(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記遅延制御部は、前記冷凍機の運転が開始されてからの経過時間(Timer)が所定時間(TMth)を上回ると前記空気が前記冷凍機によって除湿されたと判定する時間判定部(58)を備える請求項2に記載の車両用空調制御装置。
前記時間判定部は、前記曇り判定部による曇りの判定の前における前記冷凍機の運転を含む前記冷凍機の運転が開始されてからの経過時間が前記所定時間(TMth)を上回ると前記空気が前記冷凍機によって除湿されたと判定するように構成されている請求項3に記載の車両用空調制御装置。
前記曇り判定部は、第1閾値(FGcmp)に基づいて、前記冷凍起動部のための曇りの判定を実行し、前記第1閾値よりも濃い曇りを示す第2閾値(FGdef)に基づいて、前記吹出切替部のための曇りの判定を実行するように構成されている請求項2から請求項6のいずれかに記載の車両用空調制御装置。
前記吹出切替部は、前記他の吹出モードにおける吹出口(33、34)からの空気の吹き出しを遮断して、前記DEF吹出口(32)だけから空気を吹き出す前記DEFモードへ切り替えるように構成されている請求項1から請求項8のいずれかに記載の車両用空調制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的におよび/または構造的に対応する部分および/または関連付けられる部分には同一の参照符号、または百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分および/または関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。
【0014】
(第1実施形態)
図1において、車両用空調装置1は、乗員のための室を有する車両に搭載されている。車両用空調装置1は、室内に向けて空調のための空気を供給する。車両用空調装置1は、室内の暖房、換気、および冷房を提供する。車両用空調装置1は、HVAC装置とも呼ばれる。
【0015】
車両には、窓2が設けられている。窓2は、透明のガラス板によって提供されている。窓2は、室内の湿度によって曇ることがある。車両用空調装置1は、室内の空調のための装置として機能する。さらに、車両用空調装置1は、窓2の曇りを抑制する曇り制御を実行する曇り制御装置としても機能する。車両用空調装置1は、空調機能と、曇り抑制機能とを提供する。車両用空調装置1は、利用者が許容する場合、および/または車両の利用状態に基づいて制御装置が自動的に許容する場合には、空調機能に優越して曇り抑制機能を活性化させる。この曇り抑制機能は、自動DEF制御とも呼ばれる。
【0016】
ここで、曇り制御は、曇りの予防、曇りの増加阻止、および曇りの除去の少なくともひとつを提供する。曇りの抑制の語は、予防、増加阻止、および除去の少なくともひとつを含む。望ましい実施形態では、曇り制御は、窓2に曇りが発生した後の、曇り増加阻止と、曇りの除去とを提供する。
【0017】
車両用空調装置1は、車両の室内に向けて空気が流される空調ダクト11を有する。車両用空調装置1は、内外気切替装置12を有する。内外気切替装置12は、室外の新鮮空気FRSおよび室内の循環空気RCLを、選択的に、または混合して、空調ダクト11内に導入する。内外気切替装置12は、空調ダクト11の上流端に設けられている。車両用空調装置1は、送風機13を有する。送風機13は、空調ダクト11内に、室内に向かう空気流を生成させる。送風機13は、内外気切替装置12の下流に設けられている。
【0018】
車両用空調装置1は、冷凍機15を有する。冷凍機15は、空気を冷却する冷房機として機能する。冷凍機15は、空気を除湿する除湿機としても機能する。冷凍機15は、空調ダクト11内の空気を冷却し除湿する。冷凍機15は、後述のDEF吹出口32から吹き出されるべき空気を除湿する装置でもある。冷凍機15は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルによって提供されている。冷凍機15は、冷媒が流れる閉回路を有する。閉回路には、少なくとも低温側熱交換器16、圧縮機(CMP)17、高温側熱交換器18、および減圧器19が設けられている。
【0019】
低温側熱交換器16は、空調ダクト11内に設けられている。低温側熱交換器16は、空調ダクト11内を流れる空気のすべてと熱交換するように、空調ダクト11を横切るように設けられている。低温側熱交換器16は、送風機13の下流に設けられている。低温側熱交換器16は、蒸発器または吸熱器とも呼ばれる。低温側熱交換器16は、空調ダクト11内の空気と低温冷媒との間の熱交換を提供することによって空気を冷却する。低温側熱交換器16は、空気を冷却することによってその空気の除湿を実行する。
