特許第6241511号(P6241511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6241511
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 13/10 20060101AFI20171127BHJP
   B65H 7/14 20060101ALI20171127BHJP
   B65H 29/52 20060101ALI20171127BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20171127BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   B41J13/10
   B65H7/14
   B65H29/52
   B65H5/06 D
   B41J2/01 305
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-133073(P2016-133073)
(22)【出願日】2016年7月5日
(62)【分割の表示】特願2013-28732(P2013-28732)の分割
【原出願日】2013年2月18日
(65)【公開番号】特開2016-196191(P2016-196191A)
(43)【公開日】2016年11月24日
【審査請求日】2016年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】三本 匡雄
(72)【発明者】
【氏名】太田 恭平
(72)【発明者】
【氏名】佐野 巌根
(72)【発明者】
【氏名】川俣 範幸
(72)【発明者】
【氏名】若草 敬介
(72)【発明者】
【氏名】修 杰
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 慎悟
【審査官】 西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−048161(JP,A)
【文献】 特開2008−110530(JP,A)
【文献】 特開2000−071532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 13/00−13/32
B41J 2/01
B65H 5/06
B65H 7/14
B65H 29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送向きに搬送する第1搬送部と、
上記第1搬送部よりも上記搬送向きの下流側に配置されており、搬送されるシートを支持する支持部材と、
上記第1搬送部よりも上記搬送向きの下流側において上記支持部材の上方に配置されており、ノズルからインク滴を吐出することによって上記支持部材に支持されるシートに画像を記録する記録部と、
上記記録部よりも上記搬送向きの下流側において上記搬送向きと直交する幅方向に間隔を空けて複数配置されており、搬送されるシートの上面と当接可能な第1拍車と、
隣り合う上記第1拍車の間に配置されており、上記幅方向に沿って延設され、且つ、搬送されるシートの上面の上記幅方向における端と当接可能な当接部材と、
上記当接部材よりも上記搬送向きの下流側にてシートを搬送する第2搬送部と、
上記ノズルよりも上記搬送向きの上流側に配置されており、シートの上面を押さえる複数の押さえ部材と、を備え、
上記押さえ部材の少なくとも一つは、上記幅方向において、上記隣り合う第1拍車のうち上記当接部材よりも中央側に位置する第1拍車に対応して配置されているインクジェット記録装置。
【請求項2】
上記押さえ部材は、シートに波形状を付与する請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
上記支持部材は、上記幅方向において間隔をあけて複数配置されたリブを有し、
上記押さえ部材は、上記複数のリブのうちの一対のリブの上記幅方向における間に配置され、上記一対のリブと協同してシートに波形状を付与する請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
上記第2搬送部は、上記幅方向に間隔をあけて複数配置されており搬送されるシートの上面と当接可能な第2拍車を有し、
上記第2拍車の少なくとも一つは、上記幅方向において上記当接部材よりも中央側に配置されている請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
上記第2拍車の少なくとも一つは、上記幅方向において、上記隣り合う第1拍車のうち上記当接部材よりも中央側に位置する第1拍車に対応して配置されている請求項4に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
上記当接部材の最下端は、上記第1拍車の最下端よりも上方に位置しており、且つ、上記第1拍車の最下端よりも上記搬送向きの下流側に位置するものであって、上記第1拍車の最下端がシートと当接した後に、当該シートと当接するように位置することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルからインク滴を吐出することによってシートに画像を記録するインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、記録部に設けられたノズルからインク滴を吐出してシートに画像を記録するインクジェット記録装置が知られている。インクジェット記録装置において、装置内部に形成された搬送路を搬送されているシートは、当該シートを支持している部材から浮き上がってしまうことがある。このような浮き上がりは、特にシートの幅方向の両端部において発生しやすい。そして、シートの浮き上がりが記録部と対向する位置において発生すると、シートと記録部との間隔が変化してしまい、シートに記録される画質に影響を及ぼしてしまうおそれがある。
