(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、太い経糸と細経糸とを用いたウェビングの触感を滑らかなものとすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明のウェビングは、主経糸と緯糸とを組み合わせたベースと、該ベースに織り込まれた、該主経糸より細い細経糸とを有するウェビングであって、ウェビングの表面において、該細経糸が前記主経糸を覆っていることを特徴とするものである。
【0008】
第1発明の一態様では、主経糸が1000〜3000デニールであり、細経糸が250〜1500デニールであり、主経糸1条に対し、合計2条以上の割合で細経糸が織り込まれている。
【0009】
第2発明のウェビングは、主経糸と緯糸とを組み合わせたベースと、該ベースに織り込まれた、該主経糸より細い細経糸とを有するウェビングであって、該細経糸が前記主経糸同士の間に介在されており、該細経糸の最頂部の前記緯糸からの高さが前記主経糸の最頂部の前記緯糸からの高さと略同一であることを特徴とするものである。
【0010】
第2発明の一態様では、前記細経糸として、第1の細経糸と第2の細経糸とが設けられており、該第2の細経糸と前記ベースとの間に該第1の細経糸が介在しており、該第2の細経糸の最頂部の前記緯糸からの高さが前記主経糸の最頂部の前記緯糸からの高さと略同一である。
【0011】
第2発明の一態様では、前記主経糸が1000〜3000デニールであり、第1の細経糸及び第2の細経糸が250〜1500デニールであり、主経糸同士の間に1条以上の第2の細経糸が介在している。
【発明の効果】
【0012】
第1発明のウェビングでは、太い主経糸を細経糸で覆っているため、触感が滑らかなものとなる。また、太い主経糸を用いているので、ウェビングの強度が高い。また、第1発明のウェビングでは、太い主経糸が細経糸により覆われているため、太い主経糸が外的要因(光、ダスト等)によるダメージから守られる。
【0013】
第2発明のウェビングでは、太い主経糸同士の間に細経糸を配置し、ウェビング外面において太い経糸と細経糸とを略面一状としているので、触感が滑らかなものとなる。また、太い主経糸を用いているので、ウェビングの強度が高い。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0016】
[第1発明の実施の形態]
図1〜4は第1発明の実施の形態に係るウェビング10を示している。
図1はこのウェビング10の一部の拡大斜視図であるが、
図1の右辺側では、経糸を緯糸方向に間隔をあけて示しており、
図1の最下辺側では主経糸の図示を省略している。
図2(a)は主経糸Mと緯糸Wとの係合関係を示す経糸方向に沿う断面図であり、
図3のIIa−IIa線断面図である。
図2(b)〜(e)は細経糸A〜C及びa〜cと緯糸との係合関係を示す経糸方向に沿う断面図である。
図3は、主経糸Mと緯糸Wとからなるベース11の平面図であり、
図4(1)〜(4)は
図2(b)〜(e)においてi−i線、ii−ii線、iii−iii線及びiv−iv線に沿う切断部の端面図である。
【0017】
このウェビング10は、ベース11と、該ベース11に織り込まれた多数本の細経糸A〜C,a〜cとを有する。ウェビング10は主経糸M及び細経糸A〜C,a〜cの延在方向に長いベルト状である。
【0018】
ベース11は、平行な多数本の太い主経糸Mと、平行な多数本の細い緯糸Wとを組み合わせたものである。経糸と緯糸とは直交方向に延在している。緯糸Wには符号1〜4を付してあるが、これは配列の順番を示すためのものであり、各緯糸Wは同一の糸からなる。多数本の緯糸Wが、ウェビング10の長手方向に1,2,3,4,1,2,3,4………の順に配列されている。
【0019】
隣接する緯糸W同士の間の間隔は同一であり、隣接する主経糸M同士の間の間隔も同一である。
【0020】
主経糸Mは1000〜3000デニール特に1000〜1500デニール程度が好適である。細い緯糸Wは250〜1500デニール特に500〜750デニール程度が好適である。細経糸A〜C,a〜cは250〜1500デニール特に250〜500デニール程度が好適である。
【0021】
この実施の形態のベース11にあっては、
図2(a)及び
図3の通り、細い緯糸Wは同一面上に平行に配置されている。主経糸Mは奇数番目の緯糸1,3の上側を通り、偶数番目の緯糸2,4の下側を通るように蛇行している。なお、主経糸Mの蛇行の仕方は、緯糸1,2の上側を通り、緯糸3,4の下側を通る場合や、緯糸1,2の上側を通り、緯糸3の下側を通り、再び緯糸4と次の緯糸1の上を通る場合もある。