【0020】
圧縮機17は、低温側熱交換器16の冷媒出口側に設けられている。圧縮機17は、低圧冷媒を吸引し、低圧冷媒を加圧し、高圧冷媒を吐出する。圧縮機17は、車両に搭載されたエンジンによって駆動されるエンジン駆動圧縮機、または電動モータによって駆動される電動圧縮機である。圧縮機17は、固定容量型圧縮機または可変容量型圧縮機によって提供される。圧縮機17は、エンジンからの動力供給をクラッチによって断続することにより、圧縮容量を調節することにより、または電動機の回転数を調節することによって能力を調節可能である。
【0021】
以下の説明において、「圧縮機(コンプレッサ)17がON状態にある」は、圧縮機17が運転状態におかれていることを意味している。圧縮機17の能力を調節するために一時的に動力供給が遮断されている期間も、「圧縮機17がON状態にある」期間に含まれる。よって、「圧縮機17がON状態にある」は、冷凍機15が運転状態にあること、または活性化状態にあることに対応する。「圧縮機17がON状態にある」は、低温側熱交換器16が空気を冷却している状態にあること、または空気を除湿している状態にあることに対応する。
【0022】
高温側熱交換器18は、圧縮機17の冷媒出口側に設けられている。高温側熱交換器18は、室外の空気と高温冷媒との間の熱交換を提供することによって冷媒から放熱させる。高温側熱交換器18は、放熱器または凝縮器とも呼ばれる。減圧器19は、高温側熱交換器18と低温側熱交換器16との間に設けられている。減圧器19は、高温側熱交換器18を出た高温高圧の冷媒を減圧することにより低温低圧の冷媒を生成し、低温側熱交換器16に供給する。
【0023】
車両用空調装置1は、ヒータ21を有する。ヒータ21は、空調ダクト11の中に設けられている。ヒータ21は、低温側熱交換器16の下流側に設けられている。ヒータ21は、空調ダクト11内を流れる空気の一部と熱交換できるように、空調ダクト11の一部を占めるように設けられている。ヒータ21は、エンジンの冷却水を熱源とするヒータコア、ヒートポンプサイクルを熱源とする熱交換器、または電力によって加熱される熱交換器によって提供することができる。
【0024】
車両用空調装置1は、エアミックス装置22を有する。エアミックス装置22は、空調ダクト11の中に設けられている。エアミックス装置22は、ヒータ21のための通風路を流れる空気量を調節する。エアミックス装置22は、空調ダクト11内を流れる空気のうち、ヒータ21を通過する空気の割合を0−100%の範囲内で調節する。エアミックス装置22は、ヒータ21の上流側または下流側に設けられる空気制御ドアによって提供することができる。エアミックス装置22は、空調ダクト11内を流れる空気の温度を調節する温度調節手段である。温度調節手段は、ヒータ21による加熱量を調節する水量調節器、ヒートポンプ制御器、または電力制御器によって提供されてもよい。
【0025】
車両用空調装置1は、吹出口装置31を有する。吹出口装置31は、空調ダクト11の下流端、すなわち車室側の端部に設けられている。吹出口装置31は、車両用空調装置1から車室への空調空気の吹き出し状態であるところの複数の吹出モードを提供する。吹出口装置31は、複数の吹出モードを切り替える。
【0026】
吹出口装置31は、選択的に利用可能な複数の吹出口を有する。吹出口装置31は、DEF吹出口32、FACE吹出口33、およびFOOT吹出口34を有する。DEF吹出口32は、空調ダクト11内の空気を窓2に向けて吹き出し、供給する。FACE吹出口33は、空調ダクト11内の空気を室内の上部に向けて吹き出し、供給する。FACE吹出口33は、乗員の上半身に向けて空気を供給することを意図した吹出口である。FOOT吹出口34は、空調ダクト11内の空気を室内の下部に向けて吹き出し、供給する。FOOT吹出口34は、乗員の下半身、例えば足に向けて空気を供給することを意図した吹出口である。
【0027】
吹出口装置31は、吹出切替装置でもある。吹出口装置31は、空調ダクト11から室内への吹出モードを、後述のDEFモードと他の吹出モードとの間で選択的に切り替える。吹出口装置31は、複数の吹出口の選択的な利用を可能とするための切替機構を有する。切替機構は、複数の吹出口を少なくとも選択的に、一部では同時的に開閉するドア機構によって提供される。吹出口装置31は、複数のドアを有する。吹出口装置31は、DEF吹出口32を開閉するDEFドア35を有する。吹出口装置31は、FACE吹出口33を開閉するFACEドア36を有する。吹出口装置31は、FOOT吹出口34を開閉するFOOTドア37を有する。
【0028】
