクト10の接触部10aに対するリード23aの確実な押圧を可能としている。このようにICパッケージ23が
図3および
図4に示したようなICソケットに装着されて、例えばバーンインテストに供される。
【0033】
上述したICソケットは、例えばバーンインテストに用いられるテストボードに多数個取り付けられている。ここで、
図5に示すように、それぞれのICソケットに組込まれた電気テスト用コンタクト10の端子部10bは、上記テストボード16に例えばフロー半田17により半田付けされている。そして、テストボード16においてそのランド等(図示せず)に接続されている。また、その接触部10aは、リード押え壁28により押圧された対応ガルウィング形リード23aにそれぞれ接触し、バネ部10cにより当該押圧方向(下方)に変位する。
【0034】
端子部10bの半田付けに使用される半田は、鉛フリーの共晶半田であり、例えば、Sn−亜鉛(Zn)系半田、Sn−Cu系半田、Sn−Ag系半田、Sn−ビスマス(Bi)系半田等が用いられる。ここで、端子部10bはその表面の第1めっき層12がフロー半田17と合金層を形成して、テストボード16のランド等と半田接合することができる。このため、第2めっき層13は、上述したような第1めっき層12のNiの酸化を防止できる程度の薄い厚さで構わない。
【0035】
上記接触部10aは、上記下方への変位に応じ、バネ部10cが上方に付勢力を作用することにより、ガルウィング形リード23aの表面に形成されている半田めっき層に弾性接触する。このような弾性接触の状態において、例えば125℃程度の高温におけるIC23の検査が行われる。
【0036】
次に、
図6を参照して例えばバーンインテストにおける電気テスト用コンタクト10の作用効果について説明する。
図6の(a)に示すように、接触部10aにおける表層めっき皮膜として、上記第2めっき層13を被覆するPdまたはPd基合金から成る第3めっき皮膜14およびAgあるいはAg基合金から成る第4めっき皮膜15がこの順に積層して形成されている。そして、電気テスト用コンタクト10とガルウィング形リード23aとの弾性接触により、
図6の(b)に示すように、第4めっき層15がリード23aのSn系半田層18に接触するようになる。
【0037】
このような弾性接触の状態において、温度が125℃程度の検査が繰り返し行われると、第2めっき層13、第3めっき層14および第4めっき層15を構成する金属元素中にSn系半田層18が取り込まれるが、めっき層へのSn系半田層18への溶け込みは従来技術の場合に較べ安定的に大きく低減する。これにより電気テスト用コンタクトが長寿命化され、その交換頻度が低減して低コスト化が可能になる。
【0038】
特許文献1に記載されたように表層めっき皮膜がAuあるいはAu合金から成る場合、バーンインテストを繰り返していくと、Au元素が被検体のIC端子のSn系半田層18側に局部的に取り込まれ、半田のSnとの冶金学的な反応が生じる。そして、下地めっき層のNiが局部的に露出するようになり、空気中の酸素と反応して酸化される。このNi酸化物は絶縁体である。このようなNi酸化物の生成により、電気テスト用コンタクトの接触抵抗値が早期に上昇することが生じていた。このために、電気テスト用コンタクトの長寿命化が難しくなっていた。
【0039】
これに対して、本実施形態の場合には、
図6の(c)に模式的に示したように、逆に、Sn系半田層18中のSn元素が第4めっき層15を通り、第3めっき層14中に吸蔵されるようになる。あるいは、Sn酸化物が還元され、そのSn元素のみが第3めっき層14に吸蔵され、酸素は外部に放散される。そして、バーンインテストが繰り返されていくと第3めっき層14中のSn元素が増えて、第3めっき層14はPdとSnの混合した第3めっき混合層14aになり、その体積増加が生じる。ここで、PdとSnは固溶体あるいは金属間化合物を形成する。
【0040】
一方、第4めっき層15はSn元素を拡散させるが、第4めっき層15中へのPd元素の拡散を阻止する機能を有する。また、第4めっき層15にSn元素が少し溶け込んだ第4めっき混合層15aになる。しかし、この第4めっき混合層15aはSn系半田層18と接合することはない。また、半田が第4めっき混合層15aの表面に付着することもない。従って、各バーンインテストが終了すると、第4めっき混合層15aとSn系半田層18は相互の剥がれ損傷もなく分離する。
【0041】