【0003】
このような問題を解決するために、特許文献1には、記録部と対向してシートを支持するプラテンに取り付けられており、シートの幅方向の端部を押さえて当該端部の浮き上がりを防止する押さえ部材を備えたインクジェット記録装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−36649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、シートの浮き上がりは、記録部と対向する位置においてのみ発生するものではない。特に、記録部よりもシートの搬送向きの下流側では、記録部によって吐出されたインク滴がシートに浸透することによって、シートが浮き上がりやすい。この場合のシートの浮き上がりも、シートの幅方向の両端部において特に発生しやすい。
【0006】
このような問題を解決するために、記録部よりも搬送向きの下流側において、シートを上側から押さえる拍車を、シートの幅方向の端部と対向する位置に配置するものがある。ここで、拍車は、搬送路を搬送されるシートの各サイズの端部位置に応じた位置に複数配置される。
【0007】
しかしながら、シートのサイズの種類が多種多様であり、しかも各サイズのシートの幅方向の長さの相違が僅かである場合、仮に、全てのサイズのシートの幅方向の端部に応じた位置に拍車を配置すると、複数の拍車は密集した状態で配置されているため、所定サイズのシートが斜行した場合に、当該シートの端部が、当該所定サイズ以外のサイズのシートに対応した拍車に引っかかってしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、インクジェット記録装置が多種多様なサイズのシートを搬送可能に構成されている場合でも、当該多種多様なサイズのシートの浮き上がりを抑制することができる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明に係るインクジェット記録装置は、シートを搬送向きに搬送する搬送部と
、上記搬送部よりも上記搬送向きの下流側に配置されており、搬送されるシートを支持する支持部材と、上記搬送部よりも上記搬送向きの下流側において上記支持部材の上方に配置されており、ノズルからインク滴を吐出することによって上記支持部材に支持されるシートに画像を記録する記録部と、上記記録部よりも上記搬送向きの下流側において上記搬送向きと直交する幅方向に間隔を空けて複数配置されており、搬送されるシートの上面と当接可能な拍車と、隣り合う上記拍車の間に配置されており、上記幅方向に沿って延設され、且つ、搬送されるシートの上面の上記幅方向における端と当接可能な当接部材と、を備える。
【0010】
本構成によれば、当接部材は、幅方向に沿って延設されている。よって、幅方向において多種多様なサイズのシートの端部が密集する位置に当接部材が配置されることによって、いずれのサイズのシートが搬送された場合であっても、当接部材は当該シートの端部を押さえることができる。また、当接部材は、隣り合う拍車の間において幅方向に沿って延設されて配置されている。つまり、あるシートの幅方向における端部が当接部材と当接する場合、当該シートの幅方向における端部は、幅方向において拍車から一定の距離を隔てている。そのため、当該シートの幅方向における端部が拍車に引っかかる可能性を低くすることができる。
【0011】
(2) 上記当接部材の最下端は、上記拍車の最下端よりも上方に位置する。本構成によ
れば、浮き上がるシートは、当接部材と当接するよりも先に下方に位置する拍車と当接する。これにより、シートに付着したインク滴が当接部材に付着する可能性を低くすることができる。
【0012】
(3) 上記当接部材の最下端は、上記拍車の最下端よりも上記搬送向きの下流側に位置
する。本構成によれば、搬送向きに搬送されるシートは、当接部材と当接するよりも先に搬送向きの上流側に位置する拍車と当接する。これにより、シートに付着したインク滴が当接部材に付着する可能性を低くすることができる。
【0013】
(4) 上記当接部材は、当該当接部材の最下端よりも上記搬送向きの上流側に、当該最
下端に向かって傾斜する傾斜面を備える。本構成によれば、当接部材に当接したシートを傾斜面に沿って当接部材の最下端へ誘導することができる。
【0014】
(5) 本発明に係るインクジェット記録装置は、シートを上記幅方向における中央を基
準位置として支持するトレイと、上記トレイに支持されたシートを上記搬送部へ向けて上記搬送向きに給送する給送部と、を更に備える。上記当接部材の上記幅方向における位置は、上記基準位置から上記幅方向の外側に40mm〜65mmの範囲内である。
【0015】
日本工業規格(Japanese Industrial Standards:JIS)に対応した封筒の殆どは、短手方向の長さが90mmから120mmの範囲に密集している。よって、シートが幅方向の中央を基準として位置合わせされるインクジェット記録装置において、JISに対応した封筒がインクジェット記録装置内を搬送された場合、それらの幅方向における端部は、基準位置から幅方向の外側に45mm〜60mmの範囲となる。つまり、本構成によれば、当接部材の幅方向における位置は、基準位置から幅方向の外側に40mm〜65mmの範囲であるため、JISに対応した殆どの種類の封筒の幅方向における端部と当接することができる。その結果、本構成によれば、JISに対応した殆どの封筒の幅方向における端部の浮き上がりを抑制することができる。