切替機構は、連動機構(LNK)38を有する。切替機構は、単一の駆動装置(MT)39を有する。駆動装置39は、サーボモータによって提供することができる。連動機構38は、DEFドア35、FACEドア36、FOOTドア37を連動的に駆動する。連動機構38は、ギヤ機構、リンク機構、および/またはカム機構によって提供される。連動機構38は、駆動装置39によって複数のドアを駆動することを可能とする。
【0029】
連動機構38は、少なくともDEFモード、FACEモード、FOOTモードを提供するように複数のドアを駆動する。DEFモードでは、DEF吹出口32だけが開かれる。FACEモードでは、FACE吹出口33だけが開かれる。FOOTモードでは、FOOT吹出口34だけが開かれる。連動機構38は、バイレベルモードを提供してもよい。バイレベルモードでは、FACE吹出口33と、FOOT吹出口34との両方が開かれる。連動機構38は、FOOT−DEFモードを提供してもよい。FOOT−DEFモードでは、DEF吹出口32と、FOOT吹出口34との両方が開かれる。
【0030】
切替機構は、DEF吹出口32だけを独立して開閉することができない。言い換えると、切替機構は、DEFドア35だけを独立して駆動することができない。切替機構は、任意のモードにおいて、DEF吹出口32から空気を同時的に供給する機能をもたない。切替機構は、夏季において多く利用されるFACEモードおよび/またはバイレベルモードにおいて、DEFドア35を同時的に全開状態に駆動することができない構成である。このような切替機構を備える吹出口装置31は、吹出モードを維持したままDEF吹出を併用できない装置とも呼ばれる。言い換えると、吹出口装置31は、DEF吹出口32の独立した開閉ができない装置とも呼ばれる。
【0031】
切替機構は、多様な機構によって提供可能である。例えば、DEFドア35、FACEドア36、FOOTドア37のうちの2つをひとつのドアによって提供してもよい。また、切替機構は、DEF吹出口32、FACE吹出口33、およびFOOT吹出口34を所定のパターンにしたがって開閉する単一のドアによって提供されてもよい。例えば、複数の吹出口を開閉するスライドドア、またはロータリードアを利用することができる。
【0032】
車両用空調装置1は、制御システムを備える。制御システムは、車両用空調装置1の構成要素を制御する。制御システムは、車両用空調制御装置としての制御装置(ECU)41を有する。制御システムは、複数の検出器42、43、44を有する。制御システムは、窓2の内面における湿度を検出するための湿度検出器(RHDS)42を有する。湿度検出器42は、窓2の内面上における相対湿度RHDを検出する。相対湿度RHDは、窓2の内面における曇りの発生しやすさを示す指標として利用される。制御システムは、室内の温度Tinを検出する内気温検出器(TNSS)43を備えることができる。制御システムは、室外の温度Tamを検出する外気温検出器(TMBS)44を備えることができる。内気温Tinと外気温Tamとは、窓2の内面における曇りの発生しやすさを示す指標として、または補助的な指標として利用することができる。制御システムは、少なくとも圧縮機17および吹出口装置31のための駆動装置39を制御する。
【0033】
制御装置41は、電子制御装置(Electronic Control Unit)である。制御装置41は、少なくともひとつの演算処理装置(CPU)と、プログラムとデータとを記憶する記憶媒体としての少なくともひとつのメモリ装置(MMR)とを有する。制御装置41は、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を備えるマイクロコンピュータによって提供される。記憶媒体は、コンピュータによって読み取り可能なプログラムを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体である。記憶媒体は、半導体メモリまたは磁気ディスクなどによって提供されうる。制御装置は、ひとつのコンピュータ、またはデータ通信装置によってリンクされた一組のコンピュータ資源によって提供されうる。プログラムは、制御装置によって実行されることによって、制御装置をこの明細書に記載される装置として機能させ、この明細書に記載される方法を実行するように制御装置を機能させる。
【0034】
制御システムは、制御装置41に入力される情報を示す信号を供給する複数の信号源を入力装置として有する。制御システムは、制御装置41が情報をメモリ装置に格納することにより、情報を取得する。制御システムは、制御装置41によって挙動が制御される複数の制御対象物を出力装置として有する。制御システムは、メモリ装置に格納された情報を信号に変換して制御対象物に供給することにより制御対象物の挙動を制御する。