また、第2めっき層13は第3めっき層14の剥がれを防止する機能を有している。この第2めっき層13が介挿されない場合には、例えばバーンインテストにおける昇降温により生じる第1めっき層12および第3めっき層14の体積膨張および収縮に起因して、それ等の間における剥がれが起こり易い。更に、バーンインテストの繰り返し回数が増えてくると、第3めっき層14の体積増加に起因する剥がれも生じてくるようになる。第2めっき層13は第1めっき層12、第3めっき層14および第3めっき混合層14aに較べて軟質であるので、その応力緩和の作用により上述したような剥がれを防止する。
【0042】
このようにして、従来技術で生じていたNi酸化物の生成あるいは半田の酸化物(例えば、Sn酸化物)の付着は起こり難くなる。そして、電気テスト用コンタクトの長寿命化が可能になる。それと共に、電気テスト用コンタクトの低コスト化が容易になる。例えば、従来技術を適用した電気テスト用コンタクトでは平均25サイクル程度で接触抵抗値が増大していたICのバーンインテストにおいて、本実施形態の電気テスト用コンタクト10では、100サイクルのバーンインテストの後でも接触抵抗値の上昇は殆ど見られず、その交換サイクルを大幅に伸ばす事が可能となった。
【0043】
また、第3めっき層14および第4めっき層15は、電気テスト用コンタクト10に部分的に、すなわち接触部10a上の部分にのみ、電着により積層され、バネ部10cには形成されない。このため、電気テスト用コンタクト10のコンタクト分離隔壁27に対する充分なクリアランスを確保し易くなる。そして、バネ部10cの上下方向への弾性変形が充分に確保され、接触部10aのIC端子との必要な弾性接触が保障される。これについて、
図7を参照した説明を加える。
図7は、
図3に示すコンタクト分離隔壁の上方からの斜め下方の拡大図である。
【0044】
図7に示すように、多数の電気テスト用コンタクト10は例えば各バネ部10cがコンタクト分離隔壁27により隔離されて、互いに接触しないようにしなければならない。一方、上記バーンインテストにおける電気テスト用コンタクト10の効果は、第3めっき層14および第4めっき層15を厚くするほど顕著になる。本実施形態においては、バネ部10cには第3めっき層14および第4めっき層15が形成されないため、第3めっき層14および第4めっき層15を好ましい厚さに形成しつつも、コンタクト分離隔壁27との間のクリアランスLは確保できるようになる。このために、IC端子の多ピン化あるいは狭ピッチ化に対応して、多数の電気テスト用コンタクト10を近接させて配列することが可能になる。
【0045】
また、上記第3めっき層14および第4めっき層15は電気テスト用コンタクト10に部分的に電着され、端子部10bには形成されない。そして、上述したように端子部10bは、主に基材11表面の第1めっき層12と第2めっき層13がフロー半田17と合金層を形成してテストボード16のスルーホール等と半田接合している。このために、上記バーンインテストにおいてその接合強度の低下は全く生じない。
【0046】
これに対して、第3めっき層14および第4めっき層15の電着が部分的でなく、端子部10bに形成されると、テストボード16のランド等との半田接合は、フロー半田17とPdを含む第3めっき層14あるいはAgを含む第4めっき層15との合金層によることになる。しかし、この場合には、その接合強度がNiを含む第1めっき層12およびAuを含む第2めっき層13との合金層による半田接合の場合に比べ低下する傾向がある(なお、上記バーンインテストを実施しない場合でも、その接合強度が低くなる傾向がある)。また、この強度の低下は上記バーンインテストを行う場合において顕著となる。これは、バーンインテスト時の温度環境下での経時変化により、基材11が含むCuが第1めっき層12および第2めっき層13を越えてPdとSnとの接合部へと拡散し、CuとSnとの金属間化合物が生成されるためと考えられる。
【0047】
なお、上記電気テスト用コンタクト10では、第3めっき層14および第4めっき層15が
図1あるいは
図5に示したように接触部10aの側部を含めた接触部10aの上方の領域に部分的に形成されるように説明しているが、本発明はこれに限定されるものでない。第3めっき層14および第4めっき層15は、接触部10aの上端面のみに形成されていても構わない。すなわち、第3めっき層14および第4めっき層15が形成される領域は接触部10aにおいてIC端子に実質的に接触する部分に限局されていてもよい。
【0048】
(他の実施形態)
次に、ICソケットに取り付けられる電気テスト用コンタクトの他の実施形態について
図8を参照して説明する。この電気テスト用コンタクト30は上下方向に略直線状になったコンタクトピンである。ここで、
図8におけるその上端がIC端子に接触する接触部30aになり、その下端がテストボード16にフロー半田17により半田付けされる端子部30bになる。そして、上記接触部30aと端子部30bの間に、コンタクト30の長手方向に対して横方向に弾性変形するバネ部30cと、ICソケットに支持され固定される支持部30eが形成される。この場合のICソケットは、
