(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1及び
図2には、第1実施形態の収納ケース12が示される。収納ケース12は、たとえば、タブレット型の携帯端末、スマートフォン、携帯電話等の被収納物14を収納できる。そして、使用者が収納ケース12を衣服等に装着した状態で、収納ケース12に被収納物14を出し入れできる。
【0011】
収納ケース12は、使用者が装着するためのベルトを有する。以下において、「前側」とは、収納ケース12において、ベルトから遠い側(使用者から遠い側)をいう。また、以下において、「上方向」とは、収納ケース12を使用者が装着した状態での上方向を言う。各図面では、収納ケース12の上方向、前方向及び幅方向をそれぞれ、矢印UP、矢印FR及び矢印Wで示す。
【0012】
図2に示すように、本実施形態の被収納物14は、表示面14A及びカバー面14Bを有する。表示面14Aには、たとえばディスプレイが備えられる。これに対し、カバー面14Bには、取出部18が備えられる。
図1及び
図2に示す例では、取出部18は、カバー面14Bに取り付けられる上下一対の留布18Aと、留布18A間に掛け渡される把持紐18Bとを有する。取出部18は、使用者が収納ケース12から被収納物14を取り出すときに、指等をかけることができる部材である。
【0013】
さらに、本実施形態の被収納物14は、
図2に示すように、内部に磁気センサ20を備える。被収納物14は、磁気センサ20で検知した磁力(磁束密度)が所定値以上である場合は、省電力状態、たとえば電源オフ状態や待機状態等に移行する。磁気センサ20は、被収納物14内において上部と下部とに設けられており、被収納物14を収納ケース12に上下反転させて収納しても、後述する磁石本体34の磁力を検知できる。
【0014】
収納ケース12は、被収納物14を収納するケース本体22を有する。本実施形態のケース本体22は、曲げ剛性を有する前板24及び後板26を有する。前板24及び後板26は、側部27及び底部28によって連結されており、ケース本体22は、上方に開口する挿入口22Mを有する略直方体の箱形状である。本実施形態では、
図2から分かるように、前板24の上端24Tは後板26の上端26Tよりも低い。
【0015】
後板26の後面側には、ベルト通し部29が設けられる。ベルト通し部29は、
図1に示す例では、上下方向に延在する2本のベルトループ29Lと、これらのベルトループ29Lを上下方向の中間部分で後板26に向かって押さえ付ける押さえ部材29Fを備える。ベルトループ29Lの上部は後板26に固着され、ベルトループ29Lの下部は、留具29Bにより後板26に取り外し可能に固定される。そして、たとえば、押さえ部材29Fの上下位置を適切に設定し、ベルトループ29Lと後板26の隙間に、使用者のベルト等を挿通することで、使用者は収納ケース12を装着できる。
【0016】
収納ケース12には、被収納物14が、挿入口22Mから挿入される。被収納物14の挿入方向を矢印S1で示す。
【0017】
前板24及び後板26のそれぞれの内面24U、26Uには、磁石部材30、32が設けられる。磁石部材30、32のそれぞれは、磁石本体34と、磁石保持部36とを有する。磁石部材30は第一磁石部材の一例であり、磁石部材32は第二磁石部材の一例である。そして、磁石部材30、32は、検出部材の一例である。
【0018】
図3にも詳細に示すように、磁石保持部36は、前板24の内面24U及び後板26の内面26Uにそれぞれ形成されており、内面24U、26Uからケース本体22の内側に突出する。磁石保持部36と、内面24U、26Uとの間には隙間が生じている。磁石保持部36は、磁石本体34を覆うと共に、この隙間に磁石本体34を保持する。
【0019】
磁石保持部36は、押圧部36Pと傾斜部36Sとを有する。2つの押圧部36Pは、ケース本体22の内側で互いに対向している。傾斜部36Sは、押圧部36Pから被収納物14の挿入方向(矢印S1方向)に対し傾斜している。そして、ケース本体22内に被収納物14が入れられるときに傾斜部36Sに接触すると、傾斜部36Sによってケース本体22の中央寄りに案内される。磁石保持部36に被収納物14が衝撃的に当たっても、傾斜部36Sによって衝撃が緩和される。
【0020】