【0016】
(6) 本発明に係るインクジェット記録装置は、シートを上記幅方向における端を基準
位置として支持するトレイと、上記トレイに支持されたシートを上記搬送部へ向けて上記搬送向きに給送する給送部と、を更に備える。上記当接部材の上記幅方向における位置は、上記基準位置から上記幅方向の中央側に80mm〜130mmの範囲内である。
【0017】
JISに対応した封筒の殆どは、短手方向の長さが90mmから120mmの範囲に密集している。よって、シートが幅方向の端を基準として位置合わせされるインクジェット記録装置において、JISに対応した封筒がインクジェット記録装置内を搬送された場合、それらの幅方向における端部は、基準位置から幅方向の中央側に90mm〜120mmの範囲となる。つまり、本構成によれば、当接部材の幅方向における位置は、基準位置から幅方向の中央側に80mm〜130mmの範囲であるため、JISに対応した殆どの種類の封筒の幅方向における端部と当接することができる。その結果、本構成によれば、JISに対応した殆どの封筒の幅方向における端部の浮き上がりを抑制することができる。
【0018】
(7) 上記支持部材は、上記幅方向において間隔を空けて複数配置されたリブを有し、
当該リブの上端においてシートを支持するものである。本発明に係るインクジェット記録装置は、上記ノズルよりも上記搬送向きの上流側であって且つ上記幅方向における一対の上記リブの間に配置されており、シートの上面と当接することによって、上記一対のリブと協同してシートに波形状を付与する押さえ部材を更に備える。上記押さえ部材の少なくとも一つは、上記幅方向において、上記隣り合う拍車のうち上記当接部材よりも中央側に位置する拍車に対応して配置されている。
【0019】
本構成によれば、押さえ部材はシートを上面から押さえるため、シートにおいて押さえ部材に当接された位置の幅方向における両側は、浮き上がりやすい。本構成によれば、この浮き上がりやすい当該両側に相当する位置には当接部材が配置されているため、シートの浮き上がりを抑制することができる。
【0020】
(8) 本発明に係るインクジェット記録装置は、上記記録部を制御する制御部と、搬送
されるシートの位置を検知する検知部と、を更に備える。上記制御部は、搬送されるシートの上記搬送向きの下流端部が上記拍車または上記当接部材の下端位置に到達したことが上記検知部によって検知されたことを条件として、上記記録部にシートへの画像記録を開始させる。
【0021】
本構成によれば、シートへの画像記録は、当該シートの搬送向きの先端が拍車または当接部材の最下端位置に到達してから開始されるため、シートへの画像記録中に当該シートの搬送向きの先端がインク滴の付着などの要因によって上方へ反ろうとしても、当該シートの反りを拍車または当接部材によって抑制することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、インクジェット記録装置が多種多様なサイズのシートを搬送可能に構成されている場合でも、当該多種多様なサイズのシートの浮き上がりを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の実施形態の一例である複合機10の斜視図である。
図2図2は、プリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
図3図3は、プリンタ部11における記録部24及びガイドレール56、57周辺を示す縦断面図である。
図4図4は、サイドフレーム55と搬送ローラ60と押さえ部材41とプラテン42と拍車77とそれらの周辺を示す斜視図である。
図5図5は、サイドフレーム55と搬送ローラ60とプラテン42と拍車77とそれらの周辺を示す斜視図である。
図6図6は、押さえ部材41と拍車77と拍車ホルダ78と拍車63とを示す底面図である。
図7図7は、拍車77と拍車ホルダ78とを示す斜視図である。
図8図8は、拍車77と拍車ホルダ78とを示す左側面図である。
図9図9は、制御部130の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。以下の説明においては、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、開口13が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8が定義され、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9が定義される。
【0025】
[複合機10の全体構造]
図1に示されるように、本発明のインクジェット記録装置の一例である複合機10は、薄型の直方体に概ね形成されており、下部にプリンタ部11が設けられている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。複合機10は、プリント機能として、インクジェット方式で記録用紙12(図2参照)の片面に画像を記録する機能を有している。なお、複合機10は、記録用紙12の両面に画像を記録するものであってもよい。
【0026】
[給送トレイ20]
図1に示されるように、プリンタ部11の正面には、開口13が形成されている。給送トレイ20(本発明のトレイの一例)が、前後方向8に移動することによって、開口13を介してプリンタ部11に挿入及び脱抜可能である。給送トレイ20は、上側が開放された箱形状の部材である。図2に示されるように、給送トレイ20の底板22には、記録用紙12が重ねられた状態で載置される。給送トレイ20の前側且つ上側には、排出トレイ21が支持されている。排出トレイ21は、給送トレイ20と一体に前後方向8に移動する。排出トレイ21の上面には、後述する記録部24によって画像を記録された記録用紙12が排出される。