【0035】
制御システムに含まれる制御装置41と信号源と制御対象物とは、多様な要素を提供する。それらの要素の少なくとも一部は、機能を実行するためのブロックと呼ぶことができる。別の観点では、それらの要素の少なくとも一部は、構成として解釈されるモジュール、またはセクションと呼ぶことができる。さらに、制御システムに含まれる要素は、その機能を実現する手段ともよぶことができる。
【0036】
制御システムが提供する手段および/または機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェアおよびそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供することができる。例えば、制御装置がハードウェアである電子回路によって提供される場合、それは多数の論理回路を含むデジタル回路、またはアナログ回路によって提供することができる。
【0037】
制御装置41は、手動制御部(MNLS)51と、自動制御部(ATCS)52と、自動DEF制御部(ADFS)53とを有する。手動制御部51は、利用者が選択する空調モードを実現するように、利用者から入力される指令に応答して車両用空調装置1を制御する。例えば、手動制御部51は、利用者がスイッチによって選択した吹出モードを実現するように駆動装置39を制御する。自動制御部52は、利用者が自動モードを選択する場合に、車両用空調装置1を自動的に制御する。自動制御部52は、快適な空調状態を提供するように車両用空調装置1を自動制御する。自動DEF制御部53は、窓2の内面における曇りを抑制するための曇り制御を実行する。例えば、自動制御部52は、暖房が提供されるときには、FOOTモードを実現するように駆動装置39を制御する。
【0038】
自動DEF制御部53は、一定の条件が満たされる時に、自動的に曇り制御を実行する。自動DEF制御部53は、一定の条件が満たされる時に、手動制御部51および自動制御部52に優越して自動的に曇り制御を実行する。すなわち、自動DEF制御部53は、一定の条件が満たされる時に、手動制御部51および自動制御部52による空調制御を無効化して自動的に曇り制御を実行する。
【0039】
自動DEF制御部53が活性化される一定の条件としては、(1)利用者が曇り制御を許可していること、(2)圧縮機17の動力源の利用が許可されていること、(3)最大冷房など優先状態にないことなどの条件のすべてが利用される。これに代えて、上記(1)−(3)の条件の少なくともひとつを利用してもよい。
【0040】
自動DEF制御部53は、手動制御部51または自動制御部52に優越して自動的に曇り制御を実行した後に、その前に活性化されていた制御部による制御へ復帰させる。例えば、手動制御部51による制御状態において自動DEF制御部53による曇り制御が実行された場合、自動DEF制御部53による曇り制御が終了した後に、手動制御部51による制御状態に復帰する。
【0041】
自動DEF制御部53は、曇り判定部(MSTS)54を有する。曇り判定部54は、車両の窓2の曇りを判定する。言い換えると、曇り判定部54は、窓2の内面に所定の濃さを上回る曇りが発生するか否かを判定する。曇り判定部54は、湿度検出器42によって検出される室内の湿度に基づいて、窓2の内面に曇りが発生するか否かを判定する。曇り判定部54は、窓2に曇りが発生することを肯定判定すると、曇り制御を活性化する。
【0042】
自動DEF制御部53は、冷凍起動部(CMPS)55を有する。冷凍起動部55は、曇り判定部54による曇りの判定に応答して、冷凍機15の作動を開始させる。冷凍起動部55は、窓2の曇りが判定されると、圧縮機17をON状態に切り替えることによって、冷凍機15を起動する。冷凍起動部55は、曇りが判定される前から圧縮機17がON状態である場合には、ON状態を維持する。
【0043】
自動DEF制御部53は、吹出切替部(SWCS)56を有する。吹出切替部56は、DEF吹出口32から窓2に向けて空気を吹き出すDEFモードへ、車両の室内へ向けて空気を吹き出す他の吹出モードから切り替える。吹出切替部56は、曇り判定部54による曇りの判定に応答して、窓2の曇りが判定されると、吹出モードをDEFモードに切り替える。吹出切替部56は、他の吹出モードにおける吹出口33、34からの空気の吹き出しを遮断して、DEF吹出口32だけから空気を吹き出すDEFモードへ切り替えるように構成されている。
【0044】