本実施形態では、2つの押圧部36Pの間隔D1は、被収納物14の厚みT1と同程度である。そして、磁石部材30、32の間に被収納物14が位置すると、被収納物14の厚みT1によっては、押圧部36Pが被収納物14に押され磁石保持部36がわずかに撓み、間隔D1が広がることがある。磁石保持部36の撓みの反力により、押圧部36Pが被収納物14を押圧して密着するので、被収納物14と磁石本体34との距離を安定的に維持できる。また、被収納物14の厚みT1が、2つの押圧部36Pの間隔D1より薄い場合には、磁石部材30、32は被収納物14に接触しないが、磁石本体34が被収納物14に接近した状態に維持される。
【0021】
磁石本体34は、長尺状(扁平な直方体状)に形成されており、磁石本体34の長手方向が、被収納物14の挿入方向(矢印S1方向)に沿っている。磁石本体34の下端の位置は、被収納物14の全体が収納ケース12に収納された全部収納状態(
図2参照)で、磁気センサ20に所定値以上の磁力を作用させる位置である。また、磁石本体34の上端の位置は、被収納物14の下側部分が収納ケース12に収納された一部収納状態(
図6参照)であっても、磁気センサ20に所定値以上の磁力(磁束密度)を及ぼす位置である。すなわち、磁石本体34の長さ(上下方向の範囲)は、被収納物14が全部収納位置と一部収納位置の間のどの位置であっても、磁気センサ20に所定値以上の磁束密度を生じさせる長さである。
【0022】
また、本実施形態では、2つの磁石部材30、32が2つ設けられおり、収納ケース12に収納された被収納物14を間にして、一対の磁石本体34が対向している。特に、磁石本体34は、異なる磁極(N極とS極)が対向する向きに配置される。したがって、たとえば、磁石本体34を同じ磁極が対向する向きに配置した構造と比較して、磁石本体34の間の空間では、磁束密度が大きくなると共に、磁束密度の空間的な偏りが少ない。そして、収納ケース12の外側では、磁束密度は、磁石本体34の間よりも小さい。
【0023】
収納ケース12には、引出部材38が設けられる。引出部材38は、
図4及び
図8にも詳細に示すように、柔軟性を有する素材で形成された内生地40と、曲げ剛性を有する素材で形成された引出蓋42と、を有する。
【0024】
内生地40は、移動部40A及び固着部40Bを有し、さらに移動部40Aと固着部40Bとに連続する連続部40Cを有する。連続部40Cは、被収納物14の挿入方向(矢印S1方向)の先端側で移動部40Aと固着部40Bとをつなぐ。
【0025】
固着部40Bは、後板26の内面26Uに縫製されて後板26に固着される。これに対し、移動部40Aは、前板24の内面24Uに沿って、挿入方向(矢印S1方向)及びその反対方向に移動可能である。そして、固着部40Bの下端と移動部40Aの下端とが、連続部40Cで連続し、一体的な内生地40を形成している。
【0026】
被収納物14は、ケース本体22内に挿入口22M側から入れられると、移動部40Aと固着部40Bの間を通り、連続部40Cに接触する。この状態で、連続部40Cが底部28に接触していない場合は、連続部40Cが被収納物14から下方に押されると、連続部40C及び移動部40Aが下方に移動する。
【0027】
被収納物14の全部収納状態(
図1参照)で、移動部40Aを上方に移動させると、連続部40Cも上方に移動するので、連続部40Cに支持された被収納物14も上方に移動する。ただし、内生地40の固着部40Bは後板26に固着されて不動なので、移動部40Aの上方への移動量は、固着部40Bが後板26から剥離しない一定範囲に制限される。
【0028】
移動部40Aには、引出蓋42が取り付けられる。引出蓋42は、曲げ剛性を有しており、移動部40Aの前側且つ上部に取り付けられる前蓋部42Fと、前蓋部42Fの上端から(
図2に示す例では略直角に)屈曲される上蓋部42Tとを有する。
【0029】
図2に示すように、被収納物14の全部収納状態では、内生地40の移動部40A及び引出蓋42が下方にあり、前蓋部42Fが被収納物14のカバー面14Bと対向する。また、上蓋部42Tが被収納物14の上面14Tと対向する。
【0030】
なお、被収納物14の全部収納状態で、上蓋部42Tが被収納物14の上面14Tと対向した姿勢を維持できるように、上蓋部42Tをケース本体22に係合させる係合部や、磁石等を設けてもよい。
【0031】
前板24の上端24Tには、矢印W方向(幅方向)の中央を下方に凹ませた切欠部44が形成される。切欠部44は、前蓋部42Fに形成された取っ手部46に前板24が干渉しないようにすると共に、全部収納状態で、取っ手部46の周囲を前板24から露出させ、取っ手部46に指等を掛けやすくしている。
【0032】