【0027】
給送トレイ20の底板22には、左右方向9に移動可能な一対のサイドガイド(不図示)が支持されている。各サイドガイドの側面は、それぞれ底板22に載置された記録用紙12の左右両端と当接する。一対のサイドガイドのうちの一方が左右方向9の一方に移動すると、他方が連動して左右方向9の他方へ移動する。以上より、本実施形態では、給送トレイ20に載置され、後述する搬送路65を搬送され、後述する記録部24によって画像を記録される記録用紙12は、左右方向9の中央を基準として位置決めされる。つまり、給送トレイ20は、記録用紙12を左右方向9における中央を基準位置として支持する。
【0028】
[給送部16]
図2に示されるように、給送部16は、プリンタ部11に挿入された状態の給送トレイ20の上方であって後述する記録部24の下方に設けられている。給送部16は、給送ローラ25、給送アーム26、及び駆動伝達機構27を備えている。給送ローラ25は、給送アーム26の先端部で軸支されている。給送アーム26は、基端部に設けられた支軸28を中心として、矢印29の方向に回動する。これにより、給送ローラ25は、給送トレイ20または当該給送トレイ20に支持された記録用紙12に対して、当接及び離間が可能である。
【0029】
給送ローラ25は、複数のギヤが噛合されてなる駆動伝達機構27によって、搬送用モータ102(図9参照)の駆動力が伝達されて回転する。これにより、給送トレイ20の底板22に載置された記録用紙12のうち、給送ローラ25と当接している最も上側の記録用紙12が、後述する搬送路65へ給送される。なお、給送ローラ25は、搬送用モータ102とは別に設けられたモータから駆動力を付与されて回転してもよい。また、駆動伝達機構27は、複数のギヤが噛合されている形態に限らず、例えば支軸28と給送ローラ25の軸とに架け渡されたベルトであってもよい。
【0030】
[搬送路65]
図2に示されるように、給送トレイ20の後端部から搬送路65が延出されている。搬送路65は、湾曲部33と直線部34とを備える。湾曲部33は、後側を湾曲外側とし前側を湾曲内側として湾曲しつつ延びている。直線部34は、前後方向8に延びている。
【0031】
湾曲部33は、所定間隔を隔てて互いに対向する外側ガイド部材18と内側ガイド部材19とによって形成されている。外側ガイド部材18は、湾曲部33の湾曲外側を形成している。内側ガイド部材19は、湾曲部33の湾曲内側を形成している。各ガイド部材18、19は、図2における紙面と直交する方向である左右方向9に延設されている。以上より、各ガイド部材18、19は、搬送路65の少なくとも一部を形成している。直線部34は、記録部24が配置されている位置では所定間隔を隔てて互いに対向する記録部24とプラテン42とによって形成されている。
【0032】
給送トレイ20に支持された記録用紙12は、給送ローラ25によって湾曲部33を下方から上方へUターンするように搬送されて後述する搬送ローラ対59に到達する。搬送ローラ対59に挟持された記録用紙12は、直線部34を記録部24へ向けて前後方向8に搬送される。記録部24の直下に到達した記録用紙12は、記録部24により画像を記録される。画像記録が行われた記録用紙12は、直線部34を前後方向8に搬送されて排出トレイ21に排出される。以上より、記録用紙12は、図2に一点鎖線の矢印で示される搬送向き15に沿って搬送される。
【0033】
外側ガイド部材18は、下部に形成された軸48を中心として、矢印66の方向に回動可能に構成されている。外側ガイド部材18は、図2に実線で示される位置に位置する第1状態のときに湾曲部33の湾曲外側を形成し、図2に破線で示される位置に位置する第2状態のときに湾曲部33を外部に露出させる。複合機10のユーザは、外側ガイド部材18を第1状態から第2状態に状態変化させることにより、湾曲部33に詰まった記録用紙12を取り出すことができる。
【0034】
なお、外側ガイド部材18は、回動以外によって状態変化してもよい。例えば、外側ガイド部材18は、プリンタ部11に対して着脱可能に構成されていてもよい。この場合、外側ガイド部材18は、プリンタ部11に取り付けられ且つ湾曲部33の湾曲外側を形成する第1状態と、プリンタ部11から取り外され且つ湾曲部33を外部に露出させる第2状態との間で状態変化する。
【0035】
[記録部24]
図2及び図3に示されるように、記録部24は、直線部34の上側に設けられている。記録部24の下側且つ記録部24と対向する位置には、プラテン42(本発明の支持部材の一例)が設けられている。
【0036】
本実施形態において、プラテン42は、前後方向8及び左右方向9の長さが上下方向7の長さよりも長い平板形状の部材である。図4及び図5に示されるように、プラテン42は、その上面に、左右方向9に間隔を空けて複数配置され且つ前後方向8に延接されたリブ76を備え、当該リブ76の上端によって搬送路65の直線部34を搬送される記録用紙12を支持する。なお、プラテン42は、記録用紙12を支持可能であるならば、平板形状でなくてもよい。
【0037】
図2に示されるように、記録部24は、キャリッジ40と記録ヘッド38とを備えている。キャリッジ40は、前後方向8に間隔を空けて配置された2つのガイドレール56、57によって左右方向9へ往復移動可能に支持されている。なお、キャリッジ40は、キャリッジ駆動用モータ103(図9参照)から駆動力を付与されることにより移動する。記録ヘッド38は、キャリッジ40に搭載されている。記録ヘッド38には、インクカートリッジ(不図示)からインクが供給される。記録ヘッド38の下面には、ノズル39が形成されている。キャリッジ40が左右方向9に移動しているときに、記録ヘッド38は、ノズル39からインク滴をプラテン42に向けて吐出する。これにより、搬送向き15に搬送されてプラテン42に支持された記録用紙12に画像が記録される。