自動DEF制御部53は、曇り制御を効果的に実行するための遅延制御部(DLYS)57を有する。遅延制御部57は、少なくとも吹出切替部56による吹出モードの切り替えを禁止または許容することによって、吹出切替部56を制御する。遅延制御部57は、圧縮機17が所定期間にわたって運転された後に、吹出モードをDEFモードに切り替えることを許容する。言い換えると、遅延制御部57は、吹出モードをDEFモードに切り替える前の所定期間にわたって冷凍機15を作動させる。これにより、空調ダクト11内の空気が低温側熱交換器16によって除湿される。このように、遅延制御部57は、DEF吹出口32から吹き出されるべき空気が冷凍機15によって除湿されるまで、吹出切替部56によるDEFモードへの切り替えを遅延する。このため、DEFモードへ切り替えられた直後にDEF吹出口32から窓2に向けて供給される空気は除湿された空気である。この結果、車両用空調装置1から供給される空気が窓2の曇りを助長することが回避される。
【0045】
遅延制御部57は、冷凍機15の作動が開始された後の時間を計測し、この時間が所定時間TMthを上回るか否かを判定する時間判定部(TMRS)58を有する。遅延制御部57は、圧縮機17の運転時間が所定時間TMthを上回るまでは、吹出切替部56によるDEFモードへの切り替えを禁止し、圧縮機17の運転時間が所定時間TMthを上回ると、吹出切替部56によるDEFモードへの切り替えを許容する。所定時間TMthは、DEF吹出口32から吹き出されるべき空気が冷凍機15によって除湿されるまでの時間として設定されている。時間判定部58は、冷凍起動部55によって冷凍機15の運転が開始されてからの経過時間を計測する。しかも、時間判定部58は、曇り判定部54による曇りの判定の前における冷凍機15の運転を含む冷凍機15の運転が開始されてからの経過時間を計測する。時間判定部58は、経過時間が、所定時間TMthを上回ると空気が冷凍機15によって除湿されたと判定するように構成されている。
【0046】
この構成では、吹出モードがDEFモードに切り替えられる前に、圧縮機17がON状態にされ、冷凍機15が運転状態におかれる。そして、圧縮機17の運転時間が所定時間TMthを上回る場合に吹出モードがDEFモードに切り替えられる。よって、車両用空調装置1から供給される空気が窓2の曇りを助長することが回避される。
【0047】
図2において、自動DEF制御部53を提供するための制御処理160が図示されている。制御処理160は、制御装置41によって実行される。制御処理160は、圧縮機17を駆動して冷凍機15を利用可能なシーン(例えば夏季)において実行される。ステップ161では、窓2の内面の上における相対湿度RHDが検出される。相対湿度RHDは、湿度検出器42によって計測され、制御装置41に入力された値である。これに代えて、外気温Tamと内気温Tinとから推定される窓2の内面温度と、室内空気の湿度とに基づいて、窓2の内面における相対湿度が計算されてもよい。
【0048】
ステップ162では、窓2に曇りが生じるか否かが判定される。この判定は、相対湿度RHDが曇りを示す閾値FGthを上回るか否かの判定(RHD>FGth)によって提供することができる。ステップ162は、曇り判定部54を提供する。この実施形態では、曇り判定部54は、同一の閾値FGthに基づいて、冷凍起動部55のための曇りの判定と、吹出切替部56のための曇りの判定とを実行する。窓2に曇りが発生すると判定されると、ステップ163に進む。
【0049】
ステップ163では、圧縮機17がOFF状態からON状態に切り替えられる。ステップ163は、冷凍起動部55を提供する。なお、ステップ163の前から圧縮機17がON状態である場合には、ON状態が保持される。これにより、空調ダクト11内の空気が冷却され、除湿される。
【0050】
ステップ164では、圧縮機17が起動されてからの経過時間Timerが、所定時間TMthを上回るか否かが判定される。ステップ164は、時間判定部58を提供する。所定時間TMthは、例えば10秒である。所定時間TMthは、低温側熱交換器16によって空調ダクト11内の空気が窓2の曇りを抑制する程度に除湿されるために必要な時間として設定される。
【0051】
経過時間Timerが所定時間TMthを上回らない場合、ステップ165へ進む。ステップ165では、現在の吹出モードが保持される。例えば、手動制御または自動制御によって提供される吹出モードが保持される。これにより、湿度が高い空気が窓2に向けて吹き出されることが阻止される。ステップ165の後、処理はステップ161へ戻る。
【0052】
経過時間Timerが所定時間TMthを上回る場合、ステップ166へ進む。ステップ166では、吹出モードがDEFモードへ切り替えられる。ステップ166は、吹出切替部56を提供する。これにより、DEF吹出口32から窓2に向けて除湿された空気が吹き出される。ステップ166の処理によって窓2の曇りが抑制される。ステップ166の後、処理はステップ161へ戻る。
【0053】