内生地40の移動部40Aにおいて、引出蓋42が取り付けられる部分と取り付けられない部分の境界では曲げ剛性が局所的に変化している。内生地40には、この曲げ剛性変化部分において折曲部48が形成される。
【0033】
図2に示す全部収納状態では、前蓋部42Fと前板24とが部分的に重なっている。この状態では、折曲部48で移動部40Aが折れ曲がることはなく、前蓋部42Fが被収納物14と対向した状態を維持する。
【0034】
また、
図5に示すように、引出蓋42が矢印A1方向に引き出されていても、前蓋部42Fの一部と前板24とが重なっていれば、折曲部48で移動部40Aが折れ曲がることはなく、前蓋部42Fが被収納物14と対向した状態を維持する。
【0035】
これに対し、
図7に示すように、折曲部48引出蓋42の全体がケース本体22の前板24よりも上方に位置すると、折曲部48で移動部40Aが折れ曲がり可能である。移動部40Aが折曲部48で折れ曲がることで、前蓋部42Fが被収納物14から離間する。そして、被収納物14の取出部18の一部を露出させる。
【0036】
図6及び
図7に示すように、引出部材38(移動部40A)が折曲部48で折り曲げられた状態では、引出部材38の一部(折曲部48の近傍部分)が、ケース本体22の挿入口22M(前板24の上端24T)に引っかかる。具体的には、引出部材38がケース本体22の内部に入る方向(矢印S1と同方向)で、引出部材38の一部が前板24の上端24Tと対向している。
【0037】
図4及び
図8に示すように、引出部材38には、折曲部48の位置において、矢印W方向に長い楕円状の露出孔50が形成される。より詳細には、折曲部48における移動部40Aに楕円状の孔が形成され、前蓋部42Fの下辺に、この楕円状の孔の上半分に対応する凹みが形成される。
【0038】
図6及び
図7から分かるように、引出部材38が折曲部48で折り曲げられると、露出孔50は、引出部材38の幅方向中央部分が下向きに凹んだ凹部52となる。凹部52は、切欠部44に対応した位置にあり、被収納物14の取出部18をより広い範囲で露出させる。
【0039】
内生地40には、
図4及び
図8から分かるように、内生地40が磁石部材30、32を避ける位置に孔部54が形成される、特に、本実施形態では、内生地40の移動部40Aは矢印S1方向に移動するので、移動部40Aと磁石部材30との相対位置が変化する。孔部54は、この相対位置の変化が生じても、内生地40が磁石部材30と重ならないように、十分に大きく形成される。特に本実施形態では、磁石部材30を避ける孔部と磁石部材32を避ける孔部とが連続しており、1つの孔部54で磁石部材30、32の双方を避けて、内生地40が磁石部材30、32と重ならない構造である。
【0041】
図1〜
図3に示すように、収納ケース12内に被収納物14が収納された状態(全部収納状態)では、磁石保持部36の押圧部36Pが被収納物14に密着しており、被収納物14は磁石部材30、32の間に挟まれて保持されている。押圧部36Pが被収納物14に押された反力で被収納物14を押圧しており、磁石本体34が被収納物14の磁気センサ20から不用意に遠ざかることが抑制される。これにより、被収納物14の磁気センサ20と、磁石本体34との距離を安定的に維持できる。そして、磁気センサ20が、磁石本体34の磁力を検知しているので、被収納物14を省電力状態に確実に維持することが可能である。
【0042】
また、本実施形態では、磁石保持部36の押圧部36Pが被収納物14を挟み込むように押圧している。したがって、たとえば、被収納物14の上面14Tと上蓋部42Tとの間に隙間が生じていても、押圧部36Pが被収納物14を押圧しており、摩擦が生じるので、収納ケース12内での被収納物14の上下動を抑制できる。
【0043】
磁石本体34の長手方向は、被収納物14の挿入方向(矢印S1方向)に沿っている。したがって、被収納物14が収納ケース12内で上下動した場合でも、磁石本体34の磁力の及ぶ範囲に磁気センサ20が位置する状態を維持しやすい。
【0044】
ここで、
図10には、孔部54が形成されていない内生地80を備えた比較例の収納ケース82が示されている。比較例の内生地80では、磁石部材30、32を覆うように内生地80の一部が存在する。このため、磁石部材30、32の間で、被収納物を挟み込む間隔D2は、第1実施形態の間隔D1よりも、内生地80の厚み2枚分だけ狭い。磁石部材30、32の間に厚みT1の被収納物14(
図2参照)が位置すると、磁石部材30、32が互いに離間する方向へ変形し、磁石本体34の位置が磁気センサ20から遠くなる。また、被収納物14を磁石部材30、32の間に挿し入れるときの抵抗が大きくなるので、挿し入れ時に、被収納物14や磁石部材30、32が損傷を受けるおそれがある。