【0038】
図2及び図3に示されるように、搬送向き15におけるノズル39よりも上流側には、押さえ部材41が配置されている。図4に示されるように、押さえ部材41は、左右方向9において、プラテン42に形成された隣り合うリブ76、つまり一対のリブ76の間に配置されている。図2に示されるように、押さえ部材41の基端側は、ガイドレール56に取り付けられている。一方、押さえ部材41の先端側は、搬送向き15におけるノズル39及び後述する搬送ローラ対59の間において、直線部34を搬送される記録用紙12の上面と当接する。これにより、記録用紙12は、左右方向9に連続する波形状にされる。なお、押さえ部材41の下端とプラテン42のリブの上端との高さ関係は、記録用紙12に上記波形状を付与可能な関係である。以上より、押さえ部材41は、一対のリブ76と協同して記録用紙12に波形状を付与する。
【0039】
[搬送ローラ対59及び排出ローラ対44]
図2及び図3に示されるように、搬送路65の直線部34における記録部24の記録ヘッド38及びプラテン42よりも搬送向き15の上流側には、搬送ローラ対59(本発明の搬送部の一例)が配置されている。直線部34における記録部24の記録ヘッド38よりも搬送向き15の下流側には、排出ローラ対44が配置されている。
【0040】
搬送ローラ対59は、直線部34の下側に配置された搬送ローラ60と、直線部34の上側に搬送ローラ60と対向して配置されたピンチローラ61とを備えている。搬送ローラ60は、左右方向9に延びた中空且つ円柱状の部材である。搬送ローラ60は、左右方向9において搬送路65の直線部34の両外側に配置された一対のサイドフレーム55(図4及び図5参照)によって、回転可能に支持されている。ピンチローラ61は、左右方向9に間隔を空けて複数設けられている。ピンチローラ61は、弾性部材によって搬送ローラ60に押圧されている。
【0041】
排出ローラ対44は、直線部34の下側に配置された排出ローラ62と、直線部34の上側に排出ローラ62と対向して配置された拍車63とを備えている。排出ローラ62は、左右方向9に延びた軸64と、左右方向9に間隔を空けて軸64を覆うように取り付けられたローラ部58とを備えている。拍車63は、左右方向9に間隔を空けて複数設けられている。各拍車63は、排出ローラ62のローラ部58と対向する位置に設けられている。拍車63は、弾性部材によって排出ローラ62のローラ部58に押圧されている。
【0042】
搬送ローラ60及び排出ローラ62は、搬送用モータ102(図9参照)から駆動力が伝達されて回転する。搬送ローラ対59に記録用紙12が挟持されている状態で搬送ローラ60が回転すると、当該記録用紙12は、搬送ローラ対59によってプラテン42上に、つまり搬送向き15に搬送される。また、排出ローラ対44に記録用紙12が挟持されている状態で排出ローラ62が回転すると、当該記録用紙12は、排出ローラ対44によって搬送向き15に搬送される。
【0043】
[拍車77]
図2及び図3に示されるように、搬送路65の直線部34における記録部24よりも搬送向き15の下流側、且つ直線部34における排出ローラ対44よりも搬送向き15の上流側には、拍車77が配置されている。拍車77の最下端は、記録ヘッド38の最下端よりも下方に位置している。
【0044】
図4図7に示されるように、拍車77は、直線部34における搬送向き15である前後方向8と直交する左右方向9(本発明の幅方向の一例)に間隔を空けて複数配置されている。
【0045】
図7に示されるように、各拍車77は、拍車ホルダ78によって回転可能に支持、つまり軸支されている。拍車ホルダ78は、前後方向8及び左右方向9に拡がった板部79と、板部79の下面から下向きに立設され且つ拍車77を回転可能に支持する軸支部80とを備えている。板部79と軸支部80とは、一体に形成されている。軸支部80は、左右方向9に間隔を空けて複数配置されており、所定個数(本実施形態では4個)が一組として一つの拍車77を軸支している。
【0046】
各拍車77は、軸支部80によって支持された状態において、少なくともその下側部分が直線部34に対して露出している。これにより、直線部34を搬送される記録用紙12の上面と当接可能である。
【0047】
板部79は、以下に詳述するように、ガイドレール57の下側からガイドレール57と係合している。図4図5、及び図8に示されるように、板部79の上面の前端部及び後端部の各々には、左右方向9に間隔を空けて複数の突起81、75が形成されている。各突起81、75は、その突出先端部において、屈曲している。一方、ガイドレール57における各突起81、75と対応する位置には、各突起81、75が挿通可能な開口(不図示)が形成されている。そして、各突起81、75が当該開口に挿通された後に板部79が左右方向9に移動されることによって、板部79はガイドレール57に係合される(図3参照)。以上のようにして、拍車ホルダ78はガイドレール57に取り付けられる。
【0048】
[当接部材82]
図6及び図7に示されるように、拍車ホルダ78の板部79には、板部79の下面から下向きに立設された当接部材82が形成されている。当接部材82と板部79とは、一体に形成されている。当接部材82は、直線部34を搬送される記録用紙12の上面と当接可能である。当接部材82は、左右方向9において、隣り合う拍車77の間に配置されている。本実施形態において、当接部材82は、左右方向9に間隔を空けて2つ形成されている。なお、当接部材82の左右方向9における位置については、後に詳細に説明する。