やがて、相対湿度RHDが閾値FGthを下回ると、ステップ167へ進む。ステップ167では、現在の吹出モードがDEFモードか否かが判定される。現在の吹出モードがDEFモードである場合、ステップ168へ進む。ステップ168では、制御処理160によるDEFモードが提供される前の作動モードへ戻される。ステップ168の後、処理はステップ161へ戻る。
【0054】
ステップ167において、現在の吹出モードがDEFモードではない場合、ステップ169へ進む。ステップ169では、圧縮機17がON状態にあるか否かが判定される。圧縮機17がON状態にある場合、ステップ171へ進む。ステップ171では、制御処理160によるON状態が提供される前の作動モードへ戻される。ステップ171の後、処理はステップ161へ戻る。ステップ169において、圧縮機17がON状態ではない場合、ステップ172へ進む。ステップ172では、現在の作動モードが保持される。ステップ172の後、処理はステップ161へ戻る。
【0055】
図3において、経過時間Timerを計測するためのタイマー処理190が図示されている。タイマー処理190は、時間判定部58の一部を提供する。ステップ191では、圧縮機17がOFF状態からON状態に切り替えられたか否かが判定される。圧縮機17がOFF状態からON状態に切り替えられると、ステップ192に進む。ステップ192では、経過時間Timerの計測が開始される。ステップ191における判定が否定的(NO)である場合、ステップ193に進む。ステップ193では、圧縮機17がON状態からOFF状態に切り替えられたか否かが判定される。圧縮機17がON状態からOFF状態に切り替えられると、ステップ194に進む。ステップ194では、経過時間Timerの計測が停止され、経過時間Timerがリセットされる。圧縮機17の運転状態に変化がないばあい、ステップ191とステップ193との両方で否定的な判定がなされ、タイマー処理190が繰り返される。
【0056】
タイマー処理190は、自動DEF制御による圧縮機17のON状態への切り替えだけでなく、他の制御によるON状態への切り替えにも応答して経過時間Timerを計測する。例えば、手動制御部51によって圧縮機17がON状態に切り替えられた場合にも、自動制御部52によって圧縮機17がON状態に切り替えられた場合にも、タイマー処理190は、経過時間Timerを計測する。
【0057】
制御処理160は、自動DEF制御部53によるDEFモードへの切り替え前における圧縮機17の運転継続時間を制御モードにかかわらず判定することができる。よって、自動DEF制御部53によって自動的にDEFモードに切り替えられる前には、所定時間TMth以上の圧縮機17、すなわち冷凍機15の運転が得られる。
【0058】
図4において車両用空調装置1の作動の一例が示されている。時刻t1の前において、車両用空調装置1は、手動制御部51または自動制御部52の制御下にある。このとき、自動DEF制御部53は、ステップ161、162、167、169、172の処理を繰り返すことによって待機状態にある。時刻t1において、相対湿度RHDが閾値FGthを上回ると、自動DEF制御部53は、窓2に所定の濃度を上回る曇りが生じている、または生じる可能性が高いと判定し、実質的な自動DEF制御を開始する。自動DEF制御部53は、時刻t1から、冷凍機15を運転するように、圧縮機17をOFF状態からON状態に切り替える(COMP−ON)。時刻t1の後に、所定時間TMthが経過すると、時刻t2において、自動DEF制御部53は、吹出モードをDEFモードに切り替える(DEF−ON)。
【0059】
時刻t2の後、DEF吹出口32から窓2に向けて乾燥した空気が供給され、曇りの増加阻止、または曇りの除去が提供される。ステップ162における閾値FGthが低い場合、曇りの予防が提供される。やがて相対湿度RHDが低下する。相対湿度RHDは、時刻t3において、閾値FGthを下回る。自動DEF制御部53は、時刻t3において、車両用空調装置1の運転状態を、時刻t1の前の運転モードに復帰させる。
【0060】
図4では、時刻t2においてDEFモードへの切り替えが実行される。しかし、手動制御部51または自動制御部52によって時刻t1の前から圧縮機17が運転状態におかれている場合、DEFモードへの切り替えは、時刻t1と時刻t2との間において実行される。この場合も、DEFモードへの切り替え前に、圧縮機17は所定時間TMthを上回る時間にわたってON状態を継続している。
【0061】