図3および
図4で説明した構成を、本実施形態に係る電気テスト用コンタクト30に適合するように変更すればよい。接触部30aを一端としたバネ部30cは2枚の細長い弾性接片の基材から成り、その他端が靱性のある針状の支持部30eに一体接合している。そして、針状の支持部30eを基端としてその先端が端子部30bになっている。なお、IC端子と接触部30aとの接触に応じてバネ部30cが弾性変形する方向、すなわち2枚の細長い弾性接片が開く方向は、隣接する電気テスト用コンタクト30のバネ部30cの接触が生じないように定められる。
【0049】
この電気テスト用コンタクト30では、電気テスト用コンタクト10で説明したのと同じように、上述した各部位の全体が基材11表面にNiあるいはNi基合金から成る第1めっき層12と、薄いAuあるいはAu基合金から成る第2めっき層13が順次に形成された構造になっている。そして、従来技術で説明したBGAの半田ボール23bに接触する接触部30aにおいて選択的に、上記第2めっき層13に更にPdまたはPd基合金から成る第3めっき層14およびAgあるいはAg基合金から成る第4めっき層15が順次に積層して形成されている。更に、周知の変色防止処理がなされてもよい。
【0050】
次に、電気テスト用コンタクトのさらに他の2実施形態について
図9Aおよび
図9Bを参照した説明を加える。これらの例では、電気テスト用コンタクト40,50はICソケットに取り付けられるコンタクトピンであるが、テストボード16に半田付けされない。
【0051】
図9Aに示す電気テスト用コンタクト40では、薄板の打ち抜き加工により形成された基材41でなり、同図におけるその上端がIC端子に弾性接触する第1接触部40aになり、その下端がテストボード16のランド等に弾性接触する第2接触部40bになる。そして、第1接触部40aは第1バネ部40cを通して固定部40eに連結され、第2接触部40bは第2バネ部40fを通して固定部40eに連結される。ここで、電気テスト用コンタクト40は取り付けられるICソケット内の所定の位置に固定部40eで固定されるようになる。この場合のICソケットについても、
図3および
図4で説明した構成を、本実施形態に係る電気テスト用コンタクト40に適合するように変更すればよい。
【0052】
電気テスト用コンタクト40では、電気テスト用コンタクト10で説明したのと同じように、上述した各部位の全体が基材11の表面にNiあるいはNi基合金から成る第1めっき層12と、薄いAuあるいはAu合金から成る第2めっき層13が順次施された構造になっている。そして、例えばベアチップであるIC23の半田バンプ(図示せず)に接触する第1接触部40aのみに、例えば図中の点線より上方の部分となる上端に、上記第2めっき層13の上層として更にPdまたはPd基合金から成る第3めっき層14およびAgあるいはAg基合金から成る第4めっき層15が順次に積層して形成されている。更に、周知の変色防止処理がなされてもよい。
【0053】
一方、テストボード16のランド等に接触する第2接触部40bにおいて、例えば図中の点線より下方の部分となる下端に選択的に、第2めっき層13の上に更にAuあるいはAu基合金のめっき層が追加形成される。そして、この領域では第2めっき層13の厚さが例えば0,2μm〜1μm程度とされる。
【0054】
図9Bに示す電気テスト用コンタクト50は図の上下方向に直線状に延在するコンタクトピンである。そして、図におけるその上端がIC端子に接触する第1接触部50aになる第1プランジャ50bと、下端がテストボードのランド等に接触する第2接触部50cになる第2プランジャ50dとがバレル50e内で互いに係合する。ここで、これ等の第1プランジャ50bおよび第2プランジャ50dは、バレル50e内のコイルバネ(図示せず)を介して、バレル50eから突出する方向、すなわち上方および下方にそれぞれ付勢される。この電気テスト用コンタクト50は、
図3および
図4で説明した構成を本実施形態に適合するように変更したICソケットに取り付けられる。なお、これ等のプランジャは例えば金属棒の切削加工等により形成された基材でなる。
【0055】
電気テスト用コンタクト50では、電気テスト用コンタクト10で説明したのと同じように、上述した各部位の全体が基材11の表面にNiあるいはNi基合金から成る第1めっき層12と、薄いAuあるいはAu合金から成る第2めっき層13が順次施された構造になる。そして、CSPに組立てられたIC23のBGAの半田ボール23bに接触する第1接触部50aにおいて、例えば図中の点線から上方の部分に選択的に、上記第2めっき層13の上層として更にPdまたはPd基合金から成る第3めっき層14およびAgあるいはAg基合金から成る第4めっき層15が順次に積層して形成される。更に、周知の変色防止処理がなされてもよい。ここで、第1接触部50aの先端は、半田ボール23bとの接触が良好になるように略90度の角度をなす三角溝状に形成されるとよい。