【0045】
これに対し、本実施形態では、内生地40に孔部54が形成されており、この孔部54により、内生地40が磁石部材30、32を避けている。したがって、比較例の内生地80と比較して、磁石本体34を被収納物14の磁気センサ20に対しより接近させることができる。
【0046】
そして、被収納物14を磁石部材30、32の間に挿入するときに、比較例の構造よりも挿入の抵抗が小さくなる。また、被収納物14や磁石部材30、32の損傷を抑制できる。
【0047】
なお、被収納物14の厚みT1が薄いと、磁石保持部36の押圧部36Pが被収納物14に接触しない場合もある。しかし、この場合であっても、磁石保持部36は収納ケース12の内側、すなわち被収納物14に向かって突出しており、磁石本体34が磁気センサ20に近い位置にあるので、磁気センサ20が磁石本体34の磁力を検知しやすい状態を実現できる。
【0048】
本実施形態では、磁石保持部36に傾斜部36Sが形成される。傾斜部36Sは、被収納物14の挿入方向(矢印S1方向)に対し傾斜している。したがって、被収納物14が傾斜部36Sに当たったときに、被収納物14を収納ケース12の内側(矢印U1方向)に案内できる。また、傾斜部36Sが形成されていない構造と比較して、被収納物14が傾斜部36Sに衝撃的に当たっても、傾斜部36Sが傾斜していることで衝撃を緩和でき、磁石保持部36の損傷を抑制できる。
【0049】
本実施形態では、磁石部材30、32が、磁石本体34と、磁石保持部36とを有している。磁石本体34を磁石保持部36が保持しているので、磁石保持部36がない構造と比較して、磁石本体34の損傷を抑制することが可能である。
【0050】
被収納物14を収納ケース12から取り出すには、引出部材38(引出蓋42)をケース本体22から引き出す(矢印A1方向に移動させる)。このとき、引出部材38の取っ手部46の周囲が、前板24の切欠部44によって露出しているので、引出部材38を引き出す操作が容易である。
【0051】
本実施形態では、引出部材38(内生地40)は、移動部40Aと固着部40Bとが連続部40Cで連続する構造である。このため、引出部材38を引き出す動作で、連続部40Cによって被収納物14を上方に押し、被収納物14を矢印A1方向に移動させることが可能である。
【0052】
引出部材38を引き出した状態であっても、
図5に示すように、引出蓋42の前蓋部42Fと前板24とが重なっていれば、引出部材38は折曲部48で折り曲がらない。磁石本体34の長手方向は、被収納物14の挿入方向(矢印S1方向)に沿っており、被収納物14の磁気センサ20は、磁石本体34の磁力の及ぶ範囲にある。このため、磁気センサ20で磁石本体34の磁力を確実に検知し、被収納物14を省電力状態に確実に維持することが可能である。
【0053】
引出部材38をさらに引き出し、
図6及び
図7に示すように、前蓋部42Fの全体が前板24よりも上方に位置すると、引出部材38を折曲部48で折り曲げることが可能である。引出部材38を折曲部48で折り曲げることで、引出部材38は被収納物14の取出部18から離れ、取出部18が露出するので、収納ケース12からの被収納物14の取り出しが容易である。
【0054】
本実施形態では、引出部材38が移動部40Aを有し、折曲部48が移動部40Aに設けられる。したがって、移動部40Aを矢印A1方向に移動させる動作で、折曲部48をケース本体22の外部に位置させ、移動部40A(引出部材38の一部)を折り曲げ可能な状態にできる。
【0055】
特に、被収納物14の取出部18が、ケース本体22の外側に向かって移動すると、移動部40Aに設けられた引出蓋42がケース本体22の外側に位置する。したがって、引出蓋42の全体が取出部18から離間するように、引出部材38を折曲部48で折り曲げることができる。
【0056】
内生地40の孔部54は、移動部40Aが矢印S1方向に移動し、移動部40Aに対し磁石部材30との相対位置が変化しても、磁石部材30が相対移動する範囲に対応して大きく形成される。したがって、
図2に示す状態(全部収納状態)から、
図7に示す状態までの被収納物14の位置が変化しても、内生地40が磁石部材30と重ならない。これにより、磁石本体34が被収納物14の磁気センサ20に対し接近した状態を維持できる。
【0057】