この実施形態によると、自動DEF制御が実行される場合には、冷凍機15が所定時間TMthを上回る時間にわたって継続的に運転された後に、DEFモードへの切り替えが実行される。よって、窓2に向かって乾燥した空気を供給することができる。しかも、圧縮機17が過度に長期間にわたって駆動されずにDEFモードへの切り替えが実行される。このため、曇りの抑制効果を改善しながら、圧縮機17を駆動するためのエネルギー消費の抑制を図ることができる。
【0062】
(第2実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、圧縮機17をOFF状態からON状態に切り替えるための閾値と、吹出モードをDEFモードに切り替えるための閾値とは、同じ閾値FGthである。これに代えて、圧縮機17をOFF状態からON状態に切り替えるための閾値と、吹出モードをDEFモードに切り替えるための閾値とに、異なる値を設定してもよい。
【0063】
図5に図示されるように、自動DEF制御部53を提供するための制御処理260は、ステップ162−163、167−172に代えて、ステップ275−284を有する。ステップ275、276、278−281は、圧縮機17をOFF状態からON状態に切り替えるための圧縮機制御部を提供する。ステップ277、282−284、164−166は、吹出モードをDEFモードに切り替えるための吹出装置制御部を提供する。
【0064】
ステップ275では、相対湿度RHDが第1閾値FGcmpを上回るか否かが判定される。相対湿度RHDが第1閾値FGcmpを上回る場合、ステップ276へ進む。ステップ276では、圧縮機17がOFF状態からON状態に切り替えられる。ステップ276は、冷凍起動部55を提供する。
【0065】
ステップ277では、相対湿度RHDが第2閾値FGdefを上回るか否かが判定される。相対湿度RHDが第2閾値FGdefを上回る場合、既述のステップ164へ進む。
【0066】
この実施形態では、ステップ275とステップ277とによって曇り判定部54が提供される。この実施形態の曇り判定部54は、第1閾値FGcmpに基づいて、冷凍起動部55のための曇りの判定を実行し、第1閾値FGcmpよりも濃い曇りを示す第2閾値FGdefに基づいて、吹出切替部56のための曇りの判定を実行するように構成されている。ステップ275は、第1判定部を提供する。ステップ277は、第2判定部を提供する。第1判定部は、窓2に曇りが発生するか否かを判定する。第2判定部は、第1判定部よりも高い可能性をもって窓2に曇りが発生するか否かを判定する。第1判定部と第2判定部とにおける曇りの可能性の差は、相対湿度の差として表すことができる。
【0067】
ステップ275において、相対湿度RHDが第1閾値FGcmpを上回っていない場合、ステップ278へ進む。ステップ278では、圧縮機17がON状態にあるか否かが判定される。圧縮機17がON状態にある場合、ステップ279へ進む。ステップ279では、前の制御モードへ戻る処理が実行される。圧縮機17がON状態にない場合、ステップ281へ進む。ステップ281では、現在の運転モードが保持される。
【0068】
ステップ277において、相対湿度RHDが第2閾値FGdefを上回っていない場合、ステップ282へ進む。ステップ282では、現在の吹出モードがDEFモードであるか否かが判定される。DEFモードである場合、ステップ283へ進む。ステップ283では、前の制御モードへ戻る処理が実行される。DEFモードにない場合、ステップ284へ進む。ステップ284では、現在の運転モードが保持される。
【0069】
図6において車両用空調装置1の作動の一例が示されている。時刻t1の前において、自動DEF制御部53は、ステップ161、275、278、281の処理を繰り返すことによって待機状態にある。時刻t1において、相対湿度RHDが第1閾値FGcmpを上回ると、自動DEF制御部53は、実質的な自動DEF制御を開始する。自動DEF制御部53は、時刻t1から、冷凍機15を運転するように、圧縮機17をOFF状態からON状態に切り替える(COMP−ON)。時刻t1と時刻t12との間において、自動DEF制御部53は、ステップ161、275、276、277、282、284の処理を繰り返すことによって、冷凍機15の運転を継続したまま待機する。
【0070】
時刻t12において相対湿度RHDが第2閾値FGdefを上回ると、自動DEF制御部53は、吹出モードをDEFモードに切り替え可能な状態となる。しかし、図示の例では、所定時間TMthを経過していない。時刻t12の後に、所定時間TMthが経過すると、時刻t2において、自動DEF制御部53は、吹出モードをDEFモードに切り替える(DEF−ON)。
【0071】
時刻t2の後、DEF吹出口32から窓2に向けて乾燥した空気が供給される。相対湿度RHDは、時刻t23において、第2閾値FGdefを下回る。この結果、制御処理260は、ステップ277からステップ282に分岐し、ステップ283へ進む。自動DEF制御部53は、時刻t23において、車両用空調装置1の運転状態を、時刻t1の前の運転モードに復帰させる。