【0049】
図8に示されるように、当接部材82の最下端83の上下方向7における位置85は、拍車77の最下端84の上下方向7における位置86よりも上方に位置している。また、当接部材82の最下端83は、拍車77の最下端84よりも搬送向き15の下流側に位置している。
【0050】
また、図7に示されるように、当接部材82における最下端83よりも搬送向き15の上流側には、傾斜面87が形成されている。傾斜面87は、前側が後側よりも下方に位置するように傾斜している。傾斜面87の前端部は、上下方向7において、当接部材82の最下端83の近傍に位置している。つまり、傾斜面87は、当接部材82の最下端83に向かって傾斜している。また、上述したように、当接部材82の最下端83は、拍車77の最下端84よりも上方に位置している。つまり、傾斜面87は、拍車77の最下端84に向かって傾斜している。
【0051】
なお、本実施形態において、当接部材82は、図7に示されるように、左右両端部が左右方向9における中央部よりも突出している。よって、傾斜面87も、左右両端部が左右方向9における中央部よりも突出している。
【0052】
また、当接部材82は、左右方向9に沿って所定長に亘って延設されている。ここで、所定長は、本実施形態において、25mmである。また、左右方向9において、当接部材82が配置されている位置は、図6に示されるように、給送トレイ20が記録用紙12を支持する際の基準位置である搬送路65の直線部34の左右方向9における中央位置88から、左右方向9の外側に40mm〜65mmの範囲74である。
【0053】
ここで、上述した給送トレイ20の底板22(図2参照)は、日本工業規格(Japanese Industrial Standards:JIS)に対応した封筒を支持可能である。JISに対応した封筒が搬送路65を搬送された場合、当該封筒がいずれの種類であったとしても、左右方向9における端部は、上記基準位置から左右方向9の外側に45mm〜60mmの範囲となる。よって、JISに対応した封筒が搬送路65の直線部34を搬送されている場合、当接部材82は、当該封筒の上面の左右方向9における端と当接可能である。
【0054】
図6に示されるように、本実施形態において、当接部材82は、左右方向9において、中央位置88に対して対称な位置に配置されている。また、本実施形態において、上述した押さえ部材41は、7個設けられている。そして、7個の押さえ部材41A〜41Gのうち、左右方向9の中央に配置された押さえ部材41Aの除く6個は、当該押さえ部材41Aに対して、換言すると中央位置88に対して、左右方向9に対称な位置に配置されている。そして、互いに左右方向9において押さえ部材41Aに対して対称な押さえ部材41B、41Cは、左右方向9において当接部材82の内側近傍に配置されている。詳細には、押さえ部材41B、41Cは、左右方向9において当接部材82の内側近傍に配置されている拍車77に対応する位置に配置されている。
【0055】
もちろん、当接部材82が3つ以上設けられている場合に、押さえ部材41D〜41Gも、押さえ部材41B、41Cと同様に、左右方向9において当接部材82の内側近傍に配置されていてもよい。以上より、押さえ部材41の少なくとも一つは、左右方向9において、当接部材82の両側において隣り合う拍車77のうち当接部材82よりも中央側に位置する拍車77に対応して配置されている。
【0056】
[検知部]
検知部は、搬送路65を搬送される記録用紙12の搬送向き15における位置を検知するものである。本実施形態において、検知部は、図2に示されるセンサ160とロータリーエンコーダ153とを備えている。
【0057】
図2に示されるように、センサ160は、搬送路65における搬送ローラ対59よりも搬送向き15の上流側に設けられている。なお、センサ160は、搬送路65における上記位置以外の位置に設けられていてもよい。また、プリンタ部11に設けられるセンサ160の個数は1つに限らず、複数設けられていてもよい。
【0058】
本実施形態において、センサ160は、軸161と、当該軸161を中心に回動可能な検出子162と、発光素子及び当該発光素子から発光された光を受光する受光素子を有する光学センサ163とを備えている。検出子162の一端は、搬送路65の湾曲部33に突出している。検出子162の一端に外力が加えられていないとき、検出子162の他端は光学センサ163の発光素子から受光素子に至る光路に進入して、当該光路を通る光を
遮断している。このとき、光学センサ163から後述する制御部130にローレベルの信号が出力される。検出子162の一端が記録用紙12の先端に押されて回転すると、検出子162の他端は上記光路から外れて、上記光路に光が通る。このとき、光学センサ163から後述する制御部130にハイレベルの信号が出力される。以上より、センサ160は、記録用紙12の搬送向き15の上流端及び下流端を検知する。
【0059】
ロータリーエンコーダ153は、搬送ローラ60に設けられている。ロータリーエンコーダ153は、搬送ローラ60が回転することにより、パルス信号を発生する。なお、ロータリーエンコーダ153は、搬送ローラ60以外のローラ、例えば排出ローラ62に設けられていてもよい。
【0060】
ロータリーエンコーダ153は、搬送ローラ60に設けられて搬送ローラ60と共に回転するエンコーダディスク154と、光学センサ152とを備える。エンコーダディスク154には、光が透過される透過部と光が透過されない非透過部とが円周方向に等ピッチで交互に配置されるようにして形成されている。エンコーダディスク154が回転すると、光学センサ152によって透過部と非透過部とが検出される毎にパルス信号が生成される。生成されたパルス信号は、制御部130に出力される。以上より、ロータリーエンコーダ153は、搬送ローラ60の回転量を検知する。