【0056】
これに対して、テストボード16のランド等に接触する第2接触部50cにおいて、例えば点線より下方の部分となる下端に選択的に、第2めっき層13の上に更にAuあるいはAu基合金のめっき層が追加形成される。そして、この領域では第2めっき層13の厚さが例えば0,2μm〜1μm程度とされ。なお、この電気テスト用コンタクト50の場合、バレル50eの表面にはめっき層を形成せず、基材11が剥き出しの構造になっていてもよい。
【0057】
(その他) 上述した各実施形態に係る電気テスト用コンタクトは、ICソケットに取り付けられるコンタクトピンの形態を有するが、その他に、背景技術の項で説明したコンタクトプローブの形態を有していてもよい。このような電気テスト用コンタクトは前述のBGA、CSPの他、ウエーハレベルCSPのいわゆるウエーハレベルバーンインでも好適に使用される。その基本的な構造では、コンタクトプローブの一端となる接触子がウエーハに配列されている被検体のICチップの例えばSn合金系半田から成る半田バンプに弾性接触するように構成する。そして、コンタクトプローブの基端が例えばジャンパー線等を介しプローバのプローブカードのランド等と電気接続するようにする。
【0058】
この場合も、コンタクトプローブの各部位の全体が
図2Aで説明したように、金属材料から成る基材11の表面にNiあるいはNi基合金から成る第1めっき層12と、薄いAuあるいはAu合金から成る第2めっき層13が順次施された構造になる。そして、ICチップの半田バンプに接触する接触子において選択的に、上記第2めっき層13の上に更にPdまたはPd基合金から成る第3めっき層14およびAgあるいはAg基合金から成る第4めっき層15が順次に積層して形成されている。更に、周知の変色防止処理がなされてもよい。一方、コンタクトプローブの基端側は鉛フリー半田により例えばジャンパー線と半田接合する。
【0059】
上記電気テスト用コンタクトにおいて、IC端子に接触する接触部(10a,30a,40a,50a)あるいは接触子、テストボード側の端子部(10b,30b)あるいは第2接触部(40b,50c)または基端を除く電気テスト用コンタクトの部位は、基材11の表面に第1めっき層12のみが形成される形態であってもよい。この場合、バーンインテストにおいて、当該部位上のNiから成る第1めっき層12はその表面が少し酸化されるようになる。そして、電気テスト用コンタクトにおける当該部位のバネ弾性特性の経時変化が生じ得るが、基材11の金属材料を適宜に選択することによりこのような問題は回避できる。
【0060】
本実施形態の電気テスト用コンタクトは、例えばバーンインテスト、加速ストレス試験のような高温環境下におけるICの通電検査において、その安定した長寿命化を可能にする。そして、通電検査のための被検体との間における多数回の繰り返し接触および分離が安定して高い信頼性のもとに可能となる。
【0061】
また、電気テスト用コンタクトの接触部に部分的にPdから成るめっき層とAgあるいはAg基合金から成るめっき層を積層して形成することにより、ICソケット内への多数の電気テスト用コンタクトの配列が高い信頼性のもとに可能となる。このようにして、IC端子の多ピン化あるいは狭ピッチ化への対応が容易になる。
【0062】
そして、上述した長寿命化により、電気テスト用コンタクト、その取り付けICソケットあるいはプローブヘッド等の交換頻度が低減する。また、電気テスト用コンタクトへの高価なAu金属の使用量は大幅に減少する。更に、本実施形態の電気テスト用コンタクトの製法は簡便になる。このようにして、電気テスト用コンタクトの低コスト化が容易になる。これは、IC端子の多ピン化あるいは狭ピッチ化において顕著になる。
【0063】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、上述した実施形態は本発明を限定するものでない。当業者にあっては、具体的な実施態様において本発明の技術思想および技術範囲から逸脱せずに種々の変形あるいは変更を加えることが可能である。
【0064】
本発明は、例えばウエーハレベルバーンインで用いられる例えばスプリングプローブのような電気テスト用コンタクトであっても同様に適用される。
【0065】
また、上記電気テスト用コンタクトは、高温環境下の通電検査に限らず、例えば室温下でのICのような電子部品の通電検査にも有用になる。