【0072】
図6では、時刻t2においてDEFモードへの切り替えが実行される。しかし、手動制御部51または自動制御部52によって時刻t1の前から圧縮機17がON状態におかれている場合、DEFモードへの切り替えは、時刻t12において実行される。
【0073】
この実施形態では、圧縮機17をON状態に切り替えるための第1閾値FGcmpと、吹出モードをDEFモードに切り替える第2閾値FGdefとの値が異なる。第2閾値FGdefは、第1閾値FGcmpよりも高い相対湿度に対応する。第2閾値FGdefは、第1閾値FGcmpよりも濃い曇りに対応している。
【0074】
この実施形態によると、2つの閾値が小さい差をもって設定されても、所定時間TMthの圧縮機17の運転が提供されるから、乾燥した空気をDEF吹出口32から供給することができる。しかも、2つの閾値が小さい差をもって設定されるから、自動DEF制御のための圧縮機17の運転時間が過剰に長くなることが回避される。このため、曇りの抑制効果を改善しながら、圧縮機17を駆動するためのエネルギー消費の抑制を図ることができる。
【0075】
(第3実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、DEFモードへの切り替え前の吹出モードは考慮されない。これに代えて、自動DEF制御によってDEFモードへ切り替えられる前に、既にDEF吹出口32から空気が吹き出されている場合には、所定時間TMthを上回る圧縮機17の作動を待つことなく、DEFモードへの切り替えを実行してもよい。
【0076】
図7に図示されるように、自動DEF制御部53を提供するための制御処理360は、ステップ385を有する。ステップ385では、現在の吹出モードにおいてDEF吹出口32から空気が吹き出されているか否かを判定する。DEF吹出口32から空気が吹き出されている場合、制御処理360は、ステップ166へ進む。DEF吹出口32から空気が吹き出されていない場合、制御処理360は、ステップ163へ進む。
【0077】
ステップ385は、遅延制御部57による遅延期間を調節する補正部を提供する。ここでは、ステップ385によって遅延期間が短く補正される。この結果、この実施形態の遅延制御部57は、曇り判定部54による曇りの判定の前にDEF吹出口32から空気が吹き出されている場合に、曇り判定部54による曇りの判定の前にDEF吹出口32から空気が吹き出されていない場合よりも、DEFモードへの切り替えの遅延を短くするように構成されている。
【0078】
この実施形態によると、既にDEF吹出口32から空気が吹き出されている場合には、ステップ162における相対湿度RHDに基づく曇り制御の必要判定だけに応答して、DEFモードへの切り替えが実行される。すなわち、所定時間TMthを上回る圧縮機17の作動を待つことなく、DEFモードへの切り替えが実行される。この場合、既にDEF吹出口32から窓2に向けて空気が供給されているから、DEF吹出口32から供給される空気量が増えても曇りが増加する可能性は低い。これにより、曇り制御が迅速に提供される。
【0079】
(他の実施形態)
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0080】
例えば、上記実施形態における相対湿度RHDに関する比較処理には、ヒステリシス特性を与えることができる。例えば、閾値FGthは、圧縮機17をOFF状態からON状態へ切り替えるON閾値(FGth+)と、圧縮機17をON状態からOFF状態へ切り替えるOFF閾値(FGth−)とによって提供することができる。
【0081】
上記実施形態では、窓2の曇りは、窓2の内面における相対湿度RHDに基づいて判定される。これに代えて、室内の湿度と、窓2の内面の温度とに基づいて窓2の内面における相対湿度を算出してもよい。さらに、湿度検出器42および曇り判定部54に代えて、窓2の表面における曇りを光学的に検出する光学式検出器と、曇りの発生を判定する判定部とを採用してもよい。このように、窓2の曇りを判定する曇り判定部は、多様な機構およびアルゴリズムによって提供される。
【0082】
上記実施形態では、冷凍機15および圧縮機17の運転期間は、時間によって計測される。これに代えて、空調ダクト11内の空気が冷凍機15によって除湿されるために必要な期間を計測しうる多様な機構およびアルゴリズムを用いることができる。例えば、制御処理の実行回数、または圧縮機17の行程回数によって冷凍機15の運転期間が計測されてもよい。また、低温側熱交換器16の温度が所定の低温にまで低下していることを判定してもよい。