移動部40Aが上記のようにケース本体22に対し移動しても、固着部40Bはケース本体22に固着されているので移動しない。したがって、内生地40の状態に関わらず、内生地40は磁石部材32と重ならない。そして、内生地40の孔部54は、磁石部材30を避ける位置から、磁石部材32を避ける位置まで連続している。磁石部材30、32のそれぞれに対応した孔部(2つの孔部)を形成せず、孔部54は1つで済むので、内生地40の成形が容易である。
【0058】
2つの磁石本体34は、異なる磁極が対向するように配置されており、磁石本体34の間の空間では、磁束密度が大きくなると共に、磁束密度の空間的な偏りが少ない。このため、磁石部材30、32の間で、磁気センサ20に磁束密度を確実に検知させることができる。
【0059】
また、
図9に示すように、収納ケース12に対し、被収納物14の表裏が、
図1に示す例の反対向きで収納されると、磁気センサ20の位置が後板26の近くに位置することがある。この場合でも、磁石部材30、32の間で、磁気センサ20に磁束密度を確実に検知させることができる。
【0060】
これに対し、たとえば収納ケース12の外側では、磁束密度は、磁石本体34の間よりも小さい。このため、収納ケース12の外側で、被収納物14の磁気センサ20が磁石部材30、32に接近しても、磁気センサ20が磁石部材30、32により生じる磁束密度を検知することを抑制できる。
【0061】
本実施形態では、引出部材38の折曲部48に露出孔50が設けられている。露出孔50は、引出部材38を折曲部48で折り曲げた状態で下方に凹んだ凹部52を形成する。この凹部52の位置は、切欠部44に対応した位置にあり、被収納物14の取出部18をより広い範囲で露出させる。このため、取出部18に指等を掛ける作業が容易になり、被収納物14の取り出しが容易である。
【0062】
引出部材38が折曲部48で折れ曲がった状態では、引出部材38の一部(折曲部48の近傍部分)が、ケース本体22の挿入口22M(前板24の上端24T)に引っかかった状態となる。これにより、引出部材38がケース本体22の内部に移動することを抑制できる。
【0063】
被収納物14を収納ケース12に収納するときは、引出部材38が折曲部48で折れ曲がった状態で、内生地40の固着部40Bと移動部40Aの間に被収納物14を挿し入れる。
【0064】
磁石本体34の長手方向は挿入方向(矢印S1方向)に沿っている。
図7から分かるように、被収納物14が内生地40の連続部40Cに単に載せ置かれた状態でも、磁石本体34の磁力の及ぶ範囲に磁気センサ20が位置する。すなわち、引出部材38が折曲部48で折れ曲がった状態で、被収納物14を収納ケース12に挿し入れだけで、被収納物14を省電力状態に移行させることができる。
【0065】
そして、引出部材38の折曲部48での折り曲げを解消する(移動部40Aを平面状にする)。引出部材38が、前板24と対向しない姿勢になるので、移動部40Aは矢印A2方向に移動可能である。被収納物14を矢印A2方向に押すことで、収納ケース12に収納できる。引出部材38(内生地40)は、移動部40Aと固着部40Bとが連続部40Cで連続する構造である。このため、被収納物14を収納ケース12に挿し入れる動作で、連続部40Cを押し、移動部40Aを矢印A2方向に移動させることができる。
【0066】
特に、連続部40C及び移動部40A(引出蓋42が取り付けられていない部分)は柔軟性を有している。このため、被収納物14が重力により連続部40Cを下方に押したときの引出部材38(内生地40)の変形を容易に生じさせ、被収納物14を収納ケース12に収納することが可能である。
【0067】
被収納物14が全部収納状態であるとき、引出蓋42により収納ケース12の上部が閉じられると、収納ケース12から被収納物14が不用意に出る(たとえば収納ケース12の上下動で被収納物14が飛び出す)ことを抑制できる。
【0068】
上記では、検出部材の一例として磁石部材30、32を挙げたが、検出部材は磁石部材30、32に限定されない。また、被収納物のセンサとしても、磁気センサ20に限定されない。検出部材としては、被収納物がケース本体に収納された状態で、被収納物のセンサに検出される部材であればよい。
【0069】
本明細書に記載されたすべての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【0070】
以上、本願の開示する技術の実施形態について説明したが、本願の開示する技術は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。