【0061】
制御部130は、センサ160及びロータリーエンコーダ153から出力された信号に基づいて、搬送される記録用紙12の位置を特定する。例えば、本実施形態において、制御部130は、センサ160による記録用紙12の搬送向き15の下流端の検知のタイミング以後の搬送ローラ60の回転量によって、記録用紙12の搬送向き15の下流端の現在位置を特定する。以上より、検知部の機能は、センサ160、ロータリーエンコーダ153、及び制御部130によって実現される。
【0062】
なお、検知部は、搬送される記録用紙12の搬送向き15における位置を特定することが可能であるならば、上述したようなものに限らない。例えば、検知部は、記録用紙12が給送トレイ20から給送開始されてからの経過時間に基づいて、搬送される記録用紙12の位置を特定するものであってもよい。
【0063】
[制御部130]
以下、図9が参照されて、制御部130の概略構成が説明される。制御部130は、複合機10の全体動作を制御するものである。制御部130は、CPU131、ROM132、RAM133、EEPROM134、ASIC135、及びこれらを相互に接続する内部バス137を備えている。
【0064】
ROM132には、CPU131が記録制御を含む各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域として使用される。EEPROM134には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。
【0065】
ASIC135には、搬送用モータ102及びキャリッジ駆動用モータ103が接続されている。ASIC135には、各モータを制御する駆動回路が組み込まれている。CPU131から所定のモータに応じた駆動回路に各モータを回転させるための駆動信号が入力されると、駆動信号に応じた駆動電流が駆動回路から対応するモータへ出力される。これにより、対応するモータが回転する。つまり、制御部130は、各モータ102、103を制御する。
【0066】
また、ASIC135には、センサ160の光学センサ163及びロータリーエンコー
ダ153の光学センサ152から出力される信号が入力される。制御部130は、上述したように、搬送ローラ60の回転量と、センサ160の配置位置における記録用紙12の搬送向き15の下流端及び上流端の検知タイミングとに基づいて、搬送される記録用紙12の搬送向き15の上流端及び下流端の位置を特定する。
【0067】
また、ASIC135には、圧電素子101が接続されている。ここで、圧電素子101は、記録部24に設けられている。圧電素子101は、プリンタ部11に設けられておりインクが貯留されるインクカートリッジ(不図示)と、記録ヘッド38におけるノズル39とを繋ぐインク流路に配置されている。圧電素子101は、インク流路を変形させることでノズル39からインク滴を吐出させる。圧電素子101は、不図示のドライブ回路を介して制御部130により給電されることで動作する。制御部130は、圧電素子101への給電を制御し、ノズル39からインク滴を吐出させる。
【0068】
つまり、制御部130は、キャリッジ40の移動とノズル39からのインク滴の吐出とを制御することで記録部24を制御する。
【0069】
制御部130は、搬送される記録用紙12の搬送向き15の先端部(下流端部)が拍車77または当接部材82の下端位置に到達したことがロータリーエンコーダ153及びセンサ160からの入力信号に基づいて検知されたことを条件として、記録部24を制御して、記録用紙12への画像記録を開始する。
【0070】
以下に詳述する。制御部130は、上記条件を具備すると、キャリッジ駆動用モータ103を制御してキャリッジ40を主走査方向(左右方向9)に移動させながら、圧電素子101への給電を制御してノズル39からインク滴を吐出させ、記録用紙12へ画像を記録する。以後、制御部130は、搬送ローラ対59及び排出ローラ対44に所定改行幅分の記録用紙12の搬送及び停止を交互に繰り返す間欠搬送を実行させる。制御部130は、間欠搬送において記録用紙12の搬送が停止されている間に、記録用紙12へ画像を記録する。制御部130は、記録用紙12への画像記録が完了するまで、上記の間欠搬送と画像記録を繰り返し実行する。
【0071】
[実施形態の効果]
本実施形態によれば、当接部材82は、左右方向9に沿って延設されている。よって、左右方向9において多種多様なサイズの記録用紙12の端部が密集する位置に当接部材82が配置されることによって、いずれのサイズの記録用紙12が搬送された場合であっても、当接部材82は当該記録用紙12の端部を押さえることができる。また、当接部材82は、隣り合う拍車77の間において左右方向9に沿って延設されて配置されている。つまり、ある記録用紙12の左右方向9における端部が当接部材82と当接する場合、当該記録用紙12の左右方向9における端部は、左右方向9において拍車77から一定の距離を隔てている。そのため、当該記録用紙12の左右方向9における端部が拍車77に引っかかる可能性を低くすることができる。
【0072】
また、本実施形態によれば、浮き上がる記録用紙12は、当接部材82と当接するよりも先に下方に位置する拍車77と当接する。これにより、記録用紙12に付着したインク滴が当接部材82に付着する可能性を低くすることができる。
【0073】
また、本実施形態によれば、搬送向き15に搬送される記録用紙12は、当接部材82と当接するよりも先に搬送向き15の上流側に位置する拍車77と当接する。これにより、記録用紙12に付着したインク滴が当接部材82に付着する可能性を低くすることができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、当接部材82に当接した記録用紙12を傾斜面87に沿って当接部材82の最下端83へ誘導することができる。