【0022】
細経糸A,B,Cは、ウェビングの表側において、ベース11の主経糸Mを覆い、細経糸a,b,cはウェビングの裏側において、ベース11の主経糸Mを覆っている。
【0023】
細経糸A,B,Cは、
図1,4の右側から左側に向って(即ちウェビングの一側辺から他側辺に向って)、この順番で繰り返しA,B,C,A,B,C,A,B,C………の通り配列されている。細経糸A,B,Cがこの順番で繰り返す領域は部分的であってもよい。
【0024】
細経糸a,b,cも
図1,4の右側から左側に向って、この順番で繰り返しa,b,c,a,b,c,a,b,c………の通り配列されている。
【0025】
ウェビング表側の主経糸Mを覆う細経糸A,B,Cのうち、経糸A,Cは、
図2(b)の通り、2番目の緯糸2の下側を該緯糸2に接するように通り、その他の1,3,4番目の緯糸1,3,4の上側を通っている。図面を明瞭とするために、
図2(b)では図示を省略するが、緯糸3,4,1と細経糸A,Cとの間には、
図4(1),(3),(4)の通り主経糸Mが介在している。
【0026】
ウェビング表側の主経糸Mを覆う細経糸A,B,Cのうち、経糸Bは、
図2(c)の通り、4番目の緯糸4の下側を該緯糸4に接するように通り、その他の1,2,3番目の緯糸1,2,3の上側を通っている。
図2(c)では図示を省略するが、緯糸1〜3と細経糸Bとの間には、
図4(1)〜(3)の通り主経糸Mが介在している。なお、前記〇番目という表現は説明の便宜上のものであり、これに限定されず、繰り返さずに不等な間隔で織られていてもよい。
【0027】
ウェビング裏側の主経糸Mを覆う細経糸a,b,cのうち、経糸a,cは、
図2(d)の通り、3番目の緯糸3の上側を該緯糸3に接するように通り、その他の1,2,4番目の緯糸1,2,4の下側を通っている。
図2(c)では図示を省略するが、緯糸4,1,2と細経糸a,cとの間には、
図4(1),(2),(4)の通り主経糸Mが介在している。
【0028】
ウェビング裏側の主経糸Mを覆う細経糸a,b,cのうち、経糸bは、
図2(e)の通り、1番目の緯糸1の上側を該緯糸1に接するように通り、その他の2,3,4番目の緯糸2,3,4の下側を通っている。
図2(e)では図示を省略するが、緯糸2〜4と細経糸bとの間には、
図4(2)〜(4)の通り主経糸Mが介在している。
【0029】
図4(1)〜(4)は、それぞれウェビング10の緯糸1,2,3,4に沿う断面を示している。上記のように、緯糸W(1〜4)と主経糸Mとを組み合わせたベース11に細経糸A〜C,a〜cを織り込むことにより、ベース11の緯糸Wと主経糸Mとが一体化される。細経糸A〜Cはウェビング10の表側においてウェビング表(おもて)面の大部分を覆うため、ウェビング10の表側の面の触感が滑らかなものとなる。例えば、細経糸A〜Cは、ウェビング10の表側において、主経糸Mの最頂部t(緯糸Wから最も離隔した部分)を除くウェビング表(おもて)面の大部分を覆う。
【0030】
細経糸a〜cは、ウェビング10の裏側において、ウェビング裏面の大部分を覆うため、ウェビング10の裏側の面の触感が滑らかなものとなる。例えば、細経糸a〜cは、ウェビング10の裏側において、主経糸Mの最頂部tを除くウェビング裏面の大部分を覆う。また、このウェビング10は、太い主経糸Mを有するので、強度が高い。なお、細経糸A〜C,a〜cに耐光剤を含ませたり、コーティングしてもよい。
【0031】
上記実施の形態では、細経糸A〜C,a〜cはそれぞれ主経糸M間に3条ずつ配置されているが、これに限定されるものではない。
【0032】
[第2発明の実施の形態]
図5〜9は、第2発明の実施の形態に係るウェビング20を示している。
図5は、このウェビング20の一部拡大斜視図であるが、
図5の右辺側では経糸を緯糸方向に間隔をあけて示しており、
図5の上辺側及び下辺側では緯糸の図示を省略している。
図6は
図5の右下部分の拡大平面図である。
図7(a),(b)は
図6のVIIa,VIIb矢視図である。
図8はベース21の平面図であり、
図9は
図8のIX−IX線断面図である。
【0033】
このウェビング20は、主経糸M
1〜M
4と緯糸W(1〜4)とからなるベース21と、それぞれ該ベース21に織り込まれた第1の細経糸e〜h及び第2の細経糸E〜Hとを有する。なお、
図5〜9では主経糸Mに1〜4の添字が付されているが、これは主経糸Mの配列順番を示すためのものであり、主経糸M
1〜M
4は同種のものである。
【0034】
図8,9の通り、この実施の形態で用いられるベース21は、主経糸M(M
1〜M
4)と緯糸Wとを畝織り(畔織り)したものである。即ち、
図8,9の通り、主経糸M