【0075】
また、JISに対応した封筒の殆どは、短手方向の長さが90mmから120mmの範囲に密集している。よって、記録用紙12が左右方向9の中央を基準として位置合わせされる複合機10において、JISに対応した多種類の封筒が複合機10内を搬送された場合、それらの左右方向9における端部は、基準位置から左右方向9の外側に45mm〜60mmの範囲となる。つまり、本構成によれば、当接部材82の左右方向9における位置は、基準位置から左右方向9の外側に40mm〜65mmの範囲であるため、JISに対応した殆どの種類の封筒の左右方向9における端部と当接することができる。その結果、本構成によれば、JISに対応した殆どの封筒の左右方向9における端部の浮き上がりを抑制することができる。
【0076】
また、本実施形態によれば、押さえ部材41は記録用紙12を上面から押さえるため、記録用紙12において押さえ部材41に当接された位置の左右方向9における両側は、浮き上がりやすい。本実施形態によれば、この浮き上がりやすい当該両側に相当する位置には当接部材82が配置されているため、記録用紙12の浮き上がりを抑制することができる。
【0077】
また、本実施形態によれば、記録用紙12への画像記録は、当該記録用紙12の搬送向き15の先端が拍車77または当接部材82の最下端84、83の位置に到達してから開始されるため、記録用紙12への画像記録中に当該記録用紙12の搬送向き15の先端がインク滴の付着などの要因によって上方へ反ろうとしても、当該記録用紙12の反りを拍車77または当接部材82によって抑制することができる。
【0078】
[変形例1]
上述の実施形態では、複合機10は、給送トレイ20に載置された記録用紙12を、左右方向9の中央を基準として位置決めするように構成されていたが、複合機10は、給送トレイ20に載置された記録用紙12を、給送トレイ20の底板22の左右方向9における左端または右端から立設された側板(不図示)を基準として位置決めするように構成されていてもよい。このような位置決めは、例えば、給送トレイ20に設けられる左右方向9に移動可能なサイドガイドを、一対ではなくて一つだけ設けることによって実現される。
【0079】
[変形例2]
当接部材82が搬送される記録用紙12の上面の左右方向9における端と当接可能であるならば、当接部材82の個数、延設長、位置は、上述の実施形態における個数、延設長、位置に限らない。つまり、上述の実施形態では、当接部材82は、左右方向9に間隔を空けて2つ形成されていたが、当接部材82は、1つのみ形成されていてもよいし、3つ以上形成されていてもよい。また、上述の実施形態では、当接部材82は、左右方向9に沿って25mmに亘って延設されていたが、当接部材82の延設範囲は25mmに限らない。また、上述の実施形態では、当接部材82の左右方向9における位置は、中央位置88から左右方向9の外側に40mm〜65mmの範囲であったが、当該範囲に限らない。
【0080】
例えば、変形例1のように、複合機10が、給送トレイ20に載置された記録用紙12を、給送トレイ20の底板22の左右方向9における左端または右端から立設された側板を基準として位置決めするように構成されている場合、当接部材82の個数、延設長、及び左右方向9における位置を以下のようにすることが好ましい。
【0081】
つまり、本例の場合、当接部材82は、1つ設けられている。また、当接部材82は、
左右方向9に沿って50mmに亘って延設されている。また、当接部材82の左右方向9における位置は、給送トレイ20が記録用紙12を支持する際の基準位置(給送トレイ20の底板22の左右方向9における左端または右端から立設された側板の右面または左面)から、左右方向9の中央側(左右方向9の反対側の端部)に向けて80mm〜130mmの範囲である。
【0082】
ここで、複合機10が、給送トレイ20に載置された記録用紙12を、給送トレイ20の底板22の左右方向9における左端または右端から立設された側板を基準として位置決めするように構成されている場合において、JISに対応した封筒が搬送路65を搬送された場合、当該封筒がいずれの種類であったとしても、それらの左右方向9における端部は、上記基準位置から左右方向9の中央側に80mm〜130mmの範囲内となる。よって、JISに対応した封筒が搬送路65の直線部34を搬送されている場合、当接部材82は、当該封筒の上面の左右方向9における端と当接可能である。
【0083】
JISに対応した封筒の殆どは、短手方向の長さが90mmから120mmの範囲に密集している。よって、記録用紙12が左右方向9の端を基準として位置合わせされる複合機10において、JISに対応した封筒が複合機10内を搬送された場合、それらの左右方向9における端部は、基準位置から左右方向9の中央側に90mm〜120mmの範囲となる。つまり、本実施形態によれば、当接部材82の左右方向9における位置は、基準位置から左右方向9の中央側に80mm〜130mmの範囲であるため、JISに対応した殆どの種類の封筒の左右方向9における端部と当接することができる。その結果、変形例2によれば、JISに対応した殆どの封筒の左右方向9における端部の浮き上がりを抑制することができる。
【符号の説明】
【0084】
10・・・複合機
12・・・記録用紙
15・・・搬送向き
24・・・記録部
39・・・ノズル
42・・・プラテン
59・・・搬送ローラ対
77・・・拍車
82・・・当接部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9