1は緯糸1,2の上側を緯糸1,2に接するように通り、緯糸3,4の下側を緯糸3,4に接するように通る。主経糸M
4は緯糸2,3の上側を緯糸2,3と接するように通り、緯糸4,1の下側を緯糸4,1に接するように通る。主経糸M
3は緯糸3,4の上側を緯糸3,4と接するように通り、緯糸1,2の下側を緯糸1,2と接するように通る。主経糸M
2は緯糸4,1の上側を緯糸4,1に接するように通り、緯糸2,3の下側を緯糸2,3に接するように通る。
【0035】
なお、上述の畝織りの形態は、主経糸Mが緯糸2条間隔で緯糸Wの上下を通っているが、これに限定されるものでなく、例えば3条間隔で緯糸Wの上下を通っていてもよい。
【0036】
この実施の形態では、第1の細経糸e〜hと第2の細経糸E〜Hとが用いられている。第1及び第2の細経糸e〜h及びE〜Hは、それぞれ各主経糸M
1,M
2間、M
2,M
3間、M
3,M
4間及びM
4,M
1間に、ウェビング20の一側辺(
図5,6,
図7(b)の右側)から他側辺(
図5,
図6,
図7(b)の左側)に向かってこの順に配列されている。
【0037】
第1の細経糸e,gは奇数番目の緯糸1,3の上側を通り、偶数番目の緯糸2,4の下側を通る。第1の細経糸f、hは奇数番目の緯糸1,3の下側を通り、偶数番目の緯糸2,4の上側を通る。第1の細経糸e〜hはそれぞれ緯糸1〜4と交差する部分で緯糸1〜4に接している。
【0038】
第1の細経糸e〜hに重なるように第2の細経糸E〜Hがベース21に織り込まれている。第2の細経糸Eは緯糸4,1の上側を通り、緯糸2,3の下側を通る。第2の細経糸Fは、緯糸1,2の上側を通り、緯糸3,4の下側を通る。第2の細経糸Gは、緯糸2,3の上側を通り、緯糸4,1の下側を通る。第2の細経糸Hは、緯糸3,4の上側を通り、緯糸1,2の下側を通る。
【0039】
第2の細経糸E〜Hは、第1の細経糸e〜hに重なって、かつ細経糸e〜hよりもベース21から離れた側を通っている。細経糸E〜Hは、その最頂部の位置(緯糸Wからの高さ)が主経糸M
1〜M
4の最頂部と略同一となるように織り込まれており、主経糸M
1〜M
4と第2の細経糸E〜Hとは面一状となっている。
【0040】
具体的には、ウェビング20の厚み方向の中心(緯糸Wの中心)から主経糸M
1〜M
4の最頂部までの距離(高さ)X
1とし、ウェビング20の厚み方向の中心(緯糸Wの中心)から細経糸E〜Hの最頂部までの距離(高さ)X
2とすると、距離X
2は距離X
1の80〜120%特に95〜105%が好適である。
【0041】
これにより、ウェビング20の表側及び裏側のいずれにおいても、ウェビング20の表面(ひょうめん)は太い主経糸M
1〜M
4と、それら同士の間に配置された第2の細経糸E〜Hとで構成され、主経糸M
1〜M
4と、第2の細経糸E〜Hとが略面一状となっているので、ウェビング20の表面の触感が滑らかなものとなる。また、主経糸M
1〜M
4を用いているので、ウェビング20の強度が高い。なお、細経糸E〜Hに耐光剤を含ませたり、コーティングしてもよい。
【0042】
なお、この実施の形態では、主経糸M
1〜M
4は1000〜3000デニール特に1000〜1500デニール程度が好適である。細経糸E〜H,e〜hは同一デニールであり、かつ250〜1500デニール特に250〜500デニール程度が好適である。また、緯糸Wは250〜750デニール特に500〜750デニール程度が好適である。
【0043】
この実施の形態では、主経糸M
1,M
2,M
3,M
4間にそれぞれ細経糸e〜h,E〜Hが4条ずつ配置されているが、これに限定されず、各々1条以上ずつ特に3〜4条ずつ配置されればよい。
【0044】
本発明のウェビングは、自動車のシートベルト装置のウェビングとして好適である。自動車のシートベルト装置は、ウェビングと、該ウェビングを巻き取るためのリトラクタと、ウェビングが挿通又は連結されたトングと、該トングが着脱されるバックル等を備えている。
【0045】
ただし、本発明のウェビングは航空機用、船舶用、遊戯機器用など各種のシートベルト装置に用いることができる。
【解決手段】主経糸Mと緯糸Wとを組み合わせたベース11と、該ベース11に織り込まれた細経糸A〜C,a〜cとを有するウェビング10であって、ウェビング10の表面において、該細経糸A〜C又はa〜cが前記主経糸を覆っていることを特徴とするウェビング10。主経糸Mは奇数番目の緯糸1,3の上側を通り、偶数番目の緯糸2,4の下側を通るように蛇行している。細経糸A,B,Cは、ウェビング10の表側において、ベース11の主経糸Mを覆い、細経糸a,b,cはウェビングの裏側において、ベース11の主経糸Mを覆う。